台本概要

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タイトル 【方言台本シリーズ 男性方言Ver】そのままの君でいて-広島県-
作者名 蒼  (@i_souaoi)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 連絡不要ですが、上演前でも上演後でもご連絡いただけたら泣いて喜びます。

【監修者様】

ニンジャ。 様

【方言台本シリーズ 監修者様 募集中】

監修にご協力していただける方を募集集です。
①無償依頼②音信不通にならない③ディスコ交換④自作発言、転載をしない
上記を守っていただける方で、下記にない出身県の方は、作者X(旧Twitter)までご連絡ください。

・監修済み都道府県一覧
東京都、北海道、青森県、山形県、秋田県、大阪府、広島県、香川県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、宮崎県

【注意事項】

方言に関しましては、県の中でも地域が分かれ、方言のニュアンスが変わることも承知しております。
ですがあくまで、ご協力していただいた監修者様の地元のニュアンスです。
そのことは予めご了承してください。
また、この方言台本シリーズには多くの方が関わっております。
監修者様への誹謗中傷は絶対にやめてください。

【禁止事項】

⑴無断転載
⑵台本本文の配布(Mojiban、Writening等の共有サイト貼り付け、コピーを含む)
⑶自作発言
⑷金銭が発生する有料配信、営利目的での無断使用
⑸台本ごとに定めた設定を壊すこと(性別、人数、世界感を含む)
⑹当サイトの台本を使用しての誹謗中傷
⑺著作権侵害

【投げ銭システムのある配信アプリに関して】

換金アイテム(投げ銭機能)がある配信においては、その配信内(※1)での現金還元額が30,000円を超えた場合は、著作権使用料の支払いが発生します。
※1 本編上演枠+劇後感想枠および、本編上演枠を定義とします。後日における、劇後感想枠等での投げ銭については、合計金額に加算は致しません。

⑴小学生、中学生、高校、その他学生の無料公演:無料
⑵アマチュア劇団の公演、学生の有料公演:5,000円
⑶プロの劇団の公演:全チケット収益の1割(収益の1割が5,000円に満たない場合は5,000円)
⑷事務所所属をしている方の配信及び動画投稿:現金還元額の1割(還元額の1割が5,000円に満たない場合は5,000円)

⑵の場合は、公演の2週間前までに
⑶の場合は、公演後2週間以内
⑷の場合は、収益確定日の1週間以内にご連絡、現金還元日1週間以内にお支払いをお願いします。

※「プロ」の定義は、表舞台で活躍している俳優・声優、及び事務所に所属をしている方を指します。

その他ご不明な点等があれば、X(旧Twitter)にてご連絡ください。

ーーー配役表ーーー
※ここだけコピーOKです。
一から配役を打つのは大変かと思いますので、ご使用の配信サービス等にお使いください。

小暮 澪:
高槻 蓮:

