台本概要
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タイトル | スイーツライズ〜ハズレのギャルゲーで沼る〜 |
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作者名 | ゆる男 (@yuruyurumanno11) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 5人用台本(男1、女4) |
時間 | 60 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
☆*。.*・゚ .゚・*.☆*。.*・゚ .゚・*.☆*。.*・゚ .゚・*.☆*。.*・゚ .゚・*. 彼女から連絡が途絶えてしまった俺はなんと 最新のギャルゲーのテストユーザーに選ばれた! 4人のヒロインと、ギャルゲーライフ! 攻略法は甘い嘘を見抜くこと! 誰にも内緒の話『スイーツライズ』 ☆*。.*・゚ .゚・*.☆*。.*・゚ .゚・*.☆*。.*・゚ .゚・*.☆*。.*・゚ .゚・*. コメディーからのちょっとシリアスになる台本です! 色んなキャラクターを楽しみながら攻略してみてください! キャラの性別を変えなければ異性のキャラを演じても大丈夫です! 過度なアドリブなどは控えてくださいませ! 野良劇や約束劇で使用する時に X(ツイッター)で呟いて頂けると今後のモチベーションに繋がります!! 394 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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俺 | 男 | 298 | ○○自分の名前や呼ばれたい名前を設定してください。恥ずかしい時は『俺』君でも良いです! 主人公です。ツッコミ大変です!頑張ってください! |
萌 | 女 | 133 | 花石萌(はないしもえ) メインヒロイン?清楚系の女の子です |
伊織 | 女 | 125 | 負広伊織(まけひろいおり) 元気系の女の子です。負けヒロインのわけないです |
蘭華 | 女 | 128 | 早国蘭華(はよこくらんか) 気の強い女の子です。好感度とか見てくれます |
蓮 | 女 | 118 | 穴谷高井茂田蓮(あなたにこういもたれん) 気が弱い女の子です。好感度は高めです |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
俺:うおーー!!届いた届いたー!!嬉しいーぞー!!え?なんでそんな嬉しいかって?
俺:今話題の『スイーツライズ!』の試作品のテストユーザーに運良く選ばれたからだ!このギャルゲーはVRを使った最新で最先端のギャルゲーだ!
俺:なんでも、視線を送ると女の子が笑ったり…!女の子にお触り出来たり…!会話なんかも出来るらしいんだ!!
俺:実はな……ここ最近、彼女の唯華(ゆいか)から連絡が取れなくなってしまったんだ…。これも俺が低スペックな男だからだ!!ちきしょー!!
俺:ってことで大学が春休みに入る期間、このギャルゲーでハーレムの道に進むぞー!このVRゴーグルを付けてと。ゲームスタートだ!
萌:スイーツライズ!(同時に)
伊織:スイーツライズ!(同時に)
蘭華:スイーツライズ!(同時に)
蓮:スイーツライズ!(同時に)
俺:うん。オープニングもめちゃくちゃよかった!特にあの金髪の女の子が好きだなー!女の子も全員可愛かったしこれは神ゲーの予感だ!とても試作段階とは思えねー!
萌:あなたの名前を教えてね
俺:これは俺の名前を入れるんだよな?〇〇(自分の名前)っと
萌:あなたの誕生日を教えてね
俺:誕生日?11月22日
伊織:ちょっとー!もえりんばっかりずるい!私も聞くんだから!どいて!
萌:きゃ!
俺:お!?女の子が変わったぞ!メインヒロインだけじゃないんだな!しかもこの子は俺の推しだ!
伊織:君の血液型を教えて!
俺:そんなとこまで!?O型だけど
伊織:君のチャームポイントを教えて!
俺:俺のチャームポイント!?それがわかったらリアルでも彼女出来てるわ!
伊織:ああ、でもまあ、どんまい!
俺:ほっとけ!!そんなもん聞くな!
蘭華:こっからはあたしが相手してあげる
俺:はっ!推しから切り替わってしまった!くっそー!
蘭華:あんたの身長を教えなさい
俺:俺の身長か…166センチだ
蘭華:ちっちゃ!
俺:ああ!?黙ってろ!別にいいだろちっちゃくて!!
蘭華:あんたの貯金残高を教えなさい
俺:教えるか!!むしろゼロだわ!!
蘭華:スペックはド底辺と
俺:ぶち殺すぞー!!
蓮:あの……今度は…私が質問するね
俺:なんか弱々しい子が来たな
蓮:あの……あのぉ………───ですか?
俺:えぇ!?何言ってるか全然聞こえねーよ!
蓮:……きのこの山派ですか?たけのこの里派ですか?
俺:その質問は戦争が起きるぞ!!やめとけ!
蓮:じゃあおしり派?胸派?
俺:意外と大胆に聞くな!俺は胸派だ!
萌:え……そんな趣味あったんだ…ちょっと軽蔑
伊織:趣味は人それぞれって言うしね!
蘭華:マジで最悪ね。あんた
蓮:私は嫌いじゃないです…よ?
萌:スイーツライズ!スタート!
0:【間】
俺:……え!?なにこれ!?このままゲームスタートすんの!?胸糞悪すぎるんだけど!!てかあの弱気な子意外めちゃくちゃ嫌な奴じゃん!本当に大丈夫なのか!?
伊織:ねえねえ!今日って転校生来るんでしょ?
萌:そうなの?楽しみだね
蘭華:どんな子が来るのかしらね。あんた、友達になれる?
蓮:……えぇ!?……わ、わかんないよ
俺:そうか、俺が転校生っていう設定なのか
俺:こんにちは。〇〇(自分の名前)って言います。この学校で沢山の思い出を作れたらいいなと思います。よろしくお願いします
伊織:おーい!君ー!君の席はこっちだよー!
俺:おおー!推しと隣の席か!左隣の女の子はヒロインかな?
萌:花石萌(はないしもえ)です。これからよろしくね
俺:で、デュフフ。よろしく。……はっ!いかんいかん。ここでヲタクを出してはいけない!よ、よろしく!
俺:花石萌かー。Theヒロインって名前だなー
伊織:私の名前は負広伊織(まけひろいおり)だよ!
俺:ま、負広伊織!?なんか負けヒロイン臭がするのは俺だけか?
蘭華:あたしは早国蘭華(はよこくらんか)このクラスの人達とは割と仲いいから何かあった時はあたしに言いなさい
俺:こいつは絶対情報屋だ!!告白も後押ししてくるやつじゃん!軽くネタバレだろ!
蓮:わ、私は……私の名前は……───です
俺:何言ってるか聞こえないんだけど!?
蓮:穴谷高井茂田蓮(あなたにこういもたれん)です
俺:………え!?何?もう1回言ってくれない?
蓮:こ、声小さかったですか?
俺:いや、聞こえてたんだけど脳が追いつかなくて!なんて言った?
蓮:穴谷高井茂田蓮(あなたにこういもたれん)です
俺:いや、どっからどこまでが苗字!?
蓮:穴谷高井茂田(あなたにこういもた)までが苗字です
俺:苗字だけで3個くらい苗字が入ってないか!?とりあえず蓮ちゃんでいいんだね?
蓮:し、下の名前で呼ばれるの恥ずかしいです
俺:逆に上の名前で呼ぶやついんのかよ!
伊織:ねえねえ!君は知ってる?この学校の伝説
俺:この学校の伝説?またベタな話だなぁー
蘭華:知らないなら教えてあげるよ。このパチこき高校ではね、伝説があるんだ
俺:いや、この学校パチこき高校って言うの!?なんじゃその胡散臭い高校!その伝説って何?
蘭華:この高校生活で、『嘘は絶対につかない』こと。そうして正直者同士の男女が文化祭で打ち上がる花火と同時に結ばれると、永遠に幸せになれるんだって
俺:嘘は絶対につかない……。文化祭…?そうかじゃあこのギャルゲーは……。欲望のままに生きても良いということだな!?任せとけ!!確かこのゲームはお触りも出来るんだったよなー……グフフフフフ!!!
蘭華:あ、先に言うけど、女の子にむやみやたらに触ると好感度が下がるから。重要な場面でタッチしなさいよ?
俺:欲望が全部崩れ去ったわ……。まあそうだよな。現実世界でも触れないんだし
萌:じゃあ、まずは一緒に勉強しよ?
俺:え?勉強?死んでも嫌なんだけど
伊織:だよね!勉強なんか将来何の役にも立たないしね!
俺:ふむふむ。ギャルゲー歴15年の俺は閃いた!これは勉強するとメインヒロインが攻略出来て、勉強しないとこっちのヒロインを攻略出来るということか!
伊織:どっちにする?勉強するかしないか
俺:もちろん!しない!君は俺の推しだからな!
蘭華:………ふーん
伊織:おっけー!じゃあ私とサボりに行こ!
俺:え!えぇー!?
0:場面転換。商店街
俺:すげーなー。街のグラフィックとかもアニメの中にいるみたいだ。こんなリアルなギャルゲー初めてだなー。試作品としては最高なんじゃないか?
俺:てか!本当にいいの?授業サボって
伊織:大丈夫だよ!もう先生達も諦めてるしね
俺:いや、ほら、俺転校初日だし、それもまずいかなって思ってるんだよ
伊織:ギャルゲーにそんな概念ないから大丈夫!
俺:おい、メタ発言やめろ!
伊織:ところで君はどうして転校してきたの?
俺:あー。そういやなんで転校したのかわかんねーな
伊織:ふーん。そうなんだ。親が離婚しちゃったんだね
俺:うん。都合よく話が進んでくれる感じね!
伊織:お父さんが浮気したの?
俺:どこまで踏み込んでんだよ!普通ここまで踏み込まねーだろ!
伊織:そうなんだ。クソみたいなお父さんね
俺:君めちゃくちゃ最低なこと言ってない!?
伊織:私は嘘つくのが嫌いだからさ。そうやって奥さんに嘘つくの良くないと思う
俺:おー。なんだかこのゲームの設定に忠実になってきたな。そうだな!嘘は良くない!
伊織:嘘つく人はスタンガンで…こうよ!(ビリビリビリビリ!)
俺:………俺、多分この子に嘘ついたらやばいかもしれん!
伊織:あ、そうだ!〇〇君!私と一つ約束でもしない?
俺:約束?何の?
伊織:文化祭まではお互い嘘をつかないって事
俺:お、おう。そうだな!嘘は良くないもんな!
伊織:うん、約束だよ!これからは仲良くしようね!〇〇君!
俺:俺の推しだから仲良くするよ!
伊織:君は私が推しなの?
俺:ああ、そうだよ。最初に攻略したいと思ったのは君だ
伊織:……そっか、ありがとう
俺:よーし!ギャルゲーライフを楽しむぞー!
伊織:………いっぱい楽しんでね
0:そして学校に戻る
蘭華:あ、やっと戻ってきた。もう!先生怒ってたわよ?
伊織:えへへぇー。〇〇君と色々お話したから安心して学校生活を送れると思うよ!
俺:そうだな。勝手に掘り下げられたな
萌:確かに。親の離婚は仕方ないよね
俺:なんでもう広がってんだよ!どうなってんだよこのシステム!
蘭華:そろそろお昼休憩ね。あんたはどうする?どこでお弁当食べる?
俺:俺?教室で食うよ
萌:屋上で食べてくれば?
俺:なんでそうなんの!?教室で食うよ!
伊織:屋上で食べたら?
俺:どうしたんだよ!教室で食うって言ってんだろ!
蘭華:屋上で食べなさい
俺:え、強制イベントかなんかあんの!?たまにプレイヤーの言葉聞かない時あるけど、それなの!?じゃあ仕方ないな。屋上に行くか
0:場面転換。屋上にて
俺:屋上に誰がいるんだー?早く女の子を攻略したいんだけどなー
蓮:あ……どうして…あなたが?
俺:え?
蓮:この場所…私の秘密の場所だったのに
俺:いや、みんな知ってる雰囲気だったぞ!?
蓮:そうか、あなたは転校生だから何となく屋上でお弁当食べたいよね
俺:うん。全員が屋上行けって言ってきたからな!仕方なく屋上来たんだよ!
蓮:じゃあ一緒にお弁当食べよう
俺:そうだな。強制イベントっぽいしな
蓮:よかったら私のお弁当食べて
俺:おう。ありがとう
蓮:はい。あーん
俺:ほ、ほへ、ほへへへ、あーーん
蓮:おいしい?
俺:んふふー!VRだから味しなーい!けどご馳走様です!なに食わせてくれたんだ?
蓮:今朝煮込んだ靴下だよ
俺:何食わせてくれてんだよ!!きったね!はんぺんか何かと勘違いしてねーか!?
蓮:喜んで貰えてよかった
俺:あーんには喜んでたけどな!よかったよVRで
蓮:あなたって…本当に優しいね
俺:優しいか?
