台本概要
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タイトル | 【0:1:2】曹丕と甄氏 |
---|---|
作者名 | 新武将@野生の台本師 (@atarasitakemasa) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 3人用台本(女1、不問2) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
曹丕と曹植の一応正統続編です 一応言っときます これファンタジーだから!!!!!!!!!! (多分読みつっかえるであろう)漢字: 子桓(しかん) 子建(しけん) 甄氏(しんし) 袁紹(えんしょう) 袁煕(えんき) 首を刎ねる(はねる) 娶る(めとる) 洛神賦(らくしんふ) 台本使用規定: 特に規定はないですが使用した旨をツイッターなり事後報告なりしてくださると 次へのモチベにつながるし何より作者が喜びます 151 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
丕 | 不問 | 77 | 曹丕 曹操の息子 後の魏の初代皇帝 男 性別不問 無能 |
甄 | 女 | 98 | 甄氏 曹丕の正室 元旦那は袁煕(えんき) 女 女性固定 傾国の美女 |
植 | 不問 | 76 | 曹植 曹操の息子 建安の七子 男 性別不問 イケメン秀才 |
植(ナレ) | 不問 | 6 | ナレ 曹植役の兼役 色分け用 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
植(ナレ):かの暴虐な王、「董卓(とうたく)」が「呂布(りょふ)」の裏切りにより横死して以降、中華は諸侯の思惑が入り交じるいわゆる「群雄割拠」の時代へと突入した
丕:かかれ、かかれー!
植(ナレ):既に後漢王朝の権威はなく、ただ存在するだけの「お飾り」皇帝へと成り果てていた
丕:怯むな!進めー!
植(ナレ):時に西暦二百年・・・北方の雄・公孫瓚を降し、華北一体に一大勢力を築いていた「袁紹」と、中央の内紛に乗じて皇帝を救出し、中原の覇者となった「曹操」との間に戦いが起こった
植(ナレ):いわゆる「官渡の戦い」である
丕:城壁の兵に矢を射かけよ!射てー!
植(ナレ):後の「魏」の礎を築きし「魏武(ぎぶ)」曹操も袁紹の圧倒的な戦力の差に一時は本拠地「許昌(きょしょう)」まで肉薄される事態に陥るも、戦術の差で辛くも勝利を収め、撃退
植(ナレ):その後、袁紹は敗戦の恥を雪がんと戦いが起こるも、勢いを失った袁家はなすすべもなく敗戦、その後袁紹は病没してしまう
植(ナレ):後継者争いによる内紛など、袁家はみるみるうちに弱体化していき、その隙をついた曹操は華北に侵攻、ギョウを攻めていた
丕:城門をこじ開けよ!いけぇ!
0:城門突破を果たす曹丕
丕:ギョウを陥落せん!一番乗りは、この「曹子桓(そうしかん)」よ!
植(ナレ):曹子桓・・・曹操の息子であり、後の「魏」の初代皇帝である曹丕である
丕:さて、ここが本殿か
甄:・・・
丕:・・・
甄:・・・
丕:・・・お前は
甄:・・・私は袁家の女です
甄:さぁ、殺しなさい
甄:私は曹操に屈しはしません
丕:ふむ、気の強い女と見た
甄:どうしたのですか
甄:私は生きて辱めを受けるくらいならば、死を選ぶと言っているのです
甄:さぁ、早く首を刎ねなさい
丕:女よ、私の妻となる気はないか?
甄:は?・・・何を言っているのです
甄:聞こえなかったのですか?
甄:早く我が首を刎ねよと・・・
丕:そなたの美しさ、その気丈さ、私はたいそう気に入った
丕:故にそなたを正室に迎えたいのだ
甄:・・・私は袁紹が息子、袁煕の妻なのです
甄:夫がある身・・・それでいて他家のものの妻になるなど
丕:(被せて)袁煕は逃げたぞ
甄:・・・えっ?
丕:袁煕は逃げたと申しておる
丕:もはやこのギョウに戻っては来ぬ
甄:それは、誠・・・ですか
丕:嘘をついてどうする
丕:それに、あの者に命を賭してギョウを奪還しに来るとも思えぬ
丕:お主は・・・「捨てられた」のだ
甄:・・・ならば、やはり私に思い残すことなどありませぬ
甄:さぁ、一思いに首をお刎ねくださいませ
丕:首は刎ねぬ
甄:ならば・・・!
0:甄氏、自ら剣を取り刃を首に向ける
丕:フンッ!
