台本概要
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タイトル | ジョイエリ デラ トライセイ【ファイル:ヒスイ】 |
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作者名 | 不尽子(つきぬこ) (@tsukinuko) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 4人用台本(男1、女2、不問1) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
イタリアにある異能者で構成されたトライセイ探偵団の新入りネーロと、その指導役ヴィオラが仲間達と共に珍事件を解決…!? ご使用の際はご報告いただけると大変喜びます(強制ではありません)。 シナリオの一番下にイタリア語の解説があります。 230 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ネーロ | 女 | 64 | ジーノ・マーティン。不幸体質な男装女子。宝石マニアで心の声がうるさい。 |
ヴィオラ | 男 | 80 | ダン・サクマ。根暗な日系青年。能力は「以心伝心」だが、ネーロに幻滅されたくなくて言えないでいる。 |
ヴェルデ | 女 | 70 | メイ・サクマ。能力は「未来予知」。ヴィオラの実姉で口も機嫌もずっと悪い歩く脅迫・恐喝罪。 |
ファンターズマ | 不問 | 43 | 廃墟屋敷に棲みついた幽霊。イタズラが大好き。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ファンターズマ:…ん?誰か来た?誰が来た?久々の人間…ヒヒヒッ、いい退屈しのぎが来たぁ…!
0:廃墟屋敷の前
ネーロ:聞いてないです聞いてないです聞いてないです!
ヴェルデ:言ってねぇからな。
ヴィオラ:ネ、ネーロ…落ち着いて…。
ネーロ:だってだってだって!絶対違いますって!絶対探偵の仕事じゃないですって!…廃墟屋敷の幽霊退治なんてぇ!!
0:ヴェルデがアサルトライフルを空に向けて乱射する。
ネーロ:ひぃっ!?
ヴェルデ:…なぁタマ無しぃ、確かにあたしは依頼の内容は黙ってた。けど最初に「絶対に騒ぐな」っつったはずだよなぁ?
ヴェルデ:そんなにお喋りが好きならこいつでお口の数増やしてやろうかぁ?あぁ!?
ネーロ:ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいぃ!!
ヴィオラ:やめろヴェルデ、マシンガンぶっ放してる時点でお前が一番騒いでんだよ!
ヴェルデ:チッ…次騒いだらマジでそのスッカスカのおつむにこの銃弾詰め込むからな。
ネーロ:は、はいぃ…。
ヴィオラ:(溜息)…大丈夫か?ネーロ。
ネーロ:だいじょばないです…本当何でこんな仕事引き受けたんですか…。
ヴィオラ:依頼人がドンの友人らしくて、ドンからも頼まれたんだとさ。仕事の振り分け作業もあるのにこんな事で駆り出されて、ヴェルデがイライラしてんのも分かるよ…。
ネーロ:…本当、依頼件数凄いですからね…。特に振り分けなんて、ヴェルデさんじゃなきゃ…。
ヴェルデ:なぁにボサッと突っ立ってんだ!急に足が動かなくなったのかぁ!?そんな不良品はここで切り落としてやろうかぁ!!
ネーロ:わーごめんなさいごめんなさい!
ヴィオラ:いちいち脅すのやめろ!
ヴェルデ:てめぇ等がもたもたしてるからだろうが!ったく…ヴィオラ。
ヴィオラ:!
ヴェルデ:初っ端から飛ばしてくぞ。
ヴィオラ:…分かった。(能力を使う)
ネーロ:(心の声)えー!こんな最初からダンさんのアメジスト・オッキオが見れるの!?
ネーロ:(心の声)廃墟屋敷の探索なんて絶対怖いから嫌だったけど、ずっとこれが見れるなら頑張れそう!
ヴィオラ:っ〜〜〜!!
ヴェルデ:…おいネーロ。
ネーロ:あ、はいもがっ!?(口に銃口を突っ込まれる)
ヴェルデ:お喋りの次は腑抜け面か?こいつでそのだらしねぇ鼻の下もっと伸ばしてやろうか?あぁ?
ネーロ:ああああごえんあはいごえんあはいごえんあはいいぃ…!!
ヴィオラ:マグナムはやめろマグナムは!暴発したらマジで死ぬぞ!?
ヴェルデ:チッ、(銃を下げる)こんなクソみてぇな依頼に、クソッタレのロッソがこんなポンコツ寄越すからだろうが!
ネーロ:ポ、ポンコツ…。
ヴィオラ:ヴェルデ!
ネーロ:い、いいんです!実際僕、まだ自分の異能の事分かってないし…。
ヴィオラ:……。
ネーロ:(心の声)…やっぱりメイさんが一番怖いなぁ…あんなにスタイルも良くて美人で、メイさんの光る目も凄く綺麗なのになぁ…。普通にしてればモテそうなのに、勿体無いと言うか何と言うか…。
ヴィオラ:…ネーロって、案外たくましいよな…。
ネーロ:え?急に何ですか?
ヴィオラ:いや、うん…ごめん。
ヴェルデ:おら、さっさと入るぞ。二度言わすな。
0:三人が廃墟屋敷に入る。
ファンターズマ:ヒヒヒッ、来た来たぁ…!まずはどんなイタズラでお迎えしようかなぁ…?
ネーロ:お、お邪魔しまぁ〜す…。
ファンターズマ:わ、あの子いいなぁ〜!凄く怖がってる…ヒヒヒッ、驚かせがいがありそう…!
ヴェルデ:あ?誰に話しかけてんだお前?頭お花畑か?
ネーロ:ヴェルデさん酷い…。
ファンターズマ:うわ、あのお姉さん美人だけど怖そう〜。…でも、こーゆーお姉さんが怖がってるのを見るのも最高なんだよなぁ〜!
ヴィオラ:……。
ファンターズマ:…ん?あの根暗男、今完全に目が合わなかった?え、まさかエゾルチースタ?いやいや、そんな気配は全然無い無い!
ファンターズマ:とにかく、ここはシャンデリアでも揺らして歓迎を――。
ヴェルデ:(被せる)っせぇんだよこのオンボロがぁ!!!(アサルトライフル乱射)
ネーロ:わーーーーっ!!!