蓮:うん。私さ、お姉ちゃんが2人居るから男の人に慣れてなくて、でも、あなたは安心するなー
俺:ほほう。わかったぞ。お前は初心者でも簡単に攻略出来る奥手な女子だな!?あーあーわかるわかる。お前みたいなタイプはこっちが主導権握ってる気分になれるからな
蓮:優しくしてくれてありがとう
俺:おう。こちらこそ靴下食わせてくれてありがとう。なんだか健気だなーお前は
蓮:け、健気?そうかな?
俺:うん。やっぱそういう女の子人気だと思うぞ
蓮:……人気…か
俺:そう!ギャルゲーの中ではお前みたいなキャラは好きってことだ!
蓮:じ、じゃあ!あなたは…誰を選ぶの?
俺:お、俺?まだよくわかってないけど…。強いて言うなら伊織ちゃんかなー
蓮:……そっか。それならいいや
俺:……ん?
0:場面転換。下校時間
萌:〇〇君!
俺:あ、唯一ちゃんとした名前の萌ちゃんじゃないか。どうしたの?
萌:一緒に帰らない?
俺:い、いいの?マジで?君攻略難しいんでしょ?
萌:一緒に帰らない?
俺:ループやめろよ!
萌:ほんとに!?やったー!
俺:会話が全部スルーされるな!
萌:○○君は彼女とか作らないの?
俺:彼女?ああ、唯華とは連絡取れないからな。まあギャルゲーの中では作るよ
萌:私…あなたみたいな人が理想の彼氏かも知れない
俺:……え?どこを見てそう思ったの?
萌:フィーリングだよ
俺:ロックンローラーみたいなこと言うな!メインヒロインが言うセリフじゃねーんだよな!
萌:でもさ、ほら、私たち初めましてじゃないでしょ?
俺:……は?よくわからないけど
萌:あなたが転校する前に、私はあなたのこと知ってたよ
俺:………え?
萌:じゃあ私、家あっちだから、じゃあね!
俺:あ、ああ!じゃあね!
俺:お、おおー。壁にめり込んでるぞ?このバグだけは直せー!?……にしても…このゲームのメインヒロインに好かれてたぞ!?会ったことあるみたいなこと言ってたし。こんなにも簡単に攻略出来るなんて思わなかった!
俺:早速帰って好感度を見てみよう!
0:家では
俺:もしもし?蘭華ちゃん?俺に対する女の子の評価を教えてくれ
蘭華:はいはい。じゃああんたの評価はー
蘭華:萌の評価0
俺:え!?なんで!?さっきまで理想の彼氏だって言ってたぞ?
蘭華:そんなの知らないわよ。嫌われるようなことでもしたんじゃないの?
俺:した覚えないんだけどな…。他は?俺の推しの伊織ちゃんとか
蘭華:伊織の評価6
俺:めちゃくちゃ低いじゃねーか!
蘭華:初日だしこんなもんでしょ?
俺:それもそうか。他は?
蘭華:蓮の評価。53万
俺:53万!?逆に高すぎじゃねぇーか!?フリーザ様の戦闘力と同じじゃねーかよ!
蘭華:ちゃんと好きになってあげてね?
俺:んーー。俺は推しの伊織ちゃんを攻略したいからなー
蘭華:………伊織を?
俺:そうだよ。まじであのキャラは一目惚れだ!
蘭華:ふーん。じゃあ早く告れば?
俺:えぇ!?いきなり告白は無理だろ!初日だぞ!?好感度6だぞ!?
蘭華:焦らきゃ大丈夫よ
俺:わかったよ。ところでお前の好感度は見れるの?
蘭華:あたし?見る必要ないでしょ?
俺:そうだけど俺に好意ありそうな女の子がいたら嬉しいじゃないか
蘭華:そうね。じゃああたしの評価は✕(バツ)よ
俺:バツ!?バツってなんだ!?
蘭華:無理
俺:無理!?ギャルゲーで無理とか聞いたことねーよ!!希望はないのか!?
蘭華:希望なんてないわよ。本心だもの
俺:でも、お前を好きになるユーザーはいると思うぞ?
蘭華:……そんな人居ないわよ
俺:そうかー?そのキャラは俺もハマるけどなー
蘭華:うるさいわね!いいからこのまま頑張りなさい
俺:あ、おい!話は終わってねーぞ!おい!……くっそー!もういい!寝る!
0:【間】
萌:まだ寝てるの?早く起きて?
俺:………ん?
萌:私はここに居るよ?
俺:………唯華?
萌:あなたの事が、大好きなの
俺:……唯華じゃ…ない。なんだ、気のせいか
0:次の日
俺:ふぅー。朝から変な夢見たせいで気分が悪いなー
萌:みんな、おはよ
伊織:おっはよー!もえりん!
俺:お前もえりんって言われてんのかよ
蘭華:おはよ
伊織:おっはよー!らんかりん!
俺:らんかりん!?結構無理があるあだ名だな!
蓮:お、おはよ。みんな
伊織:穴谷高井茂田りん(あなたにこういもたりん)おはよー!
俺:一番付けちゃいけない名前にりん付けるな!
蓮:み、みんな!私のことは蓮って呼んで!
俺:みんな苗字で読んでたの!?今までしんどくなかった!?
萌:しんどかった
俺:じゃあ今すぐ下の名前で呼べぇー!
伊織:ゲームの時間短縮にもなるしね
俺:効率を考えるなー!お前に関してはなんでこいつの苗字にりんを付けたんだ!そこから間違ってんだよ!
萌:あ、もう授業始まるよ
伊織:今日もサボる?
俺:え、毎日サボるの!?
伊織:まあギャルゲーに留年の概念は残念無念だし
俺:やかましいわ!上手に韻踏んでんじゃねーよ!
蘭華:伊織はサボり友達作りたいだけでしょ?
伊織:えへ。バレた?
萌:私は〇〇君と一緒に居たいなー
俺:おいおい……メインヒロインちょっと可愛いじゃねーかよ。今日は勉強しようかな
萌:ふふっ。最高かよ!
俺:あんまメインヒロインそういうこと言わないだろ!もっと忠実になれ!
萌:ねえねえ今日も屋上でお弁当食べるの?
俺:もはやどこでもいいわ
伊織:屋上に何があるの?
俺:知らねーで俺に屋上で食えって言うな!
蓮:屋上には何もないよ
俺:……複雑な気持ちだな!なんとも言えねーよ!
蘭華:じゃあ今日のお昼休憩は教室で食べよう
俺:今までのはなんだったんだよ!屋上で食う流れだったろ!くっそー結局俺はどこで弁当食えばいいんだよ
0:【間】
0:お昼休憩
蓮:ねえ。〇〇君
俺:なんだ?
蓮:また屋上でお弁当食べない?
俺:お前靴下が主食なんだろ?もっといいもん食えよ。てか食べ物を食えよ
蓮:本当に!?やった!
俺:どこの判定でそうなったんだよ!別にどこでもいいけどな!
0:屋上に行くと
蓮:今日も私のお弁当食べて
俺:先に何の食べ物なのか教えろ!実際食べるわけじゃないけどちょっと気持ち悪いから!
蓮:今日は唐揚げだよ
俺:なら大丈夫か
蓮:はい。あーん
俺:ほへ、ほへへへへ。あーん
蓮:おいしい?
俺:全然味しないんだよな!VRだから!
俺:……いや、ちょっと待て!何の唐揚げだ?
蓮:靴下の唐揚げ
俺:なんで靴下の唐揚げなんだよ!きったねーな!VRだからいいけど製作者の倫理観が心配だよ!
蓮:おいしい?
俺:味はしねーよ!けど美味いとは言っとく!
蓮:……ありがとう!
俺:いいよ。なんか好感度一番高いし、ありがてえのはこっちの方だ
蓮:嬉しい
俺:ん?いいよこんくらい
萌:あら、こんなところに蓮ちゃんと〇〇君が居るじゃない
蓮:あ、もえりん
俺:お前ももえりん呼びかい!
萌:いつも屋上で食べてたんだね
蓮:そうだよ
萌:でも雨の日も教室に居ないけどどうしてたの?
蓮:雨の日も屋上で食べてるよ
俺:びしょびしょじゃねーか!なんで雨の日にお弁当食ってんだよ!
蓮:負けと雨が似合うってよく言われてるから
俺:意味がわかんねーな。なんか……俺の知り合いでも同じこと言ってたぞ?
萌:それな!
俺:お前本当にメインヒロインか!?メインヒロインが何たるかを叩き込んでやろうか!?
萌:そういえば〇〇君は文化祭の伝説は信じてる?
俺:伝説?信じるも何もこのギャルゲーの伝説なんだから信じるしかないだろ?
萌:そっか。信じるんだね。正直者にならないといけないなら私も自分の気持ちに正直にならないとだめだよね
萌:文化祭の日、あなたに告白します
俺:………へ??
萌:あ!は、早すぎかな?あははっ。でも、これは本気だよ
俺:………なんでそうなった?まだ転校して2日だけど?
萌:前に会ったことあるって言ったでしょ?
俺:どこ出会ったんだ?
萌:内緒だよ。気付いてくれるまでは教えない
俺:なんだよそれ
蓮:あの!!もえりんは…〇〇君のこと…好きなの?
萌:え、ええ!?それ聞いちゃう?
蓮:だって!私も文化祭で〇〇君に気持ちを伝えようとしてたんだもん!
俺:何そのネタバレー!早くない!?
萌:そ、そうなの!?じゃあ譲る!
俺:譲るな!俺に失礼だろ!
蓮:えぇー!そ、そんなー!どうしよー!
萌:どうしよー!どうしよー!
蓮:わかんない!どうしよー!
萌:えー!どうしよー!
俺:しっかりしろよ!ヒロインだろお前ら!
萌:えーじゃあー。先に〇〇君を落とした方に5万円渡すルールにしよ!
俺:賭け事に俺を使うな!なんでギャルゲーのヒロイン達が賭博(とばく)してるんだよ!無茶苦茶だ!
萌:じゃあ文化祭に向けてがんばろーね!
俺:全然腑に落ちねーよ!
萌:あ、それと、これは私の独り言だけど
俺:あ?なんだ!?
萌:……早く、見つけてね
俺:………え?
萌:じゃあね!〇〇君!
俺:お、おい!待てよ!……なんなんだ?
蓮:………はあ
0:【間】
0:場面転換。放課後の事
俺:全く。ギャルゲーのヒロインはこんなんじゃないぞ!結局俺の推しが一番まともなんじゃないか?いや、あとは蘭華ちゃんとかか?
俺:ん?なんかヒロインたちが話してるな。無茶苦茶なゲームだし何話してるか聞いてみるか
萌:そうそう!車って速いよねー!
伊織:わかるー!ポテトはLしか頼まないもん!
蘭華:でもお花屋さん行ったら大体花買うよね?
蓮:うん!自由が一番!
萌:あっはっはっはっは!(同時に)
伊織:あっはっはっはっは!(同時に)
蘭華:あっはっはっはっは!(同時に)
蓮:あっはっはっはっは!(同時に)
俺:こいつら、話が噛み合ってないのに何で盛り上がってんだ!?やっぱ無茶苦茶だよ!
蘭華:あ、そういえばあんた、あいつにはあの事言ってないわよね?
伊織:うん!言ってないよ
俺:ん?なんだ?あの事って
萌:もしバレたりしたらやばいもんね
蓮:……うん
俺:……なんの事だ?
蘭華:まあ、何も聞かれてないならそれでいっか
伊織:そうだね
蘭華:もし何か聞かれたとしたら、ちゃんと役割を守ってちょうだいね
伊織:わかったよ!
0:【間】
俺:な、なんなんだ?何か…隠し事でもしているのか?まあいい。これもストーリーの一部か何かだろう。
0:家に帰ると
俺:蘭華ちゃん。俺の好感度を教えてくれ!
蘭華:はいはい。あんたの好感度はー
蘭華:萌の評価。0
俺:なんでやーーー!!!あんなにいい感じだったのになんでやーー!!!
蘭華:ステータスを上げないとだね
俺:急にギャルゲーじゃん!他の女の子は?
蘭華:伊織の評価。7
俺:ちょっとしか上がってなーい!くっそー!なんでだ!?
蘭華:ステータスを上げないとだね
俺:みなまで言うな!じゃあ蓮ちゃんは?
蘭華:蓮の評価。2兆
俺:2兆!?もはや適当じゃねーか!?上限いくつなんだよ!
蘭華:人によるわよ
俺:適当じゃねーか!じゃあ蘭華ちゃんの好感度は?
蘭華:そんな確認いらないでしょ?
俺:一応いる。ギャルゲーには本気でいきたいからな
蘭華:私の評価は無理!無理!無理!
俺:何回も言うなよ。悪かったって
蘭華:しつこいのよ。二度と聞かないで
俺:でもよー。お前はちゃんと人間味があるな
蘭華:………は?
俺:いや、他のキャラって正直ぶっ飛びすぎてるからさ。お前は普通っていうか?
