台本概要

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タイトル Bloody Sisters
作者名 美兎  (@45450721Tama)
ジャンル ファンタジー
演者人数 3人用台本(女2、不問1) ※兼役あり
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 「Bloody」シリーズ第一作目です!

本作は殺し屋・ブラディー姉妹と謎のテロリスト・常闇による死闘を描いたお話です

続編も制作中なのでお楽しみに!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
シャーン 78 双子妹。本名はシャーン・ブラディー。明るい性格だが思い通りにならないとヒステリックになる。17歳
シャド 85 双子姉。本名は、シャド・ブラディー。冷静沈着で頭が切れる。17歳
常闇 不問 54 正体不明のテロリスト。本来はとても用心深く滅多に姿を現さない。30~35歳。ナレーションとの兼
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
ナレーション:(常闇役)ここは闇の国・ディスタニア。人間社会から追放された咎人によって構成されている。治安は深刻レベルで、殺人、強盗、強姦、密売など当たり前に犯罪が起きている ナレーション:(常闇役)そんなディスタニアでは今日も嵐の前の静けさに包まれていた 0:(間) シャーン:「はぁ……。疲れたぁ…」 シャド:「シャーン。任務はまだ残ってるよ。地面に寝転がらないで」 シャーン:「やだー!お腹空いたぁ!お肉が食べたいよ!」 0:ー駄々をこねるシャーンに視線が集まる シャド:「騒がないで……周りの人が見てるから…」 シャーン:「だって朝からなんにも食べてないんだよ!?」 シャド:「気持ちはわかるけど……、この任務が終わるまでは何も食べられないよ?」 シャーン:「え~〜〜〜〜〜〜」 シャド:「ほらさっさといくわよ……」 0:(間) シャド:(M)私達は双子の姉妹で殺し屋をやっている。となりのこの子、シャーンは私の妹だ シャド:(M)私達は今、「ある奴」を殺すために任務を遂行している最中だ 。…ターゲットは『常闇』。私達の組織「赤月」はこいつを殺すことに力を入れてる シャド:(M)シャーンと一緒にずっと奴を探しているけど全く姿を現さない…。リーダーから聞いた話では、とても用心深く、殺気を消していても殺し屋の存在に気付いてしまうのだという シャーン:「あいつ、どこにも現れないね」 シャド:「ええ。特徴はわかっているけど、ものすごく周囲を警戒しながら動いているということね」 シャーン:「コソコソ動き回っててめんどくさい〜…いっそこの街ごと爆破しちゃえばいいんじゃない?」 シャド:「…はぁ、そんなことしたら一般人が巻き添えを喰らうじゃない。…私達の目的はあくまでも常闇を殺すことにある。関係のない一般人まで巻き込んだら組織からクビどころでは済まされないわよ?」 シャーン:「面倒くさぁ……」 シャド:「とにかく根気強く粘りましょう。そうすれば必ずあいつに近づくチャンスはくるはずよ」 シャーン:「で、だいたい場所はわかってたりするの?」 シャド:「この街の怪しいと思うような場所は全て確認したけど、奴と思われる姿は見当たらなかったわ」 シャーン:「…捜索力に長けたシャドが見つけられないならお手上げじゃない?」 シャド:「でも確実に奴はこの街にいるわ。…一般人に扮して必ず私達の動向を見ている」 シャーン:「何にも視線とか感じないけどねぇ。何を根拠にこの辺のエリアにいると確信したの?」 シャド:「……特にこれといってないわ。こればっかりは長年殺し屋をやってきた勘としか……」 シャーン:「ふーん…、正直納得はできないけど、シャドがそう言うならそうなんだろうねぇ」 0:(間) 0:二人の前を怪しい空気が過(よぎ)る シャド:「…っ!」 シャーン:「…何、いまの…?(冷や汗をかく)」 シャド:「……凍えるような風…。間違いない……!奴はすぐ近くにいる……!」 シャーン:「殺意はなかったけど…明らかに異質な雰囲気を感じたよ!…シャド…あんなのに勝てるの?あたしたち……」 シャド:「組織の命令なんだからやるしかないでしょ……失敗すれば…私達の命だって無事で済むかわからないんだから…」 シャーン:「そ、そうだね!なんとしてでもあいつを殺さなきゃ!」 0:(間) 0:ー『常闇』らしき人物を追いかけて走る二人。…30分近く追いかけて街の外れに着く シャーン:「はぁ…、ここまで来ちゃったけど…」 シャド:「……妙ね」 シャーン:「…なにが?」 シャド:「確かに私達は奴の気配を感じた。それを察して…こっちも細心の注意を払いながら追いかけてきたけど……」 0:(少しの間。沈黙) シャド:「どうしてこんなにもあっさりと私達の追跡を許してくれたのか……」 シャーン:「そんなのあたしたちに気付いていないだけじゃないの?」 シャド:「だったらどうして……」 0:(3秒待つ) シャド:「……どうして……あいつの気配はここで止まっているの?」 0:そのとき 常闇:?『答えは簡単だ。私がお前達を"見ていたから"だ』 シャーン:「……!」 シャド:「…はぁ…。そういうことだと思ったわ」 シャーン:「どういうこと?あたし達最初からこいつに嵌められてたってことなの?」 シャド:「……そうなるわね」 シャーン:「じゃあ、どうして罠ってわかってて追いかけたの?」 シャド:「こいつは私達と真っ向から戦うつもりでいた…。