甄:ああっ!
0:曹丕、甄氏の剣を自分の剣で払い除ける
丕:許さぬ
甄:なぜ、邪魔をするのです
甄:生きて辱めを受けるくらいなら死を選ぶと・・・
丕:受けさせぬ
甄:なぜ、そう言い切れるのです
甄:曹操が何をしたか、あなたは知っているのですか?
丕:知っている
甄:例えば、徐州・・・
丕:知っている
丕:私は、曹操が息子、「曹丕」だ
丕:知らぬ訳がないだろう
甄:・・・曹操の・・・
丕:そうだ、曹操の息子だ
丕:主の息子の正室を凌辱するものがいると思うか?
甄:・・・
丕:私の妻になれ
丕:我が父・曹操の覇道、それは袁紹の如き小物とは規模が違う
丕:そしていずれ掴むだろう
甄:何を・・・
丕:天下
甄:天下・・・
丕:父の創り上げる天下、私がお主に見せてあげようというのだ
丕:ここで死ぬにはもったいないと思うぞ
甄:・・・
丕:さぁ、今一度問おう
甄:・・・
丕:我が妻になれ
甄:・・・
丕:我が妻となり覇道を継ぐ者の隣で天下を見るか
甄:・・・
丕:ここで未来を見ることなく自ら命を散らすか!
丕:どちらか選べ
甄:・・・わかりました
甄:これより、あなた様の妻となります
甄:我が名は甄(しん)と申します
丕:甄氏・・・か
丕:あの「傾国」と名高き美女の・・・
丕:・・・私は曹丕、字は「子桓」と申す
丕:これからよろしく頼む
甄:はい・・・子桓様
植(ナレ):一節には、「ギョウに一番乗りした曹丕が甄氏に一目惚れし、妻に娶った」とある───
0:回想終わり
丕:──というわけだ
植:ふむふむ、それが兄上と義姉上の出会いだったと
丕:まぁ、そうなるわけだな
植:しかし、一つ気になる点がございます
丕:ン?なんだ、言ってみろ
植:ええと、義姉上の元旦那のことについてですが・・・
丕:袁煕か?袁煕がどうしたというのだ
植:ギョウを落としたときにはまだ生きてるわけですよね
丕:そうだな・・・確か烏桓(うがん)に逃げ込んだと父上が言っていたな
植:あああああああああ!
丕:ど、どうしたのだ・・・いきなり奇声を上げて・・・
植:唐突なNTR(寝取られ)により脳が破壊されました
丕:お、おう・・・そうか・・・純愛過激派も難儀だな・・・
植:NTRは悪!きのこよりたけのこ!のぞみを静岡に止めろ!
丕:なんかこれ変な電波受信してるな、どうしよう・・・
丕:あ、なんかよくわからんが空から本が落ちてきた・・・これを与えてみるか・・・
丕:ええと、「洛神賦」・・・?
植:純愛により脳が回復しました
丕:なんでだよ
植:兄上!見損ないましたぞ!よりにもよって寝取りとは!
植:人の風上にも置けませんな!
植:これは義姉上を兄上の毒牙から守らねばなりませぬな
植:ということで義姉上をわたしにくださぐへおァ!!!?
丕:お前のそれも寝取りだろうが!
植:私はいいのです!私のは正義・・・いや、これは寝取りではなく純愛だから許されるのです!
丕:自分に都合のいい解釈してるだけじゃねーか、恥を知れ
植:兄上こそ恥を知りなさい、恥を
植:この無能が
丕:おオン?なんか言ったか?
植:無能のくせに手だけは早いって言ったんだよ!
丕:お前にゃ言われたくねーよ!
植:私は無能じゃありませんー
植:政務も軍務もちゃんとこなしてますぅー
植:負け越し無能の兄上と一緒にしないでくだされぇー
丕:ぐぬぬ、言わせておけば・・・!
植:ほらほら、そう言うところですぞ、兄上!
植:もっと冷静になりなされ!
丕:もう我慢ならん!そこに直れ!たたっ斬ってやる!
植:やーいやーい、兄上のへっぽこ!そんななまくら刃でこの私が斬れますかな!?
丕:貴様ァ!
甄:おやおや、だいぶ賑やかだと思ってきてみれば、子建がいらしてたのですか
植:あ、義姉上!お邪魔しております!
甄:子桓さまもなかなか楽しそうで良きですね
丕:がるるるる!
甄:少し待っていてください、お茶持ってきますから
植:ありがとうございます、義姉上!
