台本概要
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タイトル | 海月が夜凪に溶けゆくころ |
---|---|
作者名 | 雪狐 (@yukikitsune_vg) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(女2) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
二人が出会ってから一年と少しの時間が過ぎたころ、二人は海に溶けていく。 女の子2人が心中するお話です。喫煙描写だったりシガーキスの要素などあるので、苦手な方はご注意ください。 時間はゆったり演じて20分かからないくらいです。 503 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
紗月 | 女 | 99 | さつき。陽海の一つ上の先輩。 |
陽海 | 女 | 100 | はるみ。紗月の後輩。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:海月が夜凪に溶けゆくころ
紗月:さつき。陽海の一つ上の先輩。
陽海:はるみ。紗月の後輩。
あらすじ:二人が出会ってから一年と少しの時間が過ぎたころのお話
陽海:先輩、それ美味しいんですか?
紗月:ん?これ?
陽海:わたしにも一口くださいよ〜
紗月:おこちゃまな陽海にはまだ早いよ
陽海:えー?くれないとここでサボってること先生に言っちゃいますよ?
紗月:はぁ…一口だけだよ?
陽海:えへへ…ごくっ…にがっ…!?
紗月:だから言ったじゃん
陽海:家ではコーヒー飲めたんだけどなぁ…
紗月:これ無糖だし
陽海:むむむ…あ、ところで先輩?
紗月:ん?
陽海:先輩はどうしていつもここにいるんですか?
紗月:どうして…か。そうだなぁ…陽海に会えるからかな?
陽海:えっ、わたしに!?
紗月:うん
陽海:そっかぁ…
紗月:こんな理由じゃいや?
陽海:嬉しいんですけど、きっとそれだけじゃないんですよね?
紗月:そうだよ
陽海:…本当の理由はなんですか?
紗月:陽海に会えるのも理由だけどさ、海が綺麗に見えるから
陽海:海…ですか?
紗月:そう、ここから海をぼんやり眺めるのが好きでさ
陽海:そうなんですね…ふふっ
紗月:ん?
陽海:先輩のこと知ることができて嬉しいなぁって!
紗月:そっか
陽海:はい!
紗月:やっぱ陽海って変わってるね
陽海:そうでしょうか?
紗月:うん。だってわざわざ私に会うためにサボってここに来てるんでしょ?
陽海:あはは…まぁ、それだけじゃないんですけどね
紗月:ん?
陽海:ほら、教室に自分の居場所がないっていうか…居づらいっていうか…
紗月:ああ、なるほど…
陽海:はい…
紗月:ま、ここなら先生も来ないし…ゆっくりしていきな
陽海:ありがとうございます!
紗月:ん。あ、そういえばうちに来たいって言ってたよね?
陽海:言いましたけど…随分前の話ですよね?
紗月:よかったら今日泊まっていかない?
陽海:え、いいんですか!?
紗月:うん
陽海:やった!じゃあ今日は先輩とずっと一緒ですね
紗月:そうだね…とりあえず家の人に連絡とか済ませておいて
陽海:んー…要らないと思います
紗月:え?
陽海:ほら、うちの両親忙しくて…ここ最近帰ってきてないから…
紗月:そっか…まぁ、一言だけでも連絡しておきなよ?
陽海:はーい
紗月:ん、それじゃまた後で
0:紗月の家にて
陽海:本当にいいんですか?急にお泊まりしちゃって…
紗月:いいよ、どうせ私のとこも誰もいないし
陽海:えっ?
紗月:父親は新しい女を作って出ていったし…母は病気で亡くなったから、今は私しか住んでないんだよね
陽海:ごめんなさい…変なこと聞いちゃいましたね…
紗月:気にしなくていいよ、別に隠すことでもないし
陽海:と、ところで先輩
紗月:ん?
陽海:その…机の上にあるのって…
紗月:ああ…しまうの忘れてたね
陽海:…
紗月:気になるの?
陽海:あっ…えっと…
紗月:気になるんだ
陽海:うぅ…はい
紗月:まぁ、お嬢様の陽海には関わりのないものか…一本吸ってみる?
