台本概要

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タイトル 爺さん婆さんはボケたくない
作者名 ハスキ  (@e8E3z1ze9Yecxs2)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 茂(爺さん)はボケ防止の為に近所でやっている老人会に嫌々ながら参加する事にしたが、そこでなんと近所の幼なじみだった千代(婆さん)と運命の再会を果たすのだった⋯注:コメディです。
男女不問。アドリブ大歓迎!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
27 茂(しげる)爺さん。三年前に長年連れ添った妻に亡くなり娘からボケないか心配されている。妻とはお見合い結婚。幼い時に好きだった女の子がいる。
千代 26 千代(ちよ)婆さん。二十歳でお見合い結婚した旦那が次の年に病気で亡くなりそれ以来結婚せずに独り身を貫いている。幼い時に好きだった男の子がいる。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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:賑やかな声が聞こえてくる建物に恐る恐る入る一人のお爺さん 茂:ほー、ここが噂の老人会なのか。結構同じぐらいの歳の爺さん婆さんがきとるんじゃのー。…しかし誰か知った顔はおらんかいな? 千代:あら、こんにちは。…もしかしてあんた茂くんかい? 茂:はー?…もしかして近所でよく遊んどった千代ちゃんかい!まさかこんなとこで会うとはのぉ。何年ぶりかいな 千代:そりゃあの頃以来だからねー。…しかしあんた老けたねー 茂:お前も人の事言えんくらい、しわしわの婆さんじゃろが 千代:嫌だよこのデリカシーのない爺さんは。私はまだまだピチピチなのよ。この間も近所のお爺さんから告白されたりしたのよ 茂:ほー、そんな物好きがおったとはビックリじゃのう~。そりゃ遺産目当てじゃないか? 千代:あーん?なんか言ったかいクソじじい、冥土送りにでもされたいのかい? 茂:じ、冗談じゃ冗談、シルバージョークというやつじゃ 千代:あらいやですよー、あやうく本気にしそうになったじゃないかい。昔から茂くんのそのふざけたとこは変わらないねぇ。 茂:千代ちゃんの怒ると怖い所ものぅ(小声) しかし千代ちゃんはどうしてここに来とるんじゃ? 千代:あーそうさね、話せば長くなってしまうんだけど… 茂:なんじゃそんな深刻な理由なのか 千代:テレビで認知症の番組見てね、ボケ防止のためなのよー 茂:全然長くないのぅ!でもわしも似たような理由でここにきたんじゃがな 千代:あれ、なんかあったのかい? 茂:わしは今息子夫婦と住んどるんだが嫁に「お義父さん最近ボケたんじゃないの?」って言われての。ひどい言われようじゃ 千代:あらあら、じゃあ茂くんもボケ防止の為に老人会に来たんだねぇ 茂:まあそうじゃの。なんかの雑誌に認知症を予防する為には頭を使ったり、会話をしたり、手先を使ったりするのがええと書いとったんじゃ 千代:私が見たテレビでも似たような事言ってましたねぇ。でもいざ始めようとするとなかなか腰が重くて。やっとの思いで今日来てみたのよ。 茂:なるほどのー。わしも今更(いまさら)爺さん婆さんで集まってなんぞさせられるのも嫌なもんじゃったが…まあ知り合いがいて良かったかの。 千代:あら、茂くん顔が赤くなってるように見えるけどどうしたんだい? 茂:な、なんでもないわい!こんな場所に来て少し興奮して血圧が上がっとるだけじゃ 千代:あらそうかい。まあとりあえずみなさんのように椅子に座ってゆっくりしなさいな 茂:そうさせてもらおうかの。よっこらしょっと。ええと千代ちゃん、今はみんな何をしとるんじゃ? 千代:今はみんなでお茶を飲みながら俳句を作ってる所よ 茂:ほー、俳句か。よく若い時やってたもんだが苦手じゃったの。それがボケ防止にはいいのかい? 千代:ほら、ボランティアのお兄さん達がその説明してくれるみたいだよ。 茂:(お兄さん)短歌や俳句というのは、脳にいい刺激になります。