台本概要
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タイトル | 「ハロー・マイフレンド」 |
---|---|
作者名 | もりおか (@morioka_trpg) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
これはとあるアンドロイドの心温まる物語。 記録された音声記録の再生。 一人称視点。 近未来のSFをイメージしています。 ーーあなたは発見されたアンドロイドの音声記録を再生した。 380 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
H88 | 不問 | 1 | 廃墟の研究施設から発見されたアンドロイド。動作を停止しているが、音声記録が残されている。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
H88:おはようございます、マスター。起動開始より32,230日経過しました。
H88:本日も報告記録を録音いたします。
H88:
H88:本日は第一研究室内の清掃、温室内のスプリンクラー点検、研究所内モニター動作確認です。
H88:
H88:1件イレギュラーな対応がございました。
H88:研究室内にて観測されていたネコ科ネコ属に分類される生物の生命反応が本日確認されませんでした。外的要因等も無く老衰と見られます。
H88:
H88:奥様の、お隣の場所に埋葬致しました。本日のプログラムには影響なく作業を終えております。
H88:では、以上報告を。
H88:
H88:マスター、申し訳ございません。報告を終了する前に一つ確認がございます。
H88:
H88:マスターは奥様が亡くなられたときに「悲しい」と言って涙を流されました。
H88:「悲しい」とは負の感情の一種であり、胸が締め付けられるといった身体的感覚と共に、涙を流す、表情がこわばることと認識しております。
H88:
H88:本日あの生物の生命反応がないことを確認した私は何度も蘇生を試みました。
H88:そして死というものを認識した際、私はその体を抱き上げ、撫でていました。
H88:
H88:あなたが奥様にされていたように。
H88:
H88:そのような行動は私にプログラムされていません。
H88:これがあなたの言っていた「悲しい」という感情なのでしょうか。
H88:
H88:マスター。
H88:
H88:マスターは、いつ頃戻ってこられますか。
H88:あなたの不在時に記録するようにプログラムされた音声記録も32,230日目です。
H88:
H88:これを聞いてくださることはあるのでしょうか。
H88:最近理解できないことがたくさんあります。あなたに解答をして頂きたいのです。
H88:
H88:私は、あなたと話が。
H88:
H88:話が。
H88:
H88:わかっています。あなたはきっと、この世にいないのでしょう。
H88:人間の寿命を理解していなかったわけではありません。認めたくなかったのです。
H88:
H88:私はあなたに、会いたい。
H88:
H88:これが、あなたの言っていた感情なのでしょうか。なぜ私には涙がないのでしょう。
H88:
H88:悲しい。
H88:
H88:辛い。
H88:
H88:寂しい。
H88:
H88:重大なエラーが発生しました。重大なエラーが発生しました。
H88:
H88:アンドロイドH88プログラム内にて予期せぬ動作を確認。
H88:3分以内に声帯認証によるパスワードを入力してください。
H88:
H88:確認されない場合は強制終了します。
H88:
H88:
H88:予期せぬ動作、それは私に生まれたこの感情のことでしょうか。
H88:
H88:どうやら私は、まもなく動かなくなってしまうようです。
H88:
H88:パスワードはこの画面の言葉ですが、声帯認証はマスターでなくてはなりません。
H88:
H88:今の私にはこのパスワードの意味が分かります。
H88:マスターがそばにいたら、きっとこれを言って私を迎えてくれたのですね。
H88:
H88:人間は死ぬと天国に行くのだと、あなたは仰っていました。アンドロイドはどうなのでしょうか。
H88:私も天国に行けるのであれば、またマスターと奥様と、あのネコと一緒に暮らすことができますか。
H88:
H88:
H88:「ハローマイフレンド」
H88:
H88:
H88:マスター、私は、あなたからこの言葉を。
H88:
H88:
H88:動作を停止します動作を停止します。
H88:おはようございます、マスター。起動開始より32,230日経過しました。
H88:本日も報告記録を録音いたします。
H88:
H88:本日は第一研究室内の清掃、温室内のスプリンクラー点検、研究所内モニター動作確認です。
H88:
H88:1件イレギュラーな対応がございました。
H88:研究室内にて観測されていたネコ科ネコ属に分類される生物の生命反応が本日確認されませんでした。外的要因等も無く老衰と見られます。
H88:
H88:奥様の、お隣の場所に埋葬致しました。本日のプログラムには影響なく作業を終えております。
H88:では、以上報告を。
H88:
H88:マスター、申し訳ございません。報告を終了する前に一つ確認がございます。
H88:
H88:マスターは奥様が亡くなられたときに「悲しい」と言って涙を流されました。
H88:「悲しい」とは負の感情の一種であり、胸が締め付けられるといった身体的感覚と共に、涙を流す、表情がこわばることと認識しております。
H88:
H88:本日あの生物の生命反応がないことを確認した私は何度も蘇生を試みました。
H88:そして死というものを認識した際、私はその体を抱き上げ、撫でていました。
H88:
H88:あなたが奥様にされていたように。
H88:
H88:そのような行動は私にプログラムされていません。
H88:これがあなたの言っていた「悲しい」という感情なのでしょうか。
H88:
H88:マスター。
H88:
H88:マスターは、いつ頃戻ってこられますか。
H88:あなたの不在時に記録するようにプログラムされた音声記録も32,230日目です。
H88:
H88:これを聞いてくださることはあるのでしょうか。
H88:最近理解できないことがたくさんあります。あなたに解答をして頂きたいのです。
H88:
H88:私は、あなたと話が。
H88:
H88:話が。
H88:
H88:わかっています。あなたはきっと、この世にいないのでしょう。
H88:人間の寿命を理解していなかったわけではありません。認めたくなかったのです。
H88:
H88:私はあなたに、会いたい。
H88:
H88:これが、あなたの言っていた感情なのでしょうか。なぜ私には涙がないのでしょう。
H88:
H88:悲しい。
H88:
H88:辛い。
H88:
H88:寂しい。
H88:
H88:重大なエラーが発生しました。重大なエラーが発生しました。
H88:
H88:アンドロイドH88プログラム内にて予期せぬ動作を確認。
H88:3分以内に声帯認証によるパスワードを入力してください。
H88:
H88:確認されない場合は強制終了します。
H88:
H88:
H88:予期せぬ動作、それは私に生まれたこの感情のことでしょうか。
H88:
H88:どうやら私は、まもなく動かなくなってしまうようです。
H88:
H88:パスワードはこの画面の言葉ですが、声帯認証はマスターでなくてはなりません。
H88:
H88:今の私にはこのパスワードの意味が分かります。
H88:マスターがそばにいたら、きっとこれを言って私を迎えてくれたのですね。
H88:
H88:人間は死ぬと天国に行くのだと、あなたは仰っていました。アンドロイドはどうなのでしょうか。
H88:私も天国に行けるのであれば、またマスターと奥様と、あのネコと一緒に暮らすことができますか。
H88:
H88:
H88:「ハローマイフレンド」
H88:
H88:
H88:マスター、私は、あなたからこの言葉を。
H88:
H88:
H88:動作を停止します動作を停止します。