どういうつもりかは知らないけど…ついていけば必ず姿を現すと踏んだのよ」 0:(間) シャド:「…さぁ、さっさと姿を現しなさい!常闇!…決着をつけましょう!!」 常闇:『ハッハッハ……、まあそう焦るな。すぐにお前達を地獄に送ってやるから』 シャーン:「……嫌な奴。あたし、お前嫌い」 0:ー常闇が暗闇から姿を現す シャド:「……。」 シャーン:「…!」 常闇:「すぐにでも襲いかかって来そうな凄まじい殺気だな。…やはりお前達は、私の力を持ってしても簡単にはいかなそうだ……」 シャド:「世界的にも有名なテロリストであるあんたから、そんな言葉をもらえるなんて光栄。……でもあんたのしてることは許されることではないけどね」 常闇:「お前たちがしてることも善ではないだろう。ヒーロー気取りしているが、結局殺し屋は所詮殺し屋だ、違うか?」 シャド:「……私達が殺しているのは、殺されても仕方がない者達ばかりよ。ヒーローだとは思わないけど……組織が命令を出した以上、あんたを自由の身にしておくことはできない!」 常闇:「フン。やってみろ。お前ら二人まとめてここで終わりなのだから…」 シャド:「……そう?それはどうかしら」 0:刹那ーーーシャーンが常闇の死角を突く 常闇:「……!」 0:シャーンは目にも止まらぬ速さで距離をつめて常闇に短刀(たんとう)で斬り掛かる! 0:ガンッ! シャーン:「……!?」 常闇:「素晴らしいスピードだ。さすがは赤月の殺し屋…なかなか楽しませてくれるな」 0:常闇は恐ろしく速い動作で構えたナイフでシャーンの短刀を受け止める シャーン:(M)どうなってんの!?殺気も消してた!なのに!それなのになんで…! 常闇:「二流ならこの奇襲に反応できなかっただろうが…今お前の目の前にいるのは、幾千万もの死線を乗り越えてきた人間だ。桁が違うぞ?」 シャド:「…はは…噂以上の怪物ね…あんたは…」 0:シャーンは常闇に攻撃を繰り出し続ける シャーン:「ハァ!…ハァァ!!」 常闇:「無駄だ。刃の軌道が簡単に読めてしまう。……先程よりもキレが落ちているぞ小娘!」 0:常闇は右足で軽々とシャーンを蹴り飛ばす シャーン:「……ぐぁっ!」 0:シャーンは吹き飛んだが、綺麗に地面に着地する 常闇:「…お前だけではまるで話にもならん。…もう一人、そこにいるお前も束になってかかってこい。纏めて殺してやる」 シャド:「……」 常闇:「それとも…お前は非戦闘員か?」 0:(少しの間) シャド:「……えぇそうよ…。…私は戦えないわ」 常闇:「ハハハッ!面白い冗談だな!!」 シャド:「…っ。(汗をかくシャド)」 常闇:「ブラフは通じないぞ。素人は誤魔化せても私の目は誤魔化せない。……若い割にはかなり力を隠すのが上手いようだが…、私にはお前の本質がよく見える」 シャド:「……ふふ…(焦りを隠しながら)さすがは神出鬼没の常闇ね。私達が今まで戦ってきた奴らとはまるで次元が違うわ……正直戦いたくはない……けど!」 0:刹那、シャドは消えていつの間にか常闇の背後に回り込んでいた 常闇:「……!」 0:常闇は間一髪、シャドの短刀の刃を回避する シャド:「…クソッ!やっぱりダメか…!」 常闇:(M)今のは危なかったな…。もう一人の奴もそうだがこいつら……殺気と闘気を隠す技術が異様に高い。……赤月はこんな怪物たちを飼い慣らしていたのか… シャド:(M)私達の奇襲を二度も回避するなんて……一体、どうすれば勝てる…? 0:(間) シャーン:「はぁぁぁぁぁぁ!!」 0:常闇へ斬り掛かる 常闇:「……ふん」 シャーン:「ヴッ!」 0:腹に蹴りを入れられるシャーン シャーン:「…ハァ…、ハァ…!」 常闇:「さっきから同じパターンだな。どうした?さっきまでのキレは。……そのままでは本当に死ぬぞ?」 0:様子がおかしいシャーン シャーン:「…うるさい!うるさい!!黙れぇ!!」 シャーン:「殺す殺す殺す殺す殺す殺す!目障りなんだよお前ぇ!!」 シャド:(M)まずいわね……そろそろシャーンが持たなくなってきた…… シャド:(M)いつもは明るい性格の子だけど、空腹で追い詰められると、私でも止められないくらいの暴れ馬になってしまう…… シャド:(M)暴れ馬になったこの子は、動きはより素早くなるし、パワーも段違いだけど……理性が仕事をしなくなるから隙だらけになる……。…当然『常闇』にこの戦術は通用しない シャド:(M)はぁ…、こんなことなら少しだけ食べ物を与えておくんだったわ…。私としたことが……失敗ね…… シャーン:「死ね!死ね!死んじゃえ常闇なんて!!」 常闇:「……はぁ…。失望した」 0:常闇は涼しい顔をしながらシャーンの攻撃を避ける シャーン:「……死ね!死んでよ!!いい加減うざいんだよお前ぇぇぇ!!」 常闇:(M)さっきよりもパワーとスピードは格段に上がったが…隙だらけすぎる。こんな下らない戦術で…私を殺せると本気で思っているのかこの小娘は…… 常闇:「……実に不愉快だ」 0:今まで一番強烈な打撃をシャーンに食らわせる シャーン:「ぐふっ……!」 常闇:「……この程度か」 シャド:「シャーン!!」 常闇:「もはやお前のような小娘に興味は無い。このまま殺してやる」 シャーン:「……かはっ……」 シャド:「シャーン!起きて!死ぬわよ!」 シャーン:「……うっ…」 0:常闇はシャーンの髪を引っ張りあげ、首元にナイフの刃を突きつける シャド:「…やめて!その子は私の大切な妹なの!たった一人の家族なの!!殺さないで!!」 シャーン:「……う…ぅ…、お姉…ちゃん……」 常闇:「姉妹共々…無様だな…」 0:常闇はナイフの刃をシャーンの喉元へほんの少し刃を突き刺す シャーン:「……あ…ぁぁぁ……」 シャド:「シャーン!シャーン!!!」 常闇:「死ね…」 0:(間) 0:ー刹那 常闇:「…!」 