特に俳句は、5・7・5の計17文字で創られる、世界で最も短い文学芸術です。わずか17文字の中に、手作りの独自の自然観、価値観、世界観、宇宙観といったものが表現されます。短い文章を書くのは、長い文章を書くより難しくて技術がいると言われます。 千代:(お姉さん)短歌や俳句を考えることは、脳にいい刺激をもたらすことで、大きなメリットや効果があるんです。短歌や俳句は、ある場面を思い浮かべながら、言葉を探します。しかも韻(いん)を考えながら、決まった文字数におさめるという、作業を行いますね。右脳と左脳をバランスよく働かせている訳です。そいういう意味で、脳にとって最適な作業なので、認知症予防にとてもいいんですよ。 茂:ほっほー、なかなか俳句とは奥深いもんなんじゃなー。勉強になったわい 千代:そうですねー。長く生きてきてもまだまだ知らないことはあるんですねえ。 茂:まあものは試しじゃな。久しぶりにいっちょやってみるかの。 千代:茂くん、後で見せ合いこしてどっちがいい俳句か勝負するかい? 茂:そりゃええのう。千代ちゃんわしの俳句見て腰抜かすんじゃないぞ 千代:あらあら私に勝てると思っているかい?こてんぱんにしてぎゃふんと言わせますよ 茂:おー相変わらずこえぇのぅ~ :――間 千代:はい、私の方は出来ましたよ。とても良い出来になりましたよ。 茂:わしも丁度出来たとこじゃ。じゃあまずは自信ありそうな千代ちゃんの見せてもらおうかの 千代:いいですよー。はい。「古池や~蛙飛び込む~水の音~」 茂:ちょーっとまつんじゃ!それ今考えたやつじゃないじゃろ?なんとか芭蕉(ばしょう)さんのやつじゃろ~? 千代:いやだねー、これは私が先に考えてたやつなんですよー。それを私が芭蕉に教えてやったんですよぉ。 茂:何百年生きとるんじゃ!それはもうバケモンじゃ。適当な事言うんじゃないぞ。 千代:ほらほら、私は書きましたよ、今度はあなたの番ですよ 茂:芭蕉出してくるとかめちゃくちゃ負けず嫌いなやつじゃないかい…ほら、わしはこれじゃ、「ご飯まだ~聞いただけでも~怒られる~」 千代:ちょっと意味が分からないけどどういう事ですか?あと季語がありませんよ 茂:細かいことはいいんじゃよ。これはわしが息子の嫁に「ご飯はまだかいの?」って聞いたら「さっき食べたでしょ!」って返されたのを思い出したんじゃ。泣けるじゃろ? 千代:いえいえむしろほほえましくて笑っちゃいましたよ。でも悪くないと思いますよ。 茂:そ、そうか。まあなかなか考えるのは楽しかったの。 千代:まあ季語もなかったし勝負は私の勝ちで間違いないですねぇ 茂:くっ、めちゃくちゃ卑怯な気もするが…フー、わしの負けでいいわ。なにをすればいいんじゃ? 千代:そうですねー。…ではまたここに来て私と遊んでくれますか? 茂:…お、おぅ。 :お終い

:賑やかな声が聞こえてくる建物に恐る恐る入る一人のお爺さん 茂:ほー、ここが噂の老人会なのか。結構同じぐらいの歳の爺さん婆さんがきとるんじゃのー。…しかし誰か知った顔はおらんかいな? 千代:あら、こんにちは。…もしかしてあんた茂くんかい? 茂:はー?…もしかして近所でよく遊んどった千代ちゃんかい!まさかこんなとこで会うとはのぉ。何年ぶりかいな 千代:そりゃあの頃以来だからねー。…しかしあんた老けたねー 茂:お前も人の事言えんくらい、しわしわの婆さんじゃろが 千代:嫌だよこのデリカシーのない爺さんは。私はまだまだピチピチなのよ。この間も近所のお爺さんから告白されたりしたのよ 茂:ほー、そんな物好きがおったとはビックリじゃのう~。そりゃ遺産目当てじゃないか? 千代:あーん?なんか言ったかいクソじじい、冥土送りにでもされたいのかい? 茂:じ、冗談じゃ冗談、シルバージョークというやつじゃ 千代:あらいやですよー、あやうく本気にしそうになったじゃないかい。昔から茂くんのそのふざけたとこは変わらないねぇ。 茂:千代ちゃんの怒ると怖い所ものぅ(小声) しかし千代ちゃんはどうしてここに来とるんじゃ? 千代:あーそうさね、話せば長くなってしまうんだけど… 茂:なんじゃそんな深刻な理由なのか 千代:テレビで認知症の番組見てね、ボケ防止のためなのよー 茂:全然長くないのぅ!でもわしも似たような理由でここにきたんじゃがな 千代:あれ、なんかあったのかい? 