台本概要

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タイトル Cross Recollection リネアネ
作者名 愁有  (@syu_boikone)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男3、女1) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 Crossシリーズ外伝 リネアネの過去のお話
兼役ありにしていますが 5人でも出来ます。ただセリフバランスがあまり良くないので兼役を入れてやった方がバランスは良いかと思います

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
リネアネ 97 子どもを守るお姉ちゃん的存在。
フォルグ 95 近衛師団団長。強面だが優しい アグレスの師匠
アグレス 38 6歳の少年。そこそこ強い フォルグのことを先生と呼び慕っている
ファルメナス 14 ログルス帝国の帝王。フォルグに助けられた過去を持つ。めっちゃ優しいおじちゃん トウガン兼
トウガン 28 子供を物としか見ないゴミ 東和鳳国の将軍の1人 ファルメナス兼
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
リネアネ:…あんた誰? 0: 0: 0: リネアネ:(M)国の名前なんて忘れた。自分がいつ生まれたのか、どのように生きてきたかも分からない リネアネ:(M)ただあるのは、この子達を守らなくてはいけないと言う信念だけ リネアネ:(M)家もなければ、その日食つなぐ事もままならない リネアネ:(M)法もないこの町では、殺して奪ってが当たり前 リネアネ:(M)昨日隣で笑っていたやつが、道端で無残に転がっている日常 リネアネ:(M)そんな悲惨とも言える毎日でも、あたしは満足していた リネアネ:(M)守るべき可愛い子ども達がいる。それだけで充分 リネアネ:(M)そんな素晴らしい日常を守るために、今日も戦う 0: 0: リネアネ:あーもう!しつっこいいわね!! リネアネ:あんたら豚に子ども達をくれてやるわけないでしょ!! リネアネ:(M)この街に平穏なんてない リネアネ:(M)子どもを狙う豚がいーっぱいいるの リネアネ:(M)気持ち悪いったらありゃしないわ リネアネ:何度来たって同じよ。返り討ちにしてやるんだから! リネアネ:(M)子ども達を狙う汚い豚を本気で殴る リネアネ:(M)いつもならこれで終わる リネアネ:(M)けど、そうならなかった リネアネ:痛ったーーーーーーー!? リネアネ:なんつー硬さしてんのよ!? リネアネ:顔面よ顔面!本気で顔面殴ったのに何でこっちがダメージ食らうのよ!? リネアネ:って何よそれ…結界? リネアネ:それにこれは…違法薬物か リネアネ:そこまでして子ども達が欲しいのね リネアネ:でも、渡さないんだから! リネアネ:(M)状況は三対一と不利 リネアネ:(M)けど負ける訳には行かない リネアネ:はぁああ!! リネアネ:(M)拳が壊れるのなんかお構いなく、殴り続ける リネアネ:(M)そんな時、後ろから叫ぶ声が聞こえた リネアネ:トウカ! リネアネ:(M)どうやらもう一人隠れていたらしい リネアネ:(M)トウカを救うべく方向転換する リネアネ:(M)豚に背を向けたのだ。その大きな隙は見逃される訳もなく、後ろから殴りつけられた リネアネ:っあ… リネアネ:(M)殴られた衝撃で、家を破壊しながら、勢いは止まることなく壁に叩きつけられる リネアネ:がはっ… リネアネ:痛てててて…ミスったー リネアネ:(M)顔を上げると三人の豚 リネアネ:(M)あたしを殺すために追いかけてきたのだろう リネアネ:(M)一人の豚が拳を振り上げる リネアネ:ヤバっ リネアネ:(M)死を覚悟したあたしに、その拳が届くことはなかった フォルグ:ふん! リネアネ:(M)一人の男が上から降ってきたのだ リネアネ:(M)文字通り上から降ってきて、豚をぺちゃんこにする フォルグ:大丈夫か? リネアネ:これが大丈夫に見える? フォルグ:そうだな…直ぐに治療が必要に見える フォルグ:少し待っていろ フォルグ:直ぐに終わらせる リネアネ:(M)本当に直ぐに終わった。 リネアネ:あんた強いわね フォルグ:鍛えているからな リネアネ:ふーん…そんで リネアネ:あんた誰? フォルグ:警戒はやむなしか フォルグ:私はログルス帝国近衛師団団長フォルグ・アル・ネフェリムだ リネアネ:へー、知らないわ フォルグ:そうか、それで? リネアネ:なによ フォルグ:私は名乗った。そちらも名乗るのが筋ではないか? リネアネ:それはそうね リネアネ:あたしは、ナギナ・リネアネ リネアネ:この辺で子ども達を守りながら生活してるわ フォルグ:ここで?この様な治安の悪いところでか? リネアネ:仕方ないでしょ。身寄りが無い子達は生活出来ないんだから フォルグ:成程な リネアネ:そんで、東の大国のお偉い様がなんでこんなとこいんのよ リネアネ:ログルスなんて、しょっちゅう戦争してるとこでしょ?こんなとこに居ていいの? フォルグ:知っているのか リネアネ:こんなとこにいても、情報くらい入ってくるわ リネアネ:今だって戦争の最中でしょ? フォルグ:あんなものは戦争の内にはならない フォルグ:ただの小突きあいだ リネアネ:へぇーそなのね。んで? フォルグ:ここに居る理由だったか。ちょっとした遠征だ リネアネ:遠征?こんなとこに? フォルグ:この国の武術に興味があってな フォルグ:お前も先程、使用していただろう リネアネ:あんなの武術でもなんでもないわよ リネアネ:勝手に身に付いたものだわ フォルグ:そうか。