台本概要

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タイトル 紫炎の魔術師 第ニ話『咆える雷虎』
作者名 カタギリ  (@Kata_giriV)
ジャンル ファンタジー
演者人数 3人用台本(男1、不問2)
時間 20 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 閲覧ありがとうございます。今回続き物になりますのでご注意ください
商用、非商用問わず、連絡不要ですが、Xなどで呟いていただけるととても嬉しいです。
二役は不問としましたが、基本設定は乃亜が女性、煉次が男性です。逆転する場合は適宜一人称変えていただいて結構です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
乃亜 不問 45 紫ノ宮 乃亜(しのみや のあ) 「アンティークショップ 椿屋」店長兼魔術師。口が悪い。
煉次 不問 57 鳥羽 煉次(とば れんじ) 「アンティークショップ 椿屋」兼魔術師見習い。クールだが、たまに熱い。
雷堂 56 虎谷 雷堂(とらや らいどう) ハゲもといおしゃれボウズ。煉次の兄弟子にあたる。兄貴肌。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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紫炎の魔術師 第ニ話『咆える雷虎』 登場人物:紫ノ宮 乃亜(しのみや のあ) 「アンティークショップ 椿屋」店長兼魔術師。口が悪い。 登場人物:鳥羽 煉次(とば れんじ) 「アンティークショップ 椿屋」兼魔術師見習い。クールだが、たまに熱い。 登場人物:虎谷 雷堂(とらや らいどう) ハゲもといおしゃれボウズ。煉次の兄弟子にあたる。兄貴肌。 あらすじ:煉次の修行はいよいよ実戦的なものへと移る。兄弟子、虎屋 雷堂も登場し修行という名の試合が始まる。 本編: 煉次:(フランクリン・アシュフォードの襲撃の後、神代の秘宝の話を聞きつけた魔術師が押し寄せて来たが、、、。) 乃亜:あはははは!もうお終いかい?最初の威勢はどうしたんだよ?例の石っコロを力づくで奪ってくれるんだろう?まあ残念ながら粉微塵にしてしまったのだけれど。 乃亜:全くどいつもこいつもだらしないね。フェンリルもお前らみたいな皿の端の残りカスみたいなのは食い飽きてるんだよ。 乃亜:って、こら!まだ食っていいって言ってないだろ! 乃亜:あーあ意地汚くなってしまってまぁ。そんな子に育てた覚えはないぞ。母さんは悲しいよ。 煉次:(このように師匠はその悉くを蹴散らしてご満悦だった。) 0:アンティークショップ椿屋 にて。 煉次:やっと調子、戻ってきたかな。 煉次:先のフランクリンとの戦い、結局師匠に頼りっきりだった。まだまだ力不足だな。これじゃあ、親父の仇なんて、、、。 乃亜:そろそろパワーアップイベントが必要だよな、煉次よ。 煉次:なんですか?そのゲームみたいな言い回しは? 乃亜:今やってるゲームが面白くてな。気づいたら何時間もプレイしてしまう。あ、いや、仕事はやってるぞ!ほどほどにな! 煉次:、、、まあ俺もゲームは好きですから、気持ちはわかりますけどね。 乃亜:そ、そうなんだよな!最近のゲームは凄いぞ。画質はもはやリアルとそう変わらないし、VRなんてのも流行ってる。 