0:被弾したシャンデリアが床に落ちる。
ヴィオラ:(埃に咽せる)おいヴェルデ、入るなり屋敷を壊す気か!?
ヴェルデ:はぁ!?あたしがんな『未来』選ぶ訳ねーだろうが!ビビリポンコツは黙ってネズミのケツ穴にでも頭隠しとけってんだゴラァ!
ヴィオラ:口悪すぎだろ!
ネーロ:うぅ〜、もう帰りたいよぉ〜…。
ヴェルデ:おーそうかそうか。帰るんならてめぇの命はそっくりそのまま置いて帰れ。な?
ネーロ:あああごめんなさいごめんなさいごめんなさいいぃ!
ファンターズマ:…あれ、シャンデリア…壊してった…?…あれ?あれあれ?
ヴィオラ:(溜息)…ネーロ、立てるか?
ネーロ:は、はい…。ヴィオラさん。
ヴィオラ:ん?
ネーロ:…ヴェルデさんがあのシャンデリアを壊したのって…あれが動くから、ですよね…?
ヴィオラ:…そうだな。此処のオバケは、もう俺達に気付いてるって事だ。ま、さっきのでそいつもポカーンとしてるかも知れないな。
ファンターズマ:大正解!今超絶ポカーンとしてる!何で分かったの!?てか何で動くって知ってたの!?
ファンターズマ:いやいや落ち着けー落ち着けー?相手は人間、どうせこっちに気付いちゃいない。よぉーし、今度はあの肖像画のオッサンで…。
ヴェルデ:くたばれこんクソッタレがぁ!!!(肖像画を火炎放射器で消し炭にする)
ネーロ:ちょ、ヴェルデさん!?火事になりますって!!
ヴェルデ:はぁー!?てめぇあたしがそんな調整も出来ねぇポンコツだと思ってんのかぁ!?てめぇもあの絵と同じにしてやろうか!!
ネーロ:わああごめんなさいごめんなさいごめんなさいいぃ!!
ヴィオラ:(溜息)雰囲気もクソもねぇ…。
ファンターズマ:うっそぉ!?あのお姉さんさっきから物騒過ぎない!?燃やしちゃったよ肖像画!!
ファンターズマ:やっぱりエゾルチースタ!?でも装備は完全にテロリースタァ!!
ネーロ:…でもあの肖像画、ちょっと高そうだったのに勿体無いなぁ…。
ヴィオラ:お約束としては、絵の中の男が不気味に笑ったり目が光ったりするってところだろうな。台無しにされて今頃オバケもパニクってんじゃないか?
ファンターズマ:またまた大正解!目を光らせながら不気味に笑わせる予定でした!そんで今超絶パニクってます!
ファンターズマ:え?何でそんなドンピシャなの?やっぱり見えてるの?君こっちが見えてるの?…ちょっと近付いてみよ…。
ヴィオラ:…にしても、ボロいしヴェルデも暴れまくるしで埃が凄いな(咳き込む)
ファンターズマ:あ、今「しっしっ」ってした!?埃払うフリして「しっしっ」ってしたよね!?やっぱりこっち見えてるよね!?見えてるならあのお姉さん止めて欲しいんだけどなぁー!?
ファンターズマ:ぐぬぬぬ…仕方ない。それならあれをああして…。
ヴェルデ:クソッタレがあぁー!!
ファンターズマ:ここをこうして…。
ヴェルデ:ポンコツがあぁー!!
ファンターズマ:それをそうして…!
ヴェルデ:こん畜生があぁー!!
ファンターズマ:ああぁ〜ダメだダメだダメだぁ!全っ部先を越されるぅ!全っ部壊されるぅ!全っ部台無しぃ!!
ネーロ:…ヴェルデさん、本当元気ですね。
ヴィオラ:だ、大丈夫かネーロ?怖がるどころか憔悴(しょうすい)し切ってるけど…。
ネーロ:…何かもう、怖がるのも疲れました…。
ファンターズマ:あー良くない!それ良くないよー!?此処はこのファンターズマの居る廃墟屋敷だよ!?頼むから怖がってぇ!?
ファンターズマ:てか君こっちが見えてんだよね!?マジであのお姉さん止めて!?これじゃオバケ屋敷じゃなくてハチャメチャ屋敷だから!
ヴィオラ:(ちょっとだけ笑いを堪える)
ファンターズマ:笑うところじゃなーい!てか声も聞こえてんの!?それならちょっとお話しよ!?今後について話し合お!?ね!?
ネーロ:え、急にどうしたんですかヴィオラさん…?
ヴィオラ:…いや、こんだけ暴れりゃ、姉さんもスッキリするだろうなって。
ネーロ:あー…ストレス凄そうですもんね…。誰を向かわせれば全員無事な状態で依頼を達成できるか、毎回『確認』しながら振り分けてるんですし…。
ネーロ:…でも、いいんですか?いくら廃墟で了承も得てるとは言え、依頼人の家をこんなに壊しちゃって…。
ヴィオラ:元々この屋敷は建て替える予定だっだんだと。だからきっとドンも、ヴェルデにストレス発散させたかったんだろうな。
ネーロ:…なるほど。(苦笑)
ファンターズマ:ちょっとちょっとちょっとー!?何良い話みたいな雰囲気出してんのー!?此処オバケ屋敷なんだけどー!?
ファンターズマ:もぉーアッタマきたぁ!何が何でも怖がらせてやるぅー!(ある部屋へ飛び込む)
ヴィオラ:あ。
ネーロ:え?
ヴェルデ:あ?んだよヴィオラ。
ヴィオラ:いや、その…あの部屋が何か気になるなって…。
ネーロ:あの部屋って…何かヤバそうですけど…。
0:嫌な雰囲気を出している部屋の前で、三人は暫く黙っている。
ヴェルデ:…てめぇ等はそこで待機。
ヴィオラ:ん。
ネーロ:は、はい…。
ヴェルデ:……(ドアを蹴開けてすぐに火炎放射器を噴射する)おらあぁっ!!