0:常闇の身体に弾丸が突き刺さる 常闇:「ぐ…あああああああ!!」 シャーン:「……な…に…?」 シャド:「はぁ……。間一髪……」 常闇:「……小娘……貴様……!」 シャーン:「……どういうこと……?シャド……」 シャド:「もしもの時の為にスナイパーを呼んでおいたのよ」 シャーン:「い、いつの間に……」 シャド:「あいつに会った時点で仕込んでおいた。私達だけで倒せるかはわからなかったもの」 シャーン:「……あはは…さすがはあたしのお姉ちゃんだ…」 シャド:「…まだ動ける?」 シャーン:「…正直、結構…体が痛いけど…でもまだ意外と動けるかも……」 常闇:「……くそっ……油断したな……」 シャーン:「…なんで、銃弾を受けたのにまだ動けるの……?」 シャド:「防弾チョッキでも着込んでたんでしょ。用心深いあいつの事だから、それも想定済み」 シャド:「とにかくこちらの勝率が上げられればそれでいい。…悪く思わないでね、常闇。私達はどうしてもあんたを殺さなきゃいけないんだ!」 常闇:「なかなかやるな。周囲に伏兵がいるかもしれないとは思ったが……、ククク…、まさかあんな長距離から撃ってくるとは……」 シャド:「はは…やっぱりあんた化け物ね」 シャーン:「被弾してもまだ油断できないね……。どうする?シャド」 シャド:「……こいつを殺すには私達二人で力を合わせるしかない……。『アレ』をやろう……」 シャーン:「…!…『アレ』…!?……オッケー!やろう!二人揃えば最強ってことをあいつに見せつけてやるんだ!!」 0:(間) 0:ーシャーンとシャドは絶妙なコンビネーションで常闇へ襲いかかる シャーン:「はぁ!!」 シャド:「……ふっ!」 常闇:「……チッ」 0:ーダメージを負いながらも2人の攻撃をしっかり回避する常闇 シャーン:「…まだまだだよぉ!!」 0:ー短刀による連撃を続けるシャーン 常闇:「……クッ…!」 シャド:「……そこ!」 0:ーシャドの短刀が常闇の脇腹をかする 常闇:「……クソ…!」 シャーン:「はぁぁぁ!」 常闇:「調子に乗るなぁぁ!!」 0:ー常闇はシャーンへ反撃する シャーン:「……ぐっ…!」 シャド:「シャーン!大丈夫!?」 シャーン:「……平気…。致命傷は避けたよ…!」 常闇:(M)さっきの弾丸…致命傷は避けたが、スピードの高いこいつらを同時に相手にするのはかなり難儀だな…… 常闇:(M)撤退が最優先……むしろそれしか選択肢がないのは分かっている……。……だが…私はこいつらから逃げられるのか……? シャド:(M)常闇の動きはかなり鈍くなっている…。おそらく、今この状況下で私達二人を相手にするのは分が悪い。……こいつは何が何でも私から逃げたいはずだろう シャド:(M)やるなら今しかない。シャーンと私にしかできない究極のコンビネーション。…チャンスは一度きり。…タイミングは…、あいつが逃げるために私達に背を向けた……その一瞬……そこを突く! 0:(間) 0:刃を交え続けるシャーンと常闇 シャーン:「はぁ!!」 常闇:「ふんっ!!」 シャーン:「くっ…!」 0:常闇はシャーンから距離を取る シャーン「:……!」 常闇:「ようやく冷静になったな。…お前はなかなか戦闘のセンスを秘めている」 シャーン:「当たり前じゃん!あたしは天才なんだから!同じ天才のシャドが居れば、あたし達は無敵!!あんただって殺せるんだから!!」 常闇:「…ハハハ!それでいい。私を何が何でも殺そうとする意思……。ここまでの殺意を向けられたのは久しぶりだ!私は逃げも隠れもしない!…最後の力を振り絞って…、全力でかかってこい小娘共!!」 常闇:(M)そうだ。逃げる必要など…どこにもない。……『赤月』よ、お前達が私の命を狙うというのならば…受けて立とう!!…私は何度だって抗ってやる!『あいつ(あの子)』を奪った連中へ、復讐するまで、私は死ぬつもりなど毛頭ない!! シャーン:(M)何?この静かな殺気……。……こいつの雰囲気……弱ってるはずなのに…、さっきから冷や汗が止まらない……! 常闇:「さっきから何を企んでいる?」 シャーン:「……は…?何が……?(動揺気味に)」 常闇:「とぼけるな。今のお前たちの動きとその位置取りを見れば簡単にわかる。……今、お前達は『チャンス』を待っているんだろう?」 シャーン:「……くっ……!」 シャド:「……」 常闇:「…お前の方、シャドと言ったか?……その秘策はお前が主導で行なわれるもの…。…つまり、核であるお前を潰せばその作戦は無意味になる?違うか?」 シャド:「……さあね、どうなのかしらね」 常闇:「白々しい……。さっさとお前達の力を見せてみろ!」 0:刹那ー目にも止まらない速さで常闇の背後へ回り込むシャド 常闇:「……そこか!」 0:常闇はシャドの動きを捉えた…………はずだった シャド:「こっちよ!」 0:シャドが居たのは…常闇のすぐ真上だった 常闇:「チィ!!」 0:激しく舌打ちをしながらも冷静にシャドの追撃を受け止める シャド:「……ふふ」 0:不敵に笑うシャド 常闇:「……っ!?」 常闇:(M)まさか……、こいつ……!最初からこれを狙って……! シャーン:「はぁぁぁぁぁぁ!!」 0:ーシャーンの鋭い斬撃が常闇を切り裂く 常闇:「ぐっ……!ぐわああああああああああ!!」 0:その場に倒れ込む常闇 シャーン:「……ハァ……、ハァ……!やったよ……シャド……!!」 シャド:「ハァ……、ハァ……!さすが……私の妹……、よくやった…!」 シャーン:「……ハァ……、ハァ……早速…、組織に報告だね……」 シャド:「……えぇ…、ご飯食べましょ……今日は頑張ったからたくさんお肉……食べられるわよ……」 シャーン:「……へへ……、そりゃ……最高だね……」 シャーン:「……でも、ちょっと疲れちゃった……みたい……寝たいな」 0:シャーンはその場に倒れ込んだ 0:(間) 0:突然、物凄い強風が彼女たちを襲う シャド:「……!?