台本概要
303 views
タイトル | 君が雨に溺れぬように |
---|---|
作者名 | そらいろ (@sorairo_0801) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
君がもう二度と雨に溺れないことを 祈っているよ ・台本をご利用の際は、タイトル、作者名、URLを記載してください ・自由に演じて頂けたら嬉しいです 303 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
レイ | 不問 | 56 | レイ。謎の多い人物 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
レイ:こんにちは
レイ:
レイ:凄い雨だね
レイ:
レイ:ん?私かい?
レイ:
レイ:私は、レイ
レイ:
レイ:君、名前は?
0:
レイ:そうか
レイ:
レイ:覚えていないのか
レイ:
レイ:気づいたらここにいたんだね
0:
レイ:さっきから
レイ:
レイ:ずっと空を眺めているけど
レイ:
レイ:どうだい?
レイ:
レイ:雨は止みそうかい?
レイ:
レイ:そうか
レイ:
レイ:まだ、しばらく止みそうにないか
0:
レイ:なるほど
レイ:
レイ:君は、もう一度
レイ:
レイ:雲一つない青空が見たくてここにいるんだね
レイ:
レイ:そうか
レイ:
レイ:君が過去に見たその青空は
レイ:
レイ:きっと今私が想像している青空の何倍も
レイ:
レイ:綺麗だったんだろうね
0:
レイ:確かに
レイ:
レイ:温かい日の光はとても心地よい
レイ:
レイ:あぁ、そうだね
レイ:
レイ:何もかもがキラキラ輝いて見える
レイ:
レイ:背中に羽が生えたような感じがした?
レイ:
レイ:はは。それはいいな
レイ:
レイ:なんでもできてしまいそうだ
0:
レイ:そうか
レイ:
レイ:それも、もうずっと前の話なんだね
レイ:
レイ:でもその心地よさを覚えているからこそ
レイ:
レイ:君はこの雨の中も
レイ:
レイ:耐えることができているんだね
0:
レイ:止まない雨はない?
レイ:
レイ:ああ。そうだね
レイ:
レイ:確かに、止まない雨はない
レイ:
レイ:でも
レイ:
レイ:こんな土砂降りの雨の中で
レイ:
レイ:いつ来るか分からない
レイ:
レイ:「そのとき」を信じて待ち続けるのって
レイ:
レイ:辛くはないかい?
0:
レイ:すまない
レイ:
レイ:そんな顔をしないでくれ
0:
レイ:でもそうだとは思わないかい?
レイ:
レイ:この雨がいつ止むかなんて
レイ:
レイ:誰にも分からないんだ
レイ:
レイ:その雨が止むのは明日かもしれないけれど
レイ:
レイ:もしかしたら
レイ:
レイ:何十年後になるかもしれない
0:
レイ:人間という生き物は弱いんだ
レイ:
レイ:もうこの雨は止むことなんてないんじゃないか
レイ:
レイ:なんて
レイ:
レイ:そんな考えが一度でも頭に浮かんでしまったら
レイ:
レイ:どんどん不安が募っていき
レイ:
レイ:その不安は自分の心を更に曇らせる
0:
レイ:自分を信じ抜くって
レイ:
レイ:とても難しいことなんだよ
0:
レイ:不安に耐えられず
レイ:
レイ:再び自分の目で綺麗な青空を見ることもないまま
レイ:
レイ:雨に溺れ、泡となり
レイ:
レイ:消えてしまう者も多い
レイ:
レイ:そう
レイ:
レイ:誰にも気づかれることなく、ね
0:
レイ:彼女もそうだった
レイ:
レイ:あぁ。私の大切な人だよ
0:
レイ:良ければもう少し
レイ:
レイ:私の話に付き合ってはくれないかい?
レイ:
レイ:ありがとう
0:
レイ:あ、そうだ
レイ:
レイ:君、ココア飲めるかい?
