台本概要
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タイトル | 探偵不在~容疑者金山さき |
---|---|
作者名 | 璃月なお (@naomu39) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 5人用台本(女2、不問3) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
この話は推理漫画が好きな作者が書いた、ミステリー風ファンタジーコメディです。 ナレーションは東郷役の方がやるといいかなと思います。 豊田まほ、豊田かほは別の役で書いてありますが、かほの出番は少ないので、一人二役で演じていただけると良いかと思います。 というか、一人二役でつかみ合いしてる所が聞きたいだけです。 少しでも楽しんで貰えると嬉しいです。 192 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
金山 | 女 | 55 | 金山さき(かなやまさき) 気の弱い20代女性。 |
東郷 | 不問 | 28 | 東郷(とうごう) 警察の人。岡崎の上司。 |
岡崎 | 不問 | 41 | 岡崎(おかざき) 警察の人。東郷の部下。 |
豊田 | 女 | 20 | 豊田まほ(とよたまほ) 金山の高校の同級生。 |
かほ | 女 | 7 | 豊田かほ(とよたかほ) まほとは双子。両親の離婚によりまほとは離れて暮らしている。 |
ナツキ | 不問 | 42 | 青いペンギンのぬいぐるみ。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:朝、アパートの一室。チャイムが鳴る。
ナレーション:三月二〇日、午前九時。金山のアパート
金山:はぁ、こんな朝から誰だろう?
金山:はい、どちら様ですか?
岡崎:朝早くにすみません。金山さきさんですか?警察です。お話を伺いたいので開けていただけますか?
金山:え!?警察?
:
ナツキ:『探偵不在~容疑者金山さき』
:
0:金山の部屋の中。金山のテーブルの向かいに東郷と岡崎が座っている。
岡崎:改めまして、私はコイボネ署の岡崎と言います
岡崎:そしてこちらが
東郷:同じく、東郷
金山:初めまして、金山です。あの、それで話とは何ですか?
岡崎:早速ですが、豊田まほさんという女性はご存知ですか?
金山:はい、高校の同級生ですが。彼女が何か?
岡崎:あのですね、今朝自宅のマンションで亡くなられているのが発見されまして
金山:え?どうして?
岡崎:彼女の携帯に最後にメールをしたのが、金山さんあなたなんですが、昨夜豊田さんと会われていたんですよね?
金山:あ、はい、昨夜久しぶりに会いました
:
ナレーション:三月十九日、午後九時。会社から駅に向かう途中
豊田:あれ?もしかして、金山ちゃん?久しぶりじゃーん
金山:(M)突然豊田に声をかけられた。高校を卒業してからは成人式以来。5年ぶりだった
金山:あ、うん、久しぶりです。豊田さん
金山:(M)高校の3年間私は豊田にずっとパシリの様な扱いをされていて、正直もう二度と会いたくないと思っていた
豊田:あんた相変わらず地味だねー。地味過ぎて逆に気づいちゃったよー
豊田:で、今仕事あがり?えー?遅くない?金曜なのに残業?まー、あんた昔から要領悪かったもんね
金山:そうだったかな?あはは・・・
豊田:そうだ、丁度いいから今から飲もう!いいお店があるんだよ!
金山:あ、いや、私あんまり飲めないから
豊田:いいから!ほら行くよ!
金山:(M)そして私は強引にバーに連れていかれた。私たちは奥のカウンター席に座った。私は壁と豊田に挟まれて居心地が悪い中ウーロン茶を飲み始めた。豊田はすでにどこかで飲んでたみたいで上機嫌で近況を話した
豊田:私さー、今最高に幸せなんだよねー。素敵な彼と出会ってー色んなもの買ってもらってー。このままいけば近いうちに結婚しちゃうかもなんだよねー
豊田:で、式挙げるなら楽しい式にしたいじゃん、それであんたになんか余興を頼みたいと思ってたんだよねー
豊田:ほら!あんた歌がめちゃくちゃ下手だったじゃん、すっごい面白かったからさーまた聞かせてよ
金山:え?いや、そんな勝手に・・・
豊田:はい、けってーい!携帯出して!連絡先登録するから!
金山:(M)こんな感じでずっと豊田のペースで話が進み、2時間が過ぎた頃、豊田の電話が鳴った
0:豊田の電話が鳴る
豊田:はい、なんだあんたか。・・・え、今から?わかったよ。30分ぐらいで帰るから。はいはい。あとで
0:豊田、電話を切る
豊田:それじゃ、解散しますかね。
豊田:あ!ごめーん、今日持ち合わせがないんだった。金山ちゃーん、ここの支払いと急いで帰るからタクシー代貸して!
金山:え、私もそんなにお金ないけど
豊田:絶対今度返すから!ね!
