台本概要

 308 views 

タイトル 貴方がいたから、私は。【性別不問】
作者名 なおと(ばあばら)  (@babara19851985)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 あの人を喪うなんて、考えてもいなかった。想像していなかった。
唐突な別れに、気持ちの整理をするためと、悲しみより何より「感謝」をしたくて書いた文章です。
非常に個人的な文章ですが、よろしければ読んで頂けると嬉しいです。
男女どちらでも可能です。一人称の変更も可です。内容の大幅な変更も可です。あなたの好きなように読んで下さい。

 308 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
語り手 不問 15 あなたです。あなたの声で話しましょう。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
語り手:ふと、思う。 語り手:貴方がいなかったら、私は今よりももっと……。 0: 0:≪空白≫ 0: 語り手:私は、昔から内向的な子供だった。 語り手:自分の意見を伝えることが苦手で、自分から人に話しかけることができなくて、 語り手:でもそのくせ我(が)が強くて、人と協調することができなくて。 0: 語り手:思春期になると、その傾向はもっと強くなって。 語り手:誰とも言葉を交わせないくらいに、肥大した自意識に閉じ込められてしまった時期もあった。 0: 語り手:でも、そんな時でも、 語り手:どんな時でも、 語り手:いつも貴方は、私と一緒にいてくれた。 0: 語り手:私と違って、協調性のある貴方は、私を皆の輪の中に溶け込ませてくれた。 語り手:私と違って、ポジティブな貴方が、いてくれるだけで心が軽くなった。 語り手:私と違って、健康的な心根の貴方を、私は羨ましいと思った。 0: 語り手:貴方みたいになりたいと思った。 語り手:思い続けてきた。 語り手:子供の頃も、大人になった今でも、 語り手:ずっとずっと、私は、貴方に憧れ続けてきた。 0: 語り手:だから、今はまだ、 語り手:気持ちの整理が、つかない。 語り手:突然、貴方を喪(うしな)って、 語り手:決して追いつけないとわかっていながら、追いかけ続けたこの気持ちは、 語り手:今、どこに運べばいいの? 語り手:ねぇ。 語り手:ねぇ、どうすればいいの? 語り手:ねぇ。 語り手:私は……。 0: 0:≪空白≫ 0: 語り手:大丈夫。 語り手:うん、大丈夫なんだ。 語り手:貴方がいたスペースは、ぽっかりと空間ができてしまったように見えるけど、 語り手:それは違う。 0: 語り手:そこには、貴方が遺してくれたものがあるの。 語り手:だから、大丈夫。 0: 語り手:貴方に出会っていなかったら、 語り手:こんな喪失感を味わうことなんて、なかったかもしれない。 語り手:けれど、 語り手:貴方に出会ったから、『人並み』に喪失を受け入れられる、強さを持てた気がする。 0: 語り手:『人並み』。 語り手:そう、『人並み』。 語り手:私が『人並み』になれたのは、貴方のお陰なんだ。 0: 語り手:貴方がいなかったら、私は今よりも、 語り手:もっともっと、 語り手:『人未満』だった気がする。 0: 語り手:子供時代の私を『人』に育んでくれたのは、貴方。 語り手:思春期の危うい私を「そっちじゃない。こっちだよ」って、手を引いてくれたのは、貴方。 語り手:大人になって、貴方を忘れかけた頃に、「オッス」って朗らかに声をかけてくれたのは、貴方。 0: 語り手:私の人生のいついかなる時にも、貴方はいてくれた。 語り手:だから、大丈夫。 語り手:これからも、 語り手:貴方の遺してくれた、貴方のかけらを見つめて、 語り手:生きていけそうだよ。 0: 語り手:貴方がいたから、私は楽しかった。 語り手:貴方が大好きだったから、 語り手:その気持ちとともに、 語り手:私はこれからも、生きていけるよ。

語り手:ふと、思う。 語り手:貴方がいなかったら、私は今よりももっと……。 0: 0:≪空白≫ 0: 語り手:私は、昔から内向的な子供だった。 語り手:自分の意見を伝えることが苦手で、自分から人に話しかけることができなくて、 語り手:でもそのくせ我(が)が強くて、人と協調することができなくて。 0: 語り手:思春期になると、その傾向はもっと強くなって。 語り手:誰とも言葉を交わせないくらいに、肥大した自意識に閉じ込められてしまった時期もあった。 0: 語り手:でも、そんな時でも、 語り手:どんな時でも、 語り手:いつも貴方は、私と一緒にいてくれた。 0: 語り手:私と違って、協調性のある貴方は、私を皆の輪の中に溶け込ませてくれた。 語り手:私と違って、ポジティブな貴方が、いてくれるだけで心が軽くなった。 語り手:私と違って、健康的な心根の貴方を、私は羨ましいと思った。 0: 語り手:貴方みたいになりたいと思った。 語り手:思い続けてきた。 語り手:子供の頃も、大人になった今でも、 語り手:ずっとずっと、私は、貴方に憧れ続けてきた。 0: 語り手:だから、今はまだ、 語り手:気持ちの整理が、つかない。 語り手:突然、貴方を喪(うしな)って、 語り手:決して追いつけないとわかっていながら、追いかけ続けたこの気持ちは、 語り手:今、どこに運べばいいの? 語り手:ねぇ。 語り手:ねぇ、どうすればいいの? 語り手:ねぇ。 語り手:私は……。 0: 0:≪空白≫ 0: 語り手:大丈夫。 語り手:うん、大丈夫なんだ。 語り手:貴方がいたスペースは、ぽっかりと空間ができてしまったように見えるけど、 語り手:それは違う。 0: 語り手:そこには、貴方が遺してくれたものがあるの。 語り手:だから、大丈夫。 0: 語り手:貴方に出会っていなかったら、 語り手:こんな喪失感を味わうことなんて、なかったかもしれない。 語り手:けれど、 語り手:貴方に出会ったから、『人並み』に喪失を受け入れられる、強さを持てた気がする。 0: 語り手:『人並み』。 語り手:そう、『人並み』。 語り手:私が『人並み』になれたのは、貴方のお陰なんだ。 0: 語り手:貴方がいなかったら、私は今よりも、 語り手:もっともっと、 語り手:『人未満』だった気がする。 0: 語り手:子供時代の私を『人』に育んでくれたのは、貴方。 語り手:思春期の危うい私を「そっちじゃない。こっちだよ」って、手を引いてくれたのは、貴方。 語り手:大人になって、貴方を忘れかけた頃に、「オッス」って朗らかに声をかけてくれたのは、貴方。 0: 語り手:私の人生のいついかなる時にも、貴方はいてくれた。 語り手:だから、大丈夫。 語り手:これからも、 語り手:貴方の遺してくれた、貴方のかけらを見つめて、 語り手:生きていけそうだよ。 0: 語り手:貴方がいたから、私は楽しかった。 語り手:貴方が大好きだったから、 語り手:その気持ちとともに、 語り手:私はこれからも、生きていけるよ。