台本概要

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タイトル たくさん食べてね♪
作者名 遠野太陽  (@10nonbsun)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 料理がちょっぴり(?)苦手な彼女と優しい彼氏の甘々ラブストーリー。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
哲生 64 てつお。優しい。愛莉が大好き。
愛莉 63 あいり。天使のように可愛い。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:お試し同棲初日の夜。 哲生:ただいまー。 愛莉:おかえりなさい♪ 哲生:(感動)うおおお。 愛莉:どうしたの? 哲生:愛莉と結婚したらこんな感じなのかぁって思って、ちょっと感動した。 愛莉:なんか照れるね。 哲生:仕事の疲れが吹っ飛ぶよ。 愛莉:えへへ。ねえ、哲生。 哲生:なに? 愛莉:じゃなかった。ねえ、あなた。 哲生:なになに? 愛莉:ごはんにする? ごはんにする? それとも……ごはんにする? 哲生:うん。じゃあごはんにしようかな。 愛莉:お試し同棲の1日目はお料理頑張るねって言ったでしょ。早く食べてほしくて。 哲生:愛莉の手料理、すげぇ楽しみ。 愛莉:哲生は着替えたら、そこで待ってて。 哲生:わかった。 哲生: 0:間 愛莉:はーい。お待たせしました。 哲生:…………なにこれ? 愛莉:「なにこれ」って? 哲生:いやあの……。 愛莉:見ればわかるでしょ。 哲生:わかんない。 愛莉:え、わかんないの? 哲生:うん。 愛莉:そっか、見たことなかったか。 愛莉:哲生の住んでたところじゃ食べられてなかったのかも。 哲生:え、これ、郷土料理とか地元グルメってやつなの? 愛莉:教えてあげるね。これは、クリームシチューっていいます♪ 哲生:クリームシチュー!? 愛莉:そんなに驚かないでよ。 哲生:それならよく知ってるよ。 愛莉:え、知ってたの? 哲生:でもクリームシチューって、紫色してたっけ? 愛莉:あ、それね。 哲生:俺の知ってるクリームシチューと全然違う。 愛莉:そうね。哲生の言いたいことは分かるわ。 愛莉:まさかそこに気がつくとは思わなかった。 哲生:そこが気になって仕方ないんだけど。 愛莉:私のこだわり? みたいな? 哲生:この紫色はわざとなの? 愛莉:聞いてよ。私もね、最初はジャガイモを買おうと思ってたのよ。でもジャガイモの隣にパープルスイートロードって名前のサツマイモが置いてあってね。名前可愛い~と思って、こっちにしちゃった。 愛莉:パープルでスイートでロードだよ。可愛いよねぇ♪ 哲生:(愛莉が)かわいい。 愛莉:ジャガイモもサツマイモも同じ芋だし。それにサツマイモのほうが甘くて美味しいでしょ。 哲生:そう、だね。 愛莉:包丁で切ってみたらビックリ。中まで紫色のサツマイモってあるんだね。 哲生:それでか。確かにビックリ。度肝を抜かれたよ。 哲生:あと、もう一つ気になるのがさ……。 愛莉:え? 哲生:(骨を指差し)それなに? 愛莉:これのことかな? 哲生:そうそれ。 愛莉:これは手羽先の骨だね。この前、居酒屋に行った時に好きって言ってたでしょ。 哲生:うん、言ったね。 愛莉:あなたが喜ぶかな~と思って。 哲生:手羽先は好きだよ。好きなんだけど……。 愛莉:あ、シチューに入ってる手羽先は嫌いだったの? 哲生:シチューに手羽先……。新しい出会いだね。 哲生:もしかしてこれ、調理済みの手羽先? 愛莉:うん。惣菜コーナーに売ってた手羽先の甘辛揚げ。 哲生:それは……ごめん。ナシかなぁ。 