金山:(M)結局強く言い返せず豊田にお金を貸して、私は電車で帰宅した
:
0:回想、終わり
東郷:つまりお前は豊田の家には行ってないんだな
金山:はい、行ってないです。場所も知らないです
金山:それで、豊田さんはどうして死んだんですか?
東郷:殺人だよ。お前がやったんだろ?
岡崎:ちょっと、東郷さん!まだ決まってないですから!
岡崎:金山さん、失礼しました。
金山:あの、私疑われてるんですか?
東郷:そうだよ!
岡崎:東郷さん、黙ってください!
岡崎:まだいろんな方に聞き込みをしているところです。でも、最後に会ったのがあなただと我々は思っていたので、一番の容疑者ではありました。あなたの話を聞くまでは
金山:・・・
岡崎:豊田さんがあなたと別れる前に電話があったと言いましたが、お相手はわかりますか?
金山:いえ、わからないです。でも、今から会うみたいなことを言っていたと思います
岡崎:そうですか
東郷:本当に電話、あったんだよな?
金山:ありました。それが無かったら何時まで捕まっていたかわからないです
岡崎:豊田さんの携帯に履歴が残ってないので、もしかしたら犯人が消した可能性もありますね
東郷:携帯の指紋は?
岡崎:そうですけど、彼女が嘘をつくとは・・・
東郷:だからお前は甘いんだよ
岡崎:すいません
東郷:じゃあ、金山さん。見てもらいたいものもあるんでちょっと署まで来てもらえますか?
金山:え?今からですか?
岡崎:あ、お仕事ですか?それならこちらから事情を・・・
金山:いえ、今日は休みなので。あの、服を変えたいので少し良いですか?
岡崎:はい、お待ちします
東郷:逃げるなよ
金山:・・・
0:金山、奥の部屋で着替える
金山:なんでこんな事になってしまったんだろう。私じゃないのにあの人たちは私だと決めつけてる
金山:ん?上着に何か入ってる。これは!?
:
ナレーション:三月十九日、午後十一時四十分。
金山:(M)豊田を乗せたタクシーを見送ってから、駅に向かう途中で怪しい占い師に会った
ナツキ:ちょっと、そこのお嬢さん
金山:・・・
ナツキ:お待ちなさい、金山さん
金山:え?私?なんで名前を知ってるんですか?
ナツキ:そんなことはいいの、お嬢さん
金山:あの、何ですか?お金はもう無いですけど
ナツキ:いやいや、少し話すだけだから。あなた、久しぶりの再会に疲れているんだろ?
金山:え!ええ、まあ
ナツキ:今でも彼女が憎いかい?
金山:いえ、今は別に
ナツキ:そうかい。この後、彼女のせいであなたは大変なことに巻き込まれるよ
金山:え!どんな事ですか?
ナツキ:それは言えない。でも、あなたの気が弱いせいで面倒なことになるの
金山:・・・はぁ
ナツキ:だからあなたにこれをあげる
金山:これは?あ、懐かしい
ナツキ:あなたがヤバいと思った時、その吹き戻しを吹くのです。そうしたら状況が一変するから
:
0:回想終わり
金山:で、そのままポケットに入れたままだった
金山:こんなおもちゃで何が変わるのかな?
東郷:おい!まだ着替えてるのか?早くしろ!
金山:も、もう少し待ってください
金山:ヤバい!このままじゃ犯人にされてしまう、とりあず吹いてみよう。フーーーー!
0:金山、吹き戻しを吹く
0:その瞬間、金山、東郷、岡崎の三人は真っ黒い空間に立っていた
金山:なに、ここ?
東郷:おい!ここはどこだ!
金山:え!私に聞かれても・・・
岡崎:どっちを見ても真っ黒ですね
岡崎:あれ?なにかがいる?
0:どこからかスポットライトが点く。そこにナツキがいる
ナツキ:え?もう出番?
岡崎:なにこれ?青いペンギンのぬいぐるみが喋ってる
東郷:・・・可愛い
ナツキ:ちょっと金山ちゃーん、吹くの早いよー。署に着いてからかと思ってたのにー
岡崎:金山さん?これはあなたの仕業ですか?
金山:私もなにがなにやら
ナツキ:金山ちゃーん、昨日渡したやつ吹いたでしょ?
金山:吹きましたけど、え?まさかあのうさん臭い占い師が?
ナツキ:そうだよ、僕だよ!でも、うさん臭いは余計だよ!
ナツキ:コホン、みなさん初めまして、僕はナツキ!気軽にナツキって呼んでね。たまに「おい、ペンギン」とか「青い鳥」とか「ブルーバード」とか呼ばれるけど、どれも気に入ってるからどれでも大丈夫だよ!
岡崎:どれでもいいのかよ!
東郷:ぺんぎん、動いてる・・・可愛い
岡崎:東郷さん?大丈夫ですか?
