台本概要

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タイトル オカマしかいない裁判所
作者名 ゾ夢  (@Zomu_vgfor)
ジャンル コメディ
演者人数 4人用台本(不問4) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 オカマしかいないオカマ都市にある裁判所でのお話。
逆転裁判のパロディ作品です。

セリフ数の関係上、1人だけ3役の兼ね役を推奨しています。

全員オカマであれば性別は気にしません。常識の範囲内、マナーを守って頂ければアドリブなどはご自由にどうぞ。楽しめる範囲でお願いします。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
弁護士 不問 61 オカマ院カマコ。通称オカマ弁護士。華麗に無罪をカマス。
検事 不問 42 通称オカマ検事。オカマ弁護士のライバル。常に自信に溢れている。
裁判長 不問 31 オカマ裁判長。抜けている所が人気らしく、一定数のファンがいる。
被告人 不問 7 オカマ被告人。兼役です。無実の罪をなすりつけられた可哀想な人。
刑事 不問 9 オカマ刑事。兼ね役です。野太い声がチャーミングポイント。
証人 不問 21 オカマ証人。兼ね役です。キャラが濃いテンション高めな女子力高めなオカマ。真犯人である。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
弁護士:私の住むこの街、オカマ都市では、あらゆる事件が起きる。 弁護士:万引きだとか、強盗だとか…殺人事件だとか。 弁護士:それらを法律で裁くものがいる。そう、それが私。 弁護士:オカマ弁護士よ。 間:間 被告人:弁護士さぁん! 弁護士:近い近い!必死なのはわかるけどそんなに近づかないでちょうだい!あんた化粧が濃いんだから! 被告人:だってだってだって! 弁護士:だから近いのよ!!服に化粧がつくじゃ無い!離れなさいっ!! 被告人:ああんっ…だって…不安なのよ。 被告人:これから始まる裁判で、有罪になったら…どうしようって。 弁護士:不安になる気持ちもわかるけど、あなたは犯人じゃ無いんでしょ? 被告人:ええ!私は犯人じゃ無いわ! 弁護士:私もそれを信じる。だから、絶対に有罪になんてさせないわ。 被告人:弁護士さん…!大好きっ! 弁護士:だから近づかないでって!! 検事:あらあら、これから酷い目に遭うのに呑気にいちゃいちゃと…はんっ。今日の裁判、結果は目に見えてるわね。 弁護士:お、オカマ検事! 検事:ご無沙汰してるわね、オカマ弁護士。今日はこの前みたいには行かないわよ。覚悟してなさい。 弁護士:残念だけど、覚悟しないといけないのはあなたの方よ。 検事:はんっ…それは、すぐにわかるわ。さあ、時間よ。法廷へ行きましょ。 弁護士:…相変わらずイケすかないやつね。 被告人:弁護士さん。 弁護士:あら、なに? 被告人:私、本当に大丈夫よね? 弁護士:心配いらないわ。この私、オカマ院カマコが、華麗に無罪をかましてやるわ! 間:間 裁判長:そ・れ・で・は♡これより、オカマ被告人の法廷を開廷するわよぉ! 検事:検察側、準備完了しているわ。 弁護士:弁護側、準備完了しているわ。 裁判長:オカマ検事。冒頭弁論をお願いするわぁ。 検事:オカマ被告人は、事件当時、殺人現場にいた。検察側は、彼女が犯行を行ったことを示す証拠と、犯行を目撃したという証人を用意しているの。そう…被告人の有罪は、1点のうたがう余地もないってことよ。 裁判長:なるほどねぇ。じゃあ早速お願いしちゃうわ。 検事:任せなさい。最初の証人を入廷させていただくわ。