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
小暮 92 小暮 澪(こぐれ みお)。洋服デザイナー。東京都出身。
高槻 87 高槻 蓮(たかつき れん)。エンジニア。広島県出身。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
高槻:「小暮……?」 小暮:「……高槻?」  :  小暮:M「大学時代のサークル同窓会。 小暮:私はそこで、当時気になっていた人と再会をした」  :  高槻:「なぁ、二人で抜け出さない?」 小暮:「え?」  :  小暮:M「私にだけしか聞こえないように呟かれた言葉に、ドキッとした。 小暮:頷き返すと、高槻は幹事の一人に声を掛けそのまま二人で同窓会を抜け出した。 小暮:高槻オススメの個室居酒屋で、私達二人だけの同窓会が始まる」  :  0:-個室居酒屋-  :  高槻:「乾杯」 小暮:「乾杯!」  :  0:-グラスのぶつかる音-  :  高槻:「(飲み)はあ、久々のお酒だぁ」 小暮:「(飲み)んー、美味しい。あ、地元の言葉で話してもいいよ」 高槻:「いいのか?」 小暮:「いいよ」 高槻:「そしたら、遠慮なく。標準語、堅苦しかったわあ。」 小暮:「方言抜けたのかと勘違いしちゃった」 高槻:「そんな訳ないじゃろ。職場じゃと困るけえ直したんよ。」 小暮:「伝わらない言葉もあるもんね」 高槻:「そうなんよねえ。やっぱ地元の言葉で話しとる方が落ち着くんよね」 小暮:「そっか」  :  小暮:M「高槻は〇広島県出身。 小暮:当時は何言ってるのか分からなくて苦労したのを覚えてる。 小暮:素直にどういう意味?って聞き返せば、標準語で答えてくれていた。 小暮:地元の言葉が方言だったって気づいた時の高槻の顔、面白かったなぁ」  :  小暮:「にしても、再会できるなんて思わなかった」 高槻:「俺も」 小暮:「二人で抜け出さない?って言われるとも思わなかったよ」 高槻:「そう?」 小暮:「仲良い人いたじゃん。門倉(かどくら)くんとか、山本くんとか……話さなくて良かったの?」 高槻:「門倉と山本は今でも連絡取り合っとるし、別に大学以来久しぶりに会うとかじゃないけえ大丈夫よ」 小暮:「そうなんだ」 高槻:「つい先週、門倉と山本に会っとるしな」 小暮:「ええ!?」 高槻:「ははっ、ええ反応するなぁ」 小暮:「驚くよ」 高槻:「それもそうか。 高槻:小暮の方は最近どんな感じなん?仕事とか」 小暮:「んー、順調、かな?」 高槻:「仕事何しとるん?」 小暮:「デザイナーだよ」 高槻:「デザイナー?もしかして洋服か?」 小暮:「うん」 高槻:「……夢、叶えたんじゃな」 小暮:「覚えててくれたんだ」 高槻:「覚えとるよ。……そっか。夢叶えるなんて凄いのう。どんな服デザインしたん?」 小暮:「メルシアって洋服ブランド知ってる?そこから販売される洋服をデザインしてるよ。 小暮:最近販売された物だと、夏に出たワンピースかな」 高槻:「それって、女優の鹿島めぐるとコラボした服か?」 小暮:「そうだよ。知ってたんだ」 高槻:「知っとるも何も、テレビを見るたびに流れとったからなあ。 高槻:それにネットでも色んなインフルエンサーが評価しとったし、ユーザー人気も凄かったけえ覚えとるよ」 小暮:「そうなんだ。私ネットとかやってないから評判とか分からないんだよね」 高槻:「それに、姉貴もメルシアの服は好きで買っとるしな」 小暮:「え、ほんと?わぁ、嬉しい。お姉さん元気?」 高槻:「手が付けられないくらいに元気よ。早く結婚相手見つけて落ち着いてほしいくらいには」 小暮:「あはは、お姉さんらしい。そっかぁ、お姉さん元気そうで良かった。高槻の方は仕事どうなの?」 高槻:「俺?順調って言えたらええけど、まぁ、程々かな。エンジニアしとるから、納期に追われて大変よお。」 小暮:「エンジニア!?