東郷:だ、大丈夫だ
金山:それで、ナツキさん。ここはどこなんですか?
ナツキ:ここは無効空間だよ。あ、匂いがしない空間じゃないよ、時間の流れとかいろんな常識とかが作用しない不思議な空間だよ
岡崎:わかったような、わからないような
ナツキ:で、君たちをここに呼んだのは、このままだと金山ちゃんが無実の罪で捕まっちゃうからそれを助ける為なの
金山:やっぱり私捕まるんですね
ナツキ:うん、金山ちゃん気弱だから、東郷さんみたいな圧が強い人に尋問されたら何でもイエスって言っちゃうからね
ナツキ:でも、ちゃんと捜査したら犯人は捕まるんだけど、捜査をかく乱したとかで金山ちゃん大変なことになっちゃうの
岡崎:つまり金山さんは犯人じゃないと?
ナツキ:だからそう言ってるでしょう、岡崎さん
岡崎:でもこちらにも証拠はあるんですよ?
ナツキ:はいはい、それもちゃんとわかってますよー
東郷:マンションの監視カメラはどう説明するんだ!
ナツキ:ちょっと東郷さん!順序って知ってる?まだ誰も監視カメラの話してないのに何で言っちゃうの?
ナツキ:そもそも!僕の予定では金山ちゃんが署に連れていかれて、監視カメラの映像を見せられて、上手く説明ができなくて僕を呼ぶって流れだったのに、すでにめちゃくちゃでイライラしてるのに、何でまた流れ変えちゃうの?
東郷:・・・短い手をパタパタさせて、可愛い
ナツキ:ちょっと!僕の話聞いてる?
東郷:あ、あぁ。すまない、ちゃんと聞いてる
岡崎:ほんとに大丈夫ですか?
東郷:大丈夫だ、問題ない
ナツキ:えーと、どこから説明したらいいのかな?
金山:あの、監視カメラとは?
岡崎:それは、豊田さんの住んで居たマンションに監視カメラが・・・
ナツキ:岡崎てめー!ここから僕の見せ場なのになんでお前が説明してんだよう!
ナツキ:コホン、岡崎さーん。ここは僕に任せてくれるかな
岡崎:はい、お任せします
ナツキ:監視カメラは豊田さんのマンションに付いていたもので、豊田さんがフラフラと帰宅した後に、1人の女性が入っていき一時間後に慌てた様子で出て行った。女性の特徴は・・・岡崎君、頼む
岡崎:え!全部説明しないんですか?
ナツキ:ちょっと飽きたから状況の説明は任せるよ
岡崎:自分勝手だなぁ
ナツキ:あぁん?
岡崎:はいはい。えーと、女性の特徴ですが、身長は150から160センチ。体系は中肉中背ですかね。年齢は20代。服装は黒の帽子と茶色のロングコート。カメラでは顔はわからなかったです。
金山:確かにその条件なら私は当てはまりますね
東郷:お、自白か?
ナツキ:だから、金山ちゃんじゃないって言ってるでしょ!こんな外見に当てはまる女性は結構いるよ
岡崎:じゃあこの女性は誰なんですか?
ナツキ:これは豊田ちゃんだよ
東郷:そんな馬鹿な!
岡崎:豊田さんは部屋で死んでいたんですよ?この女性以降朝まで人の出入りは無かった。まさか別の出入り口が有るとか言うんですか?
ナツキ:いや、出入り口はここだけだよ。でも、この女性は豊田ちゃんだし、死んでるのも豊田ちゃんだよ。
金山:どうゆう事ですか?ナツキさん
ナツキ:部屋で死んでいるのは豊田ちゃんは豊田ちゃんでも、豊田ちゃんの双子の妹だけどね!
東郷:双子!?
金山:妹がいるなんて知らなかった
岡崎:確かに双子の妹がいると聞いてますが、両親が離婚してからバラバラに引き取られて、妹は父親の実家のある大阪で暮らしていてほとんど連絡は取ってないらしいです。なぜその妹が殺されてるんですか?
ナツキ:では、その疑問にお答えしましょう!
岡崎:お願いします
ナツキ:じゃあ準備するから東郷さん手伝って
東郷:何を手伝えば良いんだ?
ナツキ:ここの上に持ち手があるから、下に下げて欲しいんだよ
東郷:うわぁー、短い手を伸ばしながらピョンピョンしてるー可愛い
ナツキ:早くこっち来て!
東郷:あ、あぁ。
東郷:これを下げるのか。よいしょ!
金山:スクリーンが出てきましたね
ナツキ:今からここに豊田さん(姉)が帰宅してからの映像を見せるから
岡崎:え!そんな映像があるんですか?
ナツキ:あるわけないじゃん!それは君たちにわかりやすく伝える為に僕の力を使ったんだよ
岡崎:どうゆう力なんですか?
