台本概要
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タイトル | 《2人用台本》喫煙所 |
---|---|
作者名 | 穹乃 羽癒 -ソラノ ウユ- (@uyu_snt_tuy) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
『シガーキス』をテーマにした掛け合い台本です。 性別改変有で、性別の改変による口調改変も有なので、世界観を壊さない程度でご自由に読んでください。 380 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
桂維 | 女 | 67 | 桂維(ケイ) 作家をしている22歳女性。基本ポーカーフェイスの容姿端麗 |
璃都 | 男 | 39 | 璃都(リツ) 21歳の大学生。 身長が188cmと高め。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
喫煙所《二人用》
0:(狭い喫煙所にて)
桂維:スゥッ………はぁ。(煙草を吸う)
0:
桂維:(M)いつもの狭い喫煙所に1人。自分の吐いた煙を眺めながら、いつも通りぼーっとしていた。
桂維:喫煙所の扉が開き、私より30cm程背の高い男が入ってくる
璃都:おー。おつかれ。
桂維:おう。お疲れぇ(喫煙所の奥に詰めながら)
璃都:この時間に喫煙所いんの珍しいな。
桂維:なかなか筆が乗らなくてさー。息抜き的な?
璃都:あー、お前作家か何かなんだっけ。
桂維:そ。なんかいいネタとかねぇのー?
璃都:知らねぇよ。自分で考えろ
桂維:うえー。冷てえ男。そんなんだからモテねぇんだよ。
璃都:誰がいつモテねぇつったよ。
桂維:え?彼女いんの?お前に?
璃都:恋人がいるのとモテるのは違うだろ。俺はお前と違ってタラシてないんでね。
桂維:はぁ?私がいつタラシたっていうんだよ。
璃都:コロコロコロコロ煙草変えやがって。お前それ、恋人変わる度に煙草変えてんの知ってんだけど。
桂維:あっはは。なんで知ってんだよ。ま、私顔良いし、スタイル良いから好きになっちゃうのも仕方ねぇよなぁ〜
璃都:そーいうとこだよ。ボケ
桂維:口悪〜い!…って、煙草これ最後の1本だったわ
璃都:1本いるか?
桂維:んや。昼飯食いたいし先に失礼するわ。んじゃまたな。
璃都:おう。
0:(その後、桂維のマンション)
桂維:ん〜っ(伸びをする)
0:
桂維:(M)璃都と話すのは暇潰しになるし、何より居心地がいい。昔からの友達感覚でお互い他愛もない会話ばかりしている。
0:桂維のスマホにメッセージが来る
桂維:あーーー。忘れてたぁ(ベッドに倒れ込みながらスマホの画面をもう一度見る)
0:スマホには桂維の恋人からの「もう着いた?」というメッセージが表示されている。
桂維:うーーーん、す・こ・し・お・く・れ・る、、と。よし。急ごーっと
0:
桂維:(M)今付き合っている恋人との約束を思い出し、急ぎめで髪を整えると駅まで駆け足で向かう。
0:
桂維:ごめーーーん!!!遅くなった!
0:
桂維:(M)できるだけ声に感情を込め謝る。待っていた今の恋人はThe.大学生という感じの青年でバイト先の先輩だ。
0:
桂維:んじゃ行こっかー。どこ行くー?
0:(同時刻、狭い喫煙所)
璃都:ふぅ……。
0:
璃都:(M)静かになった喫煙所で、吐いた煙を眺めながらあいつの居た余韻に浸る。
璃都:桂維とか言う女は変な女だ。
璃都:チビで男みたいでガサツで口が悪い。顔もスタイルもいい癖して、女らしくない性格がそれを台無しにする。勿体ない…が、あいつとこの喫煙所で話す時間は心地よく嫌いじゃない。
璃都:気がつけば、お互い名前以外知らないあいつと煙草を吸う時間が俺の楽しみになっていた。
璃都:俺は吸い終わった煙草を灰皿に捨て、午後からの授業へ出るべく大学へ向かった。
0:(街のカラオケ店にて)
桂維:次何歌う〜?カラオケ行くと何故か歌いたかった曲全部飛ぶよな〜!