ヴィオラ:うおぉ…。
ネーロ:えぇ…そんな部屋全部燃やしちゃっていいんですか…?何か大事な物が残ってたりとか…。
ヴェルデ:は?何度同じ説明させんだてめぇ。やっぱりそのスッカスカのおつむにこいつをたらふく詰め込んでやろうかぁ!?
ネーロ:あ、いえ…すいません…。
ヴィオラ:マジで疲れてんなネーロ…。てか一瞬、部屋ん中ヤバい儀式の後みたいなのが見えたけど…?
ヴェルデ:燃やしちまえば全部カスだろうが。おら入るぞ。
ファンターズマ:ヒヒヒッ…引っかかったなぁー!!
ヴィオラ:えっ…。
ネーロ:え?
ヴェルデ:あ?(急に鼻がムズムズする)んっ…。
ファンターズマ:もう燃やされるなんて想定済み!このお姉さんさえ居なきゃ、あとの二人は恐怖のどん底のはず!
ヴィオラ:!ヴェルデ!
ヴェルデ:ん、ちょ…ちょっと待て…鼻がムズムズしてっ…。
ヴィオラ:そんな場合じゃねーって!
ファンターズマ:お姉さんに憑依(ひょうい)して、ビビらせまくってやる!突撃ぃー!
ヴェルデ:ふぇ…っくしょい!!(くしゃみの勢いで思いっきり屈む)
ファンターズマ:あれぇ!?(勢い余ってネーロに憑依する)
ネーロ:うわ、ビックリし…うっ!?
ヴィオラ:しまった…ネーロ!!
ヴェルデ:ずびっ…あぁ?
ネーロ:あ……。
ヴィオラ:ネ、ネーロ…?
ヴェルデ:あー…チッ、クッソ面倒くせぇ…。
ネーロ:う…うっそぉ〜何でこうなるの!?よりによって一番怖がってくれる子に憑依(ひょうい)しちゃったよぉ〜!!
ネーロ:これじゃこの子の怖がってる顔が見れないぃ〜!!
ヴィオラ:ネーロ!?ネーロしっかりしろ!
ネーロ:うるさーいっ!大体お前がちゃんとこっちに反応してくれればここまで思い切った事しなかったんだよこの根暗野郎!!
ヴィオラ:うぅっ…顔がネーロなだけに刺さるっ…。
ヴェルデ:……。
ネーロ:そーれーと!そこのお姉さん!あんた!よっっっくもこのファンターズマ様をここまでコケに…って…。
ヴェルデ:(銃を構える)動くんじゃねぇぞ死に損ない。
ヴィオラ:っ…!!
ネーロ:えっ…待って?待って待って?この子仲間だよね!?味方だよね!?流石にオバケが乗り移ったからって、撃ち殺したりしないよね!?
ヴェルデ:あぁ?何言ってんだ?身体がスッカスカのファンターズマ様はおつむもスッカスカか?
ヴェルデ:こいつはうちに入る時から、死ぬ事なんざとっくに覚悟してるっつーの。
ネーロ:どーゆー組織なのおたくら!?
ヴィオラ:姉さんっ…!!
ヴェルデ:あばよ、役立たず。
0:ヴェルデが発砲し、ネーロの胸部に命中する。
ヴィオラ:あっ…!!
ネーロ:あ、う…。
0:ファンターズマが倒れたネーロの身体から慌てて出てくる。
ファンターズマ:あー焦ったー!2回死んだかと思ったー!
ヴェルデ:んぁ?ようやくお出ましってか?
ヴィオラ:…さっきから居たよ。ヴェルデ達に見えてなかっただけで。
ファンターズマ:信っじらんない!本当に撃ったよ!?本当に当たっちゃったよ!?お姉さん血も涙も無いの!?
ヴェルデ:身体も無ぇ奴が何ほざいてんだ。
ファンターズマ:ごもっとも!でもあんなに一緒に居たのに撃ち殺すって、正気の沙汰じゃなくない!?
ヴィオラ:勝手に人の家に取り憑いて暴れ放題な悪霊に言われても…。
ファンターズマ:ごもっともぉー!!
ヴィオラ:…あいつ、面白いな。
ヴェルデ:何馬鹿みてぇな情わかしてんだコラ。
ファンターズマ:でも…ヒヒヒッ!お姉さんがその子を殺してくれたお陰で、お友達が増えそうだ!
ヴィオラ:え?あー…。
ファンターズマ:さぁー起きてネーロ!一緒にこのハチャメチャアジアーティコ兄弟をビビらせまくってやろう!!
0:ファンターズマが手を引くも、ネーロは起き上がらない。
ファンターズマ:…あ、あれ?おーい?起きてー?
ネーロ:(静かに寝息を立てている)
ファンターズマ:…あれ?そう言えば…全然出血してなくない…?
ヴェルデ:…やっと気付いたかスッカスカオバケ。
ファンターズマ:え?
ヴィオラ:…さっきヴェルデが撃ったのは、麻酔銃だよ。
ファンターズマ:……へ!?
ネーロ:(寝言)うぅ〜ん…ソレッラァ…このお金で、教会を…建て直し……ぐぅ…。
ファンターズマ:……。
ヴィオラ:健気だなぁ…。
ヴェルデ:さぁーてスッカスカオバケ、この馬鹿の麻酔が効いてる以上、てめぇはもうそいつに憑依(ひょうい)出来ねぇ訳だが…。
ファンターズマ:うっ…だ、だぁーから何だって言うんだ!
ヴェルデ:あ?
ヴィオラ:!
ファンターズマ:撃てるもんなら撃ってみなよ!お姉さんの言う通り、このファンターズマ様は身体の無いスッカスカ!つまりどれだけ銃を向けたって当たりゃしないよぉ〜ん!
ヴィオラ:あー、気付いちまったか…諦めて成仏してくれりゃいいのに…。
ヴェルデ:チッ、面倒臭ぇ…だから応援のエゾルチースタ寄越せっつったんだよクソロッソ…!!