ぇ、かっこいいね」 高槻:「かっこええか?地味な仕事だって俺は思うけどなあ」 小暮:「エンジニアってどんな仕事なの?」 高槻:「エンジニアにも色々あるけどなあ、俺がしとるのはアプリシステムを作る仕事かな」 小暮:「ええ、凄いじゃん高槻!」 高槻:「大袈裟じゃよ。守秘義務が多い仕事じゃけえ、あんまり外では言えんけどなあ」 小暮:「仕方ないよ」 高槻:「終わった仕事で言えるとしたら、先月にリリースした三島屋デパートのポイントアプリあるじゃろ?」 小暮:「ぁ、よく使ってる」 高槻:「あれ作ったの、わし」 小暮:「ええ!」 高槻:「ははっ、ええ顔」 小暮:「本当に凄いよ高槻」 高槻:「ありがとう。こんなに褒められるとは思わんかったわあ」 小暮:「アプリを一から作ってるんでしょ?色んな人に褒められるんじゃないの?」 高槻:「誰かに言うことなんてないし、会社の人間は出きて当たり前って思っとるけえな。 高槻:それに納期とかで追われるけえそんな言葉言われたことないよ。強いて言うならお疲れ様くらいかのう」 小暮:「そっか」 高槻:「小暮が褒めてくれたけえ、今までの苦労や努力が報われたわあ。ありがとう」 小暮:「そんな、私なんて……」 高槻:「……学生の時から変わっとらんよなあ。そうやって自分を謙遜するところ。まぁ、それが小暮のええところなんじゃろうけど」 小暮:「自分じゃ分からないよ」 高槻:「誰かのやってきたこと、努力したところを見つけて褒めてくれるところ」 小暮:「その人が苦労して努力して、成功させてきたんだから普通は褒めない?」 高槻:「普通じゃないわあ。みんな自分のことで精一杯なんよ。他人のそういう部分に目を向けて褒める余裕なんてない。 高槻:学生のころならあったかもしれないけど、ない人が殆どじゃったし……社会人になったらそう考える余裕すらないしなあ」 小暮:「そういうものなんだ」 高槻:「小暮のええところ。もっと自信持ってええよ。わしが保証する」 小暮:「ありがとう。……高槻も、変わってない」 高槻:「ん?」 小暮:「自分じゃ気づかない部分に気づかせてくれるところ」 高槻:「なるほど」 小暮:「大学時代、高槻に助けられた」 高槻:「そうなんか?」 小暮:「私、夢を諦めようって思ってた時があったでしょう?」 高槻:「……あー、あったな?」 小暮:「その時、私の描くデザインが好きって言ってくれたじゃない?」 高槻:「いうとったな。小暮の描くデザイン、わしは好きだよ」 小暮:「その言葉に、救われた。何度も書き直してデザイン画破いてるところも見られたしね!」 高槻:「あったなぁ。諦めたい奴はあんな顔して何回も書き直さんよ。 高槻:"これも違う"、なんて言葉を呟きながらな」 小暮:「そんなこと言ってたんだ」 高槻:「すごい顔しながらな」 小暮:「いやぁ、忘れてぇ」 高槻:「(笑いながら)嫌じゃ。絶対忘れてやらん」 小暮:「もう、最悪」  :  0:-グラスが空になったのに気づく-  :  高槻:「酒、まだ頼む?」 小暮:「んー、もう一杯だけ頼もうかな」 高槻:「なに飲む?」 小暮:「レモンサワー」 高槻:「つまみは?」 小暮:「んー、焼き鳥がいいなぁ」 高槻:「もも?」 小暮:「あー、焼き鳥セット」 高槻:「これか。分かった。すいませーん」  :  0:-店員を呼ぶ-  :  高槻:「レモンサワーと、ビールを一つずつ。 高槻:あと、この焼き鳥セットを二つお願いします」  :  0:-注文を受けた店員が戻る-  :  小暮:「学生の頃の話ついでに言うけどさぁ。高槻に隠してたことあるんだよね」 高槻:「ん?なんじゃ?」 小暮:「高槻のこと、気になってた」 高槻:「……」 小暮:「いきなり言われて驚くよね!ごめんね!」 高槻:「いや……」 小暮:「もう六年も経ってるし時効かなって!」 高槻:「……今は?」 小暮:「え?」 高槻:「今は、もう気になっとらんの?」 