陽海:えっ!?
紗月:ふふっ、冗談だよ
陽海:もう!ほんとはダメなんですからね?
紗月:外で吸うことはないからバレることはないさ
陽海:先輩ったら…
紗月:まぁ、陽海がいる間は吸わないよ
陽海:そうしてください
紗月:あはは…ところで、親にちゃんと連絡した?
陽海:しました…けど既読はつかないです
紗月:そっか
陽海:まぁ、そのうち連絡来ると思いますよ
紗月:きっと来るさ…ところで、陽海はどうして私と一緒にいてくれるの?
陽海:そうですね…先輩のことが大好きだから、ですね
紗月:そっか
陽海:先輩は…わたしのことどう思ってますか?
紗月:ん?好きだよ?
陽海:それは…人として?それとも…?
紗月:正直なことを言うと、わからない…かな
陽海:そっか…
紗月:でも、一緒にいて嫌じゃないのは確かだよ
陽海:うん…ありがとうございます
紗月:ごめんね、期待に応えられる返事ができなくて
陽海:そんな!これはわたしが勝手に聞いただけですから…先輩は悪くないですよ!
紗月:んー、あっいいこと考えた
陽海:えっ?
紗月:ちょっとゆっくりしたらさ、海を見に行こうよ
陽海:海…ですか?
紗月:うん、もっと私のことを知ってもらいたいなって思ってね
陽海:そういえば、先輩海が好きでしたね
紗月:好きなところに好きな人を連れていく…所謂デートってやつだね
陽海:うへっ!?で、デート!?
紗月:いやかな?
陽海:い、いえ!喜んで!
0:日付が変わる頃、海辺にて
紗月:それにしても…今日は月が綺麗だね
陽海:は、はい…
紗月:さっきからどうしたの?
陽海:えっと…今日はいろんなことがあって、先輩とこんな時間にこうやってデートできていることにびっくりしてます
紗月:そっか
陽海:はい…
紗月:とりあえず座ろっか
陽海:はい…
紗月:ふふっ、緊張しすぎだよ
陽海:だってぇ…
紗月:ほら、見てごらん?
陽海:えっ…?
紗月:月明かりに照らされた海と夜空が溶け合ってるみたいじゃない?
陽海:ほんとだ…
紗月:どう?綺麗でしょ?
陽海:すごく綺麗です…
紗月:そっか、それはよかった…
0:しばらく景色を眺める
陽海:先輩…もし、もしもの話ですよ?
紗月:ん?
陽海:もし私がこのまま先輩と死んじゃいたいって言ったら…一緒に死んでくれますか…?
紗月:んー、いいよ
陽海:えっ…いいんですか…?
紗月:うん、別に生きててもやりたいことないし
陽海:そう…なんですね
紗月:うん。このままダラダラと生きるよりは陽海と一緒に死ぬほうが私にとっていい人生だと思うよ
陽海:…
紗月:じゃあ…陽海はどうして死にたいの?
陽海:えっ?
紗月:私にないものをいっぱいもってて、恵まれてるように見えるけど
陽海:そんなことないです…わたしは、結局何もできなくて…誰からも期待されてなくて…このまま死んだほうがいいんだろうなって
紗月:そうは思えないけど…ま、なんでもいいか
陽海:相変わらず先輩は軽いなぁ…ふふっ
紗月:で、どうするの?
0:少し間が空いて
陽海:ねぇ、先輩…?
紗月:ん?
陽海:先輩は…怖くないんですか?
紗月:んー、陽海が一緒だから怖くないよ
陽海:そっか…
紗月:急にどうしたの?
陽海:わたしから誘ったけど、本当に良かったのかなって
紗月:いいんだよ、遅かれ早かれこうなってたと思うし
陽海:…
紗月:それにさ、私は今すごく幸せだから
陽海:え?
紗月:二人で一緒にいられるし
陽海:先輩………じゃあ、わたし最後に先輩の好きな味が知りたいです
紗月:それはつまり?