ファンターズマ:くらえー!ポルターガイスト攻撃ぃ!!
ヴィオラ:うわっ!?
ヴェルデ:おっるぁ!!(RPGを発射)
ファンターズマ:え、RPG!?そんなものまで持ってんの!?
ヴィオラ:ヴェ、ヴェルデ…?
ヴェルデ:…かったりぃ…最初っから依頼人の了承は得てるっつったろうが…。こうなりゃこいつで家ごと吹っ飛ばすまでだぁ!!
ファンターズマ:えぇっ!?
ヴィオラ:ちょ、マズいってヴェルデ!せめてネーロを避難させてからっ…!!
ヴェルデ:知るかぁ!こんな時に呑気に居眠り決め込んでる奴なんざ瓦礫の下がお似合いだわボケェ!!
ヴィオラ:眠らせたのお前だろうが!!
ファンターズマ:あわわ、あわわわ……!!
ヴェルデ:食らいやがれスッカスカオバケ、これがヴェルデ様の除霊方式だボケカスがぁ!!
ファンターズマ:ひいぃっ!?
ネーロ:待って下さい。
ヴェルデ:っ!?
ヴィオラ:え…。
0:振り向くと、明らかにいつもの雰囲気の違うネーロが立っている。
ファンターズマ:…あれ、君寝てたんじゃ…?
ヴィオラ:ネー、ロ…?
ネーロ:…ヴェルデさん、さっきはそのオバケを追い出してくれて、ありがとうございました。
ヴェルデ:何で…お前…。
ヴィオラ:っ!ネーロッ…お前、目がっ…!
ネーロ:お礼と言っては何ですが…そいつは僕が祓います。
ヴェルデ:は…?
ファンターズマ:…あれ、こいつ…『違う』…!?
ヴィオラ:え…!?
0:突然部屋の窓が開き、突風が流れ込んでくる。
ヴィオラ:な、何だ!?急に風がっ…!
ヴェルデ:っ…何だよ、これ…。知らない…、あたしはこんな『未来』知らないっ…!
ファンターズマ:わあああ外に転がってたポリ袋や紙屑がいっぱい飛んで来っ…わぷっ!?(紙屑の一つがファンターズマに当たる)
ヴェルデ:え?
ヴィオラ:あ、あれはっ…!
ファンターズマ:ぎゃあああああ!!か、身体がっ…身体が消えてくううう!!!
ヴェルデ:な、何だ!?何が起きた!?
ヴィオラ:さっき飛んで来た紙屑の一つに、エゾルチースタのお札が混ざってたんだ…!
ヴェルデ:はぁ…!?
ファンターズマ:そんな事あるうううぅ!?(除霊される)
0:突風が止み、廃墟の嫌な気が消える。
ヴェルデ:……。
ヴィオラ:……。
ネーロ:…ああ、これでまた…『積み立て直し』だ…。
ヴィオラ:っ、ネーロ!?
ネーロ:ごめんね…ジュリ、エッタ…。(倒れる)
ヴィオラ:ネーロッ!!
ネーロ:(静かに寝息を立てている)
ヴィオラ:……。
ヴェルデ:……。おい、何がどうなってる…。
ヴィオラ:…分かんない。でも、さっきのは…多分ネーロじゃない…。
ヴェルデ:はぁ?じゃあ誰だっつーんだ!
ヴィオラ:…多分、ジーノ。
ヴェルデ:ボケてんのかヴィオラ、それはこいつの……あ。
ヴィオラ:……。
ヴェルデ:…そういう事か。なら、こいつ自身は異能者じゃねぇ可能性もある訳だ。
ヴィオラ:それは…違うと思う。
ヴェルデ:はぁ?
ヴィオラ:…『色』が、違ったから…。
ヴェルデ:『色』?って…目の…?
ヴィオラ:うん…。
ヴェルデ:……。
ネーロ:…んぅ…。
ヴィオラ:!ネーロ!
ネーロ:(寝言)ヴェルデさん…怒らないで下さぁ〜い…。
ヴェルデ:…あ?
ヴィオラ:……。
ネーロ:(寝言)折角ヒスイみたいな綺麗な目なのにぃ…「幸福」や「安定」って石言葉があってぇ…不運や災いから守ってくれる…本当にヴェルデさんみたいな宝石なんですよぉ…?
ヴェルデ:っ……。
ヴィオラ:(安堵)いつものネーロだな…。ん?ヴェルデ…?
ヴェルデ:…ふんっ!(ネーロの頭に思いっきり蹴りを入れる)
ネーロ:いっ!?ったぁ〜…!!
ヴィオラ:ヴェルデ!?
ヴェルデ:いっつまで寝ぼけてんだこん玉無しがぁ!そんなにおねんねが好きなら永眠させえやろうか!?あぁ!?
ネーロ:うああごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいい!!
ヴィオラ:おい、落ち着けって!
ネーロ:…あ、あれ?あの…、オバケは…?
ヴィオラ:…もう退治したよ。ネーロのお陰だ。
ネーロ:え?僕…何かしましたっけ…?
ヴェルデ:おいコラネーロ。
ネーロ:はいぃっ!!
ヴェルデ:いいか、ポンコツだの役立たずだの言ったのは取り消してやる。けど次またあたしの手ぇ煩わすような事したら…分かってんだろうなぁ!?
ネーロ:はい!分かりました!すいませんでしたぁっ!!
ヴィオラ:…姉さん。
ヴェルデ:あぁ!?
ヴィオラ:顔真っ赤。
ヴェルデ:っ…!!
ネーロ:え?顔?
ヴェルデ:っ〜〜〜!!うらああああっ!!(アサルトライフル乱射)
ネーロ:わああっ!?
ヴィオラ:やべ、地雷踏んだ。
ヴェルデ:てめぇ等…ここでまとめてブッ殺ぉーす!!
ヴィオラ:逃げるぞネーロ、走れ!
ネーロ:え!?あ、はいぃ〜!!
