台本概要

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タイトル 森番の魔女ユンクスと異界の少年
作者名 ろくしょうるり  (@ruri6syo)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(女1、不問3)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 帝国に滅ぼされし魔国。 魔力の強いこの地では、森の大地から異界からの魔物が湧いてくる…
王都を取り巻く森で魔物の番をする亡国の魔女ユンクスと、帝国より森の警護と魔物討伐を任じられた騎士ふたり。
そこへ、異世界からしょたっこがやってくる!

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おねショタシナリオのアーカイブ聞きたすぎて書いたおねしょタシナリオです!
プロローグのためそんなにおねしょタできてませんが、気が向いたら話が増えてくと思います!
とりあえずこの回ではたいしたことないですが、苦手な方はご容赦を!
シナリオ批判はいくらでもおっけーですが、おねショタ度についてのクレームは受け付けてません!

愉しんでいただけたら嬉しいです!
みんなー! アーカイブできたら教えてくださーーーい!!!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ユンクス 85 森番の魔女。 見た目は若く美しいが年齢不詳。 冒頭に晴翔の母親のセリフあり。
晴翔 不問 62 異界から来たショタっこ。 かわいい。 7~9歳 
メイビア 不問 57 帝国騎士 グレゴルとともに本国より森の警護と魔物討伐を任じられている。 たぶん女だけど性別不問 冒頭に(侵入者)のセリフあり
グレゴル 不問 57 帝国騎士 メイビアとともに本国より森の警護と魔物討伐を任じられている。 たぶん男だけど性別不問 冒頭に晴翔の父親のセリフあり。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:日本。 深夜。 とある住宅 晴翔:(寝息) スゥ… スゥ… うん… メイビア:(侵入者)ウルアアァァア! ユンクス:(母親)キャアアア~~! あっ、あなた! グレゴル:(父親)ぐうっ… だ、誰だ! 晴翔:ん… んん… なんの音… ? ふぅ…(起き出す) メイビア:(侵入者)ゆるさない… 殺す… コロス…! (ドスッ) (ドスッ) グレゴル:(父親)うああああーーッ! ユンクス:(母親)ギャーーーーッ! 晴翔:うぅん… おとうさん… おかぁさん… どうしたのぉ…? グレゴル:(父親)は、晴翔ォ…ッ! メイビア:(侵入者)あぁん…? ガキか… 晴翔:! ユンクス:(母親)アアッ… 子供… 子供だけは… はあ… はあ… メイビア:(侵入者)うるせえよ! とっとと (ドスッ) くだばれェッ! ユンクス:(母親)ギャアアアアーー! 晴翔:お! おかあさ! グレゴル:(父親)逃げろ…ッ はると…! メイビア:(侵入者)早く死ねよオラァ! グレゴル:(父親)ぐわああっ メイビア:(侵入者)グフフフ… あとは… 晴翔:あ… あ… … ああ… メイビア:(侵入者)オラアアアァア! 晴翔:(助けて!… 助けて!… だれか… だれか!) 0: 0:森。小さな魔物相手に騎士二人が戦っている。 通りすがりにそれを見つけたユンクス。 グレゴル:てぇいっ! グレゴル:おいっ、そっちだ! メイビア:任せろ!(走って回り込む) メイビア:ハッ! ユンクス:魔物か メイビア:クソッ、外した グレゴル:ちいっ! メイビア:グレゴル、そっちに回れっ! 晴翔:(小さな魔物の泣き声)キュッキュッ ユンクス:ミニマムリザード、一匹 グレゴル:くそっ、ちょこまかと! メイビア:ハアッ! グレゴル:でやあっ! メイビア:茂みに逃がすな …っあ! グレゴル:そいやッ! 晴翔:(小さな魔物の泣き声)キキーーーッ シャアアア… メイビア:よしっ、よく止めたグレゴル! グレゴル:ふー、ふー、後は首を落とせば…ッ! 晴翔:(小さな魔物の泣き声)キューッ! キャッ! グレゴル:うあ! メイビア:バカ! 何やってる! …っくそ ユンクス:ル・コルビス! 捕らえよ 晴翔:(小さな魔物の泣き声)キッ … シャアアア… シャァァ… グレゴル:あ! ユンクス:こんな小さきものに二人がかりか? 我らが王を討ち滅ぼした帝国騎士殿が聞いて呆れるな メイビア:チッ、魔女 グレゴル:フン、邪教の国ガルデイラは今やわれらが帝国領。 この森の魔物討伐は我らが役目と相成った。邪魔立てはせんで貰おう ユンクス:邪教の国ガルデイラ? そんな国は元々存在しない。 この地は「ハルプシャン・ドゥーバ」。 賢者王リドニス様が治むる聖なる土地。 