煉次:今まではただの娯楽だったのが、仕事のシミュレーションに使われることもあるみたいですね。もしかして、魔術の修行もVRだとでも言うんですか? 乃亜:それができたらいいんだけどな、サボれるし。 乃亜:いまだ魔術に関しては実践して学んでいく方が近道だ。 煉次:もうサボりたい気持ちを隠さなくなってしまったな、、、。 乃亜:という訳で、スペシャルゲストを呼んでおいたぞ。喜べ、少年! 煉次:スペシャル、ゲスト? 乃亜:そうだ!もうそろそろ来る頃合いだ。 0:雷堂、登場。 雷堂:乃亜の姐御!愛弟子がツラ、拝みにきたぞ!元気にしてるかよ! 乃亜:うるさい!もっと静かに入ってこい!扉壊れたら弁償させるぞ!このハゲ頭が! 雷堂:ハゲじゃねぇ!俺のはおしゃれボウズだ!相変わらず口が悪いな、アンタは! 煉次:あの、この方がスペシャルゲストでよろしいですか? 乃亜:ああ、そうだ。このうるさいハゲが虎屋 雷同(とらや らいどう)。お前の兄弟子だ。 雷堂:だからハゲじゃねぇっての!ったく、お前が例の新しい弟子か? 煉次:あ、はい、鳥羽 煉次(とば れんじ)と申します。よろしくお願いします。 雷堂:ほーあの姐御からこんなまともそうな弟子が生まれるなんてな。 乃亜:なんだ?雷同?喧嘩売ってるのか? 雷堂:ホントのこと言っただけっすよ。俺含めて癖が強い奴ばかりじゃないすか。 煉次:(そんな曲者揃いなのか、、、はぁ) 乃亜:それはアタシの指導とは関係ないだろうが。お前達が揃いも揃って変わり者なだけだ。 乃亜:そんな事はどうでもいい。今日お前を呼んだのは他でもない。この煉次の修行に付き合ってやってほしい。 雷堂:なるほど~自分は居眠りきめ込むつもりだな。サボり癖は相変わらずなんすね。 乃亜:全く、どいつもこいつもアタシをサボり魔にしたいんだな?師匠泣いちゃうわ。 雷堂:泣くとか柄にも無ぇでしょ。 煉次:あー話が進まないので、具体的にどんな修行をするんですか? 乃亜:自分の武器を作る。 雷堂:は?武器って、、、まさかまだ焚き火、やらせてんじゃねーだろうな? 乃亜:だいぶ基礎も出来てきたからな。そろそろ実戦編に移行しようってところだ。 雷堂:先が思いやられる。 乃亜:じゃあアタシは大事な仕事があるから後は若い二人に任せる。じゃあな~。(小声)ふぁ~あ、一眠りするか。 煉次:絶対寝る気だ。 雷堂:な?言った通りだろ? 0:乃亜、退場 雷堂:お前も苦労人だな。 煉次:もう慣れてしまいました。 雷堂:ははっ、昔を思い出すぜ。俺も、乃亜の姐御には振り回されたもんだ、、、いや、今もか。 煉次:昔っからあんな感じなんですね、師匠は。 雷堂:そこは変わんねーな。ハゲハゲうるせぇのも。 煉次:あはは、ホント、デリカシーないですよね、師匠は。 雷堂:いや、お前も酷くねぇか、それ? 煉次:あ、すいません、つい。 雷堂:んーまあいい。武器について話を戻すとだな。俺だったらこれだ。 0:雷堂の手に雷の槍が突如現れる。 煉次:雷を帯びた槍。 雷堂:そうだ。ぶっちゃけ、武器は自分が扱いやすいものなら何でも良い。自分の属性とどう組み合わせるかが使い手の腕の見せ所だ。 煉次:なるほど。 雷堂:で、お前はどうする? 煉次:うーん、そうですね、、、刀、ですかね。昔、親父とよく稽古してたので一番しっくりくるというか。 雷堂:いいじゃねぇか。炎の剣。悪くねぇ。 雷堂:イメージが固まったら後は魔力の制御だけだ。刀をお前の炎で具現化する。