小暮:「えっと……」  :  0:-店員がメニューを持ってくる-  :  小暮:「(必死に話の流れを切ろうとする)ぁ、ほら!お酒と料理来たよ!冷めないうちに食べちゃおうよ! 小暮:ここのお店いいね!和風の個室居酒屋なんて初めて来たよ!お料理も美味しいし、店員さんもみんな優しくて居心地いいね!」 高槻:「(小暮のセリフを遮って言っても構いません)俺も、気になっとたよ」 小暮:「……え」 高槻:「小暮のこと。学生の時から、ずっと」 小暮:「……」 高槻:「今日の同窓会も、小暮がいるかなって思って来たんよ。 高槻:他の同級生なんてどうでもよかった。ただ、小暮に会いたかっただけじゃけえ」 小暮:「……うん」 高槻:「会えなかったら諦めようって思っとった。でも、会えた。 高槻:会ったら、告白しようって決めとったんよ。だから抜け出そうって誘った」 小暮:「……」 高槻:「下心、あったよ?俺」 小暮:「そ、れは……」 高槻:「小暮さ、今って彼氏おる?」 小暮:「……いない」 高槻:「好きな奴は?」 小暮:「……いない」 高槻:「じゃあ……」 小暮:「いない、けど……好きだった人は、いるよ」 高槻:「……誰?」 小暮:「……私の夢を、応援してくれた人」 高槻:「そいつのこと、今は好きじゃないん?」 小暮:「……好き、かもしれない」 高槻:「(軽く笑う)なんじゃそりゃ。かもしれないって」 小暮:「(恥ずかしがる)好き、だよ」 高槻:「(嬉しそうに)そっか」 小暮:「高槻のことが、学生の時から好きだった」 高槻:「うん。俺も好きじゃった」 小暮:「今も、高槻のことが好き。彼女がいないなら、付き合ってほしい」 高槻:「喜んで」 小暮:「(泣きそうになる)夢みたい」 高槻:「なぁ、名前、呼んでいい?」 小暮:「?うん、いいよ」 高槻:「澪」 小暮:「そ、そっち?待って、恥ずかしい。顔熱い。見ないで。てか名前覚えてたの!?ずるい。なにそれ」 高槻:「好きな奴のフルネームくらい覚えるよ。俺の名前は?呼んでくれんの?」 小暮:「……蓮」 高槻:「覚えとるんかい」 小暮:「うぅ、待って。本当に恥ずかしい。身体熱いんだけど、もう」 高槻:「可愛い。あー、やばい。今すぐ抱きしめたい。ええ?」 小暮:「……いい、よ?」  :  0:-立ち上がり、木暮の隣に移動する-  :  高槻:「(抱きしめる)はは、ホンマじゃ。身体熱いのう」 小暮:「高槻のせいだぁ」 高槻:「そうじゃね。俺のせいじゃな。はぁ、可愛い。澪、好き。大好きじゃ」 小暮:「ちょっ、耳元で言わないでよ」 高槻:「澪」 小暮:「(名前を呼ばれ、顔を上げる)ん。なに?」 高槻:「(キスをする)」 小暮:「んっ……ま、待って高槻!ここ居酒屋!店!」 高槻:「個室じゃけえ、注文せん限り誰も来んよ」 小暮:「恥ずかしいからここじゃやだ!ダメ!無理!」 高槻:「ここじゃなかったらええんじゃ?」 小暮:「そ、そういう意味じゃ!」 高槻:「俺の家、こん?」 小暮:「た、高槻の家?」 高槻:「そう。俺の家」 小暮:「(恥ずかしがる)ぇ、あ、うぅ」 高槻:「嫌じゃなかったらじゃけど」 小暮:「……行きたい、です」 高槻:「(笑う)なして敬語なんよ」 小暮:「だ、だってぇ!」 高槻:「はぁ、ホンマ、可愛えなぁ」 小暮:「うぅ、せっかく会えたんだから、もうちょっと一緒にいたい」 高槻:「うん。俺も、一緒にいたい。 高槻:でも今は、もう少しだけこのままで……(キスをする)」 小暮:「んっ……」  :  小暮:M「ガヤガヤする店内の音を遠くに聞きながら、お互いの唇から漏れる吐息と声だけを聞いていた。 小暮:お酒のせいなのか分からないけど、お互いの身体の熱を感じながら抱き合う。 小暮:六年分の想いを分かち合うように、求め合うように……。 小暮:ただただ今はこのままで、そのままで……」  :  高槻:「好きじゃよ」  :  小暮:M「あぁ。昔のまま。今のまま……そのままの君でいて」  :  0:-幕-