捜査の指揮をとった、オカマ刑事! 検事:証人。名前と職業は? 刑事:はぁい!私の名前はオカマ刑事!所轄署の、殺人事件捜査担当の刑事よ! 検事:オカマ刑事。まず、事件の説明をお願いするわ。 刑事:はぁい!被害者は図書館で殺害されていたの。被害者が図書館に訪れた時、図書館には被害者と被告人しかいなかった。だから、犯人は被告人しかあり得ないのよ。 検事:まあ焦らないでちょうだい。被害者の死因はなに? 刑事:首に残った跡から、紐で首を絞められて亡くなったと考えられるわ。残念ながら、凶器は見つかっていないの。ごめんなさいね。 検事:その代わりに、被害者の首の写真を提出するわ。 裁判長:受理するわぁ。…なんか、特徴的模様の紐だったのね。変な跡だもの。 弁護士:確かに…なんか気になる模様ね。 検事:さて、刑事さん。 刑事:あら、なぁに? 検事:あなたは、現場にいたオカマ被告人を、すぐ逮捕した。それは、なぜ? 刑事:さっきも言ったけど、その時間に図書館にいた人は二人しかいなかった。 刑事:一人は被害者、もう一人は被告人よ。そう、被告人は被害者を殺すためにこの場所に来ていたの。 刑事:そのくらい、現場に駆けつけてすぐでもわかるわよ。 裁判長:それはそうねぇ。じゃあオカマ弁護士さん、尋問をお願いねぇ。 弁護士:はい。と言っても、私が確認したいことは一つよ。 弁護士:刑事さん…本当に図書館には二人しかいなかったんですね? 刑事:そうよ。その時、館内には被害者と被告人しかいなかった。 弁護士:わかりました。…被告人は被害者を殺す為に図書館に来たわけではないってことがね。 刑事:なっ!そんなわけないじゃない! 弁護士:では、裁判長。開館中の図書館にいなくてはならない人は誰でしょう? 裁判長:えっ私?えっと…司書さんとか?…あっ。 刑事:あっ! 弁護士:そう!被告人の職業は図書館の司書!その時、彼女は図書館に働きに来ていたのよ!だから、被害者を殺しに来たというのは矛盾してるわ!! 刑事:た、確かにそうね…! 裁判長:うーん…じゃあ一体誰が犯人なの? 弁護士:それは… 検事:ふふふ…ふふふふふ! 弁護士:…オカマ検事…ここまでは想定通りって顔してるわね。 検事:ご名答よ。オカマ弁護士。 検事:裁判長。弁護人が示した矛盾点では、被告人の無実を証明することはできないわ。 弁護士:っ! 検事:被告人は司書として図書館にいた。殺したい相手と二人きりになった。だから殺した。…これで筋は通るでしょ? 裁判長:確かにぃ〜! 弁護士:クソ検事ぃ!! 検事:はんっ。まだまだね。 検事:追い討ちをかけるようで悪いけど、検察側にはさらなる証人の用意ができてるわ。この事件の目撃者というね。 弁護士:も、目撃者なんていたのね!! 裁判長:では、オカマショウコさんを入廷させてちょうだぁい。 検事:…証人の名前を。 証人:ハァイ!私はオカマショウコ。ピチピチの一八歳!永遠の乙女よ♡ 弁護士:だ、だいぶ濃いオカマね。 検事:証人は事件のあった日、どこにいたのかしら? 証人:私はその日デートの約束があったから、待ち合わせ場所に向かってたのよ。 証人:図書館の前を通りかかったら、ガタン!!って大きな音が聞こえたから、ただ事じゃないと思って中に入ったの。 証人:そしたら、被告人の人が、被害者の人の後ろから何かしてて…多分…首を絞めてたのね。 検事:いかがかしら、裁判長? 裁判長:あらぁ、疑問の余地もないじゃない。これ以上時間をかける必要はないわねぇ。 弁護士:ちょ、ちょっと待ちなさいよ!尋問がまだ終わってないわ! 裁判長:でもぉ、今の証言はカンペキって言っていいと思うのだけどぉ? 検事:はんっ。あなたのやり方は変わらないのね。人の証言のアラを探す姑息なやり方。 弁護士:な、なによ!! 裁判長:でぇ、どうする?