陽海:一本くださいな
紗月:いいけど…はい
陽海:ありがとうございます
紗月:(咥えてライターで火をつける)ん、吸い方わかる?
陽海:えっと…
紗月:ま、とりあえず吸ってみればいいか…肺に入れないようにね
陽海:は、はい…
紗月:とりあえず咥えてみて
陽海:こ、こうですか…?
紗月:ん…(そのままタバコ越しに火をつける)
陽海:あっ……けほけほ
紗月:ほら、言わんこっちゃない
陽海:先輩の全部を好きになりたかったんだけどなぁ…
紗月:別に全部を好きにならなくてもいいんだよ?
陽海:だって…
紗月:それにさ、私だって陽海の好きなものそんなに知らないし…
陽海:それは…
紗月:陽海は私のことを知ろうとしてくれてた…初めて会った時のおにぎりだって、今日のコーヒーとタバコだって
陽海:だって…先輩の一番になりたかったから
紗月:なるほど…それなら先輩じゃなくて名前で呼んでほしいな
陽海:えっ?
紗月:だって今の私は先輩じゃない。ただの紗月だよ
陽海:あっ…
紗月:なんなら呼び捨てがいいな
陽海:紗月…
紗月:ん、陽海
陽海:えへへ
紗月:それにさ、私の好みは色々あるけど…一番は陽海だからさ
陽海:そっか…
紗月:うん
陽海:…
紗月:…それじゃ、そろそろいこうか
陽海:はい…
紗月:んー、まだちょっと冷たいね
陽海:そういえば海の気温って2ヶ月前の温度らしいですよ?
紗月:ああ…通りで…
陽海:紗月は寒いの苦手だもんね
紗月:ん、そうだね…でもこうやって陽海の手を握っていたらそんなことも感じないよ
陽海:ふふっ、確かに
紗月:最後にさ…私からもお願いがあるんだけど
陽海:いいですよ?
紗月:まだ何も言ってないよ?
陽海:多分同じこと考えてますから
紗月:そっか…じゃあ、最期までよろしく
陽海:こちらこそ、よろしくお願いしますね?
0:入水し、深く深く沈んでいく
紗月:月の光が届かない暗がりの中、私たちは海に溶けてゆく
陽海:お互いのことを忘れないように、離れないように
紗月:抱きしめた温もりがなくなるまで
陽海:繋いだ唇が途切れるまで
0:海月が夜凪に溶けゆくころ
紗月:さつき。陽海の一つ上の先輩。
陽海:はるみ。紗月の後輩。
あらすじ:二人が出会ってから一年と少しの時間が過ぎたころのお話
陽海:先輩、それ美味しいんですか?
紗月:ん?これ?
陽海:わたしにも一口くださいよ〜
紗月:おこちゃまな陽海にはまだ早いよ
陽海:えー?くれないとここでサボってること先生に言っちゃいますよ?
紗月:はぁ…一口だけだよ?
陽海:えへへ…ごくっ…にがっ…!?
紗月:だから言ったじゃん
陽海:家ではコーヒー飲めたんだけどなぁ…
紗月:これ無糖だし
陽海:むむむ…あ、ところで先輩?
紗月:ん?
陽海:先輩はどうしていつもここにいるんですか?
紗月:どうして…か。そうだなぁ…陽海に会えるからかな?
陽海:えっ、わたしに!?
紗月:うん
陽海:そっかぁ…
紗月:こんな理由じゃいや?
陽海:嬉しいんですけど、きっとそれだけじゃないんですよね?
紗月:そうだよ
陽海:…本当の理由はなんですか?
紗月:陽海に会えるのも理由だけどさ、海が綺麗に見えるから
陽海:海…ですか?
紗月:そう、ここから海をぼんやり眺めるのが好きでさ
陽海:そうなんですね…ふふっ
紗月:ん?
陽海:先輩のこと知ることができて嬉しいなぁって!
紗月:そっか
陽海:はい!
紗月:やっぱ陽海って変わってるね
陽海:そうでしょうか?
紗月:うん。だってわざわざ私に会うためにサボってここに来てるんでしょ?