レイ:
レイ:それは良かった
レイ:
レイ:じゃあこれ、あげる
レイ:
レイ:少しは体が温まると思うよ
レイ:
レイ:遠慮しないで
レイ:
レイ:ほら、一緒に飲もう
0:
レイ:その彼女はね
レイ:
レイ:幼いころからずっと雨の中にいたんだ
レイ:
レイ:周りに、傘を差してくれるような人も
レイ:
レイ:誰もいなかったらしくてね
レイ:
レイ:彼女はずっと
レイ:
レイ:一人ぼっちでその雨に耐えていた
0:
レイ:彼女がここまで頑張れたのは
レイ:
レイ:夢があったからだ
レイ:
レイ:そう。夢だ
レイ:
レイ:いつか青空の下で幸せに暮らす、というね
レイ:
レイ:でも。現実は彼女にとても厳しかった
0:
レイ:彼女は雨の中
レイ:
レイ:一生懸命前に進もうとするが
レイ:
レイ:少し進めたと思っても
レイ:
レイ:すぐに後ろに吹き飛ばされて
レイ:
レイ:なかなか前には進めさせてはくれない
レイ:
レイ:激しい雨風は彼女の視覚や聴覚を奪い
レイ:
レイ:彼女が助けを求めるか細い声もかき消した
0:
レイ:雨は、どこまでも、どこまでも
レイ:
レイ:必死に前に進もうとする彼女の邪魔をし続けた
0:
レイ:あぁ
レイ:
レイ:だから彼女には、多くの傷があったよ
レイ:
レイ:心にも、体にも、ね
0:
レイ:でもその雨は止むことなく
レイ:
レイ:どんどん酷くなっていったんだ
レイ:
レイ:そして
レイ:
レイ:彼女はだんだんと、希望を失っていった
0:
レイ:本当にこの目で青空を見れる日は来るのだろうか
レイ:
レイ:その日はいつ来るんだろうか、と
レイ:
レイ:毎日毎日そんなことばかりを考えるようになった
レイ:
レイ:そして、ある日
レイ:
レイ:彼女はふと思ってしまった
レイ:
レイ:たとえ空が晴れたとしても
レイ:
レイ:自分はもう
レイ:
レイ:その日の光に耐えることはできないんじゃないか、とね
0:
レイ:それなら
レイ:
レイ:もう自分には、夢を叶えることなんてできない
レイ:
レイ:じゃあ、なんのために耐えているのか
レイ:
レイ:自分はなんのために生きているのか
レイ:
レイ:自分は…どうしたいのか
レイ:
レイ:そう彼女は
レイ:
レイ:分からなくなってしまったんだ
0:
レイ:彼女はね
レイ:
レイ:雨の中で自分を見失ってしまった
レイ:
レイ:…そう
レイ:
レイ:雨に飲まれてしまったんだ
0:
レイ:そのとき彼女は
レイ:
レイ:自分の頬が濡れていることに気づいていたが
レイ:
レイ:それが涙のせいなのか
レイ:
レイ:はたまた雨のせいなのかも
レイ:
レイ:彼女には分からなくなっていたんだよ
0:
レイ:気づけば
レイ:
レイ:もう彼女は雨の中
レイ:
レイ:立っていることさえもできなくなっていた
0:
レイ:彼女かい?
レイ:
レイ:…あぁ。彼女はね
レイ:
レイ:雨に溺れ泡となって消えてしまったよ
0:
レイ:私は思ったんだよ
レイ:
レイ:もし彼女の隣で1人でも
レイ:
レイ:共に晴れる日を待ってくれる人がいたのなら
レイ:
レイ:傘をそっと差してくれる人がいたのなら
レイ:
レイ:彼女の未来は
レイ:
レイ:大きく変わっていたんではないか
レイ:
レイ:…そう
レイ:
レイ:青空の下で幸せに暮らしていたんじゃないかってね
0:
レイ:ん?私かい?