良かったら教えて… アグレス:先生! フォルグ:戻ったかアグレス アグレス:はい。言いつけ通り先程の子どもを保護して来ました フォルグ:そうか。良くやった アグレス:ありがとうございます! リネアネ:…… フォルグ:ん?どうした? アグレス:なんだ女。何か用か? リネアネ:きゃわぁあああああ!!! アグレス:!? リネアネ:なに!?このちんまりした子ども! リネアネ:ね、ねー?触っていい? アグレス:なっ!? フォルグ:いいぞ。私の可愛い弟子だ アグレス:先生!? リネアネ:わーい!やったーー!! リネアネ:うひょー!!何この弾力!モチモチじゃない!かぁわいいーーー! アグレス:つつくな、引っ張るな! リネアネ:えへっえへへへー リネアネ:この生意気加減もかわいいじゃない アグレス:かわいい、かわいい言うな! アグレス:せめて、カッコイイって言え! リネアネ:ね、ネフェリム リネアネ:この子の名前は? アグレス:無視するな! フォルグ:アグレス・ログルス。未来の帝王だ リネアネ:未来の帝王様かー リネアネ:じゃあ、もっとかっこよくならないとね アグレス:うるさい! リネアネ:見たところまだ五つか六つくらいじゃない。そんな年端も行かない子こんなとこ連れてきていいの? フォルグ:この子は捨て子でな。私が極秘に育てている リネアネ:捨て子?帝王の血筋なのに? フォルグ:訳ありだ。この子の為にもあまり聞かないでやってくれ リネアネ:そ、あなたもここの子達と一緒なのね アグレス:…? リネアネ:さてと……助けてくれたこと感謝するわ フォルグ:何処へ行くつもりだ? リネアネ:行き場所なんてないわ リネアネ:でも、あたしにはこの子たちを守る義務があるの リネアネ:子ども達と一緒にいるわ フォルグ:そうか。なら私達も手伝おう リネアネ:要らない。あんた達はやることあって来たんでしょ リネアネ:こんなところで時間潰してる暇無いんじゃない? フォルグ:…それもそうか。すまなかった リネアネ:国に入るならここを真っ直ぐ行くと早いわ。気をつけてね フォルグ:助かる リネアネ:じゃあねー リネアネ:…変な奴 0: 0: 0: リネアネ:(M)不思議な出会いの日の夜 リネアネ:(M)いつも通り子ども達と暖を取っていた リネアネ:寒いわねー。みんなこっちに来なさい リネアネ:お姉ちゃんが温めてあげるから リネアネ:(M)小さな、ほんの小さな幸せを噛み締める リネアネ:(M)周りから見たら幸せではないのかもれしれない。それでも、あたしにとっては幸せな日常 リネアネ:(M)失いたくない、たった一つの幸せ…… リネアネ:(M)そんな事を考えていたらふと、声が耳に入った リネアネ:(M)声の場所を確かめる リネアネ:あれは憲兵……?あたしを探してる? リネアネ:まずい!みんな隠れて!逃げるわよ!! リネアネ:まさか昼の豚共は…… リネアネ:今は逃げることだけ考えなきゃ リネアネ:(M)嫌な予感がする。そうならないよう願い、手早く逃げる 0: 0:リネアネとの出会いから三日後<法我の間> 0: ファルメナス:ふぉっふぉっふぉ ファルメナス:トルネアスよ、善く無事に戻った ファルメナス:して、急ぎの用とはなんぞ? フォルグ:夜分遅くに取り次いで頂き、ありがとうございます ファルメナス:構わぬ。お主には助けられておるからのぉ ファルメナス:存分に願いを言うと善い フォルグ:はっ。もう一週間程休暇を頂けないでしょうか ファルメナス:珍しいのぉ、仕事の鬼と呼ばれるお主が休暇を伸ばしたいとな フォルグ:はい。先日まで行っていた鳳国にて武術を学んで参りました ファルメナス:流石よの。お主の其の向上心、他の者にも見習わせてやりたいわい フォルグ:そこで、面白い者を見たのです ファルメナス:面白い者とな。其れが、休暇を伸ばし、再び鳳国に出向く理由であるか フォルグ:はい。その者は独りよがりで慎ましく、全てを抱え込み、真っ直ぐに進む者でした ファルメナス:ふぉっふぉっふぉっ! ファルメナス:まるで、昔のお主のようだな。トルネアスよ フォルグ:お恥ずかしい限りです ファルメナス:善いではないか。優しいお主のことだ。放っておけぬのだろう? フォルグ:ファルメナス様にはお見通しのようで ファルメナス:よかろう。休暇が伸びるよう近衛師団には伝えておく。心行くまで成したいことを成して来るが善い フォルグ:有り難きお言葉、感謝致します フォルグ:そして、その事に関係して一つ懸念がございます ファルメナス:ほぉう、申してみよ フォルグ:鳳国は昔から戦争の為に子どもを兵として扱うのはご存知でしょうか ファルメナス:知っておる。野蛮で品がなく、伝統を慮り、上は指示を出すだけの腐った国家じゃな ファルメナス:それがお主の件と何か関係があると? フォルグ:はい。その者は「法外」と呼ばれる貧民街で、複数の子どもを一人で守りながら生活しています ファルメナス:成程のぉ。その者、或いは子ども達を他国のお主が守れば、国同士の争いに発展しかねないのぉ フォルグ:申し訳ありません ファルメナス:気にするでない。争えば勝つのは儂らじゃ。気は進まぬが、アグレウスの力の見せしめにもなろうて フォルグ:それは… ファルメナス:お主が丹精込めて育ててくれた子じゃ。気持ちは分かるが今回は目を瞑って欲しいのぉ フォルグ:ファルメナス様のご意向なら仕方ありません ファルメナス:ふぉっふぉっふぉっ ファルメナス:感謝するぞトルネアス ファルメナス:馬の用意はこちらでしておく。やりたいことをやって来なさい フォルグ:はっ! 0: 0: 0: アグレス:先生!