台本概要
126 views
タイトル | 歯に沁みる |
---|---|
作者名 | cyxalis (@cyxalis) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 1人用台本(女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
【朗読劇】5分(0:1:0) 女性 :想定20代後半〜30代前半。 彼氏が仕事で出張中の女性。 働き盛りの彼女は、家に帰ってきて何を思うのか。 126 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
女性 | 女 | 1 | 女性 :想定20代後半〜30代前半。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
女性:ぱこんっ。
女性:
女性:冷え切った室内に、冷凍庫を開く音がひびく。
女性:有難いことに、近所にCostco商品を小売りする無人販売店が出来たお陰で、夕飯の支度が楽になった。
女性:
女性:家に帰ってコートも脱がずに、冷凍食品と作り置きを電子レンジにかける。
女性:それからテレビと暖房を付けて、お湯を2リットル沸かす。
女性:
女性:寒くて静かな家にいると悲しくなる。
女性:だから、見やる事すらないテレビの音に慰められるの。
女性:
女性:沸いたお湯で会社の後輩に貰ったルイボスティーを入れて、机に夕飯を並べる。
女性:立ち上る湯気を見て、ようやっと生きた気持ちがした。
女性:
女性:台所シンクにボウルを置き、手拭てぬぐいと一緒に残りのお湯を注ぎ込む。
女性:火傷しないよう手拭いを菜箸で取って絞り、ストッキングを脱いでサッと手拭いで足を拭いた。
女性:使い終わった手拭いをポーンと洗濯機に投げて、ストッキングは洗剤と一緒に残り湯に浸ける。
女性:
女性:そうして、ふわふわのスリッパを履いて椅子に座る。
女性:でもコートは着たままなの。
女性:ちょっと可笑しいかしら。
女性:でも部屋は寒いし、お腹はペコペコで我慢ならないからこのまま食べてしまうの。
女性:
女性:ガリッと歯に当たる感じがしたと思ったら、冷たさが歯に沁みた。
女性:全部まとめて電子レンジにかけたから、温め切れなかったんだわ。
女性:冷たさに顔を顰めていると無性に淋しくなった。
女性:
女性:ここに彼が居たらーー虫歯じゃないのかーーって揶揄ってくるだろうに。
女性:そうしたら私はこう返すの。ーーあらただの知覚過敏よ、1日で貴方の素敵な彼女を忘れたのーーって。
女性:怒っているフリをして言い返していれば、彼は吹き出して微笑みはじめて、私も1日の疲れを忘れてなんだか笑ってしまうの。
女性:
女性:そう。いくらテレビを付けて音を流しても、1人お風呂に長く入ってリラックスしても、私が求めているものとは何かが違う。
女性:
女性:2人の寝室をサッと手早く掃除する。
女性:冷えやすい足先がさらに冷えている気がして、寝る時用の靴下の上から更に彼の靴下をはいた。
女性:
女性:あら、意外と履けるものだわ。温かいし。
女性:布団に潜り込んで、携帯で明日の仕事を確認してから、彼が出張から帰ってくるまでの日数を数える。
女性:彼が出張から帰ってきたら夕飯に何を作ってあげようか、冷凍食品では駄目だわ。なんだか淋しくなってしまうもの。
女性:やっぱり揚げ物かしら。それともハンバーグ?
女性:肉物を買い込んでおかなくちゃ。
女性:
女性:そんなことを考えながら、私は瞼を閉じた。
女性:ぱこんっ。
女性:
女性:冷え切った室内に、冷凍庫を開く音がひびく。
女性:有難いことに、近所にCostco商品を小売りする無人販売店が出来たお陰で、夕飯の支度が楽になった。
女性:
女性:家に帰ってコートも脱がずに、冷凍食品と作り置きを電子レンジにかける。
女性:それからテレビと暖房を付けて、お湯を2リットル沸かす。
女性:
女性:寒くて静かな家にいると悲しくなる。
女性:だから、見やる事すらないテレビの音に慰められるの。
女性:
女性:沸いたお湯で会社の後輩に貰ったルイボスティーを入れて、机に夕飯を並べる。
女性:立ち上る湯気を見て、ようやっと生きた気持ちがした。
女性:
女性:台所シンクにボウルを置き、手拭てぬぐいと一緒に残りのお湯を注ぎ込む。
女性:火傷しないよう手拭いを菜箸で取って絞り、ストッキングを脱いでサッと手拭いで足を拭いた。
女性:使い終わった手拭いをポーンと洗濯機に投げて、ストッキングは洗剤と一緒に残り湯に浸ける。
女性:
女性:そうして、ふわふわのスリッパを履いて椅子に座る。
女性:でもコートは着たままなの。
女性:ちょっと可笑しいかしら。
女性:でも部屋は寒いし、お腹はペコペコで我慢ならないからこのまま食べてしまうの。
女性:
女性:ガリッと歯に当たる感じがしたと思ったら、冷たさが歯に沁みた。
女性:全部まとめて電子レンジにかけたから、温め切れなかったんだわ。
女性:冷たさに顔を顰めていると無性に淋しくなった。
女性:
女性:ここに彼が居たらーー虫歯じゃないのかーーって揶揄ってくるだろうに。
女性:そうしたら私はこう返すの。ーーあらただの知覚過敏よ、1日で貴方の素敵な彼女を忘れたのーーって。
女性:怒っているフリをして言い返していれば、彼は吹き出して微笑みはじめて、私も1日の疲れを忘れてなんだか笑ってしまうの。
女性:
女性:そう。いくらテレビを付けて音を流しても、1人お風呂に長く入ってリラックスしても、私が求めているものとは何かが違う。
女性:
女性:2人の寝室をサッと手早く掃除する。
女性:冷えやすい足先がさらに冷えている気がして、寝る時用の靴下の上から更に彼の靴下をはいた。
女性:
女性:あら、意外と履けるものだわ。温かいし。
女性:布団に潜り込んで、携帯で明日の仕事を確認してから、彼が出張から帰ってくるまでの日数を数える。
女性:彼が出張から帰ってきたら夕飯に何を作ってあげようか、冷凍食品では駄目だわ。なんだか淋しくなってしまうもの。
女性:やっぱり揚げ物かしら。それともハンバーグ?
女性:肉物を買い込んでおかなくちゃ。
女性:
女性:そんなことを考えながら、私は瞼を閉じた。