レイ:
レイ:あぁ
レイ:
レイ:私もね、愚かなことに
レイ:
レイ:彼女の側にずっといたのに
レイ:
レイ:彼女が雨の中にいたことに
レイ:
レイ:気づかなかったんだ
レイ:
レイ:私は何度も彼女に傘を差してもらったというのに
0:
レイ:私はずっと
レイ:
レイ:彼女と一緒の空を見ているつもりだった
レイ:
レイ:私が、空が綺麗だねというと
レイ:
レイ:彼女も笑顔で綺麗だねと言ってくれたのだから
レイ:
レイ:でもそれは間違いだった
0:
レイ:そう、気づいたのは
レイ:
レイ:彼女が手の届かないところに
レイ:
レイ:行ってしまった後だった
0:
レイ:そんな悲しい顔をしないでくれ
レイ:
レイ:私たちは今、ちゃんと幸せだからさ
0:
レイ:あぁ
レイ:
レイ:だから私はね
レイ:
レイ:彼女の後を追いかけたんだよ
レイ:
レイ:だからこの世界にいるんだ
レイ:
レイ:彼女はとても
レイ:
レイ:申し訳なさそうな顔をしていたけどね
0:
レイ:でもこの世界に来てやっと
レイ:
レイ:彼女の本当の笑顔を見ることができたんだよ
レイ:
レイ:彼女と同じ景色も見ることができた
レイ:
レイ:だから私たちは
レイ:
レイ:幸せなんだ
0:
レイ:でもね、君は
レイ:
レイ:まだここに来てはいけない
0:
レイ:藍沢かおりさん
0:
レイ:君の名前だ
レイ:
レイ:思い出したかい?
レイ:
レイ:欠けていた記憶の全てを
レイ:
レイ:この雨の正体を
0:
レイ:そうか。よかった
0:
レイ:危ないところだったよ
レイ:
レイ:この雨に溺れてしまったら
レイ:
レイ:もう君を元の世界に帰すことが
レイ:
レイ:できなかったからね
0:
レイ:私の話に付き合ってくれてありがとう
レイ:
レイ:そろそろお別れの時間だ
0:
レイ:どうした
レイ:
レイ:急に怖くなってしまったのかい
レイ:
レイ:そんなに怯える必要はない
レイ:
レイ:さっき君が言っていただろう
レイ:
レイ:止まない雨はないと
0:
レイ:確かに君は
レイ:
レイ:この雨に一度溺れかけた
レイ:
レイ:でも君はまだ
レイ:
レイ:彼女のように
レイ:
レイ:泡となって消えてはいない
レイ:
レイ:やり直せるんだ
0:
レイ:かおりさん
レイ:
レイ:どうか
レイ:
レイ:私の言葉を覚えていてほしい
0:
レイ:目を覚ました後も
レイ:
レイ:この雨は降り続けているだろう
レイ:
レイ:そして君が前に進もうとすれば
レイ:
レイ:どこまでも邪魔しようとする
レイ:
レイ:でもね
レイ:
レイ:自分の心の雨に、飲み込まれてはいけないよ
0:
レイ:どんなに凄い雨音の中でも
レイ:
レイ:しっかりと、自分の声を聞いてあげるんだ
レイ:
レイ:次、また自分を見失ってしまうようなことがあれば
レイ:
レイ:今度こそ
レイ:
レイ:君は自分の雨に溺れ
レイ:
レイ:泡となって消えてしまうからね
0:
レイ:分かったかい?
レイ:
レイ:あぁ。いい返事だ
0:
レイ:長話をしてしまってすまなかったね
レイ:
レイ:そのトンネルを抜ければ元の世界に戻れる
レイ:
レイ:お元気で
0:
レイ:ん?ハンカチ?
レイ:
レイ:私の肩が雨で濡れてる?
レイ:
レイ:ははっ
レイ:
レイ:君がそんなことを心配しなくていいんだよ
0:
レイ:君の方が
レイ:
レイ:長い時間、雨に打たれているせいで
レイ:
レイ:全身びしょ濡れじゃないか
レイ:
レイ:…気づかなかったって
レイ:
レイ:はは。本当に優しんだな。君は
0:
レイ:ん?
レイ:
レイ:さっき一緒にココアを飲んでいたとき
レイ:
レイ:一瞬雨が止んだような気がした?
レイ:
レイ:あぁ…そうか
レイ:
レイ:それは…良かった
0:
レイ:元の世界に戻ったら
レイ:
レイ:…隣で一緒に笑いながら
レイ:
レイ:ココアを飲んでくれる奴を探すんだよ
0:
レイ:…。
レイ:
レイ:君はそんな風に笑うんだね
レイ:
レイ:いや、なんでもない
0:
レイ:君ならもう大丈夫だ
レイ:
レイ:私は、ここから君を応援している
レイ:
レイ:君は、1人じゃない
0:
レイ:またねは言わない
レイ:
レイ:もうここに来ないことを祈っているよ
0:
レイ:あぁ。さようなら
0:
レイ:長い間…苦しんできた君の心が
レイ:
レイ:どうか、晴れますように
レイ:こんにちは
レイ:
レイ:凄い雨だね
レイ:
レイ:ん?私かい?
