台本概要

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タイトル 忘れられない人がいます。
作者名 すばら  (@kou0204hei)
ジャンル その他
演者人数 4人用台本(男2、女2) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 恐らく、悲愴ドラマに仕上がってると思います。シリアス強めなので、苦手な方はご注意下さい。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
希空 40 希空《のあ》熱いバンドが好き。
華恋 16 華恋《かこ》のあの妹。優しい音楽が好き。
17 情に熱い。やや、ぶっきらぼう。
19 厳しくも優しい、厳格な母。
葬儀屋 不問 3 華恋と兼ね役。
ドクター 不問 3 希空と兼ね役。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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忘れられない人がいます。 0:幼少期の希空。 希空:「お母さんどこいったの?いない?」 父:「今病院にいて、もう何日かで帰ってくるから。」 希空:「え?どこか悪いの?」 父:「母さんはな、希空。新しい家族を迎えに行ってるんだ。その為、しばらくは病院から帰れない。」 希空:「新しい家族?」 希空《M》:親父が似合わないエプロンをしながら俺をなだめている。その時、親父が言ってた病院ってのが妹を産む為に入院してた産婦人科だった。 0:生命の息吹。 希空:「お父さん、おはよ。」 父:「おはよう!希空。さっき病院から連絡があって、母さんが帰ってくるって。 希空:「本当に?」 希空《M》:お母さんの退院と同時に一人家族が増えた。それが妹だった。 母:「ただいまー。」 父:「お帰り!君が抱えてる、その子が新しい家族かい?」 母:「ええ、希空の妹よ。」 希空:「いもうと…!」 父:「希空、良かったな。今日から、この子のお兄ちゃんだぞ。」 希空:「うん!」 父:「母さん、もう名前は決まっているのかい?」 母:「将来、華やかな人生を送って欲しいと言う意味を込めて、華恋(かこ)」 父:「おお、素敵な名前じゃないか。」 希空:「華恋♪」 華恋:「…」 希空《M》:それから、妹の華恋はグングンと成長を遂げ、気付けば妹は中1、俺は高1。当時、好んでいた激しめのロックバンドを音量MAXで聴いていたら、妹と軽い口論になった。 華恋:「お兄ちゃん、うるさい!何その気持ち悪い音楽!」 希空:「いや、お前の聴いてるその優しそうな音楽、そっちの方がよっぽど気持ち悪いわ!」 0:暫く、歪み合う二人。 華恋:「はぁ?!どこがよ!お兄ちゃんの聴いてるやつ、やたらと重低音が響いてて喧しいし!たまにゾンビみたいな呻き声になったりして引くんだけど!」 希空:「あ?お前、もう一度言ってみろよ!…うりゃあーー!!」 華恋:「え!?……ぐはっ!」 希空:「あ、、、…」 華恋:「うわぁあぁん!!お母さんーー!!」 希空《M》:威嚇したつもりで放った回し蹴りが、タイミング悪く身を乗り出してきた妹の顎に踵が当たってしまった。予想だにしない感触に戸惑って俺はすぐに妹に謝ろうと思っていたけど、そうこうしてる内に、もの凄い勢いで泣き出してしまった。すかさず、台所から母親も飛んできて…。 母:「ちょっと、何事?!華恋、どうしたの?何で泣いてるのよ!?」 希空:「母さん、これには…」 華恋:「うわぁぁぁん!お兄ちゃんに蹴られた…。」 母:「希空!あんた、何してるのよ!大怪我でもしたらどう責任取るつもり?」 希空:「…っ!」 母:「答えなさい!希空!何で蹴ったの?」 希空:「はぁ?被害者づらしてんなよ!