台本概要
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タイトル | 心の景色 |
---|---|
作者名 | 雪狐 (@yukikitsune_vg) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
筆者は絵を嗜むことはありませんが、学生時代の美術の授業でスケッチブックやキャンバスを前に構想を練るのは好きでした。 手に握る筆は絵筆ではなく物書きの筆になりましたが、あのころの気持ちを思い出しながら綴りました。 内容は一人の芸術家が一つの作品を作るだけのシンプルなお話です。 短い文となりますが、お手に取っていただけると幸いです。 325 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
私 | 不問 | 1 | 芸術家。普段はアトリエで作品を作っている。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:心の景色
私:何も描かれていない真っ白なキャンバス
私:パレット片手に筆を握りうーむと唸る私
私:あたたかい日差しが照らす広い部屋の中
私:ずっと昔に作った石膏たちに見守られながら
私:私は首をかしげながら、はじめの色を考えている
私:
私:何か描きたいものがあるわけでは無い
私:ただ何となく部屋の整理をしていた時に
私:この真っ白なキャンバスを見つけたのだ
私:そう言えば絵を描くのなんていつ振りだろう?
私:なんて考えて、気がついたら筆を握っていたんだ
私:真っ白なキャンバスの第一歩
私:この子はどんな作品(こ)を生み出してくれるんだろう?
私:どんな世界を私に見せてくれるんだろう?
私:爽やかな風が吹き抜ける青空と草原かな?
私:胸を打つ茜色の夕焼け空かな?
私:暗くて深くてそれでいて神秘的な深海かな?
私:それとも大切な誰かだったり物だったり…
私:次々脳内に浮かぶ景色をキャンバスに投影する
私:アレでもない、コレでもない…
私:うだうだ唸りながら、ふと気がついた
私:そうだ、私が今欲しいものはこれなんだと
私:そうして私は筆に絵の具をつけた
私:
私:ふぅーっと息を吐き出し、目の前のキャンバスを見つめる
私:そこには右下の隅っこに私の名前が書かれていた
私:それ以外は変わらず真っ白なままだった
私:私はその名前入りの真っ白なキャンバスを誇らしげな顔で見つめる
私:きっと他の人から見たらただの名前入りの真っ白なキャンバスだろう
私:でも私にとっては見るたびに違う景色を見せてくれる魔法のキャンバスなのだ
私:
私:キャンバスの裏に回り込み彫刻刀でタイトルを彫る
私:いろんな名前の候補が脳裏に浮かんだ
私:その中から今の気分にピッタリの名前を選ぶ
私:それはこのキャンバスに込める願いであり
私:過去の私から未来の私に託すメッセージでもあり
私:この瞬間の私の思いつきでもあるのだ
私:
私:彫り終えた私はこの作品の名前を呼んであげる
私:『心の景色』…うん、いい名前だ
私:誰かにとっては名前だけ入ったガラクタかもしれない
私:でも私にとっては最高の宝物になるのだ
私:落ちた木屑を箒で集めて小瓶に詰める
私:筆やパレットを洗い場に持っていき、再度キャンバスの元へ引き返す
私:座っていた椅子はそのままにしてキャンバスに布を被せる
私:時々この布を外して、置きっぱなしにした目の前の椅子に座って
私:色の無い空っぽのパレットと筆を握りしめて
私:この作品と綺麗な景色を歩き疲れるまで旅するのだ
0:心の景色
私:何も描かれていない真っ白なキャンバス
私:パレット片手に筆を握りうーむと唸る私
私:あたたかい日差しが照らす広い部屋の中
私:ずっと昔に作った石膏たちに見守られながら
私:私は首をかしげながら、はじめの色を考えている
私:
私:何か描きたいものがあるわけでは無い
私:ただ何となく部屋の整理をしていた時に
私:この真っ白なキャンバスを見つけたのだ
私:そう言えば絵を描くのなんていつ振りだろう?
私:なんて考えて、気がついたら筆を握っていたんだ
私:真っ白なキャンバスの第一歩
私:この子はどんな作品(こ)を生み出してくれるんだろう?
私:どんな世界を私に見せてくれるんだろう?
私:爽やかな風が吹き抜ける青空と草原かな?
私:胸を打つ茜色の夕焼け空かな?
私:暗くて深くてそれでいて神秘的な深海かな?
私:それとも大切な誰かだったり物だったり…
私:次々脳内に浮かぶ景色をキャンバスに投影する
私:アレでもない、コレでもない…
私:うだうだ唸りながら、ふと気がついた
私:そうだ、私が今欲しいものはこれなんだと
私:そうして私は筆に絵の具をつけた
私:
私:ふぅーっと息を吐き出し、目の前のキャンバスを見つめる
私:そこには右下の隅っこに私の名前が書かれていた
私:それ以外は変わらず真っ白なままだった
私:私はその名前入りの真っ白なキャンバスを誇らしげな顔で見つめる
私:きっと他の人から見たらただの名前入りの真っ白なキャンバスだろう
私:でも私にとっては見るたびに違う景色を見せてくれる魔法のキャンバスなのだ
私:
私:キャンバスの裏に回り込み彫刻刀でタイトルを彫る
私:いろんな名前の候補が脳裏に浮かんだ
私:その中から今の気分にピッタリの名前を選ぶ
私:それはこのキャンバスに込める願いであり
私:過去の私から未来の私に託すメッセージでもあり
私:この瞬間の私の思いつきでもあるのだ
私:
私:彫り終えた私はこの作品の名前を呼んであげる
私:『心の景色』…うん、いい名前だ
私:誰かにとっては名前だけ入ったガラクタかもしれない
私:でも私にとっては最高の宝物になるのだ
私:落ちた木屑を箒で集めて小瓶に詰める
私:筆やパレットを洗い場に持っていき、再度キャンバスの元へ引き返す
私:座っていた椅子はそのままにしてキャンバスに布を被せる
私:時々この布を外して、置きっぱなしにした目の前の椅子に座って
私:色の無い空っぽのパレットと筆を握りしめて
私:この作品と綺麗な景色を歩き疲れるまで旅するのだ