台本概要
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タイトル | ファントムシーフの標的 |
---|---|
作者名 | 彰人 (@Akito__2800) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 5人用台本(男4、女1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
どこかもわからない美術館で目覚めた青年のユウタ、彼はそこで、怪盗だという女に出会う。 怪盗が狙うのは、サファイアの奇跡という宝石 しかしそれを嗅ぎつけた警備隊は厳重な警備に入る ユウタと女怪盗はサファイアの奇跡を盗めるのか 118 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ユウタ | 男 | 81 | 目が覚めたら美術館にいた青年で、普段はホストで働いてる |
レイナ | 女 | 83 | 美術館でユウタが出会った、女怪盗、「サファイアの奇跡」という宝石を狙っている。 |
マモル | 男 | 34 | 美術館の警備隊の警備隊長で、警備隊を指揮するリーダー |
ガンス | 男 | 23 | 警備隊歴としては、マモルと少ししか変わらないベテラン警備員 |
ハルト | 男 | 19 | 少し前に警備隊になったばかりの、新米警備員 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ユウタ:これは、少し不思議であり得ないような実際に俺の身に起こったスリル体験談である
0:長い間
ユウタ:んー、え、どこだここ、真っ暗だし、絶対家じゃない、なんで俺はこんなとこに
ユウタ:それと、なんだろうこの感触、枕ではないけど、柔らかくて肌触りが良い
レイナ:ちょっと、いつまで私の膝に寝転んでる気?
ユウタ:え!?あ、す、すいません!
レイナ:ちょっ、バレるから大声出さないで
ユウタ:あ、すいません
レイナ:はぁ、全く、ここまで連れてくるの大変だったんだからね
ユウタ:え?
レイナ:昨日のこと、もう忘れたの?
ユウタ:昨日のこと
レイナ:全く、あんたがホストの客引きしてたから、私に協力するという条件の元、あんたのホストに行って一番高い酒を頼んであげたんでしょ
レイナ:この私がホストクラブに行くなんて、一生に一度あるかないかくらいよ
レイナ:それなのにあんたは約束の時間になっても爆睡してるし、どんだけ起こしても起きないし、あげくの果てにはここに連れてくるまでの間にも起きず、私の膝に膝枕をする始末
レイナ:どんだけノンレム睡眠してんのよあんた
ユウタ:あ、す、すいません
ユウタ:あの、ところでここは
レイナ:とある美術館の天井裏よ
ユウタ:美術館の天井裏?どうしてまたそんなことに
レイナ:あぁ、そういえば何に協力して貰うか言ってなかったわね
レイナ:あなたは、私の計画に協力してもらうわ
ユウタ:け、計画?
レイナ:そう
ユウタ:どんな計画なんですか?
レイナ:今ね、この美術館ではサファイアの中でもとても貴重なサファイア、通称、サファイアの奇跡と呼ばれるものが展示されているの
ユウタ:そ、そうなんですか
レイナ:私はそのサファイアの奇跡が欲しい、だからあんたに協力してもらう、いい?
ユウタ:そ、そんな、犯罪じゃないですか!
ユウタ:で、できませんよ、犯罪に協力するなんて!
レイナ:あらそう、じゃあこの計画は極秘だから知ってしまったあんたには、消えてもらう必要があるわね、警察に通報でもされたら大変
0:レイナ、手持ちの拳銃を取り出す
ユウタ:ひっ
レイナ:もう一度だけ聞いてあげる、私に協力する?しない?
ユウタ:し、します・・・
レイナ:よろしい
レイナ:安心しなさい、私はプロの怪盗よ
レイナ:そう簡単に捕まったりはしないわ
レイナ:必ずあんたのことは無事に帰してあげる
ユウタ:わ、わかりました・・・
0:警備員室
マモル:いいか!絶対にサファイアの奇跡は誰にも盗まれてはならない!
マモル:夜も眠らず、厳重に警備しろ!
ガンス:もちろんです!サファイアの奇跡は必ず守ってみせます!
ハルト:が、頑張ります!
マモル:いい意気込みだ
ハルト:でも、具体的に何をすればいいんですか
マモル:誰か一人は監視室でずっと見張りをしていなきゃいけない、ガンス、お前に任せようと思う
ガンス:わかりました
マモル:不審なやつが映ったら、すぐに映ってる場所がどこかを連絡してくれ
ガンス:任せてください、もう警備歴は十二年ですよ
マモル:頼りがいがあるな
マモル:そして新米!
ハルト:は、ハルトです
マモル:ハルト、お前は適当にサファイアの奇跡の近くをウロウロしてろ
マモル:怪しいヤツがいたら捕らえろ
ハルト:わかりました!頑張ります!
マモル:いいか、失敗は許されないぞ
マモル:捕まえる努力はしましたがサファイアの奇跡は盗まれてしまいましたじゃ、ダメだからな?
