台本概要
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タイトル | 恋ベタでおせっかいな上司に惹かれた私 |
---|---|
作者名 | 皐月健太 (@satukiburibura) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 60 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
社会人1年目の璃子が、優しく丁寧に教えてくれる橋本に徐々に惹かれていくもどこか距離を感じることに疑問を抱いていく。橋本は過去に浮気されそれがトラウマとなり、どこか似ている璃子に壁を作ってしまう。璃子のまっすぐさに橋本が出す答えとは・・・。 ※つきつば(つばささん)の合作シナリオです。 ※注意事項 ●過度なアドリブ、改変をしたい場合(キャラクターの性転換、セリフを丸々変える等)はご連絡ください。 ●男性が女性キャラを女性として、女性が男性キャラを男性として演じる際や語尾等の軽微な変更は可能とします。 ●配信等でご利用される場合は、可能であれば作者名、作品名、掲載サイトのURLを提示して頂けると幸いです。 その他について不明点などは下記URLのサイト利用規約を確認し、順守をお願いします。 https://buribura.amebaownd.com/ 280 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
橋本 | 男 | 115 | 大卒社会人10年目。過去の大きな恋愛トラブルにより、恋愛に関しては奥手になっている。自分に対していつも分け隔てなく接してくれる璃子にしだいに惹かれるようになるが、過去のトラウマが邪魔して壁を作ってしまい一歩を踏み出せない。 |
璃子 | 女 | 139 | 大卒社会人1年目。丁寧に仕事を教えてくれる橋本に対して好意を抱きつつも、どこか自分に対していつも距離があるように感じ、気になっている。橋本への好意を自覚してからは、まっすぐに気持ちをぶつけにいっている。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:
0:オフィスビル社内
0:
璃子:「橋本さん、この書類終わりました」
橋本:「はい、じゃあ確認しますのでサーバーにアップしてもらえますか?」
璃子:「分かりました。すぐアップしますね」
橋本:「そうしましたら少し早いですけど、お昼行きましょうか?」
璃子:「そうですね。橋本さん何か食べたいものありますか?」
橋本:「うーん、璃子さん今日でうちで働き始めて3ケ月ですよね。少し、豪勢ですが上の階にあるビュッフェはどうですか?」
璃子:「いいですね!入社してからずっと気になってたんですけど、まだ行けてなかったんですよね・・・」
橋本:「いいですよ。今日は私の方で出しますから」
璃子:「ほんとですか!ありがとうございます!何食べようかな〜」
橋本:「ふふ、それじゃあ行きましょうか」
璃子:「はい!」
0:
0:上階ビュッフェ内
0:
璃子:「ついつい沢山取っちゃいました・・・(笑)。橋本さんはカルボナーラ好きなんですね」
橋本:「好きというか・・・まあよく食べるって感じですかね。食べやすいですし、飽きない・・ですから」
璃子:「そうなんですね。あ、お昼休み過ぎちゃうと大変なので早く食べましょ!」
橋本:「取り過ぎたのは璃子さんですよ(笑)。まだ時間に余裕はあるので大丈夫です」
0:
0:少しの間
0:
璃子:「美味しかったですね〜。結構おなかいっぱいです・・・(笑)」
橋本:「あんなに取るからですよ。ほら、コーヒーでも飲んでお腹の中落ち着かせましょう」
璃子:「え、コーヒーって飲むとお腹落ち着くんですか?」
橋本:「え、私はいつも必ず食後にコーヒー飲んで落ち着かせるのですが・・・、あれ落ち着きませんか?」
璃子:「私はあんまりコーヒー飲まないのでわからないんですけど、せっかくだから今日は私も飲んでみようかな。コーヒー持ってきますね〜」
橋本:「あまり飲んだことないようでしたら、ミルク多めのほうがいいですよ」
璃子:「そうですね。少し多めに持ってくるようにします」
0:
0:少しの間
0:
璃子:「(コーヒー飲む音)」
橋本:「どうですか?」
璃子:「ブラックはまだ苦手ですけど、ミルク多めだったらいいですね!今度から飲んでみようかな」
橋本:「ぜひ、おすすめしておきます。ところで話は変わりますが」
璃子:「?」
橋本:「3ケ月経ちましたが、仕事の方はどうですか?慣れてはきたでしょうか」
璃子:「そうですね。まだ聞かないと分からないことがあったりしますけど、結構慣れてはきました」
橋本:「それならよかったです。教え方が悪くて分からないところがあったら遠慮なく言ってください。と言っても、来年の3月までにはなりますが」
璃子:「ありがとうございます。でも私が理解するのが遅いだけなんです・・・(笑)。3月までの間、たくさん聞くことあると思うんですが、よろしくお願いします」
橋本:「ええ。それじゃあ戻りましょうか」
璃子:「はい」
璃子:カルボナーラの話の時、なんか変な間があった気がしたけど気のせいかな・・・?私の気にしすぎか。
0:
0:数日後
0:
橋本:「璃子さん、申し訳ないんですが少し買い出しを頼まれてくれませんか。どうしても本日中に必要なのですが、私の方が今手を離せなくて」
璃子:「分かりました。下のお店で買ってきますね」
橋本:「ありがとうございます。このメモに書いてあるのを買ってきてください。ついでに少し出すので好きな飲み物でも買ってきてくださいね」
璃子:「え、いいんですか?ありがとうございます!それじゃあ行ってきますね」
橋本:「よろしくお願いします」
0:
0:少しの間
0:
璃子:「戻りました〜。こっちが頼まれてたものです。あと、コーヒー買ってきたので良かったらどうぞ」
橋本:「・・・!」
璃子:「あれ、どうかしました?橋本さんこの間コーヒー飲んでませんでしたっけ?」
橋本:「あ、いえ・・ありがたく、いただきますね」
0:
0:橋本が少し足早にその場を去っていく
0:
璃子:「あ・・・」
璃子:どうしたんだろう、なんかしちゃったかな・・・
0:
0:数週間後
0:
橋本:「あ、ここまた間違えてますね」
璃子:「あ、ほんとだ。すみません。直しておきます」
橋本:「う~ん、ここの部分、少し苦労していますね」
璃子:「そうなんですよね〜。ここ難しくてよく間違えちゃうんです」
橋本:「そうですか。そうしたら次から自分でも気づけるように、ご自身でチェックリストを作ってみるのはどうでしょうか」
璃子:「あーそれいいですね!分かりました。この作業終わったらチェックリスト作ってみます」
橋本:「ええ」
0:
0:橋本立ち去る
0:
璃子:橋本さん、よく見てくれてて嬉しいな。いつも的確なアドバイスしてくれて安心する。でも、たまに距離感じることがあるんだよなぁ。やっぱり、私なんかしちゃったかな・・・。明日ちょっと聞いてみよ。
0:
0:翌日
0:
璃子:「橋本さん、私ってちゃんと仕事できてますか・・・?」
橋本:「え?はい、できてますよ。順調に進んでいるので、このままいけば来年から仕事は問題なく任せられるようになるかと思います」
璃子:「本当ですか・・・?」
橋本:「むしろ、何か気になってますか?」
璃子:「あ、いや、そういうわけじゃないんですけど・・・。少し気になっただけです。でも、よかったです!ありがとうございます」
橋本:「そう、ですか」
璃子:「それじゃ、仕事戻りますね〜」
璃子:この感じだと仕事のことではなさそう。んー、じゃあ何が原因なのかな・・・
0:
0:さらに翌日
0:
橋本:「うん、璃子さん今日は問題なさそうですね。先日話したチェックリストもよくできていたと思いますよ」
璃子:「確認してくださったんですね!ありがとうございます。あ、さっきコンビニ行った時にコーヒーまた買ってきたので、良かったらどうぞ」
橋本:「あ・・・」
璃子:「えっと・・・どうかしましたか?」
橋本:「あ、いえ・・・ありがとうございます。それじゃあ残りのもお願いします」
璃子:「わかりました」
0:
璃子:?、コーヒー嫌いって訳ではないし、なんか嫌な思い出でもあるのかな。もしかして、たまに感じる距離感ってこれ・・・?