レイ:
レイ:私は、レイ
レイ:
レイ:君、名前は?
0:
レイ:そうか
レイ:
レイ:覚えていないのか
レイ:
レイ:気づいたらここにいたんだね
0:
レイ:さっきから
レイ:
レイ:ずっと空を眺めているけど
レイ:
レイ:どうだい?
レイ:
レイ:雨は止みそうかい?
レイ:
レイ:そうか
レイ:
レイ:まだ、しばらく止みそうにないか
0:
レイ:なるほど
レイ:
レイ:君は、もう一度
レイ:
レイ:雲一つない青空が見たくてここにいるんだね
レイ:
レイ:そうか
レイ:
レイ:君が過去に見たその青空は
レイ:
レイ:きっと今私が想像している青空の何倍も
レイ:
レイ:綺麗だったんだろうね
0:
レイ:確かに
レイ:
レイ:温かい日の光はとても心地よい
レイ:
レイ:あぁ、そうだね
レイ:
レイ:何もかもがキラキラ輝いて見える
レイ:
レイ:背中に羽が生えたような感じがした?
レイ:
レイ:はは。それはいいな
レイ:
レイ:なんでもできてしまいそうだ
0:
レイ:そうか
レイ:
レイ:それも、もうずっと前の話なんだね
レイ:
レイ:でもその心地よさを覚えているからこそ
レイ:
レイ:君はこの雨の中も
レイ:
レイ:耐えることができているんだね
0:
レイ:止まない雨はない?
レイ:
レイ:ああ。そうだね
レイ:
レイ:確かに、止まない雨はない
レイ:
レイ:でも
レイ:
レイ:こんな土砂降りの雨の中で
レイ:
レイ:いつ来るか分からない
レイ:
レイ:「そのとき」を信じて待ち続けるのって
レイ:
レイ:辛くはないかい?
0:
レイ:すまない
レイ:
レイ:そんな顔をしないでくれ
0:
レイ:でもそうだとは思わないかい?
レイ:
レイ:この雨がいつ止むかなんて
レイ:
レイ:誰にも分からないんだ
レイ:
レイ:その雨が止むのは明日かもしれないけれど
レイ:
レイ:もしかしたら
レイ:
レイ:何十年後になるかもしれない
0:
レイ:人間という生き物は弱いんだ
レイ:
レイ:もうこの雨は止むことなんてないんじゃないか
レイ:
レイ:なんて
レイ:
レイ:そんな考えが一度でも頭に浮かんでしまったら
レイ:
レイ:どんどん不安が募っていき
レイ:
レイ:その不安は自分の心を更に曇らせる
0:
レイ:自分を信じ抜くって
レイ:
レイ:とても難しいことなんだよ
0:
レイ:不安に耐えられず
レイ:
レイ:再び自分の目で綺麗な青空を見ることもないまま
レイ:
レイ:雨に溺れ、泡となり
レイ:
レイ:消えてしまう者も多い
レイ:
レイ:そう
レイ:
レイ:誰にも気づかれることなく、ね
0:
レイ:彼女もそうだった
レイ:
レイ:あぁ。私の大切な人だよ
0:
レイ:良ければもう少し
レイ:
レイ:私の話に付き合ってはくれないかい?
レイ:
レイ:ありがとう
0:
レイ:あ、そうだ
レイ:
レイ:君、ココア飲めるかい?