尋問、やる? 弁護士:もちろん、させてもらうわよ! 裁判長:わかったわぁ。尋問、初めて頂戴! 弁護士:ショウコさん、デートの約束…ってことは、彼氏がいるのかしら?! 検事:いや、聞くのそれなの?! 弁護士:それが一番大事じゃないのよ!! 裁判長:ちょっとちょっとー静かにしなさーい。 検事:はーい。 弁護士:はーい。 裁判長:で、彼氏はいるのかしら? 検事:裁判長も?! 証人:いいわよ、別にそのくらい答えるわ♡あなたたちの想像通り…彼氏はいるわ!! 弁護士:裁判長!この人は有罪だわ! 検事:ちょっと!彼氏がいるからって証人を有罪にしないでくれる?! 裁判長:わかったわぁ。証人は有罪! 検事:裁判長まで!ふざけないでちょうだい!! 弁護士:ごめんなさーい。 裁判長:ごめんなさーい。 証人:ふふふっ。嫉妬は慣れてるわ♡で、もう帰っていいのかしら? 弁護士:いいえ、まだ尋問は終わってないわ。むしろ、ここからが本当の尋問よ。 検事:じゃあさっきのは本当におふざけだったのね…。 弁護士:証人!あなたは、物音が聞こえたから図書館に入った。 証人:そうよ? 弁護士:なら、物音の正体って、なんだかわかるかしら? 証人:さ、さあ?図書館の中には何も倒れていなかったわよ? 弁護士:そう…何も倒れてなかったのね。 弁護士:裁判長。ちょっとだけ、私の用意した動画を見てちょうだい。 裁判長:動画? 弁護士:この動画には、図書館の近くの道まで音が聞こえるには、どんなことをしないといけないのか、調べた結果が写っているわ。 裁判長:なるほどね。物音の正体を突き止めたってわけねぇ。で、結果は…本棚の倒れる音? 検事:なっ!! 弁護士:そう。本棚が倒れるくらいしないと、近くの道に音は聞こえない。でも、証人が現場に駆けつけた時、音が聞こえた直後だと言うのにその場には何も倒れていなかった! 裁判長:こ、これは…どう言うことなの? 弁護士:つまり、証人は音を聞いて図書館に入ったわけではなかったのよ!! 証人:くっ…!! 検事:証人!なぜ図書館に入ったのか!それを嘘偽りなく話すのよ! 証人:そ、それは… 弁護士:話せない…それは、あなたが被害者と面識があるから? 検事:異議あり!証人を惑わせないでちょうだい! 証人:…わかったわ。本当のことを話す。 裁判長:証人…ここは裁きの庭。次に嘘をついたら…わかってるわねぇ? 証人:ええ。 証人:私、本当はこの図書館で友達と会う約束をしてたの。だから、図書館に入った。 証人:そしたら、もう友達は死んでたわ。実は何にも見てなかったの。ごめんなさい。 証人:怖くなって、私はそこから逃げ出した。だから、警察が来た時には図書館の中にいなかったの。 裁判長:なるほどね。…弁護士さん、尋問、よろしくね。 弁護士:わかってるわ。 弁護士:証人、あなた、本当は図書館に目的があってきていたのね。 証人:ええ。友達と会う約束をしていたの。 弁護士:この後、彼氏とデートなのに? 証人:あっ…。 弁護士:もしかしてあなたが犯人じゃないの?首を絞めて殺したことも知ってたみたいだしね。 証人:そ、それは、私が被害者を見た時、首筋に蝶の模様の跡が残っていたからで! 弁護士:…え? 証人:な、なによ。 弁護士:証人…今あなた、こう言ったわね? 弁護士:「首筋に蝶の模様が残っていた」って。 検事:首筋に蝶の模様?証拠を見る限り、残っていたのは変な形の模様だけど…これが蝶に見えたの? 証人:え、いや、その…。 弁護士:人は嘘をつくと、その嘘を嘘で守ろうとする。でも、その鎧はすぐに壊れてしまう。真実の前にはね。 裁判長:弁護士さん、何か気づいたのかしら? 弁護士:ええ。そうね…証人さん、あなた、この証拠品に見覚えはない? 証人:…!! 検事:それって、被害者が着けていたブラジャーじゃないのよ。