0:
璃子:「あ、もしかして眠気覚ましとかで飲んでるだけで、コーヒー別に好きじゃないとかありますか?」
橋本:「いえ、コーヒーは好きですよ」
璃子:「コーヒー、は・・・?」
橋本:「いえ、特に深い意味はないんです。忘れてください」
璃子:「そう、ですか・・・分かりました」
璃子:なんかある気がするけど、話したくないのかな。
0:
璃子:翌日、私は橋本さんと同期である田口さんに聞いてみた。橋本さんはコーヒーになにか思い入れがあるのかと。田口さんから返ってきたのは「いや、そういうんじゃないんだよ」とそれ以上は何も教えてくれようとはしなかった。その田口さんの歯切れの悪い回答で私はようやく、薄々気づいたのだ。
0:
0:12月忘年会、帰り道
0:
璃子:「忘年会、楽しかったですね!橋本さん、結構飲んでましたけど、大丈夫ですか?」
橋本:「それはこちらの台詞ですよ。璃子さん、飲みすぎです」
璃子:「そうですか?こう見えても結構強いんですよ!」
橋本:「ほら、足下もフラついてますよ。今日は近くまで送って行きますから、もう帰りましょう」
璃子:「いいんですか?ありがとうございます。そういえば、この際聞いちゃうんですけど、コーヒーに嫌な思い出でもあるんですか?」
橋本:「え?なんの、ことですか」
璃子:「いつもコーヒー渡すとき、少し距離を感じてたんです。コーヒーが嫌いなのかなぁと思ってたんですけど、そんなことなさそうだし。嫌な思い出でもあるのかなって思って」
橋本:「気づいて、いましたか。・・・・・っ」
璃子:「あ、話したくなければ無理に話さなくても大丈夫ですよ」
橋本:「いえ、話しますよ。気を使わせていたみたいですし。コーヒーが嫌いな訳じゃないんです。ただ、、」
璃子:「ただ・・・?」
橋本:「璃子さんが時折コーヒーを買ってきてくれる行動や、渡す時の仕草が似てるんです」
璃子:「・・・?」
橋本:「私の同期でもあったんですが、所謂元恋人に・・・」
璃子:「そういうことだったんですね。」
橋本:「距離を取っていたつもりはないんです。ただ、どうしても璃子さんが、あの人と被ってしまって。全然外見や性格は似てないんですけどね」
0:
璃子:このあと橋本さんから聞いて分かったことは、元恋人であるその人は既に結婚してもう退職してしまったこと。そして、橋本さんはその人に浮気をされていたこと。そのことで深く傷つきトラウマとなり、女性を信じることが出来なくなっていることを話してくれた。
0:
璃子:「あ、もしかしてカルボナーラも?」
橋本:「・・・・はい」
璃子:「やっぱりそうだったんですね。少し気になっていたのでスッキリしました」
橋本:「薄々、分かっていたのですか」
璃子:「はい。時折間があるなと感じていたので、なにかあるのかなとは思っていました。でも、嫌われてたりしてなくて良かったです(笑)」
橋本:「そんなことは、全然ありませんよ。仕事もよくできていて、評価できるところはむしろ多いです」
璃子:「本当ですか?嬉しいです。ありがとうございます。あと3ヶ月くらいですけど、これからもよろしくお願いします!」
橋本:「こちらこそよろしくお願いします。・・・それと、聞いてくださりありがとうございました。うまくは説明できませんが、少しだけ、楽になった気がします」
璃子:「それなら良かったです。私もモヤモヤしてたことが聞けてスッキリしました。ありがとうございます」
0:
璃子:そして3ヶ月が経ち、2年目となった私は1人で仕事を任されるようになった。
0:
璃子:「よし、今日も頑張ろう!でも、最近忙しいなぁ。1人で仕事し始めたらこんなに大変だって思わなかった…。橋本さん、自分の仕事もして私のこともフォローしてくれててほんとに尊敬するな」
橋本:「お久しぶりです、璃子さん。1人での仕事は慣れましたか?」
璃子:「橋本さん、お久しぶりです!1人で仕事するようになって、橋本さんがすごかったんだなって改めて思いました…(笑)」
橋本:「僕も1人で仕事し始めた時は同じこと思ってましたよ。でもそれって、ちゃんと仕事に向き合えてるって証拠なんですよ」
璃子:「橋本さんでもそうだったんですね…。そう言ってもらえてありがたいです」
橋本:「あ、ところで」
璃子:「はい、どうしました?」
橋本:「さっき部長が今抱えている璃子さんの案件について何か話してましたよ」
璃子:「本当ですか。今から部長のところ行ってみます」
橋本:「僕もついていきましょうか?」
璃子:「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。では行ってきますね」
0:
璃子:部長から聞いた話は、私の方で受け持っていたうちの一つの案件が、本来であればすでに完了していなければならず、取引先からクレームが入ったとのことだった。後処理は部長の方ですることになり、私は担当から外されてしまったのだ。
0:
0:会社ビル屋上にて
0:
璃子:「はぁ、私なにやってるんだろ・・・」
橋本:「聞きましたよ、璃子さん」
璃子:「あ、橋本さん。お疲れ様です」
橋本:「気にしすぎちゃダメですよって言っても無理ですよね」
璃子:「んー、そうですね。気にしないようにって思ってはいるんですけど、やっぱ何やってるんだろうって気にしちゃいます」
橋本:「失敗は取り戻せませんが、そこから挽回することはできます。今回担当外されてはしまいましたが、他の仕事をしっかりこなして信頼を回復できれば、また同じ取引先と仕事できることもありますよ」
璃子:「はい・・・。ありがとう、ございます。教育担当が終わったのに、いつも気にかけてくれますよね」
橋本:「教育担当が終わったら、それではい終わりって訳ではありませんから。毎日という訳ではありませんが、少しは様子を見に来ますよ」
璃子:「そう言ってもらえると心強いです。切り替えて他の仕事頑張ってみますね」
橋本:「はい、何かあったら言ってください。いつでも相談に乗りますから」
璃子:「ありがとうございます」
0:
璃子:実際に橋本さんの言う通りになった。今回のことを機によりしっかりと仕事に向き合えるようになった私は、会社からの信頼を取り戻し夏には前回外されてしまった取引先ともう一度仕事ができるチャンスをもらえた。
0:
0:取引会社ビル内にて
0:
璃子:「お疲れ様です。今回は上手くやれていたでしょうか」
0:
璃子:「良かったです。あの、以前は申し訳ありませんでした。また一緒にお仕事させていただけて、ありがたく思っています。」
0:
璃子:「え、橋本さんが?そうだったんですね。初めて、知りました・・・」
0:
璃子:「分かりました。秘密にしておきます。教えて下さりありがとうございました」
0:
璃子:取引先の人から教えられたのは、以前私が失敗した案件の後を継いだのが実は橋本さんだったということ。その際橋本さんは「安田は今回は失敗をしてしまったけど、まだ彼女は一人立ちしたばかり。必ず成長して帰ってくるから、その時はもう一度御社の担当にしてくれないか」と仕事をカバーしてくれただけでなく、もう一度チャンスを与えてもらえるように取り次いでくれたのだった。