レイ:
レイ:それは良かった
レイ:
レイ:じゃあこれ、あげる
レイ:
レイ:少しは体が温まると思うよ
レイ:
レイ:遠慮しないで
レイ:
レイ:ほら、一緒に飲もう
0:
レイ:その彼女はね
レイ:
レイ:幼いころからずっと雨の中にいたんだ
レイ:
レイ:周りに、傘を差してくれるような人も
レイ:
レイ:誰もいなかったらしくてね
レイ:
レイ:彼女はずっと
レイ:
レイ:一人ぼっちでその雨に耐えていた
0:
レイ:彼女がここまで頑張れたのは
レイ:
レイ:夢があったからだ
レイ:
レイ:そう。夢だ
レイ:
レイ:いつか青空の下で幸せに暮らす、というね
レイ:
レイ:でも。現実は彼女にとても厳しかった
0:
レイ:彼女は雨の中
レイ:
レイ:一生懸命前に進もうとするが
レイ:
レイ:少し進めたと思っても
レイ:
レイ:すぐに後ろに吹き飛ばされて
レイ:
レイ:なかなか前には進めさせてはくれない
レイ:
レイ:激しい雨風は彼女の視覚や聴覚を奪い
レイ:
レイ:彼女が助けを求めるか細い声もかき消した
0:
レイ:雨は、どこまでも、どこまでも
レイ:
レイ:必死に前に進もうとする彼女の邪魔をし続けた
0:
レイ:あぁ
レイ:
レイ:だから彼女には、多くの傷があったよ
レイ:
レイ:心にも、体にも、ね
0:
レイ:でもその雨は止むことなく
レイ:
レイ:どんどん酷くなっていったんだ
レイ:
レイ:そして
レイ:
レイ:彼女はだんだんと、希望を失っていった
0:
レイ:本当にこの目で青空を見れる日は来るのだろうか
レイ:
レイ:その日はいつ来るんだろうか、と
レイ:
レイ:毎日毎日そんなことばかりを考えるようになった
レイ:
レイ:そして、ある日
レイ:
レイ:彼女はふと思ってしまった
レイ:
レイ:たとえ空が晴れたとしても
レイ:
レイ:自分はもう
レイ:
レイ:その日の光に耐えることはできないんじゃないか、とね
0:
レイ:それなら
レイ:
レイ:もう自分には、夢を叶えることなんてできない
レイ:
レイ:じゃあ、なんのために耐えているのか
レイ:
レイ:自分はなんのために生きているのか
レイ:
レイ:自分は…どうしたいのか
レイ:
レイ:そう彼女は
レイ:
レイ:分からなくなってしまったんだ
0:
レイ:彼女はね
レイ:
レイ:雨の中で自分を見失ってしまった
レイ:
レイ:…そう
レイ:
レイ:雨に飲まれてしまったんだ
0:
レイ:そのとき彼女は
レイ:
レイ:自分の頬が濡れていることに気づいていたが
レイ:
レイ:それが涙のせいなのか
レイ:
レイ:はたまた雨のせいなのかも
レイ:
レイ:彼女には分からなくなっていたんだよ
0:
レイ:気づけば
レイ:
レイ:もう彼女は雨の中
レイ:
レイ:立っていることさえもできなくなっていた
0:
レイ:彼女かい?
レイ:
レイ:…あぁ。彼女はね
レイ:
レイ:雨に溺れ泡となって消えてしまったよ
0:
レイ:私は思ったんだよ
レイ:
レイ:もし彼女の隣で1人でも
レイ:
レイ:共に晴れる日を待ってくれる人がいたのなら
レイ:
レイ:傘をそっと差してくれる人がいたのなら
レイ:
レイ:彼女の未来は
レイ:
レイ:大きく変わっていたんではないか
レイ:
レイ:…そう
レイ:
レイ:青空の下で幸せに暮らしていたんじゃないかってね
0:
レイ:ん?私かい?
レイ:
レイ:あぁ
レイ:
レイ:私もね、愚かなことに
レイ:
レイ:彼女の側にずっといたのに
レイ:
レイ:彼女が雨の中にいたことに
レイ:
レイ:気づかなかったんだ
レイ:
レイ:私は何度も彼女に傘を差してもらったというのに
0:
レイ:私はずっと
レイ:
レイ:彼女と一緒の空を見ているつもりだった
レイ:
レイ:私が、空が綺麗だねというと
レイ:
レイ:彼女も笑顔で綺麗だねと言ってくれたのだから
レイ:
レイ:でもそれは間違いだった
0:
レイ:そう、気づいたのは
レイ:
レイ:彼女が手の届かないところに
レイ:
レイ:行ってしまった後だった
0:
レイ:そんな悲しい顔をしないでくれ
レイ:
レイ:私たちは今、ちゃんと幸せだからさ
0:
レイ:あぁ
レイ:
レイ:だから私はね
レイ:
レイ:彼女の後を追いかけたんだよ
レイ:
レイ:だからこの世界にいるんだ
レイ:
レイ:彼女はとても
レイ:
レイ:申し訳なさそうな顔をしていたけどね
0:
レイ:でもこの世界に来てやっと
レイ:
レイ:彼女の本当の笑顔を見ることができたんだよ
レイ:
レイ:彼女と同じ景色も見ることができた
レイ:
レイ:だから私たちは
レイ:
レイ:幸せなんだ
0:
レイ:でもね、君は
レイ:
レイ:まだここに来てはいけない
0:
レイ:藍沢かおりさん
0:
レイ:君の名前だ
レイ:
レイ:思い出したかい?
