台本概要

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タイトル Bloody Brothers
作者名 美兎  (@45450721Tama)
ジャンル ファンタジー
演者人数 3人用台本(男2、不問1) ※兼役あり
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 「Bloody Sisters」の男性用台本です

今後続編を出す予定の「ブラッディ」シリーズをお楽しみいただく為に編集しました!

基本的な世界観は同じで、双子の殺し屋・シャーン&シャドVSテロリスト・常闇による死闘のお話です!

さらに「Sisters」と違って細かいセリフの違いがあったりするかも?

※Sisters版をそのまま書き換えたものなので、修正ミスがあったら男性口調に変えて演じてください

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
シャーン 78 双子弟。本名はシャーン・ブラディー。豪快な性格だが思い通りにならないと自分でも制御できないくらい暴走する。17歳
シャド 85 双子兄。本名は、シャド・ブラディー。冷静沈着で頭の回転が早い。17歳
常闇 不問 54 正体不明のテロリスト。本来はとても用心深く滅多に姿を現さない。30歳くらい。ナレーションとの兼
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
声劇台本タイトル 「Bloody Brothers」 ※登場人物の名前は本名で表記 ☆シャーン・ブラディー ♂(78) ブラディー家双子の兄弟のうち、弟。名前の由来はシャイン(光)。17歳 ☆シャド・ブラディー ♂ (85) ブラディー家双子の兄弟のうち、兄。名前の由来はシャドウ(影)。17歳 ☆常闇(とこやみ) 不問 (54) ディスタニアを脅かすテロリスト。神出鬼没で正体不明の為誰も彼を捕縛できない。推定年齢30~35歳 ☆ナレーション(常闇役の人が兼任※常闇の所にセリフ数あります) ☆本編☆ ナレーション:(常闇役)ここは闇の国・ディスタニア。人間社会から追放された咎人によって構成されている。治安は深刻レベルで、殺人、強盗、強姦、密売など当たり前に犯罪が起きている ナレーション:(常闇役)そんなディスタニアでは今日も嵐の前の静けさに包まれていた 0:(間) シャーン:「はぁ……、疲れたな…」 シャド:「シャーン、まだ任務は残ってるぞ。寝転がるな」 シャーン:「腹減ったぁ〜だるいめんどくせぇぇぇ!!」 0:ー駄々をこねるシャーンに視線が集まる シャド:「騒ぐな……周りに見られてるぞ…」 シャーン:「だって朝からなんも食ってないんだぜ?」 シャド:「気持ちはわかるけどな……、この任務が終わるまでは何も食えないぞ?」 シャーン:「はぁ??????」 シャド:「わかったならさっさといくぞ……我慢しろ」 0:(間) シャド:(M)僕達は双子の兄弟で殺し屋をやっている。となりのこいつ、シャーンは僕の弟だ シャド:(M)僕達は今、「ある奴」を殺すために任務を遂行している最中だ 。…ターゲットは『常闇』。僕達の組織「赤月」はこいつを殺すことに力を入れている シャド:(M)シャーンと一緒にずっと奴を探しているが全く姿を現さない…。リーダーから聞いた話では、とても用心深く、殺気を消していても殺し屋の存在に気付いてしまうのだそうだ シャーン:「奴はどこにも現れねぇな」 シャド:「ああ。特徴はわかってるけど、慎重に周囲を警戒しながら動いているということだろう」 シャーン:「コソコソ動き回ってて面倒くせぇ…いっそこの街ごと爆破しちまえばいいだろ」 シャド:「…は?そんなことしたら一般人が巻き添えを喰らうだろ。…僕達の目的はあくまでも常闇を殺すことにあるんだぞ。関係のない一般人まで巻き込んだら組織からクビどころでは済まされないぞ?」 シャーン:「冗談だって。はぁ…面倒くせ……」 シャド:「……とにかく、根気強く粘ってみようチャンスは必ず来るはずだ」 シャーン:「そこまで言うんなら目星はついてんだろうなぁ?」 シャド:「この街の怪しいと思うような場所は全て確認したが、奴と思われる姿は見当たらなかったな」 シャーン:「…捜索が得意なお前が見つけられないならお手上げだろこの件」 シャド:「でも確実に奴はこの街にいる。…一般人に扮して必ず僕達の動向を見ているはずだ」 シャーン:「はぁ?何を根拠にこの辺のエリアにいると確信してんだよ」 シャド:「……特にこれといって。こればかりは長年殺し屋をやってきた勘としか言えないかな……」 シャーン:「ふーん。イマイチ納得はできねぇけど……ま、お前が言うならそうなのかもしれねぇな」 0:(間) 0:二人の前を怪しい空気が過(よぎ)る シャド:「…っ!」 シャーン:「…何だよ……いまの…!(冷や汗をかく)」 シャド:「……凍えるような風…。間違いない……!奴はすぐ近くにいる……!」 シャーン:「殺意はなかった……明らかに異質な雰囲気だ!…シャド…あんなのに勝てんのかよ?俺ら……」 シャド:「組織の命令なんだからやるしかないだろ……失敗すれば…僕達の命だって無事で済むかわからないのだから…」 シャーン:「そ、そうだな!なんとしてでもあいつを殺すぞ!」 0:(間) 0:ー『常闇』らしき人物を追いかけて走る二人。…30分近く追いかけて街の外れに着く シャーン:「随分遠くまで…来たが…」 シャド:「……妙だな」 シャーン:「…なにがだ?」 シャド:「確かに僕達は奴の気配を感じた。それを察して…こっちも細心の注意を払いながら追いかけてきたが……」 0:(少しの間。沈黙) シャド:「何故こんなにもあっさりと僕らの追跡を許してくれたのか……」 シャーン:「そんなの俺たちに気付いていないだけじゃねぇの?」 