声劇台本置き場

0：こっち向いて！ 私：「こっち向いて！」 私：私は君にこの言葉をたくさん伝えている 私：別に…君に見てもらってないわけじゃない 私：むしろ見過ぎかなってくらい見てもらってる 私：それでも足りない 私：もっと私のことを見てほしい 私：君が私以外に目移りするのが 私：ちょっぴり寂しいから 私：なんなら動物に向ける『かわいい』も 私：全部私に向けてほしいから 私：　 私：そっと伸ばした手を引っ込める 私：本当は君の温度を全部感じたいけど 私：ちっちゃな私の手のひらを 私：おっきな私が邪魔をする 私：ねぇ、君は今何をみているの？ 私：その瞳に私は映っているのかな？ 私：他の何かに目移りしてないかな？ 私：やだなぁ…こっちみてよ 私：こっち、向いてよ… 私：君の一番は私でいたいから 私：別の何かに向ける笑顔で心が痛いから 私：そんな我儘で嫉妬深い私が嫌いだから 私：私の瞳には君しか映っていないから 私：　 私：ねぇ、私のこと…好き？ 私：私は君のこと大好きだよ？ 私：でも私は私のこと嫌いなんだよ 私：そんな私のこと、君は愛してくれますか？ 私：　 私：脳裏をよぎる嫌な考えを吹き飛ばすように 私：むぅ…ってほっぺたを膨らませてみる 私：すると君はふわりと笑って 私：私の膨らんだ頬をつつきながら 私：「拗ねてるの？そんな君も可愛くて好きだよ」 私：って甘い言葉をくれた後、抱きしめてくれた 私：君の体温がいつもと変わらなくて 私：君の腕の中で心の距離が近くなっていく 私：それは私の大好きな温度だから 私：モヤモヤとした気持ちは全部吹き飛んでしまう 私：　 私：ああ、君はいつだって私のことを一番に見ていてくれる 私：ああ、君にとっての一番は私なんだね 私：嫌な私が君の温度で溶けて無くなっていく 私：　 私：君が抱きしめてくれたから 私：本当は笑顔になりたいけど、 私：幸せだよって君に伝えたいけど 私：ついつい頬が膨らんでしまう 私：照れちゃって、心があったかくなって 私：それを君に知られるのはちょっと恥ずかしいから 私：頬だけじゃなくて君への好きって気持ちも 私：たくさん膨らんじゃうから 私：　 私：だから私は今日も 私：大好きな君に向かって 私：「こっち向いて！」って言っちゃうのだ