0:
璃子:「橋本さん、教育担当が終わったからはい終わりって訳じゃないとは言ってたけど、なんでここまで気にかけてくれるんだろう?嬉しいけど、みんなにそうなのかな。それとも私だけ??なんかモヤモヤする、この気持ちって・・・。それに秘密って言われたからお礼もできないし・・・」
0:
0:自社にて
0:
璃子:「橋本さん、良かったら久しぶりにランチでもどうですか?たまには奢らせてください」
橋本:「え、いや悪いですよ」
璃子:「いやいや、遠慮しないでください!いつもお世話になってるのでそのお礼です」
橋本:「そう、ですか?う~ん、ではお言葉に甘えて」
璃子:「よし、じゃあ早速上の階行きましょうか!」
橋本:「はい」
0:
0:上階ビュッフェ内
0:
橋本:「なにか、気を使わせてしまったようですいません」
璃子:「いえいえ、全然です!私がしたくてしたことなので(笑)」
橋本:「ありがとうございます。あ、でも久々ですね、こうして2人で食べるのも」
璃子:「そうですね。久しぶりにゆっくり橋本さんと話したかったので」
橋本:「あれからTT社とは上手くやれてますか?」
璃子:「はい。前回話した時にTT社の方からもよく出来ていると言ってもらえました」
橋本:「それだけ璃子さんが成長できたってことですね。でも、好きなランチはここのハンバーグというのは変わってませんね」
璃子:「はい!あ、でも橋本さんもカルボナーラ好きなのは変わってないですね。その・・・まだ前の彼女さんのこと、想ってたりするんですか?」
橋本:「いえそういう訳では。彼女と付き合う前からカルボナーラは好きでしたし。・・・ただまあ、まだカルボナーラを見る度に時折彼女がちらついてはきますね」
璃子:「そんなすぐには忘れられないですよね・・・。すみません」
橋本:「いえ、あれから3年です。引きずりすぎ・・・ですよね」
璃子:「それだけ相手のことを想ってたってことじゃないですか?とても素敵な事だと思います」
橋本:「その結果がこれなんですよね」
璃子:「・・・・」
橋本:「あ、すいません。空気を悪くしてしまいましたね」
璃子:「いえ、気にしないでください。・・・あの、いっそ次に行くのはどうですか?」
橋本:「え?」
璃子:「例えば!・・・わ、私、とか?」
橋本:「えと・・・」
璃子:「あ、いやいや!わ、忘れてください!変なこと言ってすみません!」
橋本:「いえ、ありがとうございます。励ましだとしても嬉しかったですよ」
璃子:「なら良かったです」
橋本:「・・・・・」
璃子:「・・・・・」
橋本:「そ、それじゃ戻りましょうか」
璃子:「あ、はい。そうですね」
0:
璃子:ちょっと強引に行き過ぎたかなぁ。そもそも私どうしたいんだろう。橋本さんに次の相手見つけてほしいなとは思うけど・・・。でも、橋本さんに新しく彼女が出来たら嫌だな。
ううん、ていうより私橋本さんの支えになってあげたい。同情とかそんなんじゃなくて、橋本さんが私のこと支えてくれたみたいに。橋本さんの中にできてしまった女性に対する不信感、私が変えてみせたい。うん、やっぱり私橋本さんのことが好き。
0:
璃子:とは言っても私就活で精一杯でしばらく恋愛してないんだよなぁ。社会人の人好きになるのも初めてだし・・・。
0:
橋本:それからしばらく
0:
璃子:「橋本さん!今日もランチ行きましょ」
璃子:「橋本さん、良かったらコーヒーどうぞ!」
璃子:「橋本さん、好きなコーヒーブランドはなんですか?」
璃子:「橋本さん、今日夕飯でもどうですか?」
璃子:「橋本さん、よかったら今度買い物付き合ってくれません?」
0:
0:1ケ月後
0:
璃子:はぁ、結構アプローチしてるつもりだけど全然振り向いてもらえない・・・。どうすれば気づいてもらえるんだろ。
0:
璃子:「橋本さん、今日夕飯一緒にどうですか?」
橋本:「あ、すいません。今日はちょっと・・・」
璃子:「そう、ですか。・・・あの!なんでいつも夕飯は行ってくれないんですか?」
橋本:「それは、私とディナーを行っても、きっと楽しめないでしょうから」
璃子:「・・・もしかして、ディナーでなんか嫌な思い出でもあるんですか?」
橋本:「・・・本当に勘が鋭いですね、璃子さんは」
璃子:「そんなに私と重なって見えるんですか?」
橋本:「ノーコメントです」
璃子:「それ、もう答えになっちゃってますよ?」
橋本:「なんでですかね、全然性格は違うのにどうして重なるんでしょう。自分でも分からないんです。そんな気持ちの状態で、璃子さんを通してあの人を見てしまっているのは失礼なので、一緒には行けないんです」
璃子:「・・・私を私として見てもらえないんですか」
橋本:「時間をください」
璃子:「それって、いつまでですか」
橋本:「すいません、今日はこれで」
0:
0:橋本立ち去る
0:
0:数ヶ月後、忘年会
0:
璃子:私は想いを伝えるため、あれから全然話してくれない橋本さんに酔ったフリをして送ってもらうことにした。
0:
橋本:「璃子さん、大丈夫ですか」
璃子:「そんな飲んでないですよ〜!大丈夫ですって~!」
橋本:「去年もこんな感じでしたね」
璃子:「・・・去年とは、違いますよ」
橋本:「え?」
璃子:「すみません。本当は全然酔ってないんです。二人で話したくて酔ったフリしてました。ごめんなさい」
橋本:「・・・いえ、こっちこそ意図的に璃子さんと距離をとっていましたから」
璃子:「あれから、全然話してなかったですもんね」
橋本:「あれから私もどうしたらいいか分からなくて」
璃子:「橋本さんはまだ私とあの人が重なって見えますか?」
橋本:「・・・っ!」
璃子:「・・・そう、ですよね。まだ橋本さんの中にあの人がいることは分かりました」
橋本:「・・・」
璃子:「それでも、私は橋本さんのことが好きです。あの人と重なってる私じゃなくて、私自身と向き合ってもらえませんか?」
橋本:「・・・すいません。璃子さんが嫌とかあの人が忘れられないとか、そんなんじゃないんですが、どうしても上手く整理がつかないんです」
璃子:「そうですか・・・。私、待っててもいいですか?」
橋本:「確約は・・・できないですよ」
璃子:「はい。それでもいいです。橋本さんの気持ちの整理がつくまで待ってます」
0:
0:
0:
橋本:私には好きな人がいました。その人はカルボナーラが好きで、コーヒーをよく買ってきてくれ、いつも正面から気持ちをぶつけてくれるのが心地よくて、自然と好きになっていきました。彼女も自分のことが好きと言ってくれ付き合うようになり、このままこの人と結婚するものだと思っていました。けれど、実際の彼女は正面から気持ちをぶつけてくれてはいなかったらしい。別の人とも関係を持ち、そして彼女はそちらを選び、私はあっさりと捨てられた。
