台本概要

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タイトル 銀狼の夜
作者名 ヒロタカノ  (@hiro_takano)
ジャンル ファンタジー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 怪奇ファンタジー学園ものの
パイロット版、みたいなイメージで

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どこかなにかで使っていただけたら幸いです。

「使ったよ」とでもコメントいただけたらありがたいです。

いつかどこかで誰かのお役に立ちますように。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
冬弥 27
美月 10 先輩?同級生?後輩? お好みで
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
冬弥:(M)夜の校庭を僕は歩く。 冬弥:今夜は満月、雲で隠れてなければきっと綺麗な丸い月が地上を見下ろしていただろう。 冬弥: 冬弥:右手には一振りの刀、僕の相棒。 冬弥:眼鏡は仕事の邪魔になるから家に置いてきた。 冬弥: 冬弥:校庭の真ん中に向かって、まっすぐ歩く。 冬弥:そこには…うちの学校の制服を着た少女が立っている。 冬弥: 冬弥:彼女は、まるで月の恩恵を待つかのように夜空を見上げていた。 : 冬弥:「…美月さん。」 : 冬弥:(M)僕は彼女の背中に向かって名を呼んだ。 : 美月:「冬弥君…待ってたよ。」 冬弥:(M)振り向かずに応える美月。 冬弥:いつもと変わらない聞き慣れた彼女の声。 冬弥: 冬弥:いつもと違うのは彼女の長い黒髪は三つ編みを解いて腰まで流れていること。 冬弥:その黒髪は光の錯覚ではなく…間違いなく銀色の髪。 冬弥: 冬弥:爪は鋭く伸び、耳は人のそれとは違う獣の耳に。そう、それは。 冬弥: : 冬弥:「(銀の…狼)」 : 冬弥:(M)やはり…摂り付かれていた。 冬弥:出来れば夢であって欲しかった。 冬弥:和樹達を殺したのは…彼女だ。 : 冬弥:「美月さん…。」 美月:「心地よい風だね。寒くなく暖かくなく、運動するには丁度いいね。」 冬弥:「…。」 美月:「今夜は満月。月の光は妖力の源なの。雲が晴れたら狩りの時間ね。ここは獲物に困らなくて素敵。」 冬弥:(M)そう言うとこちらを振り返り、真顔で僕を見つめた。 美月:「…そんな風に頭の中で誰かが囁くの。」 冬弥:(M)寂しそうな瞳だった。まるで救いを求める捨て猫のような黒い瞳。彼女の台詞は続く、 美月:「おかしいって思ったのは、あの石を触って倒れてから。その日の夜から頭の中で声が聴こえるようになった。」 冬弥:「…。」 美月:「その声は段々大きくなって…ある日から夢を見るようになった。夢の中で私は街を駆け回り、次々と人を襲うの。その中には私の知っているクラスメートの顔もあって…その後、冬弥君と闘う夢も見た。…夢であって欲しいと思った。でも…朝起きても手に感触が残っていた。それでも信じて学校に行ったら友達がみんな泣いていて…」 冬弥:(M)「…。」 美月:「どうして!?どうしてあの時ちゃんと止めてくれなかったの!?そんな力を持っているなら!?ねえ!!」 冬弥:(M)膝を折り、手で顔を覆い泣き崩れる美月。 : 冬弥:(M)自分の甘さに後悔する日を過ごした。…でも同じ位、彼女の苦しみも続いていたのだろう。 : 冬弥:(M)だから、もう迷いは捨てる。 : 冬弥:「美月さんっ!!!」 美月:「!」 冬弥:(M)僕はありったけの大声で叫んだ。 冬弥:驚いて僕を見上げる彼女。 : 冬弥:(M)自分が犯した過ちは決して消えない。 冬弥:今は自分が出来る全力を尽くす。 冬弥:それが未熟な僕に出来る償い方。そして…、 : 冬弥:「今夜で、悪夢は終わりだよ。」 冬弥:(M)彼女を救う、唯一の方法。 美月:「…約束だよ、冬弥君。」 冬弥:(M)美月は静かに目を閉じた。 冬弥:僕は刀の柄を握り、彼女に向かって構える。 : 冬弥:「俺の名は妖を狩る者、17代目、桐生冬弥。」 : 冬弥:(M)風に流れて雲が晴れ、満月が顔を出して二人を照らす。 冬弥:彼女が目を開ける。それはすでに金色の瞳。 : 冬弥:(M)僕の好きだった優しい瞳は三日月のように細くなり、僕という獲物見ている。 : 冬弥:(M)瞳の奥は手応えのある獲物を見つけた喜びで、冷たく、そして爛々と輝いていた。 冬弥:僕と美月は、同時にこう言った 冬弥:「さぁ、狩りの始まりだ」 美月:「さぁ、狩りの始まりだ」 冬弥:(M)銀色の二つの閃光が交差する。 冬弥:僕達の、最後の夜が始まった。