ここからは例の基礎が重要だぞ。 煉次:散々悪態ついてて、酷い有様だったら師匠にドヤされる。 雷堂:ははっ、ちげねぇ。 0:間 雷堂:さっき言った通り。武器の生成のポイントは二つだ。 一つは武器のイメージ。なるべく詳細に頭に思い浮かべろ。それが鋳型になる。 そして二つ目が魔力の制御、調整。鋳型に魔力を流し込み、鋳造、仕上げる。 煉次:それを一瞬でやらなければならないってことですね。 雷堂:そうだ。チンタラしてたら武器を出す前に攻撃をくらって、あの世行きだ。 煉次:やってみます。 雷堂:よし、まずは鋳型を生成。 煉次:生成。 雷堂:そして鋳造。 煉次:鋳造。これでどうでしょうか? 雷堂:初めてにしては悪くねぇ。 煉次:ありがとうございます。 雷堂:これはまだ序の口だ。その後の攻撃に移れなければ意味がねぇ。ビシバシ行くぞ。 煉次:はい! 0:乃亜、二人を陰から見守る。 乃亜:気になってちらっと様子を見てみたら、雷堂もしっかり指導してるな。立派になった。 乃亜:煉次もちゃんとついていけてるしな。 だが、親父の仇討ち、か。復讐心に囚われ過ぎては周りが見えなくなる。今のところ、そんな風には見えないが。 乃亜:煉次の親父、鳥羽 兼光(とば かねみつ)は私の弟子だった。アタシだって、、、。 乃亜:まだ犯人については追跡中だが、この件に関しては慎重に扱わないとな。 0:数時間後 雷堂:正直驚いたぜ。魔力の制御に関しちゃ、弟子の中でも一、二を争うかもしれねぇ。 雷堂:戦闘に関してはまだ鍛練が必要だが、続けていれば絶対に良くなるから安心しろ。 煉次:ありがとうございます。雷堂さんの指導がわかりやすかったので助かりましたよ。 雷堂:む、素直に褒められるとくすぐったいな。 煉次:ははは。 0:乃亜、登場 乃亜:おお~もうそこまでものにしたか、煉次。やっぱり師匠が良かったからかな。 雷堂:言ってろ。って吐き捨てたいところだが、否定もできんな。 乃亜:じゃあ、もうやっちゃうか?実戦? 煉次:でもそんなタイミングよく相手が現れますかね? 乃亜:いるじゃないか。目の前に。 煉次:え? 乃亜:ほれほれ。 煉次:師匠が、相手してくれるんですか? 乃亜:そうだと言ってるだろう。くどいぞ。 雷堂:珍しいこともあるもんだな。面倒臭がりのアンタが。 乃亜:面倒臭がりは余分だ! 雷堂:いっちょ、お前の力を見せてやれよ。 乃亜:何我関せずって顔かましてるんだ?お前も一緒にやるんだよ。雷堂。 雷堂:は?何で俺まで? 乃亜:お前の腕が鈍ってないかもついでに見てやろうっつってんだよ。ハゲ頭。 雷堂:おい、ぼこぼこにすんぞ。 煉次:いや、落ち着いてください、雷堂さん。 0:間 乃亜:さあ、楽しい運動の時間だ。 煉次:ところで師匠はどんな武器を使うんですか? 雷堂:さあな。 煉次:え?雷堂さんも知らないんですか? 雷堂:毎回得物が違うんだ。 乃亜:今日は、ど、れ、に、し、よ、う、か、な、と。そうだ!レイピアにしよう! 煉次:それって師匠がやってるゲームのじゃ、、、。 乃亜:何時間も遊んでるからな。具現化はお茶の子さいさいってやつだ。ついでにお前らに合わせて属性も二つつけてやろう。二刀流だぞ!かっこいいだろ? 雷堂:おいおい、えげつない事しやがる。 煉次:師匠は炎どころか雷の魔術まで使えるんですか!? 雷堂:他にも数えきれないくらい使えるはずだぞ。俺もいまだに全く掴みきれてない。 乃亜:こっちは準備出来たぞ。お前達もさっさと構えろ。 