なに……?」 0:空を見上げると、そこにいたのは……、巨大な飛行船だった シャド:「何なの…………一体……!」 0:そのとき、飛行船から、兎のマスクを被った謎の大男や女らしき者達が降りてくる シャド:「なっ……!?」 0:マスクの男たちは常闇を抱えて飛行船に戻ろうとしていた シャド:「待ちなさい!!」 0:シャドは既に走り出していた…………が、激しい体力の消耗により、追いつけなかった シャド:「ハァ……!ハァ……!ま、待ちなさい……!あんたたち……!!」 0:飛行船は空へと消えていった 0:(間) ナレーション:(常闇役)後日、常闇の死を確認できなかったシャーンとシャドは……組織から解雇処分を言い渡されることとなった ナレーション:(常闇役)本来は、目的が達成できなかった罰として、彼女達を抹消する予定だった赤月であったが、リーダーの説得により、上層部からは『最初からなかった存在』として命だけは奪われず、野に放たれるだけで済んだのだった シャーン:「…まさかあれだけ冷酷な赤月があたし達を殺さないだなんて……なにがどうなっているんだろう」 シャド:「リーダーが説得してくれたのよ。組織は、彼(彼女)を高く評価している人材だから、何とか聞き入れたんでしょ……本当に感謝ね。今度会ったら、お礼を絶対に言いたいわね」 シャーン:「へぇ、リーダーが私達を庇ってくれたんだ。そっかぁ〜。あの人は何で赤月にいるんだってくらい優しい人だもんね……。………離れ離れになるのは寂しいけど、きっとまた会えるよね」 シャド:「命を助けてくれただけじゃない。何とも有難いことにリーダーは万が一にも私達の身を案じて、次の仕事の就職先と住居諸々手配してくれたわ。…私達は、これからそこで新しい生活をしていくことになる シャーン:「新しい就職先まで?…ますますリーダーには頭が上がらないなぁ〜。…それで?次の仕事ってなあに?今度はどこで殺しをやらされるの?」 シャド:「…ディスタニアから遠く離れた異国の地で 、3年研修を終えた後に保育士をやることになるって」 シャーン:「え……え?もう1回言って?」 シャド:「だから…保育士よ」 シャーン:「えぇ!?保育士!?……な、なんで!?」 シャド:「リーダーの話によれば...、あの人の古い知人がそこで働いてて、人員不足で働き手が欲しい状態だって言っていたわ」 シャーン:「だからってなんで保育士!?仕事なんか他にもあるじゃない!あたし達、今まで汚れ仕事しかしてこなかったんだよ!」 シャド:「……どうやら、あの人は私達に最初から殺し屋をやめて欲しかったみたい」 シャーン:「……?…どういうこと……?」 シャド:「リーダーって赤月の人間でないくらいとても優しい人でしょ?……前にリーダーと話したときにね、言われたのよ…、『僕(私)』は君達を殺し屋から解放してあげたい』って」 シャーン:「……なんで、リーダーはそんなこと……」 シャド:「私達を、家族のように考えてくれていたからじゃないかな。少なくとも私はあの人のことを兄(姉)のように思ってるよ」 シャーン:「そんなの!あたしだってそうだよ!リーダーは、あたし達を妹のようにかわいがってくれたじゃん……!…でも、何でそんな…離れ離れになるようなことをするの……」 シャド:「多分、リーダーは遅かれ早かれ今回のような状況になることをわかっていた……。私達が、今回の任務に失敗することが。その機会を利用して、殺し屋を辞めさせる……きっと、それが狙いだったんだよ」 シャーン:「……でも、殺し屋じゃなくなったなら、もう会えなくなるんじゃ……」 シャド:「そんなことない……!」 シャーン:「え…?」 シャド:「リーダーはまた私達に会いに来てくれると約束してくれたよ。……あの人は嘘はつかない。必ずまた会えるよ」 シャーン:「……本当に……?……会えるの……?」 シャド:「しばらくは会えないだろうけど、絶対にまた会える。…その時まで私達がやることは、リーダーが与えてくれた仕事をこなすこと。…私は子供の相手は苦手だけど、リーダーが与えてくれた新しい道だもの!この人生を大切に生きるわ」 シャーン:「シャド……」 シャド:「私達はこれから……、表の世界で正々堂々と生きられる。……もちろん、不安な事はたくさんあるけど……私達は与えられた仕事を全うするだけ。そのスタンスだけは今までと変わらない」 シャーン:「……うん。わかったよ!シャド!…あたしも、この先は不安だけど頑張る!シャドと一緒ならどんな困難も乗り越えられるから!」 シャド:「ふふ。その意気よ。絶対にこの手を離さないで?……私達は…、二人で一つなんだから……」 0:(間) ナレーション:(常闇役)かくして、二人の少女の話は……幕を閉じたのであった…… 0:(少しの間) ナレーション:(常闇役)しかし、今君達に見せたディスタニアの日常はほんの一部に過ぎない。……またの機会に、異なる視点からディスタニアの風景を見せてやろう ナレーション:(常闇役)ディスタニアの物語は……、これから始まるのだから 0:(間) 0:ーーーその頃 常闇:(M)危なかった。…あそこで救護班が到着しなければ本当に命を落としていた… 常闇:(M)あの二人…、歳の若さの割にはとても厄介だった。…できることならもう戦いたくはない 常闇:(M)クソ、前に奴から受けたダメージの後遺症がなければ満足に動けたのだが…、まあいい 0:(回想) 常闇:『とぼけるな。今のお前たちの動きとその位置取りを見れば簡単にわかる。……今、お前達は『チャンス』を待っているんだろう?』 常闇:(M)危険を肌に感じていた私は、この場面で救助要請を出していたのだった 0:(間) 常闇:(M)あいつ(あの子)を奪った奴らを見つけ出して殺すまで俺(私)は死ねない。……必ず、奴を………殺してやる……!! 0:(3秒くらいの間) シャド:(N)私達はブラディー家の血を引く者 シャーン:(N)パパとママはもうこの世にいないけど…… シャド:(N)これからも…何があっても、生き続けるだろう シャーン:(N)…だってあたし達は シャド:(N)『Bloody Sisters』だからね…… 0:‐fin‐