ハルト:は、はい!
ガンス:マモルさんは何を?
マモル:俺は館内全体を歩き回って、怪盗の行方を追う
マモル:もしその途中で怪盗と出くわした場合は、俺が始末するから安心しとけ
ガンス:お願いします
マモル:怪盗か、こんなふざけた予告状を送りよって
0:レイナたちのシーンへ
ユウタ:あの
レイナ:何?
ユウタ:よく映画とかドラマで見る怪盗は、予告状ってものを送ってるんですが、実際の怪盗はあんなことしないですよね?
レイナ:何言ってるの?するに決まってるじゃない
ユウタ:え!?するんですか!?
レイナ:ええ、するわよ
ユウタ:一体なんのために、あんなのただの挑発でしかないのに
レイナ:その、ただの挑発よ
ユウタ:え?
レイナ:私はその宝を絶対に盗むという自信の現れでもあるけどね
ユウタ:な、なるほど
ユウタ:でも予告状なんて送らない方が簡単に盗めるのに、それでも怪盗は予告状を送る
レイナ:一概には言えないけど、怪盗ってのはスリルを楽しんでるのよ
ユウタ:スリル?
レイナ:そう、現にあんたも今、体験してるでしょ?
レイナ:いつ警備員に見つかるかもわからないスリル
ユウタ:た、確かに・・・
レイナ:そういうこと
レイナ:じゃ、そろそろサファイアの奇跡の展示室まで行くわよ
ユウタ:ど、どうやって行くんです?
レイナ:このままできるだけ天井裏から展示室に近づいた方がいいわね
レイナ:天井裏なんてガバガバだもの
ユウタ:そ、そうなんですね
レイナ:さ、行くわよ、ついてきて
0:警備隊のシーンへ
マモル:ガンス、特に不審な人物は映ってないか?
ガンス:しっかり目を凝らして見てますが、どのカメラにも不審な人物は映りませんねぇ
マモル:それならいい、きっちりこの後も頼む
マモル:新米、そっちは特に変わりないか?
ハルト:ハルトです
マモル:ハルト!
ハルト:今、サファイアの奇跡の展示室前の廊下をウロウロしてますが特に怪しい人物はいません
マモル:わかった!こっちも特に変わりはない、二人ともこの後もしっかり頼む
0:レイナたちのシーンへ
レイナ:やっぱり天井裏はガバガバみたいね、レーザーとかは全く張ってないみたい
ユウタ:いつまで天井裏いるんですか?すごい窮屈なんですが
レイナ:あんた細いくせに、窮屈とか言わないで、こっちがダメージ受けるから
ユウタ:あぁ、すいません
レイナ:でもそろそろ、サファイアの奇跡の展示室の上ら辺のはずよ
レイナ:天井、開けるわよ
ユウタ:はい
レイナ:・・・やっぱり、あったわ、サファイアの奇跡
ユウタ:じゃあさっさと盗って帰りましょうよ
レイナ:何言ってるの、慎重にやらなきゃ、展示室内にはたくさんの罠が仕掛けられてるわ
ユウタ:例えばどんな
レイナ:足音で察知するブザー、触れたら音が鳴るレーザー
ユウタ:サラダはシーザー、制服はブレザー、お前は俺のブラザー
レイナ:誰が韻を踏めなんて言ったのよ
レイナ:あと、私はあんたのブラザーでもなんでもないから
ユウタ:すいません、ちょっとリラックスしようと
レイナ:緊張感やスリルはつきものって言ったでしょうが
ユウタ:でもあまりに固くなりすぎかと
レイナ:はぁ、もし計画に失敗したら、ホストで飲んだ分の料金は返してもらうわ
ユウタ:え、それはダメですよ、酒は飲んだんですから
レイナ:店から返してもらおうなんて思ってないわよ
レイナ:あんたから直接、返してもらうわ、で、あんたの奢りってことで
ユウタ:僕の生活費の財源をなんだと
レイナ:失敗しなきゃいい話でしょ
ユウタ:高確率で僕が足を引っ張るので厳しいかと
レイナ:本気でやめて
ユウタ:あれ、足を引っ張るなら帰れってならないんですか?
レイナ:ふふふ、そろそろいっぺん撃とうか?あんたのこと
ユウタ:そうだった、この人、銃刀法違反してるんだった
レイナ:やめてよそんな言い方
ユウタ:事実じゃないですか
レイナ:事実じゃないから・・・
ユウタ:へ?
レイナ:はぁ、モデルガンだから
ユウタ:え
レイナ:だから言いたくなかったのよ、モデルガンだと舐められるから
レイナ:まぁモデルガンと言わなくても?あんたは私のこと、相当舐めてるみたいだけど
ユウタ:な、舐めてなんかいませんよ!
ユウタ:めちゃくちゃ尊敬してます
レイナ:その態度で?