雷堂:新弟子、ちょっと来い。 煉次:あ、はい、なんですか? 乃亜:何をコソコソ話してるのかは知らんが、作戦会議は終わったか? 雷堂:なかなか絶望的な状況だが、やるからには勝ちに行くぞ、新弟子。 煉次:はい。 乃亜:じゃあ、試合開始だ! 雷堂:うおおおおお! 乃亜:ははははは!凄まじい気迫だ!腕を上げたな、雷同! 雷堂:そりゃどうも!(言ってる割に楽しそうな顔しやがって。) 乃亜:そして、煉次、初めて組む相手でもいい連携してくるじゃないか!器用なヤツだ!その臨機応変さは褒めてやろう! 煉次:はあああああ!(二人を相手にしてるのに全く隙がない。) 乃亜:これならもう一段階ギアを上げても大丈夫そうだな! 乃亜:さぁ、第二ラウンド開始だ! 煉次:ぐっ。(なんて強烈な攻撃だ。さながら鬼神の如し。そして美しさをも覚える清廉とした技。) 雷堂:気を抜くんじゃねぇぞ、新弟子!一瞬であの世行きだぞ! 煉次:はい! 乃亜:ふははははは!いいぞ!お前達!アタシは楽しい!こういった試合もたまには良いものだねぇ! 0:雷堂、煉次ともに息が上がってくる。 煉次:はぁ、はぁ。 雷堂:はぁ、はぁ、おい、新弟子。 煉次:何でしょうか? 雷堂:あれを使うぞ。 煉次:、、、わかりました。 乃亜:次は何を見せてくれるんだ?楽しみだね!胸が躍るよ! 雷堂:俺が打ち合って時間を稼ぐ。最後はお前が決めろ。 0:試合前 煉次:これは何ですか? 雷堂:タケミカヅチの勾玉。 煉次:雷神にして武神と呼ばれたタケミカヅチのことですか? 雷堂:そうだ。これを使えば一時的だが、神代の雷の魔術も使えるだろう。それだけの魔力が込められてる。 煉次:これ、先に師匠に鑑定してもらった方がいいのでは?それに俺なんかが使ってもいいんですか? 雷堂:鑑定なんて後だ、後。あの化け物じみた魔力に対抗するには搦め手がいる。 雷堂:それにお前なら扱えるさ。タケミカヅチは剣神とも呼ばれてる。お前のスタイルに合ってんだろ?自信持ちな。俺が保証してやる。 煉次:雷堂さん、、、。 雷堂:さあ、あの居眠り師匠に一泡吹かせてやれ。な。 煉次:はい! 0:煉次、深呼吸 煉次:神気解放。我、建御雷神(たけみかづち)の加護を受けん。 煉次:我が剣は未熟なれど、この一刀、この一撃は刹那、神技に至る!轟け!『布都御魂 炎雷一閃!(ふつのみたま えんらいいっせん)』 乃亜:なに神気だと!?これは? 雷堂:おいおいこいつは想像以上だ。やれ!煉次! 煉次:はあああああ! 乃亜:受けろ!フェンリル! 0:閃光が走る。 煉次:ぐっ、もう一歩も動けない。 乃亜:全くお前達、とんでもないものを見せてくれたね。 雷堂:あれくらってピンピンしてるアンタに言われたくねーけどな。 乃亜:ピンピンはしてない。おかげでフェンリルはしばらく使い物にならないな。まあ最近食い過ぎてたから良いダイエットになったんじゃないか? 煉次:ははは、フェンリル、だいぶ痩せこけちゃいましたね。 煉次:少しは成長したところ、見せられましたか? 乃亜:上々だ。正直見違えたよ。 雷堂:本当によくやったぞ!煉次!俺も興奮しちまった! 煉次:いえいえ、雷堂さんのサポートがあったからですよ。 雷堂:よせやい! 乃亜:まさか、タケミカヅチの勾玉とはよく見つけたもんだよ。この間のカグツチの贋作とは大違いの秘宝だ。 雷堂:苦労して手に入れた甲斐があったぜ。後で鑑定してもらえよ、煉次。 煉次:はい。改めて今回はいい経験になりました。ありがとうございました、師匠、雷堂さん。 