準備できています! フォルグ:ありがとう。お前は……… アグレス:僕も行きます! フォルグ:アグレス…今回は本格的な戦闘になる フォルグ:危険だぞ? アグレス:構いません! アグレス:あの女言ってました!僕と同じだって アグレス:そんな状況を見過ごしてしまったら、立派な王にはなれません フォルグ:アグレス……分かった。だが今回はサポートだ、無理はするなよ アグレス:はい! 0: 0:フォルグ達と別れてから1週間後<法外> 0: リネアネ:はぁはぁ…… リネアネ:ほんっとにしつこいわねー! リネアネ:なんでこんなに探し回ってる訳? リネアネ:(M)あたしはこの1週間ずっと逃げ回っていた リネアネ:(M)悪態をつきながらも、憲兵が必死こいて探している理由は何となく察しがついている リネアネ:(M)どこの国とするのかは知らないがきっと戦争が始まるのだ リネアネ:(M)この国は、女子供でも容赦なく戦地に出す腐った国 リネアネ:(M)あたしの子たちも何人か捕まり、帰ってこなかったこともある リネアネ:(M)二度とそんな事は起こさせない リネアネ:大丈夫…お姉ちゃんが絶対みんなを守るからね リネアネ:(M)子ども達を安心させるために言葉を吐いた瞬間に、急な寒気が襲う リネアネ:嘘っ!?あれは将軍?? リネアネ:(M)将軍。王に仕える七人の内の一人がそこに居た リネアネ:(あんなのに見つかったら逃げきれない) リネアネ:(早く逃げなきゃ) リネアネ:っ!? トウガン:お前か。子供を不法に匿い、我が国の戦力を奪い続けていると言う女は リネアネ:(M)目の前に居たはずの将軍がいつの間にか後ろに居た リネアネ:何か…用? トウガン:戦力の補充のついでに、国に仇なすゴミを掃除しに来た リネアネ:へぇー。そのゴミとは誰のことかしら トウガン:お前以外に誰が居る? リネアネ:(M)冷や汗が止まらない。本能で分かる。この男には絶対に勝てないと リネアネ:(M)それでも引く訳にはいかない リネアネ:そんな事させると思う? トウガン:ほぉ、強情な女だ。気に入った トウガン:生きていたら、愛玩として使ってやろう リネアネ:誰が、っ……!? リネアネ:(M)振り返った瞬間、頬に強烈な衝撃が走る リネアネ:(M)どうやら殴られたみたいだ リネアネ:(M)頭から血が吹き出し、視界がボヤける トウガン:こんなものか女? リネアネ:(こいつ、あたしで遊んでる……) トウガン:頑張れよ。でなければ直ぐに死んでしまうぞ? リネアネ:こんのー! トウガン:お前ら、さっさとガキを連れていけ リネアネ:んなっ リネアネ:(M)目の前で子ども達が連れて行かれるのが見えた リネアネ:トウカ、サクラ、ショウ!! トウガン:まだそんな余裕があるのか トウガン:遊び甲斐がありそうだ リネアネ:(M)男の下卑た声が聞こえる リネアネ:(また、奪われるの?) リネアネ:(また……守れないの?) リネアネ:そんなの許せない! トウガン:ん?なんだその力は…… リネアネ:纏界血瞬 リネアネ:あたしのオリジナルよ トウガン:ほう。どう変わったか見てやろう。来い リネアネ:(ホントは使いたくないけど、やるしかないわね) リネアネ:皇国流柔術参番・波紋!! トウガン:っ!? リネアネ:(少しくらい効いてくれると助かるんだけどな) トウガン:……なんだ、期待外れだな。何も変わっとらん リネアネ:……嘘でしょ リネアネ:(M)あたしの打撃は、片手で軽々しく止められていた トウガン:しかも、我が国の伝統ある武術を、こんなドブネズミが使うとはな……万死に値する リネアネ:!?いっだぁああ!!! トウガン:騒ぐな。腕を折られたくらいで リネアネ:(やばいやばいやばい。纏界も打撃も効かない。腕もやられた) リネアネ:(これじゃあもう……) トウガン:なんだ?もう諦めたのか トウガン:つまらんな。これでは愛玩にもならん トウガン:もう逝ね リネアネ:(M)命を終わらせるには充分な拳が、眼前に迫る リネアネ:みんな……ごめんね リネアネ:(M)全てを諦めかけた瞬間、見覚えのある男がまた、上から降ってきた フォルグ:ふん! トウガン:なに!? フォルグ:待たせたな、リネアネ リネアネ:なんであんたが…… フォルグ:その説明は後だ フォルグ:子ども達はどうした? リネアネ:それが……連れていかれちゃった フォルグ:方角は? リネアネ:あっち フォルグ:了解した。アグレス!連れ去られた子ども達を救ってこい アグレス:はい!分かりました! リネアネ:ちょっと!一人じゃ危ないわよ! フォルグ:大丈夫だ。あの子は強い トウガン:ふん!! フォルグ:……不意打ちとは、将軍の名が泣くのではないか? トウガン:貴様、この国の者ではないな? フォルグ:如何にも。私はログルス帝国近衛師団団長、フォルグ・アル・ネフェリムだ フォルグ:そう言うお前は、鳳国七翼将が一人、霹靂のトウガンだな? トウガン:そうだ。まさか、次の戦争相手に名を知られているとはな フォルグ:民を守る立場にある人間が、他国の戦力を調べないとは、勉強不足も甚だしいな トウガン:構わん。今この場で戦争相手の主力を一人潰せれば、なんの問題もない フォルグ:なるほど…女性を痛めつけて弄び、子ども達も人として見ぬその狂人ぶり フォルグ:どうやら、知能を神話時代にでも置いてきたらしい トウガン:ぬかせ!ノコノコと他国にまで来て、戦闘でもしてみろ。それこそ貴様のせいで戦争が始まるぞ フォルグ:もう、王から許可が降りてるもんでな フォルグ:自由にやらせてもらう トウガン:なに…? フォルグ:練気解放<九玄・阿修羅ノ僧> トウガン:んなっ!?