台本概要

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タイトル カオナシウイルス
作者名 山根利広  (@sousakutc)
ジャンル ホラー
演者人数 1人用台本(女1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 感染すると12時間以内に顔がなくなってしまうウイルス「カオナシウイルス」。日本にも感染者が現れたのを皮切りに、罹患者は爆発的に増える。そしてほとんどの国民が「カオナシウイルス」に感染してしまった。「わたし」は自らも「カオナシウイルス」に罹るのではないかと恐れるが、奇妙にも、「わたし」だけは「カオナシウイルス」に感染しなかった……。

★朗読時の留意事項
・台本の改変OKです。お好きなようにアレンジしていただいて構いません。

■その他
・使用に関して有償・無償は問いません。また発表する場も限定しません。いろいろな場でお使いいただければ幸いです。
・ご使用時にご一報いただけると嬉しいです。強制ではありませんが、できたら聴きに参ります。Twitter(X)で作品名と「@sousakutc」をポストしていただけたら喜んで聴きに行きます。リアルタイムで行けない場合はアーカイブを聴かせていただきます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
わたし 16 17歳、女子高生。物静かで、常に客観的なものの見方をしようとする。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
わたし:じゃあ、最初から話そう。 0:* わたし:10年前の話になる。 わたし:ついにこの街にも、「顔のない男」が発生した。 わたし:つまり、カオナシウイルスを持った男だ。 0:* わたし:カオナシウイルスは、高い感染力を持つ、原因不明のウイルスだ。 わたし:空気感染で爆発的に広がるこのウイルスに、有効なワクチンや治療薬はない。 わたし:感染したら、大抵12時間以内に顔がなくなってしまう。 わたし:しかし、それは外見がそうなるだけなのだ。 わたし:感染者は、声を発したり、見たり匂ったりすることはできる。 わたし:ただ外部から感染者を見た時、顔がつるりとしたウリのような形になっているのだ。 わたし:命に異常をきたすような病気ではない。ただ顔がなくなるだけなのだ。 わたし:そんな由来で、このウイルスは俗に「カオナシウイルス」と言われるようになった。 0:* わたし:顔のない男は、瞬く間にカオナシウイルスを拡散させ、この街は顔を持たない人間で溢れかえってしまった。 わたし:市長は直ちに外出禁止や店舗等の営業禁止をわたしたちに命じた。 わたし:けれど人々は聞く耳を持たず、営業禁止で店が潰れたら保証はしてくれるのか、 わたし:外に出られず人が死んだらどうするんだ、という怒りの声を行政に向けた。 わたし:しかし市がそうした声に対して的確な指示を与えることはなかった。法的措置も取らなかった。 わたし:私たちは普段通りの生活をして、カオナシウイルスの罹患者数を爆発的に増やしていった。 わたし:誰も恐れていなかった。 わたし:彼らにとっては、カオナシウイルスが拡散するよりも、自身の日常が剥奪される方が恐ろしかったのだ。 0:* わたし:ネズミ算式に増加していく感染者。 わたし:顔のない男が現れてから4日後、わたしの通っている学校でも続々、顔のない生徒が増えていった。 わたし:事態を重くみた学校は、生徒の半数以上が顔を失ってから、ようやく休校という措置をとった。 わたし:顔のない生徒たちは、なぜだか嬉しそうに見えた。無期限の自由を手に入れたからか。 わたし:わたしは、ちっとも面白くなかった。 