雷堂:本当に律儀なヤツだな、お前。 雷堂:よしっ!そんなかわいい後輩にはメシでも奢ってやろう!肉食うぞ肉! 乃亜:おっ、たまには気が合うじゃないか、雷堂。 雷堂:アンタは金出せよな。 乃亜:ええ~雷堂く~ん、お世話になってる愛しの師匠を労おうって気持ちは無いのかな~。師匠は悲しいぞ~。 雷堂:気色悪いこと言ってんじゃねぇよ! 雷堂:あーもう、わかった、わかった!奢らせていただきますよ!出血大サービスだこのやろう! 乃亜:さっすが!雷堂!やったぜ。 煉次:(途轍もない疲労感だけど、悪くない。ほんの僅かでも師匠に近づけたことを実感させてくれるようで嬉しくもあり、誇らしくもあった。これを糧に、俺はまだまだ、強くならなければ。)

紫炎の魔術師 第ニ話『咆える雷虎』 登場人物:紫ノ宮 乃亜(しのみや のあ) 「アンティークショップ 椿屋」店長兼魔術師。口が悪い。 登場人物:鳥羽 煉次(とば れんじ) 「アンティークショップ 椿屋」兼魔術師見習い。クールだが、たまに熱い。 登場人物:虎谷 雷堂(とらや らいどう) ハゲもといおしゃれボウズ。煉次の兄弟子にあたる。兄貴肌。 あらすじ:煉次の修行はいよいよ実戦的なものへと移る。兄弟子、虎屋 雷堂も登場し修行という名の試合が始まる。 本編: 煉次:(フランクリン・アシュフォードの襲撃の後、神代の秘宝の話を聞きつけた魔術師が押し寄せて来たが、、、。) 乃亜:あはははは!もうお終いかい?最初の威勢はどうしたんだよ?例の石っコロを力づくで奪ってくれるんだろう?まあ残念ながら粉微塵にしてしまったのだけれど。 乃亜:全くどいつもこいつもだらしないね。フェンリルもお前らみたいな皿の端の残りカスみたいなのは食い飽きてるんだよ。 乃亜:って、こら!まだ食っていいって言ってないだろ! 乃亜:あーあ意地汚くなってしまってまぁ。そんな子に育てた覚えはないぞ。母さんは悲しいよ。 煉次:(このように師匠はその悉くを蹴散らしてご満悦だった。) 0:アンティークショップ椿屋 にて。 煉次:やっと調子、戻ってきたかな。 煉次:先のフランクリンとの戦い、結局師匠に頼りっきりだった。まだまだ力不足だな。これじゃあ、親父の仇なんて、、、。 乃亜:そろそろパワーアップイベントが必要だよな、煉次よ。 煉次:なんですか?そのゲームみたいな言い回しは? 乃亜:今やってるゲームが面白くてな。気づいたら何時間もプレイしてしまう。あ、いや、仕事はやってるぞ!ほどほどにな! 煉次:、、、まあ俺もゲームは好きですから、気持ちはわかりますけどね。 乃亜:そ、そうなんだよな!最近のゲームは凄いぞ。画質はもはやリアルとそう変わらないし、VRなんてのも流行ってる。 煉次:今まではただの娯楽だったのが、仕事のシミュレーションに使われることもあるみたいですね。もしかして、魔術の修行もVRだとでも言うんですか? 乃亜:それができたらいいんだけどな、サボれるし。 乃亜:いまだ魔術に関しては実践して学んでいく方が近道だ。 煉次:もうサボりたい気持ちを隠さなくなってしまったな、、、。 乃亜:という訳で、スペシャルゲストを呼んでおいたぞ。喜べ、少年! 煉次:スペシャル、ゲスト? 乃亜:そうだ!もうそろそろ来る頃合いだ。 0:雷堂、登場。 雷堂:乃亜の姐御!愛弟子がツラ、拝みにきたぞ!元気にしてるかよ! 乃亜:うるさい!もっと静かに入ってこい!扉壊れたら弁償させるぞ!このハゲ頭が! 雷堂:ハゲじゃねぇ!