ナレーション:(常闇役)ここは闇の国・ディスタニア。人間社会から追放された咎人によって構成されている。治安は深刻レベルで、殺人、強盗、強姦、密売など当たり前に犯罪が起きている ナレーション:(常闇役)そんなディスタニアでは今日も嵐の前の静けさに包まれていた 0:(間) シャーン:「はぁ……。疲れたぁ…」 シャド:「シャーン。任務はまだ残ってるよ。地面に寝転がらないで」 シャーン:「やだー!お腹空いたぁ!お肉が食べたいよ!」 0:ー駄々をこねるシャーンに視線が集まる シャド:「騒がないで……周りの人が見てるから…」 シャーン:「だって朝からなんにも食べてないんだよ!?」 シャド:「気持ちはわかるけど……、この任務が終わるまでは何も食べられないよ?」 シャーン:「え~〜〜〜〜〜〜」 シャド:「ほらさっさといくわよ……」 0:(間) シャド:(M)私達は双子の姉妹で殺し屋をやっている。となりのこの子、シャーンは私の妹だ シャド:(M)私達は今、「ある奴」を殺すために任務を遂行している最中だ 。…ターゲットは『常闇』。私達の組織「赤月」はこいつを殺すことに力を入れてる シャド:(M)シャーンと一緒にずっと奴を探しているけど全く姿を現さない…。リーダーから聞いた話では、とても用心深く、殺気を消していても殺し屋の存在に気付いてしまうのだという シャーン:「あいつ、どこにも現れないね」 シャド:「ええ。特徴はわかっているけど、ものすごく周囲を警戒しながら動いているということね」 シャーン:「コソコソ動き回っててめんどくさい〜…いっそこの街ごと爆破しちゃえばいいんじゃない?」 シャド:「…はぁ、そんなことしたら一般人が巻き添えを喰らうじゃない。…私達の目的はあくまでも常闇を殺すことにある。関係のない一般人まで巻き込んだら組織からクビどころでは済まされないわよ?」 シャーン:「面倒くさぁ……」 シャド:「とにかく根気強く粘りましょう。そうすれば必ずあいつに近づくチャンスはくるはずよ」 シャーン:「で、だいたい場所はわかってたりするの?」 シャド:「この街の怪しいと思うような場所は全て確認したけど、奴と思われる姿は見当たらなかったわ」 シャーン:「…捜索力に長けたシャドが見つけられないならお手上げじゃない?」 シャド:「でも確実に奴はこの街にいるわ。…一般人に扮して必ず私達の動向を見ている」 シャーン:「何にも視線とか感じないけどねぇ。何を根拠にこの辺のエリアにいると確信したの?」 シャド:「……特にこれといってないわ。こればっかりは長年殺し屋をやってきた勘としか……」 シャーン:「ふーん…、正直納得はできないけど、シャドがそう言うならそうなんだろうねぇ」 0:(間) 0:二人の前を怪しい空気が過(よぎ)る シャド:「…っ!」 シャーン:「…何、いまの…?(冷や汗をかく)」 シャド:「……凍えるような風…。間違いない……!奴はすぐ近くにいる……!」 シャーン:「殺意はなかったけど…明らかに異質な雰囲気を感じたよ!…シャド…あんなのに勝てるの?あたしたち……」 シャド:「組織の命令なんだからやるしかないでしょ……失敗すれば…私達の命だって無事で済むかわからないんだから…」 シャーン:「そ、そうだね!なんとしてでもあいつを殺さなきゃ!」 0:(間) 0:ー『常闇』らしき人物を追いかけて走る二人。…30分近く追いかけて街の外れに着く シャーン:「はぁ…、ここまで来ちゃったけど…」 シャド:「……妙ね」 シャーン:「…なにが?」 シャド:「確かに私達は奴の気配を感じた。それを察して…こっちも細心の注意を払いながら追いかけてきたけど……」 0:(少しの間。沈黙) シャド:「どうしてこんなにもあっさりと私達の追跡を許してくれたのか……」 シャーン:「そんなのあたしたちに気付いていないだけじゃないの?」 シャド:「だったらどうして……」 0:(3秒待つ) シャド:「……どうして……あいつの気配はここで止まっているの?」 0:そのとき 常闇:?『答えは簡単だ。私がお前達を"見ていたから"だ』 シャーン:「……!」 シャド:「…はぁ…。そういうことだと思ったわ」 シャーン:「どういうこと?あたし達最初からこいつに嵌められてたってことなの?」 シャド:「……そうなるわね」 シャーン:「じゃあ、どうして罠ってわかってて追いかけたの?」 シャド:「こいつは私達と真っ向から戦うつもりでいた…。どういうつもりかは知らないけど…ついていけば必ず姿を現すと踏んだのよ」 0:(間) シャド:「…さぁ、さっさと姿を現しなさい!常闇!…決着をつけましょう!!」 常闇:『ハッハッハ……、まあそう焦るな。すぐにお前達を地獄に送ってやるから』 シャーン:「……嫌な奴。あたし、お前嫌い」 0:ー常闇が暗闇から姿を現す シャド:「……。」 シャーン:「…!」 常闇:「すぐにでも襲いかかって来そうな凄まじい殺気だな。…やはりお前達は、私の力を持ってしても簡単にはいかなそうだ……」 シャド:「世界的にも有名なテロリストであるあんたから、そんな言葉をもらえるなんて光栄。