台本概要
588 views
タイトル | かつて、私を愛したあなたへ |
---|---|
作者名 | 橘りょう (@tachibana390) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
死の間際に、懐かしい誰かを想い筆を執る… 手紙をイメージして頂けると嬉しいです 五分ほどで読み終わる、とても短い手紙です 読み手の性別不問 ご利用の際はメンションなど付けてお知らせ下さると作者が小躍りして喜びます 588 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
読み手 | 不問 | 12 | 大切な誰かを想う人 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
読み手:かつて、私を愛したあなたへ
:
読み手:今、あなたはどう過ごしているでしょうか
読み手:私は最近、あなたの夢をよく見ます
読み手:あの頃の…まだ私たちが若く、恐れを知らず、青春という名の時間を共に過ごした、あの頃を反芻するように
:
読み手:何度も何度も
読み手:その内容が現実に起こったことなのか、もしくは私が都合よく改竄しているだけのただの夢なのか、もうそれは私にはわかりません
読み手:ただ、夢の中の私は幸せで、隣には優しく微笑むあなたが居てくれるのです
:
読み手:むせ返りそうな新緑の香りに包まれた初夏の日を覚えていますか
読み手:あぁ、これは私の中だけの記憶かもしれませんが
読み手:まだ川の水は冷たく、木陰の涼しさが心地よい五月
読み手:岩に並んで座り、足先をひやりとした水にさらしながら、まだ見ぬ未来の羨望を語ったあの日
:
読み手:あなたがあまりにも私を熱っぽく見るものだから
読み手:私は見つめ返すこともできず、キラキラと光る水面を見るばかりでした
読み手:時折言葉を止めたあなたの顔を、どうして私は見なかったのでしょう
読み手:じっと向けられた視線だけは肌に感じていたのに
読み手:あなたの顔を見てしまうのが、少し怖かったのかもしれません
:
読み手:言葉を止めた時のあなたの指ときたら、私の指先を弄ぶものだから
:
読み手:あの時、私は何を喋ったでしょうか
読み手:ああ、うん、そうだね、と相槌ばかりだったように思います
読み手:震えても、たどたどしくても良かった
読み手:もっとあなたと言葉を交わし、視線を交わし、心を通わせればよかったのです
読み手:もっと深くまで、あなたの心に触れていればよかった
読み手:そうすれば、今こうして潰されそうなほどの後悔を抱えていなかったでしょう
読み手:曖昧模糊とした心を、言葉を、たどたどしくも返せばよかった
読み手:もう取り戻せない時間の、なんとまぶしく美しいことか
:
読み手:いまさら、あなたの名前を呼んだとしても返ってくる返事はなく、私を呼んでくれるあなたの声もない
読み手:分かっているが今一度、あなたの名前を呼ぶことを、許してはくれないでしょうか
:
読み手:今はただ、あなたが恋しい
読み手:あの時、握り返せなかった柔らかいその手が、今は恋しくてたまらない
:
読み手:取りこぼした時間は二度と戻らず、私の中の後悔の念は日々、一刻一刻大きくなるばかりで、喉を震わせる嗚咽すらも情けなくて
読み手:頬を伝う涙の冷たさといったら
:
読み手:あぁ、どうか許してください
読み手:今私があなたを想うことを
読み手:この命が尽きるまでの、限られた時間
:
読み手:ただ
読み手:ただ、想うことを
:
:
:終
読み手:かつて、私を愛したあなたへ
:
読み手:今、あなたはどう過ごしているでしょうか
読み手:私は最近、あなたの夢をよく見ます
読み手:あの頃の…まだ私たちが若く、恐れを知らず、青春という名の時間を共に過ごした、あの頃を反芻するように
:
読み手:何度も何度も
読み手:その内容が現実に起こったことなのか、もしくは私が都合よく改竄しているだけのただの夢なのか、もうそれは私にはわかりません
読み手:ただ、夢の中の私は幸せで、隣には優しく微笑むあなたが居てくれるのです
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読み手:むせ返りそうな新緑の香りに包まれた初夏の日を覚えていますか
読み手:あぁ、これは私の中だけの記憶かもしれませんが
読み手:まだ川の水は冷たく、木陰の涼しさが心地よい五月
読み手:岩に並んで座り、足先をひやりとした水にさらしながら、まだ見ぬ未来の羨望を語ったあの日
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読み手:あなたがあまりにも私を熱っぽく見るものだから
読み手:私は見つめ返すこともできず、キラキラと光る水面を見るばかりでした
読み手:時折言葉を止めたあなたの顔を、どうして私は見なかったのでしょう
読み手:じっと向けられた視線だけは肌に感じていたのに
読み手:あなたの顔を見てしまうのが、少し怖かったのかもしれません
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読み手:言葉を止めた時のあなたの指ときたら、私の指先を弄ぶものだから
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読み手:あの時、私は何を喋ったでしょうか
読み手:ああ、うん、そうだね、と相槌ばかりだったように思います
読み手:震えても、たどたどしくても良かった
読み手:もっとあなたと言葉を交わし、視線を交わし、心を通わせればよかったのです
読み手:もっと深くまで、あなたの心に触れていればよかった
読み手:そうすれば、今こうして潰されそうなほどの後悔を抱えていなかったでしょう
読み手:曖昧模糊とした心を、言葉を、たどたどしくも返せばよかった
読み手:もう取り戻せない時間の、なんとまぶしく美しいことか
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読み手:いまさら、あなたの名前を呼んだとしても返ってくる返事はなく、私を呼んでくれるあなたの声もない
読み手:分かっているが今一度、あなたの名前を呼ぶことを、許してはくれないでしょうか
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読み手:今はただ、あなたが恋しい
読み手:あの時、握り返せなかった柔らかいその手が、今は恋しくてたまらない
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読み手:取りこぼした時間は二度と戻らず、私の中の後悔の念は日々、一刻一刻大きくなるばかりで、喉を震わせる嗚咽すらも情けなくて
読み手:頬を伝う涙の冷たさといったら
:
読み手:あぁ、どうか許してください
読み手:今私があなたを想うことを
読み手:この命が尽きるまでの、限られた時間
:
読み手:ただ
読み手:ただ、想うことを
:
:
:終