蘭華:……切るわよ?
俺:え!あ!ちょっ!……切られた。あいつは謎だなー。まあいいや、もう寝るか
0:【間】
俺:……あれ?また声がする
蓮:……気付いて。気付いてよ
俺:……お前は…千田里帆?(せんだりほ)センダリが……俺に何の用だ?
蓮:……気付いてくれないなら、もういいよ
俺:………は?
蓮:○○君のなんて、大嫌い
0:【間】
俺:うわあ!はあ。はあ。夢か……。センダリが……俺を嫌うわけねーよな?変な夢だ
0:
俺:こうして、俺は毎日毎日、女の子の好感度を上げ続けた
蘭華:萌の評価。0
俺:おかしいだろ!
蘭華:伊織の評価。9
俺:ちょっとずつしか上がらねーな!
蘭華:蓮の評価。8恒河沙(ごうがしゃ)
俺:何桁の数字だよそれ!!
蘭華:だから、好きになってくれる人を大事にしなって言ってんの
俺:俺は俺の好きな人を攻略したいに決まってんだろ!
蘭華:じゃあ誰なの?攻略したい人は
俺:………そうだなー。こうやって見ると色んなキャラがいるけど……直感的には伊織ちゃんかな?
蘭華:………あっそ
俺:え?もしもし?あれ?もしもし?……切れた。なんか…あの怒り方、誰かに似てるような……
0:【間】
俺:はあ、ちょっと疲れてきたなー。もう1回寝ようかな……ふぅ
0:【間】
蘭華:やめてよ。今更謝られても困るし
伊織:ううん。そうじゃないと私の気が済まない
蘭華:別にいいって!あたしが気にしてないんだから!
伊織:今までごめんなさい!
俺:………なんだ?この夢
萌:まあまあ二人とも落ち着いてよ
蓮:うん。もう終わった事だしさ
伊織:終わらないよ。私は一生引きずると思うから
蘭華:しつこいってば!もうあんたには関係ないでしょ?
伊織:………そんなこと…言わないでよ
蓮:………どうして、そんなに泣くの?
蘭華:そうよ…あんたが泣いてどうすんのよ
伊織:……ごめん。じゃあ、私、嘘をつくね
萌:……どんな嘘をつくの?
伊織:……○○君の事……
0:【間】
俺:……っ!!はあ。はあ。……な、なんだ?今の夢……
0:
俺:なんで……唯華とセンダリが出てきたんだ?
0:
俺:一休みした俺はそれから毎日。コツコツと好感度を上げていき、気付けば……
伊織:文化祭1週間前だね!
俺:早すぎる!!全然手応えがないんだが!!
蘭華:今年の文化祭は屋台やるから、怪我しないようにね
萌:みんなでいい文化祭にしようね!
蓮:うん!
伊織:○○君は?文化祭何か予定はあるの?
俺:なんもねーな。イベントもないしな
伊織:○○君なら大丈夫だよ!ギャルゲーってバカでも恋愛出来るって言うじゃん?
俺:俺をバカ以下だって言いたいのか!?
伊織:違う違う!もし何か困ったら……ほら、蓮に言いなよ
蓮:えぇ!?私?
俺:逆に申し訳ないくらい好感度高いもんな。伊織ちゃんは少しずつしか上がらないし
伊織:………私の好感度が少しずつ上がる理由。わかる?
俺:なんだ?
伊織:○○君が…特別な存在だからだよ
俺:……お前…。どこかで見たことあるけど…
伊織:……気付いた?
蓮:い、いおりん!?
蘭華:………はあ
俺:……お前は…
伊織:な、なんちゃってー!今の言葉は忘れて!私はギャルゲーのキャラクターだからねー!なーんもない!なんもない!
俺:な、何があったんだよ!はあ。もうクリアは出来ねーかな?
萌:あ、そうだ。〇〇君!この後時間ある?
俺:時間?あるんじゃねーの?
萌:ちょっとお話しよ?
俺:ああ。いいぞ
蓮:………
伊織:蓮?大丈夫?
蓮:うん。大丈夫
萌:ごめんみんな。先に言ってるね
蘭華:うん。いってらっしゃい
0:俺と萌はどこかに行く
伊織:蓮。後ろ向いてみ?
蓮:……はい
伊織:あちゃー。熱こもってるね。好感度上がるシステムちょっとやりすぎたんじゃない?
蘭華:やりすぎくらいがちょうどいいと思ったんだけどねー。今〇〇君は居ないし。復旧作業しといて
伊織:わかった。……負担かけさせてごめんね。蓮
蓮:……自分でもわからないけど、どうしてこんなに熱がこもるの?
蘭華:………それはね。あんたのシステムがそうさせてるから。それは受け入れなさい
蓮:……わかりました
蘭華:じゃあ私は最後のイベントに向けて準備してくるから。ここで待機してなさい
伊織:うん。いってらっしゃい
蓮:ありがとう。いおりん。もう大丈夫だよ
伊織:おー!よかったよかった!
蓮:……色々迷惑かけちゃってごめんね
伊織:いいんだよ。気にしないで
蓮:……少しずつだけど〇〇君に対するいおりんの好感度が上がってるのってさ、私のせい?
伊織:………そんなことないよ
蓮:じゃあどうして?
伊織:その逆だよ。〇〇君に対する蓮の好感度が上がり続けてるのは私のせい
蓮:………そうなの?
伊織:そういうシステムに作られたの。私たちは
蓮:じゃあ、〇〇君へのこの思いはどうすればいいの?
伊織:………いつかぶつけないといけないよね。だって私たちは好意も持たれない負けヒロインなんだから
0:【間】
0:場面転換。俺と萌
俺:一体どこに行くんだ?
萌:ゆっくり話せる場所。ここでいいよね?
俺:公園か。まあいいだろう。んで?話ってなんだ?
萌:ここだけの話なんだけどね……
俺:なんだよ
萌:……あのね、内緒だよ?
俺:わかってるよ。なに?
萌:……あなたがいるこの空間…。ギャルゲーなんだ!
俺:………知ってるよ!!今までの全部ギャルゲーだったろ!
萌:ああ、そうとも言えるね
俺:そうとしか言えねえよ!
萌:そっか、あなたでさえそう思うなら間違いなくここはギャルゲーの世界なんだね
俺:さっきから何言ってんだ?
萌:ねえ、〇〇君。私たち、昔会ったことあるって言ったでしょ?
俺:ん?ああ。それもギャルゲーの設定だからだろ?
萌:違う。そうじゃないよ
俺:どういう事だ?
萌:私は…現実世界で〇〇君に会ったことがあるの
俺:………は?どういう事だ?
萌:三澤唯華(みさわゆいか)
俺:………三澤……唯華?
萌:よく知ってるでしょ?…あなたの彼女の名前
俺:……嘘…だろ?
萌:私が三澤唯華なんだよ
俺:嘘に決まってんだろ!ギャルゲーの世界に唯華がいるわけねー!むしろ姿形も性格も違うだろ!
萌:ほんとだよ
俺:おかしいだろ。じゃあなんで花石萌なんて名前になってんだよ
萌:このギャルゲーはね、試作品としてテストプレイヤーにあなたを選んだの。様々なデータを取り入れるためにね
俺:俺が選ばれたのはなんで?
萌:あなた、いつもギャルゲーばっかしてるでしょ?だからそのノウハウが活かされるんじゃないかって言われてたんだよ
俺:でも!お前がなんでギャルゲーのヒロインになってるんだよ!
萌:……そうだね。それは……また後で話そう
俺:本当に唯華なのか?
萌:うん。いっつも遅刻ばっかりしてる○○君を起こしに来てた彼女だよ
俺:な、なんだよ!しばらく連絡が来ないと思ったらこんな所にいたのかよ!
萌:ごめんね。そういう事だから連絡もできなかったんだ
俺:元はと言えばお前から連絡が来なかったからこのギャルゲーを始めたんだ。早く俺と一緒に現実世界に帰ろう。
萌:それは出来ない
俺:なんで出来ねーんだ!?
萌:どうしても無理なの
俺:じゃあどうしたらいいんだよ!!
萌:……じゃあ、私を攻略して
俺:………お前を…攻略?無理だよ。お前の好感度はいくら何をしても上がらないんだ!
萌:でも、私はここに居る。文化祭で打ち上がる花火と同時に私はあなたに告白するから。私を攻略してくれたら、私はこのギャルゲーのヒロインから開放されるの
俺:だとしても……本当に攻略なんて出来るか…
萌:私を信じて
俺:……わかった。じゃあ文化祭まで…待ってるよ
0:【間】
0:文化祭当日
蘭華:みんな、準備はいい?
伊織:いっつでもおっけー!
萌:うん!バッチリ
蓮:ドキドキしてきた…
伊織:蓮?また熱こもってない?
蓮:大丈夫…。
蘭華:……蓮?
蓮:……はい
蘭華:念を押すけど、あんたはシステム通り、忠実に従いなさい
蓮:わかってます
伊織:何かあったら私に言ってね。あなたの担当は私なんだから
蓮:ありがとう。でも、らんかりん。私はギャルゲーのヒロインですから。私は私のシステムを守りますので、大丈夫です
蘭華:それなら信じるわ
蓮:……ありがとうございます
蘭華:それと、萌
萌:……はい
蘭華:あんたの役目はわかってるわよね?
萌:分かってる。私は〇〇君に告白をする。それでいいんでしょ?
蘭華:ええ。報告とデータを待ってるわ
0:【間】
0:学校の廊下で俺と萌は会う
萌:〇〇君!こっちこっち!
俺:おう
萌:来てくれてありがとう
俺:こうするしかないんだろ?
萌:そんな言い方しないで。姿形は変わってるけど、私は唯華なんだから
俺:それが気持ち悪いんだよ!
萌:とりあえず今日は一日屋台をまわろ?
俺:わかったよ
0:場面転換。伊織、蘭華、蓮は
蘭華:伊織、念の為、最終チェックしておきなさい
伊織:わかったー!じゃあ蓮。後ろ向いて
蓮:うん
伊織:〇〇君の事が好きでも…それを押し殺すの。絶対に好きって言っちゃダメ
蓮:……うん
伊織:好きな人に、嫌いって言わなきゃいけないのは…私にもわかるからさ。辛いのはよくわかる。
伊織:でも、嫌いって言わなくちゃダメ。〇〇君のことが嫌い
蓮:……〇〇君のことが嫌い
伊織:そう。私もなるべく会わないようにするから、頑張ろうね、蓮
蓮:ありがとう。頑張るね
0:場面転換。俺と萌
萌:私と〇〇君が初めて会った時も学校の文化祭だったよね
俺:本当に唯華なのか?
萌:本当だよ。これが終わったらまた連絡返すからさ。あなたの方こそ私から連絡来ないからってすぐにギャルゲーに手を出さないでよ
俺:それは俺がギャルゲーに人生掛けてるんだからしょうがないだろ?
萌:クスッ。まあ、あなたはそんな人よね。他の女の子に目線が動いちゃうのも変わらないし
俺:そ、そんな事ないだろ!
萌:今だってそう。最初にいいなって思ったキャラが伊織だったんでしょ?
俺:それはギャルゲーの話な!?お前が唯華だって分かればそんなことはしねえよ
萌:ほんとに〜?
俺:まあ、純粋にギャルゲーを楽しみたいが本音だがな
萌:最悪じゃん
俺:そうならないために早く戻って来いって言ってんだ
萌:じゃあ、今日で最後のギャルゲーなんだから、今日は思い切り楽しもう!
0:場面転換。
蘭華:萌のセキュリティは?
伊織:順調!
蘭華:じゃあこのまま文化祭の花火まで続行よ
蓮:本当に…やるの?
蘭華:当たり前じゃない。今日のためにここまでやってきたんだから
蓮:エンディングは…ハッピーエンドなんだよね?
蘭華:この際、どっちでもいいわ
伊織:蓮。あなたも今日はここでじっと待つの。選ばれなかったヒロインは心の内も出されずにエンディングを迎えるんだから
蓮:じゃあ教えて!〇〇君は…もえりんと結ばれるの?
伊織:……〇〇君ともえりんは結ばれないよ
蓮:………っ!!
蘭華:伊織!それ以上何も言わないで
伊織:蓮。よく聞いて。このゲームは嘘をついてはいけないの。だから……気持ちと裏腹の言葉を言ったら…二人は結ばれない
蓮:………どういうこと?
伊織:全部……嘘ってこと
蓮:…………っ!!
0:蓮は急に走り出す
蘭華:ちょっと!蓮!?な、なんでこの場から動けるの!?伊織!セキュリティシステムはどうなってる!?
伊織:さあね
蘭華:何をしてるかわかってるの!?現実世界でも負けヒロインのあんたが自分のデータを引き継いでるキャラに肩入れしてるってわけ!?