ナツキ:そんなの説明できる訳ないじゃーん。つべこべ言わずに見る!
:
0:映像流れ始める
ナレーション:三月二〇日、午前零時。豊田のマンション
豊田:あー、今日はよく飲んだ!いや今日も、か。あはは
豊田:金山からメール?「お金は返さなくていいので、もうこれきりにしてください」?何言ってんの?お金はそもそも返す気無いし、結婚式は絶対に出席してもらって笑いものにするし
0:部屋のチャイムが鳴る
豊田:もう来たの?早いなぁ
豊田:鍵!開いてるから入って来なよー!
0:かほ、部屋に入ってくる
豊田:いらっしゃい、こんな深夜に何の用なのよ
かほ:久しぶり、姉さん。何の用って。しらばっくれちゃって。健太さんの事よ
豊田:え?私の彼氏の健太の事?
かほ:あなたのじゃなくて私の、でしょ!
豊田:あれ?おかしいなぁ。健太さんからはもうあんたとは別れたって聞いたけど?しつこい女は嫌われるわよ?
かほ:人の婚約者奪っておいて何言ってんのよ!
豊田:簡単に奪われるのが悪いのよ!まあ、あんたより私のが魅力的なんだから仕方ないんだけどさー
かほ:あなたは昔からそうよ、私が持ってるもの全部横取りして!愛想だけは良いから皆あなたの味方して!
かほ:そんなだからあなたと健太さんを会わせたくなかった。でも、父さんがたった1人の姉さんだし、久し振りに皆で集まろうって。
かほ:どうせ健太さんにも私のある事無い事吹き込んだんでしょ!いつものやり口ね。やっぱり簡単に性格なんて変わらないわね!
かほ:私はやっと自分の幸せを掴めると思ってたの。もうあなたに奪われたくないの
0:かほ、包丁を取り出す
豊田:ちょっと、それ、包丁?私を殺すつもりなの?そんなことしてどうするのよ!?
かほ:あなたを殺して、私も死ぬのよ!
0:かほ、豊田に向かって包丁を刺そうとするが豊田に腕をつかまれる
豊田:死ぬつもりなら1人で死になさいよ!
かほ:あなただけは絶対に許さない!
豊田:やめなさいよ!私はこれから健太さんと幸せになるのよ!
かほ:腕、放しなさいよ!絶対にお前を幸せになんかさせない!
豊田:絶対に放すもんですか!あ!
0:豊田、足を滑らせかほの上に被さる。その拍子にかほの腹部に包丁が刺さる
豊田:う、いたた。足が滑った。
豊田:ちょっと、かほ!え!・・・かほのお腹に包丁が
豊田:かほ!かほったら!・・・どうしよう、すごい血が出てる。
豊田:わ、私のせいじゃないし!この子が勝手に、そもそも私が殺されそうだったんだし。でもこのままだと私が捕まっちゃう
豊田:そうだ!私たちとあいつなら背格好似てるし、いけるかも
ナレーション:まず豊田は自分の手に付いた血液を洗い流し、自分の携帯からかほとの履歴を消してテーブルに置いた。幸いかほは手袋をしていたので指紋を拭き取る手間はなかった。それからかほが脱いでいた上着と帽子を身に着け急いで部屋から出て行った
:
0:映像終了
ナツキ:という事なんだよ
東郷:犯人は豊田だったのか!
金山:豊田さんが、犯人
岡崎:ま、遺体が妹の時点で予想はできましたね
金山:あの、なぜ誰も遺体が豊田さんじゃないと気付かなかったんですか?
岡崎:マンションの管理人が豊田さんだと言い切ってたし、妹さんがこんなに似てて、しかもこの街に来ていると思わなかった。あと、東郷さんが鑑識の結果をちゃんと聞かず突っ走って
東郷:岡崎!
ナツキ:あとぶっちゃけると、作者が頭弱いくせに推理もの書きたいとか、双子を1人2役にして喧嘩したら面白いかなとか思ったせいでかなりずさんな事件になったんだよ!
金山:それはぶっちゃけ過ぎでは?
ナツキ:ま、これで金山ちゃんの無実を証明できた訳だし、みんなを現実世界に返そうか
東郷:え!もう?
岡崎:東郷さん?
東郷:うん、そうだな、早く戻って犯人を捕まえないとな!
岡崎:はい
金山:ナツキさん
ナツキ:なんだい
金山:ありがとうございました
ナツキ:いえいえ。さきちゃんは昔から言いたいことが言えないんだから、これからはもっとしっかりしなよ
金山:え?私の名前?
:
ナレーション:三月二〇日、午前九時四十分。金山のアパート
金山:私の部屋に戻ってきた。今までのは何だったんだろう?
