台本概要
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タイトル | 水槽のあった部屋 |
---|---|
作者名 | おちり補佐官 (@called_makki) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
昔飼っていた金魚の水槽。 空いた水槽は、中に何も居なくても、ふとこちらを見る視線に溢れている。 悠に、その慣れた感覚を卒業すべき瞬間が来た。水槽をどかすことを嫌がる悠をよそに、瑞希は更に迫る。遂には悠の心をどこか取り囲んでいる水槽に対し、立ち代わりたいとすら思う。 357 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
悠 | 男 | 41 | 大学生、一人暮らし。4か月目。 |
瑞希 | 女 | 41 | 大学生。悠があまりに草食なため、時々強引になる。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
瑞希:何か飼う予定なの?
悠:え? どうして?
瑞希:だって。
悠:ん? あ、ああ。もしかしてあの球体水槽のこと?
瑞希:......うん。
悠:やっぱ変かな。なにも入ってないと。
瑞希:悠くんの部屋だし、私は気にしないけど、変だとは思うよ。空っぽの水槽なんてさ。
悠:そっか。
瑞希:うん。
悠:実家に帰ったんだよ、前の日曜。で、物置の整理してたらさ、昔飼ってた金魚の水槽見つけて、思い出しちゃって。
瑞希:金魚のこと?
悠:うん。金魚。小学校三年のときに学校の祭りで掬ったやつ。ちっちゃい出目金でさ。
瑞希:へぇ、出目金かぁ。可愛かったの?
悠:んー? どうだろ。毎日エサはあげてたけど、特別可愛いやつだとは思ってなかったな。
瑞希:え?
悠:そうだよな。ははっ。いや、可愛かったのかも。じゃなきゃ、空の水槽なんて置かないよな。
瑞希:そんなに好きだったんだ。
悠:どうだろうなぁ。
瑞希:......。
悠:どうしたの? まさか嫉妬した?
瑞希:なわけないじゃん。魚相手に嫉妬なんて。
悠:ははっ。
瑞希:......でも、してるかも。嫉妬。
悠:え?
瑞希:だって、ただの黒い出目金なのに、どうしてそんなに悠くんに思ってもらっているのかって。ちょっと気になっちゃった。
悠:どうしてなんだろうな。......あのさ。出目金って、その名の通り、目が大きいわけじゃん?
瑞希:うん。
悠:それが良かったんだよな。ずっと視線を感じるというか。その感覚が。
瑞希:ふぅん。よくわかんないの。で、その金魚が死んじゃってからは他のは飼わなかったの?
悠:飼わな、かったなぁ。他の動物も一切。
瑞希:どうして?
悠:うん。わかんない。
瑞希:それこそ変なのー。
悠:......あー。うん、僕もよくわかんないんだけどさ。
瑞希:なあに?
悠:この水槽が部屋にあったから、かも。出目金が死んでからも綺麗に洗って、同じ場所に置いてたんだ。
瑞希:......え? なんのために?
悠:これがあるとさ、なんだか見られてる気がするんだよ。あいつがまだそこに居るみたいな、さ。
瑞希:そ。
悠:え、なに、おこった?
瑞希:......私が初めての彼女だって言ってたのに。
悠:や、ほんとだよ? どうして金魚と比べるのさ。
瑞希:私たち、付き合ってもうすぐ三ヶ月じゃん? なのにさ。
悠:なに。
瑞希:その、してないよね。
悠:してないって?
瑞希:言わせないでよ。
悠:ごめん。
瑞希:ね。ここでチューしてもいい?
悠:え? 急にそんな。
瑞希:ほんとに急かな?
悠:......。
瑞希:悠くんの部屋で、何回も何回もこんなに近くに居るのに、全然してくれないじゃん。
悠:それは。
瑞希:ねえ。今、この球体水槽の前でキスして。愛してるって言って。ねぇ今すぐ......言って。(じゃないと......)
悠:す、好きだよ。もちろん。ただ。
瑞希:ただ何よ。......言えないんだ。
悠:違うんだ、本当に、そういうことじゃなくて。
瑞希:じゃあなに。
悠:愛してるよ! もっと、愛してるって言いたいけどさ。......でもさ。ごめんね。
瑞希:......ごめんって、なによ。
悠:笑わないでよ。ホントのこと言うと、本当に瑞希が初めての彼女だから。だから、どうしていいか分からなかったんだ。
瑞希:悠くん......。
悠:瑞希。
瑞希:じゃあさ。水槽、どけよ。
悠:え、いや、それは。
瑞希:ダメなの?
悠:ダメじゃないけど。
瑞希:じゃあ水槽の前でする?
悠:え......。
瑞希:どうしていやがるの。
悠:別に嫌がってるわけじゃ。
瑞希:じゃあ良いじゃん。
悠:待って! 待って、瑞希!