陽海:あはは…まぁ、それだけじゃないんですけどね
紗月:ん?
陽海:ほら、教室に自分の居場所がないっていうか…居づらいっていうか…
紗月:ああ、なるほど…
陽海:はい…
紗月:ま、ここなら先生も来ないし…ゆっくりしていきな
陽海:ありがとうございます!
紗月:ん。あ、そういえばうちに来たいって言ってたよね?
陽海:言いましたけど…随分前の話ですよね?
紗月:よかったら今日泊まっていかない?
陽海:え、いいんですか!?
紗月:うん
陽海:やった!じゃあ今日は先輩とずっと一緒ですね
紗月:そうだね…とりあえず家の人に連絡とか済ませておいて
陽海:んー…要らないと思います
紗月:え?
陽海:ほら、うちの両親忙しくて…ここ最近帰ってきてないから…
紗月:そっか…まぁ、一言だけでも連絡しておきなよ?
陽海:はーい
紗月:ん、それじゃまた後で
0:紗月の家にて
陽海:本当にいいんですか?急にお泊まりしちゃって…
紗月:いいよ、どうせ私のとこも誰もいないし
陽海:えっ?
紗月:父親は新しい女を作って出ていったし…母は病気で亡くなったから、今は私しか住んでないんだよね
陽海:ごめんなさい…変なこと聞いちゃいましたね…
紗月:気にしなくていいよ、別に隠すことでもないし
陽海:と、ところで先輩
紗月:ん?
陽海:その…机の上にあるのって…
紗月:ああ…しまうの忘れてたね
陽海:…
紗月:気になるの?
陽海:あっ…えっと…
紗月:気になるんだ
陽海:うぅ…はい
紗月:まぁ、お嬢様の陽海には関わりのないものか…一本吸ってみる?
陽海:えっ!?
紗月:ふふっ、冗談だよ
陽海:もう!ほんとはダメなんですからね?
紗月:外で吸うことはないからバレることはないさ
陽海:先輩ったら…
紗月:まぁ、陽海がいる間は吸わないよ
陽海:そうしてください
紗月:あはは…ところで、親にちゃんと連絡した?
陽海:しました…けど既読はつかないです
紗月:そっか
陽海:まぁ、そのうち連絡来ると思いますよ
紗月:きっと来るさ…ところで、陽海はどうして私と一緒にいてくれるの?
陽海:そうですね…先輩のことが大好きだから、ですね
紗月:そっか
陽海:先輩は…わたしのことどう思ってますか?
紗月:ん?好きだよ?
陽海:それは…人として?それとも…?
紗月:正直なことを言うと、わからない…かな
陽海:そっか…
紗月:でも、一緒にいて嫌じゃないのは確かだよ
陽海:うん…ありがとうございます
紗月:ごめんね、期待に応えられる返事ができなくて
陽海:そんな!これはわたしが勝手に聞いただけですから…先輩は悪くないですよ!
紗月:んー、あっいいこと考えた
陽海:えっ?
紗月:ちょっとゆっくりしたらさ、海を見に行こうよ
陽海:海…ですか?
紗月:うん、もっと私のことを知ってもらいたいなって思ってね
陽海:そういえば、先輩海が好きでしたね
紗月:好きなところに好きな人を連れていく…所謂デートってやつだね
陽海:うへっ!?で、デート!?
紗月:いやかな?
陽海:い、いえ!喜んで!
0:日付が変わる頃、海辺にて
紗月:それにしても…今日は月が綺麗だね
陽海:は、はい…
紗月:さっきからどうしたの?
陽海:えっと…今日はいろんなことがあって、先輩とこんな時間にこうやってデートできていることにびっくりしてます
紗月:そっか
陽海:はい…
紗月:とりあえず座ろっか
陽海:はい…
紗月:ふふっ、緊張しすぎだよ
陽海:だってぇ…
紗月:ほら、見てごらん?
陽海:えっ…?
紗月:月明かりに照らされた海と夜空が溶け合ってるみたいじゃない?
陽海:ほんとだ…
紗月:どう?綺麗でしょ?