俺のはおしゃれボウズだ!相変わらず口が悪いな、アンタは! 煉次:あの、この方がスペシャルゲストでよろしいですか? 乃亜:ああ、そうだ。このうるさいハゲが虎屋 雷同(とらや らいどう)。お前の兄弟子だ。 雷堂:だからハゲじゃねぇっての!ったく、お前が例の新しい弟子か? 煉次:あ、はい、鳥羽 煉次(とば れんじ)と申します。よろしくお願いします。 雷堂:ほーあの姐御からこんなまともそうな弟子が生まれるなんてな。 乃亜:なんだ?雷同?喧嘩売ってるのか? 雷堂:ホントのこと言っただけっすよ。俺含めて癖が強い奴ばかりじゃないすか。 煉次:(そんな曲者揃いなのか、、、はぁ) 乃亜:それはアタシの指導とは関係ないだろうが。お前達が揃いも揃って変わり者なだけだ。 乃亜:そんな事はどうでもいい。今日お前を呼んだのは他でもない。この煉次の修行に付き合ってやってほしい。 雷堂:なるほど~自分は居眠りきめ込むつもりだな。サボり癖は相変わらずなんすね。 乃亜:全く、どいつもこいつもアタシをサボり魔にしたいんだな?師匠泣いちゃうわ。 雷堂:泣くとか柄にも無ぇでしょ。 煉次:あー話が進まないので、具体的にどんな修行をするんですか? 乃亜:自分の武器を作る。 雷堂:は?武器って、、、まさかまだ焚き火、やらせてんじゃねーだろうな? 乃亜:だいぶ基礎も出来てきたからな。そろそろ実戦編に移行しようってところだ。 雷堂:先が思いやられる。 乃亜:じゃあアタシは大事な仕事があるから後は若い二人に任せる。じゃあな~。(小声)ふぁ~あ、一眠りするか。 煉次:絶対寝る気だ。 雷堂:な?言った通りだろ? 0:乃亜、退場 雷堂:お前も苦労人だな。 煉次:もう慣れてしまいました。 雷堂:ははっ、昔を思い出すぜ。俺も、乃亜の姐御には振り回されたもんだ、、、いや、今もか。 煉次:昔っからあんな感じなんですね、師匠は。 雷堂:そこは変わんねーな。ハゲハゲうるせぇのも。 煉次:あはは、ホント、デリカシーないですよね、師匠は。 雷堂:いや、お前も酷くねぇか、それ? 煉次:あ、すいません、つい。 雷堂:んーまあいい。武器について話を戻すとだな。俺だったらこれだ。 0:雷堂の手に雷の槍が突如現れる。 煉次:雷を帯びた槍。 雷堂:そうだ。ぶっちゃけ、武器は自分が扱いやすいものなら何でも良い。自分の属性とどう組み合わせるかが使い手の腕の見せ所だ。 煉次:なるほど。 雷堂:で、お前はどうする? 煉次:うーん、そうですね、、、刀、ですかね。昔、親父とよく稽古してたので一番しっくりくるというか。 雷堂:いいじゃねぇか。炎の剣。悪くねぇ。 雷堂:イメージが固まったら後は魔力の制御だけだ。刀をお前の炎で具現化する。ここからは例の基礎が重要だぞ。 煉次:散々悪態ついてて、酷い有様だったら師匠にドヤされる。 雷堂:ははっ、ちげねぇ。 0:間 雷堂:さっき言った通り。武器の生成のポイントは二つだ。 一つは武器のイメージ。なるべく詳細に頭に思い浮かべろ。それが鋳型になる。 そして二つ目が魔力の制御、調整。鋳型に魔力を流し込み、鋳造、仕上げる。 煉次:それを一瞬でやらなければならないってことですね。 雷堂:そうだ。チンタラしてたら武器を出す前に攻撃をくらって、あの世行きだ。 煉次:やってみます。 雷堂:よし、まずは鋳型を生成。 煉次:生成。 雷堂:そして鋳造。 煉次:鋳造。これでどうでしょうか? 雷堂:初めてにしては悪くねぇ。 煉次:ありがとうございます。 