0:
桂維:(M)私たちは、ショッピングモールをウロウロしたあと、やることも無くいつものカラオケに恋人と来ていた。
桂維:恋人は少し気まづそうにこちらを見る。「あぁ、またか〜」なんて思いながら私は相手が話しやすい雰囲気を作る。
0:
桂維:どうしたんだよ、そんな変な顔して。あぁ、いつもかw…ってのは冗談で、私に言いたいことがあるんでしょ。大体察してるからいいよ。
0:
桂維:(M)すると恋人は聞き慣れた言葉を言った。「思ってたのと違った」「友達に戻ろう」
桂維:私は相手に気を使わせないように笑いながら返す。
0:
桂維: それなー?私も思ってたんだよねw友達の方がいい距離感っていうか!
0:
桂維:(M) 家に帰り、相手に合わせて買っていた煙草をゴミ箱に捨て再び家を出る。徒歩5分のコンビニに行き、天然水とツナマヨのおにぎりを手に取った。
0:(レジ前)
桂維:袋大丈夫でーす。あ、あと…
0:
桂維:(M)レジ前で煙草の方に目をやり、ふと目に付いた煙草を買う。
0:(狭い喫煙所にて)
桂維:おーっす。(喫煙所の扉を開きながら)
璃都:おう。おつかれ
桂維:おつかれおつかれー
璃都:スゥッ……はぁ。(煙草を吸う)
桂維:スゥ………はぁ(煙草を吸う)
璃都:…あら、朝と格好ちげぇけど、どっか行ってたんか?
桂維:今日恋人とデートだったこと忘れててさぁ、あの後慌てて準備して行ったんだよねぇ。
璃都:ははっwお前のことだから急いでないんだろうな。
桂維:おやおや璃都さん。よーくお分かりで?w
璃都:(煙草を灰皿に擦り付けポケットから煙草の箱を取り出す)
璃都:……あ、悪ぃ。煙草、1本貰える?
桂維:んぁ?あぁ……あい(煙草を渡しながら)
璃都:さんきゅ…あれ、煙草変えたんだ。
璃都:……恋人と別れたから?
桂維:えっ?あ…あぁ!せーかいっwよく分かったな?
桂維:というか、珍しいな。お前がそんなこと聞いてくるなんて。
璃都:ははっwそんなこともあるさ。
璃都:……なぁ。知ってる?(桂維の顔を見る)
璃都:これ、俺が吸ってるのと一緒なの(煙草を咥えながら)
璃都:火、貰える?(桂維に顔を近づける)
桂維:え、あ、お、おう(璃都の意外な行動にドキッとしつつ咥えていた煙草を璃都に向ける)
璃都:………ふぅ…ま、本当は火じゃなくて直接その唇貰いたいんだけどね。
桂維:…おう。………………え?
璃都:(煙草を吸う)
桂維:え、今なん……
璃都:んー?
桂維:(M) いや、私の聞き間違いだったかもしれない。だけど、そう言ったようにしか聞こえず、鼓動が早くなり、落ち着かず、煙のせいなのか何なのか息苦しくなる。
0:
桂維:あ、えと、お前、前髪長いから切った方がいいと思う!邪魔だよな
璃都:ははw余計なお世話だ。
桂維:……………。
璃都:(煙草を吸う)
桂維:(M)璃都の言葉にすっかり動揺した私は、その場から逃げるように煙草の火を消すと「んじゃ、また!」と言って喫煙所を後にした。
0:(引き続き、狭い喫煙所)
璃都:…………はぁ……ははw
0:
璃都:(M)煙を吐きながら、さっきの桂維の表情を思い出し笑いが溢れる。いつもポーカーフェイスでのらりくらり生きている桂維の戸惑う顔を見れて、俺は優越感に浸っていた。
璃都:それにしても、あいつあんな表情するんだなぁ…。桂維は俺が思っていた以上に“可愛い女”なのかもしれない。そう思ったと同時に、俺は桂維に対して興味、そして愛しさを感じた。
璃都:これが恋愛感情なのかは分からないが、あいつの顔を見て「直接唇を貰いたい」と思ったのも本心で、俺の中のあいつの優先順位が確実に上位にいることも確かとなっていた。
0:(1週間後、桂維のマンションにて)
桂維:全然筆進まない……。
0:
桂維:(M)1週間前、いつもの喫煙所で璃都が言った言葉が頭の中をグルグルして筆が進まないし、あの狭い喫煙所にも行けてない。
0:
桂維:気分転換に散歩でもするかなぁ…
0:(街中にて)
桂維:(M) こんな気持ちになったのは初めてで、気持ちが悪い。が、嫌な気分という訳でもない。喫煙所には行かなかったが、私は変わらず璃都と同じ銘柄の煙草を吸っていた。喫煙所の近くを通る度、鼓動が少しだけ早くなる。
桂維:とりあえず気分転換がてらネタ探ししなきゃ。
桂維:公園、古びた家、商店街、街頭、目に入る情報で頭の中に物語を作っていく。
桂維:小学生、夫婦、女子高生、背が高い……男。
桂維:私が璃都を見つけたとき、ちょうど璃都と目が合った。
璃都:お、久しぶりだな。
桂維:おー。久しぶりー。んじゃ…
璃都:桂維、久しぶりに煙草、付き合えよ(桂維の肩に腕を回しながら)
桂維:あー、えっと、おっけぇ
0:
桂維:(M)私は何故か断れずに返事をしてしまった。
0:(狭い喫煙所にて)
桂維:(M) 未だに気まづいままではあるが、30cm程の身長差のおかげで、何とか顔は見ずに済んでいる。
璃都:あー、桂維、煙草1本貰える?