ヴェルデ:待ちやがれこんクソッタレ共がぁー!!!
0:――――(ここからは朗読不要のおまけ。イタリア語の解説です)――――
0:
0:ジョイエリ デラ トライセイ=トライセイの宝石達
0:ネーロ=黒
0:ヴィオラ=紫
0:ヴェルデ=緑
0:ファンターズマ=幽霊
0:ドン=ボス
0:オッキオ=目
0:ロッソ=赤
0:エゾルチースタ=エクソシスト
0:テロリースタ=テロリスト
0:アジアーティコ=アジア人
0:ソレッラ=シスター
ファンターズマ:…ん?誰か来た?誰が来た?久々の人間…ヒヒヒッ、いい退屈しのぎが来たぁ…!
0:廃墟屋敷の前
ネーロ:聞いてないです聞いてないです聞いてないです!
ヴェルデ:言ってねぇからな。
ヴィオラ:ネ、ネーロ…落ち着いて…。
ネーロ:だってだってだって!絶対違いますって!絶対探偵の仕事じゃないですって!…廃墟屋敷の幽霊退治なんてぇ!!
0:ヴェルデがアサルトライフルを空に向けて乱射する。
ネーロ:ひぃっ!?
ヴェルデ:…なぁタマ無しぃ、確かにあたしは依頼の内容は黙ってた。けど最初に「絶対に騒ぐな」っつったはずだよなぁ?
ヴェルデ:そんなにお喋りが好きならこいつでお口の数増やしてやろうかぁ?あぁ!?
ネーロ:ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいぃ!!
ヴィオラ:やめろヴェルデ、マシンガンぶっ放してる時点でお前が一番騒いでんだよ!
ヴェルデ:チッ…次騒いだらマジでそのスッカスカのおつむにこの銃弾詰め込むからな。
ネーロ:は、はいぃ…。
ヴィオラ:(溜息)…大丈夫か?ネーロ。
ネーロ:だいじょばないです…本当何でこんな仕事引き受けたんですか…。
ヴィオラ:依頼人がドンの友人らしくて、ドンからも頼まれたんだとさ。仕事の振り分け作業もあるのにこんな事で駆り出されて、ヴェルデがイライラしてんのも分かるよ…。
ネーロ:…本当、依頼件数凄いですからね…。特に振り分けなんて、ヴェルデさんじゃなきゃ…。
ヴェルデ:なぁにボサッと突っ立ってんだ!急に足が動かなくなったのかぁ!?そんな不良品はここで切り落としてやろうかぁ!!
ネーロ:わーごめんなさいごめんなさい!
ヴィオラ:いちいち脅すのやめろ!
ヴェルデ:てめぇ等がもたもたしてるからだろうが!ったく…ヴィオラ。
ヴィオラ:!
ヴェルデ:初っ端から飛ばしてくぞ。
ヴィオラ:…分かった。(能力を使う)
ネーロ:(心の声)えー!こんな最初からダンさんのアメジスト・オッキオが見れるの!?
ネーロ:(心の声)廃墟屋敷の探索なんて絶対怖いから嫌だったけど、ずっとこれが見れるなら頑張れそう!
ヴィオラ:っ〜〜〜!!
ヴェルデ:…おいネーロ。
ネーロ:あ、はいもがっ!?(口に銃口を突っ込まれる)
ヴェルデ:お喋りの次は腑抜け面か?こいつでそのだらしねぇ鼻の下もっと伸ばしてやろうか?あぁ?
ネーロ:ああああごえんあはいごえんあはいごえんあはいいぃ…!!
ヴィオラ:マグナムはやめろマグナムは!暴発したらマジで死ぬぞ!?
ヴェルデ:チッ、(銃を下げる)こんなクソみてぇな依頼に、クソッタレのロッソがこんなポンコツ寄越すからだろうが!
ネーロ:ポ、ポンコツ…。
ヴィオラ:ヴェルデ!
ネーロ:い、いいんです!実際僕、まだ自分の異能の事分かってないし…。
ヴィオラ:……。
ネーロ:(心の声)…やっぱりメイさんが一番怖いなぁ…あんなにスタイルも良くて美人で、メイさんの光る目も凄く綺麗なのになぁ…。普通にしてればモテそうなのに、勿体無いと言うか何と言うか…。
ヴィオラ:…ネーロって、案外たくましいよな…。
ネーロ:え?急に何ですか?
ヴィオラ:いや、うん…ごめん。
ヴェルデ:おら、さっさと入るぞ。二度言わすな。
0:三人が廃墟屋敷に入る。
ファンターズマ:ヒヒヒッ、来た来たぁ…!まずはどんなイタズラでお迎えしようかなぁ…?
ネーロ:お、お邪魔しまぁ〜す…。
ファンターズマ:わ、あの子いいなぁ〜!凄く怖がってる…ヒヒヒッ、驚かせがいがありそう…!
ヴェルデ:あ?誰に話しかけてんだお前?頭お花畑か?
ネーロ:ヴェルデさん酷い…。
ファンターズマ:うわ、あのお姉さん美人だけど怖そう〜。…でも、こーゆーお姉さんが怖がってるのを見るのも最高なんだよなぁ〜!
ヴィオラ:……。
ファンターズマ:…ん?あの根暗男、今完全に目が合わなかった?え、まさかエゾルチースタ?いやいや、そんな気配は全然無い無い!
ファンターズマ:とにかく、ここはシャンデリアでも揺らして歓迎を――。
ヴェルデ:(被せる)っせぇんだよこのオンボロがぁ!!!(アサルトライフル乱射)
ネーロ:わーーーーっ!!!
0:被弾したシャンデリアが床に落ちる。
ヴィオラ:(埃に咽せる)おいヴェルデ、入るなり屋敷を壊す気か!?
ヴェルデ:はぁ!?あたしがんな『未来』選ぶ訳ねーだろうが!ビビリポンコツは黙ってネズミのケツ穴にでも頭隠しとけってんだゴラァ!
ヴィオラ:口悪すぎだろ!