レイ:
レイ:欠けていた記憶の全てを
レイ:
レイ:この雨の正体を
0:
レイ:そうか。よかった
0:
レイ:危ないところだったよ
レイ:
レイ:この雨に溺れてしまったら
レイ:
レイ:もう君を元の世界に帰すことが
レイ:
レイ:できなかったからね
0:
レイ:私の話に付き合ってくれてありがとう
レイ:
レイ:そろそろお別れの時間だ
0:
レイ:どうした
レイ:
レイ:急に怖くなってしまったのかい
レイ:
レイ:そんなに怯える必要はない
レイ:
レイ:さっき君が言っていただろう
レイ:
レイ:止まない雨はないと
0:
レイ:確かに君は
レイ:
レイ:この雨に一度溺れかけた
レイ:
レイ:でも君はまだ
レイ:
レイ:彼女のように
レイ:
レイ:泡となって消えてはいない
レイ:
レイ:やり直せるんだ
0:
レイ:かおりさん
レイ:
レイ:どうか
レイ:
レイ:私の言葉を覚えていてほしい
0:
レイ:目を覚ました後も
レイ:
レイ:この雨は降り続けているだろう
レイ:
レイ:そして君が前に進もうとすれば
レイ:
レイ:どこまでも邪魔しようとする
レイ:
レイ:でもね
レイ:
レイ:自分の心の雨に、飲み込まれてはいけないよ
0:
レイ:どんなに凄い雨音の中でも
レイ:
レイ:しっかりと、自分の声を聞いてあげるんだ
レイ:
レイ:次、また自分を見失ってしまうようなことがあれば
レイ:
レイ:今度こそ
レイ:
レイ:君は自分の雨に溺れ
レイ:
レイ:泡となって消えてしまうからね
0:
レイ:分かったかい?
レイ:
レイ:あぁ。いい返事だ
0:
レイ:長話をしてしまってすまなかったね
レイ:
レイ:そのトンネルを抜ければ元の世界に戻れる
レイ:
レイ:お元気で
0:
レイ:ん?ハンカチ?
レイ:
レイ:私の肩が雨で濡れてる?
レイ:
レイ:ははっ
レイ:
レイ:君がそんなことを心配しなくていいんだよ
0:
レイ:君の方が
レイ:
レイ:長い時間、雨に打たれているせいで
レイ:
レイ:全身びしょ濡れじゃないか
レイ:
レイ:…気づかなかったって
レイ:
レイ:はは。本当に優しんだな。君は
0:
レイ:ん?
レイ:
レイ:さっき一緒にココアを飲んでいたとき
レイ:
レイ:一瞬雨が止んだような気がした?
レイ:
レイ:あぁ…そうか
レイ:
レイ:それは…良かった
0:
レイ:元の世界に戻ったら
レイ:
レイ:…隣で一緒に笑いながら
レイ:
レイ:ココアを飲んでくれる奴を探すんだよ
0:
レイ:…。
レイ:
レイ:君はそんな風に笑うんだね
レイ:
レイ:いや、なんでもない
0:
レイ:君ならもう大丈夫だ
レイ:
レイ:私は、ここから君を応援している
レイ:
レイ:君は、1人じゃない
0:
レイ:またねは言わない
レイ:
レイ:もうここに来ないことを祈っているよ
0:
レイ:あぁ。さようなら
0:
レイ:長い間…苦しんできた君の心が
レイ:
レイ:どうか、晴れますように