橋本:恋とはなんなのだろう。女性ってなんなのだろう。人ってなんなのだろう。少なくとも女性に対しては信じるということができなくなった。璃子さんに仕事を任せ、頻繁に様子を見に来てたのも、面倒見がいいからじゃない。何かやるんじゃないかって、またどんな形で裏切られはしないだろうかと思ってしまったからだった。
0:
璃子:今になってわかったことがある。橋本さんが頻繁に様子を見に来てくれていたのは、面倒見がいいからだけではなかったということ。本当は女性を信じることが出来ないからだったのだ。
0:
橋本:きっと璃子さんが言っていた、ちゃんと仕事ができているか不信に思われてしまったのも、そういうことなのだろう。
橋本:けれど璃子さんは彼女ではない。そう思ったからこそ、彼女が仕事のミスをしてしまった時助けてあげたいって思った。一度のミスでダメになってほしくなくて放っておけなかった。
0:
璃子:それでも私が仕事でミスしてしまったときは、ちゃんと私として見て、信じようとしてくれたのかな。そう感じたからこそ、橋本さんに惹かれていったんだと思う。
0:
橋本:璃子さんから告白された時、正直に分からなかった。璃子さんに惹かれていたのは事実としてあったが、それは彼女と重ねたせいなのか、それとも璃子さんだからなのか。少なくともそんな曖昧な気持ちで璃子さんの想いに応えるわけにはいかなかった。
0:
橋本:いや、きっとそれも逃げているんだと思う。信じたらまた裏切られてしまうんじゃないかと思うと怖くて逃げている。嫌なことからは逃げてもいい。でも、ずっと逃げ続けていいわけではなかった。璃子さんは璃子さんで彼女じゃない。そんなことはずっと前から分かっていたのに、どうしてまだ自分の気持ちに正直になれないのだろう。
0:
0:取引先からの帰り道
0:
橋本:「すっかり遅くなってしまいましたね」
璃子:「遅くまで付き合わせてしまってすみません・・・」
橋本:「いえ、こちらこそ閑談が長くなってしまって、すっかり夜になってしまいました。ですが璃子さんももうすっかり一人前になりましたね。私の手はもう必要そうにないです」
璃子:「本当ですか?ありがとうございます!でも、まだ自分では足りないところがたくさんあるのでまだまだ勉強中です。橋本さんにもまだ教わりたいことたくさんありますよ」
橋本:「いい心がけですね。その気持ちを忘れなければ大丈夫です。私がいなくてもうまくやっていけます」
璃子:「なんでそんなこと言うんですか〜!これからも勉強させてください!」
橋本:「ふふ、さあ会社に戻りましょうか」
璃子:「そう、ですね」
0:
0:オフィス内にて
0:
璃子:「あー、もうみんな帰っちゃってますね」
橋本:「もしかしたらとは思ってましたが、やっぱり皆さんもう帰社してましたね。じゃあ私たちも資料置いたら早く帰りましょうか」
璃子:「そう、ですね。あの・・・ちょっと待ってください」
橋本:「この間の話の・・・続きですか?」
璃子:「はい・・・。あれから整理つきましたか?」
橋本:「すいません、やはり私には・・・」
璃子:「まだ、裏切られるのが怖いですか?私のことは信用出来ないですか?」
橋本:「璃子さんだから信用できないじゃないんです。私は誰に対しても心のどこかで警戒してしまう。信じ切ることができそうにこれからもないんです」
璃子:「・・・」
橋本:「だから、だからそんな私には誰かとまた付き合うとか、恋をするなんて無理なんじゃないかって思うんです」
璃子:「でも私が仕事でミスした時、橋本さん見捨てたりしなかったじゃないですか。それって、少しは信じてくれてたってことじゃないんですか?」
橋本:「それは・・・ただ放っておけなかったからで」
璃子:「じゃあ、それがもし私じゃなかったら・・・。他の人だとしても同じようにチャンスを作ってあげようとしますか?」
橋本:「助けはしますが、もう一度チャンスをお願いしには行かなかったかも、しれませんね」
璃子:「それは少しでも私のことを信用してくれたってことですよね?」
橋本:「そうかもしれませんね。でもそれが璃子さんを信用するってことには」
璃子:「それでいいじゃないですか。100じゃなくても。みんなちょっとはそういう気持ちあると思いますよ」
橋本:「100じゃなくても・・・」
璃子:「大丈夫です。私は裏切りませんよ」
橋本:「なんでそこまで私に」
璃子:「そんなの、橋本さんのことが好きだからに決まってるじゃないですか・・・!」
橋本:「・・・・・」
橋本:「苦労しますよ。こんな私と付き合うと」
璃子:「今更何言ってるんですか。もう遅いです」
橋本:「私のいいところなんて、特にありませんよ」
璃子:「大丈夫です。橋本さんのいいところはとっくに見つけてます」
橋本:「で、では・・・」
璃子:「橋本さん!私と付き合ってくれるんですか?私のこと、好きなんですか?」
橋本:「す、好きなんだとは・・・思います」
璃子:「じゃあ、私のどこが好きなんですか?」
橋本:「私にまっすぐ気持ちをぶつけにくるところ、とかですかね」
璃子:「それ、褒めてます・・・?」
橋本:「ほ、褒めてます」
璃子:「仕事の時は褒めるの上手いのに・・・。こういうのに関しては褒めるの下手にも程がありますよ」
0:
0:ため息をつきながら、橋本に近づく
0:
璃子:「橋本さん、私たち付き合いましょ。私が必ず橋本さんを変えてみせますから」
橋本:「はい・・・こんな私ですが、よろしくお願いします」
0:
0:2人が抱き合って、再び見つめ合う
0:
璃子:「橋本さん、この後どういう流れか分かってます?」
橋本:「は、はい。なんとなく」
璃子:「橋本さん」
橋本:「はい」
0:
0:少し照れくさそうに
0:
璃子:「キスくらいは・・・橋本さんがリードしてください」
橋本:「は、はい。すいません」
璃子:「そこは、ありがとうでしょ?」
0:
0:キスをする(リップ音)
0:
0:
0:
0:終わり
0:
0:オフィスビル社内
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璃子:「橋本さん、この書類終わりました」
橋本:「はい、じゃあ確認しますのでサーバーにアップしてもらえますか?」
璃子:「分かりました。すぐアップしますね」
橋本:「そうしましたら少し早いですけど、お昼行きましょうか?」
璃子:「そうですね。橋本さん何か食べたいものありますか?」
橋本:「うーん、璃子さん今日でうちで働き始めて3ケ月ですよね。少し、豪勢ですが上の階にあるビュッフェはどうですか?」
璃子:「いいですね!入社してからずっと気になってたんですけど、まだ行けてなかったんですよね・・・」
橋本:「いいですよ。今日は私の方で出しますから」
璃子:「ほんとですか!ありがとうございます!何食べようかな〜」
橋本:「ふふ、それじゃあ行きましょうか」
璃子:「はい!」
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0:上階ビュッフェ内