わたし:なぜって、わたしはまだカオナシウイルスにかかっていなかったから。 0:* わたし:わたしは、普段誰とも話さないし、教室の片隅でいつも押し黙っているような、まさに「地味」という言葉が似合う生徒だった。 わたし:自分の容姿にも自信が持てず、顔を鏡で見ても、なぜこんな顔で生まれてきたんだろう、と思うばかり。 わたし:だから、カオナシウイルスにかかったら、わたしは素敵なヴェールをまとうことができるのだと思っていた。 わたし:いっそ世界中の人が顔を失って、みんなが平等な世界が訪れるようにと願った。 わたし:だがどうしても、わたしはカオナシウイルスにかからなかった。 0:* わたし:街に出て、映画を見にいった。エンドロールが終わって銘々席を立つ顔のない観客たちが、なぜかわたしの方に顔を向けながら劇場を後にした。 わたし:カフェに寄って、わざとテーブルを手で拭ってその手でパンを食べた。空気感染するならこれでウイルスに感染するはずなのに、しなかった。 わたし:街中を歩くと、なぜかみなわたしの方に白い顔を向けながら歩いている。なにか変な気分だった。 わたし:わたしの顔になにか変なものでもついているのか? わたし:違った。 わたし:わたしの顔には、わたしの顔以外何もついていない。 わたし:だから、なのだろうか。 0:* わたし:嫌な予感は的中した。 わたし:全国でのカオナシウイルス感染者はとうとうのべ1億2千万人を超えた。 わたし:つまりわたしは、全国民がカオナシウイルスにかかってしまったにも関わらず、まだ発症していないのだ。 わたし:幸運なことだろうか。 わたし:断じて違う。わたしは運命まで惨めな落ちこぼれだ。 0:* わたし:不幸な事件が増えた。 わたし:あるときは女優が集団自殺した。 わたし:あるときは通り魔が無差別殺傷事件を引き起こした。 わたし:あるときは国会議事堂がやその周辺施設が爆破された。 わたし:この国は順調に壊れつつあった。 わたし:壊れていないのはわたしだけになった。 0:* わたし:休校になって一ヶ月後、国立理化学研究所の職員がわたしの家を訪れた。 わたし:その職員は顔のない顔でこう告げた。 わたし:——あなたはこの国でただ一人、カオナシウイルスにかかっていない人間です。 わたし:少し調査したいことがあるので研究所まで来てもらえますか、と。 わたし:わたしはそのときこう思った。 わたし:わたしの全てをなげうってしまういいチャンスかもしれない、と。 0:* わたし:研究所に向かう車の中で、こんなことを考えた。 わたし:この人たちは、わたしの体細胞でも採取して、特効薬を作ろうとしているのだろうか? わたし:それとも調査と称して、わたしの身体を奪い取ろうとしているのだろうか? わたし:いや、どうだっていいじゃないか。 わたし:わたしも、いつか死のうと思っているのだから——。 0:* わたし:研究所での日々が始まった。 わたし:毎日錠剤を飲んだり、血液検査が行われたりした。 わたし:どうやら研究所の人たちは、カオナシウイルスにかかった人間に対し、有効な対処法を考案しているらしい。 わたし:問題は、「なぜカオナシウイルスが症状を引き起こすのか」という部分にあるらしいが、詳しい話を聞いてもわたしには何のことかわからない。 わたし:一ヶ月が過ぎ、二ヶ月が過ぎ、三ヶ月目も終わろうという頃だった。 わたし:所長がわたしの個室に入り、謝意を伝えた。 わたし:——ありがとう。きみのおかげでいよいよわかりそうだ、なぜこのウイルスが顔のない人間を作るのか、もうすぐわかりそうだ。 わたし:本人はにこやかにそう告げているのだろうが、わたしにはそれが真っ平らな肌にしか見えなかった。 わたし:わたしを、いっそカオナシにしてしまってもいいのに、と呟いた。 