台本概要

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タイトル 秋葉原オンライン
作者名 ヒロタカノ  (@hiro_takano)
ジャンル コメディ
演者人数 3人用台本(男1、女1、不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 秋葉原を舞台にした探偵刑事もの

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どこかなにかで使っていただけたら幸いです。

「使ったよ」とでもコメントいただけたらありがたいです。

いつかどこかで誰かのお役に立ちますように。
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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
21 私立探偵兼、メイドカフェ店員
哲夫 29 刑事
アル 不問 9 国際的ハッカー
メイド 3 3セリフ。茜役か女性の方が兼ね役ください。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
: 〇:マンションの一室(夕方) 0:カーテンが閉め切られ暗い室内。 0:複数のパソコンがあり、モニタからはプログラム言語が流れる。 0: 0:メイド服を着て縄で縛られているユキがぐったりと壁にもたれてる。 0:頬には涙の筋。 0: 0:部屋の中心にはシートがあり、何か被せてあるような膨らみがある。 0: 0:そこからケーブル伸びていて、その先には胡坐をかいてキーを 0:叩くアルのノートパソコンと繋がっている。 0: アル:「ねえ。ユキちゃんって言ったっけ?君は今の秋葉原についてどう思う?」 0:ユキ、応えない。構わずアルは、 アル:「僕?僕は心底がっかりしたよ。久方ぶりに見た秋葉は、魂がない。きっとね、君みたいな男を餌にするメスが腐らせたのだと思う。これは重罪だよ。…でも僕は慈悲深い。君達に生まれ変わるチャンスをあげよう。カウントは1時間。イッツショータイム」 0:アルがキーを押す、モニタには『AL』というロゴと01:00:00が表示される。 〇:メイドカフェ『アンデルセン』(夕方) 0:メイド服を着た女性達が接客をする。 0:壁にはパソコンが並び男性客がネットをしている。 0: 0:カウンタに座る佐古下哲夫の手に、アンデルセンの宣伝チラシが一枚。 0:かわいいデザインの下の方に 0: 0:『探偵もやってます☆お困りの時は茜に声を掛けてねという記事。 0:哲夫の前にお冷が置かれる。 0: 0:哲夫が顔を上げるとメイド服を着て、 0:丸文字で『美少女探偵茜ちゃん』と書かれた名札を付けた大和田茜が、笑顔で、 茜:「メイドカフェ『アンデルセン』にお帰りなさいませ、ご主人様。ご注文はお決まりですかぁ?あ、この私、茜ちゃんに声をかけてくれたってことわあ☆ひょっとして探偵の方のご依頼ですかぁ☆」 0:哲夫、チラシと茜を交互に見て呆れ顔、 哲夫:「茜よぉ、いまいくつだ?いい歳して、何やってんだお前」 0:カウンタでコーヒーを飲む哲夫。 茜:「いやいや、まだまだいけるでしょ?あたし。…久しぶりね、ご主人様。何年振り?」 哲夫:「…ご主人様は止めろ。5年…いや6年か。しかし…別れてから何があった?どうしてメイドカフェなんかにいる?」 茜:「あら?メイド服似合わない?アタシは結構気に入ってるけどな」 哲夫:「そうじゃねえよ、探偵事務所は?」 茜:「やってますよ?探偵業。ほら名札見てよ?『美少女探偵茜ちゃん』絶賛営業中」 哲夫:「じゃなくて何故メイドカフェなんだ?」 茜:「あら?メイド服似合わない?アタシは結構気に入ってるけど?」 哲夫:「はぐらかすんならもう聞かん…帰る」 茜:「…廃業した。探偵屋の定収入元、素行調査とペット探しがみんなインターネットにとられちゃった。