陽海:すごく綺麗です…
紗月:そっか、それはよかった…
0:しばらく景色を眺める
陽海:先輩…もし、もしもの話ですよ?
紗月:ん?
陽海:もし私がこのまま先輩と死んじゃいたいって言ったら…一緒に死んでくれますか…?
紗月:んー、いいよ
陽海:えっ…いいんですか…?
紗月:うん、別に生きててもやりたいことないし
陽海:そう…なんですね
紗月:うん。このままダラダラと生きるよりは陽海と一緒に死ぬほうが私にとっていい人生だと思うよ
陽海:…
紗月:じゃあ…陽海はどうして死にたいの?
陽海:えっ?
紗月:私にないものをいっぱいもってて、恵まれてるように見えるけど
陽海:そんなことないです…わたしは、結局何もできなくて…誰からも期待されてなくて…このまま死んだほうがいいんだろうなって
紗月:そうは思えないけど…ま、なんでもいいか
陽海:相変わらず先輩は軽いなぁ…ふふっ
紗月:で、どうするの?
0:少し間が空いて
陽海:ねぇ、先輩…?
紗月:ん?
陽海:先輩は…怖くないんですか?
紗月:んー、陽海が一緒だから怖くないよ
陽海:そっか…
紗月:急にどうしたの?
陽海:わたしから誘ったけど、本当に良かったのかなって
紗月:いいんだよ、遅かれ早かれこうなってたと思うし
陽海:…
紗月:それにさ、私は今すごく幸せだから
陽海:え?
紗月:二人で一緒にいられるし
陽海:先輩………じゃあ、わたし最後に先輩の好きな味が知りたいです
紗月:それはつまり?
陽海:一本くださいな
紗月:いいけど…はい
陽海:ありがとうございます
紗月:(咥えてライターで火をつける)ん、吸い方わかる?
陽海:えっと…
紗月:ま、とりあえず吸ってみればいいか…肺に入れないようにね
陽海:は、はい…
紗月:とりあえず咥えてみて
陽海:こ、こうですか…?
紗月:ん…(そのままタバコ越しに火をつける)
陽海:あっ……けほけほ
紗月:ほら、言わんこっちゃない
陽海:先輩の全部を好きになりたかったんだけどなぁ…
紗月:別に全部を好きにならなくてもいいんだよ?
陽海:だって…
紗月:それにさ、私だって陽海の好きなものそんなに知らないし…
陽海:それは…
紗月:陽海は私のことを知ろうとしてくれてた…初めて会った時のおにぎりだって、今日のコーヒーとタバコだって
陽海:だって…先輩の一番になりたかったから
紗月:なるほど…それなら先輩じゃなくて名前で呼んでほしいな
陽海:えっ?
紗月:だって今の私は先輩じゃない。ただの紗月だよ
陽海:あっ…
紗月:なんなら呼び捨てがいいな
陽海:紗月…
紗月:ん、陽海
陽海:えへへ
紗月:それにさ、私の好みは色々あるけど…一番は陽海だからさ
陽海:そっか…
紗月:うん
陽海:…
紗月:…それじゃ、そろそろいこうか
陽海:はい…
紗月:んー、まだちょっと冷たいね
陽海:そういえば海の気温って2ヶ月前の温度らしいですよ?
紗月:ああ…通りで…
陽海:紗月は寒いの苦手だもんね
紗月:ん、そうだね…でもこうやって陽海の手を握っていたらそんなことも感じないよ
陽海:ふふっ、確かに
紗月:最後にさ…私からもお願いがあるんだけど
陽海:いいですよ?
紗月:まだ何も言ってないよ?
陽海:多分同じこと考えてますから
紗月:そっか…じゃあ、最期までよろしく
陽海:こちらこそ、よろしくお願いしますね?
0:入水し、深く深く沈んでいく
紗月:月の光が届かない暗がりの中、私たちは海に溶けてゆく
陽海:お互いのことを忘れないように、離れないように
紗月:抱きしめた温もりがなくなるまで
陽海:繋いだ唇が途切れるまで