シャド:「なら何故……」 0:(3秒待つ) シャド:「……何故……あいつの気配はここで止まっている?」 0:そのとき 常闇:?『答えは簡単だ。私がお前達を"見ていたから"だ』 シャーン:「……!」 シャド:「…はぁ…、そういうことか」 シャーン:「どういうことだよ?俺達最初からこいつに嵌められてたってことか?」 シャド:「……そうなる」 シャーン:「じゃあ、なんで罠ってわかってて追いかけていったんだよ!」 シャド:「こいつは僕達と正面から戦うつもりでいた…。何を企んでいるのかはわからないけど…ついていけば必ず姿を現すと踏んだ」 0:(間) シャド:「そろそろ出てこい常闇!…決着をつけよう!!」 常闇:『ハッハッハ……、まあそう焦るな。すぐにお前達を地獄に送ってやるから』 シャーン:「……ムカつく野郎だぜ……俺、こいつ嫌いなタイプだわ」 0:ー常闇が暗闇から姿を現す シャド:「……。」 シャーン:「…!」 常闇:「すぐにでも襲いかかって来そうな凄まじい殺気だな。…やはりお前達は、私の力を持ってしても簡単にはいかなそうだ……」 シャド:「世界的にも有名なテロリストであるあんたから、そんな言葉をもらえるなんて光栄だ。……だがあんたのしてることは許されることではないけどな」 常闇:「お前たちがしてることも善ではないだろう。ヒーロー気取りしているが、結局殺し屋は所詮殺し屋だ、違うか?」 シャド:「……僕達が殺しているのは、殺されても仕方がない者達ばかりだ。ヒーローだとは思わないけど……組織が命令を出した以上、あんたを自由の身にしておくことはできないんだ」 常闇:「フン。やってみろ。お前ら二人まとめてここで終わりなのだから…」 シャド:「……(不敵に微笑む)」 0:刹那ーーーシャーンが常闇の死角を突く 常闇:「……!」 0:シャーンは目にも止まらぬ速さで距離をつめて常闇に短刀(たんとう)で斬り掛かる! 0:ガンッ! シャーン:「……あぁ!?」 常闇:「素晴らしいスピードだ。さすがは赤月の殺し屋…なかなか楽しませてくれるな」 0:常闇は恐ろしく速い動作で構えたナイフでシャーンの短刀を受け止める シャーン:(M)どうなってんだ!?殺気も消してた!なのに!なのになんで…! 常闇:「二流ならこの奇襲に反応できなかっただろうが…今お前の目の前にいるのは、幾千万もの死線を乗り越えてきた人間だ。桁が違うぞ?」 シャド:「…はは…噂以上の怪物だよ…あんた…」 0:シャーンは常闇に攻撃を繰り出し続ける シャーン:「ラァ!…オラァァ!!」 常闇:「無駄だ。刃の軌道が簡単に読めてしまう。……先程よりもキレが落ちているぞボウズ!」 0:常闇は右足で軽々とシャーンを蹴り飛ばす シャーン:「……ぐはぁっ!」 0:シャーンは吹き飛んだが、綺麗に地面に着地する 常闇:「…お前だけではまるで話にもならん。…もう一人、そこにいるお前も束になってかかってこい。纏めて殺してやる」 シャド:「……」 常闇:「それとも…お前は非戦闘員か?」 0:(少しの間) シャド:「……あ、あぁ…。…僕は戦えない…」 常闇:「ハハハッ!面白い冗談だな!!」 シャド:「……。(汗をかくシャド)」 常闇:「ブラフは通じないぞ。素人は誤魔化せても私の目は誤魔化せない。……若い割にはかなり力を隠すのが上手いようだが…、私にはお前の本質がよく見える」 シャド:「……ふっ…(焦りを隠しながら)さすがは神出鬼没の常闇だな。僕達が今まで戦ってきた奴らとはまるで次元が違う……正直戦いたくはない……だが!」 0:刹那、シャドは消えていつの間にか常闇の背後に回り込んでいた 常闇:「……!」 0:常闇は間一髪、シャドの短刀の刃を回避する シャド:「…クソッ!やっぱりダメか…!」 常闇:(M)今のは危なかったな…。もう一人の奴もそうだがこいつら……殺気と闘気を隠す技術が異様に高い。……赤月はこんな怪物たちを飼い慣らしていたのか… シャド:(M)僕達の奇襲を二度も回避するなんて……一体、どうすれば勝てる…? 0:(間) シャーン:「うぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!」 0:常闇へ斬り掛かる 常闇:「……ふん」 シャーン:「ヴハッ!」 0:腹に蹴りを入れられるシャーン シャーン:「…ハァ…ハァ……!」 常闇:「さっきから同じパターンだな。どうした?さっきまでのキレは。……そのままでは本当に死ぬぞ?」 0:様子がおかしいシャーン シャーン:「…うるせぇぇぇぇ!黙れぇぇぇぇ!!」 シャーン:「殺す殺す殺す殺す殺す殺す!目障りなんだよてめぇ!!」 シャド:(M)まずい……そろそろシャーンが持たなくなってきた…… シャド:(M)いつもは明るい奴だが、空腹で追い詰められると、僕でも止められないくらいの暴れ馬になってしまう…… シャド:(M)暴れ馬になったこいつは、動きはより素早くなるし、パワーも段違い……ただ、理性が仕事をしなくなるから隙だらけになる……。…当然『常闇』にこの戦術は通用しない シャド:(M)はぁ…、こんなことなら少しだけ食べ物を与えておくんだった…。僕としたことが……失敗だ…… シャーン:「目障りなんだよ!死ねぇぇぇ!常闇ィ!!」 常闇:「……はぁ…。失望した」 0:常闇は涼しい顔をしながらシャーンの攻撃を避ける シャーン:「……死ね!失せろ!!いい加減うぜぇんだよてめぇぇぇ!!」 常闇:(M)さっきよりもパワーとスピードは格段に上がったが…隙だらけすぎる。こんな下らない戦術で…私を殺せると本気で思っているのかこのボウズは…… 常闇:「……実に不愉快だ」 0:今まで一番強烈な打撃をシャーンに食らわせる シャーン:「ぐはっ……!」 常闇:「……この程度か」 シャド:「シャーン!」 常闇:「もはやお前のようなガキに興味は無い。