声劇台本置き場

ソウタ：ねえ。ユウカ。 ユウカ：んー？どうしたの？ ソウタ：今日、久しぶりに花屋に行ってきたんだ。 ユウカ：あら素敵ね！もしかして！お花買ってきてくれたの？ ソウタ：アネモネを、買ってきたんだ。ここに飾っておくね。 ユウカ：わー！とってもきれいね！ありがとうソウタ！ ユウカ：あれ、今日は赤じゃなくて黄色なのね。なんだか新鮮ね！ ソウタ：…。 ユウカ：どうしたの？なにかあった？ ソウタ：最近、なにもかもうまく行かなくてさ。少し、疲れたんだ。 ユウカ：そうなんだ、でも。ソウタは頑張ってると思うけどな、私は。 ソウタ：会社でさ、ずっと普通ならしないようなミスばっかりしちゃって、あの鬼上司にも後輩にも心配されて。ほんと、不甲斐ないよなぁ、俺。 ソウタ：いっそ怒鳴ってほしいくらいだよ。ハハハ…。 ユウカ：そっか。きっと、疲れてるんだよソウタは。だから後輩くんにも上司さんにも心配されてるんだよ。 ソウタ：…。 ソウタ：ユウカに励まされると俺、すごく元気出たんだよなぁ。 ソウタ：それこそ、ユウカが応援してくれてるって思ったら、俺は何でもできるような、ヒーローになった気になるんだ。 ユウカ：なにそれ。でも実際君は私のヒーローだったよ。 ： ソウタ：なあ。あの日のこと覚えてる？ ユウカ：当たり前でしょ。あの日があったからソウタと知り合えたんだからさ。 ソウタ：あの日。たまたま君が会社のベンチでうなだれているのを見かけてさ。俺てっきり、君にきのこでも生えてるんじゃないかって思ったよ。ハハハ。 ユウカ：あ、あのときは！入社したばっかりで慣れない環境だし、仕事も訳解んないしで、しんどくなってたんだよね。 ユウカ：あー、思い出しただけでしんどくなってきた…。 ソウタ：それでどうしたんだろうって思って、君に声をかけたんだ。 ユウカ：ソウタってばいきなりコーヒー缶渡してくるから一瞬不審者かと思ったよ。 ソウタ：やっぱり、先輩としても後輩の悩みを聞くのは大事な仕事だと思ってるからさ、君の助けになれればいいなって思ったんだよね。 ユウカ：ソウタ、すごく気さくに話してくれるから、私てっきり、同じ新入社員かと思ったよ。 ソウタ：君の話を聞いてると、なんだか昔の自分を見ている気分でさ。きっと、昔の自分が欲しかった言葉を君に言っていたのかもしれないな。 ユウカ：そうそう！「大丈夫。君が悩んでいるのは頑張っている証拠だ。同じ会社の人間として、そんな君と働いていることを、俺はとても嬉しく思うよ。」だっけ。当時のわたしにとってはその言葉がすごく暖かくって、すごく嬉しかったなあ。 ソウタ：そしたらユウカ。こっちを見ながら涙ボロッボロ流すから、俺なにか言っちゃったかなって、すごく焦ったよ。アハハ。（ユウカのセリフ中も笑う） ユウカ：ちょっと！笑わないでよ！仕方ないじゃん、私だっていっぱいいっぱいだったんだから。 ソウタ：アハハ、ハハ、はあ。…。 ： ソウタ：そのあと、君と連絡先を交換して、何回かご飯に行ってさ、明るくて、ひたむきでコロコロ表情が変わる君に、だんだんと俺は、惹かれていったんだよな。 ユウカ：私も、優しくて暖かくて、一緒にいると楽しくて安心できる、そんなソウタを好きになるのにそう時間はかからなかったなあ。 ソウタ：そういえば！君に告白したとき、また君大泣きしてたっけ。 ユウカ：あー！また言う！だって嬉しかったんだから仕方ないじゃん！ ソウタ：思い出したら、アハハ！ハハ、はあ…。 ： ソウタ：それから君と恋人になって、一緒に暮らして、 ソウタ：俺、君との結婚も結婚後のことも考えててさ。 ユウカ：そうだね。