……でもあんたのしてることは許されることではないけどね」 常闇:「お前たちがしてることも善ではないだろう。ヒーロー気取りしているが、結局殺し屋は所詮殺し屋だ、違うか?」 シャド:「……私達が殺しているのは、殺されても仕方がない者達ばかりよ。ヒーローだとは思わないけど……組織が命令を出した以上、あんたを自由の身にしておくことはできない!」 常闇:「フン。やってみろ。お前ら二人まとめてここで終わりなのだから…」 シャド:「……そう?それはどうかしら」 0:刹那ーーーシャーンが常闇の死角を突く 常闇:「……!」 0:シャーンは目にも止まらぬ速さで距離をつめて常闇に短刀(たんとう)で斬り掛かる! 0:ガンッ! シャーン:「……!?」 常闇:「素晴らしいスピードだ。さすがは赤月の殺し屋…なかなか楽しませてくれるな」 0:常闇は恐ろしく速い動作で構えたナイフでシャーンの短刀を受け止める シャーン:(M)どうなってんの!?殺気も消してた!なのに!それなのになんで…! 常闇:「二流ならこの奇襲に反応できなかっただろうが…今お前の目の前にいるのは、幾千万もの死線を乗り越えてきた人間だ。桁が違うぞ?」 シャド:「…はは…噂以上の怪物ね…あんたは…」 0:シャーンは常闇に攻撃を繰り出し続ける シャーン:「ハァ!…ハァァ!!」 常闇:「無駄だ。刃の軌道が簡単に読めてしまう。……先程よりもキレが落ちているぞ小娘!」 0:常闇は右足で軽々とシャーンを蹴り飛ばす シャーン:「……ぐぁっ!」 0:シャーンは吹き飛んだが、綺麗に地面に着地する 常闇:「…お前だけではまるで話にもならん。…もう一人、そこにいるお前も束になってかかってこい。纏めて殺してやる」 シャド:「……」 常闇:「それとも…お前は非戦闘員か?」 0:(少しの間) シャド:「……えぇそうよ…。…私は戦えないわ」 常闇:「ハハハッ!面白い冗談だな!!」 シャド:「…っ。(汗をかくシャド)」 常闇:「ブラフは通じないぞ。素人は誤魔化せても私の目は誤魔化せない。……若い割にはかなり力を隠すのが上手いようだが…、私にはお前の本質がよく見える」 シャド:「……ふふ…(焦りを隠しながら)さすがは神出鬼没の常闇ね。私達が今まで戦ってきた奴らとはまるで次元が違うわ……正直戦いたくはない……けど!」 0:刹那、シャドは消えていつの間にか常闇の背後に回り込んでいた 常闇:「……!」 0:常闇は間一髪、シャドの短刀の刃を回避する シャド:「…クソッ!やっぱりダメか…!」 常闇:(M)今のは危なかったな…。もう一人の奴もそうだがこいつら……殺気と闘気を隠す技術が異様に高い。……赤月はこんな怪物たちを飼い慣らしていたのか… シャド:(M)私達の奇襲を二度も回避するなんて……一体、どうすれば勝てる…? 0:(間) シャーン:「はぁぁぁぁぁぁ!!」 0:常闇へ斬り掛かる 常闇:「……ふん」 シャーン:「ヴッ!」 0:腹に蹴りを入れられるシャーン シャーン:「…ハァ…、ハァ…!」 常闇:「さっきから同じパターンだな。どうした?さっきまでのキレは。……そのままでは本当に死ぬぞ?」 0:様子がおかしいシャーン シャーン:「…うるさい!うるさい!!黙れぇ!!」 シャーン:「殺す殺す殺す殺す殺す殺す!目障りなんだよお前ぇ!!」 シャド:(M)まずいわね……そろそろシャーンが持たなくなってきた…… シャド:(M)いつもは明るい性格の子だけど、空腹で追い詰められると、私でも止められないくらいの暴れ馬になってしまう…… シャド:(M)暴れ馬になったこの子は、動きはより素早くなるし、パワーも段違いだけど……理性が仕事をしなくなるから隙だらけになる……。…当然『常闇』にこの戦術は通用しない シャド:(M)はぁ…、こんなことなら少しだけ食べ物を与えておくんだったわ…。私としたことが……失敗ね…… シャーン:「死ね!死ね!死んじゃえ常闇なんて!!」 常闇:「……はぁ…。失望した」 0:常闇は涼しい顔をしながらシャーンの攻撃を避ける シャーン:「……死ね!死んでよ!!いい加減うざいんだよお前ぇぇぇ!!」 常闇:(M)さっきよりもパワーとスピードは格段に上がったが…隙だらけすぎる。こんな下らない戦術で…私を殺せると本気で思っているのかこの小娘は…… 常闇:「……実に不愉快だ」 0:今まで一番強烈な打撃をシャーンに食らわせる シャーン:「ぐふっ……!」 常闇:「……この程度か」 シャド:「シャーン!!」 常闇:「もはやお前のような小娘に興味は無い。このまま殺してやる」 シャーン:「……かはっ……」 シャド:「シャーン!起きて!死ぬわよ!」 シャーン:「……うっ…」 0:常闇はシャーンの髪を引っ張りあげ、首元にナイフの刃を突きつける シャド:「…やめて!その子は私の大切な妹なの!たった一人の家族なの!!殺さないで!!」 シャーン:「……う…ぅ…、お姉…ちゃん……」 常闇:「姉妹共々…無様だな…」 0:常闇はナイフの刃をシャーンの喉元へほんの少し刃を突き刺す シャーン:「……あ…ぁぁぁ……」 シャド:「シャーン!シャーン!!!」 常闇:「死ね…」 0:(間) 0:ー刹那 常闇:「…!」 0:常闇の身体に弾丸が突き刺さる 常闇:「ぐ…あああああああ!!」 シャーン:「……な…に…?」 シャド:「はぁ……。間一髪……」 常闇:「……小娘……貴様……!」 シャーン:「……どういうこと……?シャド……」 シャド:「もしもの時の為にスナイパーを呼んでおいたのよ」 シャーン:「い、いつの間に……」 シャド:「あいつに会った時点で仕込んでおいた。私達だけで倒せるかはわからなかったもの」 シャーン:「……あはは…さすがはあたしのお姉ちゃんだ…」 シャド:「…まだ動ける?」 