SNSに写真のっけて『探してます』なんてやられちゃパソコンのパの字も知らないアタシは情報戦で勝てないわ。時代の流れって時に罪よね」 0:哲夫、黙ってコーヒーを飲む 茜:「路頭に迷ってたアタシを拾ってくれたのがここの店主。あんたのご指摘の通りアタシも歳だから最初はウェイターやってた。けどバイトの悩みとか面倒を見てるうちにすっかり信頼されちゃって、今やメイドの長に大抜擢。意外と探偵よりこっちが天職かもね」 哲夫:「そうか…いろいろ苦労したんだな」 茜:「それより刑事様?刑事様は今日はどういったご御用で秋葉原に?」 哲夫:「ああ、捜査でな。国際的なハッカーが秋葉原に潜伏してるという情報が入って聞き込みをしてる。そうだ。なぁ、この辺詳しいんだろ?少し協力してくれないか?」 茜:「しなーい。あんたはお国の正義のためだろうけど、あたしは生活がかかってるの。協力するなら依頼料を下さい、ご主人様?」 哲夫:「このっ、公務執行妨害で逮捕するぞ?」 0:突然店内の灯りとパソコンの電源が消える。 茜:「えっ!店内の灯りが!?停電?」 哲夫:「まて、パソコンが勝手に動いているぞ?」 0:騒然とする店内。壁側のパソコンが一斉に再起動し、モニタから『AL』というロゴが表示され、音声が流れる。 アル:「こんにちは、秋葉原の皆さん、僕はアル。ロスでは『魔王』なんて言われてるけどね、日本では有名なのかな?僕は」 哲夫:「アルっ!!アルだとっ!?」 茜:「何?知ってるの?」 哲夫:「まさにこいつが俺の追ってるホシさ」 アル:「さて皆さん。帰国して早々、僕はこの秋葉原に心底がっかりしてしまった。いったいこれはなんの冗談だい?」 0:店内のモニタが一斉に切り替わり、縛られているユキとシートが映される。 茜:「ユキちゃん!!」 哲夫:「ユキちゃん?知り会いか?」 茜:「メイド仲間よ…最近顔ださないと思ったら…」 アル:「昔の秋葉原は良かった。街には電子部品が溢れていて、未来が眠る宝島のようだった。僕は毎日通って仲間と勉強に明け暮れたものさ。…それが今は…盛りのついたメスが徘徊し、牙の無い男供がシッポを振って後を追う。僕の思い出の街をこんな…こんな…何やってんだよお前ら!」 0:モニタから、ダンッと机を叩く音。 アル:「…失礼、取り乱した。…さてゲームをしよう。僕と君らの秋葉原争奪合戦さ」 0:床のシートが外され、爆弾が姿を現す。 茜:「…でか、何、あれ?」 哲夫:「……爆弾?…爆弾だ!」 哲夫の声に『爆弾だって?マジかよ!』と騒ぐ客と店員達。モニタを睨む茜。 アル:「僕は今、秋葉原のどこかにいる。1時間与えるからこいつを止めてみたまえ」 0:モニターの右下に01:00:00と表示され、1秒ずつカウントが減り始める。 アル:「では、勇者の参加を待ってるよ」 哲夫:「くそっ!アルめ!好き勝手しやがって」 茜:「哲夫!!これ預かってて!」 0:茜は走り出す哲夫を呼びとめ携帯電話を投げつける。哲夫はキャッチして、 哲夫:「とととっ、ナイスキャッチ!って!おいっ!茜?」 茜:「あの野郎、魔王かなんだか知らないけどアタシの家族に手を出しやがった!哲夫!それ持って先に行って!!」 〇:秋葉原の街中(夕方) 0:街中を携帯電話で話しながら走る哲夫。 哲夫:「ああ、そうだよ!アルが現れた。誘拐と爆破予告!支給増援を寄こしてくれ!時間がないんだ!…くそ、どこにいるアル? 0:哲夫のポケットから茜の携帯の着信音が鳴る。哲夫はイライラと電話をとり、 哲夫:「はい!佐古下!誰だ?」 メイド:「もしもし?刑事さんですか?」 哲夫:「は?そうだが、取り込み中だ!切るぞ」 メイド:「待って!茜さんから聞きました。ユキちゃんの件、手がかりがあるんです!」 哲夫:「なに?本当か!?」 メイド:「はい!万世橋店の皆がユキちゃんと腕組んで歩く男を見たって!」 哲夫:「よし!何かわかったら教えてくれ!」 0:哲夫、電話を切るが間髪いれずメロディが鳴る。携帯を操作する哲夫。 