他国に勝手な名をつけるな メイビア:その賢者王とやらは、我ら帝国軍が刈り取った薄汚いじじいの首のことか? ハッ! 何が聖なる土地だ。 大地から魔物が湧き上がる忌み地よ ユンクス:フッ、ここは魔力に溢れる聖地、なかでも首都を取り巻くこの森一帯はその力の最も強い場所。 ユンクス:ゆえにこうして異界からの迷(まよ)い子が多く紛れ込んでくる。 … さあ、 元の地にお帰り、ちいさきものよ -『アイオス・リグルス』 晴翔:(ミニマムリザードの鳴き声) キュキュー…ゥ… グレゴル:あああーーッ メイビア:魔物はすべからく殺せとの通達だ! ユンクス:ぬしらの崇拝しておる皇帝陛下殿からのか? は、愚かじゃのう。 いや、世の理を知らぬとあれば詮無きか。 ユンクス:此度の侵攻も我らの持つ魔法力を得たいが為と見ているが。 よもやこのように魔のモノが次から次へと流れ着く土地だったとは、大きな誤算であったろうの グレゴル:誤算などではないわ! 魔物はこの世界から排除する。 魔の根源たるこの忌み地を粛正すべく我らは! ユンクス:なればそれこそ我らが魔法の民に任せておけば良かったものを ユンクス:魔術を扱う力も技もなく討ち取れるのならとってみよ。 この力はハルプシャン・ドゥーバに生まれし者に与えられた使命。 ユンクス:美しきこの世界に魔物を溢れさせないためのな。 グレゴル:ぐぬっ… ユンクス:おおかた、異界の魔物から力や皮やら、そんなものをかすめ盗るのが真の目算であろうよ メイビア:フン! だとしても我らは猊下の御命に従うのみ。 ここでお前と問答するだけ無駄な時間だ。 行くぞ、グレゴル ユンクス:フン、せいぜい足掻くがいい。 帝国騎士よ。 だが我らが魂は常に賢者王の志と共にあ…  …! んっ、子供の声! グレゴル:ぬ! メイビア:! ユンクス:(走り出す)おい! 何をぼさっとしておる! 早く来いッ! まずは民を護るのがぬしら騎士の本分であろうがアッ  メイビア:言われなくともォッ! 行くぞグレゴル グレゴル:応ッ! 0:魔物から逃げるショタっこ 晴翔:はあ、はあ… っく はあ、 うああああーーーーっ! 0:ユンクス到着、メイビア、グレゴル、息を切らして駆けつける グレゴル:! ギガングリズル、だと! メイビア:うっ…、でかい 晴翔:うああああ! もうだめェーッ! やられちゃうーーーッ!! ユンクス:ル・デウスカヴェア! 囲え! 晴翔:う… あ… あれ? メイビア:光の檻?! ユンクス:もう大丈夫じゃ、怪我はないか 晴翔:おねえ、さん…? グレゴル:っしゃあ! クマ野郎はこっちで片付けるぜ! でぃやあーーーー! (ガキン!)  ぐわァアーーー! メイビア:グレゴル! くっ、こっちの攻撃も檻にはじき返されるのか、クソッ ユンクス:はぁ… この檻が無かったとてお前達のなまくら剣では通らんよ。 -『アイオス・リグルス』 元の世界へと還るがよい。 晴翔:あ… … … クマが … 消えちゃった… グレゴル:チイッ… メイビア:フン。 剣を収めよ、グレゴル。 子供が助かっただけでよしとしよう。 今度ばかりは礼を言う。 魔女ユンクス 晴翔:ま、 じょ… ? ユンクス:礼には及ばぬ。 だが、ありがたく受け取ろう。 ふむ。 さて、 そなたはどこから迷い込んだ?   晴翔:… … っ … わからない… ボク… (目に涙が溢れる) グレゴル:(何か言いかける晴翔に割り込んで)異界人…! 異界人の子供か! メイビア:なんだって?! …っ… 確かに。 このような衣(きぬ)、見たことが無いな。 前言撤回だ。 そいつは斬らせてもらう ユンクス:! グレゴル:ああ。 異界人は人にあらず。 異界から来た魔物のひとつよ ユンクス:ふ、 何を言い出すかと思えば… 晴翔:ま、まもの…? ボク… まものなの? メイビア:さあ、早くそいつを差し出せ。 さもなくば… 晴翔:魔女のおねえちゃん… ユンクス:安心しろ。 そなたに誰も手出しはさせぬ。 今頃はそなたの両親もさぞ心配しておるだろう… さ、元の世界へ… 晴翔:いやだ!! ユンクス:! 晴翔:いやだ… いやだ、いやだよ…  …ボクを戻さないで… お願い ユンクス:うん? こんなに震えて… どうした 晴翔:戻ったら…殺されちゃう… ねてたら…いえに… 知らない人が… お母さんが… おとうさんも…  ぐすっ ユンクス:うっ… グレゴル:ハッ、 どのみち死ぬのか。 ならば丁度良いではないか。 両親の元に送ってやろう ユンクス:き、貴様ら! メイビア:諦めろユンクス。 そいつは魔物だ。 帝国騎士団の名において我らメイビア隊が討つ ユンクス:ギガングリズルに尻込みしていたくせに、相手が子供とみるや随分と威勢がいいな。 ん? 魔物…? なるほど、魔物か 晴翔:まもの…? おねえちゃんまで … や、やだ… こ、ころさ…ないで … ユンクス:ふっ、めそめそするな。 