高槻:「小暮……?」 小暮:「……高槻?」  :  小暮:M「大学時代のサークル同窓会。 小暮:私はそこで、当時気になっていた人と再会をした」  :  高槻:「なぁ、二人で抜け出さない?」 小暮:「え?」  :  小暮:M「私にだけしか聞こえないように呟かれた言葉に、ドキッとした。 小暮:頷き返すと、高槻は幹事の一人に声を掛けそのまま二人で同窓会を抜け出した。 小暮:高槻オススメの個室居酒屋で、私達二人だけの同窓会が始まる」  :  0:-個室居酒屋-  :  高槻:「乾杯」 小暮:「乾杯!」  :  0:-グラスのぶつかる音-  :  高槻:「(飲み)はあ、久々のお酒だぁ」 小暮:「(飲み)んー、美味しい。あ、地元の言葉で話してもいいよ」 高槻:「いいのか?」 小暮:「いいよ」 高槻:「そしたら、遠慮なく。標準語、堅苦しかったわあ。」 小暮:「方言抜けたのかと勘違いしちゃった」 高槻:「そんな訳ないじゃろ。職場じゃと困るけえ直したんよ。」 小暮:「伝わらない言葉もあるもんね」 高槻:「そうなんよねえ。やっぱ地元の言葉で話しとる方が落ち着くんよね」 小暮:「そっか」  :  小暮:M「高槻は〇広島県出身。 小暮:当時は何言ってるのか分からなくて苦労したのを覚えてる。 小暮:素直にどういう意味?って聞き返せば、標準語で答えてくれていた。 小暮:地元の言葉が方言だったって気づいた時の高槻の顔、面白かったなぁ」  :  小暮:「にしても、再会できるなんて思わなかった」 高槻:「俺も」 小暮:「二人で抜け出さない?って言われるとも思わなかったよ」 高槻:「そう?」 小暮:「仲良い人いたじゃん。門倉(かどくら)くんとか、山本くんとか……話さなくて良かったの?」 高槻:「門倉と山本は今でも連絡取り合っとるし、別に大学以来久しぶりに会うとかじゃないけえ大丈夫よ」 小暮:「そうなんだ」 高槻:「つい先週、門倉と山本に会っとるしな」 小暮:「ええ!?」 高槻:「ははっ、ええ反応するなぁ」 小暮:「驚くよ」 高槻:「それもそうか。 高槻:小暮の方は最近どんな感じなん?仕事とか」 小暮:「んー、順調、かな?」 高槻:「仕事何しとるん?」 小暮:「デザイナーだよ」 高槻:「デザイナー?もしかして洋服か?」 小暮:「うん」 高槻:「……夢、叶えたんじゃな」 小暮:「覚えててくれたんだ」 高槻:「覚えとるよ。……そっか。夢叶えるなんて凄いのう。どんな服デザインしたん?」 小暮:「メルシアって洋服ブランド知ってる?そこから販売される洋服をデザインしてるよ。 小暮:最近販売された物だと、夏に出たワンピースかな」 高槻:「それって、女優の鹿島めぐるとコラボした服か?」 小暮:「そうだよ。知ってたんだ」 高槻:「知っとるも何も、テレビを見るたびに流れとったからなあ。 高槻:それにネットでも色んなインフルエンサーが評価しとったし、ユーザー人気も凄かったけえ覚えとるよ」 小暮:「そうなんだ。私ネットとかやってないから評判とか分からないんだよね」 高槻:「それに、姉貴もメルシアの服は好きで買っとるしな」 小暮:「え、ほんと?わぁ、嬉しい。お姉さん元気?」 高槻:「手が付けられないくらいに元気よ。早く結婚相手見つけて落ち着いてほしいくらいには」 小暮:「あはは、お姉さんらしい。そっかぁ、お姉さん元気そうで良かった。高槻の方は仕事どうなの?」 高槻:「俺?順調って言えたらええけど、まぁ、程々かな。エンジニアしとるから、納期に追われて大変よお。」 小暮:「エンジニア!?ぇ、かっこいいね」 高槻:「かっこええか?地味な仕事だって俺は思うけどなあ」 小暮:「エンジニアってどんな仕事なの?」 高槻:「エンジニアにも色々あるけどなあ、俺がしとるのはアプリシステムを作る仕事かな」 小暮:「ええ、凄いじゃん高槻!」 