桂維:あ、えと、お、おう。
璃都:さんきゅ。
璃都:……あぁ、煙草変えてないんだ。(口で煙草を受け取りながら)
桂維:……まぁ、理由もないし(自分の煙草に火をつける)スゥッ………ふー。
璃都:…ん。火、貰える?
桂維:あ、えと……ん。
0:
桂維:(M) 覚えのある流れに戸惑いながら、煙草を璃都に向ける。2回目のシガーキス。また鼓動が早くなる。璃都が煙草を吸うのを横目に見ながら私も煙を吐いた。
0:璃都が桂維にキスをする。
桂維:んっ…
0:吐息と一緒に煙が漏れる。
桂維:(M) 口に璃都の吐いた煙が入ってきて、息が苦しくなる。頭が真っ白になり、一瞬何が起こったのか分からなかった。
璃都:こっち向いて。
0:璃都は1度口を離すと、桂維に目線が合うように屈み、もう一度口付けをした。
璃都:…………ははっ。ばーか
桂維:(M)璃都の言葉に私はだんだんと頭が追いついてきて、思わず後ろへ下がってしまった。
0:
桂維:痛っ…
0:
桂維:(M)喫煙所が狭いせいで灰皿にぶつかり、声を出してしまう。
璃都:あっはは。何やってんの。ドジかよw
桂維:あ、う…うるさ…いなぁ。
0:
桂維:(M) 恥ずかしさと戸惑いと知らない感情とでぐちゃぐちゃになり、精一杯の声を絞り出す
璃都:おまw顔赤ぇwwあっははは。おもしれぇー
桂維:…………。
璃都:……はぁ。ほんとおもしれぇなぁ。
璃都:それでさ、お前今恋人居ねぇんだよな?
桂維:いや、あの、ま、いねぇけど……。
璃都:…じゃあさ、次の恋人、俺にすれば?
桂維:………へ?えと、なに言って、いや…え?
桂維:ちょ、少し、あの、待ってて…
0:
桂維:(M) 私は答えることが出来ずに、背中で喫煙所のドアを押し開け外に出る。
0:(喫煙所の外)
桂維:……はぁあああ。。
0:
桂維:(M)なんなんだ。この間からほんとに。馬鹿にしてるのか?馬鹿に………馬鹿に、してる。ほんとに、私で遊んでる。
桂維:気持ちの整理がつかないまま、璃都の意外と整ってる顔や楽しそうに笑う切れ目が脳裏に浮かんで更にぐちゃぐちゃになる。
桂維:恋愛なんて暇潰しだと思ってた私が、1人の人間のことばかり考えてしまうなんてどういうことなのだろう。
桂維:だけど、このままだと負けた気分で悔しい。
桂維:(M)私は、もう一度、夜の冷たい空気を大きく吸い込んだ。
0:(狭い喫煙所内)
璃都:(M)自分で言ってみたものの、1人になると少しだけ恥ずかしさを覚えた。
璃都:だが、相手のことを散々モテないだのなんだの馬鹿にしておいて、その相手にあんな表情をするだなんて、可愛いがすぎる。
璃都:あいつの事だから、さぞ悔しがっていることだろう。
璃都:そろそろ、戻ってくるかな、と思いながら、俺は煙草の火を消した。
0:璃都が火を消しているタイミングで、桂維が喫煙所の扉を開ける。
桂維:璃都、いいよ。付き合おうよ。私と。
0:
桂維:(M) 自分の知らない気持ち全部含めて小説のネタにしてやろうと言う気持ちで私は璃都に言った。
璃都:…ははっ。うん。
璃都:なぁ、煙草、1本貰える?