丕:ふしゅるるるるる!
0:数分後
甄:さて、お茶の用意ができましたよ・・・ってあれ?その顔、どうしたのですか子建
植:前が見えねェ
丕:・・・
甄:・・・?ところでお二人とも、先程は何の話をされていたのですか?
丕:ああ、私と甄の馴れ初め・・・みたいなものだ
甄:ああ!あの時の話ですね!
甄:あのときは痺れました
0:回想
丕:さぁ、お嬢さん、私の後ろに乗って
甄:はい・・・
丕:私はあなたのような美しい人にだったのは初めてだ
甄:そんなこと
丕:私はあなたに一目惚れしてしまった
甄:そんな・・・私困りますぅ~
丕:私と一緒に未来を見てくれないだろうか
甄:でも、でもぉ~
丕:誓いの口づけだ、ぶちゅ~
0:回想終わり
甄:白馬に乗ってさっそうと現れた私の王子様は誓いのキスをして、キャー!はずかち!
丕:ん?なんだか認識にだいぶ差があるな
甄:死地から救ってくださった子桓様は、その後大層私を大切にしてくださいました
丕:・・・
植:・・・
甄:そんな子桓様を、私は心から愛しています
丕:・・・
植:・・・義姉上・・・
甄:もちろん、子建のことも大好きですよ
植:義姉上・・・!
甄:だって私のかわいいかわいい義弟ですもの
甄:ちょっと趣味は理解できないけど
植:義姉上!
丕:・・・もうすぐ政務の時間だ
甄:行ってらっしゃいませ
植:おう、しっかり働けよ!無能!
丕:やっぱり三枚におろそうか・・・
植:ヒエッ
甄:うふふ・・・
0:曹丕退室
植:・・・助かった
甄:子桓様は行ってしまわれたけど、ゆっくりして行ってくださいね
植:ありがとうございます、義姉上
甄:~♪
植:・・・義姉上
甄:どうしたんですか、子建?
植:義姉上は、兄上のどこを好きになったのですか
甄:子桓様のどこを・・・ですか
植:はい
植:兄上は・・・その無能ですし
甄:・・・元々私は、袁煕の妻でした
植:聞いてます
甄:つまり袁家に連なるものです
甄:ギョウが陥落した際、私は敗軍の女として捕らえられ、辱めを受けるかもしれない状況でした
植:・・・
甄:私も死を覚悟しました
甄:しかし子桓様は「何も死を選ぶことはない」と、私の生きる道を導いてくださいました
甄:故に感謝しているのです
植:なるほど
甄:確かに私は「傾国の美女」と呼ばれていたかもしれません
植:「傾国」・・・
甄:「国を傾かせるほどの美女」・・・ということらしいです
植:・・・
甄:しかし、ギョウで一番乗りしたのが子桓様でなければ、ここまで生き永らえることはなかったと思います
植:義姉上・・・
甄:さて、私はお昼の支度をしてきますね
甄:子建はゆっくりしていてください
植:・・・はい
植:義姉上・・・
植:「兄上のお陰でここまで生きながらえることが出来た」・・・か
植:しかし・・・その生命を終わらせようとしているのもまた、兄上なのですぞ・・・
甄:~♪
植:・・・
甄:・・・きゃっ!?誰かと思えば子建・・・どうしたのですか?
植:義姉上・・・義姉上は、私の気持ち、知っているのでしょう
甄:・・・ええ、この前、好きだとおっしゃいましたね
植:・・・
甄:でも、私はあのとき無理だといいました
植:それでも!
甄:・・・ねぇ、子建
植:はい
甄:子建はどうして、私のことをそんなに好いてくれるのですか?
植:・・・
0:外
丕:・・・なんか嫌な予感がして戻ってきたが・・・
0:中
植:・・・それは、義姉上が・・・亡き母上に似ているからです
甄:お義母様に・・・
0:外
植:何言ってんだ、母上はまだご存命だぞ
0:中
甄:でも確かお義母様はまだ・・・
植:ああ!義姉上・・・!
甄:朝、卞皇后(べんこうごう)とはお話を・・・
植:ああ、なんということだ!義姉上のこのぬくもり!まるで母上に優しく包み込まれたような・・・!