まさかそれは…… フォルグ:流石に知っているか トウガン:二年前ログルスにて起きたフロンテとの戦争を一人で収めたと言う、伝説の…… フォルグ:では、次の戦争相手の主力を、ここで絶っておこう トウガン:ぐっ……舐めるなぁ!! トウガン:皇国流柔術奥義・津波!!! トウガン:しねぇええ!!!! フォルグ:…… トウガン:な、なに!? フォルグ:この技は繰り返し殴る度、威力が増す技だったな フォルグ:ならば対処は簡単だ。初手で潰してしまえばいい トウガン:ふざけ…… フォルグ:阿修羅二面・一理二 トウガン:ぼガァ… フォルグ:弱いな。この程度で将軍とは、帝国の相手になるまい リネアネ:強すぎでしょ…… フォルグ:鍛えているからな リネアネ:あっそ……助かったわ フォルグ:また無茶をしたみたいだな リネアネ:うっさいわね、仕方ないじゃない フォルグ:遅くなってすまなかった リネアネ:なんであんたが謝るのよ。意味わかんない フォルグ:それはすまない アグレス:先生戻りました! フォルグ:アグレス、子ども達は? アグレス:全員無事保護しました! フォルグ:そうか、良くやった リネアネ:みんな! リネアネ:(M)連れていかれた子ども達が全員そこに居た リネアネ:……あなたも強いのね、アグレス アグレス:鍛えているからな! リネアネ:ふふっ、似た者親子ね リネアネ:みんなを助けてくれてありがとうね アグレス:カッコイイだろー! リネアネ:そうね、とてもカッコイイわ アグレス:ふふん! リネアネ:それで?なんでここにいんの? リネアネ:将軍殺してるしヤバいんじゃない? フォルグ:問題ない。この程度の国なら私一人で落とせる リネアネ:ふーん フォルグ:ここに戻ってきた理由は フォルグ:リネアネ、お前に頼みがあるからだ リネアネ:頼み? フォルグ:私の夢の手伝いをして欲しい リネアネ:あんたの夢? フォルグ:あぁ。何らかの理由で親が亡くなって一人になった子や、飢餓に苦しむ子ども達を助けるための孤児院を開く フォルグ:そこに来て欲しい リネアネ:無理よ……あたしにはここにいる子達を守る義務がある。そっちの国には行けないわ フォルグ:ここに居る子ども達も保護しよう リネアネ:子ども達に大陸を歩く体力があると思う? フォルグ:乗せられるだけの馬は用意した。問題は無い リネアネ:でも… フォルグ:それにだ、お前は私と共犯だ リネアネ:……へ? フォルグ:当たり前だ。この国の将軍を殺めた者と一緒にいるんだ。また追われる立場になるぞ リネアネ:嵌めたわね、ネフェリム フォルグ:嵌めた覚えはないが、好都合なのは変わりないな リネアネ:馬鹿正直者め! フォルグ:すまない アグレス:いいから来い! アグレス:みんな僕が守ってあげる! リネアネ:あらあら、誰があんたみたいなやわやわなお子ちゃまに守られるって? アグレス:お前も一緒に僕が守ってやる! リネアネ:……ホントかっこいいじゃない アグレス? リネアネ:分かったわ。乗ってあげる フォルグ:助かる リネアネ:でも約束してちょうだい リネアネ:子ども達わ危険な身に合わせないと リネアネ:この子達みたいな境遇の子を、絶対見捨てないって フォルグ:あぁ、約束しよう リネアネ:決まりね リネアネ:そんじゃ、これからよろしくね リネアネ:ネフェリム、アグレス! 0: 0: 0:現代 0: 0: リネアネ:ふぁーあ…… リネアネ:痛っててててー アグレス:はぁあ! フォルグ:踏み込みが甘い。そんなのではバラクにも勝てないぞ アグレス:はい! リネアネ:…あんな戦いが終わったってのに元気ね リネアネ:おはよ、二人とも フォルグ:おはよう、珍しく遅いではないか リネアネ:あんたらが早すぎるだけよ フォルグ:そうか アグレス:はぁはぁ…… アグレス:おはようリネアネ リネアネ:あんたは相変わらずボコボコにされてるわね アグレス:うるさい… フォルグ:アグレス、休憩にしよう フォルグ:すまないが飲み物を取ってきてくれ アグレス:はい、分かりました リネアネ:帝王様に飲み物出させるなんて、こんなの見られたら何言われるか分からないわよ? フォルグ:私もしたくはないがな。アグレスが望んでいる事だ。仕方ないだろう リネアネ:そっ。それなら仕方ないわね フォルグ:傷はもう大丈夫なのか? リネアネ:おかげさまでね フォルグ:無茶をするのは昔と変わらないな リネアネ:あんたがそれ言うの? リネアネ:聞いたわよ?アグレスとの約束破ろうとしたみたいじゃない フォルグ:むっ、それはだな… リネアネ:アグレスとファルガが超怒ってたんだから フォルグ:それはすまなかった アグレス:リネアネも言えないだろう リネアネ:へっ? アグレス:先生お茶です。リネアネはヨーグルト フォルグ:ありがとう リネアネ:ありがとう…… アグレス:リネアネ、お前も命を懸けようとしたみたいだな リネアネ:ぎくぅ!そ、それは…… リネアネ:誰から聞いたの? アグレス:神が言っていた リネアネ:あんのオカッパがー! アグレス:孤児院の親が、二人して死のうとしてどうする フォルグ:すまなかった リネアネ:ごめんなさい アグレス:分かってないようだから今一度言うぞ アグレス:俺には二人が必要だ アグレス:戦力としてじゃない。俺の心の支えとして、居てくれなくては困る アグレス:ここの子達への面目も、王としての顔も立たない アグレス:俺はまだ未熟だ。これからも支えてくれ フォルグ:分かった リネアネ:うん、分かったわ アグレス:恥ずかしいから二度と言わせるなよ リネアネ:そうね……あんたにはまだお姉ちゃんの支えが必要よね! アグレス:調子に乗るなバカ リネアネ:むっきぃ!!!あたしバカじゃないんだけど!? アグレス:うるさい。今は体を休めろバカ リネアネ:また言った?聞いたネフェリム!? リネアネ:アグレスが二回もバカって言ったんだけどー!? フォルグ:聞いていた。アグレスの言う通りだ フォルグ:今は休め リネアネ:バカを否定くらいしてくれないかなー? フォルグ:リネアネ リネアネ:な、何よ フォルグ:これからもよろしく頼む リネアネ:ば、バッカじゃないの!? リネアネ:…そんなの当たり前じゃない フォルグ:そうか リネアネ:そうよ。絶対に離れてあげないんだから リネアネ:アグレスを一緒に支えるわよ フォルグ:あぁ リネアネ:(M)こんな他愛もない会話がとても心地よい。ずっと続くことを願ってる リネアネ:これからもずーーーーーとっ!よろしくね