誰にも手出しはさせぬと言ったろう 晴翔:うっ… (涙目) ユンクス:おい、騎士ども メイビア:むっ グレゴル:むっ ユンクス:これは魔物か? グレゴル:そうだ! 異界より来たものはすべからく! ユンクス:(鋭くメイビアを見る) メイビア:わかりきったことを何度も… その通り。 それは人の子にあらず 晴翔:ひっ… ユンクス:あい分かった。 『ファミリス』! 契約の儀ッ! 晴翔:わ! 地面が… なに… グレゴル:魔方陣だと! メイビア:貴様、何をするつもりだ! グレゴル:ぐっ、は、弾かれるッ…! メイビア:うっ… グレゴス、間合いを取れッ 晴翔:あ…  あ… なに… これ ユンクス:大丈夫じゃ。 あの騎士どもはこの陣には近づけん。 …そなた、名は 晴翔:あ… う…  ユンクス:名は! 晴翔:は… はると… ユンクス:ふっ、ハルトか。 良い名じゃ 晴翔:あ… あ… おねえちゃん… こ、ころさ、ないで…  ユンクス:怖れるな。 これはそなたを助ける唯一の法。 晴翔:た、 …たすける? ころさない? ユンクス:ああ。 ハルト。 私がお前を護ってやる。 そのために、私とファミリスの契約をせよ。 そなたがこの世界にとって魔物であるのならば、できるはずじゃ 晴翔:おねえちゃんと… けいやく? そうしたら、 こ、ころさない? ユンクス:契約しても、しなくても、私はお前を害したりはしない。 ただ、契約すればお前をあいつらから護ってやれる。 それだけのこと。 …決めるのはお前じゃ。 ハルト 晴翔:ぼ、ぼくが、 きめる? ユンクス:そうじゃ。 ハルト自身が決めねば、ファミリスは成立しない グレゴル:ま、待て! 魔物と契約?! だと! ユンクス:ああ。 聞け、騎士ども。 幸い私にはまだ使い魔がおらぬ。 言葉もよく理解できるこれならば、良き使い魔になるであろう メイビア:まずいぞグレゴル。 このまま契約されれば手出しができん! グレゴル:し、しかしこれでは近づくことも! メイビア:そんなもの、力ずくだあーッ! グレゴル:メイビア! メイビア:うああーーーーッ! グレゴル:メイビアーーー! ユンクス:フン。 貴様等はそこで大人しく見ておれ。 帝国の犬ども グレゴル:くっ、だんだんヒデえ呼び方だな! メイビア:クソ! ユンクス:いくぞ、ハルト。 もう一度訊く。 この契約、受けてくれるか? 晴翔:う、 うん… 契約、する。 おねえちゃんと… ファミリスに、なる! ユンクス:よし。 よく言った。 では、私と目をしっかりと合わせろ。 そらすなよ 晴翔:うんっ グレゴル:契約とは… 一体何をするつもりだ メイビア:おい、とりあえずこの事態は報告せねばなるまい。 儀式のさまを記録しておけ グレゴル:わかった! 『魔女と魔物の契約』… 『ファミリス』 ユンクス:魔獣ハルト… 我と汝はともに誓う…  … 病めるときも… 健やかなるときも メイビア:・・・・・ グレゴル:病めるときも、すこやかなるときも…  ユンクス:苦しみのときも、悲しみのときも…  グレゴル:苦しみのときも、悲しみのときも メイビア:ん… なんか、この文言…  ユンクス:いかなる時も共に歩み 袂を分かつ事なきことを … 『コンクラクトス』 契約 ユンクス:ハルト 少し我慢しろ … ンッ… 晴翔:あ…! ンッ!(高めのトーンで) メイビア:エーーーーーーッ! グレゴス:エーーーーーーッ! ユンクス: …ン … ふ… 晴翔: ふむー… ン、 んくく…  晴翔:(お姉ちゃんの唇とボクの唇がくっついてる… 晴翔: あ・・・ なんだか… せなかが… ざわざわって… 晴翔: あったかい力が… … はいって… …) ユンクス:ンン…  晴翔:…っ …っ …ぷはっ! ユンクス:ふ…、う… はぁ…、 っ、 晴翔:ふぁ… は… ぅ…  も…、おわ、り? ユンクス:ああ。 もう終わった。 契約は相成った。これで奴らはお前に何もできん。 安心しろ 晴翔:う…ん… ユンクス:聞け、騎士ども。 ハルトはもう私の使い魔となった。 手出しをしようものならば手痛いしっぺ返しを… ん 二人とも、何を呆けておる メイビア:い、、、、 メイビア:いやいやいやいやいや犯罪だろーーッ それはあああッ グレゴス:こっこここここのようないたいけな幼子の唇に! きっ、きっ ききききっすなど! 魔女、おま、 おま!! ユンクス:ほう。 ようやく子供と認めたな。 よしよし。少し見直したぞ。 グレゴル:こっちはかなり見損なったわ! ユンクス:ふん。 ファミリスの儀とはこういうものじゃ メイビア:いや魔物ともすんのかよ! 例えばさっきのギガングリズルだのミニマムリザードともするのかよ! げえええ! メイビア:報告だ! このような大罪野放しにはできん! グレゴル:っ、そうだ。この顛末の続きを書かねば… え、ちょっと待ってくれ。 か、書くのか? これを?! おいこれどう書けって言うんだ? メイビア:いや… こう、 ありのままをだな グレゴル:はーーーー! ありのまま! とは! メイビア:だから、 こう、 魔女と異界人の子供の グレゴル:っ! 