こいつが、華恋が悪いんだよ!俺の聴いてる音楽を馬鹿にして来たから、威嚇してやろうと思って蹴るフリしたら…事故で顎に当たってしまったんだよ!」 母:「は?あんたが悪いじゃない!」 華恋:「…痛かったんだからね!慰謝料でも請求しようかな!」 希空:「あ?何でだよ?…うぜぇな!!」 希空《M》:多感な時期だったせいか、謝る気がスッカリ失せてしまい、余計にカッとなり引くに引けなくなってしまう。そのまま自分を正当化するべく妹と母親を責め立てながら母親と口論は日没まで続いた。 0:崩れていく兄妹関係。 希空:「華恋ー!コンビニでお前の好きなレアチーズケーキ買ってきたんだけど、食べる?」 華恋:「要らない!てか、気安く話し掛けて来ないで。」 希空:「あっそ!…何なんだよ!!」 希空《M》:その一件以来、兄妹関係に亀裂が入り、必要最低限以外、ほとんど口を聞かなくなってしまった。お互い思春期っていうのもあったんだろうけど、何か意思を伝えるにもお互い親を通すようになったりと一年半ぐらいは全く、言葉を交わさなかった。 希空《M》:その後、次第にちょっとずつ会話が出来るようになってきたけど、仲睦まじかった以前のようには戻らなかった。喋らなくなった一年半でお互いに成長してしまった部分があるからだと思う。そのブランクがあるからこそ、少し距離を感じるようになってしまったのだろう。 0:時間が忘れさせてくれる。 希空《M》:やがて俺は一身上の都合で上京し、さらに話す機会は減ったけど、地元に帰った時に初めて飲みに行った。不意に携帯に目をやると、妹から一通のメールが届く。 希空:「華恋からメール?珍しい事もあるもんだな。…どれどれ…」 華恋:「お兄ちゃん、久しぶり。地元にまだいるなら、お父さんの行きつけのbarで飲まない?」 希空:「分かった、仲間を引き連れて向かうわ!」 0: barに着く。 華恋:「お兄ちゃん、こっちこっち!」 希空:「華恋、久しぶりだな!元気してたか?」 華恋:「うん、まぁまぁかな?お兄ちゃんは?」 希空:「ああ、元気溌剌だよ。」 華恋:「何それ?ふふふ♪」 希空《M》:幼少の感覚とは全く違うけど、その時に初めてお互い大人になった“兄妹”として普通に話せた気がするかな。 0:神様は意地悪。 母:「希空…華恋が……華恋が…」 希空:「か、母さん?」 希空:「華恋がどうしたんだよ??おい、泣いてちゃ、分からないだろ!」 母:「死んだ…」 父:「希空、すまんな。お前には言って無かった事がある。」 希空:「父さんまで、なんだよ…?」 希空:「取り敢えず、家戻るから!華恋が死んだなんて俺は信じない!」 母:「ぅうぅぅ…!」 父:「くっ…!」 希空《M》:母からの電話で、俺は後悔だけが浮き彫りになる…突然過ぎる悲しい報せ。それは、妹が亡くなった…。 0:翌日、希空は実家にいた。 希空:「ただいま!」 母:「希空…ごめんなさい。」 父:「希空、華恋に元気な顔を見せてあげなさい。」 希空:「元気な顔を見せる?ほら、やっぱり死んだなんて嘘なんだろ? 母:「ごめんなさい…」 0:部屋に入る。 希空:「華恋ー!帰ったぞー!」 華恋:「…」 0:死に顔に化粧を施された華恋を見て。 希空:「か、華恋?嘘だろ……なぁ、目を開けろよ!昔みたいに俺の聴いてる音楽馬鹿にしてこいよ…!」 葬儀屋:「希空さんですね。妹さんのお顔、とっても綺麗でしょう?」 葬儀屋:「もっと近くで見てあげて下さい。」 希空:「はい……」 華恋:「…」 希空:「華恋…小さい頃、お前にブスって言った事を覚えてるか?……今更かも知れないけど、訂正したい。……綺麗になったな。」 希空:「くうっ…くっくっ…ううっ …うっうっ あっあっ…!!」 葬儀屋:「希空さん…妹さんは天国で貴方を見守っていますよ。」 希空:「華恋…」 希空《M》:皮肉な話、当時バンド活動をしていたせいか、その瞬間にこの感情をちゃんと曲として残さなきゃと不謹慎ながらも思ってしまった。