リネアネ:…あんた誰? 0: 0: 0: リネアネ:(M)国の名前なんて忘れた。自分がいつ生まれたのか、どのように生きてきたかも分からない リネアネ:(M)ただあるのは、この子達を守らなくてはいけないと言う信念だけ リネアネ:(M)家もなければ、その日食つなぐ事もままならない リネアネ:(M)法もないこの町では、殺して奪ってが当たり前 リネアネ:(M)昨日隣で笑っていたやつが、道端で無残に転がっている日常 リネアネ:(M)そんな悲惨とも言える毎日でも、あたしは満足していた リネアネ:(M)守るべき可愛い子ども達がいる。それだけで充分 リネアネ:(M)そんな素晴らしい日常を守るために、今日も戦う 0: 0: リネアネ:あーもう!しつっこいいわね!! リネアネ:あんたら豚に子ども達をくれてやるわけないでしょ!! リネアネ:(M)この街に平穏なんてない リネアネ:(M)子どもを狙う豚がいーっぱいいるの リネアネ:(M)気持ち悪いったらありゃしないわ リネアネ:何度来たって同じよ。返り討ちにしてやるんだから! リネアネ:(M)子ども達を狙う汚い豚を本気で殴る リネアネ:(M)いつもならこれで終わる リネアネ:(M)けど、そうならなかった リネアネ:痛ったーーーーーーー!? リネアネ:なんつー硬さしてんのよ!? リネアネ:顔面よ顔面!本気で顔面殴ったのに何でこっちがダメージ食らうのよ!? リネアネ:って何よそれ…結界? リネアネ:それにこれは…違法薬物か リネアネ:そこまでして子ども達が欲しいのね リネアネ:でも、渡さないんだから! リネアネ:(M)状況は三対一と不利 リネアネ:(M)けど負ける訳には行かない リネアネ:はぁああ!! リネアネ:(M)拳が壊れるのなんかお構いなく、殴り続ける リネアネ:(M)そんな時、後ろから叫ぶ声が聞こえた リネアネ:トウカ! リネアネ:(M)どうやらもう一人隠れていたらしい リネアネ:(M)トウカを救うべく方向転換する リネアネ:(M)豚に背を向けたのだ。その大きな隙は見逃される訳もなく、後ろから殴りつけられた リネアネ:っあ… リネアネ:(M)殴られた衝撃で、家を破壊しながら、勢いは止まることなく壁に叩きつけられる リネアネ:がはっ… リネアネ:痛てててて…ミスったー リネアネ:(M)顔を上げると三人の豚 リネアネ:(M)あたしを殺すために追いかけてきたのだろう リネアネ:(M)一人の豚が拳を振り上げる リネアネ:ヤバっ リネアネ:(M)死を覚悟したあたしに、その拳が届くことはなかった フォルグ:ふん! リネアネ:(M)一人の男が上から降ってきたのだ リネアネ:(M)文字通り上から降ってきて、豚をぺちゃんこにする フォルグ:大丈夫か? リネアネ:これが大丈夫に見える? フォルグ:そうだな…直ぐに治療が必要に見える フォルグ:少し待っていろ フォルグ:直ぐに終わらせる リネアネ:(M)本当に直ぐに終わった。 リネアネ:あんた強いわね フォルグ:鍛えているからな リネアネ:ふーん…そんで リネアネ:あんた誰? フォルグ:警戒はやむなしか フォルグ:私はログルス帝国近衛師団団長フォルグ・アル・ネフェリムだ リネアネ:へー、知らないわ フォルグ:そうか、それで? リネアネ:なによ フォルグ:私は名乗った。そちらも名乗るのが筋ではないか? リネアネ:それはそうね リネアネ:あたしは、ナギナ・リネアネ リネアネ:この辺で子ども達を守りながら生活してるわ フォルグ:ここで?この様な治安の悪いところでか? リネアネ:仕方ないでしょ。身寄りが無い子達は生活出来ないんだから フォルグ:成程な リネアネ:そんで、東の大国のお偉い様がなんでこんなとこいんのよ リネアネ:ログルスなんて、しょっちゅう戦争してるとこでしょ?こんなとこに居ていいの? フォルグ:知っているのか リネアネ:こんなとこにいても、情報くらい入ってくるわ リネアネ:今だって戦争の最中でしょ? フォルグ:あんなものは戦争の内にはならない フォルグ:ただの小突きあいだ リネアネ:へぇーそなのね。んで? フォルグ:ここに居る理由だったか。ちょっとした遠征だ リネアネ:遠征?こんなとこに? フォルグ:この国の武術に興味があってな フォルグ:お前も先程、使用していただろう リネアネ:あんなの武術でもなんでもないわよ リネアネ:勝手に身に付いたものだわ フォルグ:そうか。良かったら教えて… アグレス:先生! フォルグ:戻ったかアグレス アグレス:はい。言いつけ通り先程の子どもを保護して来ました フォルグ:そうか。良くやった アグレス:ありがとうございます! リネアネ:…… フォルグ:ん?どうした? アグレス:なんだ女。何か用か? リネアネ:きゃわぁあああああ!!! アグレス:!? リネアネ:なに!?このちんまりした子ども! リネアネ:ね、ねー?触っていい? アグレス:なっ!? フォルグ:いいぞ。私の可愛い弟子だ アグレス:先生!? リネアネ:わーい!やったーー!! リネアネ:うひょー!!