このまま殺してやる」 シャーン:「……かはっ……」 シャド:「シャーン!起きろ!死ぬぞ!」 シャーン:「……うっ…クソッタレが…」 0:常闇はシャーンの髪を引っ張りあげ、首元にナイフの刃を突きつける シャド:「…やめろ!そいつは僕の大事な家族だ!!指一本触れたら許さない!!」 シャーン:「……う…、くっ…シャド…!」 常闇:「兄弟共々…無様だな…」 0:常闇はナイフの刃をシャーンの喉元へほんの少し刃を突き刺す シャーン:「……くっ…そ野郎が……」 シャド:「シャァァァン!!!」 常闇:「死ね…」 0:(間) 0:ー刹那 常闇:「…!」 0:常闇の身体に弾丸が突き刺さる 常闇:「ぐ…あああああああ!!」 シャーン:「……な…、ん……だ…?」 シャド:「はぁ……。間一髪……」 常闇:「……坊主…、貴様……!」 シャーン:「……どういうことだ……シャド……」 シャド:「もしもの時の為にスナイパーを呼んでおいた」 シャーン:「い…、いつの間にそんなこと……」 シャド:「あいつに会った時点で仕込んでおいた。僕達だけで倒せるかはわからなかったからな」 シャーン:「……はは…さすがは兄貴……」 シャド:「…まだ動けるか?」 シャーン:「…正直、結構…体がいてぇ…でも、まだ意外と動けるかもしれねぇ……」 常闇:「……くそっ……油断したな……」 シャーン:「…なんで、銃弾を受けたのにまだ動けんだよこいつ……?」 シャド:「防弾チョッキでも着込んでたんだろ。用心深いあいつの事だから、それも想定済みだけどな」 シャド:「…とにかくこちらの勝率が上げられればそれでいい。…悪く思うな、常闇。僕達はどうしてもあんたを殺さなきゃいけない」 常闇:「なかなかやるな。周囲に伏兵がいるかもしれないとは思ったが……、ククク…、まさかあんな長距離から撃ってくるとは……」 シャド:「やっぱりお前は化け物だな」 シャーン:「被弾してもまだ油断できねぇ……。どうする?シャド」 シャド:「……こいつを殺すには僕達二人で力を合わせるしかない……。『アレ』をやるぞ……」 シャーン:「…は?…『アレ』…!?……オーケー!いっちょぶちかましてやろうぜ!!二人揃えば最強ってことをあいつに見せつけてやるんだ!!」 0:(間) 0:ーシャーンとシャドは絶妙なコンビネーションで常闇へ襲いかかる シャーン:「はぁぁ!!」 シャド:「……ふっ!」 常闇:「……チッ」 0:ーダメージを負いながらも2人の攻撃をしっかり回避する常闇 シャーン:「…まだまだぁ!!」 0:ー短刀による連撃を続けるシャーン 常闇:「……クッ…!」 シャド:「……そこだ!」 0:ーシャドの短刀が常闇の脇腹をかする 常闇:「……クソ…!」 シャーン:「うらぁぁぁ!」 常闇:「調子に乗るなぁぁ!!」 0:ー常闇はシャーンへ反撃する シャーン:「……ぐっ…!」 シャド:「シャーン…!大丈夫か!?」 シャーン:「……平気だ。致命傷は避けた!」 常闇:(M)さっきの弾丸…致命傷は避けたが、スピードの高いこいつらを同時に相手にするのはかなり難儀だな…… 常闇:(M)撤退が最優先……むしろそれしか選択肢がないのは分かっている……。……だが…私はこいつらから逃げられるのか……? シャド:(M)常闇の動きはかなり鈍くなっている…。おそらく、今この状況下で僕達二人を相手にするのは分が悪い。……こいつは何が何でも僕らから逃げたいはずだろう シャド:(M)やるなら今しかない。シャーンと僕にしかできない究極のコンビネーション。…チャンスは一度きり。…タイミングは…、あいつが逃げるために僕達に背を向けた……その一瞬……そこを突く! 0:(間) 0:刃を交え続けるシャーンと常闇 シャーン:「うらぁ!!」 常闇:「ふんっ!!」 シャーン:「くっ…!」 0:常闇はシャーンから距離を取る シャーン「:……!」 常闇:「ようやく冷静になったな。…お前はなかなか戦闘のセンスを秘めている」 シャーン:「当たり前だろ!俺は天才だからな!同じ天才のシャドが居れば、俺達は無敵!!お前だって殺せる!!」 常闇:「…ハハハ!それでいい。私を何が何でも殺そうとする意思……。ここまでの殺意を向けられたのは久しぶりだ!私は逃げも隠れもしない!…最後の力を振り絞って…、全力でかかってこい小僧共!」 常闇:(M)そうだ。逃げる必要など…どこにもない。……『赤月』よ、お前達が私の命を狙うというのならば…受けて立とう!!…私は何度だって抗ってやる!『あいつ(あの子)』を奪った連中へ、復讐するまで、私は死ぬつもりなど毛頭ない!! シャーン:(M)何だよこの静かな殺気は……。……こいつの雰囲気……弱ってるはずなのに…、さっきから冷や汗が止まらねぇ…! 常闇:「さっきから何を企んでいる?」 シャーン:「……は…?何がだ……?(動揺気味に)」 常闇:「とぼけるな。今のお前たちの動きとその位置取りを見れば簡単にわかる。……今、お前達は『チャンス』を待っているんだろう?」 シャーン:「……くっ……!」 シャド:「……」 常闇:「…お前の方、シャドと言ったか?……その秘策はお前が主導で行なわれるもの…。…つまり、核であるお前を潰せばその作戦は無意味になる?違うか?」 シャド:「……さあ、どうかな」 常闇:「白々しい……。さっさとお前達の力を見せてみろ!」 0:刹那ー目にも止まらない速さで常闇の背後へ回り込むシャド 常闇:「……そこか!」 0:常闇はシャドの動きを捉えた…………はずだった シャド:「こっちだ!」 0:シャドが居たのは…常闇のすぐ真上だった 常闇:「チィ!!」 0:激しく舌打ちをしながらも冷静にシャドの追撃を受け止める シャド:「……フッ」 0:不敵に笑うシャド 常闇:「……っ!?」 常闇:(M)まさか……、こいつ……!最初からこれを狙って……! シャーン:「おらぁぁぁぁぁぁ!!」 0:ーシャーンの鋭い斬撃が常闇を切り裂く 常闇:「ぐっ……!