台本概要
154 views
タイトル | 貝になりたい【男女不問】 |
---|---|
作者名 | パイナップルMAN (@MAN24307569) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(男1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
作者からの特に指定はありません。 連絡はしていただいてもして頂かなくても、どちらでも結構です。 アドリブ、改変については流れから逸脱がない限りは問題ありません シナリオでは男と表記されていますが男女は不問とします 154 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
男 | 男 | 3 | 小説家 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:貝になりたい
男:震える手を握り筆を持つ。
男:過去や今、己の全て、他人の何かを糧とし書き連ねる。
男:モラルや倫理観などとうに捨てた。いつからか壊れてしまう。そんな思いをも捨てて私は書き連ねる。きっとこれが遺作として世に出るのであろう。暗く重い、そんな物語である。
男:自殺とは、自殺とはとても美しいと思う。己の命を己で区切る。とても良いでは無いか?ここまで美しく雅な散り方など他に思いつかない。
男:問題は方法だ、芥川のように眠剤でやるのか、太宰のように入水か、はたまた三島のように割腹か。
男:いいや違うダメだ、眠剤では華がない、入水や割腹は先人のインパクトが強すぎる。
男:あぁ、どうすれば良いのだ。
男:これが決まるまでは先延ばしにする他あるまい
0:
男:前回の残しから二年と四ヶ月がたった。方法がやっと決まった、私は首をくくろう。派手ではなくて良いのだ。
男:何をあそこまで悩んでいたのか。元来私は質素倹約だったでは無いか、最期も身の丈にあった散り方をしようぞ
男:改めて、これが世に出る頃には私は散ったあとであろう。なぜと聞かれれば疲れた、これに尽きてしまうのである。
男:ヒトの為の社会であるにはこの世は疲れすぎてしまう。皆が走り続けるなか、私は躓いてしまった。いいのだ、助けてくれなくて、皆必死である。躓かぬように、足を止めぬように、、死なぬようにな。
男:だが、私はこのかけっこに疲れ切ってしまった。何かを専念するには難しい世である。
男:やりたい事をするには強い芯が必要だ。それが無いものは念を押し殺し、耐えなければならぬ。
男:では?耐えられぬものは?残されている道は少ない。
男:その中で私はとても優雅な自殺を選んだのである。ただそれだけだ。これでは、遺作よりも遺書であるな。
男:最期はこの思考を贄とし、想いを残そう
男:怖いかと聞かれれば怖くは無い。我々はもう十分恐怖に悶えたでは無いか。
男:周りの期待、それに答えなくてはという重圧。それを気にかけてくれる者がいても裏があるのではと考えてしまう己に嫌気がさしたのだ。
男:これで良いかな?
男:自殺しか道がなかったのかと問われれば私は断言しかねる。こういった物を書くにあたっては読み手の捉え方に縋るしか出来ないのが悔やむところだ。
男:かの文豪のように物語を彩れたら苦労はしないのであろうが、私には才も何も無い。許しておくれよ。あくまで物語という言葉に頼る他ないのである。
男:ただ、一つ苦言を呈すのであれば、ここまで追い詰めたのは他ならぬヒトであることを承知願いたい。
男:まぁ、これも仕方の無いことである。余裕など生物には無いのだから。
男:どんなに聖人君子であられども、何か一つで朽ちてしまう。それがヒトなのだ。
男:自己嫌悪に陥らぬものであればどれほど良かった、、あぁ、いけないな。こう嘆くのは良くない。とても良くない。
男:他に自殺者に聞きたいことが何かあるかと考えても出てこないのである。であるからしてこの辺で遺作もとい遺書は終えさせてもらう。では、これからも走り続ける諸君。
男:健闘を祈る。私はヒトに生まれるには弱すぎた。次があることであれば深海の貝になりたい。
0:筆をしまう
男:「と、こんな所かね。弱い私を許しておくれよ。でも、私は十分だと思う。もちろん楽しいこともあったのだがな」
男:「辛いものの方が残ってしまうのだ。怖いのであるよ、やはり死は怖い。きっとこれを書いたのも逃げ道を消すためだろう。」
男:「(吹っ切れた笑い)」
男:「私も覚悟を決めるということが出来たのか!最後に知ることが出来て嬉しいよ私!」
男:「頑張ったな。もう十分だ、では先に行かせてもらう。悔いが残るとすれば、子が成せないことであるな。」
男:「まぁ、私の子である。その子も途中で私と同じようになると思うがな。」
男:「ふむ、やはり怖いのは事実であるな、独り言が止まらぬよ、紙にはいくらでも虚偽は書けるが、己を騙し切る事は出来ぬか。しかしこれも数分のことよ、話したいことは話しきるが良い私」
