台本概要

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タイトル あなたのお母さんにして下さい。(バブあり)
作者名 Danzig
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 30 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 場所は、とあるオフィス。
経理の仕事中に人目もはばからず推し活をする女性、中島
そこへ、同僚の吉永が現れるのだが・・・

このシナリオには、「バブあり」と「バブなし」の2バージョンあり、こちらは「バブあり」です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
中島 137 推し活をする女性
吉永 141 中島の同僚
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0: 0:とあるオフィス 0:仕事の最中に推し活をする女性 0: 中島(傍白):あぁーあ、経理なんて仕事、やるんじゃなかったわ 中島(傍白):うちの重役はホント頭が固いんだから・・・ 中島(傍白):「紙の書類じゃないとダメ」だとか、「ハンコがなきゃダメ」だとか、「経理はリモートはダメ」だとか・・・ 中島(傍白):もっと他の会社を見習って、ITを活用すればいいじゃないの! 中島(傍白): 中島(傍白):それに、社員からは、毎月、毎月、「申請の仕方が分からない」とか、「面倒だから代わりにやってくれ」とか、「申請書はエクセルじゃダメなのか」とか・・・ 中島(傍白):何度同じ説明すればいいのよ! 社会人なんだから、決められた事は、決められた通りに自分でやりなさいよ! 中島(傍白):営業からは、経理なんて非生産部門だの、俺達がお前たちの給料を稼いで来てやってんだとか言われるし・・・ 中島(傍白):あんた達が売って来たお金は、誰が処理してると思ってるのよ。 ったく。 中島(傍白):おまけに来客が来たらお茶出してくれとか、そりゃここは給湯室に近いけど、私は経理だっつーの 中島(傍白):はぁ・・・ホント心身ともにくたくた・・・ 中島(傍白): 中島(傍白):でもいいの、私には推し様がいるから、大丈夫! 中島(傍白):オフィスの机に飾ったこの写真 中島(傍白):私の癒しにして、モチベーションの源(みなもと) : 吉永:あ、いたいた 吉永:中島...ちょとこれ頼める? : 中島(傍白):あぁ、ホント癒されるわ、私の推し様 中島(傍白):彼の声を聴くだけで、どんな辛い仕事だって我慢できる。 中島(傍白):そう、私の最推し 中島(傍白):舞台俳優にして、人気声優 中島(傍白):その名は、慶永圭介(よしながけいすけ)、愛称は「よっしー」 : 吉永:中島? : 中島(傍白):イケメンにして美声、ダンディでいて愛らしい生き物 中島(傍白):かわいい、なんてかわいい生き物なの! 中島(傍白):私は推し様のおかげで生きていられる 中島(傍白):ううん、私が生きるのは、全て推し様の為 中島(傍白):あぁ、私のよっしー 中島(傍白):彼の為なら、私は何だって出来る、何にだってなれるわ : 吉永:ちょっと、中島 : 中島:何よ、吉永、邪魔しないでくれる? : 吉永:仕事中に何やってんだよ : 中島:何やってるって、見て分かんないの? 推し活よ、お・し・か・つ! : 吉永:・・・あっそ、まぁなんでもいいや、ちょっと、これ頼める? : 中島:何これ? : 吉永:何って、立替払いの清算申請♪ : 中島:あー、今月の提出期限は過ぎてるから、来月ね : 吉永:そこを何とかさ、今月中に頼むよ・・・ : 中島:ダメよ : 吉永:今月中に清算出来ないと辛いんだよ、な、だから今回だけ・・・な、な。 : 中島:ったく、「何が今回だけ」よ。 先月もだったでしょ : 吉永:まぁ、まぁ、俺と中島の仲じゃない : 中島:どんな仲よ : 吉永:俺達、同期入社♪ : 中島:それだけでしょ : 吉永:そうだけど、それも何かの縁でしょ 吉永:ほら、よく言うだろ、同期入社も他生(たしょう)の縁って : 中島:言わないわよ、そんな事 : 吉永:ホントに頼むよ、な、この通り、一生に一回! : 中島:何?一生に一回って、それを言うなら一生に一度でしょ? : 吉永:一生に一回! : 中島:ふぅ、良く分からないけど、本当に一生に一回なのね。 : 吉永:一生に一回目のお願い。 : 中島:ブァカ! 中島:あんたのお願いなんて、これまでに何回も聞いてあげてるでしょ! : 吉永:そこをなんとか、俺、中島の事、大好きだから! : 中島:キモッ 中島:ったく・・・もう、本当に今回だけよ : 吉永:ありがとう中島、恩に着るよ : 中島:はいはい 中島:はぁ・・・こういう人の相手は、ホント疲れるわ 中島:今日は早く帰って「よっしー」への愛で私を満たさなきゃ : 吉永:よっしーって? : 中島:え? 私の推し様ですが、何か? : 吉永:俺も「よっしー」なんだよ、吉永だから「よっしー」って昔から言われてた : 中島:あんたなんかと一緒にするんじゃないわよ、同じ「よしなが」でも、漢字が違うでしょ。 中島;あんたの「よし」は、不吉とか末吉とかおみくじの「きち」で、 中島:よっしーの「よし」は、慶応大学の「けい」、武蔵坊弁慶の「けい」、慶長大判の「けい」なの、 中島:あんたとは格が違うのよ、格が。 : 吉永:そう? あんまり変わんないと思うけどな : 中島:全然違うのよ : 吉永:ふーん・・・・で、この写真が、その「よっしー」って人? : 中島:そうよ、イケメン俳優にして美声の声優、慶永圭介様よ 中島:あんまり汚い手で触らないでよ : 吉永:なんだ、オヤジじゃん : 中島:失礼なこと言わないで頂戴、よっしーはまだ44歳なのよ 中島:それくらいの年齢にならないと、出せない色気やダンディズムがあるのよ 中島: 中島:そう・・・・若い子には決して出す事の出来ない、落ち着きと艶っぽさ・・・ 中島:あぁ、よっしー・・・ : 吉永:そんな事言っても、オヤジはオヤジだしなぁ : 中島:あんたもしつこいわね、何よ、さっきから、人の推し様をオヤジ、オヤジって : 吉永:いや、だから、オヤジなんだって : 中島:何よ? どういう事? : 吉永:だ・か・ら、この人、俺のオヤジ、おれ、この人の子ども : 中島:それ以上ふざけると怒るわよ : 吉永:ふざけてないって、名前だって同じ「よしなが」だろ? : 中島:漢字が違うじゃない : 吉永:たぶんオヤジは芸名だよ、本名でやってるって言ってたけど、漢字を変えてるとは思わなかったわ : 中島:そんな・・・だって・・・ 中島:ね、年齢だって、合わないじゃないの 中島:よっしーはまだ44歳なのよ、あんたみたいな大きな子どもがいる訳ないじゃない : 吉永:俺は、オヤジが二十歳の時の子だからなぁ 吉永:今俺が24だから、オヤジが44 : 中島:そんなの嘘よ、だって、よっしーは奥さんいないって言ってたもん : 吉永:俺の母さんは、俺が小さい時に死んじゃったんだよ 吉永:だから、オヤジに奥さんがいないってのは、間違いじゃない : 中島:・・・・・ほ・・・本当なの? : 吉永:こんな事で嘘を言ったって、直ぐバレるし、意味ないだろ : 中島:じゃぁ、どうして今まで黙ってたのよ! : 吉永:ホントに知らなかったんだって 吉永:オヤジはちっともテレビに出ないからさ、てっきり売れない役者だと思ってたんだよ : 中島:よっしーは舞台俳優だし、声優だから、テレビに顔は出ないのよ : 吉永:そっか、ははは、オヤジも意外とモテるんだな : 中島:バッカじゃないの! よっしーのファンが世の中にどれだけいると思ってるのよ : 吉永:へー、そんなに人気があったんだ 吉永:オヤジ、家ではあんまり仕事の話、しないからなぁ : 中島:・・・それじゃ今、あんたは、よっしーと二人暮らしなの? : 吉永:あぁ、そうだよ 吉永:今というか、子どもの頃からずっと二人で暮らしてたよ 吉永:よっしーとよっしーの二人暮らし、ははは : 中島:バカな事いうと、刺すわよ : 吉永:厳しいな・・・ : 中島:食事とか洗濯とかはどうしてるの? : 吉永:俺が大学生になるまでは、ほとんどオヤジがやってたよ 吉永:うちはビンボーだったからさ、毎日オヤジが飯作ってたよ、外食なんて殆どした事なかったな : 中島(傍白):確かに、よっしーはプライベートを殆ど公開していないミステリアスな御方(おかた) 中島(傍白):そして、そこも魅力なのよねぇ・・・ 中島(傍白): 中島(傍白):あぁ・・・それにしても流石はよっしー。 中島(傍白):私生活も真面目だって聞いてたけど、誠実で責任感があって、しかも健気(けなげ) 中島(傍白):あなたの可愛らしさは、そういうところから来ていたのね 中島(傍白):あぁ、よっしー、私はあなたを推していて、本当に良かった、やっぱり貴方は私の誇り : 吉永:そういえば最近、俺に手が掛からなくなったから、婚活でもしようかなぁって言ってたなぁ : 中島:こ、婚活!! : 吉永:あぁ、よく知らないけど、若い後輩にマッチングアプリを薦められたって言ってたわ 吉永:これでお前より先に嫁さん見つけようかなぁ・・・だってさ : 中島(傍白):よっしーが婚活、よっしーが婚活、よっしーが婚活、よっしーが婚活・・・ : 吉永:まぁ、オヤジは意外とそういうのを面倒臭がるから、どうせアプリなんかやらないだろうけどな : 中島(傍白):よっしーが婚活、よっしーが婚活、よっしーが婚活、よっしーが婚活・・・・ : 吉永:おい、聞いてるか? : 中島(傍白):よっしーが婚活なんてショックだわ・・・でも、彼の年齢的にはそうよねぇ・・・ 中島(傍白):今までずっと一人で子どもを育てて来たんだもん、そろそろいい人を見つけたくもなるわよね・・・ : 吉永:中島? : 中島(傍白):でも、よりにもよってマッチングアプリって・・・ 中島(傍白):いくら、人から進められたからって、マッチングアプリって・・・ 中島(傍白):私達ファンは、ずっとよっしーを見て来たのよ、よっしーの魅力を誰よりも知っているのよ 中島(傍白):それをどこの馬の骨とも分からないような、よっしーの魅力のかけらも知らないような、一般人とだなんて・・・ : 吉永:おい、聞いてんのか、中島 : 中島(傍白):でも、だからといって、女優や声優となら許せるの? 他のファンとだったら許せるの? 中島(傍白):それはそれで嫌よね、そんなんだったら、いっその事、カタギの一般人の方が・・・・ : 吉永:おーい・・・・中島ぁ・・・聞いてねぇな。 吉永:まぁいいや、じゃぁその清算頼んだよ : 中島(傍白):いや、待って待って・・・私がマッチングアプリで偶然を装って、よっしーと知り合うってのはありよね? 中島(傍白):そうよね? ありよね? 中島(傍白): 中島(傍白):よっしーがマッチングアプリをするなら、絶対、彼だと気づかれないハンドル名にするはず 中島(傍白):そのハンドルネームを息子のあいつから聞き出せば、私が他の人よりも一歩も二歩もリード出来る! 中島(傍白):いやいや、それ以上に、よっしーがマッチングアプリをする事なんて、ファンは誰も知らない筈。 中島(傍白):だからそれを知っている私は、みんなよりも百歩も二百歩もリード出来るじゃない! クククク : : 中島:吉永、それで、そのマッチングアプリってどんな名前・・・・って、あれ? 吉永? どこ行ったの? 中島:ったく急にいなくなるなんて、失礼な奴ね : 中島(傍白):でも、よっしーがマッチングアプリやるなら、私は何(なん)アカ作るべきか・・・ 中島(傍白):スマホも買わなきゃね・・・とりあえず10台くらい買っておけばいいかな・・・いや、15台は要るか・・・ 中島(傍白):いやいや、でもスタートダッシュが肝心だから、少ないアカウントで確実にいくか・・うーん、迷うところよね。 : : 中島:あれ? いや、待って待って、マッチングアプリで近づかなくたって、私は、よっしーの息子が同期にいるのよ。 中島:そうよ、これ以上のアドバンテージは無いじゃない! 中島:昔から「何とかが欲しけりゃ、まず馬を射よ」って言うわよね・・・まずは外堀から埋めて行いけば、いずれはよっしーに 中島:ククク、我ながら完璧だわ 中島: 中島:よし、まずは吉永を・・・ 中島:あ、でも、私が「よっしー狙い」って事はバレないようにしなきゃね・・・ 0: 0:(吉永のデスクに来た中島) 0: 中島:吉永君♪ : 吉永:ん? どうした中島 : 中島:さっきのあなたの仮払い申請、やっておいたわよ : 吉永:おお!