悩みに悩んでどんな曲にしようか決めた。喧嘩の原因になった音楽の事を思い出した。あの時、俺の聴いてる音楽を馬鹿にされて言い返している情景を思い出し、何度も反芻していた。 希空:「お前の聞いてるその優しそうな音楽、そっちの方がよっぽど気持ち悪いわ!」 希空《M》:落ち着きを徐々に取り戻した後、母と父から改めて話したい事があると言われ、茶の間に戻る。 0:隠された真実。 希空:「話って、華恋の事だろ?」 母:「ええ、あの子…華恋はね、生まれ付き不治の病に冒されていたの。」 父:「その病状は、神経混濁症って言ってな。…過度なストレスを感じると息苦しくなり、色々と合併症を引き起こすんだ。」 希空:「まさか、俺のせいで…」 母:「希空、貴方は悪くないわ…自分を責めないで。」 父:「丁度、お前が上京したある日の事だった…」 希空:「…」 0:華恋の悪化。 華恋:「お兄ちゃん、頑張って…ぐぅぅう!!く、苦しい…!はぁ…はぁ……」 父:「か、華恋!大丈夫か?!しっかりしろ!…母さん!!華恋が!華恋が!」 母:「貴方どうし……か、華恋?!」 華恋:「はぁ…はぁ……お、お兄ちゃ……」 父:「おい、母さん!救急車だ!救急車を呼べっ!」 母:「…っ!」 0:華恋は病院に運ばれる。 ドクター:「驚かないで聞いて下さいね。華恋さんの命は持って一ヶ月です。」 父:「そんなっ!?おい、ふざけるな!貴様、それでも医者か!貴様じゃ、話にならん!院長を呼べ!!」 母:「あなた…」 ドクター:「今すぐに手術をし、延命は出来ますが、成功率は5%です。」 父:「くっ…!」 母:「…」 ドクター:「最善は尽くします。」 希空《M》:当然、手術は失敗。延命には至らなかった。後、一月で消える命を華恋は決して悲観する事無く一生懸命生きていたと父は語った。 希空:「そうか…何で俺に教えてくれなかったんだよ?」 父:「お前に黙ってたのは華恋から、お兄ちゃんに心配掛けたくないから内緒にしてっ!って止められててな。」 母:「健気に生きてるあの子を見てたら、否定出来なかった…。」 希空:「華恋…」 希空《M》:何日か実家に泊まった後、再び元に居た場所へと戻り、今俺が思う一番の「優しい音楽」を書こうと思った。それが当時のバンドで書いた妹に贈る「シスター」1stシングルを世に売り出した。 希空:夢の中で華恋の白いウェディングドレス見せてな。今まで言えなかった言葉…ありがとう、そして……ごめんなさい。

忘れられない人がいます。 0:幼少期の希空。 希空:「お母さんどこいったの?いない?」 父:「今病院にいて、もう何日かで帰ってくるから。」 希空:「え?どこか悪いの?」 父:「母さんはな、希空。新しい家族を迎えに行ってるんだ。その為、しばらくは病院から帰れない。」 希空:「新しい家族?」 希空《M》:親父が似合わないエプロンをしながら俺をなだめている。その時、親父が言ってた病院ってのが妹を産む為に入院してた産婦人科だった。 0:生命の息吹。 希空:「お父さん、おはよ。」 父:「おはよう!希空。さっき病院から連絡があって、母さんが帰ってくるって。 希空:「本当に?」 希空《M》:お母さんの退院と同時に一人家族が増えた。それが妹だった。 母:「ただいまー。」 父:「お帰り!君が抱えてる、その子が新しい家族かい?」 母:「ええ、希空の妹よ。」 希空:「いもうと…!」 父:「希空、良かったな。今日から、この子のお兄ちゃんだぞ。」 希空:「うん!」 父:「母さん、もう名前は決まっているのかい?」 母:「将来、華やかな人生を送って欲しいと言う意味を込めて、華恋(かこ)」 父:「おお、素敵な名前じゃないか。」 希空:「華恋♪」 華恋:「…」 希空《M》:それから、妹の華恋はグングンと成長を遂げ、気付けば妹は中1、俺は高1。