愛莉:(悲しい)ええぇぇ。 哲生:あ、いや、アリかナシかで言ったらギリギリのナシ。ギリナシね。アリよりのナシ。 愛莉:えへへ。ごめん。そういうのってあるよね。 愛莉:私もおでんに入ってる大根は好きだけど、沢庵は好きじゃないし。 愛莉:それならそうと先に教えてくれればよかったのに。 哲生:そういう問題じゃないんだけど……。 愛莉:じゃあ、どういう問題なの? 哲生:あ、いや……。 愛莉:教えて。 哲生:も、問題はないかなぁ。あはは。 愛莉:だよね。ちょっと失敗しちゃったのがさ、ニンジンを大きく切りすぎちゃって。柔らかくなるまでコトコト煮込んでたら、サツマイモと手羽先が溶けちゃったのよね。 哲生:ちょっと失敗しちゃったね。 愛莉:紫色のドロドロの中に骨が見え隠れしてて、見た目は魔女のスープに見えなくもないんだけど、大丈夫。 愛莉:美味しいと思うよ。たぶんね。 哲生:もちろん味見はしてるよね? 愛莉:味見? 愛莉:してないけど大丈夫だよ。ほとんどレシピ通りに作ってるし。 哲生:れしぴどぉり? 愛莉:うん。 哲生:そのレシピって、どこにあるの? 愛莉:シチューのパッケージの裏に書いてあるでしょ。 哲生:あるね。普通のシチューの作り方が書いてあるよね。 愛莉:そりゃ、ジャガイモもサツマイモに変えたり、お肉に手羽先を使ったりしてるけど、そこはちょっとしたオリジナリティで、みんなやってることでしょ。 哲生:やってるかなぁ。 愛莉:あ、思い出した。もう一つあった。 哲生:まだあるの!? 愛莉:ルーを溶かした後に牛乳を入れるんだけど、牛乳切らしちゃってて。 哲生:それで? 愛莉:だから代わりに……。 哲生:何を入れたの? 愛莉:えっと、カルピス。 哲生:カルピス!? 愛莉:好きでしょ、カルピス。 哲生:うん。好き。だよ。カルピス。好きだけど……。 愛莉:私も好き。 哲生:あ、だからちょっと甘酸っぱい香りがするのか。 哲生:サツマイモと手羽先までなら、まだなんとかって思ったけど、カルピス。カルピスかぁ。斬新だなぁ。 愛莉:大丈夫だよ、カルピスは乳飲料だもん。 哲生:ちょっと違うかな。カルピスは清涼飲料水だね。 愛莉:そうだっけ? 愛莉:でも体にピースだし。 哲生:お腹はピースするかなぁ。 愛莉:それに、私の愛情もたっぷり入ってるし。 哲生:愛莉……。 愛莉:えへへ。哲生のために頑張ったんだよ。 哲生:(絆創膏に気がついて)その指……。 愛莉:あっ、見つかっちゃった。ちょっと包丁で失敗しちゃって。 哲生:愛莉……。 哲生:(嬉しそうに)うわぁ。すげぇ美味そう。 哲生:いただきます! 愛莉:おかわりもあるから、沢山食べてね。 哲生:おかわり!? 愛莉:いっぱい作りすぎちゃったから、明日の分もたっぷりあるよ。 哲生:愛莉は食べないの? 愛莉:私はいいよ。遠慮しないで。 哲生:どうして? 愛莉:ニンジン嫌いだから。 哲生:そっか。そうだよね。俺だけの分だったら沢山作らなくてもよかったのに。 愛莉:いいからいいから。食べて食べて。 哲生:うん。 哲生:(荒い息)……食べるよ。 愛莉:どうぞ。 哲生:なんかドキドキする。 愛莉:私も。 哲生:(荒い息)……(食べる)……! 愛莉:どう? 美味しい? 哲生:(無言で泣く)……。 愛莉:え、泣くほど美味しかったの? 哲生:(無言で泣く)……。 愛莉:そっかぁ。よかった。私、料理はちょっとだけ自信がなかったから安心した。 愛莉:実はね、「結婚する前にお試しで一週間同棲しよう」って哲生に言われた時、ちょっと不安だったの。 愛莉:お試し期間中に哲生が私との結婚を考えなおすようなことがあったらどうしようって。 哲生:へ? 愛莉:でもそんな心配、しなくてよかったね。 愛莉:だって私、今、哲生の胃袋を掴んじゃったから。えへへ。 哲生:あは、あはは。 愛莉:これから先、ずーっと私の手料理が食べられるなんて、哲生は世界で2番目に幸せ者だね。 哲生:2番目? 愛莉:うん。だって世界で1番幸せなのは私だから。 愛莉:哲生、大好きだよ。 哲生:愛莉、俺も……大好き。 愛莉:えへへ。 哲生:あは、あはははは。 哲生: 0:哲生の乾いた笑い声がいつまでも続く。