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璃子:「ついつい沢山取っちゃいました・・・(笑)。橋本さんはカルボナーラ好きなんですね」
橋本:「好きというか・・・まあよく食べるって感じですかね。食べやすいですし、飽きない・・ですから」
璃子:「そうなんですね。あ、お昼休み過ぎちゃうと大変なので早く食べましょ!」
橋本:「取り過ぎたのは璃子さんですよ(笑)。まだ時間に余裕はあるので大丈夫です」
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0:少しの間
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璃子:「美味しかったですね〜。結構おなかいっぱいです・・・(笑)」
橋本:「あんなに取るからですよ。ほら、コーヒーでも飲んでお腹の中落ち着かせましょう」
璃子:「え、コーヒーって飲むとお腹落ち着くんですか?」
橋本:「え、私はいつも必ず食後にコーヒー飲んで落ち着かせるのですが・・・、あれ落ち着きませんか?」
璃子:「私はあんまりコーヒー飲まないのでわからないんですけど、せっかくだから今日は私も飲んでみようかな。コーヒー持ってきますね〜」
橋本:「あまり飲んだことないようでしたら、ミルク多めのほうがいいですよ」
璃子:「そうですね。少し多めに持ってくるようにします」
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0:少しの間
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璃子:「(コーヒー飲む音)」
橋本:「どうですか?」
璃子:「ブラックはまだ苦手ですけど、ミルク多めだったらいいですね!今度から飲んでみようかな」
橋本:「ぜひ、おすすめしておきます。ところで話は変わりますが」
璃子:「?」
橋本:「3ケ月経ちましたが、仕事の方はどうですか?慣れてはきたでしょうか」
璃子:「そうですね。まだ聞かないと分からないことがあったりしますけど、結構慣れてはきました」
橋本:「それならよかったです。教え方が悪くて分からないところがあったら遠慮なく言ってください。と言っても、来年の3月までにはなりますが」
璃子:「ありがとうございます。でも私が理解するのが遅いだけなんです・・・(笑)。3月までの間、たくさん聞くことあると思うんですが、よろしくお願いします」
橋本:「ええ。それじゃあ戻りましょうか」
璃子:「はい」
璃子:カルボナーラの話の時、なんか変な間があった気がしたけど気のせいかな・・・?私の気にしすぎか。
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0:数日後
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橋本:「璃子さん、申し訳ないんですが少し買い出しを頼まれてくれませんか。どうしても本日中に必要なのですが、私の方が今手を離せなくて」
璃子:「分かりました。下のお店で買ってきますね」
橋本:「ありがとうございます。このメモに書いてあるのを買ってきてください。ついでに少し出すので好きな飲み物でも買ってきてくださいね」
璃子:「え、いいんですか?ありがとうございます!それじゃあ行ってきますね」
橋本:「よろしくお願いします」
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0:少しの間
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璃子:「戻りました〜。こっちが頼まれてたものです。あと、コーヒー買ってきたので良かったらどうぞ」
橋本:「・・・!」
璃子:「あれ、どうかしました?橋本さんこの間コーヒー飲んでませんでしたっけ?」
橋本:「あ、いえ・・ありがたく、いただきますね」
0:
0:橋本が少し足早にその場を去っていく
0:
璃子:「あ・・・」
璃子:どうしたんだろう、なんかしちゃったかな・・・
0:
0:数週間後
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橋本:「あ、ここまた間違えてますね」
璃子:「あ、ほんとだ。すみません。直しておきます」
橋本:「う~ん、ここの部分、少し苦労していますね」
璃子:「そうなんですよね〜。ここ難しくてよく間違えちゃうんです」
橋本:「そうですか。そうしたら次から自分でも気づけるように、ご自身でチェックリストを作ってみるのはどうでしょうか」
璃子:「あーそれいいですね!分かりました。この作業終わったらチェックリスト作ってみます」
橋本:「ええ」
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0:橋本立ち去る
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璃子:橋本さん、よく見てくれてて嬉しいな。いつも的確なアドバイスしてくれて安心する。でも、たまに距離感じることがあるんだよなぁ。やっぱり、私なんかしちゃったかな・・・。明日ちょっと聞いてみよ。
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0:翌日
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璃子:「橋本さん、私ってちゃんと仕事できてますか・・・?」
橋本:「え?はい、できてますよ。順調に進んでいるので、このままいけば来年から仕事は問題なく任せられるようになるかと思います」
璃子:「本当ですか・・・?」
橋本:「むしろ、何か気になってますか?」
璃子:「あ、いや、そういうわけじゃないんですけど・・・。少し気になっただけです。でも、よかったです!ありがとうございます」
橋本:「そう、ですか」
璃子:「それじゃ、仕事戻りますね〜」
璃子:この感じだと仕事のことではなさそう。んー、じゃあ何が原因なのかな・・・
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0:さらに翌日
0:
橋本:「うん、璃子さん今日は問題なさそうですね。先日話したチェックリストもよくできていたと思いますよ」
璃子:「確認してくださったんですね!ありがとうございます。あ、さっきコンビニ行った時にコーヒーまた買ってきたので、良かったらどうぞ」
橋本:「あ・・・」
璃子:「えっと・・・どうかしましたか?」
橋本:「あ、いえ・・・ありがとうございます。それじゃあ残りのもお願いします」
璃子:「わかりました」
0:
璃子:?、コーヒー嫌いって訳ではないし、なんか嫌な思い出でもあるのかな。もしかして、たまに感じる距離感ってこれ・・・?