哲夫:「今度は何だ?メール?」 0:画面には表題に『刑事さんへ』『ユキちゃんの件』『茜さんへ』『男の情報』『情報です』と書かれたメールが並ぶ。 哲夫:「…茜のやつ…全然腕、衰えてないな」 〇:マンションのドア(夕方) 0:606と書かれたのドアを叩きドアノブをガチャガチャ回す哲夫。 哲夫:「アル!出て来い!…ん!?カギが開いてる!入るぞ!」 0:ドアを乱暴に開け、部屋に入る哲夫。 :□マンションの一室(夕方) 0:部屋に駆け込む哲夫。ノートパソコンとユキを見つけ交互に見る。パソコンのモニタには00:01:00と表示されており、カウンタが減っていく。哲夫はユキに駆け寄り、縄を外そうとする。 哲夫:「バクダンは?あと1分、くそ!間に合うか!?キミ!!キミ!ユキさん!大丈夫か?…くそっ!壁に繋がれてる!鎖が!…間に合わない!くそっ!この!」 0:カウンタは00:00:10。モニタを見比べ縄をいじる哲夫。そこへドアが開き、布の袋を持った茜が駆け込んで来て 茜:「哲夫!下がって!!その爆弾をこの袋に入れて!あとは私が何とかする!」 0:カウンタの表示は00:00:05。茜は爆弾を掴み袋に入れると、窓側に投げる。 哲夫:「茜!?馬鹿野郎!無茶するな!爆発、する!」 0:茜に飛びかかり手元に引き寄せる哲夫。アラームが鳴り、袋が破裂する。 〇:マンションの一室(夕方) 部屋中に瓦礫が散乱する。窓ガラスが割れ、外ではパトカーのサイレンが鳴っている。部屋の隅で背を向けて茜とユキを庇う哲夫。哲夫は咳払いをして、 哲夫:「ごほっ…茜、茜、大丈夫か?おい!」 茜:「…爆弾を入れた、この袋の中身ね。アラミド繊維の特殊防弾ジャケットの詰め合わせ。SWATのお隅付き。秋葉って何でも揃うから素敵よね」 哲夫:「…なっ、なんて無茶を……」 茜:「無茶じゃないもん。ちゃんと店の親父に爆弾の映像見せて裏取ったもの。爺さん『この爆弾ワシに解体させろっ』て言い出すのよ?プルプル震える手で。いや無理だって。説得するのに時間かかっちゃった、ごめんね」 哲夫:「そうじゃねえよ馬鹿!昔っからお前はそうだ!いつもいつも突っ走って、俺がどれだけ心配したと思って!」 茜:「はいはい…。…あの時もこんだけ必死な顔してたら、別れてやらなかったのにな」 哲夫:「…な、何をいまさら」 0:茜は立ち上がり、制服のホコリを払い、 茜:「時効ね、時効。さぁ帰って仕事仕事。後は任せたわよ、刑事さん」 〇:マンションの外(夕方) 0:マンションをパトカーが囲む。少し離れた路地の木の影にアルの姿。 アル:「へえ、秋葉原もまだ捨てたもんじゃないね。おもしろい。少しゲームを続けよう」

: 〇:マンションの一室(夕方) 0:カーテンが閉め切られ暗い室内。 0:複数のパソコンがあり、モニタからはプログラム言語が流れる。 0: 0:メイド服を着て縄で縛られているユキがぐったりと壁にもたれてる。 0:頬には涙の筋。 0: 0:部屋の中心にはシートがあり、何か被せてあるような膨らみがある。 0: 0:そこからケーブル伸びていて、その先には胡坐をかいてキーを 0:叩くアルのノートパソコンと繋がっている。 0: アル:「ねえ。ユキちゃんって言ったっけ?君は今の秋葉原についてどう思う?」 0:ユキ、応えない。構わずアルは、 アル:「僕?僕は心底がっかりしたよ。久方ぶりに見た秋葉は、魂がない。きっとね、君みたいな男を餌にするメスが腐らせたのだと思う。これは重罪だよ。…でも僕は慈悲深い。君達に生まれ変わるチャンスをあげよう。カウントは1時間。イッツショータイム」 0:アルがキーを押す、モニタには『AL』というロゴと01:00:00が表示される。 〇:メイドカフェ『アンデルセン』(夕方) 0:メイド服を着た女性達が接客をする。 0:壁にはパソコンが並び男性客がネットをしている。 0: 0:カウンタに座る佐古下哲夫の手に、アンデルセンの宣伝チラシが一枚。 0:かわいいデザインの下の方に 0: 0:『探偵もやってます☆お困りの時は茜に声を掛けてねという記事。 