当時、好んでいた激しめのロックバンドを音量MAXで聴いていたら、妹と軽い口論になった。 華恋:「お兄ちゃん、うるさい!何その気持ち悪い音楽!」 希空:「いや、お前の聴いてるその優しそうな音楽、そっちの方がよっぽど気持ち悪いわ!」 0:暫く、歪み合う二人。 華恋:「はぁ?!どこがよ!お兄ちゃんの聴いてるやつ、やたらと重低音が響いてて喧しいし!たまにゾンビみたいな呻き声になったりして引くんだけど!」 希空:「あ?お前、もう一度言ってみろよ!…うりゃあーー!!」 華恋:「え!?……ぐはっ!」 希空:「あ、、、…」 華恋:「うわぁあぁん!!お母さんーー!!」 希空《M》:威嚇したつもりで放った回し蹴りが、タイミング悪く身を乗り出してきた妹の顎に踵が当たってしまった。予想だにしない感触に戸惑って俺はすぐに妹に謝ろうと思っていたけど、そうこうしてる内に、もの凄い勢いで泣き出してしまった。すかさず、台所から母親も飛んできて…。 母:「ちょっと、何事?!華恋、どうしたの?何で泣いてるのよ!?」 希空:「母さん、これには…」 華恋:「うわぁぁぁん!お兄ちゃんに蹴られた…。」 母:「希空!あんた、何してるのよ!大怪我でもしたらどう責任取るつもり?」 希空:「…っ!」 母:「答えなさい!希空!何で蹴ったの?」 希空:「はぁ?被害者づらしてんなよ!こいつが、華恋が悪いんだよ!俺の聴いてる音楽を馬鹿にして来たから、威嚇してやろうと思って蹴るフリしたら…事故で顎に当たってしまったんだよ!」 母:「は?あんたが悪いじゃない!」 華恋:「…痛かったんだからね!慰謝料でも請求しようかな!」 希空:「あ?何でだよ?…うぜぇな!!」 希空《M》:多感な時期だったせいか、謝る気がスッカリ失せてしまい、余計にカッとなり引くに引けなくなってしまう。そのまま自分を正当化するべく妹と母親を責め立てながら母親と口論は日没まで続いた。 0:崩れていく兄妹関係。 希空:「華恋ー!コンビニでお前の好きなレアチーズケーキ買ってきたんだけど、食べる?」 華恋:「要らない!てか、気安く話し掛けて来ないで。」 希空:「あっそ!…何なんだよ!!」 希空《M》:その一件以来、兄妹関係に亀裂が入り、必要最低限以外、ほとんど口を聞かなくなってしまった。お互い思春期っていうのもあったんだろうけど、何か意思を伝えるにもお互い親を通すようになったりと一年半ぐらいは全く、言葉を交わさなかった。 希空《M》:その後、次第にちょっとずつ会話が出来るようになってきたけど、仲睦まじかった以前のようには戻らなかった。喋らなくなった一年半でお互いに成長してしまった部分があるからだと思う。そのブランクがあるからこそ、少し距離を感じるようになってしまったのだろう。 0:時間が忘れさせてくれる。 希空《M》:やがて俺は一身上の都合で上京し、さらに話す機会は減ったけど、地元に帰った時に初めて飲みに行った。不意に携帯に目をやると、妹から一通のメールが届く。 希空:「華恋からメール?珍しい事もあるもんだな。…どれどれ…」 華恋:「お兄ちゃん、久しぶり。地元にまだいるなら、お父さんの行きつけのbarで飲まない?」 希空:「分かった、仲間を引き連れて向かうわ!」 0: barに着く。 華恋:「お兄ちゃん、こっちこっち!」 希空:「華恋、久しぶりだな!元気してたか?」 華恋:「うん、まぁまぁかな?お兄ちゃんは?」 希空:「ああ、元気溌剌だよ。」 華恋:「何それ?ふふふ♪」 希空《M》:幼少の感覚とは全く違うけど、その時に初めてお互い大人になった“兄妹”として普通に話せた気がするかな。 0:神様は意地悪。 母:「希空…華恋が……華恋が…」 希空:「か、母さん?」 希空:「華恋がどうしたんだよ??おい、泣いてちゃ、分からないだろ!」 母:「死んだ…」 父:「希空、すまんな。お前には言って無かった事がある。」 