甄:・・・子建・・・子建は寂しかったのですね
0:外
丕:あいつ力技で押し切りやがった
0:中
植:・・・ええ、寂しい・・・そうなのです
甄:うふふ、子建は甘えん坊さんなのですね
植:恥ずかしい限りでございます
甄:良いのです・・・男たるもの、母に甘えたくなるもの
甄:私は母ではございませぬが・・・目一杯甘えてください
植:・・・義姉上・・・
甄:・・・ふふ、男とは、難儀なもの・・・ですからね
0:外
丕:・・・
0:内
甄:母に甘えたくとも、打ち明けられぬ
甄:男は強くあらねばなりませぬ
甄:だから心許した女を母に重ねて、甘えたくなるもの、なのです
植:義姉上・・・義姉上・・・
甄:ふふ、子建・・・かわいい私の義弟・・・
植:・・・義姉上
甄:何でしょう
植:・・・兄上はどうだったのですか
甄:子桓様ですか
0:外
丕:あいつ何聞いてんだ、後で〆る
0:内
甄:子桓様は、そう言う弱いところはあまりお見せになりませんでしたね
植:・・・
甄:曹孟徳という偉大なお父上がいらっしゃる以上、弱音を吐けないのでございましょう
植:・・・
甄:曹孟徳といえば、今や中華において名を知らぬ者がおらぬほどの英雄でございます
甄:子桓様はその後をお継ぎになる方・・・
甄:故に立ち止まる暇などないのでしょう
植:義姉上は・・・それで寂しくないのですか
甄:・・・私は子桓様を信じています
甄:寂しいなどと言ってる場合ではございません
0:外
丕:甄・・・
0:内
植:なるほど、義姉上はお強い方だ
植:兄上が惚れるのも理解できる
甄:子建は子桓様・・・兄上はお嫌いなのですか?
植:ええ、大っキライですね
甄:・・・
植:だって無能のくせにこんなに美しい女性を妻にしてるし
植:無能のくせに偉そうだし
植:無能のくせに跡取り候補だし
植:無能だし
0:外
丕:がるるるる・・・
0:内
植:そんな兄上が、大っキライで・・・大好きです
0:外
丕:子建・・・
0:内
甄:ふふ、素直じゃないんですね、子建も、子桓様も・・・
植:兄上も?
甄:口には出しませんけどね、子建と戯れているときの子桓様の笑顔は、何をしているときよりも一番輝いているのですよ
植:兄上が・・・
甄:きっと子桓様も子建のことが好きなんですよ
0:外
丕:甄め・・・余計なことを
0:内
甄:私は、あなた達兄弟が仲良くしてくれるのが一番嬉しい・・・
植:義姉上・・・
0:外
丕:・・・フン、取り越し苦労だったようだな・・・政務に戻・・・
0:内
植:義姉上!
甄:キャ!?
植:もう辛抱たまりませぬ!義姉上!
甄:ちょ、子建!?やめてくださいまし!
植:揉ませてください!揉ませてください!
甄:ダメ・・・!私には子桓様が・・・!
0:外
丕:急に流れ変わったな
0:内
植:兄上は、ここにはいませぬ!
甄:あっ・・・んん・・・ッ!
植:ハァ・・・ッ、ハァ・・・ッ!
甄:ダメェ・・・、そこは・・・ッ!
植:もっと気持ちよくさせましょう
甄:あッ・・・あぅ・・・ダメ・・・
0:外
丕:おいおいこれは許されざることだぞ
0:内
植:フンッ!・・・フンッ!
甄:アアッ、ダメ・・・
植:我慢しなくて、良いのです・・・!
植:気持ちいいときは、声を上げ、昇天なさいませ!
甄:あ・・・あぅ・・・ハァ・・・ハァ・・・もう・・・限界・・・
植:さぁ、義姉上・・・ッ!
甄:あ、あああああああッ!い、逝くぅぅぅぅッ!
丕:おい、子建!貴様、人の女に何、し・・・て・・・る・・・
甄:うふふ、私が気持ちよくなった分、次は子建の番ですわ
植:あだだだだ!違う!これ違う!マッサージじゃなくてプロレス!
丕:・・・
甄:あはは!子建、気持ちいいですか!?
植:いだいいだいいだい!これ四字固め!痛い痛い!
甄:次は首をこうやって
植:あ!逝く!逝っちゃう!意識飛んじゃう!ダメ、あああッ!ああああ!タップタップ!ほら、これ降参の合図!タップタップ!
甄:うふふ、子建、とっても気持ちよさそう
丕:・・・なにしてんの
甄:あ、子桓様!お戻りになられたんですね
植:あっ・・・
甄:子建から気持ちの良いマッサージを受けていたのです
甄:お陰で体が軽くなりました!