俺はエロ作家にはなりたくないからな?! メイビア:エロ作家とは何だ! ただの報告書だ! グレゴル:だからなんで俺が騎士団長殿に三流エロ創作提出しなきゃならないんだよ! このまま書いて誰が信じるんだッ メイビア:しかしだな! グレゴル:アーーーッ! そんなに言うならてめーで書いて出せよ! メイビアァア! 晴翔:お姉ちゃん、この人達、どうしてケンカしてるの? ユンクス:ハルト、あやつらのことは放っておけ 晴翔:ウン、わかった ユンクス:ふふ、良い子じゃ。  … おい、騎士ども! メイビア:! グレゴル:! ユンクス:三流エロ創作とやらを騎士団長殿に提出し、お前達がどんな罪に問われようと、私は知ったことではないがーーー グレゴル:なんだとう! ユンクス:… 『ル・ヴィース』 付与せよ メイビア:! グレゴル:! 何をした! ユンクス:なに。 ぬしらのその*籠手《こて》に魔を断つ力を付与したのよ。 ほんの少しじゃがな。 ユンクス:この地に出るのは異界の魔物だけではない。 ぬしら、妖魔やエヴィル・スピリッツどもにも手を焼いておろう。 これで少しはましに戦えるぞ メイビア:なっ… グレゴル:どういうつもりだ ユンクス:ぬしらはこの森から民を護ってくれるのであろう? グレゴル:それは! もとより! ユンクス:ふふ。 ぬしらがその腕で*剣《つるぎ》をふるい成果を上げれば、我らを邪教と蔑むことがいかに愚かか知るであろう、 メイビア:手を、組もうってのか ユンクス:いいや。 取引、じゃな グレゴル:取引… ユンクス:ま、もう付与してしまったのだから、取引でも何でもないな! まあ、詫びとでも思ってくれればかまわん メイビア:…っ グレゴル:ううむ… ユンクス:ただし、異界の物には効かぬ。 今後も異界より迷い来たものたちは、私がこの手で元の世界へと返していくがな グレゴル:むっ、それでは我々の! メイビア:いいよグレゴル。 はあ、わかった。 妖魔をやれるだけで御の字だ。 ありがたく使わせてもらおう ユンクス:うむ。 頼んだ。 …ではいくぞ、ハルト 晴翔:う、うん… あの、 魔女のおねえちゃん… ユンクス:ユンクスじゃ 晴翔:ユンクスおねえちゃん… ユンクス:うん? 晴翔:あの… くちびる… とってもやわらかくて、 背中がざわざわってなって…なんだか… とっても、きもちよかった… あの… いまのやつ、 もういっかい… してもいい? ユンクス:ん、 うん? もう一回? 晴翔:ちゅうっ、て… ユンクス:ちゅ、 ちゅうっ… て ち、… ちゅう? え?! ちゅう?! うわあ! そ、そういう メイビア:ま、魔女? グレゴル:いきなり照れだしたぞ ユンクス:はわわわ… そういえばそうじゃっ… あああー 幼き子とはいえハルトは… あああー! は、はずかしいっ こんな公衆の面前で男の子とのっ! しょっ、初体験を披露してしまうとはーーー! メイビア:見せつけられたこっちの身にもなれ! 晴翔:? 契約、じゃ、ないの? ユンクス:はっ、そうだハルト! 契約の儀しゃ! 儀式は何度もしてはいけない! こんかぎりじゃっ な! 晴翔:ふぅん…そっかぁ… わかった ユンクス:はああ… 急に暑くなってきたわ… グレゴル:以外とウブいな、魔女 ユンクス:う、うるさい!  晴翔:っ、はっ…くしゅっ! おねえちゃんは暑いかもしれないけど、 ううっ、ぼく 寒い ユンクス:おっと、そうじゃ。 ハルト、随分と薄着じゃな。 よく見れば履き物もなしか。 そなたの国は皆そうなのか? 晴翔:ううん。 これ、パジャマだよ ユンクス:そうか。 寝込みを襲われたような事を言っていたな。 まずはほれ、私の外套でもかぶっておれ 晴翔:わっぷ… あ、 えへ。 あったかい ユンクス:ううむ。 そうだ。 おい、そこの二人。 こいつを頼む メイビア:ん、何だ。 金? ユンクス:その金でハルトの着るものを買ってきてくれ メイビア:ふっ、 ははは。 わかった。 明日、森の入り口に届けよう グレゴル:なっ、なんで俺たちが! メイビア:行こう、グレゴル グレゴル:なああ! ユンクス:普通っぽいので頼むぞ。 なるべく目立たんようなのだ。あと履き物も忘れるでないぞ! メイビア:(片手を挙げて応える)いいじゃないかグレゴル。 あんな耳まで真っ赤にして、ふふ、少し好感が湧いたかもしれん グレゴル:うむむ、子供のためだ、仕方ないか 0:遠ざかる騎士二人 晴翔:行っちゃった ユンクス:ああ。 さて。*庵《いおり》まではまだ遠い。 裸足で歩くにはちいと険しい道のりじゃ。 どれ。 よいしょ、と。 ふむ、 子供とは案外と軽いものじゃなァ~~~ッ!っとっとっと!(よろける) 晴翔:だっ大丈夫? お姉ちゃん ユンクス:大丈夫、じゃて 晴翔:無理しなくていいよ。 