ネーロ:うぅ〜、もう帰りたいよぉ〜…。
ヴェルデ:おーそうかそうか。帰るんならてめぇの命はそっくりそのまま置いて帰れ。な?
ネーロ:あああごめんなさいごめんなさいごめんなさいいぃ!
ファンターズマ:…あれ、シャンデリア…壊してった…?…あれ?あれあれ?
ヴィオラ:(溜息)…ネーロ、立てるか?
ネーロ:は、はい…。ヴィオラさん。
ヴィオラ:ん?
ネーロ:…ヴェルデさんがあのシャンデリアを壊したのって…あれが動くから、ですよね…?
ヴィオラ:…そうだな。此処のオバケは、もう俺達に気付いてるって事だ。ま、さっきのでそいつもポカーンとしてるかも知れないな。
ファンターズマ:大正解!今超絶ポカーンとしてる!何で分かったの!?てか何で動くって知ってたの!?
ファンターズマ:いやいや落ち着けー落ち着けー?相手は人間、どうせこっちに気付いちゃいない。よぉーし、今度はあの肖像画のオッサンで…。
ヴェルデ:くたばれこんクソッタレがぁ!!!(肖像画を火炎放射器で消し炭にする)
ネーロ:ちょ、ヴェルデさん!?火事になりますって!!
ヴェルデ:はぁー!?てめぇあたしがそんな調整も出来ねぇポンコツだと思ってんのかぁ!?てめぇもあの絵と同じにしてやろうか!!
ネーロ:わああごめんなさいごめんなさいごめんなさいいぃ!!
ヴィオラ:(溜息)雰囲気もクソもねぇ…。
ファンターズマ:うっそぉ!?あのお姉さんさっきから物騒過ぎない!?燃やしちゃったよ肖像画!!
ファンターズマ:やっぱりエゾルチースタ!?でも装備は完全にテロリースタァ!!
ネーロ:…でもあの肖像画、ちょっと高そうだったのに勿体無いなぁ…。
ヴィオラ:お約束としては、絵の中の男が不気味に笑ったり目が光ったりするってところだろうな。台無しにされて今頃オバケもパニクってんじゃないか?
ファンターズマ:またまた大正解!目を光らせながら不気味に笑わせる予定でした!そんで今超絶パニクってます!
ファンターズマ:え?何でそんなドンピシャなの?やっぱり見えてるの?君こっちが見えてるの?…ちょっと近付いてみよ…。
ヴィオラ:…にしても、ボロいしヴェルデも暴れまくるしで埃が凄いな(咳き込む)
ファンターズマ:あ、今「しっしっ」ってした!?埃払うフリして「しっしっ」ってしたよね!?やっぱりこっち見えてるよね!?見えてるならあのお姉さん止めて欲しいんだけどなぁー!?
ファンターズマ:ぐぬぬぬ…仕方ない。それならあれをああして…。
ヴェルデ:クソッタレがあぁー!!
ファンターズマ:ここをこうして…。
ヴェルデ:ポンコツがあぁー!!
ファンターズマ:それをそうして…!
ヴェルデ:こん畜生があぁー!!
ファンターズマ:ああぁ〜ダメだダメだダメだぁ!全っ部先を越されるぅ!全っ部壊されるぅ!全っ部台無しぃ!!
ネーロ:…ヴェルデさん、本当元気ですね。
ヴィオラ:だ、大丈夫かネーロ?怖がるどころか憔悴(しょうすい)し切ってるけど…。
ネーロ:…何かもう、怖がるのも疲れました…。
ファンターズマ:あー良くない!それ良くないよー!?此処はこのファンターズマの居る廃墟屋敷だよ!?頼むから怖がってぇ!?
ファンターズマ:てか君こっちが見えてんだよね!?マジであのお姉さん止めて!?これじゃオバケ屋敷じゃなくてハチャメチャ屋敷だから!
ヴィオラ:(ちょっとだけ笑いを堪える)
ファンターズマ:笑うところじゃなーい!てか声も聞こえてんの!?それならちょっとお話しよ!?今後について話し合お!?ね!?
ネーロ:え、急にどうしたんですかヴィオラさん…?
ヴィオラ:…いや、こんだけ暴れりゃ、姉さんもスッキリするだろうなって。
ネーロ:あー…ストレス凄そうですもんね…。誰を向かわせれば全員無事な状態で依頼を達成できるか、毎回『確認』しながら振り分けてるんですし…。
ネーロ:…でも、いいんですか?いくら廃墟で了承も得てるとは言え、依頼人の家をこんなに壊しちゃって…。
ヴィオラ:元々この屋敷は建て替える予定だっだんだと。だからきっとドンも、ヴェルデにストレス発散させたかったんだろうな。
ネーロ:…なるほど。(苦笑)
ファンターズマ:ちょっとちょっとちょっとー!?何良い話みたいな雰囲気出してんのー!?此処オバケ屋敷なんだけどー!?
ファンターズマ:もぉーアッタマきたぁ!何が何でも怖がらせてやるぅー!(ある部屋へ飛び込む)
ヴィオラ:あ。
ネーロ:え?
ヴェルデ:あ?んだよヴィオラ。
ヴィオラ:いや、その…あの部屋が何か気になるなって…。
ネーロ:あの部屋って…何かヤバそうですけど…。
0:嫌な雰囲気を出している部屋の前で、三人は暫く黙っている。
ヴェルデ:…てめぇ等はそこで待機。
ヴィオラ:ん。
ネーロ:は、はい…。
ヴェルデ:……(ドアを蹴開けてすぐに火炎放射器を噴射する)おらあぁっ!!
ヴィオラ:うおぉ…。
ネーロ:えぇ…そんな部屋全部燃やしちゃっていいんですか…?何か大事な物が残ってたりとか…。
ヴェルデ:は?何度同じ説明させんだてめぇ。やっぱりそのスッカスカのおつむにこいつをたらふく詰め込んでやろうかぁ!?
ネーロ:あ、いえ…すいません…。
ヴィオラ:マジで疲れてんなネーロ…。てか一瞬、部屋ん中ヤバい儀式の後みたいなのが見えたけど…?