岡崎:金山さん、いいですか?
金山:はい
岡崎:先ほどのナツキさんの事は覚えてますね?
金山:はい
岡崎:犯人はあなたでは無いことはわかったのですが、犯人に最後に会ったのはあなたで変わりないのでやはり一度署で調書を取りたいので我々とご同行願えますか?
金山:はい、わかりました
金山:(M)こうして私は無実の罪で捕まることも、捜査をかく乱させることもなく今日も平和に過ごしています。
金山:(M)後日、実家の母の手帳に挟まれている写真に、青いペンギンの抱き枕を抱えている幼い私が写っていたのだが、それはまた別の話。
0:朝、アパートの一室。チャイムが鳴る。
ナレーション:三月二〇日、午前九時。金山のアパート
金山:はぁ、こんな朝から誰だろう?
金山:はい、どちら様ですか?
岡崎:朝早くにすみません。金山さきさんですか?警察です。お話を伺いたいので開けていただけますか?
金山:え!?警察?
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ナツキ:『探偵不在~容疑者金山さき』
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0:金山の部屋の中。金山のテーブルの向かいに東郷と岡崎が座っている。
岡崎:改めまして、私はコイボネ署の岡崎と言います
岡崎:そしてこちらが
東郷:同じく、東郷
金山:初めまして、金山です。あの、それで話とは何ですか?
岡崎:早速ですが、豊田まほさんという女性はご存知ですか?
金山:はい、高校の同級生ですが。彼女が何か?
岡崎:あのですね、今朝自宅のマンションで亡くなられているのが発見されまして
金山:え?どうして?
岡崎:彼女の携帯に最後にメールをしたのが、金山さんあなたなんですが、昨夜豊田さんと会われていたんですよね?
金山:あ、はい、昨夜久しぶりに会いました
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ナレーション:三月十九日、午後九時。会社から駅に向かう途中
豊田:あれ?もしかして、金山ちゃん?久しぶりじゃーん
金山:(M)突然豊田に声をかけられた。高校を卒業してからは成人式以来。5年ぶりだった
金山:あ、うん、久しぶりです。豊田さん
金山:(M)高校の3年間私は豊田にずっとパシリの様な扱いをされていて、正直もう二度と会いたくないと思っていた
豊田:あんた相変わらず地味だねー。地味過ぎて逆に気づいちゃったよー
豊田:で、今仕事あがり?えー?遅くない?金曜なのに残業?まー、あんた昔から要領悪かったもんね
金山:そうだったかな?あはは・・・
豊田:そうだ、丁度いいから今から飲もう!いいお店があるんだよ!
金山:あ、いや、私あんまり飲めないから
豊田:いいから!ほら行くよ!
金山:(M)そして私は強引にバーに連れていかれた。私たちは奥のカウンター席に座った。私は壁と豊田に挟まれて居心地が悪い中ウーロン茶を飲み始めた。豊田はすでにどこかで飲んでたみたいで上機嫌で近況を話した
豊田:私さー、今最高に幸せなんだよねー。素敵な彼と出会ってー色んなもの買ってもらってー。このままいけば近いうちに結婚しちゃうかもなんだよねー
豊田:で、式挙げるなら楽しい式にしたいじゃん、それであんたになんか余興を頼みたいと思ってたんだよねー
豊田:ほら!あんた歌がめちゃくちゃ下手だったじゃん、すっごい面白かったからさーまた聞かせてよ
金山:え?いや、そんな勝手に・・・
豊田:はい、けってーい!携帯出して!連絡先登録するから!
金山:(M)こんな感じでずっと豊田のペースで話が進み、2時間が過ぎた頃、豊田の電話が鳴った
0:豊田の電話が鳴る
豊田:はい、なんだあんたか。・・・え、今から?わかったよ。30分ぐらいで帰るから。はいはい。あとで
0:豊田、電話を切る
豊田:それじゃ、解散しますかね。
豊田:あ!ごめーん、今日持ち合わせがないんだった。金山ちゃーん、ここの支払いと急いで帰るからタクシー代貸して!
金山:え、私もそんなにお金ないけど
豊田:絶対今度返すから!ね!
金山:(M)結局強く言い返せず豊田にお金を貸して、私は電車で帰宅した
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0:回想、終わり
東郷:つまりお前は豊田の家には行ってないんだな
金山:はい、行ってないです。場所も知らないです
金山:それで、豊田さんはどうして死んだんですか?
東郷:殺人だよ。お前がやったんだろ?
岡崎:ちょっと、東郷さん!まだ決まってないですから!
岡崎:金山さん、失礼しました。
金山:あの、私疑われてるんですか?
東郷:そうだよ!
岡崎:東郷さん、黙ってください!