ユウタ:ほら、こういうのって、ちょっと中学生っぽいノリとかの方が楽しくないですか?
レイナ:こっちは真剣なの、そんなノリとかいらないから
ユウタ:わかりましたよ、もう・・・
0:警備隊のシーンへ
ガンス:はぁ、全く、もうそろ時間になるというのに、怪盗の姿は一向に見えずか
マモル:お、おいガンス!新米!
ハルト:ハルトです!
マモル:どうでもいい!
ガンス:どうしましたマモルさん!?
マモル:いやな、怪盗が来る一時間前くらいに私とガンス、新米の体重を含むこの美術館の総重量を測ったんだがな
ガンス:・・・どうやってですか?
マモル:この際、そんなのはどうでもいいだろう!
マモル:試しに、もう一度測ってみたら重量が増えてるんだ!
ガンス:ど、どのくらい増えてるんです?
マモル:だいたい百キロぐらい増えておる
ハルト:怪盗ってそんなに太ってるんですか
ガンス:いや、きっと二人分の体重が加算されてるんだろう
ガンス:どうやってそんなの測ったのかは知りませんが、とにかく怪盗はもうここにいるってことですね?
マモル:そのようだな・・・
ガンス:しかし監視カメラには一向に怪盗の姿は見えませんでした
マモル:きっと全ての監視カメラの位置を把握して映らないように道を選んでるんだろう
ガンス:しかし、サファイアの奇跡の展示室まで向かうには、どのルートを通っても必ず監視カメラの前を二回は通らなくてはいけないはずです
ハルト:それに、右方も左方もくまなく確認しましたが怪盗らしき人物はどこにも
マモル:きっとまだ展示室近くにいないだけで館内にはいるんだろう
ガンス:じゃあ再び、徹底して監視しましょう
マモル:あぁ、そうだな
0:レイナたちのシーンへ
レイナ:天井裏にいるから、下の会話、筒抜けだけど、こんなに天井裏のこと見向きもしない美術館は初めてね
ユウタ:普通は、天井裏も警備するもんなんですか?
レイナ:怪盗が天井裏に潜んでるなんて、よくあることよ
レイナ:だから何かしらの警備がされていて、普段は乗り越えなきゃいけないんだけど
ユウタ:でも、油断したらどこかに隠しカメラが設置されてたりするかもですよ??
レイナ:そうね、油断はできないわ
ユウタ:それに、サファイアの奇跡に触れるには、展示室内に一回降りなくては
レイナ:わかってるわ
ユウタ:どう降りるんです?飛び降りますか?
レイナ:バカなの?そんなことしたら、一瞬で警備員に見つかるわよ
ユウタ:じゃあ、どうするんですか?
レイナ:ロープを使ってゆっくりと降りるのよ
ユウタ:あー、なんかよくありますよね、一本のぶらさがったロープに掴まってやるやつ
レイナ:まぁ、そのやつね
レイナ:さ、ここからは、ふざけてたらすぐに捕まってしまうわ
レイナ:サファイアの奇跡に、一点集中よ
ユウタ:わ、わかりました
レイナ:・・・慎重に、慎重にね、じゃあ、気をつけて行ってきて
ユウタ:え、僕が先ですか?
レイナ:先を行きなさい。若人よ
ユウタ:わかりましたよ、もう
レイナ:絶対に音をたてないでよ?
レイナ:どこにレーザーがあるかわからないから、気配を感じ取って
ユウタ:・・・
レイナ:・・・何してんのよ
ユウタ:僕わかります、これ確実に無数のレーザー張られてます
レイナ:だからそうだって言ってるでしょ
ユウタ:そして間違いなくレーザーに触れます
ユウタ:結論、行きたくありません
レイナ:男のくせに意気地無いわね
ユウタ:あの、諦めません?
レイナ:無理
レイナ:多少の危険が伴おうとも、サファイアの奇跡を手にするまではここから帰れないわ
ユウタ:じゃあ一人でやってくださいよぉ
レイナ:あんたここまで来てそんなこと言う?
レイナ:わかったわ、私が行くから
レイナ:あんたはそのロープを離さないで持ってて
ユウタ:えっと、それは
レイナ:フリとかじゃなく真剣に持ってて
ユウタ:あっはい
ユウタ:でもサファイアの奇跡を取ったら、重さが変わって何かが反応したりとかあるんじゃ
レイナ:あら、急に鋭いわね、もちろん、代わりになるものも用意してるわよ
レイナ:サファイアの奇跡を取ったらこれを置く
ユウタ:いやそれただの石ころでは
レイナ:そうよ、でも重さはサファイアの奇跡と同じ、43グラム
レイナ:同じ大きさのものをおけば大丈夫でしょう
ユウタ:ここに来て僕、捕まりたくないですよ
レイナ:任せなさい
0:警備隊のシーンへ
ガンス:どこを探しても怪盗は見当たりませんでしたが、展示室にまだサファイアの奇跡はありました、ここはもう展示室の前で待ち伏せしておくのが得策ではないでしょうか?