シャーン:「…正直、結構…体が痛いけど…でもまだ意外と動けるかも……」 常闇:「……くそっ……油断したな……」 シャーン:「…なんで、銃弾を受けたのにまだ動けるの……?」 シャド:「防弾チョッキでも着込んでたんでしょ。用心深いあいつの事だから、それも想定済み」 シャド:「とにかくこちらの勝率が上げられればそれでいい。…悪く思わないでね、常闇。私達はどうしてもあんたを殺さなきゃいけないんだ!」 常闇:「なかなかやるな。周囲に伏兵がいるかもしれないとは思ったが……、ククク…、まさかあんな長距離から撃ってくるとは……」 シャド:「はは…やっぱりあんた化け物ね」 シャーン:「被弾してもまだ油断できないね……。どうする?シャド」 シャド:「……こいつを殺すには私達二人で力を合わせるしかない……。『アレ』をやろう……」 シャーン:「…!…『アレ』…!?……オッケー!やろう!二人揃えば最強ってことをあいつに見せつけてやるんだ!!」 0:(間) 0:ーシャーンとシャドは絶妙なコンビネーションで常闇へ襲いかかる シャーン:「はぁ!!」 シャド:「……ふっ!」 常闇:「……チッ」 0:ーダメージを負いながらも2人の攻撃をしっかり回避する常闇 シャーン:「…まだまだだよぉ!!」 0:ー短刀による連撃を続けるシャーン 常闇:「……クッ…!」 シャド:「……そこ!」 0:ーシャドの短刀が常闇の脇腹をかする 常闇:「……クソ…!」 シャーン:「はぁぁぁ!」 常闇:「調子に乗るなぁぁ!!」 0:ー常闇はシャーンへ反撃する シャーン:「……ぐっ…!」 シャド:「シャーン!大丈夫!?」 シャーン:「……平気…。致命傷は避けたよ…!」 常闇:(M)さっきの弾丸…致命傷は避けたが、スピードの高いこいつらを同時に相手にするのはかなり難儀だな…… 常闇:(M)撤退が最優先……むしろそれしか選択肢がないのは分かっている……。……だが…私はこいつらから逃げられるのか……? シャド:(M)常闇の動きはかなり鈍くなっている…。おそらく、今この状況下で私達二人を相手にするのは分が悪い。……こいつは何が何でも私から逃げたいはずだろう シャド:(M)やるなら今しかない。シャーンと私にしかできない究極のコンビネーション。…チャンスは一度きり。…タイミングは…、あいつが逃げるために私達に背を向けた……その一瞬……そこを突く! 0:(間) 0:刃を交え続けるシャーンと常闇 シャーン:「はぁ!!」 常闇:「ふんっ!!」 シャーン:「くっ…!」 0:常闇はシャーンから距離を取る シャーン「:……!」 常闇:「ようやく冷静になったな。…お前はなかなか戦闘のセンスを秘めている」 シャーン:「当たり前じゃん!あたしは天才なんだから!同じ天才のシャドが居れば、あたし達は無敵!!あんただって殺せるんだから!!」 常闇:「…ハハハ!それでいい。私を何が何でも殺そうとする意思……。ここまでの殺意を向けられたのは久しぶりだ!私は逃げも隠れもしない!…最後の力を振り絞って…、全力でかかってこい小娘共!!」 常闇:(M)そうだ。逃げる必要など…どこにもない。……『赤月』よ、お前達が私の命を狙うというのならば…受けて立とう!!…私は何度だって抗ってやる!『あいつ(あの子)』を奪った連中へ、復讐するまで、私は死ぬつもりなど毛頭ない!! シャーン:(M)何?この静かな殺気……。……こいつの雰囲気……弱ってるはずなのに…、さっきから冷や汗が止まらない……! 常闇:「さっきから何を企んでいる?」 シャーン:「……は…?何が……?(動揺気味に)」 常闇:「とぼけるな。今のお前たちの動きとその位置取りを見れば簡単にわかる。……今、お前達は『チャンス』を待っているんだろう?」 シャーン:「……くっ……!」 シャド:「……」 常闇:「…お前の方、シャドと言ったか?……その秘策はお前が主導で行なわれるもの…。…つまり、核であるお前を潰せばその作戦は無意味になる?違うか?」 シャド:「……さあね、どうなのかしらね」 常闇:「白々しい……。さっさとお前達の力を見せてみろ!」 0:刹那ー目にも止まらない速さで常闇の背後へ回り込むシャド 常闇:「……そこか!」 0:常闇はシャドの動きを捉えた…………はずだった シャド:「こっちよ!」 0:シャドが居たのは…常闇のすぐ真上だった 常闇:「チィ!!」 0:激しく舌打ちをしながらも冷静にシャドの追撃を受け止める シャド:「……ふふ」 0:不敵に笑うシャド 常闇:「……っ!?」 常闇:(M)まさか……、こいつ……!最初からこれを狙って……! シャーン:「はぁぁぁぁぁぁ!!」 0:ーシャーンの鋭い斬撃が常闇を切り裂く 常闇:「ぐっ……!ぐわああああああああああ!!」 0:その場に倒れ込む常闇 シャーン:「……ハァ……、ハァ……!やったよ……シャド……!!」 シャド:「ハァ……、ハァ……!さすが……私の妹……、よくやった…!」 シャーン:「……ハァ……、ハァ……早速…、組織に報告だね……」 シャド:「……えぇ…、ご飯食べましょ……今日は頑張ったからたくさんお肉……食べられるわよ……」 シャーン:「……へへ……、そりゃ……最高だね……」 シャーン:「……でも、ちょっと疲れちゃった……みたい……寝たいな」 0:シャーンはその場に倒れ込んだ 0:(間) 0:突然、物凄い強風が彼女たちを襲う シャド:「……!?なに……?」 0:空を見上げると、そこにいたのは……、巨大な飛行船だった シャド:「何なの…………一体……!」 0:そのとき、飛行船から、兎のマスクを被った謎の大男や女らしき者達が降りてくる シャド:「なっ……!?」 0:マスクの男たちは常闇を抱えて飛行船に戻ろうとしていた シャド:「待ちなさい!!」 