ぐわああああああああああ!!」 0:その場に倒れ込む常闇 シャーン:「……ハァ……、ハァ……!やったぜ…シャド……!!」 シャド:「ハァ……、ハァ……!よくやった……!お疲れ……」 シャーン:「……ハァ……、ハァ……早速…、組織に報告、だな……」 シャド:「……あぁ…、そうだ…、肉を食べに行こう…、今日は頑張ったからたらふく食べていいぞ……」 シャーン:「……はは……、そりゃ……最高だな……」 シャーン:「……でも、ちょっと疲れた……!……寝る」 0:シャーンはその場に倒れ込んだ 0:(間) 0:突然、物凄い強風が彼らを襲う シャド:「……!?なんだ……?」 0:空を見上げると、そこにいたのは……、巨大な飛行船だった シャド:「何だ…、一体……!」 0:そのとき、飛行船から、兎のマスクを被った謎の大男や女らしき者達が降りてくる シャド:「……!?」 0:マスクの男たちは常闇を抱えて飛行船に戻ろうとしていた シャド:「おい!待て!!」 0:シャドは既に走り出していた…………が、激しい体力の消耗により、追いつけなかった シャド:「ハァ……!ハァ……!くそ…!待て!!」 0:飛行船は空へと消えていった 0:(間) ナレーション:(常闇役)後日、常闇の死を確認できなかったシャーンとシャドは……組織から解雇処分を言い渡されることとなった ナレーション:(常闇役)本来は、目的が達成できなかった罰として、彼女達を抹消する予定だった赤月であったが、リーダーの説得により、上層部からは『最初からなかった存在』として命だけは奪われず、野に放たれるだけで済んだのだった シャーン:「…まさかあれだけ冷酷な赤月が俺らを処分しないなんて……なにがどうなってんだよ」 シャド:「リーダーが説得してくれた。組織は、彼(彼女)を高く評価している人材だから何とか聞き入れたんだろ……ひとまず安心だな」 シャーン:「へぇ、リーダーが俺らを庇ってくれたのか。……あの人は何で赤月にいるんだってくらい優しい人だよな。………離れ離れになるのは寂しいけど、きっとまた会える…よな」 シャド:「命を助けてくれただけじゃないぞ。何とも有難いことにリーダーは万が一にも僕達の身を案じて、次の仕事の就職先と住居諸々手配してくれた。…僕らは、これからそこで新しい生活をしていくことになる」 シャーン:「新しい就職先まで?…ますますリーダーには頭が上がらねぇな〜。…で?次の仕事ってなんだよ?今度はどこで殺すんだよ?」 シャド:「…ディスタニアから遠く離れた異国の地で 、3年研修を終えた後に保育士をやることになるってさ」 シャーン:「は?……もう1回言ってくれ、ほい?回鍋肉?」 シャド:「だから…保育士」 シャーン:「あぁ!?保育士!?……何がどうなってんだよ!!」 シャド:「リーダーの話によれば...、あの人の古い知人がそこで働いてて、人員不足で働き手が欲しい状態だって言っていた」 シャーン:「だからってなんで保育士!?仕事なんか他にもあるだろ!俺達、今まで汚れ仕事しかしてこなかっただろ!」 シャド:「……どうやら、あの人は僕達に最初から殺し屋をやめて欲しかったみたいだ」 シャーン:「……?…どういうこと……?」 シャド:「リーダーって赤月の人間でないくらいとても優しい人だろ?……前にリーダーと話したときにね、言われたんだ…、『僕(私)』は君達を殺し屋から解放してあげたい』って」 シャーン:「……なんで、リーダーはそんなこと……」 シャド:「僕達を、家族のように考えてくれていたからじゃないか?少なくとも僕はあの人のことを兄(姉)のように思ってる」 シャーン:「んなもん!俺だってそうだ!リーダーは、俺達を弟のようにかわいがってくれた……!…でも、何でそんな急に…離れ離れになるようなことをするんだよ……」 シャド:「多分、リーダーは遅かれ早かれ今回のような状況になることをわかっていた……。僕達が、今回の任務に失敗することが。その機会を利用して、殺し屋を辞めさせる……きっと、それが狙いだったんだよ」 シャーン:「……でも、殺し屋じゃなくなったなら、もう会えなくなるんじゃねぇのか……」 シャド:「いや…それは無いと思う」 シャーン:「え…?」 シャド:「リーダーはまた僕達に会いに来てくれると約束してくれたよ。……あの人は嘘はつかない。必ずまた会える」 シャーン:「……本当に……?……会えるのか……?」 シャド:「しばらくは会えないだろうけど、絶対にまた会える。…その時まで僕達がやることは、リーダーが与えてくれた仕事をこなすことだ。…僕は子供の相手は苦手だけど、リーダーが与えてくれた新しい道だし頑張るよ。この人生を大切に生きる」 シャーン:「シャド……」 シャド:「僕達はこれから……、表の世界で正々堂々と生きられる。……もちろん、不安な事はたくさんあるけど……僕達は与えられた仕事を全うするだけだ。そのスタンスだけは今までと変わらない」 シャーン:「ちっ。わかったよ!…俺も、正直この先は不安だけど生き抜いてやんよ。…お前と一緒ならどこだって行けると思うしな」 シャド:「ああその意気だ。僕達は二人で一つだからな」 0:(間) ナレーション:(常闇役)かくして、二人の少女の話は……幕を閉じたのであった…… 0:(少しの間) ナレーション:(常闇役)しかし、今君達に見せたディスタニアの日常はほんの一部に過ぎない。……またの機会に、異なる視点からディスタニアの風景を見せてやろう ナレーション:(常闇役)ディスタニアの物語は……、これから始まるのだから 0:(間) 0:ーーーその頃 常闇:(M)危なかった。…あそこで救護班が到着しなければ本当に命を落としていた… 常闇:(M)あの二人…、歳の若さの割にはとても厄介だった。…できることならもう戦いたくはない 常闇:(M)クソ、前に奴から受けたダメージの後遺症がなければ満足に動けたのだが…、まあいい 0:(回想) 常闇:『とぼけるな。今のお前たちの動きとその位置取りを見れば簡単にわかる。……今、お前達は『チャンス』を待っているんだろう?』 常闇:(M)危険を肌に感じていた私は、この場面で救助要請を出していたのだった 0:(間) 常闇:(M)あいつ(あの子)を奪った奴らを見つけ出して殺すまで俺(私)は死ねない。……必ず、奴を………殺してやる……!! 0:(3秒くらいの間) シャド:(N)僕達はブラディー家の血を引く者 シャーン:(N)親父とお袋はもうこの世にいねぇけど…… シャド:(N)これからも…何があっても、生き続けるだろう シャーン:(N)…なぜなら俺達は シャド:(N)『Bloody Brothers』だからな…… 0:‐fin‐