0:哲夫の前にお冷が置かれる。 0: 0:哲夫が顔を上げるとメイド服を着て、 0:丸文字で『美少女探偵茜ちゃん』と書かれた名札を付けた大和田茜が、笑顔で、 茜:「メイドカフェ『アンデルセン』にお帰りなさいませ、ご主人様。ご注文はお決まりですかぁ?あ、この私、茜ちゃんに声をかけてくれたってことわあ☆ひょっとして探偵の方のご依頼ですかぁ☆」 0:哲夫、チラシと茜を交互に見て呆れ顔、 哲夫:「茜よぉ、いまいくつだ?いい歳して、何やってんだお前」 0:カウンタでコーヒーを飲む哲夫。 茜:「いやいや、まだまだいけるでしょ?あたし。…久しぶりね、ご主人様。何年振り?」 哲夫:「…ご主人様は止めろ。5年…いや6年か。しかし…別れてから何があった?どうしてメイドカフェなんかにいる?」 茜:「あら?メイド服似合わない?アタシは結構気に入ってるけどな」 哲夫:「そうじゃねえよ、探偵事務所は?」 茜:「やってますよ?探偵業。ほら名札見てよ?『美少女探偵茜ちゃん』絶賛営業中」 哲夫:「じゃなくて何故メイドカフェなんだ?」 茜:「あら?メイド服似合わない?アタシは結構気に入ってるけど?」 哲夫:「はぐらかすんならもう聞かん…帰る」 茜:「…廃業した。探偵屋の定収入元、素行調査とペット探しがみんなインターネットにとられちゃった。SNSに写真のっけて『探してます』なんてやられちゃパソコンのパの字も知らないアタシは情報戦で勝てないわ。時代の流れって時に罪よね」 0:哲夫、黙ってコーヒーを飲む 茜:「路頭に迷ってたアタシを拾ってくれたのがここの店主。あんたのご指摘の通りアタシも歳だから最初はウェイターやってた。けどバイトの悩みとか面倒を見てるうちにすっかり信頼されちゃって、今やメイドの長に大抜擢。意外と探偵よりこっちが天職かもね」 哲夫:「そうか…いろいろ苦労したんだな」 茜:「それより刑事様?刑事様は今日はどういったご御用で秋葉原に?」 哲夫:「ああ、捜査でな。国際的なハッカーが秋葉原に潜伏してるという情報が入って聞き込みをしてる。そうだ。なぁ、この辺詳しいんだろ?少し協力してくれないか?」 茜:「しなーい。あんたはお国の正義のためだろうけど、あたしは生活がかかってるの。協力するなら依頼料を下さい、ご主人様?」 哲夫:「このっ、公務執行妨害で逮捕するぞ?」 0:突然店内の灯りとパソコンの電源が消える。 茜:「えっ!店内の灯りが!?停電?」 哲夫:「まて、パソコンが勝手に動いているぞ?」 0:騒然とする店内。壁側のパソコンが一斉に再起動し、モニタから『AL』というロゴが表示され、音声が流れる。 アル:「こんにちは、秋葉原の皆さん、僕はアル。ロスでは『魔王』なんて言われてるけどね、日本では有名なのかな?僕は」 哲夫:「アルっ!!アルだとっ!?」 茜:「何?知ってるの?」 哲夫:「まさにこいつが俺の追ってるホシさ」 アル:「さて皆さん。帰国して早々、僕はこの秋葉原に心底がっかりしてしまった。いったいこれはなんの冗談だい?」 0:店内のモニタが一斉に切り替わり、縛られているユキとシートが映される。 茜:「ユキちゃん!!」 哲夫:「ユキちゃん?知り会いか?」 茜:「メイド仲間よ…最近顔ださないと思ったら…」 アル:「昔の秋葉原は良かった。街には電子部品が溢れていて、未来が眠る宝島のようだった。僕は毎日通って仲間と勉強に明け暮れたものさ。…それが今は…盛りのついたメスが徘徊し、牙の無い男供がシッポを振って後を追う。僕の思い出の街をこんな…こんな…何やってんだよお前ら!」 0:モニタから、ダンッと机を叩く音。 アル:「…失礼、取り乱した。…さてゲームをしよう。僕と君らの秋葉原争奪合戦さ」 0:床のシートが外され、爆弾が姿を現す。 茜:「…でか、何、あれ?」 哲夫:「……爆弾?…爆弾だ!」 哲夫の声に『爆弾だって?マジかよ!』と騒ぐ客と店員達。モニタを睨む茜。 アル:「僕は今、秋葉原のどこかにいる。