0:名前以外知らない彼は口角を上げて笑うと、彼女の頭に手を乗せながら言った。
喫煙所《二人用》
0:(狭い喫煙所にて)
桂維:スゥッ………はぁ。(煙草を吸う)
0:
桂維:(M)いつもの狭い喫煙所に1人。自分の吐いた煙を眺めながら、いつも通りぼーっとしていた。
桂維:喫煙所の扉が開き、私より30cm程背の高い男が入ってくる
璃都:おー。おつかれ。
桂維:おう。お疲れぇ(喫煙所の奥に詰めながら)
璃都:この時間に喫煙所いんの珍しいな。
桂維:なかなか筆が乗らなくてさー。息抜き的な?
璃都:あー、お前作家か何かなんだっけ。
桂維:そ。なんかいいネタとかねぇのー?
璃都:知らねぇよ。自分で考えろ
桂維:うえー。冷てえ男。そんなんだからモテねぇんだよ。
璃都:誰がいつモテねぇつったよ。
桂維:え?彼女いんの?お前に?
璃都:恋人がいるのとモテるのは違うだろ。俺はお前と違ってタラシてないんでね。
桂維:はぁ?私がいつタラシたっていうんだよ。
璃都:コロコロコロコロ煙草変えやがって。お前それ、恋人変わる度に煙草変えてんの知ってんだけど。
桂維:あっはは。なんで知ってんだよ。ま、私顔良いし、スタイル良いから好きになっちゃうのも仕方ねぇよなぁ〜
璃都:そーいうとこだよ。ボケ
桂維:口悪〜い!…って、煙草これ最後の1本だったわ
璃都:1本いるか?
桂維:んや。昼飯食いたいし先に失礼するわ。んじゃまたな。
璃都:おう。
0:(その後、桂維のマンション)
桂維:ん〜っ(伸びをする)
0:
桂維:(M)璃都と話すのは暇潰しになるし、何より居心地がいい。昔からの友達感覚でお互い他愛もない会話ばかりしている。
0:桂維のスマホにメッセージが来る
桂維:あーーー。忘れてたぁ(ベッドに倒れ込みながらスマホの画面をもう一度見る)
0:スマホには桂維の恋人からの「もう着いた?」というメッセージが表示されている。
桂維:うーーーん、す・こ・し・お・く・れ・る、、と。よし。急ごーっと
0:
桂維:(M)今付き合っている恋人との約束を思い出し、急ぎめで髪を整えると駅まで駆け足で向かう。
0:
桂維:ごめーーーん!!!遅くなった!
0:
桂維:(M)できるだけ声に感情を込め謝る。待っていた今の恋人はThe.大学生という感じの青年でバイト先の先輩だ。
0:
桂維:んじゃ行こっかー。どこ行くー?
0:(同時刻、狭い喫煙所)
璃都:ふぅ……。
0:
璃都:(M)静かになった喫煙所で、吐いた煙を眺めながらあいつの居た余韻に浸る。
璃都:桂維とか言う女は変な女だ。
璃都:チビで男みたいでガサツで口が悪い。顔もスタイルもいい癖して、女らしくない性格がそれを台無しにする。勿体ない…が、あいつとこの喫煙所で話す時間は心地よく嫌いじゃない。
璃都:気がつけば、お互い名前以外知らないあいつと煙草を吸う時間が俺の楽しみになっていた。
璃都:俺は吸い終わった煙草を灰皿に捨て、午後からの授業へ出るべく大学へ向かった。
0:(街のカラオケ店にて)
桂維:次何歌う〜?カラオケ行くと何故か歌いたかった曲全部飛ぶよな〜!
0:
桂維:(M)私たちは、ショッピングモールをウロウロしたあと、やることも無くいつものカラオケに恋人と来ていた。
桂維:恋人は少し気まづそうにこちらを見る。「あぁ、またか〜」なんて思いながら私は相手が話しやすい雰囲気を作る。
0:
桂維:どうしたんだよ、そんな変な顔して。あぁ、いつもかw…ってのは冗談で、私に言いたいことがあるんでしょ。大体察してるからいいよ。
0:
桂維:(M)すると恋人は聞き慣れた言葉を言った。「思ってたのと違った」「友達に戻ろう」
桂維:私は相手に気を使わせないように笑いながら返す。
0:
桂維: それなー?私も思ってたんだよねw友達の方がいい距離感っていうか!