声劇台本タイトル 「Bloody Brothers」 ※登場人物の名前は本名で表記 ☆シャーン・ブラディー ♂(78) ブラディー家双子の兄弟のうち、弟。名前の由来はシャイン(光)。17歳 ☆シャド・ブラディー ♂ (85) ブラディー家双子の兄弟のうち、兄。名前の由来はシャドウ(影)。17歳 ☆常闇(とこやみ) 不問 (54) ディスタニアを脅かすテロリスト。神出鬼没で正体不明の為誰も彼を捕縛できない。推定年齢30~35歳 ☆ナレーション(常闇役の人が兼任※常闇の所にセリフ数あります) ☆本編☆ ナレーション:(常闇役)ここは闇の国・ディスタニア。人間社会から追放された咎人によって構成されている。治安は深刻レベルで、殺人、強盗、強姦、密売など当たり前に犯罪が起きている ナレーション:(常闇役)そんなディスタニアでは今日も嵐の前の静けさに包まれていた 0:(間) シャーン:「はぁ……、疲れたな…」 シャド:「シャーン、まだ任務は残ってるぞ。寝転がるな」 シャーン:「腹減ったぁ〜だるいめんどくせぇぇぇ!!」 0:ー駄々をこねるシャーンに視線が集まる シャド:「騒ぐな……周りに見られてるぞ…」 シャーン:「だって朝からなんも食ってないんだぜ?」 シャド:「気持ちはわかるけどな……、この任務が終わるまでは何も食えないぞ?」 シャーン:「はぁ??????」 シャド:「わかったならさっさといくぞ……我慢しろ」 0:(間) シャド:(M)僕達は双子の兄弟で殺し屋をやっている。となりのこいつ、シャーンは僕の弟だ シャド:(M)僕達は今、「ある奴」を殺すために任務を遂行している最中だ 。…ターゲットは『常闇』。僕達の組織「赤月」はこいつを殺すことに力を入れている シャド:(M)シャーンと一緒にずっと奴を探しているが全く姿を現さない…。リーダーから聞いた話では、とても用心深く、殺気を消していても殺し屋の存在に気付いてしまうのだそうだ シャーン:「奴はどこにも現れねぇな」 シャド:「ああ。特徴はわかってるけど、慎重に周囲を警戒しながら動いているということだろう」 シャーン:「コソコソ動き回ってて面倒くせぇ…いっそこの街ごと爆破しちまえばいいだろ」 シャド:「…は?そんなことしたら一般人が巻き添えを喰らうだろ。…僕達の目的はあくまでも常闇を殺すことにあるんだぞ。関係のない一般人まで巻き込んだら組織からクビどころでは済まされないぞ?」 シャーン:「冗談だって。はぁ…面倒くせ……」 シャド:「……とにかく、根気強く粘ってみようチャンスは必ず来るはずだ」 シャーン:「そこまで言うんなら目星はついてんだろうなぁ?」 シャド:「この街の怪しいと思うような場所は全て確認したが、奴と思われる姿は見当たらなかったな」 シャーン:「…捜索が得意なお前が見つけられないならお手上げだろこの件」 シャド:「でも確実に奴はこの街にいる。…一般人に扮して必ず僕達の動向を見ているはずだ」 シャーン:「はぁ?何を根拠にこの辺のエリアにいると確信してんだよ」 シャド:「……特にこれといって。こればかりは長年殺し屋をやってきた勘としか言えないかな……」 シャーン:「ふーん。イマイチ納得はできねぇけど……ま、お前が言うならそうなのかもしれねぇな」 0:(間) 0:二人の前を怪しい空気が過(よぎ)る シャド:「…っ!」 シャーン:「…何だよ……いまの…!(冷や汗をかく)」 シャド:「……凍えるような風…。間違いない……!奴はすぐ近くにいる……!」 シャーン:「殺意はなかった……明らかに異質な雰囲気だ!…シャド…あんなのに勝てんのかよ?俺ら……」 シャド:「組織の命令なんだからやるしかないだろ……失敗すれば…僕達の命だって無事で済むかわからないのだから…」 シャーン:「そ、そうだな!なんとしてでもあいつを殺すぞ!」 0:(間) 0:ー『常闇』らしき人物を追いかけて走る二人。…30分近く追いかけて街の外れに着く シャーン:「随分遠くまで…来たが…」 シャド:「……妙だな」 シャーン:「…なにがだ?」 シャド:「確かに僕達は奴の気配を感じた。それを察して…こっちも細心の注意を払いながら追いかけてきたが……」 0:(少しの間。沈黙) シャド:「何故こんなにもあっさりと僕らの追跡を許してくれたのか……」 シャーン:「そんなの俺たちに気付いていないだけじゃねぇの?」 シャド:「なら何故……」 0:(3秒待つ) シャド:「……何故……あいつの気配はここで止まっている?」 0:そのとき 常闇:?『答えは簡単だ。私がお前達を"見ていたから"だ』 シャーン:「……!」 シャド:「…はぁ…、そういうことか」 シャーン:「どういうことだよ?俺達最初からこいつに嵌められてたってことか?」 シャド:「……そうなる」 シャーン:「じゃあ、なんで罠ってわかってて追いかけていったんだよ!」 シャド:「こいつは僕達と正面から戦うつもりでいた…。何を企んでいるのかはわからないけど…ついていけば必ず姿を現すと踏んだ」 0:(間) シャド:「そろそろ出てこい常闇!…決着をつけよう!!」 