伊織:肩入れしちゃダメなの?
蘭華:そんなことしたら……このゲームが成り立たないじゃない!
伊織:最初から決まってたでしょ?私は彼に好意なんて持たれないんだから。きっと、また振られちゃうんだ
蘭華:だとしても!その行動はギャルゲーにはあってはならないでしょ!?
伊織:負けヒロインはね。最後まで足掻いて、苦しんで、辛くて泣いて、それでも止められなくて…。必死になっても、ずっと好きでも……届かないもんなの
蘭華:………
伊織:だから…らんかりんも見守っててよ。負けヒロインが散っていく様子を
蘭華:……わかったわよ
伊織:でも責任持って蓮の事探しに行くよ。昔から迷惑掛けてごめんね。らんかりんはここで待ってて
蘭華:………先に私が見つからない事を祈るばかりね
伊織:そうだね!その前に何とかしとくから!んじゃあ!あとはよろしくー!
0:伊織はその場から離れる
0:【間】
0:場面転換。俺と萌は
萌:花火まであともう少しだね
俺:ああ。そうだな
萌:屋台で売ってた靴下おいしかったね!
俺:このゲームの主食が靴下なのは変わりねーんだな!
萌:あと2分だね。じゃあまた改めて〇〇君に伝えておくことがあるんだ
俺:今度はなんだ?
萌:この学校の伝説はね、嘘をつかない正直者同士が結ばれることが大事なの。だから、私も今まで隠してたことを伝えるね
俺:もう何言われても驚かねーよ
萌:私、嘘ついてた
俺:………は?
萌:私は三澤唯華じゃない
俺:………なんだって?
萌:私は……。三澤唯華のデータを引き継いだただのメインヒロインだよ
俺:……どういうつもりだよ
萌:嘘をついてごめんなさい。でも、私を攻略しても三澤唯華はどこに居るかはわからないの
俺:………じゃあ、お前は誰なんだよ
萌:私は三澤唯華のデータを引き継いでギャルゲーのメインヒロインにプログラムされた、花石萌。ただのキャラクターだよ
俺:……俺をおちょくってんのかよ!!俺はお前が本当に唯華だと思ってたんだぞ!唯華にまた会えると思って信じてたんだ!
萌:だから、私を攻略して
俺:ふざけんな!!唯華じゃないってわかっててお前を攻略なんて出来ねーよ!唯華をどこにやった!?教えろ!
萌:………三澤唯華はどこにいるか分からないよ
俺:唯華のデータってなんだよ!このゲームのどこかにいるんだろ!?
萌:わからない
俺:…………このゲームが…終わる前に、探さないと!
0:その瞬間に学校の花火が打ち上がる
俺:………この花火は何分続くんだ?
萌:そんなに大きなものでもないから10分くらいじゃないかな?
俺:………
萌:じゃあ…あなたに告白するね
俺:お前の告白を受け入れれば…唯華は現実世界に戻ってくるのか?
萌:戻ってくる。それは嘘じゃない
萌:〇〇君。私、あなたの事が好き。私と付き合ってください
俺:………俺は…
0:【間】
俺:俺は!唯華を探す!このギャルゲーの中に唯華が居るなら……見つけ出して俺が唯華に告白する!!だから……お前の告白を受け入れることは出来ない!
萌:………そっか。じゃあ最後に…。また教えてあげるね
俺:これ以上何も言わないでくれ!もう……迷いたくないんだ
萌:……わかった
俺:………じゃあ
0:俺はその場を立ち去る
萌:そんなに必死になるんだね。〇〇君。このギャルゲーにはね、まだ隠された要素があるんだよ。私の好感度が上がらない理由、考えたことあった?
萌:三澤唯華のデータを引き継いでる私の好感度が上がらないってことは、そういうことなんだよ?考えたことあったかな?
萌:あともうひとつ……。いや、まだ沢山あるけど、もう何も聞きたくないんだよね?
0:【間】
0:場面転換。伊織と蓮
蓮:はぁ…!はぁ…!〇〇君!どこにいるの!?〇〇君!
蓮:はぁ……。はぁ……。どうしよう…。〇〇君が……
伊織:蓮!
蓮:……いおりん…
伊織:……〇〇君は見つかった?
蓮:どこにいるかわからない…
伊織:もう、終わりにしよ?〇〇君への思いはなかったことにしようよ
蓮:なかったことになんて出来ないよ!
伊織:……そうするしかないでしょ!
蓮:それでいいの?いおりんは
伊織:……それでもいいよ。
蓮:ダメだよ!そうやって我慢ばっかしてるけど好感度だって必死に抑えてきたんでしょ!……今しか変えられないじゃん!
伊織:……変わらなくていい
蓮:どうして!?
伊織:……だって…私は………
0:【間】
俺:花石萌が唯華じゃないとしたら……あの3人の中に唯華がいる。なりふり構わずお前が唯華だろって言いたいけど、そんな時間はもうない!花火も上がっちまってる!
俺:伊織ちゃんは……俺を特別だって言ってくれた。その言葉の意味はなんだ?俺を特別に思う人なんて…現実世界で唯華の他に……
俺:………千田里帆?(せんだりほ)まさか…センダリがこのギャルゲーの中に居るだなんてこと……ありえるのか?
俺:じゃあ…誰かが嘘を付いている!本当に嘘をついてるやつを…見破らないと……唯華には会えねぇ
俺:………あっ!おーい!二人ともー!
蓮:……っ!○○君?
伊織:………
俺:ちょっと聞きたいことがあるんだ
伊織:どうしたの?
俺:伊織ちゃん、蓮ちゃん。俺の事好きか?
伊織:………ちょっと
俺:答えてくれ!
蓮:………じゃあ、答えるね
伊織:……蓮。ダメだよ!
蓮:大丈夫。ちゃんと言えるから
俺:………
0:
蓮:私は……○○君の事が嫌い
俺:……なんだよ…
伊織:……蓮
蓮:だって、いつもフラフラするし、肝心な時に何も言わないし、思わせぶりな態度を取るし、人の話もろくに聞かないし、男らしくない
俺:そ、そんなに言わなくてもいいだろ!
蓮:だから……○○君の事が嫌い。…嫌い!大嫌い!!
伊織:もういいよ!蓮!
俺:嘘なんだろ?センダリ
蓮:本当の事だよ
俺:いいや
蓮:本当の事だから!もう私に…近付かないでよ
俺:お前に聞いてねーよ。俺が聞いてるのは、伊織ちゃんだ
伊織:………
俺:お前、千田里帆だろ?なんでこんなところにセンダリがいるんだ?
伊織:………うん…よくわかったね
俺:お前はよく俺に気付いてほしそうな目をするだろ?それを見て思ったんだ。そして、センダリのデータが蓮ちゃんにプログラミングされている。そうだろ?
伊織:………ありがとう。気付いてくれて
俺:ああ。でも……俺はもう行くぞ
伊織:………どうして…唯華には気付かないの?
俺:……やっぱり唯華はどこかにいるんだな!?どこにいる!?探してるんだ
伊織:私が言いたいのはそうじゃない。……唯華よりも…先に私に気付くのは……ずるいよ
俺:………ごめん
伊織:早く唯華の所に行ってあげて。もう花火も終わっちゃう
俺:わかった。ありがとう。センダリ!
伊織:……うん。さよなら
0:俺はその場を去る
蓮:……どうして言っちゃったの?
伊織:……わかんない。…けど、私はやっぱり負けと雨が似合うからかな?
蓮:……今なら本当の事言ってもいいんじゃない?好意を持たれないヒロインの本当の気持ちを
伊織:……うん。そうだね。……私は……○○君が好き。……この気持ちに嘘は付けないよ
0:【間】
0:場面転換。萌と蘭華
萌:あ、こんなとこに居た
蘭華:……っ!…なんだ、あんたか
萌:○○君だと思った?
蘭華:そんなわけないでしょ
萌:報告します。さっき、○○君に告白したんだよ。私が嘘をついたことも話した。もちろん三澤唯華じゃないってことも言ったよ
蘭華:本当にその通りになるのね
萌:うん。プログラミングされたデータとは違う言葉が出てくる。だから私は○○君に好きって言えたんだよ
蘭華:それは良かったわ。そうよ。私は……彼を好きになる事なんて……
萌:あなたがそう言うなら間違いないね
蘭華:………ええ。そうよ
俺:おい!蘭華ちゃん!探したぞ!
蘭華:っ!?○○君!?
俺:教えて欲しいことがある。お前にしか頼めないんだ!
蘭華:……何?
俺:みんなの…最終的な好感度はいくつなんだ?
蘭華:……あんたと付き合いたい人なんて誰も居ないわよ
俺:じゃあ!唯華はどこにいる?
蘭華:…………
俺:萌ちゃんは唯華じゃないんだ!さっき、センダリは居た!あとは唯華がどこに居るかだけなんだよ!
蘭華:………そう
俺:頼む!唯華を探してくれ!
蘭華:………あんたはいつもそうだよね。センダリの気持ちには気付いて、唯華の気持ちには一切気付かない
俺:……は?どういう事だよ!
蘭華:なんで!!あんたはいつも!!本当に好きな人の事は気付かないの!!
俺:………え?
蘭華:唯華があんたと付き合った時、なんて言ったか覚えてる?
俺:………覚えてるよ
蘭華:じゃあ……私の嘘にも気付いてよ!!
俺:………お前……唯華なのか?
蘭華:……私は唯華じゃない
俺:……もうわかんねーよ!!どうしてみんな嘘をつくんだよ!!このギャルゲーだってなんで俺がテストユーザーに選ばれたかもわかんねーし!なんでセンダリが居るのもわかんねーし!
蘭華:その答えはもう決まってるでしょ?
俺:………何がだよ?
蘭華:あんたは誰に告白するの?萌、伊織、蓮、あたし
俺:俺は……俺は唯華を探してるんだよ!
蘭華:唯華はここには居ない。さあ。早く告白して?
俺:…………唯華…
萌:花火。終わっちゃったね
俺:………え?
萌:花火が終わる前に誰にも告白出来なかったね
俺:おい……待ってくれよ!唯華はどこに居るんだよ!
蓮:唯華なんてさっきから居ないよ
俺:……お前…どっから出てきた!?
蓮:唯華がどこに居るか……気付いてあげられなかったあなたが悪いんだから
萌:唯華のデータは無意味だったから。消去しとくね
蓮:センダリのデータも消去しときます
俺:……何の話だよ?これから何が起こるんだ?
萌:あなたには関係ない
蓮:そう。唯華とセンダリはもう。あなたと関係ないないんだから
俺:………何言ってんだよ!関係ないってどういう事だ!?
萌:あなたのデータも、唯華のデータも、センダリのデータも。全て消去します
俺:………は?
蘭華:………○○君。私はあんたの事が嫌いよ
俺:………唯華…?お前が唯華だったのか!?
蘭華:全然気付いてくれない……。だから嫌いなのよ!あたしの気持ちを置いてきぼりして!自分だけ一生懸命になってる所が大嫌いなの!
俺:………そっか…。唯華……。俺の事嫌いになったんだな
蘭華:ええ。そうよ
俺:今までごめんな
蘭華:顔も見たくない
俺:わかった。本当にごめん。俺の中から…お前のデータを消すよ
0:
俺:本当に…さよならだな
0:【間】
0:場面転換。【???side】
伊織:私もやるよ。唯華
蘭華:本当に?
伊織:だって、今まで唯華には迷惑かけっぱなしだったし
蘭華:それ以上言わなくていいよ。あたしは○○君に本当の気持ちを伝えたいだけだから
伊織:唯華の本当の気持ちって?
蘭華:ごめんね。センダリ。私、嘘を付いてた
伊織:……どういう事?
蘭華:○○君の事…好きじゃないかもしれない
伊織:………
蘭華:一緒に居ると…なんだか辛いの。私を見てくれてても、本当に気づいて欲しい事には目を逸らすんだから
伊織:……それも嘘じゃん
蘭華:……え?
伊織:それを好きって言うんじゃないの?
蘭華:……そうなの?
伊織:私だったら、好きなところも嫌なところも全部○○君だったら受け入れられるよ
蘭華:………あたしは…あいつがあたしの気持ちに気付いてくれるまで、嘘をつくよ
伊織:じゃあ、試してみようよ。○○君が最後に選ぶ人は唯華だって事を
蘭華:……そうだよね。彼は嘘をつけないんだから、きっと答えがすぐにわかるよね
伊織:うん!私も自分に嘘をつけるように頑張るよ
蘭華:ありがとう。センダリ……
0:【間】
蘭華:どうして…私の嘘に気付かないの?
