台本概要

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タイトル 歯に沁みる
作者名 cyxalis  (@cyxalis)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 1人用台本(女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 【朗読劇】5分(0:1:0)
女性 :想定20代後半〜30代前半。

彼氏が仕事で出張中の女性。
働き盛りの彼女は、家に帰ってきて何を思うのか。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
女性 1 女性 :想定20代後半〜30代前半。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
女性:ぱこんっ。 女性: 女性:冷え切った室内に、冷凍庫を開く音がひびく。 女性:有難いことに、近所にCostco商品を小売りする無人販売店が出来たお陰で、夕飯の支度が楽になった。 女性: 女性:家に帰ってコートも脱がずに、冷凍食品と作り置きを電子レンジにかける。 女性:それからテレビと暖房を付けて、お湯を2リットル沸かす。 女性: 女性:寒くて静かな家にいると悲しくなる。 女性:だから、見やる事すらないテレビの音に慰められるの。 女性: 女性:沸いたお湯で会社の後輩に貰ったルイボスティーを入れて、机に夕飯を並べる。 女性:立ち上る湯気を見て、ようやっと生きた気持ちがした。 女性: 女性:台所シンクにボウルを置き、手拭てぬぐいと一緒に残りのお湯を注ぎ込む。 女性:火傷しないよう手拭いを菜箸で取って絞り、ストッキングを脱いでサッと手拭いで足を拭いた。 女性:使い終わった手拭いをポーンと洗濯機に投げて、ストッキングは洗剤と一緒に残り湯に浸ける。 女性: 女性:そうして、ふわふわのスリッパを履いて椅子に座る。 女性:でもコートは着たままなの。 女性:ちょっと可笑しいかしら。 女性:でも部屋は寒いし、お腹はペコペコで我慢ならないからこのまま食べてしまうの。 女性: 女性:ガリッと歯に当たる感じがしたと思ったら、冷たさが歯に沁みた。 女性:全部まとめて電子レンジにかけたから、温め切れなかったんだわ。 女性:冷たさに顔を顰めていると無性に淋しくなった。 女性: 女性:ここに彼が居たらーー虫歯じゃないのかーーって揶揄ってくるだろうに。 女性:そうしたら私はこう返すの。ーーあらただの知覚過敏よ、1日で貴方の素敵な彼女を忘れたのーーって。 女性:怒っているフリをして言い返していれば、彼は吹き出して微笑みはじめて、私も1日の疲れを忘れてなんだか笑ってしまうの。 女性: 女性:そう。いくらテレビを付けて音を流しても、1人お風呂に長く入ってリラックスしても、私が求めているものとは何かが違う。 女性: 女性:2人の寝室をサッと手早く掃除する。 女性:冷えやすい足先がさらに冷えている気がして、寝る時用の靴下の上から更に彼の靴下をはいた。 女性: 女性:あら、意外と履けるものだわ。温かいし。 女性:布団に潜り込んで、携帯で明日の仕事を確認してから、彼が出張から帰ってくるまでの日数を数える。 女性:彼が出張から帰ってきたら夕飯に何を作ってあげようか、冷凍食品では駄目だわ。なんだか淋しくなってしまうもの。 女性:やっぱり揚げ物かしら。それともハンバーグ? 女性:肉物を買い込んでおかなくちゃ。 女性: 女性:そんなことを考えながら、私は瞼を閉じた。

女性:ぱこんっ。 女性: 女性:冷え切った室内に、冷凍庫を開く音がひびく。 女性:有難いことに、近所にCostco商品を小売りする無人販売店が出来たお陰で、夕飯の支度が楽になった。 女性: 女性:家に帰ってコートも脱がずに、冷凍食品と作り置きを電子レンジにかける。 女性:それからテレビと暖房を付けて、お湯を2リットル沸かす。 女性: 女性:寒くて静かな家にいると悲しくなる。 女性:だから、見やる事すらないテレビの音に慰められるの。 女性: 女性:沸いたお湯で会社の後輩に貰ったルイボスティーを入れて、机に夕飯を並べる。 女性:立ち上る湯気を見て、ようやっと生きた気持ちがした。 女性: 女性:台所シンクにボウルを置き、手拭てぬぐいと一緒に残りのお湯を注ぎ込む。 女性:火傷しないよう手拭いを菜箸で取って絞り、ストッキングを脱いでサッと手拭いで足を拭いた。 女性:使い終わった手拭いをポーンと洗濯機に投げて、ストッキングは洗剤と一緒に残り湯に浸ける。 女性: 女性:そうして、ふわふわのスリッパを履いて椅子に座る。 女性:でもコートは着たままなの。 女性:ちょっと可笑しいかしら。 女性:でも部屋は寒いし、お腹はペコペコで我慢ならないからこのまま食べてしまうの。 女性: 女性:ガリッと歯に当たる感じがしたと思ったら、冷たさが歯に沁みた。 女性:全部まとめて電子レンジにかけたから、温め切れなかったんだわ。 女性:冷たさに顔を顰めていると無性に淋しくなった。 女性: 女性:ここに彼が居たらーー虫歯じゃないのかーーって揶揄ってくるだろうに。 女性:そうしたら私はこう返すの。ーーあらただの知覚過敏よ、1日で貴方の素敵な彼女を忘れたのーーって。 女性:怒っているフリをして言い返していれば、彼は吹き出して微笑みはじめて、私も1日の疲れを忘れてなんだか笑ってしまうの。 女性: 女性:そう。いくらテレビを付けて音を流しても、1人お風呂に長く入ってリラックスしても、私が求めているものとは何かが違う。 女性: 女性:2人の寝室をサッと手早く掃除する。 女性:冷えやすい足先がさらに冷えている気がして、寝る時用の靴下の上から更に彼の靴下をはいた。 女性: 女性:あら、意外と履けるものだわ。温かいし。 女性:布団に潜り込んで、携帯で明日の仕事を確認してから、彼が出張から帰ってくるまでの日数を数える。 女性:彼が出張から帰ってきたら夕飯に何を作ってあげようか、冷凍食品では駄目だわ。なんだか淋しくなってしまうもの。 女性:やっぱり揚げ物かしら。それともハンバーグ? 女性:肉物を買い込んでおかなくちゃ。 女性: 女性:そんなことを考えながら、私は瞼を閉じた。