男:「あぁ、そうだな。私の人生を振り返り書き連ねても良かったな。おっと、これはいけない。やはり悔いが残るものよ。それはそうか。生き切っても悔いが残るのだ、途中で逃げ出す分際で残らぬわけがあるまい。」
男:「耐えて耐えて耐えて、耐えた先に逃げるのだ。ここまで貯めておいた貯金もここで使うためのものだったのだな。過去の私、偉い、偉いであるぞ。」
男:「言いたいことはこの辺か、」
男:「さぁ!新天地へ!いざゆかん!!」
0:貝になりたい
男:震える手を握り筆を持つ。
男:過去や今、己の全て、他人の何かを糧とし書き連ねる。
男:モラルや倫理観などとうに捨てた。いつからか壊れてしまう。そんな思いをも捨てて私は書き連ねる。きっとこれが遺作として世に出るのであろう。暗く重い、そんな物語である。
男:自殺とは、自殺とはとても美しいと思う。己の命を己で区切る。とても良いでは無いか?ここまで美しく雅な散り方など他に思いつかない。
男:問題は方法だ、芥川のように眠剤でやるのか、太宰のように入水か、はたまた三島のように割腹か。
男:いいや違うダメだ、眠剤では華がない、入水や割腹は先人のインパクトが強すぎる。
男:あぁ、どうすれば良いのだ。
男:これが決まるまでは先延ばしにする他あるまい
0:
男:前回の残しから二年と四ヶ月がたった。方法がやっと決まった、私は首をくくろう。派手ではなくて良いのだ。
男:何をあそこまで悩んでいたのか。元来私は質素倹約だったでは無いか、最期も身の丈にあった散り方をしようぞ
男:改めて、これが世に出る頃には私は散ったあとであろう。なぜと聞かれれば疲れた、これに尽きてしまうのである。
男:ヒトの為の社会であるにはこの世は疲れすぎてしまう。皆が走り続けるなか、私は躓いてしまった。いいのだ、助けてくれなくて、皆必死である。躓かぬように、足を止めぬように、、死なぬようにな。
男:だが、私はこのかけっこに疲れ切ってしまった。何かを専念するには難しい世である。
男:やりたい事をするには強い芯が必要だ。それが無いものは念を押し殺し、耐えなければならぬ。
男:では?耐えられぬものは?残されている道は少ない。
男:その中で私はとても優雅な自殺を選んだのである。ただそれだけだ。これでは、遺作よりも遺書であるな。
男:最期はこの思考を贄とし、想いを残そう
男:怖いかと聞かれれば怖くは無い。我々はもう十分恐怖に悶えたでは無いか。
男:周りの期待、それに答えなくてはという重圧。それを気にかけてくれる者がいても裏があるのではと考えてしまう己に嫌気がさしたのだ。
男:これで良いかな?
男:自殺しか道がなかったのかと問われれば私は断言しかねる。こういった物を書くにあたっては読み手の捉え方に縋るしか出来ないのが悔やむところだ。
男:かの文豪のように物語を彩れたら苦労はしないのであろうが、私には才も何も無い。許しておくれよ。あくまで物語という言葉に頼る他ないのである。
男:ただ、一つ苦言を呈すのであれば、ここまで追い詰めたのは他ならぬヒトであることを承知願いたい。
男:まぁ、これも仕方の無いことである。余裕など生物には無いのだから。
男:どんなに聖人君子であられども、何か一つで朽ちてしまう。それがヒトなのだ。
男:自己嫌悪に陥らぬものであればどれほど良かった、、あぁ、いけないな。こう嘆くのは良くない。とても良くない。
男:他に自殺者に聞きたいことが何かあるかと考えても出てこないのである。であるからしてこの辺で遺作もとい遺書は終えさせてもらう。では、これからも走り続ける諸君。
男:健闘を祈る。私はヒトに生まれるには弱すぎた。次があることであれば深海の貝になりたい。
0:筆をしまう
男:「と、こんな所かね。弱い私を許しておくれよ。でも、私は十分だと思う。もちろん楽しいこともあったのだがな」
男:「辛いものの方が残ってしまうのだ。怖いのであるよ、やはり死は怖い。きっとこれを書いたのも逃げ道を消すためだろう。」
男:「(吹っ切れた笑い)」
男:「私も覚悟を決めるということが出来たのか!最後に知ることが出来て嬉しいよ私!」
男:「頑張ったな。もう十分だ、では先に行かせてもらう。悔いが残るとすれば、子が成せないことであるな。」
男:「まぁ、私の子である。その子も途中で私と同じようになると思うがな。」
男:「ふむ、やはり怖いのは事実であるな、独り言が止まらぬよ、紙にはいくらでも虚偽は書けるが、己を騙し切る事は出来ぬか。しかしこれも数分のことよ、話したいことは話しきるが良い私」
男:「あぁ、そうだな。私の人生を振り返り書き連ねても良かったな。おっと、これはいけない。やはり悔いが残るものよ。それはそうか。生き切っても悔いが残るのだ、途中で逃げ出す分際で残らぬわけがあるまい。」
男:「耐えて耐えて耐えて、耐えた先に逃げるのだ。ここまで貯めておいた貯金もここで使うためのものだったのだな。過去の私、偉い、偉いであるぞ。」
男:「言いたいことはこの辺か、」
男:「さぁ!新天地へ!いざゆかん!!」