0:
蘭華:早く告白しなさいよ。バカ
0:【長い間】
萌:せーの
0:
萌:スイーツライズ!(同時に)
伊織:スイーツライズ!(同時に)
蘭華:スイーツライズ!(同時に)
蓮:スイーツライズ(同時に)
0:
萌:あなたの心に留めておいて
蘭華:「あたしは…初めてあんたを見た時から……」
蓮:本当の私を見て欲しくて
伊織:「ごめんね……今まで……ずっと嘘を付いてた」
萌:私の心を見抜いて
蘭華:「あたしは大丈夫!……だから、センダリの所に行ってきて」
蓮:あなたの一番を見つけて
伊織:「私は……あなたにとって、どんな存在なの?」
0:
萌:いくつもの夢と
伊織:いくつもの現実と
蘭華:いくつもの過ちと
蓮:いくつもの偽りと。
萌:思いが重なる時に芽生えるもの
伊織:あなたと私とあの子の恋
蘭華:甘い嘘には気を付けて
蓮:他の誰にも内緒の話
0:
萌:スイーツライズ!(同時に)
伊織:スイーツライズ!(同時に)
蘭華:スイーツライズ!(同時に)
蓮:スイーツライズ(同時に)
俺:うおーー!!届いた届いたー!!嬉しいーぞー!!え?なんでそんな嬉しいかって?
俺:今話題の『スイーツライズ!』の試作品のテストユーザーに運良く選ばれたからだ!このギャルゲーはVRを使った最新で最先端のギャルゲーだ!
俺:なんでも、視線を送ると女の子が笑ったり…!女の子にお触り出来たり…!会話なんかも出来るらしいんだ!!
俺:実はな……ここ最近、彼女の唯華(ゆいか)から連絡が取れなくなってしまったんだ…。これも俺が低スペックな男だからだ!!ちきしょー!!
俺:ってことで大学が春休みに入る期間、このギャルゲーでハーレムの道に進むぞー!このVRゴーグルを付けてと。ゲームスタートだ!
萌:スイーツライズ!(同時に)
伊織:スイーツライズ!(同時に)
蘭華:スイーツライズ!(同時に)
蓮:スイーツライズ!(同時に)
俺:うん。オープニングもめちゃくちゃよかった!特にあの金髪の女の子が好きだなー!女の子も全員可愛かったしこれは神ゲーの予感だ!とても試作段階とは思えねー!
萌:あなたの名前を教えてね
俺:これは俺の名前を入れるんだよな?〇〇(自分の名前)っと
萌:あなたの誕生日を教えてね
俺:誕生日?11月22日
伊織:ちょっとー!もえりんばっかりずるい!私も聞くんだから!どいて!
萌:きゃ!
俺:お!?女の子が変わったぞ!メインヒロインだけじゃないんだな!しかもこの子は俺の推しだ!
伊織:君の血液型を教えて!
俺:そんなとこまで!?O型だけど
伊織:君のチャームポイントを教えて!
俺:俺のチャームポイント!?それがわかったらリアルでも彼女出来てるわ!
伊織:ああ、でもまあ、どんまい!
俺:ほっとけ!!そんなもん聞くな!
蘭華:こっからはあたしが相手してあげる
俺:はっ!推しから切り替わってしまった!くっそー!
蘭華:あんたの身長を教えなさい
俺:俺の身長か…166センチだ
蘭華:ちっちゃ!
俺:ああ!?黙ってろ!別にいいだろちっちゃくて!!
蘭華:あんたの貯金残高を教えなさい
俺:教えるか!!むしろゼロだわ!!
蘭華:スペックはド底辺と
俺:ぶち殺すぞー!!
蓮:あの……今度は…私が質問するね
俺:なんか弱々しい子が来たな
蓮:あの……あのぉ………───ですか?
俺:えぇ!?何言ってるか全然聞こえねーよ!
蓮:……きのこの山派ですか?たけのこの里派ですか?
俺:その質問は戦争が起きるぞ!!やめとけ!
蓮:じゃあおしり派?胸派?
俺:意外と大胆に聞くな!俺は胸派だ!
萌:え……そんな趣味あったんだ…ちょっと軽蔑
伊織:趣味は人それぞれって言うしね!
蘭華:マジで最悪ね。あんた
蓮:私は嫌いじゃないです…よ?
萌:スイーツライズ!スタート!
0:【間】
俺:……え!?なにこれ!?このままゲームスタートすんの!?胸糞悪すぎるんだけど!!てかあの弱気な子意外めちゃくちゃ嫌な奴じゃん!本当に大丈夫なのか!?
伊織:ねえねえ!今日って転校生来るんでしょ?
萌:そうなの?楽しみだね
蘭華:どんな子が来るのかしらね。あんた、友達になれる?
蓮:……えぇ!?……わ、わかんないよ
俺:そうか、俺が転校生っていう設定なのか
俺:こんにちは。〇〇(自分の名前)って言います。この学校で沢山の思い出を作れたらいいなと思います。よろしくお願いします
伊織:おーい!君ー!君の席はこっちだよー!
俺:おおー!推しと隣の席か!左隣の女の子はヒロインかな?
萌:花石萌(はないしもえ)です。これからよろしくね
俺:で、デュフフ。よろしく。……はっ!いかんいかん。ここでヲタクを出してはいけない!よ、よろしく!
俺:花石萌かー。Theヒロインって名前だなー
伊織:私の名前は負広伊織(まけひろいおり)だよ!
俺:ま、負広伊織!?なんか負けヒロイン臭がするのは俺だけか?
蘭華:あたしは早国蘭華(はよこくらんか)このクラスの人達とは割と仲いいから何かあった時はあたしに言いなさい
俺:こいつは絶対情報屋だ!!告白も後押ししてくるやつじゃん!軽くネタバレだろ!
蓮:わ、私は……私の名前は……───です
俺:何言ってるか聞こえないんだけど!?
蓮:穴谷高井茂田蓮(あなたにこういもたれん)です
俺:………え!?何?もう1回言ってくれない?
蓮:こ、声小さかったですか?
俺:いや、聞こえてたんだけど脳が追いつかなくて!なんて言った?
蓮:穴谷高井茂田蓮(あなたにこういもたれん)です
俺:いや、どっからどこまでが苗字!?
蓮:穴谷高井茂田(あなたにこういもた)までが苗字です
俺:苗字だけで3個くらい苗字が入ってないか!?とりあえず蓮ちゃんでいいんだね?
蓮:し、下の名前で呼ばれるの恥ずかしいです
俺:逆に上の名前で呼ぶやついんのかよ!
伊織:ねえねえ!君は知ってる?この学校の伝説
俺:この学校の伝説?またベタな話だなぁー
蘭華:知らないなら教えてあげるよ。このパチこき高校ではね、伝説があるんだ
俺:いや、この学校パチこき高校って言うの!?なんじゃその胡散臭い高校!その伝説って何?
蘭華:この高校生活で、『嘘は絶対につかない』こと。そうして正直者同士の男女が文化祭で打ち上がる花火と同時に結ばれると、永遠に幸せになれるんだって
俺:嘘は絶対につかない……。文化祭…?そうかじゃあこのギャルゲーは……。欲望のままに生きても良いということだな!?任せとけ!!確かこのゲームはお触りも出来るんだったよなー……グフフフフフ!!!
蘭華:あ、先に言うけど、女の子にむやみやたらに触ると好感度が下がるから。重要な場面でタッチしなさいよ?
俺:欲望が全部崩れ去ったわ……。まあそうだよな。現実世界でも触れないんだし
萌:じゃあ、まずは一緒に勉強しよ?
俺:え?勉強?死んでも嫌なんだけど
伊織:だよね!勉強なんか将来何の役にも立たないしね!
俺:ふむふむ。ギャルゲー歴15年の俺は閃いた!これは勉強するとメインヒロインが攻略出来て、勉強しないとこっちのヒロインを攻略出来るということか!
伊織:どっちにする?勉強するかしないか
俺:もちろん!しない!君は俺の推しだからな!
蘭華:………ふーん
伊織:おっけー!じゃあ私とサボりに行こ!
俺:え!えぇー!?
0:場面転換。商店街
俺:すげーなー。街のグラフィックとかもアニメの中にいるみたいだ。こんなリアルなギャルゲー初めてだなー。試作品としては最高なんじゃないか?
俺:てか!本当にいいの?授業サボって
伊織:大丈夫だよ!もう先生達も諦めてるしね
俺:いや、ほら、俺転校初日だし、それもまずいかなって思ってるんだよ
伊織:ギャルゲーにそんな概念ないから大丈夫!
俺:おい、メタ発言やめろ!
伊織:ところで君はどうして転校してきたの?
俺:あー。そういやなんで転校したのかわかんねーな
伊織:ふーん。そうなんだ。親が離婚しちゃったんだね
俺:うん。都合よく話が進んでくれる感じね!
伊織:お父さんが浮気したの?
俺:どこまで踏み込んでんだよ!普通ここまで踏み込まねーだろ!
伊織:そうなんだ。クソみたいなお父さんね
俺:君めちゃくちゃ最低なこと言ってない!?
伊織:私は嘘つくのが嫌いだからさ。そうやって奥さんに嘘つくの良くないと思う
俺:おー。なんだかこのゲームの設定に忠実になってきたな。そうだな!嘘は良くない!
伊織:嘘つく人はスタンガンで…こうよ!(ビリビリビリビリ!)
俺:………俺、多分この子に嘘ついたらやばいかもしれん!
伊織:あ、そうだ!〇〇君!私と一つ約束でもしない?
俺:約束?何の?
伊織:文化祭まではお互い嘘をつかないって事
俺:お、おう。そうだな!嘘は良くないもんな!
伊織:うん、約束だよ!これからは仲良くしようね!〇〇君!
俺:俺の推しだから仲良くするよ!
伊織:君は私が推しなの?
俺:ああ、そうだよ。最初に攻略したいと思ったのは君だ
伊織:……そっか、ありがとう
俺:よーし!ギャルゲーライフを楽しむぞー!
伊織:………いっぱい楽しんでね
0:そして学校に戻る
蘭華:あ、やっと戻ってきた。もう!先生怒ってたわよ?
伊織:えへへぇー。〇〇君と色々お話したから安心して学校生活を送れると思うよ!
俺:そうだな。勝手に掘り下げられたな
萌:確かに。親の離婚は仕方ないよね
俺:なんでもう広がってんだよ!どうなってんだよこのシステム!
蘭華:そろそろお昼休憩ね。あんたはどうする?どこでお弁当食べる?
俺:俺?教室で食うよ
萌:屋上で食べてくれば?
俺:なんでそうなんの!?教室で食うよ!
伊織:屋上で食べたら?
俺:どうしたんだよ!教室で食うって言ってんだろ!
蘭華:屋上で食べなさい
俺:え、強制イベントかなんかあんの!?たまにプレイヤーの言葉聞かない時あるけど、それなの!?じゃあ仕方ないな。屋上に行くか
0:場面転換。屋上にて
俺:屋上に誰がいるんだー?早く女の子を攻略したいんだけどなー
蓮:あ……どうして…あなたが?
俺:え?
蓮:この場所…私の秘密の場所だったのに
俺:いや、みんな知ってる雰囲気だったぞ!?
蓮:そうか、あなたは転校生だから何となく屋上でお弁当食べたいよね
俺:うん。全員が屋上行けって言ってきたからな!仕方なく屋上来たんだよ!
蓮:じゃあ一緒にお弁当食べよう
俺:そうだな。強制イベントっぽいしな
蓮:よかったら私のお弁当食べて
俺:おう。ありがとう
蓮:はい。あーん
俺:ほ、ほへ、ほへへへ、あーーん
蓮:おいしい?
俺:んふふー!VRだから味しなーい!けどご馳走様です!なに食わせてくれたんだ?
蓮:今朝煮込んだ靴下だよ
俺:何食わせてくれてんだよ!!きったね!はんぺんか何かと勘違いしてねーか!?
蓮:喜んで貰えてよかった
俺:あーんには喜んでたけどな!よかったよVRで
蓮:あなたって…本当に優しいね
俺:優しいか?
蓮:うん。私さ、お姉ちゃんが2人居るから男の人に慣れてなくて、でも、あなたは安心するなー
俺:ほほう。わかったぞ。お前は初心者でも簡単に攻略出来る奥手な女子だな!?あーあーわかるわかる。お前みたいなタイプはこっちが主導権握ってる気分になれるからな
蓮:優しくしてくれてありがとう
俺:おう。こちらこそ靴下食わせてくれてありがとう。なんだか健気だなーお前は
蓮:け、健気?そうかな?
俺:うん。やっぱそういう女の子人気だと思うぞ
蓮:……人気…か
俺:そう!ギャルゲーの中ではお前みたいなキャラは好きってことだ!
蓮:じ、じゃあ!あなたは…誰を選ぶの?
俺:お、俺?まだよくわかってないけど…。強いて言うなら伊織ちゃんかなー
蓮:……そっか。それならいいや
俺:……ん?
0:場面転換。下校時間
萌:〇〇君!
俺:あ、唯一ちゃんとした名前の萌ちゃんじゃないか。どうしたの?