常闇:『ハッハッハ……、まあそう焦るな。すぐにお前達を地獄に送ってやるから』 シャーン:「……ムカつく野郎だぜ……俺、こいつ嫌いなタイプだわ」 0:ー常闇が暗闇から姿を現す シャド:「……。」 シャーン:「…!」 常闇:「すぐにでも襲いかかって来そうな凄まじい殺気だな。…やはりお前達は、私の力を持ってしても簡単にはいかなそうだ……」 シャド:「世界的にも有名なテロリストであるあんたから、そんな言葉をもらえるなんて光栄だ。……だがあんたのしてることは許されることではないけどな」 常闇:「お前たちがしてることも善ではないだろう。ヒーロー気取りしているが、結局殺し屋は所詮殺し屋だ、違うか?」 シャド:「……僕達が殺しているのは、殺されても仕方がない者達ばかりだ。ヒーローだとは思わないけど……組織が命令を出した以上、あんたを自由の身にしておくことはできないんだ」 常闇:「フン。やってみろ。お前ら二人まとめてここで終わりなのだから…」 シャド:「……(不敵に微笑む)」 0:刹那ーーーシャーンが常闇の死角を突く 常闇:「……!」 0:シャーンは目にも止まらぬ速さで距離をつめて常闇に短刀(たんとう)で斬り掛かる! 0:ガンッ! シャーン:「……あぁ!?」 常闇:「素晴らしいスピードだ。さすがは赤月の殺し屋…なかなか楽しませてくれるな」 0:常闇は恐ろしく速い動作で構えたナイフでシャーンの短刀を受け止める シャーン:(M)どうなってんだ!?殺気も消してた!なのに!なのになんで…! 常闇:「二流ならこの奇襲に反応できなかっただろうが…今お前の目の前にいるのは、幾千万もの死線を乗り越えてきた人間だ。桁が違うぞ?」 シャド:「…はは…噂以上の怪物だよ…あんた…」 0:シャーンは常闇に攻撃を繰り出し続ける シャーン:「ラァ!…オラァァ!!」 常闇:「無駄だ。刃の軌道が簡単に読めてしまう。……先程よりもキレが落ちているぞボウズ!」 0:常闇は右足で軽々とシャーンを蹴り飛ばす シャーン:「……ぐはぁっ!」 0:シャーンは吹き飛んだが、綺麗に地面に着地する 常闇:「…お前だけではまるで話にもならん。…もう一人、そこにいるお前も束になってかかってこい。纏めて殺してやる」 シャド:「……」 常闇:「それとも…お前は非戦闘員か?」 0:(少しの間) シャド:「……あ、あぁ…。…僕は戦えない…」 常闇:「ハハハッ!面白い冗談だな!!」 シャド:「……。(汗をかくシャド)」 常闇:「ブラフは通じないぞ。素人は誤魔化せても私の目は誤魔化せない。……若い割にはかなり力を隠すのが上手いようだが…、私にはお前の本質がよく見える」 シャド:「……ふっ…(焦りを隠しながら)さすがは神出鬼没の常闇だな。僕達が今まで戦ってきた奴らとはまるで次元が違う……正直戦いたくはない……だが!」 0:刹那、シャドは消えていつの間にか常闇の背後に回り込んでいた 常闇:「……!」 0:常闇は間一髪、シャドの短刀の刃を回避する シャド:「…クソッ!やっぱりダメか…!」 常闇:(M)今のは危なかったな…。もう一人の奴もそうだがこいつら……殺気と闘気を隠す技術が異様に高い。……赤月はこんな怪物たちを飼い慣らしていたのか… シャド:(M)僕達の奇襲を二度も回避するなんて……一体、どうすれば勝てる…? 0:(間) シャーン:「うぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!」 0:常闇へ斬り掛かる 常闇:「……ふん」 シャーン:「ヴハッ!」 0:腹に蹴りを入れられるシャーン シャーン:「…ハァ…ハァ……!」 常闇:「さっきから同じパターンだな。どうした?さっきまでのキレは。……そのままでは本当に死ぬぞ?」 0:様子がおかしいシャーン シャーン:「…うるせぇぇぇぇ!黙れぇぇぇぇ!!」 シャーン:「殺す殺す殺す殺す殺す殺す!目障りなんだよてめぇ!!」 シャド:(M)まずい……そろそろシャーンが持たなくなってきた…… シャド:(M)いつもは明るい奴だが、空腹で追い詰められると、僕でも止められないくらいの暴れ馬になってしまう…… シャド:(M)暴れ馬になったこいつは、動きはより素早くなるし、パワーも段違い……ただ、理性が仕事をしなくなるから隙だらけになる……。…当然『常闇』にこの戦術は通用しない シャド:(M)はぁ…、こんなことなら少しだけ食べ物を与えておくんだった…。僕としたことが……失敗だ…… シャーン:「目障りなんだよ!死ねぇぇぇ!常闇ィ!!」 常闇:「……はぁ…。失望した」 0:常闇は涼しい顔をしながらシャーンの攻撃を避ける シャーン:「……死ね!失せろ!!いい加減うぜぇんだよてめぇぇぇ!!」 常闇:(M)さっきよりもパワーとスピードは格段に上がったが…隙だらけすぎる。こんな下らない戦術で…私を殺せると本気で思っているのかこのボウズは…… 常闇:「……実に不愉快だ」 0:今まで一番強烈な打撃をシャーンに食らわせる シャーン:「ぐはっ……!」 常闇:「……この程度か」 シャド:「シャーン!」 常闇:「もはやお前のようなガキに興味は無い。このまま殺してやる」 シャーン:「……かはっ……」 シャド:「シャーン!起きろ!死ぬぞ!」 シャーン:「……うっ…クソッタレが…」 0:常闇はシャーンの髪を引っ張りあげ、首元にナイフの刃を突きつける シャド:「…やめろ!そいつは僕の大事な家族だ!!指一本触れたら許さない!!」 シャーン:「……う…、くっ…シャド…!」 常闇:「兄弟共々…無様だな…」 0:常闇はナイフの刃をシャーンの喉元へほんの少し刃を突き刺す シャーン:「……くっ…そ野郎が……」 シャド:「シャァァァン!!!」 常闇:「死ね…」 0:(間) 0:ー刹那 常闇:「…!」 0:常闇の身体に弾丸が突き刺さる 常闇:「ぐ…あああああああ!!」 シャーン:「……な…、ん……だ…?」 シャド:「はぁ……。