高槻:「大袈裟じゃよ。守秘義務が多い仕事じゃけえ、あんまり外では言えんけどなあ」 小暮:「仕方ないよ」 高槻:「終わった仕事で言えるとしたら、先月にリリースした三島屋デパートのポイントアプリあるじゃろ?」 小暮:「ぁ、よく使ってる」 高槻:「あれ作ったの、わし」 小暮:「ええ!」 高槻:「ははっ、ええ顔」 小暮:「本当に凄いよ高槻」 高槻:「ありがとう。こんなに褒められるとは思わんかったわあ」 小暮:「アプリを一から作ってるんでしょ?色んな人に褒められるんじゃないの?」 高槻:「誰かに言うことなんてないし、会社の人間は出きて当たり前って思っとるけえな。 高槻:それに納期とかで追われるけえそんな言葉言われたことないよ。強いて言うならお疲れ様くらいかのう」 小暮:「そっか」 高槻:「小暮が褒めてくれたけえ、今までの苦労や努力が報われたわあ。ありがとう」 小暮:「そんな、私なんて……」 高槻:「……学生の時から変わっとらんよなあ。そうやって自分を謙遜するところ。まぁ、それが小暮のええところなんじゃろうけど」 小暮:「自分じゃ分からないよ」 高槻:「誰かのやってきたこと、努力したところを見つけて褒めてくれるところ」 小暮:「その人が苦労して努力して、成功させてきたんだから普通は褒めない?」 高槻:「普通じゃないわあ。みんな自分のことで精一杯なんよ。他人のそういう部分に目を向けて褒める余裕なんてない。 高槻:学生のころならあったかもしれないけど、ない人が殆どじゃったし……社会人になったらそう考える余裕すらないしなあ」 小暮:「そういうものなんだ」 高槻:「小暮のええところ。もっと自信持ってええよ。わしが保証する」 小暮:「ありがとう。……高槻も、変わってない」 高槻:「ん?」 小暮:「自分じゃ気づかない部分に気づかせてくれるところ」 高槻:「なるほど」 小暮:「大学時代、高槻に助けられた」 高槻:「そうなんか?」 小暮:「私、夢を諦めようって思ってた時があったでしょう?」 高槻:「……あー、あったな?」 小暮:「その時、私の描くデザインが好きって言ってくれたじゃない?」 高槻:「いうとったな。小暮の描くデザイン、わしは好きだよ」 小暮:「その言葉に、救われた。何度も書き直してデザイン画破いてるところも見られたしね!」 高槻:「あったなぁ。諦めたい奴はあんな顔して何回も書き直さんよ。 高槻:"これも違う"、なんて言葉を呟きながらな」 小暮:「そんなこと言ってたんだ」 高槻:「すごい顔しながらな」 小暮:「いやぁ、忘れてぇ」 高槻:「(笑いながら)嫌じゃ。絶対忘れてやらん」 小暮:「もう、最悪」  :  0:-グラスが空になったのに気づく-  :  高槻:「酒、まだ頼む?」 小暮:「んー、もう一杯だけ頼もうかな」 高槻:「なに飲む?」 小暮:「レモンサワー」 高槻:「つまみは?」 小暮:「んー、焼き鳥がいいなぁ」 高槻:「もも?」 小暮:「あー、焼き鳥セット」 高槻:「これか。分かった。すいませーん」  :  0:-店員を呼ぶ-  :  高槻:「レモンサワーと、ビールを一つずつ。 高槻:あと、この焼き鳥セットを二つお願いします」  :  0:-注文を受けた店員が戻る-  :  小暮:「学生の頃の話ついでに言うけどさぁ。高槻に隠してたことあるんだよね」 高槻:「ん?なんじゃ?」 小暮:「高槻のこと、気になってた」 高槻:「……」 小暮:「いきなり言われて驚くよね!ごめんね!」 高槻:「いや……」 小暮:「もう六年も経ってるし時効かなって!」 高槻:「……今は?」 小暮:「え?」 高槻:「今は、もう気になっとらんの?」 小暮:「えっと……」  :  0:-店員がメニューを持ってくる-  :  小暮:「(必死に話の流れを切ろうとする)ぁ、ほら!お酒と料理来たよ!