植:・・・
丕:そこに転がってるのは?
甄:私がお返しにマッサージをしてあげたのです
甄:私も自信があるのです
丕:お、おう・・・それは良かったな
丕:(甄にマッサージを頼むのはやめておこう)
甄:子桓様もいかがですか?
丕:えっあっいや、私は今、元気が有り余ってるというかなんというか
甄:そう言わず、受けてくださいまし!
丕:いや、いい・・・ああ!あ!あああああああッ!アーッ!
甄:やっぱりみんな、元気が一番でございますわ
植(ナレ):かの暴虐な王、「董卓(とうたく)」が「呂布(りょふ)」の裏切りにより横死して以降、中華は諸侯の思惑が入り交じるいわゆる「群雄割拠」の時代へと突入した
丕:かかれ、かかれー!
植(ナレ):既に後漢王朝の権威はなく、ただ存在するだけの「お飾り」皇帝へと成り果てていた
丕:怯むな!進めー!
植(ナレ):時に西暦二百年・・・北方の雄・公孫瓚を降し、華北一体に一大勢力を築いていた「袁紹」と、中央の内紛に乗じて皇帝を救出し、中原の覇者となった「曹操」との間に戦いが起こった
植(ナレ):いわゆる「官渡の戦い」である
丕:城壁の兵に矢を射かけよ!射てー!
植(ナレ):後の「魏」の礎を築きし「魏武(ぎぶ)」曹操も袁紹の圧倒的な戦力の差に一時は本拠地「許昌(きょしょう)」まで肉薄される事態に陥るも、戦術の差で辛くも勝利を収め、撃退
植(ナレ):その後、袁紹は敗戦の恥を雪がんと戦いが起こるも、勢いを失った袁家はなすすべもなく敗戦、その後袁紹は病没してしまう
植(ナレ):後継者争いによる内紛など、袁家はみるみるうちに弱体化していき、その隙をついた曹操は華北に侵攻、ギョウを攻めていた
丕:城門をこじ開けよ!いけぇ!
0:城門突破を果たす曹丕
丕:ギョウを陥落せん!一番乗りは、この「曹子桓(そうしかん)」よ!
植(ナレ):曹子桓・・・曹操の息子であり、後の「魏」の初代皇帝である曹丕である
丕:さて、ここが本殿か
甄:・・・
丕:・・・
甄:・・・
丕:・・・お前は
甄:・・・私は袁家の女です
甄:さぁ、殺しなさい
甄:私は曹操に屈しはしません
丕:ふむ、気の強い女と見た
甄:どうしたのですか
甄:私は生きて辱めを受けるくらいならば、死を選ぶと言っているのです
甄:さぁ、早く首を刎ねなさい
丕:女よ、私の妻となる気はないか?
甄:は?・・・何を言っているのです
甄:聞こえなかったのですか?
甄:早く我が首を刎ねよと・・・
丕:そなたの美しさ、その気丈さ、私はたいそう気に入った
丕:故にそなたを正室に迎えたいのだ
甄:・・・私は袁紹が息子、袁煕の妻なのです
甄:夫がある身・・・それでいて他家のものの妻になるなど
丕:(被せて)袁煕は逃げたぞ
甄:・・・えっ?
丕:袁煕は逃げたと申しておる
丕:もはやこのギョウに戻っては来ぬ
甄:それは、誠・・・ですか
丕:嘘をついてどうする
丕:それに、あの者に命を賭してギョウを奪還しに来るとも思えぬ
丕:お主は・・・「捨てられた」のだ
甄:・・・ならば、やはり私に思い残すことなどありませぬ
甄:さぁ、一思いに首をお刎ねくださいませ
丕:首は刎ねぬ
甄:ならば・・・!
0:甄氏、自ら剣を取り刃を首に向ける
丕:フンッ!
甄:ああっ!
0:曹丕、甄氏の剣を自分の剣で払い除ける
丕:許さぬ
甄:なぜ、邪魔をするのです
甄:生きて辱めを受けるくらいなら死を選ぶと・・・
丕:受けさせぬ
甄:なぜ、そう言い切れるのです
甄:曹操が何をしたか、あなたは知っているのですか?
丕:知っている
甄:例えば、徐州・・・
丕:知っている
丕:私は、曹操が息子、「曹丕」だ
丕:知らぬ訳がないだろう
甄:・・・曹操の・・・
丕:そうだ、曹操の息子だ
丕:主の息子の正室を凌辱するものがいると思うか?