0:
桂維:(M) 家に帰り、相手に合わせて買っていた煙草をゴミ箱に捨て再び家を出る。徒歩5分のコンビニに行き、天然水とツナマヨのおにぎりを手に取った。
0:(レジ前)
桂維:袋大丈夫でーす。あ、あと…
0:
桂維:(M)レジ前で煙草の方に目をやり、ふと目に付いた煙草を買う。
0:(狭い喫煙所にて)
桂維:おーっす。(喫煙所の扉を開きながら)
璃都:おう。おつかれ
桂維:おつかれおつかれー
璃都:スゥッ……はぁ。(煙草を吸う)
桂維:スゥ………はぁ(煙草を吸う)
璃都:…あら、朝と格好ちげぇけど、どっか行ってたんか?
桂維:今日恋人とデートだったこと忘れててさぁ、あの後慌てて準備して行ったんだよねぇ。
璃都:ははっwお前のことだから急いでないんだろうな。
桂維:おやおや璃都さん。よーくお分かりで?w
璃都:(煙草を灰皿に擦り付けポケットから煙草の箱を取り出す)
璃都:……あ、悪ぃ。煙草、1本貰える?
桂維:んぁ?あぁ……あい(煙草を渡しながら)
璃都:さんきゅ…あれ、煙草変えたんだ。
璃都:……恋人と別れたから?
桂維:えっ?あ…あぁ!せーかいっwよく分かったな?
桂維:というか、珍しいな。お前がそんなこと聞いてくるなんて。
璃都:ははっwそんなこともあるさ。
璃都:……なぁ。知ってる?(桂維の顔を見る)
璃都:これ、俺が吸ってるのと一緒なの(煙草を咥えながら)
璃都:火、貰える?(桂維に顔を近づける)
桂維:え、あ、お、おう(璃都の意外な行動にドキッとしつつ咥えていた煙草を璃都に向ける)
璃都:………ふぅ…ま、本当は火じゃなくて直接その唇貰いたいんだけどね。
桂維:…おう。………………え?
璃都:(煙草を吸う)
桂維:え、今なん……
璃都:んー?
桂維:(M) いや、私の聞き間違いだったかもしれない。だけど、そう言ったようにしか聞こえず、鼓動が早くなり、落ち着かず、煙のせいなのか何なのか息苦しくなる。
0:
桂維:あ、えと、お前、前髪長いから切った方がいいと思う!邪魔だよな
璃都:ははw余計なお世話だ。
桂維:……………。
璃都:(煙草を吸う)
桂維:(M)璃都の言葉にすっかり動揺した私は、その場から逃げるように煙草の火を消すと「んじゃ、また!」と言って喫煙所を後にした。
0:(引き続き、狭い喫煙所)
璃都:…………はぁ……ははw
0:
璃都:(M)煙を吐きながら、さっきの桂維の表情を思い出し笑いが溢れる。いつもポーカーフェイスでのらりくらり生きている桂維の戸惑う顔を見れて、俺は優越感に浸っていた。
璃都:それにしても、あいつあんな表情するんだなぁ…。桂維は俺が思っていた以上に“可愛い女”なのかもしれない。そう思ったと同時に、俺は桂維に対して興味、そして愛しさを感じた。
璃都:これが恋愛感情なのかは分からないが、あいつの顔を見て「直接唇を貰いたい」と思ったのも本心で、俺の中のあいつの優先順位が確実に上位にいることも確かとなっていた。
0:(1週間後、桂維のマンションにて)
桂維:全然筆進まない……。
0:
桂維:(M)1週間前、いつもの喫煙所で璃都が言った言葉が頭の中をグルグルして筆が進まないし、あの狭い喫煙所にも行けてない。
0:
桂維:気分転換に散歩でもするかなぁ…
0:(街中にて)
桂維:(M) こんな気持ちになったのは初めてで、気持ちが悪い。が、嫌な気分という訳でもない。喫煙所には行かなかったが、私は変わらず璃都と同じ銘柄の煙草を吸っていた。喫煙所の近くを通る度、鼓動が少しだけ早くなる。
桂維:とりあえず気分転換がてらネタ探ししなきゃ。
桂維:公園、古びた家、商店街、街頭、目に入る情報で頭の中に物語を作っていく。
桂維:小学生、夫婦、女子高生、背が高い……男。
桂維:私が璃都を見つけたとき、ちょうど璃都と目が合った。
璃都:お、久しぶりだな。
桂維:おー。久しぶりー。んじゃ…
璃都:桂維、久しぶりに煙草、付き合えよ(桂維の肩に腕を回しながら)
桂維:あー、えっと、おっけぇ
0:
桂維:(M)私は何故か断れずに返事をしてしまった。
0:(狭い喫煙所にて)
桂維:(M) 未だに気まづいままではあるが、30cm程の身長差のおかげで、何とか顔は見ずに済んでいる。
璃都:あー、桂維、煙草1本貰える?