岡崎:まだいろんな方に聞き込みをしているところです。でも、最後に会ったのがあなただと我々は思っていたので、一番の容疑者ではありました。あなたの話を聞くまでは
金山:・・・
岡崎:豊田さんがあなたと別れる前に電話があったと言いましたが、お相手はわかりますか?
金山:いえ、わからないです。でも、今から会うみたいなことを言っていたと思います
岡崎:そうですか
東郷:本当に電話、あったんだよな?
金山:ありました。それが無かったら何時まで捕まっていたかわからないです
岡崎:豊田さんの携帯に履歴が残ってないので、もしかしたら犯人が消した可能性もありますね
東郷:携帯の指紋は?
岡崎:そうですけど、彼女が嘘をつくとは・・・
東郷:だからお前は甘いんだよ
岡崎:すいません
東郷:じゃあ、金山さん。見てもらいたいものもあるんでちょっと署まで来てもらえますか?
金山:え?今からですか?
岡崎:あ、お仕事ですか?それならこちらから事情を・・・
金山:いえ、今日は休みなので。あの、服を変えたいので少し良いですか?
岡崎:はい、お待ちします
東郷:逃げるなよ
金山:・・・
0:金山、奥の部屋で着替える
金山:なんでこんな事になってしまったんだろう。私じゃないのにあの人たちは私だと決めつけてる
金山:ん?上着に何か入ってる。これは!?
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ナレーション:三月十九日、午後十一時四十分。
金山:(M)豊田を乗せたタクシーを見送ってから、駅に向かう途中で怪しい占い師に会った
ナツキ:ちょっと、そこのお嬢さん
金山:・・・
ナツキ:お待ちなさい、金山さん
金山:え?私?なんで名前を知ってるんですか?
ナツキ:そんなことはいいの、お嬢さん
金山:あの、何ですか?お金はもう無いですけど
ナツキ:いやいや、少し話すだけだから。あなた、久しぶりの再会に疲れているんだろ?
金山:え!ええ、まあ
ナツキ:今でも彼女が憎いかい?
金山:いえ、今は別に
ナツキ:そうかい。この後、彼女のせいであなたは大変なことに巻き込まれるよ
金山:え!どんな事ですか?
ナツキ:それは言えない。でも、あなたの気が弱いせいで面倒なことになるの
金山:・・・はぁ
ナツキ:だからあなたにこれをあげる
金山:これは?あ、懐かしい
ナツキ:あなたがヤバいと思った時、その吹き戻しを吹くのです。そうしたら状況が一変するから
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0:回想終わり
金山:で、そのままポケットに入れたままだった
金山:こんなおもちゃで何が変わるのかな?
東郷:おい!まだ着替えてるのか?早くしろ!
金山:も、もう少し待ってください
金山:ヤバい!このままじゃ犯人にされてしまう、とりあず吹いてみよう。フーーーー!
0:金山、吹き戻しを吹く
0:その瞬間、金山、東郷、岡崎の三人は真っ黒い空間に立っていた
金山:なに、ここ?
東郷:おい!ここはどこだ!
金山:え!私に聞かれても・・・
岡崎:どっちを見ても真っ黒ですね
岡崎:あれ?なにかがいる?
0:どこからかスポットライトが点く。そこにナツキがいる
ナツキ:え?もう出番?
岡崎:なにこれ?青いペンギンのぬいぐるみが喋ってる
東郷:・・・可愛い
ナツキ:ちょっと金山ちゃーん、吹くの早いよー。署に着いてからかと思ってたのにー
岡崎:金山さん?これはあなたの仕業ですか?
金山:私もなにがなにやら
ナツキ:金山ちゃーん、昨日渡したやつ吹いたでしょ?
金山:吹きましたけど、え?まさかあのうさん臭い占い師が?
ナツキ:そうだよ、僕だよ!でも、うさん臭いは余計だよ!
ナツキ:コホン、みなさん初めまして、僕はナツキ!気軽にナツキって呼んでね。たまに「おい、ペンギン」とか「青い鳥」とか「ブルーバード」とか呼ばれるけど、どれも気に入ってるからどれでも大丈夫だよ!
岡崎:どれでもいいのかよ!
東郷:ぺんぎん、動いてる・・・可愛い
岡崎:東郷さん?大丈夫ですか?
東郷:だ、大丈夫だ
金山:それで、ナツキさん。ここはどこなんですか?
ナツキ:ここは無効空間だよ。あ、匂いがしない空間じゃないよ、時間の流れとかいろんな常識とかが作用しない不思議な空間だよ
岡崎:わかったような、わからないような
ナツキ:で、君たちをここに呼んだのは、このままだと金山ちゃんが無実の罪で捕まっちゃうからそれを助ける為なの
金山:やっぱり私捕まるんですね
ナツキ:うん、金山ちゃん気弱だから、東郷さんみたいな圧が強い人に尋問されたら何でもイエスって言っちゃうからね
ナツキ:でも、ちゃんと捜査したら犯人は捕まるんだけど、捜査をかく乱したとかで金山ちゃん大変なことになっちゃうの
岡崎:つまり金山さんは犯人じゃないと?