冬弥:(M)夜の校庭を僕は歩く。 冬弥:今夜は満月、雲で隠れてなければきっと綺麗な丸い月が地上を見下ろしていただろう。 冬弥: 冬弥:右手には一振りの刀、僕の相棒。 冬弥:眼鏡は仕事の邪魔になるから家に置いてきた。 冬弥: 冬弥:校庭の真ん中に向かって、まっすぐ歩く。 冬弥:そこには…うちの学校の制服を着た少女が立っている。 冬弥: 冬弥:彼女は、まるで月の恩恵を待つかのように夜空を見上げていた。 : 冬弥:「…美月さん。」 : 冬弥:(M)僕は彼女の背中に向かって名を呼んだ。 : 美月:「冬弥君…待ってたよ。」 冬弥:(M)振り向かずに応える美月。 冬弥:いつもと変わらない聞き慣れた彼女の声。 冬弥: 冬弥:いつもと違うのは彼女の長い黒髪は三つ編みを解いて腰まで流れていること。 冬弥:その黒髪は光の錯覚ではなく…間違いなく銀色の髪。 冬弥: 冬弥:爪は鋭く伸び、耳は人のそれとは違う獣の耳に。そう、それは。 冬弥: : 冬弥:「(銀の…狼)」 : 冬弥:(M)やはり…摂り付かれていた。 冬弥:出来れば夢であって欲しかった。 冬弥:和樹達を殺したのは…彼女だ。 : 冬弥:「美月さん…。」 美月:「心地よい風だね。寒くなく暖かくなく、運動するには丁度いいね。」 冬弥:「…。」 美月:「今夜は満月。月の光は妖力の源なの。雲が晴れたら狩りの時間ね。ここは獲物に困らなくて素敵。」 冬弥:(M)そう言うとこちらを振り返り、真顔で僕を見つめた。 美月:「…そんな風に頭の中で誰かが囁くの。」 冬弥:(M)寂しそうな瞳だった。まるで救いを求める捨て猫のような黒い瞳。彼女の台詞は続く、 美月:「おかしいって思ったのは、あの石を触って倒れてから。その日の夜から頭の中で声が聴こえるようになった。」 冬弥:「…。」 美月:「その声は段々大きくなって…ある日から夢を見るようになった。夢の中で私は街を駆け回り、次々と人を襲うの。その中には私の知っているクラスメートの顔もあって…その後、冬弥君と闘う夢も見た。…夢であって欲しいと思った。でも…朝起きても手に感触が残っていた。それでも信じて学校に行ったら友達がみんな泣いていて…」 冬弥:(M)「…。」 美月:「どうして!?どうしてあの時ちゃんと止めてくれなかったの!?そんな力を持っているなら!?ねえ!!」 冬弥:(M)膝を折り、手で顔を覆い泣き崩れる美月。 : 冬弥:(M)自分の甘さに後悔する日を過ごした。…でも同じ位、彼女の苦しみも続いていたのだろう。 : 冬弥:(M)だから、もう迷いは捨てる。 : 冬弥:「美月さんっ!!!」 美月:「!」 冬弥:(M)僕はありったけの大声で叫んだ。 冬弥:驚いて僕を見上げる彼女。 : 冬弥:(M)自分が犯した過ちは決して消えない。 冬弥:今は自分が出来る全力を尽くす。 冬弥:それが未熟な僕に出来る償い方。そして…、 : 冬弥:「今夜で、悪夢は終わりだよ。」 冬弥:(M)彼女を救う、唯一の方法。 美月:「…約束だよ、冬弥君。」 冬弥:(M)美月は静かに目を閉じた。 冬弥:僕は刀の柄を握り、彼女に向かって構える。 : 冬弥:「俺の名は妖を狩る者、17代目、桐生冬弥。」 : 冬弥:(M)風に流れて雲が晴れ、満月が顔を出して二人を照らす。 冬弥:彼女が目を開ける。それはすでに金色の瞳。 : 冬弥:(M)僕の好きだった優しい瞳は三日月のように細くなり、僕という獲物見ている。 : 冬弥:(M)瞳の奥は手応えのある獲物を見つけた喜びで、冷たく、そして爛々と輝いていた。 冬弥:僕と美月は、同時にこう言った 冬弥:「さぁ、狩りの始まりだ」 美月:「さぁ、狩りの始まりだ」 冬弥:(M)銀色の二つの閃光が交差する。 冬弥:僕達の、最後の夜が始まった。