ありがとう、助かるよ。 今月ホントに厳しかったんだ : 中島:提出期限が過ぎてたから、ねじ込むのは大変だったのよ : 吉永:そっか、無理言ってゴメンな : 中島:何言ってるのよ、水臭いわね。 私と吉永君の仲じゃない : 吉永:そうか・・ありがとう : 中島:私達、同期入社だもんね : 吉永:そ・・・そうだな : 中島:吉永君、他に何か困っている事とかない? : 吉永:困ってる事・・・・ 吉永:課長の愚痴が面倒くさいとか : 中島:そういう事じゃなくて : 吉永:どういう事? : 中島:私に出来る事よ : 吉永:中島に? : 中島:そう、何かあるでしょ? : 吉永:飲み会の領収書を落として欲しい : 中島:そういうのは落ちません。 : 吉永:残念・・・・ : 中島:ねぇ、何かあるでしょ 中島:毎日の食事とか洗濯とか大変じゃない? : 吉永:まぁ、男所帯だから、そういうのがあると言えばあるな 吉永:でも、母親が居ないからって、そういうのを他の人に頼むって訳にはいかないだろ : 中島(傍白):そうか・・・よっしーと一緒になるって事は、吉永の母親になるって事か・・・ : 中島:・・・・吉永君 : 吉永:ん? : 中島:なんならさぁ・・・・ 中島:私があなたのお母さんになってあげてもいいのよ : 吉永:は? : 中島:私さぁ、案外いい母親になれると思うんだよね : 吉永:何の話してるの? : 中島:だから、あなたのお母さんになってあげるって言ってんのよ : 吉永:まぁお前の事だから、それは何かのネタなんだろうけど、ごめんちょっと分からない。 : 中島:ネタとか、そうじゃないのよ : 吉永:そうなの? : 中島:そうよ・・・もう、さっさとあんたのお母さんにさせなさいよ : 吉永:それは今流行りのママ活ってやつか? : 中島:違うに決まってるでしょ! : 吉永:どうしたんだよ、さっきから : 中島:・・・・・それは・・ : 吉永:何かあったのか? : 中島:・・・吉永君、私をあなたのお母さんにさせてください! : 吉永:はははは、何だよそれ、何かの罰ゲームでもさせられてるのか? : 中島:何よ、笑いたければ、笑えばいいじゃない 中島:私は真剣なのよ : 吉永:中島・・・ : 中島:私はね、あんたが思っているより、ずっと真剣なんだら 中島:ずっと、ずっと真剣なんだから 中島:あんたなんかには、私の気持ちなんて分かんないわよ : 吉永:ご、ごめん・・・ 吉永:よく分からないけど、なんか傷つけちゃったなら謝るよ : 中島:・・・ : 吉永:そんなに俺の「家族」になりたいのか? : 中島:そうよ、悪い? : 吉永:いや、お前がそんなに真剣だったとは思わなかったんだ・・・悪かったよ : 中島:じゃぁ、私がお母さんになるの、考えてくれる? : 吉永:でも、どうして「母親」なんだ? : 中島:あんたの母親じゃなきゃ、私には意味がないのよ : 吉永:どうしても? : 中島:どうしても! : 吉永:そうか・・・わかった、じゃぁ考えてみるよ : 中島:ホント! : 吉永:あぁ、 : 中島(傍白):あぁ、よっしー、待っていて! もうすぐよ。 : 吉永:でも、こういうのって、突然ってのはやっぱり抵抗があるからさ 吉永:順序といか、段階を踏んでから、考えて決めたいんだ : 中島:ま、まぁそうよね : 中島(傍白):確かに、いきなり結婚って訳にも行かないし、 中島(傍白):やっぱり段階を踏んでいかないと、よっしーもビックリしちゃうわよね : 吉永:俺もこういう事って初めてだからさ 吉永:これからそういう関係になるなら、なおさら・・・ : 中島:確かに、普通に暮らしていれば、あんまりある事じゃないわよね : 吉永:でも、あくまでも、今は、考えるって段階だからな 吉永:俺達の将来の話だから、焦ってもあれだろ : 中島:まぁ、それは仕方がないわね : 中島(傍白):よっしーと結婚したら、吉永とも長い付き合いになるしね : 吉永:うーん、でも何から始めればいいんだろう・・・・ 吉永:やっぱり、まずは食事からかな : 中島:食事? : 吉永:そう、お互い酒でものんで、いろいろ話してさ、分かり合わなきゃ。 : 中島:確かにそうね・・・じゃぁそうしましょうか 0: 0:(二人で仕事帰りに居酒屋へ) 0:(店の前) 0: 吉永:とりあえず、居酒屋でいいか : 中島:まぁいいんじゃない : 吉永:なるべく端の席にしようか : 中島:どうしてよ : 吉永:こういう事って、あんまり他人に聞かれたくないだろ? : 中島:まぁ・・・確かに・・・ : 中島(傍白):どこでよっしーのファンに聞かれるか分からないからね 中島(傍白):それなら居酒屋でなくてもいいじゃない・・・ 0: 0:(席について、注文後にビールが来る) 0: 吉永:ふぅ・・・じゃぁ、まぁビールも来たし、とりあえず飲もうか 吉永:話はそれからでもいいだろ : 中島:まぁ、そうね・・ : 吉永:じゃぁ、おつかれ : 中島:ええ、お疲れ様 0: 0:(乾杯をして飲み始める二人) 0:(酒を飲んで、お互い酔っぱらう) 0: 中島:吉永ぁ、あんた、もっと飲みなさいよ : 吉永:お前、大分酔ってるな : 中島:酔ってない! : 吉永:いや、もう十分酔ってるって・・・もうそろそろ : 中島:酔ってないって言ってるでしょ : 吉永:でも、もう遅いし  : 中島:何言ってんのよ、まだまだこれからじゃない 中島:それに、私は酔ってなんかいないんだからね : 吉永:あぁ・・そう・・ : 中島:あぁ・・・よっしー : 吉永:ん?なに? : 中島:よっしー : 吉永:だから、なんだよ : 中島:・・・どうして・・・ : 吉永:え? : 中島:どうして、私じゃダメなのよ : 吉永:何が? : 中島:何がじゃないわよ 中島:どうして、私があなたの母親じゃダメなのかって事よ : 吉永:ってか、そんな直ぐに答えなんて出せないって 吉永:それに、なんで俺の母親なんだよ : 中島:別に母親じゃなきゃいけないって訳じゃないのよ : 吉永:じゃぁ、なんなんだよ : 中島:あんたの家族になりたいのよ : 吉永:じゃぁ、何で母親なんだよ : 中島:そこしかポジションが空いてないじゃない : 吉永:いや、他にもあるだろ、俺の姉さんとか妹とか : 中島:嫌よ、そんなの : 吉永:じゃぁ、俺の嫁さんとか 吉永:それなら、まぁ、俺としてもだな・・・ : 中島:ありえない : 吉永:即答かよ! しかも、全力否定かよ! 