雷堂:これはまだ序の口だ。その後の攻撃に移れなければ意味がねぇ。ビシバシ行くぞ。 煉次:はい! 0:乃亜、二人を陰から見守る。 乃亜:気になってちらっと様子を見てみたら、雷堂もしっかり指導してるな。立派になった。 乃亜:煉次もちゃんとついていけてるしな。 だが、親父の仇討ち、か。復讐心に囚われ過ぎては周りが見えなくなる。今のところ、そんな風には見えないが。 乃亜:煉次の親父、鳥羽 兼光(とば かねみつ)は私の弟子だった。アタシだって、、、。 乃亜:まだ犯人については追跡中だが、この件に関しては慎重に扱わないとな。 0:数時間後 雷堂:正直驚いたぜ。魔力の制御に関しちゃ、弟子の中でも一、二を争うかもしれねぇ。 雷堂:戦闘に関してはまだ鍛練が必要だが、続けていれば絶対に良くなるから安心しろ。 煉次:ありがとうございます。雷堂さんの指導がわかりやすかったので助かりましたよ。 雷堂:む、素直に褒められるとくすぐったいな。 煉次:ははは。 0:乃亜、登場 乃亜:おお~もうそこまでものにしたか、煉次。やっぱり師匠が良かったからかな。 雷堂:言ってろ。って吐き捨てたいところだが、否定もできんな。 乃亜:じゃあ、もうやっちゃうか?実戦? 煉次:でもそんなタイミングよく相手が現れますかね? 乃亜:いるじゃないか。目の前に。 煉次:え? 乃亜:ほれほれ。 煉次:師匠が、相手してくれるんですか? 乃亜:そうだと言ってるだろう。くどいぞ。 雷堂:珍しいこともあるもんだな。面倒臭がりのアンタが。 乃亜:面倒臭がりは余分だ! 雷堂:いっちょ、お前の力を見せてやれよ。 乃亜:何我関せずって顔かましてるんだ?お前も一緒にやるんだよ。雷堂。 雷堂:は?何で俺まで? 乃亜:お前の腕が鈍ってないかもついでに見てやろうっつってんだよ。ハゲ頭。 雷堂:おい、ぼこぼこにすんぞ。 煉次:いや、落ち着いてください、雷堂さん。 0:間 乃亜:さあ、楽しい運動の時間だ。 煉次:ところで師匠はどんな武器を使うんですか? 雷堂:さあな。 煉次:え?雷堂さんも知らないんですか? 雷堂:毎回得物が違うんだ。 乃亜:今日は、ど、れ、に、し、よ、う、か、な、と。そうだ!レイピアにしよう! 煉次:それって師匠がやってるゲームのじゃ、、、。 乃亜:何時間も遊んでるからな。具現化はお茶の子さいさいってやつだ。ついでにお前らに合わせて属性も二つつけてやろう。二刀流だぞ!かっこいいだろ? 雷堂:おいおい、えげつない事しやがる。 煉次:師匠は炎どころか雷の魔術まで使えるんですか!? 雷堂:他にも数えきれないくらい使えるはずだぞ。俺もいまだに全く掴みきれてない。 乃亜:こっちは準備出来たぞ。お前達もさっさと構えろ。 雷堂:新弟子、ちょっと来い。 煉次:あ、はい、なんですか? 乃亜:何をコソコソ話してるのかは知らんが、作戦会議は終わったか? 雷堂:なかなか絶望的な状況だが、やるからには勝ちに行くぞ、新弟子。 煉次:はい。 乃亜:じゃあ、試合開始だ! 雷堂:うおおおおお! 乃亜:ははははは!凄まじい気迫だ!腕を上げたな、雷同! 雷堂:そりゃどうも!(言ってる割に楽しそうな顔しやがって。) 乃亜:そして、煉次、初めて組む相手でもいい連携してくるじゃないか!器用なヤツだ!その臨機応変さは褒めてやろう! 煉次:はあああああ!(二人を相手にしてるのに全く隙がない。) 乃亜:これならもう一段階ギアを上げても大丈夫そうだな! 乃亜:さぁ、第二ラウンド開始だ! 煉次:ぐっ。