間一髪……」 常闇:「……坊主…、貴様……!」 シャーン:「……どういうことだ……シャド……」 シャド:「もしもの時の為にスナイパーを呼んでおいた」 シャーン:「い…、いつの間にそんなこと……」 シャド:「あいつに会った時点で仕込んでおいた。僕達だけで倒せるかはわからなかったからな」 シャーン:「……はは…さすがは兄貴……」 シャド:「…まだ動けるか?」 シャーン:「…正直、結構…体がいてぇ…でも、まだ意外と動けるかもしれねぇ……」 常闇:「……くそっ……油断したな……」 シャーン:「…なんで、銃弾を受けたのにまだ動けんだよこいつ……?」 シャド:「防弾チョッキでも着込んでたんだろ。用心深いあいつの事だから、それも想定済みだけどな」 シャド:「…とにかくこちらの勝率が上げられればそれでいい。…悪く思うな、常闇。僕達はどうしてもあんたを殺さなきゃいけない」 常闇:「なかなかやるな。周囲に伏兵がいるかもしれないとは思ったが……、ククク…、まさかあんな長距離から撃ってくるとは……」 シャド:「やっぱりお前は化け物だな」 シャーン:「被弾してもまだ油断できねぇ……。どうする?シャド」 シャド:「……こいつを殺すには僕達二人で力を合わせるしかない……。『アレ』をやるぞ……」 シャーン:「…は?…『アレ』…!?……オーケー!いっちょぶちかましてやろうぜ!!二人揃えば最強ってことをあいつに見せつけてやるんだ!!」 0:(間) 0:ーシャーンとシャドは絶妙なコンビネーションで常闇へ襲いかかる シャーン:「はぁぁ!!」 シャド:「……ふっ!」 常闇:「……チッ」 0:ーダメージを負いながらも2人の攻撃をしっかり回避する常闇 シャーン:「…まだまだぁ!!」 0:ー短刀による連撃を続けるシャーン 常闇:「……クッ…!」 シャド:「……そこだ!」 0:ーシャドの短刀が常闇の脇腹をかする 常闇:「……クソ…!」 シャーン:「うらぁぁぁ!」 常闇:「調子に乗るなぁぁ!!」 0:ー常闇はシャーンへ反撃する シャーン:「……ぐっ…!」 シャド:「シャーン…!大丈夫か!?」 シャーン:「……平気だ。致命傷は避けた!」 常闇:(M)さっきの弾丸…致命傷は避けたが、スピードの高いこいつらを同時に相手にするのはかなり難儀だな…… 常闇:(M)撤退が最優先……むしろそれしか選択肢がないのは分かっている……。……だが…私はこいつらから逃げられるのか……? シャド:(M)常闇の動きはかなり鈍くなっている…。おそらく、今この状況下で僕達二人を相手にするのは分が悪い。……こいつは何が何でも僕らから逃げたいはずだろう シャド:(M)やるなら今しかない。シャーンと僕にしかできない究極のコンビネーション。…チャンスは一度きり。…タイミングは…、あいつが逃げるために僕達に背を向けた……その一瞬……そこを突く! 0:(間) 0:刃を交え続けるシャーンと常闇 シャーン:「うらぁ!!」 常闇:「ふんっ!!」 シャーン:「くっ…!」 0:常闇はシャーンから距離を取る シャーン「:……!」 常闇:「ようやく冷静になったな。…お前はなかなか戦闘のセンスを秘めている」 シャーン:「当たり前だろ!俺は天才だからな!同じ天才のシャドが居れば、俺達は無敵!!お前だって殺せる!!」 常闇:「…ハハハ!それでいい。私を何が何でも殺そうとする意思……。ここまでの殺意を向けられたのは久しぶりだ!私は逃げも隠れもしない!…最後の力を振り絞って…、全力でかかってこい小僧共!」 常闇:(M)そうだ。逃げる必要など…どこにもない。……『赤月』よ、お前達が私の命を狙うというのならば…受けて立とう!!…私は何度だって抗ってやる!『あいつ(あの子)』を奪った連中へ、復讐するまで、私は死ぬつもりなど毛頭ない!! シャーン:(M)何だよこの静かな殺気は……。……こいつの雰囲気……弱ってるはずなのに…、さっきから冷や汗が止まらねぇ…! 常闇:「さっきから何を企んでいる?」 シャーン:「……は…?何がだ……?(動揺気味に)」 常闇:「とぼけるな。今のお前たちの動きとその位置取りを見れば簡単にわかる。……今、お前達は『チャンス』を待っているんだろう?」 シャーン:「……くっ……!」 シャド:「……」 常闇:「…お前の方、シャドと言ったか?……その秘策はお前が主導で行なわれるもの…。…つまり、核であるお前を潰せばその作戦は無意味になる?違うか?」 シャド:「……さあ、どうかな」 常闇:「白々しい……。さっさとお前達の力を見せてみろ!」 0:刹那ー目にも止まらない速さで常闇の背後へ回り込むシャド 常闇:「……そこか!」 0:常闇はシャドの動きを捉えた…………はずだった シャド:「こっちだ!」 0:シャドが居たのは…常闇のすぐ真上だった 常闇:「チィ!!」 0:激しく舌打ちをしながらも冷静にシャドの追撃を受け止める シャド:「……フッ」 0:不敵に笑うシャド 常闇:「……っ!?」 常闇:(M)まさか……、こいつ……!最初からこれを狙って……! シャーン:「おらぁぁぁぁぁぁ!!」 0:ーシャーンの鋭い斬撃が常闇を切り裂く 常闇:「ぐっ……!ぐわああああああああああ!!」 0:その場に倒れ込む常闇 シャーン:「……ハァ……、ハァ……!やったぜ…シャド……!!」 シャド:「ハァ……、ハァ……!よくやった……!お疲れ……」 シャーン:「……ハァ……、ハァ……早速…、組織に報告、だな……」 シャド:「……あぁ…、そうだ…、肉を食べに行こう…、今日は頑張ったからたらふく食べていいぞ……」 シャーン:「……はは……、そりゃ……最高だな……」 シャーン:「……でも、ちょっと疲れた……!……寝る」 0:シャーンはその場に倒れ込んだ 0:(間) 0:突然、物凄い強風が彼らを襲う シャド:「……!?なんだ……?」 0:空を見上げると、そこにいたのは……、巨大な飛行船だった シャド:「何だ…、一体……!」 