1時間与えるからこいつを止めてみたまえ」 0:モニターの右下に01:00:00と表示され、1秒ずつカウントが減り始める。 アル:「では、勇者の参加を待ってるよ」 哲夫:「くそっ!アルめ!好き勝手しやがって」 茜:「哲夫!!これ預かってて!」 0:茜は走り出す哲夫を呼びとめ携帯電話を投げつける。哲夫はキャッチして、 哲夫:「とととっ、ナイスキャッチ!って!おいっ!茜?」 茜:「あの野郎、魔王かなんだか知らないけどアタシの家族に手を出しやがった!哲夫!それ持って先に行って!!」 〇:秋葉原の街中(夕方) 0:街中を携帯電話で話しながら走る哲夫。 哲夫:「ああ、そうだよ!アルが現れた。誘拐と爆破予告!支給増援を寄こしてくれ!時間がないんだ!…くそ、どこにいるアル? 0:哲夫のポケットから茜の携帯の着信音が鳴る。哲夫はイライラと電話をとり、 哲夫:「はい!佐古下!誰だ?」 メイド:「もしもし?刑事さんですか?」 哲夫:「は?そうだが、取り込み中だ!切るぞ」 メイド:「待って!茜さんから聞きました。ユキちゃんの件、手がかりがあるんです!」 哲夫:「なに?本当か!?」 メイド:「はい!万世橋店の皆がユキちゃんと腕組んで歩く男を見たって!」 哲夫:「よし!何かわかったら教えてくれ!」 0:哲夫、電話を切るが間髪いれずメロディが鳴る。携帯を操作する哲夫。 哲夫:「今度は何だ?メール?」 0:画面には表題に『刑事さんへ』『ユキちゃんの件』『茜さんへ』『男の情報』『情報です』と書かれたメールが並ぶ。 哲夫:「…茜のやつ…全然腕、衰えてないな」 〇:マンションのドア(夕方) 0:606と書かれたのドアを叩きドアノブをガチャガチャ回す哲夫。 哲夫:「アル!出て来い!…ん!?カギが開いてる!入るぞ!」 0:ドアを乱暴に開け、部屋に入る哲夫。 :□マンションの一室(夕方) 0:部屋に駆け込む哲夫。ノートパソコンとユキを見つけ交互に見る。パソコンのモニタには00:01:00と表示されており、カウンタが減っていく。哲夫はユキに駆け寄り、縄を外そうとする。 哲夫:「バクダンは?あと1分、くそ!間に合うか!?キミ!!キミ!ユキさん!大丈夫か?…くそっ!壁に繋がれてる!鎖が!…間に合わない!くそっ!この!」 0:カウンタは00:00:10。モニタを見比べ縄をいじる哲夫。そこへドアが開き、布の袋を持った茜が駆け込んで来て 茜:「哲夫!下がって!!その爆弾をこの袋に入れて!あとは私が何とかする!」 0:カウンタの表示は00:00:05。茜は爆弾を掴み袋に入れると、窓側に投げる。 哲夫:「茜!?馬鹿野郎!無茶するな!爆発、する!」 0:茜に飛びかかり手元に引き寄せる哲夫。アラームが鳴り、袋が破裂する。 〇:マンションの一室(夕方) 部屋中に瓦礫が散乱する。窓ガラスが割れ、外ではパトカーのサイレンが鳴っている。部屋の隅で背を向けて茜とユキを庇う哲夫。哲夫は咳払いをして、 哲夫:「ごほっ…茜、茜、大丈夫か?おい!」 茜:「…爆弾を入れた、この袋の中身ね。アラミド繊維の特殊防弾ジャケットの詰め合わせ。SWATのお隅付き。秋葉って何でも揃うから素敵よね」 哲夫:「…なっ、なんて無茶を……」 茜:「無茶じゃないもん。ちゃんと店の親父に爆弾の映像見せて裏取ったもの。爺さん『この爆弾ワシに解体させろっ』て言い出すのよ?プルプル震える手で。いや無理だって。説得するのに時間かかっちゃった、ごめんね」 哲夫:「そうじゃねえよ馬鹿!昔っからお前はそうだ!いつもいつも突っ走って、俺がどれだけ心配したと思って!」 茜:「はいはい…。…あの時もこんだけ必死な顔してたら、別れてやらなかったのにな」 哲夫:「…な、何をいまさら」 0:茜は立ち上がり、制服のホコリを払い、 茜:「時効ね、時効。さぁ帰って仕事仕事。後は任せたわよ、刑事さん」 〇:マンションの外(夕方) 0:マンションをパトカーが囲む。少し離れた路地の木の影にアルの姿。 アル:「へえ、秋葉原もまだ捨てたもんじゃないね。おもしろい。少しゲームを続けよう」