吉永:別にもう嫁さんでいいじゃねぇか! : 中島:それじゃダメなのよ : 吉永:だから、何が! : 中島:だからとか、そうじゃないのよ 中島:もう、どうして分からないかな : 吉永:分かんねぇよ、そんなの : 中島:もう 中島:兎に角! 私をあんたのお母さんにさせなさいよ : 吉永:うーん・・・そんな事言われてもなぁ : 中島:ほら、お母さんって呼んでご覧 : 吉永:そんな急に呼べるかよ : 中島:ママって言ってもいいわよ : 吉永:え? マ・・ママ? : 中島:そう、ママよ 中島:男の子ってそういうの好きなんでしょ? 中島:同級生が義理の母親になって同居するってラノベ、見た事あるわよ : 吉永:いや、そういうのって、好き好きだし。人によるかな : 中島:人はどうでもいいのよ 中島:あんたはどうなのよ、あんたは : 吉永:俺は別に嫌いではないけど・・・ : 中島:だったら、私をママって呼びなさい : 吉永:そんな・・・ : 中島:ほら、何恥ずかしがってるのよ : 吉永:だって、ほら、ここ居酒屋だし : 中島:そんな事気にしてどうするのよ 中島:居酒屋って言ったのはあんたでしょ : 吉永:いや・・・まぁ・・・そうだけど・・ : 中島:だったら、もう、ごちゃごちゃ言わない! 中島:男らしくないぞ : 吉永:そんな・・・ : 中島:ほら、おいで! : 吉永:え? : 中島:来なさい! : 吉永:・・・・マ・・・ママ・・ : 中島:ママの前で、何を恥ずかしがってるのよ : 吉永:いや、他のお客さんもいるし・・ : 中島:他の人がどうしたっていうの、あんたは気にし過ぎなのよ : 吉永:お前は平気なのかよ : 中島:人の目を気にしてたら、オタクなんて出来ないわよ 中島:オタク舐めんな : 吉永:まぁ、そうか・・・ 吉永:もう、こうなったら、もうやるしかないな・・・・ 吉永:ママ! : 中島:ほら、甘えなさい 中島:寂しかったんでしょ : 吉永:え? : 中島:ほら! : 吉永:そういうプレイなの?・・・まぁいいか・・・ 吉永:ママ、僕寂しかった(普通トーン) : 中島:ダメ! : 吉永:どうこが? : 中島:あんた、改めて聞くと、案外いい声してるわね。 : 吉永:そう? : 中島:ええ、イケボよ : 吉永:ホント? ありがとう・・・ 吉永:じゃぁ何がダメなんだよ。 : 中島:「バブみ」が足らない! : 吉永:バ、バブみ? : 中島:そう、ママに甘えるんだから、もっとバブバブしなさい : 吉永:えー、バブバブって・・そんな : 中島:分かってないわね。 中島:バブ味ってのは萌え要素なのよ : 吉永:も、萌え要素?、 : 中島:そう! 中島:あんたは、イケボなんだから、イケボがバブってご覧、それがギャップ萌えなのよ。 中島:萌え要素で救える命があるの。 中島:あんたに、これが分かる? : 吉永:いや、分かるような、分からないような・・・ : 中島:よっしーなら普通に出来るわよ : 吉永:出来るかな? : 中島:出来るに決まってるじゃない、舐めてんの? : 吉永:いや、そういう訳じゃんないんだけど・・・ホントに俺に出来るかなぁ・・・ : 中島:もう、つべこべ言わずに続けるわよ、やってりゃそのうち分かるわよ。 中島:さぁ、おいで! : 吉永:は、はい・・・ : 中島:ほら、甘えて! : 吉永:ママぁ・・・僕、寂しかったでちゅ : 中島:少しは良くなって来たけど、恥ずかしがって、どうするのよ? : 吉永:いや、だってさ・・・いざとなると : 中島:こういう事は、恥ずかしがると、恥ずかしくなるわよ 中島:それに、なり切る事がキャラへの礼儀なのよ : 吉永:キャラって・・・何のキャラだよ : 中島:何でもあるでしょ、タラちゃんでも、イクラちゃんでも : 吉永:サザエさん限定かよ : 中島:もう、とにかくもっとバブバブしなさい! : 吉永:・・・・仕方ないか・・・ 吉永:バブゥバブゥ・・ママぁ! 僕、僕、寂しかったでちゅ 0: 0:(演者さんの都合でアドリブを続ける) 0: 中島:もう、仕方ない子ね♪ 中島:ママが一杯甘えさせてあげるわよ。 0: 0:(次の日) 0: 中島:ん・・ううう・・(目が覚める) 中島:あぁ・・頭痛い・・・昨日は飲み過ぎたかな 中島:昨日って・・・あれ? 私何してたっけ : 吉永:おはよ : 中島:あぁ・・おはよ・・・・ 中島:って、何であんたがいるのよ : 吉永:何でって・・いや、だって昨日・・・ : 中島:それに、何?、私、裸じゃない 中島:このベッドも、ここはどこなの? : 吉永:どこってホテルだよ : 中島:ホテル・・って 中島:どうして、私とあんたがホテルに居るのよ : 吉永:どうしてって、昨日の事、ホントに覚えてないのか? : 中島:覚えてるような、覚えてないような・・・ 中島:確か居酒屋に行ったところまでは記憶にあるんだけど・・・・あっ! 中島:・・・・・あぁ・・あちゃぁ・・・ : 吉永:思い出したか : 中島:あんた、私に変な事しなかったでしょうね : 吉永:したに決まってるだろ : 中島:なんでそんな事したのよ : 吉永:何でって、お前が誘ったんじゃねぇか! : 中島:そ・・・そりゃ、私が誘ったかもしれないけど 中島:だからって、手を出す事は無いじゃない、ちゃんと断ってよ : 吉永:断れるか! 吉永:あの雰囲気で断れる男はおらんわ! 吉永:それに、こっちは一晩中、赤ちゃんプレイさせられたんだぞ : 中島:え? ホント? : 吉永:あぁ、スゲー恥ずかしかったんだぞ! : 中島:なんか・・ゴメン・・・ : 吉永:ま、まぁ、意外と楽しかった事は確かだけど・・・ 吉永:でも、中島にあんな趣味があるとは思わなかったよ : 中島:へ? いや、ちがうの、それはちがうのよ、これは全部よっしーの為で・・・ : 吉永:俺の為? いやいや、お前が言い出したんだろ 吉永:でも、確かに、ずっと、よっしーよっしーって俺の名前を呼んでたな 吉永:まぁ、俺の為っていうなら、これからもそういう関係で行くのも・・・ : 中島:ちがうのよ、そうじゃないのよ : 吉永:何が違うんだよ : 中島:嫌われちゃうよぉ・・・・ : 吉永:大丈夫だよ、お前の趣味の事は誰にも言わないから : 中島:そうじゃないおよぉ 中島:あーん、もう、やらかしちゃったぁ! 中島:よっしーごめんなさい! : 吉永:だから、俺は大丈夫だって : 中島:あーん、だから、違うのよぉ! :