ハルト:そうですね、この扉を超えなければ、サファイアの奇跡に辿り着く道はない、どんな手を使ってでもこの扉の前に姿を現すはずです
マモル:そうだな、それにサファイアの奇跡がもし万が一、何者かによって持ち去られた場合、重さに変動が起きる
マモル:すると重さの変動を検知して警報機が鳴るシステムになっている
ガンス:さすがマモルさんです、抜かりないですね
ハルト:僅かな変動でも、反応するんですか?
マモル:あぁ、このサファイアの奇跡の重さは43グラム、1グラムでも異変があれば反応する
ハルト:なら盗むなんて不可能じゃないですか
マモル:あぁ、さすがに怪盗もこのシステムを掻い潜ることはできるわけあるまい
0:レイナたちのシーンへ
ユウタ:慎重に頼みますよ
レイナ:うるさいわね、何よここにきて
ユウタ:ここまで来たからこそですよ
ユウタ:もう立派な共犯者なんですから、何も成果を得ないなんてごめんですよ
レイナ:そうね、私もそのつもり
レイナ:集中させてほしいの、あまり声をかけないで
ユウタ:わ、わかりました
レイナ:じゃあ、行ってくるわ
ユウタ:・・・
レイナ:・・・大丈夫よ、練習通りにやれば必ずいける
レイナ:ちょっとずつ浮かせて、ちょっとずつ石を乗せる
レイナ:そうすれば重さは均等になる・・・あとはこのまま警備隊に見つかる前に
ハルト:しっかし本当にサファイアのきせ・・・え?
レイナ:っ!?
ハルト:えっと、も、もしや怪盗
ハルト:っぐ!?
レイナ:静かにしなさい、少しでも騒いだら撃つわよ
0:レーザーが反応して音が鳴る
レイナ:しまった・・・
マモル:な、なんだなんだ、この音は
ガンス:サファイアの奇跡の展示室からです、何者かがレーザーのセキュリティに触れたのかと
マモル:なんだと?警備隊はセキュリティを解除してある、新米が触れても音は鳴らないはずだ
ガンス:となると本当に怪盗が・・・急ぎましょう!
マモル:あぁ!怪盗め、ついに動き出したか
レイナ:ちょっと、一旦引き上げてちょうだい!
ユウタ:そう言われても、結構重い、んですよ
レイナ:失礼な男ね!
ユウタ:うわぁ!
レイナ:きゃっ!
レイナ:っ、あんたはそのまま天井裏から逃げなさい!
ユウタ:えっでも
レイナ:いいから早く!
ユウタ:な、何も役に立てなくてごめんなさい!
ハルト:え、え、えっと、えっと、これは捕まえれば?
レイナ:くっ!
0:窓ガラスを割って飛び降りる
ハルト:えええ!?
ハルト:ちょ、窓、えっ
ガンス:怪盗は捕まえられたか!
マモル:な、なんだこの有様は・・・
ハルト:怪盗は逃げてしまいました・・・
マモル:なに!?さ、サファイアの奇跡は!?
ガンス:どうやらサファイアの奇跡は無事のようですね
マモル:ふん・・・ならいいか、よくサファイアの奇跡を守ってくれた
ガンス:よくやったな、ハルト
ハルト:あ、あ、よ、良かったです
マモル:ただこの窓ガラスはどうするかね・・・
ガンス:サファイアの奇跡に比べたら、被害は全然
マモル:ま、数万でなんとかなるか
ガンス:そうですねぇ、とりあえず怪盗は諦めたみたいですし、私は帰りますかね
マモル:あぁ、俺も帰る
0:レイナたちのシーンへ
ユウタ:か、顔、傷だらけじゃないですか
レイナ:顔から窓ガラスに突っ込んだからね
レイナ:でも平気よ、窓ガラスから飛び込むなんて慣れたこと
ユウタ:・・・結局、何も成果、得られませんでしたね
レイナ:そうかしら?
ユウタ:え、なんか得られたものありました?
レイナ:そうね、サファイアの奇跡は得られなかった
レイナ:でも、サファイアの奇跡なんかよりもっと価値の高いものを得られたんじゃないかしら
ユウタ:な、なんですか
レイナ:うーん、内緒
ユウタ:えー、内緒なんですか
レイナ:まぁ、色々あったけど、最後まで付き合ってくれてありがとうね
ユウタ:えっ、もういいんですか
レイナ:これ以上は巻き込むわけにはいかないわ、あなたは元々、怪盗でもなんでもないもの
ユウタ:何言ってるんですか、僕はもう立派な共犯者なんです
ユウタ:今更、ついてくんななんて言わないでくださいよ・・・
レイナ:・・・いつ捕まるかわからないのよ、その覚悟できてる?