私もソウタと結婚して、世界一幸せな家庭を作るんだって思ってる！ ソウタ：君とこれからも永遠に生きるんだって思ってた。 ユウカ：うん。私もソウタとずっと一緒に生きていくんだって思ってるよ。 ： ユウカ：あ〜。そろそろ私も職場に戻らなきゃな〜。ソウタと一緒に暮らすためにも、結婚するためにも！お金はあるにこしたことないしね！ ソウタ：…。クッソ…。（ユウカに聞こえない声で） ユウカ：よぉし！思い立ったら即行動！職場復帰の連絡入れなくちゃだね！ ： ０：（しばらくの沈黙） ： ユウカ：あれ、ソウタ？どう__(したの？) ソウタ：ほんとに、ずっと、一緒だと、思ってたんだ……。 ユウカ：えっと？ずっと一緒だよ？どうしたの？な＿(にかあった？） ソウタ：なんで、なんで……。 ユウカ：どう、したの？ねえ＿(ソウタ？） ソウタ：なんでいなくなっちゃうんだよ…。 ： ０：（しばらくの間、ソウタのすすり泣く声だけが響く） ： ユウカ：…。え？どういうこと？ねえ、ソウタ？ソウタ？ ソウタ：君が、君があの日、事故にあったあの日から、俺は、俺はずっと、モノクロの世界にいるような気分だよ。 ユウカ：え？ハハ…え？ちょっと、変な嘘つかないでよ〜。 ユウカ：私びっくりしちゃったじゃーん。アハハ。 ユウカ：ねぇってば〜(ソウタに触れようとする。) ： ソウタ：（静かに泣く） ： ユウカ：え…。あれ。え？ ユウカ：（触れようとする。） ソウタ：君が、ここにいたら俺は、何も要らないよ… ユウカ：ソウタ？え？ここにいるじゃん。私ずっとソウタと話してたじゃん。なんで？…どういうこと？ ソウタ：あー、だめだな。俺、ユウカがいなくなってずっとダメダメだ。はは…。 ： ： ０：（同時に話す。） ユウカ：ねえ、ソウタ？ここにいるよ？あれ、なんで触れないの？なんで、なんで。ねえ。ねえ！ここに私は！あなたの隣にいる！ずっといるよ！ねえ！気づいてよ。お願い！一緒に生きていくって約束したじゃん！ねえ！ねえ！ ： ソウタ：きっと、きっと君が隣にいたらきっと、笑って慰めてくれるんだろうな。大丈夫だよ。ソウタは頑張ってるよ。偉いじゃん。って、なんで、なんで隣にいないんだよ。なんで、君はここに、世界にいないんだよ。なんで、君なんだよ…。 ０：（できれば同時に。） ユウカ：一緒に生きていくって約束したじゃん…。 ： ソウタ：一緒に生きていくって約束したのに…。 ： ０：しばらくの沈黙 ： ソウタ：あー。ダメダメだな俺！ ソウタ：（顔を叩き気合を入れる。） ソウタ：よし！ごめんなユウカ。ずっとこんなんじゃいけないよな！ ソウタ：俺ちょっと、気分転換にそこらへん散歩してくるわ！後で君の分も夕飯作るから！ ソウタ：それじゃ、いってきます！ ０：ソウタが部屋を出る。 ： ： ユウカ：そっか、私。もう、死んでるのか。 ユウカ：…。 ユウカ：最後にソウタに触れたの、いつだっけ。 ユウカ：嫌だなあ。もっと、もっとソウタと、一緒に生きたかったな。 ユウカ：でも…。 ユウカ：そろそろいかないとだよね。 ユウカ：…。 ユウカ：またね。ソウタ。 ユウカ：ゆっくり、ほんとにゆっくり来るんだよ！ ユウカ：すぐに来たら、この私が許さないんだから！ ユウカ：たくさん思い出作って、たっくさん私にお土産持ってくるんだよ！ ユウカ：じゃあ、のんびり待ってるから！ ユウカ：…バイバイ。 ０：ユウカ退場。 ： ０：長めの間 ： ニュース：それではニュースをお伝えします。昨日午後７時３８分頃。６０代の男性が運転する大型車両が３０代男性をはねる事故が発生しました。この事故で、３０代男性は… ： ： End.