甄:・・・
丕:私の妻になれ
丕:我が父・曹操の覇道、それは袁紹の如き小物とは規模が違う
丕:そしていずれ掴むだろう
甄:何を・・・
丕:天下
甄:天下・・・
丕:父の創り上げる天下、私がお主に見せてあげようというのだ
丕:ここで死ぬにはもったいないと思うぞ
甄:・・・
丕:さぁ、今一度問おう
甄:・・・
丕:我が妻になれ
甄:・・・
丕:我が妻となり覇道を継ぐ者の隣で天下を見るか
甄:・・・
丕:ここで未来を見ることなく自ら命を散らすか!
丕:どちらか選べ
甄:・・・わかりました
甄:これより、あなた様の妻となります
甄:我が名は甄(しん)と申します
丕:甄氏・・・か
丕:あの「傾国」と名高き美女の・・・
丕:・・・私は曹丕、字は「子桓」と申す
丕:これからよろしく頼む
甄:はい・・・子桓様
植(ナレ):一節には、「ギョウに一番乗りした曹丕が甄氏に一目惚れし、妻に娶った」とある───
0:回想終わり
丕:──というわけだ
植:ふむふむ、それが兄上と義姉上の出会いだったと
丕:まぁ、そうなるわけだな
植:しかし、一つ気になる点がございます
丕:ン?なんだ、言ってみろ
植:ええと、義姉上の元旦那のことについてですが・・・
丕:袁煕か?袁煕がどうしたというのだ
植:ギョウを落としたときにはまだ生きてるわけですよね
丕:そうだな・・・確か烏桓(うがん)に逃げ込んだと父上が言っていたな
植:あああああああああ!
丕:ど、どうしたのだ・・・いきなり奇声を上げて・・・
植:唐突なNTR(寝取られ)により脳が破壊されました
丕:お、おう・・・そうか・・・純愛過激派も難儀だな・・・
植:NTRは悪!きのこよりたけのこ!のぞみを静岡に止めろ!
丕:なんかこれ変な電波受信してるな、どうしよう・・・
丕:あ、なんかよくわからんが空から本が落ちてきた・・・これを与えてみるか・・・
丕:ええと、「洛神賦」・・・?
植:純愛により脳が回復しました
丕:なんでだよ
植:兄上!見損ないましたぞ!よりにもよって寝取りとは!
植:人の風上にも置けませんな!
植:これは義姉上を兄上の毒牙から守らねばなりませぬな
植:ということで義姉上をわたしにくださぐへおァ!!!?
丕:お前のそれも寝取りだろうが!
植:私はいいのです!私のは正義・・・いや、これは寝取りではなく純愛だから許されるのです!
丕:自分に都合のいい解釈してるだけじゃねーか、恥を知れ
植:兄上こそ恥を知りなさい、恥を
植:この無能が
丕:おオン?なんか言ったか?
植:無能のくせに手だけは早いって言ったんだよ!
丕:お前にゃ言われたくねーよ!
植:私は無能じゃありませんー
植:政務も軍務もちゃんとこなしてますぅー
植:負け越し無能の兄上と一緒にしないでくだされぇー
丕:ぐぬぬ、言わせておけば・・・!
植:ほらほら、そう言うところですぞ、兄上!
植:もっと冷静になりなされ!
丕:もう我慢ならん!そこに直れ!たたっ斬ってやる!
植:やーいやーい、兄上のへっぽこ!そんななまくら刃でこの私が斬れますかな!?
丕:貴様ァ!
甄:おやおや、だいぶ賑やかだと思ってきてみれば、子建がいらしてたのですか
植:あ、義姉上!お邪魔しております!
甄:子桓さまもなかなか楽しそうで良きですね
丕:がるるるる!
甄:少し待っていてください、お茶持ってきますから
植:ありがとうございます、義姉上!
丕:ふしゅるるるるる!
0:数分後
甄:さて、お茶の用意ができましたよ・・・ってあれ?その顔、どうしたのですか子建
植:前が見えねェ
丕:・・・
甄:・・・?ところでお二人とも、先程は何の話をされていたのですか?
丕:ああ、私と甄の馴れ初め・・・みたいなものだ
甄:ああ!あの時の話ですね!