何この弾力!モチモチじゃない!かぁわいいーーー! アグレス:つつくな、引っ張るな! リネアネ:えへっえへへへー リネアネ:この生意気加減もかわいいじゃない アグレス:かわいい、かわいい言うな! アグレス:せめて、カッコイイって言え! リネアネ:ね、ネフェリム リネアネ:この子の名前は? アグレス:無視するな! フォルグ:アグレス・ログルス。未来の帝王だ リネアネ:未来の帝王様かー リネアネ:じゃあ、もっとかっこよくならないとね アグレス:うるさい! リネアネ:見たところまだ五つか六つくらいじゃない。そんな年端も行かない子こんなとこ連れてきていいの? フォルグ:この子は捨て子でな。私が極秘に育てている リネアネ:捨て子?帝王の血筋なのに? フォルグ:訳ありだ。この子の為にもあまり聞かないでやってくれ リネアネ:そ、あなたもここの子達と一緒なのね アグレス:…? リネアネ:さてと……助けてくれたこと感謝するわ フォルグ:何処へ行くつもりだ? リネアネ:行き場所なんてないわ リネアネ:でも、あたしにはこの子たちを守る義務があるの リネアネ:子ども達と一緒にいるわ フォルグ:そうか。なら私達も手伝おう リネアネ:要らない。あんた達はやることあって来たんでしょ リネアネ:こんなところで時間潰してる暇無いんじゃない? フォルグ:…それもそうか。すまなかった リネアネ:国に入るならここを真っ直ぐ行くと早いわ。気をつけてね フォルグ:助かる リネアネ:じゃあねー リネアネ:…変な奴 0: 0: 0: リネアネ:(M)不思議な出会いの日の夜 リネアネ:(M)いつも通り子ども達と暖を取っていた リネアネ:寒いわねー。みんなこっちに来なさい リネアネ:お姉ちゃんが温めてあげるから リネアネ:(M)小さな、ほんの小さな幸せを噛み締める リネアネ:(M)周りから見たら幸せではないのかもれしれない。それでも、あたしにとっては幸せな日常 リネアネ:(M)失いたくない、たった一つの幸せ…… リネアネ:(M)そんな事を考えていたらふと、声が耳に入った リネアネ:(M)声の場所を確かめる リネアネ:あれは憲兵……?あたしを探してる? リネアネ:まずい!みんな隠れて!逃げるわよ!! リネアネ:まさか昼の豚共は…… リネアネ:今は逃げることだけ考えなきゃ リネアネ:(M)嫌な予感がする。そうならないよう願い、手早く逃げる 0: 0:リネアネとの出会いから三日後<法我の間> 0: ファルメナス:ふぉっふぉっふぉ ファルメナス:トルネアスよ、善く無事に戻った ファルメナス:して、急ぎの用とはなんぞ? フォルグ:夜分遅くに取り次いで頂き、ありがとうございます ファルメナス:構わぬ。お主には助けられておるからのぉ ファルメナス:存分に願いを言うと善い フォルグ:はっ。もう一週間程休暇を頂けないでしょうか ファルメナス:珍しいのぉ、仕事の鬼と呼ばれるお主が休暇を伸ばしたいとな フォルグ:はい。先日まで行っていた鳳国にて武術を学んで参りました ファルメナス:流石よの。お主の其の向上心、他の者にも見習わせてやりたいわい フォルグ:そこで、面白い者を見たのです ファルメナス:面白い者とな。其れが、休暇を伸ばし、再び鳳国に出向く理由であるか フォルグ:はい。その者は独りよがりで慎ましく、全てを抱え込み、真っ直ぐに進む者でした ファルメナス:ふぉっふぉっふぉっ! ファルメナス:まるで、昔のお主のようだな。トルネアスよ フォルグ:お恥ずかしい限りです ファルメナス:善いではないか。優しいお主のことだ。放っておけぬのだろう? フォルグ:ファルメナス様にはお見通しのようで ファルメナス:よかろう。休暇が伸びるよう近衛師団には伝えておく。心行くまで成したいことを成して来るが善い フォルグ:有り難きお言葉、感謝致します フォルグ:そして、その事に関係して一つ懸念がございます ファルメナス:ほぉう、申してみよ フォルグ:鳳国は昔から戦争の為に子どもを兵として扱うのはご存知でしょうか ファルメナス:知っておる。野蛮で品がなく、伝統を慮り、上は指示を出すだけの腐った国家じゃな ファルメナス:それがお主の件と何か関係があると? フォルグ:はい。その者は「法外」と呼ばれる貧民街で、複数の子どもを一人で守りながら生活しています ファルメナス:成程のぉ。その者、或いは子ども達を他国のお主が守れば、国同士の争いに発展しかねないのぉ フォルグ:申し訳ありません ファルメナス:気にするでない。争えば勝つのは儂らじゃ。気は進まぬが、アグレウスの力の見せしめにもなろうて フォルグ:それは… ファルメナス:お主が丹精込めて育ててくれた子じゃ。気持ちは分かるが今回は目を瞑って欲しいのぉ フォルグ:ファルメナス様のご意向なら仕方ありません ファルメナス:ふぉっふぉっふぉっ ファルメナス:感謝するぞトルネアス ファルメナス:馬の用意はこちらでしておく。やりたいことをやって来なさい フォルグ:はっ! 0: 0: 0: アグレス:先生!準備できています! フォルグ:ありがとう。お前は……… アグレス:僕も行きます! フォルグ:アグレス…今回は本格的な戦闘になる フォルグ:危険だぞ? アグレス:構いません! アグレス:あの女言ってました!僕と同じだって アグレス:そんな状況を見過ごしてしまったら、立派な王にはなれません フォルグ:アグレス……分かった。