わたし:——一旦はそうなるかもしれないけれど、必ず、必ずみんな治るよ、と、所長は言った。 0:* わたし:その翌日だった。 わたし:武装した人間が研究所内に押し入り、研究員を次々に殺していったのだ。 わたし:所長は慌ててわたしの部屋に入り込んできてそれを伝えた。 わたし:金庫に隠れていれば無事だ、早く下の階に行こう、とわたしを連れ出そうとした。 わたし:そのとき一発の銃声が鋭く鳴った。 わたし:わたしの手を握った所長がその場に倒れ込んだ。 わたし:ヘルメットを被った武装者たちはわたしに銃口を向けていた。わたしは彼らの方を見て両手を上げた。殺されてもいい、と思っていた。 わたし:するとなにに驚いたのか、武装者たちは悲鳴をあげてサッと引き返していった。 わたし:すぐに警察が来て、侵入者たちは全員確保された。 わたし:警察は、大丈夫ですか、とわたしに尋ねた。 わたし:そのとき、わたしの背筋が凍りつくようなことが起こったのだ。 わたし:警察の顔に、目と鼻と口があったのだった。 0:* わたし:わたしが家族のもとに帰された日から、再び変異が起こり始めた。 わたし:人々が失ったはずの顔が、徐々にもとに戻っていったのだ。 わたし:カオナシウイルスは、突然に消失してしまったのだ。 わたし:世界中で、さまざまな祝祭が挙げられた。 わたし:この国でも、首相は「もうウイルスを恐れる必要はありません」と断言し、国民はみなお祭り騒ぎだった。 わたし:でも、わたしは不服だった。なぜわたしにはなにもなかったのだろうか、と。 わたし:けれど、それから数日経ったある日、鏡を見てわたしは信じられないものを見た。 わたし:わたしの目と鼻と口が、すっかり消えてしまっていたからだった。 0:* わたし:どうやら、研究所での治験段階で、わたしに「擬似カオナシウイルス」が投与されたことによるものらしい。 わたし:世界中の人々がカオナシウイルスから解放された中、今度はわたしが囚われた。 わたし:でも、悲しくはなかった。 わたし:もう一度研究所の研究員がわたしに詫びに来て、復帰治療を行うか聞いたが、わたしはこのままでいいと言った。 わたし:確かに、正常に生きたいのなら治療も必要だ。 わたし:でも、わたしは昔のままのわたしでいたら、何にもならない気がした。 わたし:いっそ顔がなかった方が、気軽に生きられる気がした。 わたし:だから、わたしは「カオナシ」として生きることにしたのだ。 0:* 0:* 0:* わたし:今は、辛いかって? わたし:いいえ。わたしはもう10年前のわたしじゃない。 わたし:新しい自分になって、初めて気づくこともある。 わたし:もしまたカオナシウイルスが現れたら? わたし:……恐れる必要はないよ。怖いのはウイルスじゃなくて、人間の方なのだから。 0:* 0:(了)

わたし:じゃあ、最初から話そう。 0:* わたし:10年前の話になる。 わたし:ついにこの街にも、「顔のない男」が発生した。 わたし:つまり、カオナシウイルスを持った男だ。 0:* わたし:カオナシウイルスは、高い感染力を持つ、原因不明のウイルスだ。 わたし:空気感染で爆発的に広がるこのウイルスに、有効なワクチンや治療薬はない。 わたし:感染したら、大抵12時間以内に顔がなくなってしまう。 わたし:しかし、それは外見がそうなるだけなのだ。 わたし:感染者は、声を発したり、見たり匂ったりすることはできる。 わたし:ただ外部から感染者を見た時、顔がつるりとしたウリのような形になっているのだ。 わたし:命に異常をきたすような病気ではない。ただ顔がなくなるだけなのだ。 わたし:そんな由来で、このウイルスは俗に「カオナシウイルス」と言われるようになった。 0:* わたし:顔のない男は、瞬く間にカオナシウイルスを拡散させ、この街は顔を持たない人間で溢れかえってしまった。 