0:シャドは既に走り出していた…………が、激しい体力の消耗により、追いつけなかった シャド:「ハァ……!ハァ……!ま、待ちなさい……!あんたたち……!!」 0:飛行船は空へと消えていった 0:(間) ナレーション:(常闇役)後日、常闇の死を確認できなかったシャーンとシャドは……組織から解雇処分を言い渡されることとなった ナレーション:(常闇役)本来は、目的が達成できなかった罰として、彼女達を抹消する予定だった赤月であったが、リーダーの説得により、上層部からは『最初からなかった存在』として命だけは奪われず、野に放たれるだけで済んだのだった シャーン:「…まさかあれだけ冷酷な赤月があたし達を殺さないだなんて……なにがどうなっているんだろう」 シャド:「リーダーが説得してくれたのよ。組織は、彼(彼女)を高く評価している人材だから、何とか聞き入れたんでしょ……本当に感謝ね。今度会ったら、お礼を絶対に言いたいわね」 シャーン:「へぇ、リーダーが私達を庇ってくれたんだ。そっかぁ〜。あの人は何で赤月にいるんだってくらい優しい人だもんね……。………離れ離れになるのは寂しいけど、きっとまた会えるよね」 シャド:「命を助けてくれただけじゃない。何とも有難いことにリーダーは万が一にも私達の身を案じて、次の仕事の就職先と住居諸々手配してくれたわ。…私達は、これからそこで新しい生活をしていくことになる シャーン:「新しい就職先まで?…ますますリーダーには頭が上がらないなぁ〜。…それで?次の仕事ってなあに?今度はどこで殺しをやらされるの?」 シャド:「…ディスタニアから遠く離れた異国の地で 、3年研修を終えた後に保育士をやることになるって」 シャーン:「え……え?もう1回言って?」 シャド:「だから…保育士よ」 シャーン:「えぇ!?保育士!?……な、なんで!?」 シャド:「リーダーの話によれば...、あの人の古い知人がそこで働いてて、人員不足で働き手が欲しい状態だって言っていたわ」 シャーン:「だからってなんで保育士!?仕事なんか他にもあるじゃない!あたし達、今まで汚れ仕事しかしてこなかったんだよ!」 シャド:「……どうやら、あの人は私達に最初から殺し屋をやめて欲しかったみたい」 シャーン:「……?…どういうこと……?」 シャド:「リーダーって赤月の人間でないくらいとても優しい人でしょ?……前にリーダーと話したときにね、言われたのよ…、『僕(私)』は君達を殺し屋から解放してあげたい』って」 シャーン:「……なんで、リーダーはそんなこと……」 シャド:「私達を、家族のように考えてくれていたからじゃないかな。少なくとも私はあの人のことを兄(姉)のように思ってるよ」 シャーン:「そんなの!あたしだってそうだよ!リーダーは、あたし達を妹のようにかわいがってくれたじゃん……!…でも、何でそんな…離れ離れになるようなことをするの……」 シャド:「多分、リーダーは遅かれ早かれ今回のような状況になることをわかっていた……。私達が、今回の任務に失敗することが。その機会を利用して、殺し屋を辞めさせる……きっと、それが狙いだったんだよ」 シャーン:「……でも、殺し屋じゃなくなったなら、もう会えなくなるんじゃ……」 シャド:「そんなことない……!」 シャーン:「え…?」 シャド:「リーダーはまた私達に会いに来てくれると約束してくれたよ。……あの人は嘘はつかない。必ずまた会えるよ」 シャーン:「……本当に……?……会えるの……?」 シャド:「しばらくは会えないだろうけど、絶対にまた会える。…その時まで私達がやることは、リーダーが与えてくれた仕事をこなすこと。…私は子供の相手は苦手だけど、リーダーが与えてくれた新しい道だもの!この人生を大切に生きるわ」 シャーン:「シャド……」 シャド:「私達はこれから……、表の世界で正々堂々と生きられる。……もちろん、不安な事はたくさんあるけど……私達は与えられた仕事を全うするだけ。そのスタンスだけは今までと変わらない」 シャーン:「……うん。わかったよ!シャド!…あたしも、この先は不安だけど頑張る!シャドと一緒ならどんな困難も乗り越えられるから!」 シャド:「ふふ。その意気よ。絶対にこの手を離さないで?……私達は…、二人で一つなんだから……」 0:(間) ナレーション:(常闇役)かくして、二人の少女の話は……幕を閉じたのであった…… 0:(少しの間) ナレーション:(常闇役)しかし、今君達に見せたディスタニアの日常はほんの一部に過ぎない。……またの機会に、異なる視点からディスタニアの風景を見せてやろう ナレーション:(常闇役)ディスタニアの物語は……、これから始まるのだから 0:(間) 0:ーーーその頃 常闇:(M)危なかった。…あそこで救護班が到着しなければ本当に命を落としていた… 常闇:(M)あの二人…、歳の若さの割にはとても厄介だった。…できることならもう戦いたくはない 常闇:(M)クソ、前に奴から受けたダメージの後遺症がなければ満足に動けたのだが…、まあいい 0:(回想) 常闇:『とぼけるな。今のお前たちの動きとその位置取りを見れば簡単にわかる。……今、お前達は『チャンス』を待っているんだろう?』 常闇:(M)危険を肌に感じていた私は、この場面で救助要請を出していたのだった 0:(間) 常闇:(M)あいつ(あの子)を奪った奴らを見つけ出して殺すまで俺(私)は死ねない。……必ず、奴を………殺してやる……!! 0:(3秒くらいの間) シャド:(N)私達はブラディー家の血を引く者 シャーン:(N)パパとママはもうこの世にいないけど…… シャド:(N)これからも…何があっても、生き続けるだろう シャーン:(N)…だってあたし達は シャド:(N)『Bloody Sisters』だからね…… 0:‐fin‐