茂:わしは今息子夫婦と住んどるんだが嫁に「お義父さん最近ボケたんじゃないの?」って言われての。ひどい言われようじゃ 千代:あらあら、じゃあ茂くんもボケ防止の為に老人会に来たんだねぇ 茂:まあそうじゃの。なんかの雑誌に認知症を予防する為には頭を使ったり、会話をしたり、手先を使ったりするのがええと書いとったんじゃ 千代:私が見たテレビでも似たような事言ってましたねぇ。でもいざ始めようとするとなかなか腰が重くて。やっとの思いで今日来てみたのよ。 茂:なるほどのー。わしも今更(いまさら)爺さん婆さんで集まってなんぞさせられるのも嫌なもんじゃったが…まあ知り合いがいて良かったかの。 千代:あら、茂くん顔が赤くなってるように見えるけどどうしたんだい? 茂:な、なんでもないわい!こんな場所に来て少し興奮して血圧が上がっとるだけじゃ 千代:あらそうかい。まあとりあえずみなさんのように椅子に座ってゆっくりしなさいな 茂:そうさせてもらおうかの。よっこらしょっと。ええと千代ちゃん、今はみんな何をしとるんじゃ? 千代:今はみんなでお茶を飲みながら俳句を作ってる所よ 茂:ほー、俳句か。よく若い時やってたもんだが苦手じゃったの。それがボケ防止にはいいのかい? 千代:ほら、ボランティアのお兄さん達がその説明してくれるみたいだよ。 茂:(お兄さん)短歌や俳句というのは、脳にいい刺激になります。特に俳句は、5・7・5の計17文字で創られる、世界で最も短い文学芸術です。わずか17文字の中に、手作りの独自の自然観、価値観、世界観、宇宙観といったものが表現されます。短い文章を書くのは、長い文章を書くより難しくて技術がいると言われます。 千代:(お姉さん)短歌や俳句を考えることは、脳にいい刺激をもたらすことで、大きなメリットや効果があるんです。短歌や俳句は、ある場面を思い浮かべながら、言葉を探します。しかも韻(いん)を考えながら、決まった文字数におさめるという、作業を行いますね。右脳と左脳をバランスよく働かせている訳です。そいういう意味で、脳にとって最適な作業なので、認知症予防にとてもいいんですよ。 茂:ほっほー、なかなか俳句とは奥深いもんなんじゃなー。勉強になったわい 千代:そうですねー。長く生きてきてもまだまだ知らないことはあるんですねえ。 茂:まあものは試しじゃな。久しぶりにいっちょやってみるかの。 千代:茂くん、後で見せ合いこしてどっちがいい俳句か勝負するかい? 茂:そりゃええのう。千代ちゃんわしの俳句見て腰抜かすんじゃないぞ 千代:あらあら私に勝てると思っているかい?こてんぱんにしてぎゃふんと言わせますよ 茂:おー相変わらずこえぇのぅ~ :――間 千代:はい、私の方は出来ましたよ。とても良い出来になりましたよ。 茂:わしも丁度出来たとこじゃ。じゃあまずは自信ありそうな千代ちゃんの見せてもらおうかの 千代:いいですよー。はい。「古池や~蛙飛び込む~水の音~」 茂:ちょーっとまつんじゃ!それ今考えたやつじゃないじゃろ?なんとか芭蕉(ばしょう)さんのやつじゃろ~? 千代:いやだねー、これは私が先に考えてたやつなんですよー。それを私が芭蕉に教えてやったんですよぉ。 茂:何百年生きとるんじゃ!それはもうバケモンじゃ。適当な事言うんじゃないぞ。 千代:ほらほら、私は書きましたよ、今度はあなたの番ですよ 茂:芭蕉出してくるとかめちゃくちゃ負けず嫌いなやつじゃないかい…ほら、わしはこれじゃ、「ご飯まだ~聞いただけでも~怒られる~」 千代:ちょっと意味が分からないけどどういう事ですか?あと季語がありませんよ 茂:細かいことはいいんじゃよ。これはわしが息子の嫁に「ご飯はまだかいの?」って聞いたら「さっき食べたでしょ!」って返されたのを思い出したんじゃ。泣けるじゃろ? 千代:いえいえむしろほほえましくて笑っちゃいましたよ。でも悪くないと思いますよ。 茂:そ、そうか。まあなかなか考えるのは楽しかったの。 千代:まあ季語もなかったし勝負は私の勝ちで間違いないですねぇ 茂:くっ、めちゃくちゃ卑怯な気もするが…フー、わしの負けでいいわ。なにをすればいいんじゃ? 千代:そうですねー。…ではまたここに来て私と遊んでくれますか? 茂:…お、おぅ。 :お終い