萌:一緒に帰らない?
俺:い、いいの?マジで?君攻略難しいんでしょ?
萌:一緒に帰らない?
俺:ループやめろよ!
萌:ほんとに!?やったー!
俺:会話が全部スルーされるな!
萌:○○君は彼女とか作らないの?
俺:彼女?ああ、唯華とは連絡取れないからな。まあギャルゲーの中では作るよ
萌:私…あなたみたいな人が理想の彼氏かも知れない
俺:……え?どこを見てそう思ったの?
萌:フィーリングだよ
俺:ロックンローラーみたいなこと言うな!メインヒロインが言うセリフじゃねーんだよな!
萌:でもさ、ほら、私たち初めましてじゃないでしょ?
俺:……は?よくわからないけど
萌:あなたが転校する前に、私はあなたのこと知ってたよ
俺:………え?
萌:じゃあ私、家あっちだから、じゃあね!
俺:あ、ああ!じゃあね!
俺:お、おおー。壁にめり込んでるぞ?このバグだけは直せー!?……にしても…このゲームのメインヒロインに好かれてたぞ!?会ったことあるみたいなこと言ってたし。こんなにも簡単に攻略出来るなんて思わなかった!
俺:早速帰って好感度を見てみよう!
0:家では
俺:もしもし?蘭華ちゃん?俺に対する女の子の評価を教えてくれ
蘭華:はいはい。じゃああんたの評価はー
蘭華:萌の評価0
俺:え!?なんで!?さっきまで理想の彼氏だって言ってたぞ?
蘭華:そんなの知らないわよ。嫌われるようなことでもしたんじゃないの?
俺:した覚えないんだけどな…。他は?俺の推しの伊織ちゃんとか
蘭華:伊織の評価6
俺:めちゃくちゃ低いじゃねーか!
蘭華:初日だしこんなもんでしょ?
俺:それもそうか。他は?
蘭華:蓮の評価。53万
俺:53万!?逆に高すぎじゃねぇーか!?フリーザ様の戦闘力と同じじゃねーかよ!
蘭華:ちゃんと好きになってあげてね?
俺:んーー。俺は推しの伊織ちゃんを攻略したいからなー
蘭華:………伊織を?
俺:そうだよ。まじであのキャラは一目惚れだ!
蘭華:ふーん。じゃあ早く告れば?
俺:えぇ!?いきなり告白は無理だろ!初日だぞ!?好感度6だぞ!?
蘭華:焦らきゃ大丈夫よ
俺:わかったよ。ところでお前の好感度は見れるの?
蘭華:あたし?見る必要ないでしょ?
俺:そうだけど俺に好意ありそうな女の子がいたら嬉しいじゃないか
蘭華:そうね。じゃああたしの評価は✕(バツ)よ
俺:バツ!?バツってなんだ!?
蘭華:無理
俺:無理!?ギャルゲーで無理とか聞いたことねーよ!!希望はないのか!?
蘭華:希望なんてないわよ。本心だもの
俺:でも、お前を好きになるユーザーはいると思うぞ?
蘭華:……そんな人居ないわよ
俺:そうかー?そのキャラは俺もハマるけどなー
蘭華:うるさいわね!いいからこのまま頑張りなさい
俺:あ、おい!話は終わってねーぞ!おい!……くっそー!もういい!寝る!
0:【間】
萌:まだ寝てるの?早く起きて?
俺:………ん?
萌:私はここに居るよ?
俺:………唯華?
萌:あなたの事が、大好きなの
俺:……唯華じゃ…ない。なんだ、気のせいか
0:次の日
俺:ふぅー。朝から変な夢見たせいで気分が悪いなー
萌:みんな、おはよ
伊織:おっはよー!もえりん!
俺:お前もえりんって言われてんのかよ
蘭華:おはよ
伊織:おっはよー!らんかりん!
俺:らんかりん!?結構無理があるあだ名だな!
蓮:お、おはよ。みんな
伊織:穴谷高井茂田りん(あなたにこういもたりん)おはよー!
俺:一番付けちゃいけない名前にりん付けるな!
蓮:み、みんな!私のことは蓮って呼んで!
俺:みんな苗字で読んでたの!?今までしんどくなかった!?
萌:しんどかった
俺:じゃあ今すぐ下の名前で呼べぇー!
伊織:ゲームの時間短縮にもなるしね
俺:効率を考えるなー!お前に関してはなんでこいつの苗字にりんを付けたんだ!そこから間違ってんだよ!
萌:あ、もう授業始まるよ
伊織:今日もサボる?
俺:え、毎日サボるの!?
伊織:まあギャルゲーに留年の概念は残念無念だし
俺:やかましいわ!上手に韻踏んでんじゃねーよ!
蘭華:伊織はサボり友達作りたいだけでしょ?
伊織:えへ。バレた?
萌:私は〇〇君と一緒に居たいなー
俺:おいおい……メインヒロインちょっと可愛いじゃねーかよ。今日は勉強しようかな
萌:ふふっ。最高かよ!
俺:あんまメインヒロインそういうこと言わないだろ!もっと忠実になれ!
萌:ねえねえ今日も屋上でお弁当食べるの?
俺:もはやどこでもいいわ
伊織:屋上に何があるの?
俺:知らねーで俺に屋上で食えって言うな!
蓮:屋上には何もないよ
俺:……複雑な気持ちだな!なんとも言えねーよ!
蘭華:じゃあ今日のお昼休憩は教室で食べよう
俺:今までのはなんだったんだよ!屋上で食う流れだったろ!くっそー結局俺はどこで弁当食えばいいんだよ
0:【間】
0:お昼休憩
蓮:ねえ。〇〇君
俺:なんだ?
蓮:また屋上でお弁当食べない?
俺:お前靴下が主食なんだろ?もっといいもん食えよ。てか食べ物を食えよ
蓮:本当に!?やった!
俺:どこの判定でそうなったんだよ!別にどこでもいいけどな!
0:屋上に行くと
蓮:今日も私のお弁当食べて
俺:先に何の食べ物なのか教えろ!実際食べるわけじゃないけどちょっと気持ち悪いから!
蓮:今日は唐揚げだよ
俺:なら大丈夫か
蓮:はい。あーん
俺:ほへ、ほへへへへ。あーん
蓮:おいしい?
俺:全然味しないんだよな!VRだから!
俺:……いや、ちょっと待て!何の唐揚げだ?
蓮:靴下の唐揚げ
俺:なんで靴下の唐揚げなんだよ!きったねーな!VRだからいいけど製作者の倫理観が心配だよ!
蓮:おいしい?
俺:味はしねーよ!けど美味いとは言っとく!
蓮:……ありがとう!
俺:いいよ。なんか好感度一番高いし、ありがてえのはこっちの方だ
蓮:嬉しい
俺:ん?いいよこんくらい
萌:あら、こんなところに蓮ちゃんと〇〇君が居るじゃない
蓮:あ、もえりん
俺:お前ももえりん呼びかい!
萌:いつも屋上で食べてたんだね
蓮:そうだよ
萌:でも雨の日も教室に居ないけどどうしてたの?
蓮:雨の日も屋上で食べてるよ
俺:びしょびしょじゃねーか!なんで雨の日にお弁当食ってんだよ!
蓮:負けと雨が似合うってよく言われてるから
俺:意味がわかんねーな。なんか……俺の知り合いでも同じこと言ってたぞ?
萌:それな!
俺:お前本当にメインヒロインか!?メインヒロインが何たるかを叩き込んでやろうか!?
萌:そういえば〇〇君は文化祭の伝説は信じてる?
俺:伝説?信じるも何もこのギャルゲーの伝説なんだから信じるしかないだろ?
萌:そっか。信じるんだね。正直者にならないといけないなら私も自分の気持ちに正直にならないとだめだよね
萌:文化祭の日、あなたに告白します
俺:………へ??
萌:あ!は、早すぎかな?あははっ。でも、これは本気だよ
俺:………なんでそうなった?まだ転校して2日だけど?
萌:前に会ったことあるって言ったでしょ?
俺:どこ出会ったんだ?
萌:内緒だよ。気付いてくれるまでは教えない
俺:なんだよそれ
蓮:あの!!もえりんは…〇〇君のこと…好きなの?
萌:え、ええ!?それ聞いちゃう?
蓮:だって!私も文化祭で〇〇君に気持ちを伝えようとしてたんだもん!
俺:何そのネタバレー!早くない!?
萌:そ、そうなの!?じゃあ譲る!
俺:譲るな!俺に失礼だろ!
蓮:えぇー!そ、そんなー!どうしよー!
萌:どうしよー!どうしよー!
蓮:わかんない!どうしよー!
萌:えー!どうしよー!
俺:しっかりしろよ!ヒロインだろお前ら!
萌:えーじゃあー。先に〇〇君を落とした方に5万円渡すルールにしよ!
俺:賭け事に俺を使うな!なんでギャルゲーのヒロイン達が賭博(とばく)してるんだよ!無茶苦茶だ!
萌:じゃあ文化祭に向けてがんばろーね!
俺:全然腑に落ちねーよ!
萌:あ、それと、これは私の独り言だけど
俺:あ?なんだ!?
萌:……早く、見つけてね
俺:………え?
萌:じゃあね!〇〇君!
俺:お、おい!待てよ!……なんなんだ?
蓮:………はあ
0:【間】
0:場面転換。放課後の事
俺:全く。ギャルゲーのヒロインはこんなんじゃないぞ!結局俺の推しが一番まともなんじゃないか?いや、あとは蘭華ちゃんとかか?
俺:ん?なんかヒロインたちが話してるな。無茶苦茶なゲームだし何話してるか聞いてみるか
萌:そうそう!車って速いよねー!
伊織:わかるー!ポテトはLしか頼まないもん!
蘭華:でもお花屋さん行ったら大体花買うよね?
蓮:うん!自由が一番!
萌:あっはっはっはっは!(同時に)
伊織:あっはっはっはっは!(同時に)
蘭華:あっはっはっはっは!(同時に)
蓮:あっはっはっはっは!(同時に)
俺:こいつら、話が噛み合ってないのに何で盛り上がってんだ!?やっぱ無茶苦茶だよ!
蘭華:あ、そういえばあんた、あいつにはあの事言ってないわよね?
伊織:うん!言ってないよ
俺:ん?なんだ?あの事って
萌:もしバレたりしたらやばいもんね
蓮:……うん
俺:……なんの事だ?
蘭華:まあ、何も聞かれてないならそれでいっか
伊織:そうだね
蘭華:もし何か聞かれたとしたら、ちゃんと役割を守ってちょうだいね
伊織:わかったよ!
0:【間】
俺:な、なんなんだ?何か…隠し事でもしているのか?まあいい。これもストーリーの一部か何かだろう。
0:家に帰ると
俺:蘭華ちゃん。俺の好感度を教えてくれ!
蘭華:はいはい。あんたの好感度はー
蘭華:萌の評価。0
俺:なんでやーーー!!!あんなにいい感じだったのになんでやーー!!!
蘭華:ステータスを上げないとだね
俺:急にギャルゲーじゃん!他の女の子は?
蘭華:伊織の評価。7
俺:ちょっとしか上がってなーい!くっそー!なんでだ!?
蘭華:ステータスを上げないとだね
俺:みなまで言うな!じゃあ蓮ちゃんは?
蘭華:蓮の評価。2兆
俺:2兆!?もはや適当じゃねーか!?上限いくつなんだよ!
蘭華:人によるわよ
俺:適当じゃねーか!じゃあ蘭華ちゃんの好感度は?
蘭華:そんな確認いらないでしょ?
俺:一応いる。ギャルゲーには本気でいきたいからな
蘭華:私の評価は無理!無理!無理!
俺:何回も言うなよ。悪かったって
蘭華:しつこいのよ。二度と聞かないで
俺:でもよー。お前はちゃんと人間味があるな
蘭華:………は?
俺:いや、他のキャラって正直ぶっ飛びすぎてるからさ。お前は普通っていうか?
蘭華:……切るわよ?
俺:え!あ!ちょっ!……切られた。あいつは謎だなー。まあいいや、もう寝るか
0:【間】
俺:……あれ?また声がする
蓮:……気付いて。気付いてよ
俺:……お前は…千田里帆?(せんだりほ)センダリが……俺に何の用だ?
蓮:……気付いてくれないなら、もういいよ
俺:………は?
蓮:○○君のなんて、大嫌い
0:【間】
俺:うわあ!はあ。はあ。夢か……。センダリが……俺を嫌うわけねーよな?変な夢だ
0:
俺:こうして、俺は毎日毎日、女の子の好感度を上げ続けた
蘭華:萌の評価。0
俺:おかしいだろ!
蘭華:伊織の評価。9
俺:ちょっとずつしか上がらねーな!
蘭華:蓮の評価。8恒河沙(ごうがしゃ)
俺:何桁の数字だよそれ!!