0:お試し同棲初日の夜。 哲生:ただいまー。 愛莉:おかえりなさい♪ 哲生:(感動)うおおお。 愛莉:どうしたの? 哲生:愛莉と結婚したらこんな感じなのかぁって思って、ちょっと感動した。 愛莉:なんか照れるね。 哲生:仕事の疲れが吹っ飛ぶよ。 愛莉:えへへ。ねえ、哲生。 哲生:なに? 愛莉:じゃなかった。ねえ、あなた。 哲生:なになに? 愛莉:ごはんにする? ごはんにする? それとも……ごはんにする? 哲生:うん。じゃあごはんにしようかな。 愛莉:お試し同棲の1日目はお料理頑張るねって言ったでしょ。早く食べてほしくて。 哲生:愛莉の手料理、すげぇ楽しみ。 愛莉:哲生は着替えたら、そこで待ってて。 哲生:わかった。 哲生: 0:間 愛莉:はーい。お待たせしました。 哲生:…………なにこれ? 愛莉:「なにこれ」って? 哲生:いやあの……。 愛莉:見ればわかるでしょ。 哲生:わかんない。 愛莉:え、わかんないの? 哲生:うん。 愛莉:そっか、見たことなかったか。 愛莉:哲生の住んでたところじゃ食べられてなかったのかも。 哲生:え、これ、郷土料理とか地元グルメってやつなの? 愛莉:教えてあげるね。これは、クリームシチューっていいます♪ 哲生:クリームシチュー!? 愛莉:そんなに驚かないでよ。 哲生:それならよく知ってるよ。 愛莉:え、知ってたの? 哲生:でもクリームシチューって、紫色してたっけ? 愛莉:あ、それね。 哲生:俺の知ってるクリームシチューと全然違う。 愛莉:そうね。哲生の言いたいことは分かるわ。 愛莉:まさかそこに気がつくとは思わなかった。 哲生:そこが気になって仕方ないんだけど。 愛莉:私のこだわり? みたいな? 哲生:この紫色はわざとなの? 愛莉:聞いてよ。私もね、最初はジャガイモを買おうと思ってたのよ。でもジャガイモの隣にパープルスイートロードって名前のサツマイモが置いてあってね。名前可愛い~と思って、こっちにしちゃった。 愛莉:パープルでスイートでロードだよ。可愛いよねぇ♪ 哲生:(愛莉が)かわいい。 愛莉:ジャガイモもサツマイモも同じ芋だし。それにサツマイモのほうが甘くて美味しいでしょ。 哲生:そう、だね。 愛莉:包丁で切ってみたらビックリ。中まで紫色のサツマイモってあるんだね。 哲生:それでか。確かにビックリ。度肝を抜かれたよ。 哲生:あと、もう一つ気になるのがさ……。 愛莉:え? 哲生:(骨を指差し)それなに? 愛莉:これのことかな? 哲生:そうそれ。 愛莉:これは手羽先の骨だね。この前、居酒屋に行った時に好きって言ってたでしょ。 哲生:うん、言ったね。 愛莉:あなたが喜ぶかな~と思って。 哲生:手羽先は好きだよ。好きなんだけど……。 愛莉:あ、シチューに入ってる手羽先は嫌いだったの? 哲生:シチューに手羽先……。新しい出会いだね。 哲生:もしかしてこれ、調理済みの手羽先? 愛莉:うん。惣菜コーナーに売ってた手羽先の甘辛揚げ。 哲生:それは……ごめん。ナシかなぁ。 愛莉:(悲しい)ええぇぇ。 哲生:あ、いや、アリかナシかで言ったらギリギリのナシ。ギリナシね。アリよりのナシ。 愛莉:えへへ。ごめん。そういうのってあるよね。 愛莉:私もおでんに入ってる大根は好きだけど、沢庵は好きじゃないし。 愛莉:それならそうと先に教えてくれればよかったのに。 哲生:そういう問題じゃないんだけど……。 