ナツキ:だからそう言ってるでしょう、岡崎さん
岡崎:でもこちらにも証拠はあるんですよ?
ナツキ:はいはい、それもちゃんとわかってますよー
東郷:マンションの監視カメラはどう説明するんだ!
ナツキ:ちょっと東郷さん!順序って知ってる?まだ誰も監視カメラの話してないのに何で言っちゃうの?
ナツキ:そもそも!僕の予定では金山ちゃんが署に連れていかれて、監視カメラの映像を見せられて、上手く説明ができなくて僕を呼ぶって流れだったのに、すでにめちゃくちゃでイライラしてるのに、何でまた流れ変えちゃうの?
東郷:・・・短い手をパタパタさせて、可愛い
ナツキ:ちょっと!僕の話聞いてる?
東郷:あ、あぁ。すまない、ちゃんと聞いてる
岡崎:ほんとに大丈夫ですか?
東郷:大丈夫だ、問題ない
ナツキ:えーと、どこから説明したらいいのかな?
金山:あの、監視カメラとは?
岡崎:それは、豊田さんの住んで居たマンションに監視カメラが・・・
ナツキ:岡崎てめー!ここから僕の見せ場なのになんでお前が説明してんだよう!
ナツキ:コホン、岡崎さーん。ここは僕に任せてくれるかな
岡崎:はい、お任せします
ナツキ:監視カメラは豊田さんのマンションに付いていたもので、豊田さんがフラフラと帰宅した後に、1人の女性が入っていき一時間後に慌てた様子で出て行った。女性の特徴は・・・岡崎君、頼む
岡崎:え!全部説明しないんですか?
ナツキ:ちょっと飽きたから状況の説明は任せるよ
岡崎:自分勝手だなぁ
ナツキ:あぁん?
岡崎:はいはい。えーと、女性の特徴ですが、身長は150から160センチ。体系は中肉中背ですかね。年齢は20代。服装は黒の帽子と茶色のロングコート。カメラでは顔はわからなかったです。
金山:確かにその条件なら私は当てはまりますね
東郷:お、自白か?
ナツキ:だから、金山ちゃんじゃないって言ってるでしょ!こんな外見に当てはまる女性は結構いるよ
岡崎:じゃあこの女性は誰なんですか?
ナツキ:これは豊田ちゃんだよ
東郷:そんな馬鹿な!
岡崎:豊田さんは部屋で死んでいたんですよ?この女性以降朝まで人の出入りは無かった。まさか別の出入り口が有るとか言うんですか?
ナツキ:いや、出入り口はここだけだよ。でも、この女性は豊田ちゃんだし、死んでるのも豊田ちゃんだよ。
金山:どうゆう事ですか?ナツキさん
ナツキ:部屋で死んでいるのは豊田ちゃんは豊田ちゃんでも、豊田ちゃんの双子の妹だけどね!
東郷:双子!?
金山:妹がいるなんて知らなかった
岡崎:確かに双子の妹がいると聞いてますが、両親が離婚してからバラバラに引き取られて、妹は父親の実家のある大阪で暮らしていてほとんど連絡は取ってないらしいです。なぜその妹が殺されてるんですか?
ナツキ:では、その疑問にお答えしましょう!
岡崎:お願いします
ナツキ:じゃあ準備するから東郷さん手伝って
東郷:何を手伝えば良いんだ?
ナツキ:ここの上に持ち手があるから、下に下げて欲しいんだよ
東郷:うわぁー、短い手を伸ばしながらピョンピョンしてるー可愛い
ナツキ:早くこっち来て!
東郷:あ、あぁ。
東郷:これを下げるのか。よいしょ!
金山:スクリーンが出てきましたね
ナツキ:今からここに豊田さん(姉)が帰宅してからの映像を見せるから
岡崎:え!そんな映像があるんですか?
ナツキ:あるわけないじゃん!それは君たちにわかりやすく伝える為に僕の力を使ったんだよ
岡崎:どうゆう力なんですか?
ナツキ:そんなの説明できる訳ないじゃーん。つべこべ言わずに見る!
:
0:映像流れ始める
ナレーション:三月二〇日、午前零時。豊田のマンション
豊田:あー、今日はよく飲んだ!いや今日も、か。あはは
豊田:金山からメール?「お金は返さなくていいので、もうこれきりにしてください」?何言ってんの?お金はそもそも返す気無いし、結婚式は絶対に出席してもらって笑いものにするし
0:部屋のチャイムが鳴る
豊田:もう来たの?早いなぁ
豊田:鍵!開いてるから入って来なよー!