ユウタ:もちろん、捕まる時は一緒ですよ
ユウタ:僕はあなたと一緒に盗みをしたい
レイナ:あんたはもう、とても大きなものを盗んでるわ
ユウタ:え?
レイナ:私から・・・ね?
ユウタ:え、えっと、それはつまりどういう
レイナ:はぁー、鈍感ねぇ、まぁいいわ
レイナ:それじゃ、また三日後、別の美術館に行くけどいい?
ユウタ:ええ、どこまででも
ユウタ:これは、少し不思議であり得ないような実際に俺の身に起こったスリル体験談である
0:長い間
ユウタ:んー、え、どこだここ、真っ暗だし、絶対家じゃない、なんで俺はこんなとこに
ユウタ:それと、なんだろうこの感触、枕ではないけど、柔らかくて肌触りが良い
レイナ:ちょっと、いつまで私の膝に寝転んでる気?
ユウタ:え!?あ、す、すいません!
レイナ:ちょっ、バレるから大声出さないで
ユウタ:あ、すいません
レイナ:はぁ、全く、ここまで連れてくるの大変だったんだからね
ユウタ:え?
レイナ:昨日のこと、もう忘れたの?
ユウタ:昨日のこと
レイナ:全く、あんたがホストの客引きしてたから、私に協力するという条件の元、あんたのホストに行って一番高い酒を頼んであげたんでしょ
レイナ:この私がホストクラブに行くなんて、一生に一度あるかないかくらいよ
レイナ:それなのにあんたは約束の時間になっても爆睡してるし、どんだけ起こしても起きないし、あげくの果てにはここに連れてくるまでの間にも起きず、私の膝に膝枕をする始末
レイナ:どんだけノンレム睡眠してんのよあんた
ユウタ:あ、す、すいません
ユウタ:あの、ところでここは
レイナ:とある美術館の天井裏よ
ユウタ:美術館の天井裏?どうしてまたそんなことに
レイナ:あぁ、そういえば何に協力して貰うか言ってなかったわね
レイナ:あなたは、私の計画に協力してもらうわ
ユウタ:け、計画?
レイナ:そう
ユウタ:どんな計画なんですか?
レイナ:今ね、この美術館ではサファイアの中でもとても貴重なサファイア、通称、サファイアの奇跡と呼ばれるものが展示されているの
ユウタ:そ、そうなんですか
レイナ:私はそのサファイアの奇跡が欲しい、だからあんたに協力してもらう、いい?
ユウタ:そ、そんな、犯罪じゃないですか!
ユウタ:で、できませんよ、犯罪に協力するなんて!
レイナ:あらそう、じゃあこの計画は極秘だから知ってしまったあんたには、消えてもらう必要があるわね、警察に通報でもされたら大変
0:レイナ、手持ちの拳銃を取り出す
ユウタ:ひっ
レイナ:もう一度だけ聞いてあげる、私に協力する?しない?
ユウタ:し、します・・・
レイナ:よろしい
レイナ:安心しなさい、私はプロの怪盗よ
レイナ:そう簡単に捕まったりはしないわ
レイナ:必ずあんたのことは無事に帰してあげる
ユウタ:わ、わかりました・・・
0:警備員室
マモル:いいか!絶対にサファイアの奇跡は誰にも盗まれてはならない!
マモル:夜も眠らず、厳重に警備しろ!
ガンス:もちろんです!サファイアの奇跡は必ず守ってみせます!
ハルト:が、頑張ります!
マモル:いい意気込みだ
ハルト:でも、具体的に何をすればいいんですか
マモル:誰か一人は監視室でずっと見張りをしていなきゃいけない、ガンス、お前に任せようと思う
ガンス:わかりました
マモル:不審なやつが映ったら、すぐに映ってる場所がどこかを連絡してくれ
ガンス:任せてください、もう警備歴は十二年ですよ
マモル:頼りがいがあるな
マモル:そして新米!
ハルト:は、ハルトです
マモル:ハルト、お前は適当にサファイアの奇跡の近くをウロウロしてろ
マモル:怪しいヤツがいたら捕らえろ
ハルト:わかりました!頑張ります!
マモル:いいか、失敗は許されないぞ
マモル:捕まえる努力はしましたがサファイアの奇跡は盗まれてしまいましたじゃ、ダメだからな?
ハルト:は、はい!
ガンス:マモルさんは何を?
マモル:俺は館内全体を歩き回って、怪盗の行方を追う
マモル:もしその途中で怪盗と出くわした場合は、俺が始末するから安心しとけ
ガンス:お願いします
マモル:怪盗か、こんなふざけた予告状を送りよって
0:レイナたちのシーンへ
ユウタ:あの
レイナ:何?
ユウタ:よく映画とかドラマで見る怪盗は、予告状ってものを送ってるんですが、実際の怪盗はあんなことしないですよね?