ヴェルデ:燃やしちまえば全部カスだろうが。おら入るぞ。
ファンターズマ:ヒヒヒッ…引っかかったなぁー!!
ヴィオラ:えっ…。
ネーロ:え?
ヴェルデ:あ?(急に鼻がムズムズする)んっ…。
ファンターズマ:もう燃やされるなんて想定済み!このお姉さんさえ居なきゃ、あとの二人は恐怖のどん底のはず!
ヴィオラ:!ヴェルデ!
ヴェルデ:ん、ちょ…ちょっと待て…鼻がムズムズしてっ…。
ヴィオラ:そんな場合じゃねーって!
ファンターズマ:お姉さんに憑依(ひょうい)して、ビビらせまくってやる!突撃ぃー!
ヴェルデ:ふぇ…っくしょい!!(くしゃみの勢いで思いっきり屈む)
ファンターズマ:あれぇ!?(勢い余ってネーロに憑依する)
ネーロ:うわ、ビックリし…うっ!?
ヴィオラ:しまった…ネーロ!!
ヴェルデ:ずびっ…あぁ?
ネーロ:あ……。
ヴィオラ:ネ、ネーロ…?
ヴェルデ:あー…チッ、クッソ面倒くせぇ…。
ネーロ:う…うっそぉ〜何でこうなるの!?よりによって一番怖がってくれる子に憑依(ひょうい)しちゃったよぉ〜!!
ネーロ:これじゃこの子の怖がってる顔が見れないぃ〜!!
ヴィオラ:ネーロ!?ネーロしっかりしろ!
ネーロ:うるさーいっ!大体お前がちゃんとこっちに反応してくれればここまで思い切った事しなかったんだよこの根暗野郎!!
ヴィオラ:うぅっ…顔がネーロなだけに刺さるっ…。
ヴェルデ:……。
ネーロ:そーれーと!そこのお姉さん!あんた!よっっっくもこのファンターズマ様をここまでコケに…って…。
ヴェルデ:(銃を構える)動くんじゃねぇぞ死に損ない。
ヴィオラ:っ…!!
ネーロ:えっ…待って?待って待って?この子仲間だよね!?味方だよね!?流石にオバケが乗り移ったからって、撃ち殺したりしないよね!?
ヴェルデ:あぁ?何言ってんだ?身体がスッカスカのファンターズマ様はおつむもスッカスカか?
ヴェルデ:こいつはうちに入る時から、死ぬ事なんざとっくに覚悟してるっつーの。
ネーロ:どーゆー組織なのおたくら!?
ヴィオラ:姉さんっ…!!
ヴェルデ:あばよ、役立たず。
0:ヴェルデが発砲し、ネーロの胸部に命中する。
ヴィオラ:あっ…!!
ネーロ:あ、う…。
0:ファンターズマが倒れたネーロの身体から慌てて出てくる。
ファンターズマ:あー焦ったー!2回死んだかと思ったー!
ヴェルデ:んぁ?ようやくお出ましってか?
ヴィオラ:…さっきから居たよ。ヴェルデ達に見えてなかっただけで。
ファンターズマ:信っじらんない!本当に撃ったよ!?本当に当たっちゃったよ!?お姉さん血も涙も無いの!?
ヴェルデ:身体も無ぇ奴が何ほざいてんだ。
ファンターズマ:ごもっとも!でもあんなに一緒に居たのに撃ち殺すって、正気の沙汰じゃなくない!?
ヴィオラ:勝手に人の家に取り憑いて暴れ放題な悪霊に言われても…。
ファンターズマ:ごもっともぉー!!
ヴィオラ:…あいつ、面白いな。
ヴェルデ:何馬鹿みてぇな情わかしてんだコラ。
ファンターズマ:でも…ヒヒヒッ!お姉さんがその子を殺してくれたお陰で、お友達が増えそうだ!
ヴィオラ:え?あー…。
ファンターズマ:さぁー起きてネーロ!一緒にこのハチャメチャアジアーティコ兄弟をビビらせまくってやろう!!
0:ファンターズマが手を引くも、ネーロは起き上がらない。
ファンターズマ:…あ、あれ?おーい?起きてー?
ネーロ:(静かに寝息を立てている)
ファンターズマ:…あれ?そう言えば…全然出血してなくない…?
ヴェルデ:…やっと気付いたかスッカスカオバケ。
ファンターズマ:え?
ヴィオラ:…さっきヴェルデが撃ったのは、麻酔銃だよ。
ファンターズマ:……へ!?
ネーロ:(寝言)うぅ〜ん…ソレッラァ…このお金で、教会を…建て直し……ぐぅ…。
ファンターズマ:……。
ヴィオラ:健気だなぁ…。
ヴェルデ:さぁーてスッカスカオバケ、この馬鹿の麻酔が効いてる以上、てめぇはもうそいつに憑依(ひょうい)出来ねぇ訳だが…。
ファンターズマ:うっ…だ、だぁーから何だって言うんだ!
ヴェルデ:あ?
ヴィオラ:!
ファンターズマ:撃てるもんなら撃ってみなよ!お姉さんの言う通り、このファンターズマ様は身体の無いスッカスカ!つまりどれだけ銃を向けたって当たりゃしないよぉ〜ん!
ヴィオラ:あー、気付いちまったか…諦めて成仏してくれりゃいいのに…。
ヴェルデ:チッ、面倒臭ぇ…だから応援のエゾルチースタ寄越せっつったんだよクソロッソ…!!
ファンターズマ:くらえー!ポルターガイスト攻撃ぃ!!
ヴィオラ:うわっ!?
ヴェルデ:おっるぁ!!(RPGを発射)
ファンターズマ:え、RPG!?そんなものまで持ってんの!?
ヴィオラ:ヴェ、ヴェルデ…?
ヴェルデ:…かったりぃ…最初っから依頼人の了承は得てるっつったろうが…。こうなりゃこいつで家ごと吹っ飛ばすまでだぁ!!