確かにサイズがブカブカでなんだか不思議だったけど、それが模様の話とどう関係が…あ、ああ!!!! 弁護士:そう。このブラジャーの柄は…蝶の模様なのよ!! 検事:ちょ、蝶の模様…証人は被害者の首筋の模様を見て、蝶の模様と言った。そして、このブラジャーも蝶の模様。…まって、つ、つまり…犯人はこのブラジャーを使って被害者を殺した!そして、それは証人、オカマショウコってことなの?! 裁判長:な、なんてことなのぉ?! 弁護士:私の推理ではね。さあ、もう認めたら?ショウコさん。 証人:…私…やってない。 弁護士:…え? 証人:私!やってないわ!! 弁護士:え…ええ?! 証人:図書館に入ったのも蝶の模様に見えたのも偶然!全部たまたまよ!だって!私には動機がないもの!こんなオカマ知らないし!殺す必要がないわ! 証人:そんなに私を犯人にしたいなら!動機を答えなさいよ!! 検事:動機…た、たしかに、この証人とこのオカマの関係性はわからない。 裁判長:う、ううん。話を聞く限り、犯人はショウコさんである可能性がとても高いわ。でも、確かに、動機がないと偶然の一言で片付けられてしまうのも事実。これは一度審理を中断して… 検事:…いえ、裁判長。ちょっと待ってちょうだい。 裁判長:検事さん? 検事:弁護士の顔を見てみなさい。…あの顔、全部わかってるみたいだわ。 裁判長:べ、弁護士さん!ほんとなの?ショウコさんが犯人だとしたら、その動機が! 弁護士:ええ。全部、わかったわ。 弁護士:まず大事なのは、なんで被害者はブカブカのブラジャーをつけていたのか。 検事:見栄を張りたかったから…とか? 弁護士:いいえ、違うわ。今さっき、このブラジャーは凶器であることがわかった。それが意味するのは… 検事:犯人が凶器を隠すために、被害者の身につけたのね! 弁護士:そう考えられるわ。とすると、この被害者はブラジャーをつけていなかったことになる。 裁判長:オカマの中にはそう言う人もいるものね。おかしくはないわ。 弁護士:ええ。でも、ブラジャーをつけない人は、オカマ以外でもいるわよね。 検事:オカマ以外でブラジャーをつけない人…それって、男?! 裁判長:も、もしかして!この被害者の性別は! 弁護士:そう。この被害者はオカマでは無く、男だったのよ。そうすれば、全部説明がつく。 検事:証人は彼氏とのデートがあると言っていた…つまり、被害者の男が、その彼氏? 弁護士:彼氏と彼女と言う関係が分かれば、動機なんて調べたらすぐわかるでしょ。どうせ、男とオカマの間には揉め事しか起こらないんだからね。 裁判長:…ショウコさん、どう? 証人:……そうよ。私がやったわ。 証人:だってあいつ…私がオカマ都市のオカマだってわかったら急に態度変えて…!私のことだけならまだしも、オカマ都市までバカにして…許せなかった…オカマをけなす彼のことが…許せなかったのよ!! 弁護士:だからって、人殺しは許されたことじゃないわ。…でも、あなたは、オカマの誇りを守ってくれようとしたのよね。 検事:なかなかできることじゃないわ。きっと、オカマ都市の全国民が、あなたに感謝してる。 証人:みなさん…。 裁判長:…さて、真実がわかったわね。 裁判長:では!被告人に、判決を言い渡します。 間:間 弁護士:こうして、私は無罪を勝ち取ったわけね。 検事:ふんっ、あんなの偶然よ偶然。まぐれのまぐれ、たまたまよ。 弁護士:負け惜しみを言いに来るなら菓子折りの一つや二つ持ってきなさいよ! 検事:はんっ!あんたにはこれがお似合いよ! 弁護士:ちょっと!投げないでちょうだい! 弁護士:って、これ、依頼? 検事:次こそ負けないからね。じゃ、また法廷で。 弁護士:ふんっ。いいわ。この次も、この私、オカマ院カマコが、華麗に無罪をかましてやるわ!