0: 0: 0:とあるオフィス 0:仕事の最中に推し活をする女性 0: 中島(傍白):あぁーあ、経理なんて仕事、やるんじゃなかったわ 中島(傍白):うちの重役はホント頭が固いんだから・・・ 中島(傍白):「紙の書類じゃないとダメ」だとか、「ハンコがなきゃダメ」だとか、「経理はリモートはダメ」だとか・・・ 中島(傍白):もっと他の会社を見習って、ITを活用すればいいじゃないの! 中島(傍白): 中島(傍白):それに、社員からは、毎月、毎月、「申請の仕方が分からない」とか、「面倒だから代わりにやってくれ」とか、「申請書はエクセルじゃダメなのか」とか・・・ 中島(傍白):何度同じ説明すればいいのよ! 社会人なんだから、決められた事は、決められた通りに自分でやりなさいよ! 中島(傍白):営業からは、経理なんて非生産部門だの、俺達がお前たちの給料を稼いで来てやってんだとか言われるし・・・ 中島(傍白):あんた達が売って来たお金は、誰が処理してると思ってるのよ。 ったく。 中島(傍白):おまけに来客が来たらお茶出してくれとか、そりゃここは給湯室に近いけど、私は経理だっつーの 中島(傍白):はぁ・・・ホント心身ともにくたくた・・・ 中島(傍白): 中島(傍白):でもいいの、私には推し様がいるから、大丈夫! 中島(傍白):オフィスの机に飾ったこの写真 中島(傍白):私の癒しにして、モチベーションの源(みなもと) : 吉永:あ、いたいた 吉永:中島...ちょとこれ頼める? : 中島(傍白):あぁ、ホント癒されるわ、私の推し様 中島(傍白):彼の声を聴くだけで、どんな辛い仕事だって我慢できる。 中島(傍白):そう、私の最推し 中島(傍白):舞台俳優にして、人気声優 中島(傍白):その名は、慶永圭介(よしながけいすけ)、愛称は「よっしー」 : 吉永:中島? : 中島(傍白):イケメンにして美声、ダンディでいて愛らしい生き物 中島(傍白):かわいい、なんてかわいい生き物なの! 中島(傍白):私は推し様のおかげで生きていられる 中島(傍白):ううん、私が生きるのは、全て推し様の為 中島(傍白):あぁ、私のよっしー 中島(傍白):彼の為なら、私は何だって出来る、何にだってなれるわ : 吉永:ちょっと、中島 : 中島:何よ、吉永、邪魔しないでくれる? : 吉永:仕事中に何やってんだよ : 中島:何やってるって、見て分かんないの? 推し活よ、お・し・か・つ! : 吉永:・・・あっそ、まぁなんでもいいや、ちょっと、これ頼める? : 中島:何これ? : 吉永:何って、立替払いの清算申請♪ : 中島:あー、今月の提出期限は過ぎてるから、来月ね : 吉永:そこを何とかさ、今月中に頼むよ・・・ : 中島:ダメよ : 吉永:今月中に清算出来ないと辛いんだよ、な、だから今回だけ・・・な、な。 : 中島:ったく、「何が今回だけ」よ。 先月もだったでしょ : 吉永:まぁ、まぁ、俺と中島の仲じゃない : 中島:どんな仲よ : 吉永:俺達、同期入社♪ : 中島:それだけでしょ : 吉永:そうだけど、それも何かの縁でしょ 吉永:ほら、よく言うだろ、同期入社も他生(たしょう)の縁って : 中島:言わないわよ、そんな事 : 吉永:ホントに頼むよ、な、この通り、一生に一回! : 中島:何?一生に一回って、それを言うなら一生に一度でしょ? : 吉永:一生に一回! : 中島:ふぅ、良く分からないけど、本当に一生に一回なのね。 : 吉永:一生に一回目のお願い。 : 中島:ブァカ! 中島:あんたのお願いなんて、これまでに何回も聞いてあげてるでしょ! : 吉永:そこをなんとか、俺、中島の事、大好きだから! : 中島:キモッ 中島:ったく・・・もう、本当に今回だけよ : 吉永:ありがとう中島、恩に着るよ : 中島:はいはい 中島:はぁ・・・こういう人の相手は、ホント疲れるわ 中島:今日は早く帰って「よっしー」への愛で私を満たさなきゃ : 吉永:よっしーって? : 中島:え? 私の推し様ですが、何か? : 吉永:俺も「よっしー」なんだよ、吉永だから「よっしー」って昔から言われてた : 中島:あんたなんかと一緒にするんじゃないわよ、同じ「よしなが」でも、漢字が違うでしょ。 中島;あんたの「よし」は、不吉とか末吉とかおみくじの「きち」で、 中島:よっしーの「よし」は、慶応大学の「けい」、武蔵坊弁慶の「けい」、慶長大判の「けい」なの、 中島:あんたとは格が違うのよ、格が。 : 吉永:そう? あんまり変わんないと思うけどな : 中島:全然違うのよ : 吉永:ふーん・・・・で、この写真が、その「よっしー」って人? : 中島:そうよ、イケメン俳優にして美声の声優、慶永圭介様よ 中島:あんまり汚い手で触らないでよ : 吉永:なんだ、オヤジじゃん : 中島:失礼なこと言わないで頂戴、よっしーはまだ44歳なのよ 中島:それくらいの年齢にならないと、出せない色気やダンディズムがあるのよ 中島: 中島:そう・・・・若い子には決して出す事の出来ない、落ち着きと艶っぽさ・・・ 中島:あぁ、よっしー・・・ : 吉永:そんな事言っても、オヤジはオヤジだしなぁ : 中島:あんたもしつこいわね、何よ、さっきから、人の推し様をオヤジ、オヤジって : 吉永:いや、だから、オヤジなんだって : 中島:何よ? どういう事? : 吉永:だ・か・ら、この人、俺のオヤジ、おれ、この人の子ども : 中島:それ以上ふざけると怒るわよ : 吉永:ふざけてないって、名前だって同じ「よしなが」だろ? : 中島:漢字が違うじゃない : 吉永:たぶんオヤジは芸名だよ、本名でやってるって言ってたけど、漢字を変えてるとは思わなかったわ : 中島:そんな・・・だって・・・ 中島:ね、年齢だって、合わないじゃないの 