蘭華:だから、好きになってくれる人を大事にしなって言ってんの
俺:俺は俺の好きな人を攻略したいに決まってんだろ!
蘭華:じゃあ誰なの?攻略したい人は
俺:………そうだなー。こうやって見ると色んなキャラがいるけど……直感的には伊織ちゃんかな?
蘭華:………あっそ
俺:え?もしもし?あれ?もしもし?……切れた。なんか…あの怒り方、誰かに似てるような……
0:【間】
俺:はあ、ちょっと疲れてきたなー。もう1回寝ようかな……ふぅ
0:【間】
蘭華:やめてよ。今更謝られても困るし
伊織:ううん。そうじゃないと私の気が済まない
蘭華:別にいいって!あたしが気にしてないんだから!
伊織:今までごめんなさい!
俺:………なんだ?この夢
萌:まあまあ二人とも落ち着いてよ
蓮:うん。もう終わった事だしさ
伊織:終わらないよ。私は一生引きずると思うから
蘭華:しつこいってば!もうあんたには関係ないでしょ?
伊織:………そんなこと…言わないでよ
蓮:………どうして、そんなに泣くの?
蘭華:そうよ…あんたが泣いてどうすんのよ
伊織:……ごめん。じゃあ、私、嘘をつくね
萌:……どんな嘘をつくの?
伊織:……○○君の事……
0:【間】
俺:……っ!!はあ。はあ。……な、なんだ?今の夢……
0:
俺:なんで……唯華とセンダリが出てきたんだ?
0:
俺:一休みした俺はそれから毎日。コツコツと好感度を上げていき、気付けば……
伊織:文化祭1週間前だね!
俺:早すぎる!!全然手応えがないんだが!!
蘭華:今年の文化祭は屋台やるから、怪我しないようにね
萌:みんなでいい文化祭にしようね!
蓮:うん!
伊織:○○君は?文化祭何か予定はあるの?
俺:なんもねーな。イベントもないしな
伊織:○○君なら大丈夫だよ!ギャルゲーってバカでも恋愛出来るって言うじゃん?
俺:俺をバカ以下だって言いたいのか!?
伊織:違う違う!もし何か困ったら……ほら、蓮に言いなよ
蓮:えぇ!?私?
俺:逆に申し訳ないくらい好感度高いもんな。伊織ちゃんは少しずつしか上がらないし
伊織:………私の好感度が少しずつ上がる理由。わかる?
俺:なんだ?
伊織:○○君が…特別な存在だからだよ
俺:……お前…。どこかで見たことあるけど…
伊織:……気付いた?
蓮:い、いおりん!?
蘭華:………はあ
俺:……お前は…
伊織:な、なんちゃってー!今の言葉は忘れて!私はギャルゲーのキャラクターだからねー!なーんもない!なんもない!
俺:な、何があったんだよ!はあ。もうクリアは出来ねーかな?
萌:あ、そうだ。〇〇君!この後時間ある?
俺:時間?あるんじゃねーの?
萌:ちょっとお話しよ?
俺:ああ。いいぞ
蓮:………
伊織:蓮?大丈夫?
蓮:うん。大丈夫
萌:ごめんみんな。先に言ってるね
蘭華:うん。いってらっしゃい
0:俺と萌はどこかに行く
伊織:蓮。後ろ向いてみ?
蓮:……はい
伊織:あちゃー。熱こもってるね。好感度上がるシステムちょっとやりすぎたんじゃない?
蘭華:やりすぎくらいがちょうどいいと思ったんだけどねー。今〇〇君は居ないし。復旧作業しといて
伊織:わかった。……負担かけさせてごめんね。蓮
蓮:……自分でもわからないけど、どうしてこんなに熱がこもるの?
蘭華:………それはね。あんたのシステムがそうさせてるから。それは受け入れなさい
蓮:……わかりました
蘭華:じゃあ私は最後のイベントに向けて準備してくるから。ここで待機してなさい
伊織:うん。いってらっしゃい
蓮:ありがとう。いおりん。もう大丈夫だよ
伊織:おー!よかったよかった!
蓮:……色々迷惑かけちゃってごめんね
伊織:いいんだよ。気にしないで
蓮:……少しずつだけど〇〇君に対するいおりんの好感度が上がってるのってさ、私のせい?
伊織:………そんなことないよ
蓮:じゃあどうして?
伊織:その逆だよ。〇〇君に対する蓮の好感度が上がり続けてるのは私のせい
蓮:………そうなの?
伊織:そういうシステムに作られたの。私たちは
蓮:じゃあ、〇〇君へのこの思いはどうすればいいの?
伊織:………いつかぶつけないといけないよね。だって私たちは好意も持たれない負けヒロインなんだから
0:【間】
0:場面転換。俺と萌
俺:一体どこに行くんだ?
萌:ゆっくり話せる場所。ここでいいよね?
俺:公園か。まあいいだろう。んで?話ってなんだ?
萌:ここだけの話なんだけどね……
俺:なんだよ
萌:……あのね、内緒だよ?
俺:わかってるよ。なに?
萌:……あなたがいるこの空間…。ギャルゲーなんだ!
俺:………知ってるよ!!今までの全部ギャルゲーだったろ!
萌:ああ、そうとも言えるね
俺:そうとしか言えねえよ!
萌:そっか、あなたでさえそう思うなら間違いなくここはギャルゲーの世界なんだね
俺:さっきから何言ってんだ?
萌:ねえ、〇〇君。私たち、昔会ったことあるって言ったでしょ?
俺:ん?ああ。それもギャルゲーの設定だからだろ?
萌:違う。そうじゃないよ
俺:どういう事だ?
萌:私は…現実世界で〇〇君に会ったことがあるの
俺:………は?どういう事だ?
萌:三澤唯華(みさわゆいか)
俺:………三澤……唯華?
萌:よく知ってるでしょ?…あなたの彼女の名前
俺:……嘘…だろ?
萌:私が三澤唯華なんだよ
俺:嘘に決まってんだろ!ギャルゲーの世界に唯華がいるわけねー!むしろ姿形も性格も違うだろ!
萌:ほんとだよ
俺:おかしいだろ。じゃあなんで花石萌なんて名前になってんだよ
萌:このギャルゲーはね、試作品としてテストプレイヤーにあなたを選んだの。様々なデータを取り入れるためにね
俺:俺が選ばれたのはなんで?
萌:あなた、いつもギャルゲーばっかしてるでしょ?だからそのノウハウが活かされるんじゃないかって言われてたんだよ
俺:でも!お前がなんでギャルゲーのヒロインになってるんだよ!
萌:……そうだね。それは……また後で話そう
俺:本当に唯華なのか?
萌:うん。いっつも遅刻ばっかりしてる○○君を起こしに来てた彼女だよ
俺:な、なんだよ!しばらく連絡が来ないと思ったらこんな所にいたのかよ!
萌:ごめんね。そういう事だから連絡もできなかったんだ
俺:元はと言えばお前から連絡が来なかったからこのギャルゲーを始めたんだ。早く俺と一緒に現実世界に帰ろう。
萌:それは出来ない
俺:なんで出来ねーんだ!?
萌:どうしても無理なの
俺:じゃあどうしたらいいんだよ!!
萌:……じゃあ、私を攻略して
俺:………お前を…攻略?無理だよ。お前の好感度はいくら何をしても上がらないんだ!
萌:でも、私はここに居る。文化祭で打ち上がる花火と同時に私はあなたに告白するから。私を攻略してくれたら、私はこのギャルゲーのヒロインから開放されるの
俺:だとしても……本当に攻略なんて出来るか…
萌:私を信じて
俺:……わかった。じゃあ文化祭まで…待ってるよ
0:【間】
0:文化祭当日
蘭華:みんな、準備はいい?
伊織:いっつでもおっけー!
萌:うん!バッチリ
蓮:ドキドキしてきた…
伊織:蓮?また熱こもってない?
蓮:大丈夫…。
蘭華:……蓮?
蓮:……はい
蘭華:念を押すけど、あんたはシステム通り、忠実に従いなさい
蓮:わかってます
伊織:何かあったら私に言ってね。あなたの担当は私なんだから
蓮:ありがとう。でも、らんかりん。私はギャルゲーのヒロインですから。私は私のシステムを守りますので、大丈夫です
蘭華:それなら信じるわ
蓮:……ありがとうございます
蘭華:それと、萌
萌:……はい
蘭華:あんたの役目はわかってるわよね?
萌:分かってる。私は〇〇君に告白をする。それでいいんでしょ?
蘭華:ええ。報告とデータを待ってるわ
0:【間】
0:学校の廊下で俺と萌は会う
萌:〇〇君!こっちこっち!
俺:おう
萌:来てくれてありがとう
俺:こうするしかないんだろ?
萌:そんな言い方しないで。姿形は変わってるけど、私は唯華なんだから
俺:それが気持ち悪いんだよ!
萌:とりあえず今日は一日屋台をまわろ?
俺:わかったよ
0:場面転換。伊織、蘭華、蓮は
蘭華:伊織、念の為、最終チェックしておきなさい
伊織:わかったー!じゃあ蓮。後ろ向いて
蓮:うん
伊織:〇〇君の事が好きでも…それを押し殺すの。絶対に好きって言っちゃダメ
蓮:……うん
伊織:好きな人に、嫌いって言わなきゃいけないのは…私にもわかるからさ。辛いのはよくわかる。
伊織:でも、嫌いって言わなくちゃダメ。〇〇君のことが嫌い
蓮:……〇〇君のことが嫌い
伊織:そう。私もなるべく会わないようにするから、頑張ろうね、蓮
蓮:ありがとう。頑張るね
0:場面転換。俺と萌
萌:私と〇〇君が初めて会った時も学校の文化祭だったよね
俺:本当に唯華なのか?
萌:本当だよ。これが終わったらまた連絡返すからさ。あなたの方こそ私から連絡来ないからってすぐにギャルゲーに手を出さないでよ
俺:それは俺がギャルゲーに人生掛けてるんだからしょうがないだろ?
萌:クスッ。まあ、あなたはそんな人よね。他の女の子に目線が動いちゃうのも変わらないし
俺:そ、そんな事ないだろ!
萌:今だってそう。最初にいいなって思ったキャラが伊織だったんでしょ?
俺:それはギャルゲーの話な!?お前が唯華だって分かればそんなことはしねえよ
萌:ほんとに〜?
俺:まあ、純粋にギャルゲーを楽しみたいが本音だがな
萌:最悪じゃん
俺:そうならないために早く戻って来いって言ってんだ
萌:じゃあ、今日で最後のギャルゲーなんだから、今日は思い切り楽しもう!
0:場面転換。
蘭華:萌のセキュリティは?
伊織:順調!
蘭華:じゃあこのまま文化祭の花火まで続行よ
蓮:本当に…やるの?
蘭華:当たり前じゃない。今日のためにここまでやってきたんだから
蓮:エンディングは…ハッピーエンドなんだよね?
蘭華:この際、どっちでもいいわ
伊織:蓮。あなたも今日はここでじっと待つの。選ばれなかったヒロインは心の内も出されずにエンディングを迎えるんだから
蓮:じゃあ教えて!〇〇君は…もえりんと結ばれるの?
伊織:……〇〇君ともえりんは結ばれないよ
蓮:………っ!!
蘭華:伊織!それ以上何も言わないで
伊織:蓮。よく聞いて。このゲームは嘘をついてはいけないの。だから……気持ちと裏腹の言葉を言ったら…二人は結ばれない
蓮:………どういうこと?
伊織:全部……嘘ってこと
蓮:…………っ!!
0:蓮は急に走り出す
蘭華:ちょっと!蓮!?な、なんでこの場から動けるの!?伊織!セキュリティシステムはどうなってる!?
伊織:さあね
蘭華:何をしてるかわかってるの!?現実世界でも負けヒロインのあんたが自分のデータを引き継いでるキャラに肩入れしてるってわけ!?
伊織:肩入れしちゃダメなの?
蘭華:そんなことしたら……このゲームが成り立たないじゃない!
伊織:最初から決まってたでしょ?私は彼に好意なんて持たれないんだから。きっと、また振られちゃうんだ
蘭華:だとしても!その行動はギャルゲーにはあってはならないでしょ!?
伊織:負けヒロインはね。最後まで足掻いて、苦しんで、辛くて泣いて、それでも止められなくて…。必死になっても、ずっと好きでも……届かないもんなの
蘭華:………
伊織:だから…らんかりんも見守っててよ。負けヒロインが散っていく様子を
蘭華:……わかったわよ
伊織:でも責任持って蓮の事探しに行くよ。昔から迷惑掛けてごめんね。らんかりんはここで待ってて
蘭華:………先に私が見つからない事を祈るばかりね
伊織:そうだね!その前に何とかしとくから!んじゃあ!あとはよろしくー!