弁護士:私の住むこの街、オカマ都市では、あらゆる事件が起きる。 弁護士:万引きだとか、強盗だとか…殺人事件だとか。 弁護士:それらを法律で裁くものがいる。そう、それが私。 弁護士:オカマ弁護士よ。 間:間 被告人:弁護士さぁん! 弁護士:近い近い!必死なのはわかるけどそんなに近づかないでちょうだい!あんた化粧が濃いんだから! 被告人:だってだってだって! 弁護士:だから近いのよ!!服に化粧がつくじゃ無い!離れなさいっ!! 被告人:ああんっ…だって…不安なのよ。 被告人:これから始まる裁判で、有罪になったら…どうしようって。 弁護士:不安になる気持ちもわかるけど、あなたは犯人じゃ無いんでしょ? 被告人:ええ!私は犯人じゃ無いわ! 弁護士:私もそれを信じる。だから、絶対に有罪になんてさせないわ。 被告人:弁護士さん…!大好きっ! 弁護士:だから近づかないでって!! 検事:あらあら、これから酷い目に遭うのに呑気にいちゃいちゃと…はんっ。今日の裁判、結果は目に見えてるわね。 弁護士:お、オカマ検事! 検事:ご無沙汰してるわね、オカマ弁護士。今日はこの前みたいには行かないわよ。覚悟してなさい。 弁護士:残念だけど、覚悟しないといけないのはあなたの方よ。 検事:はんっ…それは、すぐにわかるわ。さあ、時間よ。法廷へ行きましょ。 弁護士:…相変わらずイケすかないやつね。 被告人:弁護士さん。 弁護士:あら、なに? 被告人:私、本当に大丈夫よね? 弁護士:心配いらないわ。この私、オカマ院カマコが、華麗に無罪をかましてやるわ! 間:間 裁判長:そ・れ・で・は♡これより、オカマ被告人の法廷を開廷するわよぉ! 検事:検察側、準備完了しているわ。 弁護士:弁護側、準備完了しているわ。 裁判長:オカマ検事。冒頭弁論をお願いするわぁ。 検事:オカマ被告人は、事件当時、殺人現場にいた。検察側は、彼女が犯行を行ったことを示す証拠と、犯行を目撃したという証人を用意しているの。そう…被告人の有罪は、1点のうたがう余地もないってことよ。 裁判長:なるほどねぇ。じゃあ早速お願いしちゃうわ。 検事:任せなさい。最初の証人を入廷させていただくわ。捜査の指揮をとった、オカマ刑事! 検事:証人。名前と職業は? 刑事:はぁい!私の名前はオカマ刑事!所轄署の、殺人事件捜査担当の刑事よ! 検事:オカマ刑事。まず、事件の説明をお願いするわ。 刑事:はぁい!被害者は図書館で殺害されていたの。被害者が図書館に訪れた時、図書館には被害者と被告人しかいなかった。だから、犯人は被告人しかあり得ないのよ。 検事:まあ焦らないでちょうだい。被害者の死因はなに? 刑事:首に残った跡から、紐で首を絞められて亡くなったと考えられるわ。残念ながら、凶器は見つかっていないの。ごめんなさいね。 検事:その代わりに、被害者の首の写真を提出するわ。 裁判長:受理するわぁ。…なんか、特徴的模様の紐だったのね。変な跡だもの。 弁護士:確かに…なんか気になる模様ね。 検事:さて、刑事さん。 刑事:あら、なぁに? 検事:あなたは、現場にいたオカマ被告人を、すぐ逮捕した。それは、なぜ? 刑事:さっきも言ったけど、その時間に図書館にいた人は二人しかいなかった。 刑事:一人は被害者、もう一人は被告人よ。そう、被告人は被害者を殺すためにこの場所に来ていたの。 刑事:そのくらい、現場に駆けつけてすぐでもわかるわよ。 