レイナ:何言ってるの?するに決まってるじゃない
ユウタ:え!?するんですか!?
レイナ:ええ、するわよ
ユウタ:一体なんのために、あんなのただの挑発でしかないのに
レイナ:その、ただの挑発よ
ユウタ:え?
レイナ:私はその宝を絶対に盗むという自信の現れでもあるけどね
ユウタ:な、なるほど
ユウタ:でも予告状なんて送らない方が簡単に盗めるのに、それでも怪盗は予告状を送る
レイナ:一概には言えないけど、怪盗ってのはスリルを楽しんでるのよ
ユウタ:スリル?
レイナ:そう、現にあんたも今、体験してるでしょ?
レイナ:いつ警備員に見つかるかもわからないスリル
ユウタ:た、確かに・・・
レイナ:そういうこと
レイナ:じゃ、そろそろサファイアの奇跡の展示室まで行くわよ
ユウタ:ど、どうやって行くんです?
レイナ:このままできるだけ天井裏から展示室に近づいた方がいいわね
レイナ:天井裏なんてガバガバだもの
ユウタ:そ、そうなんですね
レイナ:さ、行くわよ、ついてきて
0:警備隊のシーンへ
マモル:ガンス、特に不審な人物は映ってないか?
ガンス:しっかり目を凝らして見てますが、どのカメラにも不審な人物は映りませんねぇ
マモル:それならいい、きっちりこの後も頼む
マモル:新米、そっちは特に変わりないか?
ハルト:ハルトです
マモル:ハルト!
ハルト:今、サファイアの奇跡の展示室前の廊下をウロウロしてますが特に怪しい人物はいません
マモル:わかった!こっちも特に変わりはない、二人ともこの後もしっかり頼む
0:レイナたちのシーンへ
レイナ:やっぱり天井裏はガバガバみたいね、レーザーとかは全く張ってないみたい
ユウタ:いつまで天井裏いるんですか?すごい窮屈なんですが
レイナ:あんた細いくせに、窮屈とか言わないで、こっちがダメージ受けるから
ユウタ:あぁ、すいません
レイナ:でもそろそろ、サファイアの奇跡の展示室の上ら辺のはずよ
レイナ:天井、開けるわよ
ユウタ:はい
レイナ:・・・やっぱり、あったわ、サファイアの奇跡
ユウタ:じゃあさっさと盗って帰りましょうよ
レイナ:何言ってるの、慎重にやらなきゃ、展示室内にはたくさんの罠が仕掛けられてるわ
ユウタ:例えばどんな
レイナ:足音で察知するブザー、触れたら音が鳴るレーザー
ユウタ:サラダはシーザー、制服はブレザー、お前は俺のブラザー
レイナ:誰が韻を踏めなんて言ったのよ
レイナ:あと、私はあんたのブラザーでもなんでもないから
ユウタ:すいません、ちょっとリラックスしようと
レイナ:緊張感やスリルはつきものって言ったでしょうが
ユウタ:でもあまりに固くなりすぎかと
レイナ:はぁ、もし計画に失敗したら、ホストで飲んだ分の料金は返してもらうわ
ユウタ:え、それはダメですよ、酒は飲んだんですから
レイナ:店から返してもらおうなんて思ってないわよ
レイナ:あんたから直接、返してもらうわ、で、あんたの奢りってことで
ユウタ:僕の生活費の財源をなんだと
レイナ:失敗しなきゃいい話でしょ
ユウタ:高確率で僕が足を引っ張るので厳しいかと
レイナ:本気でやめて
ユウタ:あれ、足を引っ張るなら帰れってならないんですか?
レイナ:ふふふ、そろそろいっぺん撃とうか?あんたのこと
ユウタ:そうだった、この人、銃刀法違反してるんだった
レイナ:やめてよそんな言い方
ユウタ:事実じゃないですか
レイナ:事実じゃないから・・・
ユウタ:へ?
レイナ:はぁ、モデルガンだから
ユウタ:え
レイナ:だから言いたくなかったのよ、モデルガンだと舐められるから
レイナ:まぁモデルガンと言わなくても?あんたは私のこと、相当舐めてるみたいだけど
ユウタ:な、舐めてなんかいませんよ!
ユウタ:めちゃくちゃ尊敬してます
レイナ:その態度で?
ユウタ:ほら、こういうのって、ちょっと中学生っぽいノリとかの方が楽しくないですか?
レイナ:こっちは真剣なの、そんなノリとかいらないから
ユウタ:わかりましたよ、もう・・・
0:警備隊のシーンへ
ガンス:はぁ、全く、もうそろ時間になるというのに、怪盗の姿は一向に見えずか
マモル:お、おいガンス!新米!
ハルト:ハルトです!
マモル:どうでもいい!
ガンス:どうしましたマモルさん!?