0:球体水槽が落ちる。
0:SE(ガラスが落ちて割れる音)
悠:ぁあ! ......水槽が。水槽が。
瑞希:水槽なんかなくても、私が悠くんのこと見てるよ?
悠:......瑞希。
瑞希:だから、ほら。
悠:あっ。
瑞希:ね。触って、私の金魚。
悠:......うん。
瑞希:もう誰も見てないもんね。
瑞希:何か飼う予定なの?
悠:え? どうして?
瑞希:だって。
悠:ん? あ、ああ。もしかしてあの球体水槽のこと?
瑞希:......うん。
悠:やっぱ変かな。なにも入ってないと。
瑞希:悠くんの部屋だし、私は気にしないけど、変だとは思うよ。空っぽの水槽なんてさ。
悠:そっか。
瑞希:うん。
悠:実家に帰ったんだよ、前の日曜。で、物置の整理してたらさ、昔飼ってた金魚の水槽見つけて、思い出しちゃって。
瑞希:金魚のこと?
悠:うん。金魚。小学校三年のときに学校の祭りで掬ったやつ。ちっちゃい出目金でさ。
瑞希:へぇ、出目金かぁ。可愛かったの?
悠:んー? どうだろ。毎日エサはあげてたけど、特別可愛いやつだとは思ってなかったな。
瑞希:え?
悠:そうだよな。ははっ。いや、可愛かったのかも。じゃなきゃ、空の水槽なんて置かないよな。
瑞希:そんなに好きだったんだ。
悠:どうだろうなぁ。
瑞希:......。
悠:どうしたの? まさか嫉妬した?
瑞希:なわけないじゃん。魚相手に嫉妬なんて。
悠:ははっ。
瑞希:......でも、してるかも。嫉妬。
悠:え?
瑞希:だって、ただの黒い出目金なのに、どうしてそんなに悠くんに思ってもらっているのかって。ちょっと気になっちゃった。
悠:どうしてなんだろうな。......あのさ。出目金って、その名の通り、目が大きいわけじゃん?
瑞希:うん。
悠:それが良かったんだよな。ずっと視線を感じるというか。その感覚が。
瑞希:ふぅん。よくわかんないの。で、その金魚が死んじゃってからは他のは飼わなかったの?
悠:飼わな、かったなぁ。他の動物も一切。
瑞希:どうして?
悠:うん。わかんない。
瑞希:それこそ変なのー。
悠:......あー。うん、僕もよくわかんないんだけどさ。
瑞希:なあに?
悠:この水槽が部屋にあったから、かも。出目金が死んでからも綺麗に洗って、同じ場所に置いてたんだ。
瑞希:......え? なんのために?
悠:これがあるとさ、なんだか見られてる気がするんだよ。あいつがまだそこに居るみたいな、さ。
瑞希:そ。
悠:え、なに、おこった?
瑞希:......私が初めての彼女だって言ってたのに。
悠:や、ほんとだよ? どうして金魚と比べるのさ。
瑞希:私たち、付き合ってもうすぐ三ヶ月じゃん? なのにさ。
悠:なに。
瑞希:その、してないよね。
悠:してないって?
瑞希:言わせないでよ。
悠:ごめん。
瑞希:ね。ここでチューしてもいい?
悠:え? 急にそんな。
瑞希:ほんとに急かな?
悠:......。
瑞希:悠くんの部屋で、何回も何回もこんなに近くに居るのに、全然してくれないじゃん。
悠:それは。
瑞希:ねえ。今、この球体水槽の前でキスして。愛してるって言って。ねぇ今すぐ......言って。(じゃないと......)
悠:す、好きだよ。もちろん。ただ。
瑞希:ただ何よ。......言えないんだ。
悠:違うんだ、本当に、そういうことじゃなくて。
瑞希:じゃあなに。
悠:愛してるよ! もっと、愛してるって言いたいけどさ。......でもさ。ごめんね。
瑞希:......ごめんって、なによ。
悠:笑わないでよ。ホントのこと言うと、本当に瑞希が初めての彼女だから。だから、どうしていいか分からなかったんだ。
瑞希:悠くん......。
悠:瑞希。
瑞希:じゃあさ。水槽、どけよ。
悠:え、いや、それは。
瑞希:ダメなの?
悠:ダメじゃないけど。
瑞希:じゃあ水槽の前でする?
悠:え......。
瑞希:どうしていやがるの。
悠:別に嫌がってるわけじゃ。
瑞希:じゃあ良いじゃん。
悠:待って! 待って、瑞希!
0:球体水槽が落ちる。
0:SE(ガラスが落ちて割れる音)
悠:ぁあ! ......水槽が。水槽が。
瑞希:水槽なんかなくても、私が悠くんのこと見てるよ?
悠:......瑞希。
瑞希:だから、ほら。
悠:あっ。
瑞希:ね。触って、私の金魚。
悠:......うん。
瑞希:もう誰も見てないもんね。