ファンターズマ:えぇっ!?
ヴィオラ:ちょ、マズいってヴェルデ!せめてネーロを避難させてからっ…!!
ヴェルデ:知るかぁ!こんな時に呑気に居眠り決め込んでる奴なんざ瓦礫の下がお似合いだわボケェ!!
ヴィオラ:眠らせたのお前だろうが!!
ファンターズマ:あわわ、あわわわ……!!
ヴェルデ:食らいやがれスッカスカオバケ、これがヴェルデ様の除霊方式だボケカスがぁ!!
ファンターズマ:ひいぃっ!?
ネーロ:待って下さい。
ヴェルデ:っ!?
ヴィオラ:え…。
0:振り向くと、明らかにいつもの雰囲気の違うネーロが立っている。
ファンターズマ:…あれ、君寝てたんじゃ…?
ヴィオラ:ネー、ロ…?
ネーロ:…ヴェルデさん、さっきはそのオバケを追い出してくれて、ありがとうございました。
ヴェルデ:何で…お前…。
ヴィオラ:っ!ネーロッ…お前、目がっ…!
ネーロ:お礼と言っては何ですが…そいつは僕が祓います。
ヴェルデ:は…?
ファンターズマ:…あれ、こいつ…『違う』…!?
ヴィオラ:え…!?
0:突然部屋の窓が開き、突風が流れ込んでくる。
ヴィオラ:な、何だ!?急に風がっ…!
ヴェルデ:っ…何だよ、これ…。知らない…、あたしはこんな『未来』知らないっ…!
ファンターズマ:わあああ外に転がってたポリ袋や紙屑がいっぱい飛んで来っ…わぷっ!?(紙屑の一つがファンターズマに当たる)
ヴェルデ:え?
ヴィオラ:あ、あれはっ…!
ファンターズマ:ぎゃあああああ!!か、身体がっ…身体が消えてくううう!!!
ヴェルデ:な、何だ!?何が起きた!?
ヴィオラ:さっき飛んで来た紙屑の一つに、エゾルチースタのお札が混ざってたんだ…!
ヴェルデ:はぁ…!?
ファンターズマ:そんな事あるうううぅ!?(除霊される)
0:突風が止み、廃墟の嫌な気が消える。
ヴェルデ:……。
ヴィオラ:……。
ネーロ:…ああ、これでまた…『積み立て直し』だ…。
ヴィオラ:っ、ネーロ!?
ネーロ:ごめんね…ジュリ、エッタ…。(倒れる)
ヴィオラ:ネーロッ!!
ネーロ:(静かに寝息を立てている)
ヴィオラ:……。
ヴェルデ:……。おい、何がどうなってる…。
ヴィオラ:…分かんない。でも、さっきのは…多分ネーロじゃない…。
ヴェルデ:はぁ?じゃあ誰だっつーんだ!
ヴィオラ:…多分、ジーノ。
ヴェルデ:ボケてんのかヴィオラ、それはこいつの……あ。
ヴィオラ:……。
ヴェルデ:…そういう事か。なら、こいつ自身は異能者じゃねぇ可能性もある訳だ。
ヴィオラ:それは…違うと思う。
ヴェルデ:はぁ?
ヴィオラ:…『色』が、違ったから…。
ヴェルデ:『色』?って…目の…?
ヴィオラ:うん…。
ヴェルデ:……。
ネーロ:…んぅ…。
ヴィオラ:!ネーロ!
ネーロ:(寝言)ヴェルデさん…怒らないで下さぁ〜い…。
ヴェルデ:…あ?
ヴィオラ:……。
ネーロ:(寝言)折角ヒスイみたいな綺麗な目なのにぃ…「幸福」や「安定」って石言葉があってぇ…不運や災いから守ってくれる…本当にヴェルデさんみたいな宝石なんですよぉ…?
ヴェルデ:っ……。
ヴィオラ:(安堵)いつものネーロだな…。ん?ヴェルデ…?
ヴェルデ:…ふんっ!(ネーロの頭に思いっきり蹴りを入れる)
ネーロ:いっ!?ったぁ〜…!!
ヴィオラ:ヴェルデ!?
ヴェルデ:いっつまで寝ぼけてんだこん玉無しがぁ!そんなにおねんねが好きなら永眠させえやろうか!?あぁ!?
ネーロ:うああごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいい!!
ヴィオラ:おい、落ち着けって!
ネーロ:…あ、あれ?あの…、オバケは…?
ヴィオラ:…もう退治したよ。ネーロのお陰だ。
ネーロ:え?僕…何かしましたっけ…?
ヴェルデ:おいコラネーロ。
ネーロ:はいぃっ!!
ヴェルデ:いいか、ポンコツだの役立たずだの言ったのは取り消してやる。けど次またあたしの手ぇ煩わすような事したら…分かってんだろうなぁ!?
ネーロ:はい!分かりました!すいませんでしたぁっ!!
ヴィオラ:…姉さん。
ヴェルデ:あぁ!?
ヴィオラ:顔真っ赤。
ヴェルデ:っ…!!
ネーロ:え?顔?
ヴェルデ:っ〜〜〜!!うらああああっ!!(アサルトライフル乱射)
ネーロ:わああっ!?
ヴィオラ:やべ、地雷踏んだ。
ヴェルデ:てめぇ等…ここでまとめてブッ殺ぉーす!!
ヴィオラ:逃げるぞネーロ、走れ!
ネーロ:え!?あ、はいぃ〜!!
ヴェルデ:待ちやがれこんクソッタレ共がぁー!!!
0:――――(ここからは朗読不要のおまけ。イタリア語の解説です)――――
0:
0:ジョイエリ デラ トライセイ=トライセイの宝石達
0:ネーロ=黒
0:ヴィオラ=紫
0:ヴェルデ=緑
0:ファンターズマ=幽霊
0:ドン=ボス
0:オッキオ=目
0:ロッソ=赤
0:エゾルチースタ=エクソシスト
0:テロリースタ=テロリスト
0:アジアーティコ=アジア人
0:ソレッラ=シスター