ぼく… ユンクス:むっ、むりなどしておらんぞぉっ … とっ…  晴翔:えっと、魔法とか、ないの? ユンクス:馬鹿を言うな。 魔法とは、人に使うものではないわ 晴翔:そうなんだ。 あれっ、でもさっき、騎士の人に ユンクス:さっきのは、*籠手《こて》にかけたのじゃ。 人にではない 晴翔:ふうん? ぼく、同じじゃないかなって、おもう ユンクス:いいからハルト、しっかりつかまっておれよ? 晴翔:あっ、 うん! (ぎゅっ) 晴翔:ふふっ、お姉ちゃん… あったかくて、やわらかくて… なんだかとってもいいにおいがする… ユンクス:…っ な、… 何を言うのじゃ 晴翔:ん… なんだか… 急に眠くなってきちゃった… ふへ… ユンクス:あ、ちょっとまて。 せめて起きてしっかりつかまっててくれ! っ! ハルト? ハルトぉ~! 0:  晴翔:お父さん、お母さん…  晴翔:優しい魔女のおねえちゃんがぼくを助けてくれた。 知らないところだけど、ぼく、がんばるね! 晴翔:お父さんもお母さんも、天国から見ててよね 0:  0:  0:森番の魔女ユンクスと異界の少年 1 - TO BE CONTINUE -

0:日本。 深夜。 とある住宅 晴翔:(寝息) スゥ… スゥ… うん… メイビア:(侵入者)ウルアアァァア! ユンクス:(母親)キャアアア~~! あっ、あなた! グレゴル:(父親)ぐうっ… だ、誰だ! 晴翔:ん… んん… なんの音… ? ふぅ…(起き出す) メイビア:(侵入者)ゆるさない… 殺す… コロス…! (ドスッ) (ドスッ) グレゴル:(父親)うああああーーッ! ユンクス:(母親)ギャーーーーッ! 晴翔:うぅん… おとうさん… おかぁさん… どうしたのぉ…? グレゴル:(父親)は、晴翔ォ…ッ! メイビア:(侵入者)あぁん…? ガキか… 晴翔:! ユンクス:(母親)アアッ… 子供… 子供だけは… はあ… はあ… メイビア:(侵入者)うるせえよ! とっとと (ドスッ) くだばれェッ! ユンクス:(母親)ギャアアアアーー! 晴翔:お! おかあさ! グレゴル:(父親)逃げろ…ッ はると…! メイビア:(侵入者)早く死ねよオラァ! グレゴル:(父親)ぐわああっ メイビア:(侵入者)グフフフ… あとは… 晴翔:あ… あ… … ああ… メイビア:(侵入者)オラアアアァア! 晴翔:(助けて!… 助けて!… だれか… だれか!) 0: 0:森。小さな魔物相手に騎士二人が戦っている。 通りすがりにそれを見つけたユンクス。 グレゴル:てぇいっ! グレゴル:おいっ、そっちだ! メイビア:任せろ!(走って回り込む) メイビア:ハッ! ユンクス:魔物か メイビア:クソッ、外した グレゴル:ちいっ! メイビア:グレゴル、そっちに回れっ! 晴翔:(小さな魔物の泣き声)キュッキュッ ユンクス:ミニマムリザード、一匹 グレゴル:くそっ、ちょこまかと! メイビア:ハアッ! グレゴル:でやあっ! メイビア:茂みに逃がすな …っあ! グレゴル:そいやッ! 晴翔:(小さな魔物の泣き声)キキーーーッ シャアアア… メイビア:よしっ、よく止めたグレゴル! グレゴル:ふー、ふー、後は首を落とせば…ッ! 晴翔:(小さな魔物の泣き声)キューッ! キャッ! グレゴル:うあ! メイビア:バカ! 何やってる! …っくそ ユンクス:ル・コルビス! 捕らえよ 晴翔:(小さな魔物の泣き声)キッ … シャアアア… シャァァ… グレゴル:あ! ユンクス:こんな小さきものに二人がかりか? 我らが王を討ち滅ぼした帝国騎士殿が聞いて呆れるな メイビア:チッ、魔女 グレゴル:フン、邪教の国ガルデイラは今やわれらが帝国領。 この森の魔物討伐は我らが役目と相成った。邪魔立てはせんで貰おう ユンクス:邪教の国ガルデイラ? そんな国は元々存在しない。 この地は「ハルプシャン・ドゥーバ」。 賢者王リドニス様が治むる聖なる土地。 他国に勝手な名をつけるな メイビア:その賢者王とやらは、我ら帝国軍が刈り取った薄汚いじじいの首のことか? ハッ! 何が聖なる土地だ。 大地から魔物が湧き上がる忌み地よ ユンクス:フッ、ここは魔力に溢れる聖地、なかでも首都を取り巻くこの森一帯はその力の最も強い場所。 ユンクス:ゆえにこうして異界からの迷(まよ)い子が多く紛れ込んでくる。 … さあ、 元の地にお帰り、ちいさきものよ -『アイオス・リグルス』 晴翔:(ミニマムリザードの鳴き声) キュキュー…ゥ… グレゴル:あああーーッ メイビア:魔物はすべからく殺せとの通達だ! ユンクス:ぬしらの崇拝しておる皇帝陛下殿からのか? は、愚かじゃのう。 いや、世の理を知らぬとあれば詮無きか。 ユンクス:此度の侵攻も我らの持つ魔法力を得たいが為と見ているが。 よもやこのように魔のモノが次から次へと流れ着く土地だったとは、大きな誤算であったろうの グレゴル:誤算などではないわ! 魔物はこの世界から排除する。 