だが今回はサポートだ、無理はするなよ アグレス:はい! 0: 0:フォルグ達と別れてから1週間後<法外> 0: リネアネ:はぁはぁ…… リネアネ:ほんっとにしつこいわねー! リネアネ:なんでこんなに探し回ってる訳? リネアネ:(M)あたしはこの1週間ずっと逃げ回っていた リネアネ:(M)悪態をつきながらも、憲兵が必死こいて探している理由は何となく察しがついている リネアネ:(M)どこの国とするのかは知らないがきっと戦争が始まるのだ リネアネ:(M)この国は、女子供でも容赦なく戦地に出す腐った国 リネアネ:(M)あたしの子たちも何人か捕まり、帰ってこなかったこともある リネアネ:(M)二度とそんな事は起こさせない リネアネ:大丈夫…お姉ちゃんが絶対みんなを守るからね リネアネ:(M)子ども達を安心させるために言葉を吐いた瞬間に、急な寒気が襲う リネアネ:嘘っ!?あれは将軍?? リネアネ:(M)将軍。王に仕える七人の内の一人がそこに居た リネアネ:(あんなのに見つかったら逃げきれない) リネアネ:(早く逃げなきゃ) リネアネ:っ!? トウガン:お前か。子供を不法に匿い、我が国の戦力を奪い続けていると言う女は リネアネ:(M)目の前に居たはずの将軍がいつの間にか後ろに居た リネアネ:何か…用? トウガン:戦力の補充のついでに、国に仇なすゴミを掃除しに来た リネアネ:へぇー。そのゴミとは誰のことかしら トウガン:お前以外に誰が居る? リネアネ:(M)冷や汗が止まらない。本能で分かる。この男には絶対に勝てないと リネアネ:(M)それでも引く訳にはいかない リネアネ:そんな事させると思う? トウガン:ほぉ、強情な女だ。気に入った トウガン:生きていたら、愛玩として使ってやろう リネアネ:誰が、っ……!? リネアネ:(M)振り返った瞬間、頬に強烈な衝撃が走る リネアネ:(M)どうやら殴られたみたいだ リネアネ:(M)頭から血が吹き出し、視界がボヤける トウガン:こんなものか女? リネアネ:(こいつ、あたしで遊んでる……) トウガン:頑張れよ。でなければ直ぐに死んでしまうぞ? リネアネ:こんのー! トウガン:お前ら、さっさとガキを連れていけ リネアネ:んなっ リネアネ:(M)目の前で子ども達が連れて行かれるのが見えた リネアネ:トウカ、サクラ、ショウ!! トウガン:まだそんな余裕があるのか トウガン:遊び甲斐がありそうだ リネアネ:(M)男の下卑た声が聞こえる リネアネ:(また、奪われるの?) リネアネ:(また……守れないの?) リネアネ:そんなの許せない! トウガン:ん?なんだその力は…… リネアネ:纏界血瞬 リネアネ:あたしのオリジナルよ トウガン:ほう。どう変わったか見てやろう。来い リネアネ:(ホントは使いたくないけど、やるしかないわね) リネアネ:皇国流柔術参番・波紋!! トウガン:っ!? リネアネ:(少しくらい効いてくれると助かるんだけどな) トウガン:……なんだ、期待外れだな。何も変わっとらん リネアネ:……嘘でしょ リネアネ:(M)あたしの打撃は、片手で軽々しく止められていた トウガン:しかも、我が国の伝統ある武術を、こんなドブネズミが使うとはな……万死に値する リネアネ:!?いっだぁああ!!! トウガン:騒ぐな。腕を折られたくらいで リネアネ:(やばいやばいやばい。纏界も打撃も効かない。腕もやられた) リネアネ:(これじゃあもう……) トウガン:なんだ?もう諦めたのか トウガン:つまらんな。これでは愛玩にもならん トウガン:もう逝ね リネアネ:(M)命を終わらせるには充分な拳が、眼前に迫る リネアネ:みんな……ごめんね リネアネ:(M)全てを諦めかけた瞬間、見覚えのある男がまた、上から降ってきた フォルグ:ふん! トウガン:なに!? フォルグ:待たせたな、リネアネ リネアネ:なんであんたが…… フォルグ:その説明は後だ フォルグ:子ども達はどうした? リネアネ:それが……連れていかれちゃった フォルグ:方角は? リネアネ:あっち フォルグ:了解した。アグレス!連れ去られた子ども達を救ってこい アグレス:はい!分かりました! リネアネ:ちょっと!一人じゃ危ないわよ! フォルグ:大丈夫だ。あの子は強い トウガン:ふん!! フォルグ:……不意打ちとは、将軍の名が泣くのではないか? トウガン:貴様、この国の者ではないな? フォルグ:如何にも。私はログルス帝国近衛師団団長、フォルグ・アル・ネフェリムだ フォルグ:そう言うお前は、鳳国七翼将が一人、霹靂のトウガンだな? トウガン:そうだ。まさか、次の戦争相手に名を知られているとはな フォルグ:民を守る立場にある人間が、他国の戦力を調べないとは、勉強不足も甚だしいな トウガン:構わん。今この場で戦争相手の主力を一人潰せれば、なんの問題もない フォルグ:なるほど…女性を痛めつけて弄び、子ども達も人として見ぬその狂人ぶり フォルグ:どうやら、知能を神話時代にでも置いてきたらしい トウガン:ぬかせ!ノコノコと他国にまで来て、戦闘でもしてみろ。それこそ貴様のせいで戦争が始まるぞ フォルグ:もう、王から許可が降りてるもんでな フォルグ:自由にやらせてもらう トウガン:なに…? フォルグ:練気解放<九玄・阿修羅ノ僧> トウガン:んなっ!?まさかそれは…… フォルグ:流石に知っているか トウガン:二年前ログルスにて起きたフロンテとの戦争を一人で収めたと言う、伝説の…… フォルグ:では、次の戦争相手の主力を、ここで絶っておこう トウガン:ぐっ……舐めるなぁ!! トウガン:皇国流柔術奥義・津波!!! トウガン:しねぇええ!!!! フォルグ:…… トウガン:な、なに!? フォルグ:この技は繰り返し殴る度、威力が増す技だったな フォルグ:ならば対処は簡単だ。初手で潰してしまえばいい トウガン:ふざけ…… フォルグ:阿修羅二面・一理二 トウガン:ぼガァ… フォルグ:弱いな。