希空:「父さんまで、なんだよ…?」 希空:「取り敢えず、家戻るから!華恋が死んだなんて俺は信じない!」 母:「ぅうぅぅ…!」 父:「くっ…!」 希空《M》:母からの電話で、俺は後悔だけが浮き彫りになる…突然過ぎる悲しい報せ。それは、妹が亡くなった…。 0:翌日、希空は実家にいた。 希空:「ただいま!」 母:「希空…ごめんなさい。」 父:「希空、華恋に元気な顔を見せてあげなさい。」 希空:「元気な顔を見せる?ほら、やっぱり死んだなんて嘘なんだろ? 母:「ごめんなさい…」 0:部屋に入る。 希空:「華恋ー!帰ったぞー!」 華恋:「…」 0:死に顔に化粧を施された華恋を見て。 希空:「か、華恋?嘘だろ……なぁ、目を開けろよ!昔みたいに俺の聴いてる音楽馬鹿にしてこいよ…!」 葬儀屋:「希空さんですね。妹さんのお顔、とっても綺麗でしょう?」 葬儀屋:「もっと近くで見てあげて下さい。」 希空:「はい……」 華恋:「…」 希空:「華恋…小さい頃、お前にブスって言った事を覚えてるか?……今更かも知れないけど、訂正したい。……綺麗になったな。」 希空:「くうっ…くっくっ…ううっ …うっうっ あっあっ…!!」 葬儀屋:「希空さん…妹さんは天国で貴方を見守っていますよ。」 希空:「華恋…」 希空《M》:皮肉な話、当時バンド活動をしていたせいか、その瞬間にこの感情をちゃんと曲として残さなきゃと不謹慎ながらも思ってしまった。悩みに悩んでどんな曲にしようか決めた。喧嘩の原因になった音楽の事を思い出した。あの時、俺の聴いてる音楽を馬鹿にされて言い返している情景を思い出し、何度も反芻していた。 希空:「お前の聞いてるその優しそうな音楽、そっちの方がよっぽど気持ち悪いわ!」 希空《M》:落ち着きを徐々に取り戻した後、母と父から改めて話したい事があると言われ、茶の間に戻る。 0:隠された真実。 希空:「話って、華恋の事だろ?」 母:「ええ、あの子…華恋はね、生まれ付き不治の病に冒されていたの。」 父:「その病状は、神経混濁症って言ってな。…過度なストレスを感じると息苦しくなり、色々と合併症を引き起こすんだ。」 希空:「まさか、俺のせいで…」 母:「希空、貴方は悪くないわ…自分を責めないで。」 父:「丁度、お前が上京したある日の事だった…」 希空:「…」 0:華恋の悪化。 華恋:「お兄ちゃん、頑張って…ぐぅぅう!!く、苦しい…!はぁ…はぁ……」 父:「か、華恋!大丈夫か?!しっかりしろ!…母さん!!華恋が!華恋が!」 母:「貴方どうし……か、華恋?!」 華恋:「はぁ…はぁ……お、お兄ちゃ……」 父:「おい、母さん!救急車だ!救急車を呼べっ!」 母:「…っ!」 0:華恋は病院に運ばれる。 ドクター:「驚かないで聞いて下さいね。華恋さんの命は持って一ヶ月です。」 父:「そんなっ!?おい、ふざけるな!貴様、それでも医者か!貴様じゃ、話にならん!院長を呼べ!!」 母:「あなた…」 ドクター:「今すぐに手術をし、延命は出来ますが、成功率は5%です。」 父:「くっ…!」 母:「…」 ドクター:「最善は尽くします。」 希空《M》:当然、手術は失敗。延命には至らなかった。後、一月で消える命を華恋は決して悲観する事無く一生懸命生きていたと父は語った。 希空:「そうか…何で俺に教えてくれなかったんだよ?」 父:「お前に黙ってたのは華恋から、お兄ちゃんに心配掛けたくないから内緒にしてっ!って止められててな。」 母:「健気に生きてるあの子を見てたら、否定出来なかった…。」 希空:「華恋…」 希空《M》:何日か実家に泊まった後、再び元に居た場所へと戻り、今俺が思う一番の「優しい音楽」を書こうと思った。それが当時のバンドで書いた妹に贈る「シスター」1stシングルを世に売り出した。 希空:夢の中で華恋の白いウェディングドレス見せてな。今まで言えなかった言葉…ありがとう、そして……ごめんなさい。