魔の根源たるこの忌み地を粛正すべく我らは! ユンクス:なればそれこそ我らが魔法の民に任せておけば良かったものを ユンクス:魔術を扱う力も技もなく討ち取れるのならとってみよ。 この力はハルプシャン・ドゥーバに生まれし者に与えられた使命。 ユンクス:美しきこの世界に魔物を溢れさせないためのな。 グレゴル:ぐぬっ… ユンクス:おおかた、異界の魔物から力や皮やら、そんなものをかすめ盗るのが真の目算であろうよ メイビア:フン! だとしても我らは猊下の御命に従うのみ。 ここでお前と問答するだけ無駄な時間だ。 行くぞ、グレゴル ユンクス:フン、せいぜい足掻くがいい。 帝国騎士よ。 だが我らが魂は常に賢者王の志と共にあ…  …! んっ、子供の声! グレゴル:ぬ! メイビア:! ユンクス:(走り出す)おい! 何をぼさっとしておる! 早く来いッ! まずは民を護るのがぬしら騎士の本分であろうがアッ  メイビア:言われなくともォッ! 行くぞグレゴル グレゴル:応ッ! 0:魔物から逃げるショタっこ 晴翔:はあ、はあ… っく はあ、 うああああーーーーっ! 0:ユンクス到着、メイビア、グレゴル、息を切らして駆けつける グレゴル:! ギガングリズル、だと! メイビア:うっ…、でかい 晴翔:うああああ! もうだめェーッ! やられちゃうーーーッ!! ユンクス:ル・デウスカヴェア! 囲え! 晴翔:う… あ… あれ? メイビア:光の檻?! ユンクス:もう大丈夫じゃ、怪我はないか 晴翔:おねえ、さん…? グレゴル:っしゃあ! クマ野郎はこっちで片付けるぜ! でぃやあーーーー! (ガキン!)  ぐわァアーーー! メイビア:グレゴル! くっ、こっちの攻撃も檻にはじき返されるのか、クソッ ユンクス:はぁ… この檻が無かったとてお前達のなまくら剣では通らんよ。 -『アイオス・リグルス』 元の世界へと還るがよい。 晴翔:あ… … … クマが … 消えちゃった… グレゴル:チイッ… メイビア:フン。 剣を収めよ、グレゴル。 子供が助かっただけでよしとしよう。 今度ばかりは礼を言う。 魔女ユンクス 晴翔:ま、 じょ… ? ユンクス:礼には及ばぬ。 だが、ありがたく受け取ろう。 ふむ。 さて、 そなたはどこから迷い込んだ?   晴翔:… … っ … わからない… ボク… (目に涙が溢れる) グレゴル:(何か言いかける晴翔に割り込んで)異界人…! 異界人の子供か! メイビア:なんだって?! …っ… 確かに。 このような衣(きぬ)、見たことが無いな。 前言撤回だ。 そいつは斬らせてもらう ユンクス:! グレゴル:ああ。 異界人は人にあらず。 異界から来た魔物のひとつよ ユンクス:ふ、 何を言い出すかと思えば… 晴翔:ま、まもの…? ボク… まものなの? メイビア:さあ、早くそいつを差し出せ。 さもなくば… 晴翔:魔女のおねえちゃん… ユンクス:安心しろ。 そなたに誰も手出しはさせぬ。 今頃はそなたの両親もさぞ心配しておるだろう… さ、元の世界へ… 晴翔:いやだ!! ユンクス:! 晴翔:いやだ… いやだ、いやだよ…  …ボクを戻さないで… お願い ユンクス:うん? こんなに震えて… どうした 晴翔:戻ったら…殺されちゃう… ねてたら…いえに… 知らない人が… お母さんが… おとうさんも…  ぐすっ ユンクス:うっ… グレゴル:ハッ、 どのみち死ぬのか。 ならば丁度良いではないか。 両親の元に送ってやろう ユンクス:き、貴様ら! メイビア:諦めろユンクス。 そいつは魔物だ。 帝国騎士団の名において我らメイビア隊が討つ ユンクス:ギガングリズルに尻込みしていたくせに、相手が子供とみるや随分と威勢がいいな。 ん? 魔物…? なるほど、魔物か 晴翔:まもの…? おねえちゃんまで … や、やだ… こ、ころさ…ないで … ユンクス:ふっ、めそめそするな。 誰にも手出しはさせぬと言ったろう 晴翔:うっ… (涙目) ユンクス:おい、騎士ども メイビア:むっ グレゴル:むっ ユンクス:これは魔物か? グレゴル:そうだ! 異界より来たものはすべからく! ユンクス:(鋭くメイビアを見る) メイビア:わかりきったことを何度も… その通り。 それは人の子にあらず 晴翔:ひっ… ユンクス:あい分かった。 『ファミリス』! 契約の儀ッ! 晴翔:わ! 地面が… なに… グレゴル:魔方陣だと! メイビア:貴様、何をするつもりだ! グレゴル:ぐっ、は、弾かれるッ…! メイビア:うっ… グレゴス、間合いを取れッ 晴翔:あ…  あ… なに… これ ユンクス:大丈夫じゃ。 あの騎士どもはこの陣には近づけん。 …そなた、名は 晴翔:あ… う…  ユンクス:名は! 晴翔:は… はると… ユンクス:ふっ、ハルトか。 良い名じゃ 晴翔:あ… あ… おねえちゃん… こ、ころさ、ないで…  ユンクス:怖れるな。 これはそなたを助ける唯一の法。 晴翔:た、 …たすける? ころさない? ユンクス:ああ。 ハルト。 私がお前を護ってやる。 そのために、私とファミリスの契約をせよ。 