冷めないうちに食べちゃおうよ! 小暮:ここのお店いいね!和風の個室居酒屋なんて初めて来たよ!お料理も美味しいし、店員さんもみんな優しくて居心地いいね!」 高槻:「(小暮のセリフを遮って言っても構いません)俺も、気になっとたよ」 小暮:「……え」 高槻:「小暮のこと。学生の時から、ずっと」 小暮:「……」 高槻:「今日の同窓会も、小暮がいるかなって思って来たんよ。 高槻:他の同級生なんてどうでもよかった。ただ、小暮に会いたかっただけじゃけえ」 小暮:「……うん」 高槻:「会えなかったら諦めようって思っとった。でも、会えた。 高槻:会ったら、告白しようって決めとったんよ。だから抜け出そうって誘った」 小暮:「……」 高槻:「下心、あったよ?俺」 小暮:「そ、れは……」 高槻:「小暮さ、今って彼氏おる?」 小暮:「……いない」 高槻:「好きな奴は?」 小暮:「……いない」 高槻:「じゃあ……」 小暮:「いない、けど……好きだった人は、いるよ」 高槻:「……誰?」 小暮:「……私の夢を、応援してくれた人」 高槻:「そいつのこと、今は好きじゃないん?」 小暮:「……好き、かもしれない」 高槻:「(軽く笑う)なんじゃそりゃ。かもしれないって」 小暮:「(恥ずかしがる)好き、だよ」 高槻:「(嬉しそうに)そっか」 小暮:「高槻のことが、学生の時から好きだった」 高槻:「うん。俺も好きじゃった」 小暮:「今も、高槻のことが好き。彼女がいないなら、付き合ってほしい」 高槻:「喜んで」 小暮:「(泣きそうになる)夢みたい」 高槻:「なぁ、名前、呼んでいい?」 小暮:「?うん、いいよ」 高槻:「澪」 小暮:「そ、そっち?待って、恥ずかしい。顔熱い。見ないで。てか名前覚えてたの!?ずるい。なにそれ」 高槻:「好きな奴のフルネームくらい覚えるよ。俺の名前は?呼んでくれんの?」 小暮:「……蓮」 高槻:「覚えとるんかい」 小暮:「うぅ、待って。本当に恥ずかしい。身体熱いんだけど、もう」 高槻:「可愛い。あー、やばい。今すぐ抱きしめたい。ええ?」 小暮:「……いい、よ?」  :  0:-立ち上がり、木暮の隣に移動する-  :  高槻:「(抱きしめる)はは、ホンマじゃ。身体熱いのう」 小暮:「高槻のせいだぁ」 高槻:「そうじゃね。俺のせいじゃな。はぁ、可愛い。澪、好き。大好きじゃ」 小暮:「ちょっ、耳元で言わないでよ」 高槻:「澪」 小暮:「(名前を呼ばれ、顔を上げる)ん。なに?」 高槻:「(キスをする)」 小暮:「んっ……ま、待って高槻!ここ居酒屋!店!」 高槻:「個室じゃけえ、注文せん限り誰も来んよ」 小暮:「恥ずかしいからここじゃやだ!ダメ!無理!」 高槻:「ここじゃなかったらええんじゃ?」 小暮:「そ、そういう意味じゃ!」 高槻:「俺の家、こん?」 小暮:「た、高槻の家?」 高槻:「そう。俺の家」 小暮:「(恥ずかしがる)ぇ、あ、うぅ」 高槻:「嫌じゃなかったらじゃけど」 小暮:「……行きたい、です」 高槻:「(笑う)なして敬語なんよ」 小暮:「だ、だってぇ!」 高槻:「はぁ、ホンマ、可愛えなぁ」 小暮:「うぅ、せっかく会えたんだから、もうちょっと一緒にいたい」 高槻:「うん。俺も、一緒にいたい。 高槻:でも今は、もう少しだけこのままで……(キスをする)」 小暮:「んっ……」  :  小暮:M「ガヤガヤする店内の音を遠くに聞きながら、お互いの唇から漏れる吐息と声だけを聞いていた。 小暮:お酒のせいなのか分からないけど、お互いの身体の熱を感じながら抱き合う。 小暮:六年分の想いを分かち合うように、求め合うように……。 小暮:ただただ今はこのままで、そのままで……」  :  高槻:「好きじゃよ」  :  小暮:M「あぁ。昔のまま。今のまま……そのままの君でいて」  :  0:-幕-