わたし:市長は直ちに外出禁止や店舗等の営業禁止をわたしたちに命じた。 わたし:けれど人々は聞く耳を持たず、営業禁止で店が潰れたら保証はしてくれるのか、 わたし:外に出られず人が死んだらどうするんだ、という怒りの声を行政に向けた。 わたし:しかし市がそうした声に対して的確な指示を与えることはなかった。法的措置も取らなかった。 わたし:私たちは普段通りの生活をして、カオナシウイルスの罹患者数を爆発的に増やしていった。 わたし:誰も恐れていなかった。 わたし:彼らにとっては、カオナシウイルスが拡散するよりも、自身の日常が剥奪される方が恐ろしかったのだ。 0:* わたし:ネズミ算式に増加していく感染者。 わたし:顔のない男が現れてから4日後、わたしの通っている学校でも続々、顔のない生徒が増えていった。 わたし:事態を重くみた学校は、生徒の半数以上が顔を失ってから、ようやく休校という措置をとった。 わたし:顔のない生徒たちは、なぜだか嬉しそうに見えた。無期限の自由を手に入れたからか。 わたし:わたしは、ちっとも面白くなかった。 わたし:なぜって、わたしはまだカオナシウイルスにかかっていなかったから。 0:* わたし:わたしは、普段誰とも話さないし、教室の片隅でいつも押し黙っているような、まさに「地味」という言葉が似合う生徒だった。 わたし:自分の容姿にも自信が持てず、顔を鏡で見ても、なぜこんな顔で生まれてきたんだろう、と思うばかり。 わたし:だから、カオナシウイルスにかかったら、わたしは素敵なヴェールをまとうことができるのだと思っていた。 わたし:いっそ世界中の人が顔を失って、みんなが平等な世界が訪れるようにと願った。 わたし:だがどうしても、わたしはカオナシウイルスにかからなかった。 0:* わたし:街に出て、映画を見にいった。エンドロールが終わって銘々席を立つ顔のない観客たちが、なぜかわたしの方に顔を向けながら劇場を後にした。 わたし:カフェに寄って、わざとテーブルを手で拭ってその手でパンを食べた。空気感染するならこれでウイルスに感染するはずなのに、しなかった。 わたし:街中を歩くと、なぜかみなわたしの方に白い顔を向けながら歩いている。なにか変な気分だった。 わたし:わたしの顔になにか変なものでもついているのか? わたし:違った。 わたし:わたしの顔には、わたしの顔以外何もついていない。 わたし:だから、なのだろうか。 0:* わたし:嫌な予感は的中した。 わたし:全国でのカオナシウイルス感染者はとうとうのべ1億2千万人を超えた。 わたし:つまりわたしは、全国民がカオナシウイルスにかかってしまったにも関わらず、まだ発症していないのだ。 わたし:幸運なことだろうか。 わたし:断じて違う。わたしは運命まで惨めな落ちこぼれだ。 0:* わたし:不幸な事件が増えた。 わたし:あるときは女優が集団自殺した。 わたし:あるときは通り魔が無差別殺傷事件を引き起こした。 わたし:あるときは国会議事堂がやその周辺施設が爆破された。 わたし:この国は順調に壊れつつあった。 わたし:壊れていないのはわたしだけになった。 0:* わたし:休校になって一ヶ月後、国立理化学研究所の職員がわたしの家を訪れた。 わたし:その職員は顔のない顔でこう告げた。 わたし:——あなたはこの国でただ一人、カオナシウイルスにかかっていない人間です。 わたし:少し調査したいことがあるので研究所まで来てもらえますか、と。 わたし:わたしはそのときこう思った。 わたし:わたしの全てをなげうってしまういいチャンスかもしれない、と。 0:* わたし:研究所に向かう車の中で、こんなことを考えた。 わたし:この人たちは、わたしの体細胞でも採取して、特効薬を作ろうとしているのだろうか? わたし:それとも調査と称して、わたしの身体を奪い取ろうとしているのだろうか? わたし:いや、どうだっていいじゃないか。 