裁判長:それはそうねぇ。じゃあオカマ弁護士さん、尋問をお願いねぇ。 弁護士:はい。と言っても、私が確認したいことは一つよ。 弁護士:刑事さん…本当に図書館には二人しかいなかったんですね? 刑事:そうよ。その時、館内には被害者と被告人しかいなかった。 弁護士:わかりました。…被告人は被害者を殺す為に図書館に来たわけではないってことがね。 刑事:なっ!そんなわけないじゃない! 弁護士:では、裁判長。開館中の図書館にいなくてはならない人は誰でしょう? 裁判長:えっ私?えっと…司書さんとか?…あっ。 刑事:あっ! 弁護士:そう!被告人の職業は図書館の司書!その時、彼女は図書館に働きに来ていたのよ!だから、被害者を殺しに来たというのは矛盾してるわ!! 刑事:た、確かにそうね…! 裁判長:うーん…じゃあ一体誰が犯人なの? 弁護士:それは… 検事:ふふふ…ふふふふふ! 弁護士:…オカマ検事…ここまでは想定通りって顔してるわね。 検事:ご名答よ。オカマ弁護士。 検事:裁判長。弁護人が示した矛盾点では、被告人の無実を証明することはできないわ。 弁護士:っ! 検事:被告人は司書として図書館にいた。殺したい相手と二人きりになった。だから殺した。…これで筋は通るでしょ? 裁判長:確かにぃ〜! 弁護士:クソ検事ぃ!! 検事:はんっ。まだまだね。 検事:追い討ちをかけるようで悪いけど、検察側にはさらなる証人の用意ができてるわ。この事件の目撃者というね。 弁護士:も、目撃者なんていたのね!! 裁判長:では、オカマショウコさんを入廷させてちょうだぁい。 検事:…証人の名前を。 証人:ハァイ!私はオカマショウコ。ピチピチの一八歳!永遠の乙女よ♡ 弁護士:だ、だいぶ濃いオカマね。 検事:証人は事件のあった日、どこにいたのかしら? 証人:私はその日デートの約束があったから、待ち合わせ場所に向かってたのよ。 証人:図書館の前を通りかかったら、ガタン!!って大きな音が聞こえたから、ただ事じゃないと思って中に入ったの。 証人:そしたら、被告人の人が、被害者の人の後ろから何かしてて…多分…首を絞めてたのね。 検事:いかがかしら、裁判長? 裁判長:あらぁ、疑問の余地もないじゃない。これ以上時間をかける必要はないわねぇ。 弁護士:ちょ、ちょっと待ちなさいよ!尋問がまだ終わってないわ! 裁判長:でもぉ、今の証言はカンペキって言っていいと思うのだけどぉ? 検事:はんっ。あなたのやり方は変わらないのね。人の証言のアラを探す姑息なやり方。 弁護士:な、なによ!! 裁判長:でぇ、どうする?尋問、やる? 弁護士:もちろん、させてもらうわよ! 裁判長:わかったわぁ。尋問、初めて頂戴! 弁護士:ショウコさん、デートの約束…ってことは、彼氏がいるのかしら?! 検事:いや、聞くのそれなの?! 弁護士:それが一番大事じゃないのよ!! 裁判長:ちょっとちょっとー静かにしなさーい。 検事:はーい。 弁護士:はーい。 裁判長:で、彼氏はいるのかしら? 検事:裁判長も?! 証人:いいわよ、別にそのくらい答えるわ♡あなたたちの想像通り…彼氏はいるわ!! 弁護士:裁判長!この人は有罪だわ! 検事:ちょっと!彼氏がいるからって証人を有罪にしないでくれる?! 裁判長:わかったわぁ。証人は有罪! 検事:裁判長まで!ふざけないでちょうだい!! 弁護士:ごめんなさーい。 