0:伊織はその場から離れる
0:【間】
0:場面転換。俺と萌は
萌:花火まであともう少しだね
俺:ああ。そうだな
萌:屋台で売ってた靴下おいしかったね!
俺:このゲームの主食が靴下なのは変わりねーんだな!
萌:あと2分だね。じゃあまた改めて〇〇君に伝えておくことがあるんだ
俺:今度はなんだ?
萌:この学校の伝説はね、嘘をつかない正直者同士が結ばれることが大事なの。だから、私も今まで隠してたことを伝えるね
俺:もう何言われても驚かねーよ
萌:私、嘘ついてた
俺:………は?
萌:私は三澤唯華じゃない
俺:………なんだって?
萌:私は……。三澤唯華のデータを引き継いだただのメインヒロインだよ
俺:……どういうつもりだよ
萌:嘘をついてごめんなさい。でも、私を攻略しても三澤唯華はどこに居るかはわからないの
俺:………じゃあ、お前は誰なんだよ
萌:私は三澤唯華のデータを引き継いでギャルゲーのメインヒロインにプログラムされた、花石萌。ただのキャラクターだよ
俺:……俺をおちょくってんのかよ!!俺はお前が本当に唯華だと思ってたんだぞ!唯華にまた会えると思って信じてたんだ!
萌:だから、私を攻略して
俺:ふざけんな!!唯華じゃないってわかっててお前を攻略なんて出来ねーよ!唯華をどこにやった!?教えろ!
萌:………三澤唯華はどこにいるか分からないよ
俺:唯華のデータってなんだよ!このゲームのどこかにいるんだろ!?
萌:わからない
俺:…………このゲームが…終わる前に、探さないと!
0:その瞬間に学校の花火が打ち上がる
俺:………この花火は何分続くんだ?
萌:そんなに大きなものでもないから10分くらいじゃないかな?
俺:………
萌:じゃあ…あなたに告白するね
俺:お前の告白を受け入れれば…唯華は現実世界に戻ってくるのか?
萌:戻ってくる。それは嘘じゃない
萌:〇〇君。私、あなたの事が好き。私と付き合ってください
俺:………俺は…
0:【間】
俺:俺は!唯華を探す!このギャルゲーの中に唯華が居るなら……見つけ出して俺が唯華に告白する!!だから……お前の告白を受け入れることは出来ない!
萌:………そっか。じゃあ最後に…。また教えてあげるね
俺:これ以上何も言わないでくれ!もう……迷いたくないんだ
萌:……わかった
俺:………じゃあ
0:俺はその場を立ち去る
萌:そんなに必死になるんだね。〇〇君。このギャルゲーにはね、まだ隠された要素があるんだよ。私の好感度が上がらない理由、考えたことあった?
萌:三澤唯華のデータを引き継いでる私の好感度が上がらないってことは、そういうことなんだよ?考えたことあったかな?
萌:あともうひとつ……。いや、まだ沢山あるけど、もう何も聞きたくないんだよね?
0:【間】
0:場面転換。伊織と蓮
蓮:はぁ…!はぁ…!〇〇君!どこにいるの!?〇〇君!
蓮:はぁ……。はぁ……。どうしよう…。〇〇君が……
伊織:蓮!
蓮:……いおりん…
伊織:……〇〇君は見つかった?
蓮:どこにいるかわからない…
伊織:もう、終わりにしよ?〇〇君への思いはなかったことにしようよ
蓮:なかったことになんて出来ないよ!
伊織:……そうするしかないでしょ!
蓮:それでいいの?いおりんは
伊織:……それでもいいよ。
蓮:ダメだよ!そうやって我慢ばっかしてるけど好感度だって必死に抑えてきたんでしょ!……今しか変えられないじゃん!
伊織:……変わらなくていい
蓮:どうして!?
伊織:……だって…私は………
0:【間】
俺:花石萌が唯華じゃないとしたら……あの3人の中に唯華がいる。なりふり構わずお前が唯華だろって言いたいけど、そんな時間はもうない!花火も上がっちまってる!
俺:伊織ちゃんは……俺を特別だって言ってくれた。その言葉の意味はなんだ?俺を特別に思う人なんて…現実世界で唯華の他に……
俺:………千田里帆?(せんだりほ)まさか…センダリがこのギャルゲーの中に居るだなんてこと……ありえるのか?
俺:じゃあ…誰かが嘘を付いている!本当に嘘をついてるやつを…見破らないと……唯華には会えねぇ
俺:………あっ!おーい!二人ともー!
蓮:……っ!○○君?
伊織:………
俺:ちょっと聞きたいことがあるんだ
伊織:どうしたの?
俺:伊織ちゃん、蓮ちゃん。俺の事好きか?
伊織:………ちょっと
俺:答えてくれ!
蓮:………じゃあ、答えるね
伊織:……蓮。ダメだよ!
蓮:大丈夫。ちゃんと言えるから
俺:………
0:
蓮:私は……○○君の事が嫌い
俺:……なんだよ…
伊織:……蓮
蓮:だって、いつもフラフラするし、肝心な時に何も言わないし、思わせぶりな態度を取るし、人の話もろくに聞かないし、男らしくない
俺:そ、そんなに言わなくてもいいだろ!
蓮:だから……○○君の事が嫌い。…嫌い!大嫌い!!
伊織:もういいよ!蓮!
俺:嘘なんだろ?センダリ
蓮:本当の事だよ
俺:いいや
蓮:本当の事だから!もう私に…近付かないでよ
俺:お前に聞いてねーよ。俺が聞いてるのは、伊織ちゃんだ
伊織:………
俺:お前、千田里帆だろ?なんでこんなところにセンダリがいるんだ?
伊織:………うん…よくわかったね
俺:お前はよく俺に気付いてほしそうな目をするだろ?それを見て思ったんだ。そして、センダリのデータが蓮ちゃんにプログラミングされている。そうだろ?
伊織:………ありがとう。気付いてくれて
俺:ああ。でも……俺はもう行くぞ
伊織:………どうして…唯華には気付かないの?
俺:……やっぱり唯華はどこかにいるんだな!?どこにいる!?探してるんだ
伊織:私が言いたいのはそうじゃない。……唯華よりも…先に私に気付くのは……ずるいよ
俺:………ごめん
伊織:早く唯華の所に行ってあげて。もう花火も終わっちゃう
俺:わかった。ありがとう。センダリ!
伊織:……うん。さよなら
0:俺はその場を去る
蓮:……どうして言っちゃったの?
伊織:……わかんない。…けど、私はやっぱり負けと雨が似合うからかな?
蓮:……今なら本当の事言ってもいいんじゃない?好意を持たれないヒロインの本当の気持ちを
伊織:……うん。そうだね。……私は……○○君が好き。……この気持ちに嘘は付けないよ
0:【間】
0:場面転換。萌と蘭華
萌:あ、こんなとこに居た
蘭華:……っ!…なんだ、あんたか
萌:○○君だと思った?
蘭華:そんなわけないでしょ
萌:報告します。さっき、○○君に告白したんだよ。私が嘘をついたことも話した。もちろん三澤唯華じゃないってことも言ったよ
蘭華:本当にその通りになるのね
萌:うん。プログラミングされたデータとは違う言葉が出てくる。だから私は○○君に好きって言えたんだよ
蘭華:それは良かったわ。そうよ。私は……彼を好きになる事なんて……
萌:あなたがそう言うなら間違いないね
蘭華:………ええ。そうよ
俺:おい!蘭華ちゃん!探したぞ!
蘭華:っ!?○○君!?
俺:教えて欲しいことがある。お前にしか頼めないんだ!
蘭華:……何?
俺:みんなの…最終的な好感度はいくつなんだ?
蘭華:……あんたと付き合いたい人なんて誰も居ないわよ
俺:じゃあ!唯華はどこにいる?
蘭華:…………
俺:萌ちゃんは唯華じゃないんだ!さっき、センダリは居た!あとは唯華がどこに居るかだけなんだよ!
蘭華:………そう
俺:頼む!唯華を探してくれ!
蘭華:………あんたはいつもそうだよね。センダリの気持ちには気付いて、唯華の気持ちには一切気付かない
俺:……は?どういう事だよ!
蘭華:なんで!!あんたはいつも!!本当に好きな人の事は気付かないの!!
俺:………え?
蘭華:唯華があんたと付き合った時、なんて言ったか覚えてる?
俺:………覚えてるよ
蘭華:じゃあ……私の嘘にも気付いてよ!!
俺:………お前……唯華なのか?
蘭華:……私は唯華じゃない
俺:……もうわかんねーよ!!どうしてみんな嘘をつくんだよ!!このギャルゲーだってなんで俺がテストユーザーに選ばれたかもわかんねーし!なんでセンダリが居るのもわかんねーし!
蘭華:その答えはもう決まってるでしょ?
俺:………何がだよ?
蘭華:あんたは誰に告白するの?萌、伊織、蓮、あたし
俺:俺は……俺は唯華を探してるんだよ!
蘭華:唯華はここには居ない。さあ。早く告白して?
俺:…………唯華…
萌:花火。終わっちゃったね
俺:………え?
萌:花火が終わる前に誰にも告白出来なかったね
俺:おい……待ってくれよ!唯華はどこに居るんだよ!
蓮:唯華なんてさっきから居ないよ
俺:……お前…どっから出てきた!?
蓮:唯華がどこに居るか……気付いてあげられなかったあなたが悪いんだから
萌:唯華のデータは無意味だったから。消去しとくね
蓮:センダリのデータも消去しときます
俺:……何の話だよ?これから何が起こるんだ?
萌:あなたには関係ない
蓮:そう。唯華とセンダリはもう。あなたと関係ないないんだから
俺:………何言ってんだよ!関係ないってどういう事だ!?
萌:あなたのデータも、唯華のデータも、センダリのデータも。全て消去します
俺:………は?
蘭華:………○○君。私はあんたの事が嫌いよ
俺:………唯華…?お前が唯華だったのか!?
蘭華:全然気付いてくれない……。だから嫌いなのよ!あたしの気持ちを置いてきぼりして!自分だけ一生懸命になってる所が大嫌いなの!
俺:………そっか…。唯華……。俺の事嫌いになったんだな
蘭華:ええ。そうよ
俺:今までごめんな
蘭華:顔も見たくない
俺:わかった。本当にごめん。俺の中から…お前のデータを消すよ
0:
俺:本当に…さよならだな
0:【間】
0:場面転換。【???side】
伊織:私もやるよ。唯華
蘭華:本当に?
伊織:だって、今まで唯華には迷惑かけっぱなしだったし
蘭華:それ以上言わなくていいよ。あたしは○○君に本当の気持ちを伝えたいだけだから
伊織:唯華の本当の気持ちって?
蘭華:ごめんね。センダリ。私、嘘を付いてた
伊織:……どういう事?
蘭華:○○君の事…好きじゃないかもしれない
伊織:………
蘭華:一緒に居ると…なんだか辛いの。私を見てくれてても、本当に気づいて欲しい事には目を逸らすんだから
伊織:……それも嘘じゃん
蘭華:……え?
伊織:それを好きって言うんじゃないの?
蘭華:……そうなの?
伊織:私だったら、好きなところも嫌なところも全部○○君だったら受け入れられるよ
蘭華:………あたしは…あいつがあたしの気持ちに気付いてくれるまで、嘘をつくよ
伊織:じゃあ、試してみようよ。○○君が最後に選ぶ人は唯華だって事を
蘭華:……そうだよね。彼は嘘をつけないんだから、きっと答えがすぐにわかるよね
伊織:うん!私も自分に嘘をつけるように頑張るよ
蘭華:ありがとう。センダリ……
0:【間】
蘭華:どうして…私の嘘に気付かないの?
0:
蘭華:早く告白しなさいよ。バカ
0:【長い間】
萌:せーの
0:
萌:スイーツライズ!(同時に)
伊織:スイーツライズ!(同時に)
蘭華:スイーツライズ!(同時に)
蓮:スイーツライズ(同時に)
0:
萌:あなたの心に留めておいて
蘭華:「あたしは…初めてあんたを見た時から……」
蓮:本当の私を見て欲しくて
伊織:「ごめんね……今まで……ずっと嘘を付いてた」
萌:私の心を見抜いて
蘭華:「あたしは大丈夫!……だから、センダリの所に行ってきて」
蓮:あなたの一番を見つけて
伊織:「私は……あなたにとって、どんな存在なの?」
0:
萌:いくつもの夢と
伊織:いくつもの現実と
蘭華:いくつもの過ちと
蓮:いくつもの偽りと。
萌:思いが重なる時に芽生えるもの
伊織:あなたと私とあの子の恋
蘭華:甘い嘘には気を付けて
蓮:他の誰にも内緒の話
0:
萌:スイーツライズ!(同時に)
伊織:スイーツライズ!(同時に)
蘭華:スイーツライズ!(同時に)
蓮:スイーツライズ(同時に)