0:そのとき、飛行船から、兎のマスクを被った謎の大男や女らしき者達が降りてくる シャド:「……!?」 0:マスクの男たちは常闇を抱えて飛行船に戻ろうとしていた シャド:「おい!待て!!」 0:シャドは既に走り出していた…………が、激しい体力の消耗により、追いつけなかった シャド:「ハァ……!ハァ……!くそ…!待て!!」 0:飛行船は空へと消えていった 0:(間) ナレーション:(常闇役)後日、常闇の死を確認できなかったシャーンとシャドは……組織から解雇処分を言い渡されることとなった ナレーション:(常闇役)本来は、目的が達成できなかった罰として、彼女達を抹消する予定だった赤月であったが、リーダーの説得により、上層部からは『最初からなかった存在』として命だけは奪われず、野に放たれるだけで済んだのだった シャーン:「…まさかあれだけ冷酷な赤月が俺らを処分しないなんて……なにがどうなってんだよ」 シャド:「リーダーが説得してくれた。組織は、彼(彼女)を高く評価している人材だから何とか聞き入れたんだろ……ひとまず安心だな」 シャーン:「へぇ、リーダーが俺らを庇ってくれたのか。……あの人は何で赤月にいるんだってくらい優しい人だよな。………離れ離れになるのは寂しいけど、きっとまた会える…よな」 シャド:「命を助けてくれただけじゃないぞ。何とも有難いことにリーダーは万が一にも僕達の身を案じて、次の仕事の就職先と住居諸々手配してくれた。…僕らは、これからそこで新しい生活をしていくことになる」 シャーン:「新しい就職先まで?…ますますリーダーには頭が上がらねぇな〜。…で?次の仕事ってなんだよ?今度はどこで殺すんだよ?」 シャド:「…ディスタニアから遠く離れた異国の地で 、3年研修を終えた後に保育士をやることになるってさ」 シャーン:「は?……もう1回言ってくれ、ほい?回鍋肉?」 シャド:「だから…保育士」 シャーン:「あぁ!?保育士!?……何がどうなってんだよ!!」 シャド:「リーダーの話によれば...、あの人の古い知人がそこで働いてて、人員不足で働き手が欲しい状態だって言っていた」 シャーン:「だからってなんで保育士!?仕事なんか他にもあるだろ!俺達、今まで汚れ仕事しかしてこなかっただろ!」 シャド:「……どうやら、あの人は僕達に最初から殺し屋をやめて欲しかったみたいだ」 シャーン:「……?…どういうこと……?」 シャド:「リーダーって赤月の人間でないくらいとても優しい人だろ?……前にリーダーと話したときにね、言われたんだ…、『僕(私)』は君達を殺し屋から解放してあげたい』って」 シャーン:「……なんで、リーダーはそんなこと……」 シャド:「僕達を、家族のように考えてくれていたからじゃないか?少なくとも僕はあの人のことを兄(姉)のように思ってる」 シャーン:「んなもん!俺だってそうだ!リーダーは、俺達を弟のようにかわいがってくれた……!…でも、何でそんな急に…離れ離れになるようなことをするんだよ……」 シャド:「多分、リーダーは遅かれ早かれ今回のような状況になることをわかっていた……。僕達が、今回の任務に失敗することが。その機会を利用して、殺し屋を辞めさせる……きっと、それが狙いだったんだよ」 シャーン:「……でも、殺し屋じゃなくなったなら、もう会えなくなるんじゃねぇのか……」 シャド:「いや…それは無いと思う」 シャーン:「え…?」 シャド:「リーダーはまた僕達に会いに来てくれると約束してくれたよ。……あの人は嘘はつかない。必ずまた会える」 シャーン:「……本当に……?……会えるのか……?」 シャド:「しばらくは会えないだろうけど、絶対にまた会える。…その時まで僕達がやることは、リーダーが与えてくれた仕事をこなすことだ。…僕は子供の相手は苦手だけど、リーダーが与えてくれた新しい道だし頑張るよ。この人生を大切に生きる」 シャーン:「シャド……」 シャド:「僕達はこれから……、表の世界で正々堂々と生きられる。……もちろん、不安な事はたくさんあるけど……僕達は与えられた仕事を全うするだけだ。そのスタンスだけは今までと変わらない」 シャーン:「ちっ。わかったよ!…俺も、正直この先は不安だけど生き抜いてやんよ。…お前と一緒ならどこだって行けると思うしな」 シャド:「ああその意気だ。僕達は二人で一つだからな」 0:(間) ナレーション:(常闇役)かくして、二人の少女の話は……幕を閉じたのであった…… 0:(少しの間) ナレーション:(常闇役)しかし、今君達に見せたディスタニアの日常はほんの一部に過ぎない。……またの機会に、異なる視点からディスタニアの風景を見せてやろう ナレーション:(常闇役)ディスタニアの物語は……、これから始まるのだから 0:(間) 0:ーーーその頃 常闇:(M)危なかった。…あそこで救護班が到着しなければ本当に命を落としていた… 常闇:(M)あの二人…、歳の若さの割にはとても厄介だった。…できることならもう戦いたくはない 常闇:(M)クソ、前に奴から受けたダメージの後遺症がなければ満足に動けたのだが…、まあいい 0:(回想) 常闇:『とぼけるな。今のお前たちの動きとその位置取りを見れば簡単にわかる。……今、お前達は『チャンス』を待っているんだろう?』 常闇:(M)危険を肌に感じていた私は、この場面で救助要請を出していたのだった 0:(間) 常闇:(M)あいつ(あの子)を奪った奴らを見つけ出して殺すまで俺(私)は死ねない。……必ず、奴を………殺してやる……!! 0:(3秒くらいの間) シャド:(N)僕達はブラディー家の血を引く者 シャーン:(N)親父とお袋はもうこの世にいねぇけど…… シャド:(N)これからも…何があっても、生き続けるだろう シャーン:(N)…なぜなら俺達は シャド:(N)『Bloody Brothers』だからな…… 0:‐fin‐