桂維:あ、えと、お、おう。
璃都:さんきゅ。
璃都:……あぁ、煙草変えてないんだ。(口で煙草を受け取りながら)
桂維:……まぁ、理由もないし(自分の煙草に火をつける)スゥッ………ふー。
璃都:…ん。火、貰える?
桂維:あ、えと……ん。
0:
桂維:(M) 覚えのある流れに戸惑いながら、煙草を璃都に向ける。2回目のシガーキス。また鼓動が早くなる。璃都が煙草を吸うのを横目に見ながら私も煙を吐いた。
0:璃都が桂維にキスをする。
桂維:んっ…
0:吐息と一緒に煙が漏れる。
桂維:(M) 口に璃都の吐いた煙が入ってきて、息が苦しくなる。頭が真っ白になり、一瞬何が起こったのか分からなかった。
璃都:こっち向いて。
0:璃都は1度口を離すと、桂維に目線が合うように屈み、もう一度口付けをした。
璃都:…………ははっ。ばーか
桂維:(M)璃都の言葉に私はだんだんと頭が追いついてきて、思わず後ろへ下がってしまった。
0:
桂維:痛っ…
0:
桂維:(M)喫煙所が狭いせいで灰皿にぶつかり、声を出してしまう。
璃都:あっはは。何やってんの。ドジかよw
桂維:あ、う…うるさ…いなぁ。
0:
桂維:(M) 恥ずかしさと戸惑いと知らない感情とでぐちゃぐちゃになり、精一杯の声を絞り出す
璃都:おまw顔赤ぇwwあっははは。おもしれぇー
桂維:…………。
璃都:……はぁ。ほんとおもしれぇなぁ。
璃都:それでさ、お前今恋人居ねぇんだよな?
桂維:いや、あの、ま、いねぇけど……。
璃都:…じゃあさ、次の恋人、俺にすれば?
桂維:………へ?えと、なに言って、いや…え?
桂維:ちょ、少し、あの、待ってて…
0:
桂維:(M) 私は答えることが出来ずに、背中で喫煙所のドアを押し開け外に出る。
0:(喫煙所の外)
桂維:……はぁあああ。。
0:
桂維:(M)なんなんだ。この間からほんとに。馬鹿にしてるのか?馬鹿に………馬鹿に、してる。ほんとに、私で遊んでる。
桂維:気持ちの整理がつかないまま、璃都の意外と整ってる顔や楽しそうに笑う切れ目が脳裏に浮かんで更にぐちゃぐちゃになる。
桂維:恋愛なんて暇潰しだと思ってた私が、1人の人間のことばかり考えてしまうなんてどういうことなのだろう。
桂維:だけど、このままだと負けた気分で悔しい。
桂維:(M)私は、もう一度、夜の冷たい空気を大きく吸い込んだ。
0:(狭い喫煙所内)
璃都:(M)自分で言ってみたものの、1人になると少しだけ恥ずかしさを覚えた。
璃都:だが、相手のことを散々モテないだのなんだの馬鹿にしておいて、その相手にあんな表情をするだなんて、可愛いがすぎる。
璃都:あいつの事だから、さぞ悔しがっていることだろう。
璃都:そろそろ、戻ってくるかな、と思いながら、俺は煙草の火を消した。
0:璃都が火を消しているタイミングで、桂維が喫煙所の扉を開ける。
桂維:璃都、いいよ。付き合おうよ。私と。
0:
桂維:(M) 自分の知らない気持ち全部含めて小説のネタにしてやろうと言う気持ちで私は璃都に言った。
璃都:…ははっ。うん。
璃都:なぁ、煙草、1本貰える?
0:名前以外知らない彼は口角を上げて笑うと、彼女の頭に手を乗せながら言った。