わたし:わたしも、いつか死のうと思っているのだから——。 0:* わたし:研究所での日々が始まった。 わたし:毎日錠剤を飲んだり、血液検査が行われたりした。 わたし:どうやら研究所の人たちは、カオナシウイルスにかかった人間に対し、有効な対処法を考案しているらしい。 わたし:問題は、「なぜカオナシウイルスが症状を引き起こすのか」という部分にあるらしいが、詳しい話を聞いてもわたしには何のことかわからない。 わたし:一ヶ月が過ぎ、二ヶ月が過ぎ、三ヶ月目も終わろうという頃だった。 わたし:所長がわたしの個室に入り、謝意を伝えた。 わたし:——ありがとう。きみのおかげでいよいよわかりそうだ、なぜこのウイルスが顔のない人間を作るのか、もうすぐわかりそうだ。 わたし:本人はにこやかにそう告げているのだろうが、わたしにはそれが真っ平らな肌にしか見えなかった。 わたし:わたしを、いっそカオナシにしてしまってもいいのに、と呟いた。 わたし:——一旦はそうなるかもしれないけれど、必ず、必ずみんな治るよ、と、所長は言った。 0:* わたし:その翌日だった。 わたし:武装した人間が研究所内に押し入り、研究員を次々に殺していったのだ。 わたし:所長は慌ててわたしの部屋に入り込んできてそれを伝えた。 わたし:金庫に隠れていれば無事だ、早く下の階に行こう、とわたしを連れ出そうとした。 わたし:そのとき一発の銃声が鋭く鳴った。 わたし:わたしの手を握った所長がその場に倒れ込んだ。 わたし:ヘルメットを被った武装者たちはわたしに銃口を向けていた。わたしは彼らの方を見て両手を上げた。殺されてもいい、と思っていた。 わたし:するとなにに驚いたのか、武装者たちは悲鳴をあげてサッと引き返していった。 わたし:すぐに警察が来て、侵入者たちは全員確保された。 わたし:警察は、大丈夫ですか、とわたしに尋ねた。 わたし:そのとき、わたしの背筋が凍りつくようなことが起こったのだ。 わたし:警察の顔に、目と鼻と口があったのだった。 0:* わたし:わたしが家族のもとに帰された日から、再び変異が起こり始めた。 わたし:人々が失ったはずの顔が、徐々にもとに戻っていったのだ。 わたし:カオナシウイルスは、突然に消失してしまったのだ。 わたし:世界中で、さまざまな祝祭が挙げられた。 わたし:この国でも、首相は「もうウイルスを恐れる必要はありません」と断言し、国民はみなお祭り騒ぎだった。 わたし:でも、わたしは不服だった。なぜわたしにはなにもなかったのだろうか、と。 わたし:けれど、それから数日経ったある日、鏡を見てわたしは信じられないものを見た。 わたし:わたしの目と鼻と口が、すっかり消えてしまっていたからだった。 0:* わたし:どうやら、研究所での治験段階で、わたしに「擬似カオナシウイルス」が投与されたことによるものらしい。 わたし:世界中の人々がカオナシウイルスから解放された中、今度はわたしが囚われた。 わたし:でも、悲しくはなかった。 わたし:もう一度研究所の研究員がわたしに詫びに来て、復帰治療を行うか聞いたが、わたしはこのままでいいと言った。 わたし:確かに、正常に生きたいのなら治療も必要だ。 わたし:でも、わたしは昔のままのわたしでいたら、何にもならない気がした。 わたし:いっそ顔がなかった方が、気軽に生きられる気がした。 わたし:だから、わたしは「カオナシ」として生きることにしたのだ。 0:* 0:* 0:* わたし:今は、辛いかって? わたし:いいえ。わたしはもう10年前のわたしじゃない。 わたし:新しい自分になって、初めて気づくこともある。 わたし:もしまたカオナシウイルスが現れたら? わたし:……恐れる必要はないよ。怖いのはウイルスじゃなくて、人間の方なのだから。 0:* 0:(了)