中島:よっしーはまだ44歳なのよ、あんたみたいな大きな子どもがいる訳ないじゃない : 吉永:俺は、オヤジが二十歳の時の子だからなぁ 吉永:今俺が24だから、オヤジが44 : 中島:そんなの嘘よ、だって、よっしーは奥さんいないって言ってたもん : 吉永:俺の母さんは、俺が小さい時に死んじゃったんだよ 吉永:だから、オヤジに奥さんがいないってのは、間違いじゃない : 中島:・・・・・ほ・・・本当なの? : 吉永:こんな事で嘘を言ったって、直ぐバレるし、意味ないだろ : 中島:じゃぁ、どうして今まで黙ってたのよ! : 吉永:ホントに知らなかったんだって 吉永:オヤジはちっともテレビに出ないからさ、てっきり売れない役者だと思ってたんだよ : 中島:よっしーは舞台俳優だし、声優だから、テレビに顔は出ないのよ : 吉永:そっか、ははは、オヤジも意外とモテるんだな : 中島:バッカじゃないの! よっしーのファンが世の中にどれだけいると思ってるのよ : 吉永:へー、そんなに人気があったんだ 吉永:オヤジ、家ではあんまり仕事の話、しないからなぁ : 中島:・・・それじゃ今、あんたは、よっしーと二人暮らしなの? : 吉永:あぁ、そうだよ 吉永:今というか、子どもの頃からずっと二人で暮らしてたよ 吉永:よっしーとよっしーの二人暮らし、ははは : 中島:バカな事いうと、刺すわよ : 吉永:厳しいな・・・ : 中島:食事とか洗濯とかはどうしてるの? : 吉永:俺が大学生になるまでは、ほとんどオヤジがやってたよ 吉永:うちはビンボーだったからさ、毎日オヤジが飯作ってたよ、外食なんて殆どした事なかったな : 中島(傍白):確かに、よっしーはプライベートを殆ど公開していないミステリアスな御方(おかた) 中島(傍白):そして、そこも魅力なのよねぇ・・・ 中島(傍白): 中島(傍白):あぁ・・・それにしても流石はよっしー。 中島(傍白):私生活も真面目だって聞いてたけど、誠実で責任感があって、しかも健気(けなげ) 中島(傍白):あなたの可愛らしさは、そういうところから来ていたのね 中島(傍白):あぁ、よっしー、私はあなたを推していて、本当に良かった、やっぱり貴方は私の誇り : 吉永:そういえば最近、俺に手が掛からなくなったから、婚活でもしようかなぁって言ってたなぁ : 中島:こ、婚活!! : 吉永:あぁ、よく知らないけど、若い後輩にマッチングアプリを薦められたって言ってたわ 吉永:これでお前より先に嫁さん見つけようかなぁ・・・だってさ : 中島(傍白):よっしーが婚活、よっしーが婚活、よっしーが婚活、よっしーが婚活・・・ : 吉永:まぁ、オヤジは意外とそういうのを面倒臭がるから、どうせアプリなんかやらないだろうけどな : 中島(傍白):よっしーが婚活、よっしーが婚活、よっしーが婚活、よっしーが婚活・・・・ : 吉永:おい、聞いてるか? : 中島(傍白):よっしーが婚活なんてショックだわ・・・でも、彼の年齢的にはそうよねぇ・・・ 中島(傍白):今までずっと一人で子どもを育てて来たんだもん、そろそろいい人を見つけたくもなるわよね・・・ : 吉永:中島? : 中島(傍白):でも、よりにもよってマッチングアプリって・・・ 中島(傍白):いくら、人から進められたからって、マッチングアプリって・・・ 中島(傍白):私達ファンは、ずっとよっしーを見て来たのよ、よっしーの魅力を誰よりも知っているのよ 中島(傍白):それをどこの馬の骨とも分からないような、よっしーの魅力のかけらも知らないような、一般人とだなんて・・・ : 吉永:おい、聞いてんのか、中島 : 中島(傍白):でも、だからといって、女優や声優となら許せるの? 他のファンとだったら許せるの? 中島(傍白):それはそれで嫌よね、そんなんだったら、いっその事、カタギの一般人の方が・・・・ : 吉永:おーい・・・・中島ぁ・・・聞いてねぇな。 吉永:まぁいいや、じゃぁその清算頼んだよ : 中島(傍白):いや、待って待って・・・私がマッチングアプリで偶然を装って、よっしーと知り合うってのはありよね? 中島(傍白):そうよね? ありよね? 中島(傍白): 中島(傍白):よっしーがマッチングアプリをするなら、絶対、彼だと気づかれないハンドル名にするはず 中島(傍白):そのハンドルネームを息子のあいつから聞き出せば、私が他の人よりも一歩も二歩もリード出来る! 中島(傍白):いやいや、それ以上に、よっしーがマッチングアプリをする事なんて、ファンは誰も知らない筈。 中島(傍白):だからそれを知っている私は、みんなよりも百歩も二百歩もリード出来るじゃない! クククク : : 中島:吉永、それで、そのマッチングアプリってどんな名前・・・・って、あれ? 吉永? どこ行ったの? 中島:ったく急にいなくなるなんて、失礼な奴ね : 中島(傍白):でも、よっしーがマッチングアプリやるなら、私は何(なん)アカ作るべきか・・・ 中島(傍白):スマホも買わなきゃね・・・とりあえず10台くらい買っておけばいいかな・・・いや、15台は要るか・・・ 中島(傍白):いやいや、でもスタートダッシュが肝心だから、少ないアカウントで確実にいくか・・うーん、迷うところよね。 : : 中島:あれ? いや、待って待って、マッチングアプリで近づかなくたって、私は、よっしーの息子が同期にいるのよ。 中島:そうよ、これ以上のアドバンテージは無いじゃない! 中島:昔から「何とかが欲しけりゃ、まず馬を射よ」って言うわよね・・・まずは外堀から埋めて行いけば、いずれはよっしーに 中島:ククク、我ながら完璧だわ 中島: 中島:よし、まずは吉永を・・・ 中島:あ、でも、私が「よっしー狙い」って事はバレないようにしなきゃね・・・ 0: 0:(吉永のデスクに来た中島) 0: 中島:吉永君♪ : 吉永:ん? どうした中島 : 中島:さっきのあなたの仮払い申請、やっておいたわよ : 吉永:おお!ありがとう、助かるよ。 今月ホントに厳しかったんだ : 中島:提出期限が過ぎてたから、ねじ込むのは大変だったのよ : 吉永:そっか、無理言ってゴメンな : 中島:何言ってるのよ、水臭いわね。 