マモル:いやな、怪盗が来る一時間前くらいに私とガンス、新米の体重を含むこの美術館の総重量を測ったんだがな
ガンス:・・・どうやってですか?
マモル:この際、そんなのはどうでもいいだろう!
マモル:試しに、もう一度測ってみたら重量が増えてるんだ!
ガンス:ど、どのくらい増えてるんです?
マモル:だいたい百キロぐらい増えておる
ハルト:怪盗ってそんなに太ってるんですか
ガンス:いや、きっと二人分の体重が加算されてるんだろう
ガンス:どうやってそんなの測ったのかは知りませんが、とにかく怪盗はもうここにいるってことですね?
マモル:そのようだな・・・
ガンス:しかし監視カメラには一向に怪盗の姿は見えませんでした
マモル:きっと全ての監視カメラの位置を把握して映らないように道を選んでるんだろう
ガンス:しかし、サファイアの奇跡の展示室まで向かうには、どのルートを通っても必ず監視カメラの前を二回は通らなくてはいけないはずです
ハルト:それに、右方も左方もくまなく確認しましたが怪盗らしき人物はどこにも
マモル:きっとまだ展示室近くにいないだけで館内にはいるんだろう
ガンス:じゃあ再び、徹底して監視しましょう
マモル:あぁ、そうだな
0:レイナたちのシーンへ
レイナ:天井裏にいるから、下の会話、筒抜けだけど、こんなに天井裏のこと見向きもしない美術館は初めてね
ユウタ:普通は、天井裏も警備するもんなんですか?
レイナ:怪盗が天井裏に潜んでるなんて、よくあることよ
レイナ:だから何かしらの警備がされていて、普段は乗り越えなきゃいけないんだけど
ユウタ:でも、油断したらどこかに隠しカメラが設置されてたりするかもですよ??
レイナ:そうね、油断はできないわ
ユウタ:それに、サファイアの奇跡に触れるには、展示室内に一回降りなくては
レイナ:わかってるわ
ユウタ:どう降りるんです?飛び降りますか?
レイナ:バカなの?そんなことしたら、一瞬で警備員に見つかるわよ
ユウタ:じゃあ、どうするんですか?
レイナ:ロープを使ってゆっくりと降りるのよ
ユウタ:あー、なんかよくありますよね、一本のぶらさがったロープに掴まってやるやつ
レイナ:まぁ、そのやつね
レイナ:さ、ここからは、ふざけてたらすぐに捕まってしまうわ
レイナ:サファイアの奇跡に、一点集中よ
ユウタ:わ、わかりました
レイナ:・・・慎重に、慎重にね、じゃあ、気をつけて行ってきて
ユウタ:え、僕が先ですか?
レイナ:先を行きなさい。若人よ
ユウタ:わかりましたよ、もう
レイナ:絶対に音をたてないでよ?
レイナ:どこにレーザーがあるかわからないから、気配を感じ取って
ユウタ:・・・
レイナ:・・・何してんのよ
ユウタ:僕わかります、これ確実に無数のレーザー張られてます
レイナ:だからそうだって言ってるでしょ
ユウタ:そして間違いなくレーザーに触れます
ユウタ:結論、行きたくありません
レイナ:男のくせに意気地無いわね
ユウタ:あの、諦めません?
レイナ:無理
レイナ:多少の危険が伴おうとも、サファイアの奇跡を手にするまではここから帰れないわ
ユウタ:じゃあ一人でやってくださいよぉ
レイナ:あんたここまで来てそんなこと言う?
レイナ:わかったわ、私が行くから
レイナ:あんたはそのロープを離さないで持ってて
ユウタ:えっと、それは
レイナ:フリとかじゃなく真剣に持ってて
ユウタ:あっはい
ユウタ:でもサファイアの奇跡を取ったら、重さが変わって何かが反応したりとかあるんじゃ
レイナ:あら、急に鋭いわね、もちろん、代わりになるものも用意してるわよ
レイナ:サファイアの奇跡を取ったらこれを置く
ユウタ:いやそれただの石ころでは
レイナ:そうよ、でも重さはサファイアの奇跡と同じ、43グラム
レイナ:同じ大きさのものをおけば大丈夫でしょう
ユウタ:ここに来て僕、捕まりたくないですよ
レイナ:任せなさい
0:警備隊のシーンへ
ガンス:どこを探しても怪盗は見当たりませんでしたが、展示室にまだサファイアの奇跡はありました、ここはもう展示室の前で待ち伏せしておくのが得策ではないでしょうか?
ハルト:そうですね、この扉を超えなければ、サファイアの奇跡に辿り着く道はない、どんな手を使ってでもこの扉の前に姿を現すはずです
マモル:そうだな、それにサファイアの奇跡がもし万が一、何者かによって持ち去られた場合、重さに変動が起きる
マモル:すると重さの変動を検知して警報機が鳴るシステムになっている
ガンス:さすがマモルさんです、抜かりないですね
ハルト:僅かな変動でも、反応するんですか?