甄:あのときは痺れました
0:回想
丕:さぁ、お嬢さん、私の後ろに乗って
甄:はい・・・
丕:私はあなたのような美しい人にだったのは初めてだ
甄:そんなこと
丕:私はあなたに一目惚れしてしまった
甄:そんな・・・私困りますぅ~
丕:私と一緒に未来を見てくれないだろうか
甄:でも、でもぉ~
丕:誓いの口づけだ、ぶちゅ~
0:回想終わり
甄:白馬に乗ってさっそうと現れた私の王子様は誓いのキスをして、キャー!はずかち!
丕:ん?なんだか認識にだいぶ差があるな
甄:死地から救ってくださった子桓様は、その後大層私を大切にしてくださいました
丕:・・・
植:・・・
甄:そんな子桓様を、私は心から愛しています
丕:・・・
植:・・・義姉上・・・
甄:もちろん、子建のことも大好きですよ
植:義姉上・・・!
甄:だって私のかわいいかわいい義弟ですもの
甄:ちょっと趣味は理解できないけど
植:義姉上!
丕:・・・もうすぐ政務の時間だ
甄:行ってらっしゃいませ
植:おう、しっかり働けよ!無能!
丕:やっぱり三枚におろそうか・・・
植:ヒエッ
甄:うふふ・・・
0:曹丕退室
植:・・・助かった
甄:子桓様は行ってしまわれたけど、ゆっくりして行ってくださいね
植:ありがとうございます、義姉上
甄:~♪
植:・・・義姉上
甄:どうしたんですか、子建?
植:義姉上は、兄上のどこを好きになったのですか
甄:子桓様のどこを・・・ですか
植:はい
植:兄上は・・・その無能ですし
甄:・・・元々私は、袁煕の妻でした
植:聞いてます
甄:つまり袁家に連なるものです
甄:ギョウが陥落した際、私は敗軍の女として捕らえられ、辱めを受けるかもしれない状況でした
植:・・・
甄:私も死を覚悟しました
甄:しかし子桓様は「何も死を選ぶことはない」と、私の生きる道を導いてくださいました
甄:故に感謝しているのです
植:なるほど
甄:確かに私は「傾国の美女」と呼ばれていたかもしれません
植:「傾国」・・・
甄:「国を傾かせるほどの美女」・・・ということらしいです
植:・・・
甄:しかし、ギョウで一番乗りしたのが子桓様でなければ、ここまで生き永らえることはなかったと思います
植:義姉上・・・
甄:さて、私はお昼の支度をしてきますね
甄:子建はゆっくりしていてください
植:・・・はい
植:義姉上・・・
植:「兄上のお陰でここまで生きながらえることが出来た」・・・か
植:しかし・・・その生命を終わらせようとしているのもまた、兄上なのですぞ・・・
甄:~♪
植:・・・
甄:・・・きゃっ!?誰かと思えば子建・・・どうしたのですか?
植:義姉上・・・義姉上は、私の気持ち、知っているのでしょう
甄:・・・ええ、この前、好きだとおっしゃいましたね
植:・・・
甄:でも、私はあのとき無理だといいました
植:それでも!
甄:・・・ねぇ、子建
植:はい
甄:子建はどうして、私のことをそんなに好いてくれるのですか?
植:・・・
0:外
丕:・・・なんか嫌な予感がして戻ってきたが・・・
0:中
植:・・・それは、義姉上が・・・亡き母上に似ているからです
甄:お義母様に・・・
0:外
植:何言ってんだ、母上はまだご存命だぞ
0:中
甄:でも確かお義母様はまだ・・・
植:ああ!義姉上・・・!
甄:朝、卞皇后(べんこうごう)とはお話を・・・
植:ああ、なんということだ!義姉上のこのぬくもり!まるで母上に優しく包み込まれたような・・・!