0:かほ、部屋に入ってくる
豊田:いらっしゃい、こんな深夜に何の用なのよ
かほ:久しぶり、姉さん。何の用って。しらばっくれちゃって。健太さんの事よ
豊田:え?私の彼氏の健太の事?
かほ:あなたのじゃなくて私の、でしょ!
豊田:あれ?おかしいなぁ。健太さんからはもうあんたとは別れたって聞いたけど?しつこい女は嫌われるわよ?
かほ:人の婚約者奪っておいて何言ってんのよ!
豊田:簡単に奪われるのが悪いのよ!まあ、あんたより私のが魅力的なんだから仕方ないんだけどさー
かほ:あなたは昔からそうよ、私が持ってるもの全部横取りして!愛想だけは良いから皆あなたの味方して!
かほ:そんなだからあなたと健太さんを会わせたくなかった。でも、父さんがたった1人の姉さんだし、久し振りに皆で集まろうって。
かほ:どうせ健太さんにも私のある事無い事吹き込んだんでしょ!いつものやり口ね。やっぱり簡単に性格なんて変わらないわね!
かほ:私はやっと自分の幸せを掴めると思ってたの。もうあなたに奪われたくないの
0:かほ、包丁を取り出す
豊田:ちょっと、それ、包丁?私を殺すつもりなの?そんなことしてどうするのよ!?
かほ:あなたを殺して、私も死ぬのよ!
0:かほ、豊田に向かって包丁を刺そうとするが豊田に腕をつかまれる
豊田:死ぬつもりなら1人で死になさいよ!
かほ:あなただけは絶対に許さない!
豊田:やめなさいよ!私はこれから健太さんと幸せになるのよ!
かほ:腕、放しなさいよ!絶対にお前を幸せになんかさせない!
豊田:絶対に放すもんですか!あ!
0:豊田、足を滑らせかほの上に被さる。その拍子にかほの腹部に包丁が刺さる
豊田:う、いたた。足が滑った。
豊田:ちょっと、かほ!え!・・・かほのお腹に包丁が
豊田:かほ!かほったら!・・・どうしよう、すごい血が出てる。
豊田:わ、私のせいじゃないし!この子が勝手に、そもそも私が殺されそうだったんだし。でもこのままだと私が捕まっちゃう
豊田:そうだ!私たちとあいつなら背格好似てるし、いけるかも
ナレーション:まず豊田は自分の手に付いた血液を洗い流し、自分の携帯からかほとの履歴を消してテーブルに置いた。幸いかほは手袋をしていたので指紋を拭き取る手間はなかった。それからかほが脱いでいた上着と帽子を身に着け急いで部屋から出て行った
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0:映像終了
ナツキ:という事なんだよ
東郷:犯人は豊田だったのか!
金山:豊田さんが、犯人
岡崎:ま、遺体が妹の時点で予想はできましたね
金山:あの、なぜ誰も遺体が豊田さんじゃないと気付かなかったんですか?
岡崎:マンションの管理人が豊田さんだと言い切ってたし、妹さんがこんなに似てて、しかもこの街に来ていると思わなかった。あと、東郷さんが鑑識の結果をちゃんと聞かず突っ走って
東郷:岡崎!
ナツキ:あとぶっちゃけると、作者が頭弱いくせに推理もの書きたいとか、双子を1人2役にして喧嘩したら面白いかなとか思ったせいでかなりずさんな事件になったんだよ!
金山:それはぶっちゃけ過ぎでは?
ナツキ:ま、これで金山ちゃんの無実を証明できた訳だし、みんなを現実世界に返そうか
東郷:え!もう?
岡崎:東郷さん?
東郷:うん、そうだな、早く戻って犯人を捕まえないとな!
岡崎:はい
金山:ナツキさん
ナツキ:なんだい
金山:ありがとうございました
ナツキ:いえいえ。さきちゃんは昔から言いたいことが言えないんだから、これからはもっとしっかりしなよ
金山:え?私の名前?
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ナレーション:三月二〇日、午前九時四十分。金山のアパート
金山:私の部屋に戻ってきた。今までのは何だったんだろう?
岡崎:金山さん、いいですか?
金山:はい
岡崎:先ほどのナツキさんの事は覚えてますね?
金山:はい
岡崎:犯人はあなたでは無いことはわかったのですが、犯人に最後に会ったのはあなたで変わりないのでやはり一度署で調書を取りたいので我々とご同行願えますか?
金山:はい、わかりました
金山:(M)こうして私は無実の罪で捕まることも、捜査をかく乱させることもなく今日も平和に過ごしています。
金山:(M)後日、実家の母の手帳に挟まれている写真に、青いペンギンの抱き枕を抱えている幼い私が写っていたのだが、それはまた別の話。