マモル:あぁ、このサファイアの奇跡の重さは43グラム、1グラムでも異変があれば反応する
ハルト:なら盗むなんて不可能じゃないですか
マモル:あぁ、さすがに怪盗もこのシステムを掻い潜ることはできるわけあるまい
0:レイナたちのシーンへ
ユウタ:慎重に頼みますよ
レイナ:うるさいわね、何よここにきて
ユウタ:ここまで来たからこそですよ
ユウタ:もう立派な共犯者なんですから、何も成果を得ないなんてごめんですよ
レイナ:そうね、私もそのつもり
レイナ:集中させてほしいの、あまり声をかけないで
ユウタ:わ、わかりました
レイナ:じゃあ、行ってくるわ
ユウタ:・・・
レイナ:・・・大丈夫よ、練習通りにやれば必ずいける
レイナ:ちょっとずつ浮かせて、ちょっとずつ石を乗せる
レイナ:そうすれば重さは均等になる・・・あとはこのまま警備隊に見つかる前に
ハルト:しっかし本当にサファイアのきせ・・・え?
レイナ:っ!?
ハルト:えっと、も、もしや怪盗
ハルト:っぐ!?
レイナ:静かにしなさい、少しでも騒いだら撃つわよ
0:レーザーが反応して音が鳴る
レイナ:しまった・・・
マモル:な、なんだなんだ、この音は
ガンス:サファイアの奇跡の展示室からです、何者かがレーザーのセキュリティに触れたのかと
マモル:なんだと?警備隊はセキュリティを解除してある、新米が触れても音は鳴らないはずだ
ガンス:となると本当に怪盗が・・・急ぎましょう!
マモル:あぁ!怪盗め、ついに動き出したか
レイナ:ちょっと、一旦引き上げてちょうだい!
ユウタ:そう言われても、結構重い、んですよ
レイナ:失礼な男ね!
ユウタ:うわぁ!
レイナ:きゃっ!
レイナ:っ、あんたはそのまま天井裏から逃げなさい!
ユウタ:えっでも
レイナ:いいから早く!
ユウタ:な、何も役に立てなくてごめんなさい!
ハルト:え、え、えっと、えっと、これは捕まえれば?
レイナ:くっ!
0:窓ガラスを割って飛び降りる
ハルト:えええ!?
ハルト:ちょ、窓、えっ
ガンス:怪盗は捕まえられたか!
マモル:な、なんだこの有様は・・・
ハルト:怪盗は逃げてしまいました・・・
マモル:なに!?さ、サファイアの奇跡は!?
ガンス:どうやらサファイアの奇跡は無事のようですね
マモル:ふん・・・ならいいか、よくサファイアの奇跡を守ってくれた
ガンス:よくやったな、ハルト
ハルト:あ、あ、よ、良かったです
マモル:ただこの窓ガラスはどうするかね・・・
ガンス:サファイアの奇跡に比べたら、被害は全然
マモル:ま、数万でなんとかなるか
ガンス:そうですねぇ、とりあえず怪盗は諦めたみたいですし、私は帰りますかね
マモル:あぁ、俺も帰る
0:レイナたちのシーンへ
ユウタ:か、顔、傷だらけじゃないですか
レイナ:顔から窓ガラスに突っ込んだからね
レイナ:でも平気よ、窓ガラスから飛び込むなんて慣れたこと
ユウタ:・・・結局、何も成果、得られませんでしたね
レイナ:そうかしら?
ユウタ:え、なんか得られたものありました?
レイナ:そうね、サファイアの奇跡は得られなかった
レイナ:でも、サファイアの奇跡なんかよりもっと価値の高いものを得られたんじゃないかしら
ユウタ:な、なんですか
レイナ:うーん、内緒
ユウタ:えー、内緒なんですか
レイナ:まぁ、色々あったけど、最後まで付き合ってくれてありがとうね
ユウタ:えっ、もういいんですか
レイナ:これ以上は巻き込むわけにはいかないわ、あなたは元々、怪盗でもなんでもないもの
ユウタ:何言ってるんですか、僕はもう立派な共犯者なんです
ユウタ:今更、ついてくんななんて言わないでくださいよ・・・
レイナ:・・・いつ捕まるかわからないのよ、その覚悟できてる?
ユウタ:もちろん、捕まる時は一緒ですよ
ユウタ:僕はあなたと一緒に盗みをしたい
レイナ:あんたはもう、とても大きなものを盗んでるわ
ユウタ:え?
レイナ:私から・・・ね?
ユウタ:え、えっと、それはつまりどういう
レイナ:はぁー、鈍感ねぇ、まぁいいわ
レイナ:それじゃ、また三日後、別の美術館に行くけどいい?
ユウタ:ええ、どこまででも