0:
璃子:「あ、もしかして眠気覚ましとかで飲んでるだけで、コーヒー別に好きじゃないとかありますか?」
橋本:「いえ、コーヒーは好きですよ」
璃子:「コーヒー、は・・・?」
橋本:「いえ、特に深い意味はないんです。忘れてください」
璃子:「そう、ですか・・・分かりました」
璃子:なんかある気がするけど、話したくないのかな。
0:
璃子:翌日、私は橋本さんと同期である田口さんに聞いてみた。橋本さんはコーヒーになにか思い入れがあるのかと。田口さんから返ってきたのは「いや、そういうんじゃないんだよ」とそれ以上は何も教えてくれようとはしなかった。その田口さんの歯切れの悪い回答で私はようやく、薄々気づいたのだ。
0:
0:12月忘年会、帰り道
0:
璃子:「忘年会、楽しかったですね!橋本さん、結構飲んでましたけど、大丈夫ですか?」
橋本:「それはこちらの台詞ですよ。璃子さん、飲みすぎです」
璃子:「そうですか?こう見えても結構強いんですよ!」
橋本:「ほら、足下もフラついてますよ。今日は近くまで送って行きますから、もう帰りましょう」
璃子:「いいんですか?ありがとうございます。そういえば、この際聞いちゃうんですけど、コーヒーに嫌な思い出でもあるんですか?」
橋本:「え?なんの、ことですか」
璃子:「いつもコーヒー渡すとき、少し距離を感じてたんです。コーヒーが嫌いなのかなぁと思ってたんですけど、そんなことなさそうだし。嫌な思い出でもあるのかなって思って」
橋本:「気づいて、いましたか。・・・・・っ」
璃子:「あ、話したくなければ無理に話さなくても大丈夫ですよ」
橋本:「いえ、話しますよ。気を使わせていたみたいですし。コーヒーが嫌いな訳じゃないんです。ただ、、」
璃子:「ただ・・・?」
橋本:「璃子さんが時折コーヒーを買ってきてくれる行動や、渡す時の仕草が似てるんです」
璃子:「・・・?」
橋本:「私の同期でもあったんですが、所謂元恋人に・・・」
璃子:「そういうことだったんですね。」
橋本:「距離を取っていたつもりはないんです。ただ、どうしても璃子さんが、あの人と被ってしまって。全然外見や性格は似てないんですけどね」
0:
璃子:このあと橋本さんから聞いて分かったことは、元恋人であるその人は既に結婚してもう退職してしまったこと。そして、橋本さんはその人に浮気をされていたこと。そのことで深く傷つきトラウマとなり、女性を信じることが出来なくなっていることを話してくれた。
0:
璃子:「あ、もしかしてカルボナーラも?」
橋本:「・・・・はい」
璃子:「やっぱりそうだったんですね。少し気になっていたのでスッキリしました」
橋本:「薄々、分かっていたのですか」
璃子:「はい。時折間があるなと感じていたので、なにかあるのかなとは思っていました。でも、嫌われてたりしてなくて良かったです(笑)」
橋本:「そんなことは、全然ありませんよ。仕事もよくできていて、評価できるところはむしろ多いです」
璃子:「本当ですか?嬉しいです。ありがとうございます。あと3ヶ月くらいですけど、これからもよろしくお願いします!」
橋本:「こちらこそよろしくお願いします。・・・それと、聞いてくださりありがとうございました。うまくは説明できませんが、少しだけ、楽になった気がします」
璃子:「それなら良かったです。私もモヤモヤしてたことが聞けてスッキリしました。ありがとうございます」
0:
璃子:そして3ヶ月が経ち、2年目となった私は1人で仕事を任されるようになった。
0:
璃子:「よし、今日も頑張ろう!でも、最近忙しいなぁ。1人で仕事し始めたらこんなに大変だって思わなかった…。橋本さん、自分の仕事もして私のこともフォローしてくれててほんとに尊敬するな」
橋本:「お久しぶりです、璃子さん。1人での仕事は慣れましたか?」
璃子:「橋本さん、お久しぶりです!1人で仕事するようになって、橋本さんがすごかったんだなって改めて思いました…(笑)」
橋本:「僕も1人で仕事し始めた時は同じこと思ってましたよ。でもそれって、ちゃんと仕事に向き合えてるって証拠なんですよ」
璃子:「橋本さんでもそうだったんですね…。そう言ってもらえてありがたいです」
橋本:「あ、ところで」
璃子:「はい、どうしました?」
橋本:「さっき部長が今抱えている璃子さんの案件について何か話してましたよ」
璃子:「本当ですか。今から部長のところ行ってみます」
橋本:「僕もついていきましょうか?」
璃子:「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。では行ってきますね」
0:
璃子:部長から聞いた話は、私の方で受け持っていたうちの一つの案件が、本来であればすでに完了していなければならず、取引先からクレームが入ったとのことだった。後処理は部長の方ですることになり、私は担当から外されてしまったのだ。
0:
0:会社ビル屋上にて
0:
璃子:「はぁ、私なにやってるんだろ・・・」
橋本:「聞きましたよ、璃子さん」
璃子:「あ、橋本さん。お疲れ様です」
橋本:「気にしすぎちゃダメですよって言っても無理ですよね」
璃子:「んー、そうですね。気にしないようにって思ってはいるんですけど、やっぱ何やってるんだろうって気にしちゃいます」
橋本:「失敗は取り戻せませんが、そこから挽回することはできます。今回担当外されてはしまいましたが、他の仕事をしっかりこなして信頼を回復できれば、また同じ取引先と仕事できることもありますよ」
璃子:「はい・・・。ありがとう、ございます。教育担当が終わったのに、いつも気にかけてくれますよね」
橋本:「教育担当が終わったら、それではい終わりって訳ではありませんから。毎日という訳ではありませんが、少しは様子を見に来ますよ」
璃子:「そう言ってもらえると心強いです。切り替えて他の仕事頑張ってみますね」
橋本:「はい、何かあったら言ってください。いつでも相談に乗りますから」
璃子:「ありがとうございます」
0:
璃子:実際に橋本さんの言う通りになった。今回のことを機によりしっかりと仕事に向き合えるようになった私は、会社からの信頼を取り戻し夏には前回外されてしまった取引先ともう一度仕事ができるチャンスをもらえた。
0:
0:取引会社ビル内にて
0:
璃子:「お疲れ様です。今回は上手くやれていたでしょうか」
0:
璃子:「良かったです。あの、以前は申し訳ありませんでした。また一緒にお仕事させていただけて、ありがたく思っています。」
0:
璃子:「え、橋本さんが?そうだったんですね。初めて、知りました・・・」
0:
