声劇台本置き場

　：　 0：インスタントな関係――― 語り手：性別不問・男女不問 　：　　　※一人称、語尾変更、アドリブ 　：　　　　　　　　　ご自由にどうぞ。 0：本編スタート――― 　：　 　：まだ眠い 　： 　：あと半日は寝れるような 　：そんな訳わからない自信まである 　：―スヤスヤと 　：隣に体温を感じながら 　：このまままだ寝ていたい 　：そう、このまま… 　：　 0：お腹が鳴る　 　：…なのに 　：どんな時でも、お腹は空くもの 　：　 　：いつの間にか君も 　：時折、寝ぼけた声を出し始める 　：起こしちゃたかな 　：いや、心のどこかで 　：「起きてほしいな」 　：「君の声を聞きたいな」という 　：自分の心の声でも漏れてしまったんだろうか 　：なんて 　：いい大人が考えてしまうくらいには 　：本当、恋は盲目とは、良く言ったもんだ 　：― 　：君がいよいよ目を覚ます 　：　 　：「おはよう。おはよう。おはよう。」 　：　 　：繰り返してはきりがない、朝のやりとり 　：でも 　：繰り返しているうちに 　：だんだん、頭もはっきりとしてくる 　：…眠いけどね 　：君と話していたいんだ 　：…眠いけどね、どうしてだろう 　：寝てしまうのももったいないほど 　：君の声を 　：寝起きの、すこしかすれた、その声を 　：聞いていたい 　：　 　：自分の中で「優先順位」があって 　：その「順位」を 　：いとも簡単に変えてしまう、君 　：　 　：そんな自分達の 　：不器用な、情けない 　：　 　：―インスタントな関係 　：　 　：インスタントな関係、か 　：ああ、なんだ 　：そんな関係、とっくに破綻（はたん）していた 　：まあ気付いていたけども 　：そう言って、自分も守っていた 　：　 　：直訳して 　：「即席の関係」 　：そんなものはさ 　：　 　：少しのズレで 　：片方が強がってるだけなんだ 　：…君なのかな 　：いや、どうやらこれは、まいりました 　：　 　：勝ち負けなんかじゃないけれど 　：もういいよ 　：負けでいいよ 　：　 　：２人で飲む 　：インスタントのお味噌汁 　：　 　：いつまでも 　：インスタントだと思わないでね 　：そもそも 　：思えてたら、こんな事は思わないけどね 　：　 　：物事なんてシンプルだ 　：　 　：この「インスタント」 　：いつか 　：作り立てのお味噌汁にしてやるんだから 　：　 　：待っててくださいな 　：もうどうなったっていいよ 　：　 　：インスタントじゃない 　：温かいいお味噌汁でも朝食に 　：　 　：いつか 　：ゆっくり二度寝をしようよ 　：　 　：そんな日が、来るといいね？ 　：違うよ 　：もうインスタントは終わりなんだよ 　：だから 　：そんな日しか来ないんだよ 　：　 　：来させないんだよ 　： 　：君に、改めて 　：　 　：「はじめまして、おはよう」 　：　 0：了 　―そして始まり