(なんて強烈な攻撃だ。さながら鬼神の如し。そして美しさをも覚える清廉とした技。) 雷堂:気を抜くんじゃねぇぞ、新弟子!一瞬であの世行きだぞ! 煉次:はい! 乃亜:ふははははは!いいぞ!お前達!アタシは楽しい!こういった試合もたまには良いものだねぇ! 0:雷堂、煉次ともに息が上がってくる。 煉次:はぁ、はぁ。 雷堂:はぁ、はぁ、おい、新弟子。 煉次:何でしょうか? 雷堂:あれを使うぞ。 煉次:、、、わかりました。 乃亜:次は何を見せてくれるんだ?楽しみだね!胸が躍るよ! 雷堂:俺が打ち合って時間を稼ぐ。最後はお前が決めろ。 0:試合前 煉次:これは何ですか? 雷堂:タケミカヅチの勾玉。 煉次:雷神にして武神と呼ばれたタケミカヅチのことですか? 雷堂:そうだ。これを使えば一時的だが、神代の雷の魔術も使えるだろう。それだけの魔力が込められてる。 煉次:これ、先に師匠に鑑定してもらった方がいいのでは?それに俺なんかが使ってもいいんですか? 雷堂:鑑定なんて後だ、後。あの化け物じみた魔力に対抗するには搦め手がいる。 雷堂:それにお前なら扱えるさ。タケミカヅチは剣神とも呼ばれてる。お前のスタイルに合ってんだろ?自信持ちな。俺が保証してやる。 煉次:雷堂さん、、、。 雷堂:さあ、あの居眠り師匠に一泡吹かせてやれ。な。 煉次:はい! 0:煉次、深呼吸 煉次:神気解放。我、建御雷神(たけみかづち)の加護を受けん。 煉次:我が剣は未熟なれど、この一刀、この一撃は刹那、神技に至る!轟け!『布都御魂 炎雷一閃!(ふつのみたま えんらいいっせん)』 乃亜:なに神気だと!?これは? 雷堂:おいおいこいつは想像以上だ。やれ!煉次! 煉次:はあああああ! 乃亜:受けろ!フェンリル! 0:閃光が走る。 煉次:ぐっ、もう一歩も動けない。 乃亜:全くお前達、とんでもないものを見せてくれたね。 雷堂:あれくらってピンピンしてるアンタに言われたくねーけどな。 乃亜:ピンピンはしてない。おかげでフェンリルはしばらく使い物にならないな。まあ最近食い過ぎてたから良いダイエットになったんじゃないか? 煉次:ははは、フェンリル、だいぶ痩せこけちゃいましたね。 煉次:少しは成長したところ、見せられましたか? 乃亜:上々だ。正直見違えたよ。 雷堂:本当によくやったぞ!煉次!俺も興奮しちまった! 煉次:いえいえ、雷堂さんのサポートがあったからですよ。 雷堂:よせやい! 乃亜:まさか、タケミカヅチの勾玉とはよく見つけたもんだよ。この間のカグツチの贋作とは大違いの秘宝だ。 雷堂:苦労して手に入れた甲斐があったぜ。後で鑑定してもらえよ、煉次。 煉次:はい。改めて今回はいい経験になりました。ありがとうございました、師匠、雷堂さん。 雷堂:本当に律儀なヤツだな、お前。 雷堂:よしっ!そんなかわいい後輩にはメシでも奢ってやろう!肉食うぞ肉! 乃亜:おっ、たまには気が合うじゃないか、雷堂。 雷堂:アンタは金出せよな。 乃亜:ええ~雷堂く~ん、お世話になってる愛しの師匠を労おうって気持ちは無いのかな~。師匠は悲しいぞ~。 雷堂:気色悪いこと言ってんじゃねぇよ! 雷堂:あーもう、わかった、わかった!奢らせていただきますよ!出血大サービスだこのやろう! 乃亜:さっすが!雷堂!やったぜ。 煉次:(途轍もない疲労感だけど、悪くない。ほんの僅かでも師匠に近づけたことを実感させてくれるようで嬉しくもあり、誇らしくもあった。これを糧に、俺はまだまだ、強くならなければ。)