璃子:「分かりました。秘密にしておきます。教えて下さりありがとうございました」
0:
璃子:取引先の人から教えられたのは、以前私が失敗した案件の後を継いだのが実は橋本さんだったということ。その際橋本さんは「安田は今回は失敗をしてしまったけど、まだ彼女は一人立ちしたばかり。必ず成長して帰ってくるから、その時はもう一度御社の担当にしてくれないか」と仕事をカバーしてくれただけでなく、もう一度チャンスを与えてもらえるように取り次いでくれたのだった。
0:
璃子:「橋本さん、教育担当が終わったからはい終わりって訳じゃないとは言ってたけど、なんでここまで気にかけてくれるんだろう?嬉しいけど、みんなにそうなのかな。それとも私だけ??なんかモヤモヤする、この気持ちって・・・。それに秘密って言われたからお礼もできないし・・・」
0:
0:自社にて
0:
璃子:「橋本さん、良かったら久しぶりにランチでもどうですか?たまには奢らせてください」
橋本:「え、いや悪いですよ」
璃子:「いやいや、遠慮しないでください!いつもお世話になってるのでそのお礼です」
橋本:「そう、ですか?う~ん、ではお言葉に甘えて」
璃子:「よし、じゃあ早速上の階行きましょうか!」
橋本:「はい」
0:
0:上階ビュッフェ内
0:
橋本:「なにか、気を使わせてしまったようですいません」
璃子:「いえいえ、全然です!私がしたくてしたことなので(笑)」
橋本:「ありがとうございます。あ、でも久々ですね、こうして2人で食べるのも」
璃子:「そうですね。久しぶりにゆっくり橋本さんと話したかったので」
橋本:「あれからTT社とは上手くやれてますか?」
璃子:「はい。前回話した時にTT社の方からもよく出来ていると言ってもらえました」
橋本:「それだけ璃子さんが成長できたってことですね。でも、好きなランチはここのハンバーグというのは変わってませんね」
璃子:「はい!あ、でも橋本さんもカルボナーラ好きなのは変わってないですね。その・・・まだ前の彼女さんのこと、想ってたりするんですか?」
橋本:「いえそういう訳では。彼女と付き合う前からカルボナーラは好きでしたし。・・・ただまあ、まだカルボナーラを見る度に時折彼女がちらついてはきますね」
璃子:「そんなすぐには忘れられないですよね・・・。すみません」
橋本:「いえ、あれから3年です。引きずりすぎ・・・ですよね」
璃子:「それだけ相手のことを想ってたってことじゃないですか?とても素敵な事だと思います」
橋本:「その結果がこれなんですよね」
璃子:「・・・・」
橋本:「あ、すいません。空気を悪くしてしまいましたね」
璃子:「いえ、気にしないでください。・・・あの、いっそ次に行くのはどうですか?」
橋本:「え?」
璃子:「例えば!・・・わ、私、とか?」
橋本:「えと・・・」
璃子:「あ、いやいや!わ、忘れてください!変なこと言ってすみません!」
橋本:「いえ、ありがとうございます。励ましだとしても嬉しかったですよ」
璃子:「なら良かったです」
橋本:「・・・・・」
璃子:「・・・・・」
橋本:「そ、それじゃ戻りましょうか」
璃子:「あ、はい。そうですね」
0:
璃子:ちょっと強引に行き過ぎたかなぁ。そもそも私どうしたいんだろう。橋本さんに次の相手見つけてほしいなとは思うけど・・・。でも、橋本さんに新しく彼女が出来たら嫌だな。
ううん、ていうより私橋本さんの支えになってあげたい。同情とかそんなんじゃなくて、橋本さんが私のこと支えてくれたみたいに。橋本さんの中にできてしまった女性に対する不信感、私が変えてみせたい。うん、やっぱり私橋本さんのことが好き。
0:
璃子:とは言っても私就活で精一杯でしばらく恋愛してないんだよなぁ。社会人の人好きになるのも初めてだし・・・。
0:
橋本:それからしばらく
0:
璃子:「橋本さん!今日もランチ行きましょ」
璃子:「橋本さん、良かったらコーヒーどうぞ!」
璃子:「橋本さん、好きなコーヒーブランドはなんですか?」
璃子:「橋本さん、今日夕飯でもどうですか?」
璃子:「橋本さん、よかったら今度買い物付き合ってくれません?」
0:
0:1ケ月後
0:
璃子:はぁ、結構アプローチしてるつもりだけど全然振り向いてもらえない・・・。どうすれば気づいてもらえるんだろ。
0:
璃子:「橋本さん、今日夕飯一緒にどうですか?」
橋本:「あ、すいません。今日はちょっと・・・」
璃子:「そう、ですか。・・・あの!なんでいつも夕飯は行ってくれないんですか?」
橋本:「それは、私とディナーを行っても、きっと楽しめないでしょうから」
璃子:「・・・もしかして、ディナーでなんか嫌な思い出でもあるんですか?」
橋本:「・・・本当に勘が鋭いですね、璃子さんは」
璃子:「そんなに私と重なって見えるんですか?」
橋本:「ノーコメントです」
璃子:「それ、もう答えになっちゃってますよ?」
橋本:「なんでですかね、全然性格は違うのにどうして重なるんでしょう。自分でも分からないんです。そんな気持ちの状態で、璃子さんを通してあの人を見てしまっているのは失礼なので、一緒には行けないんです」
璃子:「・・・私を私として見てもらえないんですか」
橋本:「時間をください」
璃子:「それって、いつまでですか」
橋本:「すいません、今日はこれで」
0:
0:橋本立ち去る
0:
0:数ヶ月後、忘年会
0:
璃子:私は想いを伝えるため、あれから全然話してくれない橋本さんに酔ったフリをして送ってもらうことにした。
0:
橋本:「璃子さん、大丈夫ですか」
璃子:「そんな飲んでないですよ〜!大丈夫ですって~!」
橋本:「去年もこんな感じでしたね」
璃子:「・・・去年とは、違いますよ」
橋本:「え?」
璃子:「すみません。本当は全然酔ってないんです。二人で話したくて酔ったフリしてました。ごめんなさい」
橋本:「・・・いえ、こっちこそ意図的に璃子さんと距離をとっていましたから」
璃子:「あれから、全然話してなかったですもんね」
橋本:「あれから私もどうしたらいいか分からなくて」
璃子:「橋本さんはまだ私とあの人が重なって見えますか?」
橋本:「・・・っ!」
璃子:「・・・そう、ですよね。まだ橋本さんの中にあの人がいることは分かりました」
橋本:「・・・」
璃子:「それでも、私は橋本さんのことが好きです。あの人と重なってる私じゃなくて、私自身と向き合ってもらえませんか?」
橋本:「・・・すいません。璃子さんが嫌とかあの人が忘れられないとか、そんなんじゃないんですが、どうしても上手く整理がつかないんです」
璃子:「そうですか・・・。私、待っててもいいですか?」