甄:・・・子建・・・子建は寂しかったのですね
0:外
丕:あいつ力技で押し切りやがった
0:中
植:・・・ええ、寂しい・・・そうなのです
甄:うふふ、子建は甘えん坊さんなのですね
植:恥ずかしい限りでございます
甄:良いのです・・・男たるもの、母に甘えたくなるもの
甄:私は母ではございませぬが・・・目一杯甘えてください
植:・・・義姉上・・・
甄:・・・ふふ、男とは、難儀なもの・・・ですからね
0:外
丕:・・・
0:内
甄:母に甘えたくとも、打ち明けられぬ
甄:男は強くあらねばなりませぬ
甄:だから心許した女を母に重ねて、甘えたくなるもの、なのです
植:義姉上・・・義姉上・・・
甄:ふふ、子建・・・かわいい私の義弟・・・
植:・・・義姉上
甄:何でしょう
植:・・・兄上はどうだったのですか
甄:子桓様ですか
0:外
丕:あいつ何聞いてんだ、後で〆る
0:内
甄:子桓様は、そう言う弱いところはあまりお見せになりませんでしたね
植:・・・
甄:曹孟徳という偉大なお父上がいらっしゃる以上、弱音を吐けないのでございましょう
植:・・・
甄:曹孟徳といえば、今や中華において名を知らぬ者がおらぬほどの英雄でございます
甄:子桓様はその後をお継ぎになる方・・・
甄:故に立ち止まる暇などないのでしょう
植:義姉上は・・・それで寂しくないのですか
甄:・・・私は子桓様を信じています
甄:寂しいなどと言ってる場合ではございません
0:外
丕:甄・・・
0:内
植:なるほど、義姉上はお強い方だ
植:兄上が惚れるのも理解できる
甄:子建は子桓様・・・兄上はお嫌いなのですか?
植:ええ、大っキライですね
甄:・・・
植:だって無能のくせにこんなに美しい女性を妻にしてるし
植:無能のくせに偉そうだし
植:無能のくせに跡取り候補だし
植:無能だし
0:外
丕:がるるるる・・・
0:内
植:そんな兄上が、大っキライで・・・大好きです
0:外
丕:子建・・・
0:内
甄:ふふ、素直じゃないんですね、子建も、子桓様も・・・
植:兄上も?
甄:口には出しませんけどね、子建と戯れているときの子桓様の笑顔は、何をしているときよりも一番輝いているのですよ
植:兄上が・・・
甄:きっと子桓様も子建のことが好きなんですよ
0:外
丕:甄め・・・余計なことを
0:内
甄:私は、あなた達兄弟が仲良くしてくれるのが一番嬉しい・・・
植:義姉上・・・
0:外
丕:・・・フン、取り越し苦労だったようだな・・・政務に戻・・・
0:内
植:義姉上!
甄:キャ!?
植:もう辛抱たまりませぬ!義姉上!
甄:ちょ、子建!?やめてくださいまし!
植:揉ませてください!揉ませてください!
甄:ダメ・・・!私には子桓様が・・・!
0:外
丕:急に流れ変わったな
0:内
植:兄上は、ここにはいませぬ!
甄:あっ・・・んん・・・ッ!
植:ハァ・・・ッ、ハァ・・・ッ!
甄:ダメェ・・・、そこは・・・ッ!
植:もっと気持ちよくさせましょう
甄:あッ・・・あぅ・・・ダメ・・・
0:外
丕:おいおいこれは許されざることだぞ
0:内
植:フンッ!・・・フンッ!
甄:アアッ、ダメ・・・
植:我慢しなくて、良いのです・・・!
植:気持ちいいときは、声を上げ、昇天なさいませ!
甄:あ・・・あぅ・・・ハァ・・・ハァ・・・もう・・・限界・・・
植:さぁ、義姉上・・・ッ!
甄:あ、あああああああッ!い、逝くぅぅぅぅッ!
丕:おい、子建!貴様、人の女に何、し・・・て・・・る・・・
甄:うふふ、私が気持ちよくなった分、次は子建の番ですわ
植:あだだだだ!違う!これ違う!マッサージじゃなくてプロレス!
丕:・・・
甄:あはは!子建、気持ちいいですか!?
植:いだいいだいいだい!これ四字固め!痛い痛い!
甄:次は首をこうやって
植:あ!逝く!逝っちゃう!意識飛んじゃう!ダメ、あああッ!ああああ!タップタップ!ほら、これ降参の合図!タップタップ!
甄:うふふ、子建、とっても気持ちよさそう
丕:・・・なにしてんの
甄:あ、子桓様!お戻りになられたんですね
植:あっ・・・
甄:子建から気持ちの良いマッサージを受けていたのです
甄:お陰で体が軽くなりました!
植:・・・
丕:そこに転がってるのは?
甄:私がお返しにマッサージをしてあげたのです
甄:私も自信があるのです
丕:お、おう・・・それは良かったな
丕:(甄にマッサージを頼むのはやめておこう)
甄:子桓様もいかがですか?
丕:えっあっいや、私は今、元気が有り余ってるというかなんというか
甄:そう言わず、受けてくださいまし!
丕:いや、いい・・・ああ!あ!あああああああッ!アーッ!
甄:やっぱりみんな、元気が一番でございますわ