この程度で将軍とは、帝国の相手になるまい リネアネ:強すぎでしょ…… フォルグ:鍛えているからな リネアネ:あっそ……助かったわ フォルグ:また無茶をしたみたいだな リネアネ:うっさいわね、仕方ないじゃない フォルグ:遅くなってすまなかった リネアネ:なんであんたが謝るのよ。意味わかんない フォルグ:それはすまない アグレス:先生戻りました! フォルグ:アグレス、子ども達は? アグレス:全員無事保護しました! フォルグ:そうか、良くやった リネアネ:みんな! リネアネ:(M)連れていかれた子ども達が全員そこに居た リネアネ:……あなたも強いのね、アグレス アグレス:鍛えているからな! リネアネ:ふふっ、似た者親子ね リネアネ:みんなを助けてくれてありがとうね アグレス:カッコイイだろー! リネアネ:そうね、とてもカッコイイわ アグレス:ふふん! リネアネ:それで?なんでここにいんの? リネアネ:将軍殺してるしヤバいんじゃない? フォルグ:問題ない。この程度の国なら私一人で落とせる リネアネ:ふーん フォルグ:ここに戻ってきた理由は フォルグ:リネアネ、お前に頼みがあるからだ リネアネ:頼み? フォルグ:私の夢の手伝いをして欲しい リネアネ:あんたの夢? フォルグ:あぁ。何らかの理由で親が亡くなって一人になった子や、飢餓に苦しむ子ども達を助けるための孤児院を開く フォルグ:そこに来て欲しい リネアネ:無理よ……あたしにはここにいる子達を守る義務がある。そっちの国には行けないわ フォルグ:ここに居る子ども達も保護しよう リネアネ:子ども達に大陸を歩く体力があると思う? フォルグ:乗せられるだけの馬は用意した。問題は無い リネアネ:でも… フォルグ:それにだ、お前は私と共犯だ リネアネ:……へ? フォルグ:当たり前だ。この国の将軍を殺めた者と一緒にいるんだ。また追われる立場になるぞ リネアネ:嵌めたわね、ネフェリム フォルグ:嵌めた覚えはないが、好都合なのは変わりないな リネアネ:馬鹿正直者め! フォルグ:すまない アグレス:いいから来い! アグレス:みんな僕が守ってあげる! リネアネ:あらあら、誰があんたみたいなやわやわなお子ちゃまに守られるって? アグレス:お前も一緒に僕が守ってやる! リネアネ:……ホントかっこいいじゃない アグレス? リネアネ:分かったわ。乗ってあげる フォルグ:助かる リネアネ:でも約束してちょうだい リネアネ:子ども達わ危険な身に合わせないと リネアネ:この子達みたいな境遇の子を、絶対見捨てないって フォルグ:あぁ、約束しよう リネアネ:決まりね リネアネ:そんじゃ、これからよろしくね リネアネ:ネフェリム、アグレス! 0: 0: 0:現代 0: 0: リネアネ:ふぁーあ…… リネアネ:痛っててててー アグレス:はぁあ! フォルグ:踏み込みが甘い。そんなのではバラクにも勝てないぞ アグレス:はい! リネアネ:…あんな戦いが終わったってのに元気ね リネアネ:おはよ、二人とも フォルグ:おはよう、珍しく遅いではないか リネアネ:あんたらが早すぎるだけよ フォルグ:そうか アグレス:はぁはぁ…… アグレス:おはようリネアネ リネアネ:あんたは相変わらずボコボコにされてるわね アグレス:うるさい… フォルグ:アグレス、休憩にしよう フォルグ:すまないが飲み物を取ってきてくれ アグレス:はい、分かりました リネアネ:帝王様に飲み物出させるなんて、こんなの見られたら何言われるか分からないわよ? フォルグ:私もしたくはないがな。アグレスが望んでいる事だ。仕方ないだろう リネアネ:そっ。それなら仕方ないわね フォルグ:傷はもう大丈夫なのか? リネアネ:おかげさまでね フォルグ:無茶をするのは昔と変わらないな リネアネ:あんたがそれ言うの? リネアネ:聞いたわよ?アグレスとの約束破ろうとしたみたいじゃない フォルグ:むっ、それはだな… リネアネ:アグレスとファルガが超怒ってたんだから フォルグ:それはすまなかった アグレス:リネアネも言えないだろう リネアネ:へっ? アグレス:先生お茶です。リネアネはヨーグルト フォルグ:ありがとう リネアネ:ありがとう…… アグレス:リネアネ、お前も命を懸けようとしたみたいだな リネアネ:ぎくぅ!そ、それは…… リネアネ:誰から聞いたの? アグレス:神が言っていた リネアネ:あんのオカッパがー! アグレス:孤児院の親が、二人して死のうとしてどうする フォルグ:すまなかった リネアネ:ごめんなさい アグレス:分かってないようだから今一度言うぞ アグレス:俺には二人が必要だ アグレス:戦力としてじゃない。俺の心の支えとして、居てくれなくては困る アグレス:ここの子達への面目も、王としての顔も立たない アグレス:俺はまだ未熟だ。これからも支えてくれ フォルグ:分かった リネアネ:うん、分かったわ アグレス:恥ずかしいから二度と言わせるなよ リネアネ:そうね……あんたにはまだお姉ちゃんの支えが必要よね! アグレス:調子に乗るなバカ リネアネ:むっきぃ!!!あたしバカじゃないんだけど!? アグレス:うるさい。今は体を休めろバカ リネアネ:また言った?聞いたネフェリム!? リネアネ:アグレスが二回もバカって言ったんだけどー!? フォルグ:聞いていた。アグレスの言う通りだ フォルグ:今は休め リネアネ:バカを否定くらいしてくれないかなー? フォルグ:リネアネ リネアネ:な、何よ フォルグ:これからもよろしく頼む リネアネ:ば、バッカじゃないの!? リネアネ:…そんなの当たり前じゃない フォルグ:そうか リネアネ:そうよ。絶対に離れてあげないんだから リネアネ:アグレスを一緒に支えるわよ フォルグ:あぁ リネアネ:(M)こんな他愛もない会話がとても心地よい。ずっと続くことを願ってる リネアネ:これからもずーーーーーとっ!よろしくね