橋本:「確約は・・・できないですよ」
璃子:「はい。それでもいいです。橋本さんの気持ちの整理がつくまで待ってます」
0:
0:
0:
橋本:私には好きな人がいました。その人はカルボナーラが好きで、コーヒーをよく買ってきてくれ、いつも正面から気持ちをぶつけてくれるのが心地よくて、自然と好きになっていきました。彼女も自分のことが好きと言ってくれ付き合うようになり、このままこの人と結婚するものだと思っていました。けれど、実際の彼女は正面から気持ちをぶつけてくれてはいなかったらしい。別の人とも関係を持ち、そして彼女はそちらを選び、私はあっさりと捨てられた。
橋本:恋とはなんなのだろう。女性ってなんなのだろう。人ってなんなのだろう。少なくとも女性に対しては信じるということができなくなった。璃子さんに仕事を任せ、頻繁に様子を見に来てたのも、面倒見がいいからじゃない。何かやるんじゃないかって、またどんな形で裏切られはしないだろうかと思ってしまったからだった。
0:
璃子:今になってわかったことがある。橋本さんが頻繁に様子を見に来てくれていたのは、面倒見がいいからだけではなかったということ。本当は女性を信じることが出来ないからだったのだ。
0:
橋本:きっと璃子さんが言っていた、ちゃんと仕事ができているか不信に思われてしまったのも、そういうことなのだろう。
橋本:けれど璃子さんは彼女ではない。そう思ったからこそ、彼女が仕事のミスをしてしまった時助けてあげたいって思った。一度のミスでダメになってほしくなくて放っておけなかった。
0:
璃子:それでも私が仕事でミスしてしまったときは、ちゃんと私として見て、信じようとしてくれたのかな。そう感じたからこそ、橋本さんに惹かれていったんだと思う。
0:
橋本:璃子さんから告白された時、正直に分からなかった。璃子さんに惹かれていたのは事実としてあったが、それは彼女と重ねたせいなのか、それとも璃子さんだからなのか。少なくともそんな曖昧な気持ちで璃子さんの想いに応えるわけにはいかなかった。
0:
橋本:いや、きっとそれも逃げているんだと思う。信じたらまた裏切られてしまうんじゃないかと思うと怖くて逃げている。嫌なことからは逃げてもいい。でも、ずっと逃げ続けていいわけではなかった。璃子さんは璃子さんで彼女じゃない。そんなことはずっと前から分かっていたのに、どうしてまだ自分の気持ちに正直になれないのだろう。
0:
0:取引先からの帰り道
0:
橋本:「すっかり遅くなってしまいましたね」
璃子:「遅くまで付き合わせてしまってすみません・・・」
橋本:「いえ、こちらこそ閑談が長くなってしまって、すっかり夜になってしまいました。ですが璃子さんももうすっかり一人前になりましたね。私の手はもう必要そうにないです」
璃子:「本当ですか?ありがとうございます!でも、まだ自分では足りないところがたくさんあるのでまだまだ勉強中です。橋本さんにもまだ教わりたいことたくさんありますよ」
橋本:「いい心がけですね。その気持ちを忘れなければ大丈夫です。私がいなくてもうまくやっていけます」
璃子:「なんでそんなこと言うんですか〜!これからも勉強させてください!」
橋本:「ふふ、さあ会社に戻りましょうか」
璃子:「そう、ですね」
0:
0:オフィス内にて
0:
璃子:「あー、もうみんな帰っちゃってますね」
橋本:「もしかしたらとは思ってましたが、やっぱり皆さんもう帰社してましたね。じゃあ私たちも資料置いたら早く帰りましょうか」
璃子:「そう、ですね。あの・・・ちょっと待ってください」
橋本:「この間の話の・・・続きですか?」
璃子:「はい・・・。あれから整理つきましたか?」
橋本:「すいません、やはり私には・・・」
璃子:「まだ、裏切られるのが怖いですか?私のことは信用出来ないですか?」
橋本:「璃子さんだから信用できないじゃないんです。私は誰に対しても心のどこかで警戒してしまう。信じ切ることができそうにこれからもないんです」
璃子:「・・・」
橋本:「だから、だからそんな私には誰かとまた付き合うとか、恋をするなんて無理なんじゃないかって思うんです」
璃子:「でも私が仕事でミスした時、橋本さん見捨てたりしなかったじゃないですか。それって、少しは信じてくれてたってことじゃないんですか?」
橋本:「それは・・・ただ放っておけなかったからで」
璃子:「じゃあ、それがもし私じゃなかったら・・・。他の人だとしても同じようにチャンスを作ってあげようとしますか?」
橋本:「助けはしますが、もう一度チャンスをお願いしには行かなかったかも、しれませんね」
璃子:「それは少しでも私のことを信用してくれたってことですよね?」
橋本:「そうかもしれませんね。でもそれが璃子さんを信用するってことには」
璃子:「それでいいじゃないですか。100じゃなくても。みんなちょっとはそういう気持ちあると思いますよ」
橋本:「100じゃなくても・・・」
璃子:「大丈夫です。私は裏切りませんよ」
橋本:「なんでそこまで私に」
璃子:「そんなの、橋本さんのことが好きだからに決まってるじゃないですか・・・!」
橋本:「・・・・・」
橋本:「苦労しますよ。こんな私と付き合うと」
璃子:「今更何言ってるんですか。もう遅いです」
橋本:「私のいいところなんて、特にありませんよ」
璃子:「大丈夫です。橋本さんのいいところはとっくに見つけてます」
橋本:「で、では・・・」
璃子:「橋本さん!私と付き合ってくれるんですか?私のこと、好きなんですか?」
橋本:「す、好きなんだとは・・・思います」
璃子:「じゃあ、私のどこが好きなんですか?」
橋本:「私にまっすぐ気持ちをぶつけにくるところ、とかですかね」
璃子:「それ、褒めてます・・・?」
橋本:「ほ、褒めてます」
璃子:「仕事の時は褒めるの上手いのに・・・。こういうのに関しては褒めるの下手にも程がありますよ」
0:
0:ため息をつきながら、橋本に近づく
0:
璃子:「橋本さん、私たち付き合いましょ。私が必ず橋本さんを変えてみせますから」
橋本:「はい・・・こんな私ですが、よろしくお願いします」
0:
0:2人が抱き合って、再び見つめ合う
0:
璃子:「橋本さん、この後どういう流れか分かってます?」
橋本:「は、はい。なんとなく」
璃子:「橋本さん」
橋本:「はい」
0:
0:少し照れくさそうに
0:
璃子:「キスくらいは・・・橋本さんがリードしてください」
橋本:「は、はい。すいません」
璃子:「そこは、ありがとうでしょ?」
0:
0:キスをする(リップ音)
0:
0:
0:
0:終わり