裁判長:ごめんなさーい。 証人:ふふふっ。嫉妬は慣れてるわ♡で、もう帰っていいのかしら? 弁護士:いいえ、まだ尋問は終わってないわ。むしろ、ここからが本当の尋問よ。 検事:じゃあさっきのは本当におふざけだったのね…。 弁護士:証人!あなたは、物音が聞こえたから図書館に入った。 証人:そうよ? 弁護士:なら、物音の正体って、なんだかわかるかしら? 証人:さ、さあ?図書館の中には何も倒れていなかったわよ? 弁護士:そう…何も倒れてなかったのね。 弁護士:裁判長。ちょっとだけ、私の用意した動画を見てちょうだい。 裁判長:動画? 弁護士:この動画には、図書館の近くの道まで音が聞こえるには、どんなことをしないといけないのか、調べた結果が写っているわ。 裁判長:なるほどね。物音の正体を突き止めたってわけねぇ。で、結果は…本棚の倒れる音? 検事:なっ!! 弁護士:そう。本棚が倒れるくらいしないと、近くの道に音は聞こえない。でも、証人が現場に駆けつけた時、音が聞こえた直後だと言うのにその場には何も倒れていなかった! 裁判長:こ、これは…どう言うことなの? 弁護士:つまり、証人は音を聞いて図書館に入ったわけではなかったのよ!! 証人:くっ…!! 検事:証人!なぜ図書館に入ったのか!それを嘘偽りなく話すのよ! 証人:そ、それは… 弁護士:話せない…それは、あなたが被害者と面識があるから? 検事:異議あり!証人を惑わせないでちょうだい! 証人:…わかったわ。本当のことを話す。 裁判長:証人…ここは裁きの庭。次に嘘をついたら…わかってるわねぇ? 証人:ええ。 証人:私、本当はこの図書館で友達と会う約束をしてたの。だから、図書館に入った。 証人:そしたら、もう友達は死んでたわ。実は何にも見てなかったの。ごめんなさい。 証人:怖くなって、私はそこから逃げ出した。だから、警察が来た時には図書館の中にいなかったの。 裁判長:なるほどね。…弁護士さん、尋問、よろしくね。 弁護士:わかってるわ。 弁護士:証人、あなた、本当は図書館に目的があってきていたのね。 証人:ええ。友達と会う約束をしていたの。 弁護士:この後、彼氏とデートなのに? 証人:あっ…。 弁護士:もしかしてあなたが犯人じゃないの?首を絞めて殺したことも知ってたみたいだしね。 証人:そ、それは、私が被害者を見た時、首筋に蝶の模様の跡が残っていたからで! 弁護士:…え? 証人:な、なによ。 弁護士:証人…今あなた、こう言ったわね? 弁護士:「首筋に蝶の模様が残っていた」って。 検事:首筋に蝶の模様?証拠を見る限り、残っていたのは変な形の模様だけど…これが蝶に見えたの? 証人:え、いや、その…。 弁護士:人は嘘をつくと、その嘘を嘘で守ろうとする。でも、その鎧はすぐに壊れてしまう。真実の前にはね。 裁判長:弁護士さん、何か気づいたのかしら? 弁護士:ええ。そうね…証人さん、あなた、この証拠品に見覚えはない? 証人:…!! 検事:それって、被害者が着けていたブラジャーじゃないのよ。確かにサイズがブカブカでなんだか不思議だったけど、それが模様の話とどう関係が…あ、ああ!!!! 弁護士:そう。このブラジャーの柄は…蝶の模様なのよ!! 検事:ちょ、蝶の模様…証人は被害者の首筋の模様を見て、蝶の模様と言った。そして、このブラジャーも蝶の模様。…まって、つ、つまり…犯人はこのブラジャーを使って被害者を殺した!