私と吉永君の仲じゃない : 吉永:そうか・・ありがとう : 中島:私達、同期入社だもんね : 吉永:そ・・・そうだな : 中島:吉永君、他に何か困っている事とかない? : 吉永:困ってる事・・・・ 吉永:課長の愚痴が面倒くさいとか : 中島:そういう事じゃなくて : 吉永:どういう事? : 中島:私に出来る事よ : 吉永:中島に? : 中島:そう、何かあるでしょ? : 吉永:飲み会の領収書を落として欲しい : 中島:そういうのは落ちません。 : 吉永:残念・・・・ : 中島:ねぇ、何かあるでしょ 中島:毎日の食事とか洗濯とか大変じゃない? : 吉永:まぁ、男所帯だから、そういうのがあると言えばあるな 吉永:でも、母親が居ないからって、そういうのを他の人に頼むって訳にはいかないだろ : 中島(傍白):そうか・・・よっしーと一緒になるって事は、吉永の母親になるって事か・・・ : 中島:・・・・吉永君 : 吉永:ん? : 中島:なんならさぁ・・・・ 中島:私があなたのお母さんになってあげてもいいのよ : 吉永:は? : 中島:私さぁ、案外いい母親になれると思うんだよね : 吉永:何の話してるの? : 中島:だから、あなたのお母さんになってあげるって言ってんのよ : 吉永:まぁお前の事だから、それは何かのネタなんだろうけど、ごめんちょっと分からない。 : 中島:ネタとか、そうじゃないのよ : 吉永:そうなの? : 中島:そうよ・・・もう、さっさとあんたのお母さんにさせなさいよ : 吉永:それは今流行りのママ活ってやつか? : 中島:違うに決まってるでしょ! : 吉永:どうしたんだよ、さっきから : 中島:・・・・・それは・・ : 吉永:何かあったのか? : 中島:・・・吉永君、私をあなたのお母さんにさせてください! : 吉永:はははは、何だよそれ、何かの罰ゲームでもさせられてるのか? : 中島:何よ、笑いたければ、笑えばいいじゃない 中島:私は真剣なのよ : 吉永:中島・・・ : 中島:私はね、あんたが思っているより、ずっと真剣なんだら 中島:ずっと、ずっと真剣なんだから 中島:あんたなんかには、私の気持ちなんて分かんないわよ : 吉永:ご、ごめん・・・ 吉永:よく分からないけど、なんか傷つけちゃったなら謝るよ : 中島:・・・ : 吉永:そんなに俺の「家族」になりたいのか? : 中島:そうよ、悪い? : 吉永:いや、お前がそんなに真剣だったとは思わなかったんだ・・・悪かったよ : 中島:じゃぁ、私がお母さんになるの、考えてくれる? : 吉永:でも、どうして「母親」なんだ? : 中島:あんたの母親じゃなきゃ、私には意味がないのよ : 吉永:どうしても? : 中島:どうしても! : 吉永:そうか・・・わかった、じゃぁ考えてみるよ : 中島:ホント! : 吉永:あぁ、 : 中島(傍白):あぁ、よっしー、待っていて! もうすぐよ。 : 吉永:でも、こういうのって、突然ってのはやっぱり抵抗があるからさ 吉永:順序といか、段階を踏んでから、考えて決めたいんだ : 中島:ま、まぁそうよね : 中島(傍白):確かに、いきなり結婚って訳にも行かないし、 中島(傍白):やっぱり段階を踏んでいかないと、よっしーもビックリしちゃうわよね : 吉永:俺もこういう事って初めてだからさ 吉永:これからそういう関係になるなら、なおさら・・・ : 中島:確かに、普通に暮らしていれば、あんまりある事じゃないわよね : 吉永:でも、あくまでも、今は、考えるって段階だからな 吉永:俺達の将来の話だから、焦ってもあれだろ : 中島:まぁ、それは仕方がないわね : 中島(傍白):よっしーと結婚したら、吉永とも長い付き合いになるしね : 吉永:うーん、でも何から始めればいいんだろう・・・・ 吉永:やっぱり、まずは食事からかな : 中島:食事? : 吉永:そう、お互い酒でものんで、いろいろ話してさ、分かり合わなきゃ。 : 中島:確かにそうね・・・じゃぁそうしましょうか 0: 0:(二人で仕事帰りに居酒屋へ) 0:(店の前) 0: 吉永:とりあえず、居酒屋でいいか : 中島:まぁいいんじゃない : 吉永:なるべく端の席にしようか : 中島:どうしてよ : 吉永:こういう事って、あんまり他人に聞かれたくないだろ? : 中島:まぁ・・・確かに・・・ : 中島(傍白):どこでよっしーのファンに聞かれるか分からないからね 中島(傍白):それなら居酒屋でなくてもいいじゃない・・・ 0: 0:(席について、注文後にビールが来る) 0: 吉永:ふぅ・・・じゃぁ、まぁビールも来たし、とりあえず飲もうか 吉永:話はそれからでもいいだろ : 中島:まぁ、そうね・・ : 吉永:じゃぁ、おつかれ : 中島:ええ、お疲れ様 0: 0:(乾杯をして飲み始める二人) 0:(酒を飲んで、お互い酔っぱらう) 0: 中島:吉永ぁ、あんた、もっと飲みなさいよ : 吉永:お前、大分酔ってるな : 中島:酔ってない! : 吉永:いや、もう十分酔ってるって・・・もうそろそろ : 中島:酔ってないって言ってるでしょ : 吉永:でも、もう遅いし  : 中島:何言ってんのよ、まだまだこれからじゃない 中島:それに、私は酔ってなんかいないんだからね : 吉永:あぁ・・そう・・ : 中島:あぁ・・・よっしー : 吉永:ん?なに? : 中島:よっしー : 吉永:だから、なんだよ : 中島:・・・どうして・・・ : 吉永:え? : 中島:どうして、私じゃダメなのよ : 吉永:何が? : 中島:何がじゃないわよ 中島:どうして、私があなたの母親じゃダメなのかって事よ : 吉永:ってか、そんな直ぐに答えなんて出せないって 吉永:それに、なんで俺の母親なんだよ : 中島:別に母親じゃなきゃいけないって訳じゃないのよ : 吉永:じゃぁ、なんなんだよ : 中島:あんたの家族になりたいのよ : 吉永:じゃぁ、何で母親なんだよ : 中島:そこしかポジションが空いてないじゃない : 吉永:いや、他にもあるだろ、俺の姉さんとか妹とか : 中島:嫌よ、そんなの : 吉永:じゃぁ、俺の嫁さんとか 吉永:それなら、まぁ、俺としてもだな・・・ : 中島:ありえない : 吉永:即答かよ! しかも、全力否定かよ! 吉永:別にもう嫁さんでいいじゃねぇか! : 中島:それじゃダメなのよ : 吉永:だから、何が! : 中島:だからとか、そうじゃないのよ 中島:もう、どうして分からないかな : 吉永:分かんねぇよ、そんなの : 中島:もう 中島:兎に角! 