そなたがこの世界にとって魔物であるのならば、できるはずじゃ 晴翔:おねえちゃんと… けいやく? そうしたら、 こ、ころさない? ユンクス:契約しても、しなくても、私はお前を害したりはしない。 ただ、契約すればお前をあいつらから護ってやれる。 それだけのこと。 …決めるのはお前じゃ。 ハルト 晴翔:ぼ、ぼくが、 きめる? ユンクス:そうじゃ。 ハルト自身が決めねば、ファミリスは成立しない グレゴル:ま、待て! 魔物と契約?! だと! ユンクス:ああ。 聞け、騎士ども。 幸い私にはまだ使い魔がおらぬ。 言葉もよく理解できるこれならば、良き使い魔になるであろう メイビア:まずいぞグレゴル。 このまま契約されれば手出しができん! グレゴル:し、しかしこれでは近づくことも! メイビア:そんなもの、力ずくだあーッ! グレゴル:メイビア! メイビア:うああーーーーッ! グレゴル:メイビアーーー! ユンクス:フン。 貴様等はそこで大人しく見ておれ。 帝国の犬ども グレゴル:くっ、だんだんヒデえ呼び方だな! メイビア:クソ! ユンクス:いくぞ、ハルト。 もう一度訊く。 この契約、受けてくれるか? 晴翔:う、 うん… 契約、する。 おねえちゃんと… ファミリスに、なる! ユンクス:よし。 よく言った。 では、私と目をしっかりと合わせろ。 そらすなよ 晴翔:うんっ グレゴル:契約とは… 一体何をするつもりだ メイビア:おい、とりあえずこの事態は報告せねばなるまい。 儀式のさまを記録しておけ グレゴル:わかった! 『魔女と魔物の契約』… 『ファミリス』 ユンクス:魔獣ハルト… 我と汝はともに誓う…  … 病めるときも… 健やかなるときも メイビア:・・・・・ グレゴル:病めるときも、すこやかなるときも…  ユンクス:苦しみのときも、悲しみのときも…  グレゴル:苦しみのときも、悲しみのときも メイビア:ん… なんか、この文言…  ユンクス:いかなる時も共に歩み 袂を分かつ事なきことを … 『コンクラクトス』 契約 ユンクス:ハルト 少し我慢しろ … ンッ… 晴翔:あ…! ンッ!(高めのトーンで) メイビア:エーーーーーーッ! グレゴス:エーーーーーーッ! ユンクス: …ン … ふ… 晴翔: ふむー… ン、 んくく…  晴翔:(お姉ちゃんの唇とボクの唇がくっついてる… 晴翔: あ・・・ なんだか… せなかが… ざわざわって… 晴翔: あったかい力が… … はいって… …) ユンクス:ンン…  晴翔:…っ …っ …ぷはっ! ユンクス:ふ…、う… はぁ…、 っ、 晴翔:ふぁ… は… ぅ…  も…、おわ、り? ユンクス:ああ。 もう終わった。 契約は相成った。これで奴らはお前に何もできん。 安心しろ 晴翔:う…ん… ユンクス:聞け、騎士ども。 ハルトはもう私の使い魔となった。 手出しをしようものならば手痛いしっぺ返しを… ん 二人とも、何を呆けておる メイビア:い、、、、 メイビア:いやいやいやいやいや犯罪だろーーッ それはあああッ グレゴス:こっこここここのようないたいけな幼子の唇に! きっ、きっ ききききっすなど! 魔女、おま、 おま!! ユンクス:ほう。 ようやく子供と認めたな。 よしよし。少し見直したぞ。 グレゴル:こっちはかなり見損なったわ! ユンクス:ふん。 ファミリスの儀とはこういうものじゃ メイビア:いや魔物ともすんのかよ! 例えばさっきのギガングリズルだのミニマムリザードともするのかよ! げえええ! メイビア:報告だ! このような大罪野放しにはできん! グレゴル:っ、そうだ。この顛末の続きを書かねば… え、ちょっと待ってくれ。 か、書くのか? これを?! おいこれどう書けって言うんだ? メイビア:いや… こう、 ありのままをだな グレゴル:はーーーー! ありのまま! とは! メイビア:だから、 こう、 魔女と異界人の子供の グレゴル:っ! 俺はエロ作家にはなりたくないからな?! メイビア:エロ作家とは何だ! ただの報告書だ! グレゴル:だからなんで俺が騎士団長殿に三流エロ創作提出しなきゃならないんだよ! このまま書いて誰が信じるんだッ メイビア:しかしだな! グレゴル:アーーーッ! そんなに言うならてめーで書いて出せよ! メイビアァア! 晴翔:お姉ちゃん、この人達、どうしてケンカしてるの? ユンクス:ハルト、あやつらのことは放っておけ 晴翔:ウン、わかった ユンクス:ふふ、良い子じゃ。  … おい、騎士ども! メイビア:! グレゴル:! ユンクス:三流エロ創作とやらを騎士団長殿に提出し、お前達がどんな罪に問われようと、私は知ったことではないがーーー グレゴル:なんだとう! ユンクス:… 『ル・ヴィース』 付与せよ メイビア:! グレゴル:! 何をした! ユンクス:なに。 ぬしらのその*籠手《こて》に魔を断つ力を付与したのよ。 ほんの少しじゃがな。 