愛莉:じゃあ、どういう問題なの? 哲生:あ、いや……。 愛莉:教えて。 哲生:も、問題はないかなぁ。あはは。 愛莉:だよね。ちょっと失敗しちゃったのがさ、ニンジンを大きく切りすぎちゃって。柔らかくなるまでコトコト煮込んでたら、サツマイモと手羽先が溶けちゃったのよね。 哲生:ちょっと失敗しちゃったね。 愛莉:紫色のドロドロの中に骨が見え隠れしてて、見た目は魔女のスープに見えなくもないんだけど、大丈夫。 愛莉:美味しいと思うよ。たぶんね。 哲生:もちろん味見はしてるよね? 愛莉:味見? 愛莉:してないけど大丈夫だよ。ほとんどレシピ通りに作ってるし。 哲生:れしぴどぉり? 愛莉:うん。 哲生:そのレシピって、どこにあるの? 愛莉:シチューのパッケージの裏に書いてあるでしょ。 哲生:あるね。普通のシチューの作り方が書いてあるよね。 愛莉:そりゃ、ジャガイモもサツマイモに変えたり、お肉に手羽先を使ったりしてるけど、そこはちょっとしたオリジナリティで、みんなやってることでしょ。 哲生:やってるかなぁ。 愛莉:あ、思い出した。もう一つあった。 哲生:まだあるの!? 愛莉:ルーを溶かした後に牛乳を入れるんだけど、牛乳切らしちゃってて。 哲生:それで? 愛莉:だから代わりに……。 哲生:何を入れたの? 愛莉:えっと、カルピス。 哲生:カルピス!? 愛莉:好きでしょ、カルピス。 哲生:うん。好き。だよ。カルピス。好きだけど……。 愛莉:私も好き。 哲生:あ、だからちょっと甘酸っぱい香りがするのか。 哲生:サツマイモと手羽先までなら、まだなんとかって思ったけど、カルピス。カルピスかぁ。斬新だなぁ。 愛莉:大丈夫だよ、カルピスは乳飲料だもん。 哲生:ちょっと違うかな。カルピスは清涼飲料水だね。 愛莉:そうだっけ? 愛莉:でも体にピースだし。 哲生:お腹はピースするかなぁ。 愛莉:それに、私の愛情もたっぷり入ってるし。 哲生:愛莉……。 愛莉:えへへ。哲生のために頑張ったんだよ。 哲生:(絆創膏に気がついて)その指……。 愛莉:あっ、見つかっちゃった。ちょっと包丁で失敗しちゃって。 哲生:愛莉……。 哲生:(嬉しそうに)うわぁ。すげぇ美味そう。 哲生:いただきます! 愛莉:おかわりもあるから、沢山食べてね。 哲生:おかわり!? 愛莉:いっぱい作りすぎちゃったから、明日の分もたっぷりあるよ。 哲生:愛莉は食べないの? 愛莉:私はいいよ。遠慮しないで。 哲生:どうして? 愛莉:ニンジン嫌いだから。 哲生:そっか。そうだよね。俺だけの分だったら沢山作らなくてもよかったのに。 愛莉:いいからいいから。食べて食べて。 哲生:うん。 哲生:(荒い息)……食べるよ。 愛莉:どうぞ。 哲生:なんかドキドキする。 愛莉:私も。 哲生:(荒い息)……(食べる)……! 愛莉:どう? 美味しい? 哲生:(無言で泣く)……。 愛莉:え、泣くほど美味しかったの? 哲生:(無言で泣く)……。 愛莉:そっかぁ。よかった。私、料理はちょっとだけ自信がなかったから安心した。 愛莉:実はね、「結婚する前にお試しで一週間同棲しよう」って哲生に言われた時、ちょっと不安だったの。 愛莉:お試し期間中に哲生が私との結婚を考えなおすようなことがあったらどうしようって。 哲生:へ? 愛莉:でもそんな心配、しなくてよかったね。 愛莉:だって私、今、哲生の胃袋を掴んじゃったから。えへへ。 哲生:あは、あはは。 愛莉:これから先、ずーっと私の手料理が食べられるなんて、哲生は世界で2番目に幸せ者だね。 哲生:2番目? 愛莉:うん。だって世界で1番幸せなのは私だから。 愛莉:哲生、大好きだよ。 哲生:愛莉、俺も……大好き。 愛莉:えへへ。 哲生:あは、あはははは。 哲生: 0:哲生の乾いた笑い声がいつまでも続く。