私をあんたのお母さんにさせなさいよ : 吉永:うーん・・・そんな事言われてもなぁ : 中島:ほら、お母さんって呼んでご覧 : 吉永:そんな急に呼べるかよ : 中島:ママって言ってもいいわよ : 吉永:え? マ・・ママ? : 中島:そう、ママよ 中島:男の子ってそういうの好きなんでしょ? 中島:同級生が義理の母親になって同居するってラノベ、見た事あるわよ : 吉永:いや、そういうのって、好き好きだし。人によるかな : 中島:人はどうでもいいのよ 中島:あんたはどうなのよ、あんたは : 吉永:俺は別に嫌いではないけど・・・ : 中島:だったら、私をママって呼びなさい : 吉永:そんな・・・ : 中島:ほら、何恥ずかしがってるのよ : 吉永:だって、ほら、ここ居酒屋だし : 中島:そんな事気にしてどうするのよ 中島:居酒屋って言ったのはあんたでしょ : 吉永:いや・・・まぁ・・・そうだけど・・ : 中島:だったら、もう、ごちゃごちゃ言わない! 中島:男らしくないぞ : 吉永:そんな・・・ : 中島:ほら、おいで! : 吉永:え? : 中島:来なさい! : 吉永:・・・・マ・・・ママ・・ : 中島:ママの前で、何を恥ずかしがってるのよ : 吉永:いや、他のお客さんもいるし・・ : 中島:他の人がどうしたっていうの、あんたは気にし過ぎなのよ : 吉永:お前は平気なのかよ : 中島:人の目を気にしてたら、オタクなんて出来ないわよ 中島:オタク舐めんな : 吉永:まぁ、そうか・・・ 吉永:もう、こうなったら、もうやるしかないな・・・・ 吉永:ママ! : 中島:ほら、甘えなさい 中島:寂しかったんでしょ : 吉永:え? : 中島:ほら! : 吉永:そういうプレイなの?・・・まぁいいか・・・ 吉永:ママ、僕寂しかった(普通トーン) : 中島:ダメ! : 吉永:どうこが? : 中島:あんた、改めて聞くと、案外いい声してるわね。 : 吉永:そう? : 中島:ええ、イケボよ : 吉永:ホント? ありがとう・・・ 吉永:じゃぁ何がダメなんだよ。 : 中島:「バブみ」が足らない! : 吉永:バ、バブみ? : 中島:そう、ママに甘えるんだから、もっとバブバブしなさい : 吉永:えー、バブバブって・・そんな : 中島:分かってないわね。 中島:バブ味ってのは萌え要素なのよ : 吉永:も、萌え要素?、 : 中島:そう! 中島:あんたは、イケボなんだから、イケボがバブってご覧、それがギャップ萌えなのよ。 中島:萌え要素で救える命があるの。 中島:あんたに、これが分かる? : 吉永:いや、分かるような、分からないような・・・ : 中島:よっしーなら普通に出来るわよ : 吉永:出来るかな? : 中島:出来るに決まってるじゃない、舐めてんの? : 吉永:いや、そういう訳じゃんないんだけど・・・ホントに俺に出来るかなぁ・・・ : 中島:もう、つべこべ言わずに続けるわよ、やってりゃそのうち分かるわよ。 中島:さぁ、おいで! : 吉永:は、はい・・・ : 中島:ほら、甘えて! : 吉永:ママぁ・・・僕、寂しかったでちゅ : 中島:少しは良くなって来たけど、恥ずかしがって、どうするのよ? : 吉永:いや、だってさ・・・いざとなると : 中島:こういう事は、恥ずかしがると、恥ずかしくなるわよ 中島:それに、なり切る事がキャラへの礼儀なのよ : 吉永:キャラって・・・何のキャラだよ : 中島:何でもあるでしょ、タラちゃんでも、イクラちゃんでも : 吉永:サザエさん限定かよ : 中島:もう、とにかくもっとバブバブしなさい! : 吉永:・・・・仕方ないか・・・ 吉永:バブゥバブゥ・・ママぁ! 僕、僕、寂しかったでちゅ 0: 0:(演者さんの都合でアドリブを続ける) 0: 中島:もう、仕方ない子ね♪ 中島:ママが一杯甘えさせてあげるわよ。 0: 0:(次の日) 0: 中島:ん・・ううう・・(目が覚める) 中島:あぁ・・頭痛い・・・昨日は飲み過ぎたかな 中島:昨日って・・・あれ? 私何してたっけ : 吉永:おはよ : 中島:あぁ・・おはよ・・・・ 中島:って、何であんたがいるのよ : 吉永:何でって・・いや、だって昨日・・・ : 中島:それに、何?、私、裸じゃない 中島:このベッドも、ここはどこなの? : 吉永:どこってホテルだよ : 中島:ホテル・・って 中島:どうして、私とあんたがホテルに居るのよ : 吉永:どうしてって、昨日の事、ホントに覚えてないのか? : 中島:覚えてるような、覚えてないような・・・ 中島:確か居酒屋に行ったところまでは記憶にあるんだけど・・・・あっ! 中島:・・・・・あぁ・・あちゃぁ・・・ : 吉永:思い出したか : 中島:あんた、私に変な事しなかったでしょうね : 吉永:したに決まってるだろ : 中島:なんでそんな事したのよ : 吉永:何でって、お前が誘ったんじゃねぇか! : 中島:そ・・・そりゃ、私が誘ったかもしれないけど 中島:だからって、手を出す事は無いじゃない、ちゃんと断ってよ : 吉永:断れるか! 吉永:あの雰囲気で断れる男はおらんわ! 吉永:それに、こっちは一晩中、赤ちゃんプレイさせられたんだぞ : 中島:え? ホント? : 吉永:あぁ、スゲー恥ずかしかったんだぞ! : 中島:なんか・・ゴメン・・・ : 吉永:ま、まぁ、意外と楽しかった事は確かだけど・・・ 吉永:でも、中島にあんな趣味があるとは思わなかったよ : 中島:へ? いや、ちがうの、それはちがうのよ、これは全部よっしーの為で・・・ : 吉永:俺の為? いやいや、お前が言い出したんだろ 吉永:でも、確かに、ずっと、よっしーよっしーって俺の名前を呼んでたな 吉永:まぁ、俺の為っていうなら、これからもそういう関係で行くのも・・・ : 中島:ちがうのよ、そうじゃないのよ : 吉永:何が違うんだよ : 中島:嫌われちゃうよぉ・・・・ : 吉永:大丈夫だよ、お前の趣味の事は誰にも言わないから : 中島:そうじゃないおよぉ 中島:あーん、もう、やらかしちゃったぁ! 中島:よっしーごめんなさい! : 吉永:だから、俺は大丈夫だって : 中島:あーん、だから、違うのよぉ! :