ユンクス:この地に出るのは異界の魔物だけではない。 ぬしら、妖魔やエヴィル・スピリッツどもにも手を焼いておろう。 これで少しはましに戦えるぞ メイビア:なっ… グレゴル:どういうつもりだ ユンクス:ぬしらはこの森から民を護ってくれるのであろう? グレゴル:それは! もとより! ユンクス:ふふ。 ぬしらがその腕で*剣《つるぎ》をふるい成果を上げれば、我らを邪教と蔑むことがいかに愚かか知るであろう、 メイビア:手を、組もうってのか ユンクス:いいや。 取引、じゃな グレゴル:取引… ユンクス:ま、もう付与してしまったのだから、取引でも何でもないな! まあ、詫びとでも思ってくれればかまわん メイビア:…っ グレゴル:ううむ… ユンクス:ただし、異界の物には効かぬ。 今後も異界より迷い来たものたちは、私がこの手で元の世界へと返していくがな グレゴル:むっ、それでは我々の! メイビア:いいよグレゴル。 はあ、わかった。 妖魔をやれるだけで御の字だ。 ありがたく使わせてもらおう ユンクス:うむ。 頼んだ。 …ではいくぞ、ハルト 晴翔:う、うん… あの、 魔女のおねえちゃん… ユンクス:ユンクスじゃ 晴翔:ユンクスおねえちゃん… ユンクス:うん? 晴翔:あの… くちびる… とってもやわらかくて、 背中がざわざわってなって…なんだか… とっても、きもちよかった… あの… いまのやつ、 もういっかい… してもいい? ユンクス:ん、 うん? もう一回? 晴翔:ちゅうっ、て… ユンクス:ちゅ、 ちゅうっ… て ち、… ちゅう? え?! ちゅう?! うわあ! そ、そういう メイビア:ま、魔女? グレゴル:いきなり照れだしたぞ ユンクス:はわわわ… そういえばそうじゃっ… あああー 幼き子とはいえハルトは… あああー! は、はずかしいっ こんな公衆の面前で男の子とのっ! しょっ、初体験を披露してしまうとはーーー! メイビア:見せつけられたこっちの身にもなれ! 晴翔:? 契約、じゃ、ないの? ユンクス:はっ、そうだハルト! 契約の儀しゃ! 儀式は何度もしてはいけない! こんかぎりじゃっ な! 晴翔:ふぅん…そっかぁ… わかった ユンクス:はああ… 急に暑くなってきたわ… グレゴル:以外とウブいな、魔女 ユンクス:う、うるさい!  晴翔:っ、はっ…くしゅっ! おねえちゃんは暑いかもしれないけど、 ううっ、ぼく 寒い ユンクス:おっと、そうじゃ。 ハルト、随分と薄着じゃな。 よく見れば履き物もなしか。 そなたの国は皆そうなのか? 晴翔:ううん。 これ、パジャマだよ ユンクス:そうか。 寝込みを襲われたような事を言っていたな。 まずはほれ、私の外套でもかぶっておれ 晴翔:わっぷ… あ、 えへ。 あったかい ユンクス:ううむ。 そうだ。 おい、そこの二人。 こいつを頼む メイビア:ん、何だ。 金? ユンクス:その金でハルトの着るものを買ってきてくれ メイビア:ふっ、 ははは。 わかった。 明日、森の入り口に届けよう グレゴル:なっ、なんで俺たちが! メイビア:行こう、グレゴル グレゴル:なああ! ユンクス:普通っぽいので頼むぞ。 なるべく目立たんようなのだ。あと履き物も忘れるでないぞ! メイビア:(片手を挙げて応える)いいじゃないかグレゴル。 あんな耳まで真っ赤にして、ふふ、少し好感が湧いたかもしれん グレゴル:うむむ、子供のためだ、仕方ないか 0:遠ざかる騎士二人 晴翔:行っちゃった ユンクス:ああ。 さて。*庵《いおり》まではまだ遠い。 裸足で歩くにはちいと険しい道のりじゃ。 どれ。 よいしょ、と。 ふむ、 子供とは案外と軽いものじゃなァ~~~ッ!っとっとっと!(よろける) 晴翔:だっ大丈夫? お姉ちゃん ユンクス:大丈夫、じゃて 晴翔:無理しなくていいよ。 ぼく… ユンクス:むっ、むりなどしておらんぞぉっ … とっ…  晴翔:えっと、魔法とか、ないの? ユンクス:馬鹿を言うな。 魔法とは、人に使うものではないわ 晴翔:そうなんだ。 あれっ、でもさっき、騎士の人に ユンクス:さっきのは、*籠手《こて》にかけたのじゃ。 人にではない 晴翔:ふうん? ぼく、同じじゃないかなって、おもう ユンクス:いいからハルト、しっかりつかまっておれよ? 晴翔:あっ、 うん! (ぎゅっ) 晴翔:ふふっ、お姉ちゃん… あったかくて、やわらかくて… なんだかとってもいいにおいがする… ユンクス:…っ な、… 何を言うのじゃ 晴翔:ん… なんだか… 急に眠くなってきちゃった… ふへ… ユンクス:あ、ちょっとまて。 せめて起きてしっかりつかまっててくれ! っ! ハルト? ハルトぉ~! 0:  晴翔:お父さん、お母さん…  晴翔:優しい魔女のおねえちゃんがぼくを助けてくれた。 知らないところだけど、ぼく、がんばるね! 晴翔:お父さんもお母さんも、天国から見ててよね 0:  0:  0:森番の魔女ユンクスと異界の少年 1 - TO BE CONTINUE -