そして、それは証人、オカマショウコってことなの?! 裁判長:な、なんてことなのぉ?! 弁護士:私の推理ではね。さあ、もう認めたら?ショウコさん。 証人:…私…やってない。 弁護士:…え? 証人:私!やってないわ!! 弁護士:え…ええ?! 証人:図書館に入ったのも蝶の模様に見えたのも偶然!全部たまたまよ!だって!私には動機がないもの!こんなオカマ知らないし!殺す必要がないわ! 証人:そんなに私を犯人にしたいなら!動機を答えなさいよ!! 検事:動機…た、たしかに、この証人とこのオカマの関係性はわからない。 裁判長:う、ううん。話を聞く限り、犯人はショウコさんである可能性がとても高いわ。でも、確かに、動機がないと偶然の一言で片付けられてしまうのも事実。これは一度審理を中断して… 検事:…いえ、裁判長。ちょっと待ってちょうだい。 裁判長:検事さん? 検事:弁護士の顔を見てみなさい。…あの顔、全部わかってるみたいだわ。 裁判長:べ、弁護士さん!ほんとなの?ショウコさんが犯人だとしたら、その動機が! 弁護士:ええ。全部、わかったわ。 弁護士:まず大事なのは、なんで被害者はブカブカのブラジャーをつけていたのか。 検事:見栄を張りたかったから…とか? 弁護士:いいえ、違うわ。今さっき、このブラジャーは凶器であることがわかった。それが意味するのは… 検事:犯人が凶器を隠すために、被害者の身につけたのね! 弁護士:そう考えられるわ。とすると、この被害者はブラジャーをつけていなかったことになる。 裁判長:オカマの中にはそう言う人もいるものね。おかしくはないわ。 弁護士:ええ。でも、ブラジャーをつけない人は、オカマ以外でもいるわよね。 検事:オカマ以外でブラジャーをつけない人…それって、男?! 裁判長:も、もしかして!この被害者の性別は! 弁護士:そう。この被害者はオカマでは無く、男だったのよ。そうすれば、全部説明がつく。 検事:証人は彼氏とのデートがあると言っていた…つまり、被害者の男が、その彼氏? 弁護士:彼氏と彼女と言う関係が分かれば、動機なんて調べたらすぐわかるでしょ。どうせ、男とオカマの間には揉め事しか起こらないんだからね。 裁判長:…ショウコさん、どう? 証人:……そうよ。私がやったわ。 証人:だってあいつ…私がオカマ都市のオカマだってわかったら急に態度変えて…!私のことだけならまだしも、オカマ都市までバカにして…許せなかった…オカマをけなす彼のことが…許せなかったのよ!! 弁護士:だからって、人殺しは許されたことじゃないわ。…でも、あなたは、オカマの誇りを守ってくれようとしたのよね。 検事:なかなかできることじゃないわ。きっと、オカマ都市の全国民が、あなたに感謝してる。 証人:みなさん…。 裁判長:…さて、真実がわかったわね。 裁判長:では!被告人に、判決を言い渡します。 間:間 弁護士:こうして、私は無罪を勝ち取ったわけね。 検事:ふんっ、あんなの偶然よ偶然。まぐれのまぐれ、たまたまよ。 弁護士:負け惜しみを言いに来るなら菓子折りの一つや二つ持ってきなさいよ! 検事:はんっ!あんたにはこれがお似合いよ! 弁護士:ちょっと!投げないでちょうだい! 弁護士:って、これ、依頼? 検事:次こそ負けないからね。じゃ、また法廷で。 弁護士:ふんっ。いいわ。この次も、この私、オカマ院カマコが、華麗に無罪をかましてやるわ!