台本概要

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タイトル 前読み禁止プロポーズ
作者名 天道司
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 自由に演じてください。
ただし、前読みは禁止です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
62 プロポーズする人
63 ポロポーズされる人
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
女:「いきなり?もう始めるの?前読みしてないんだけど」 男:「前読みはしないでほしいからさ」 女:「相変わらずだね」 男:「相変わらずでしょ?予定調和を嫌う性(たち)なんだ」 女:「そういうの嫌いじゃないよ。私も前読みはしない方がワクワクするから好き」 男:「俺たち、気が合うね!」 女:「だって、相棒でしょ?」 男:「まさか、突然いなくなった俺のことをずっと待っていてくれてるなんて思わなかったよ」 女:「待つに決まってるでしょ。それより、今までどこにいたの?何をしていたの?」 男:「異世界転生してた」 女:「嘘でしょ!正直に答えてよ!」 男:「まずは、少し俺の話しに乗っかってよ」 女:「こんなに長い間、音信不通だったのに、まずは本当の話をするのが筋でしょ!」 男:「だったら、本当に異世界転生してたなら、どうするんだよ?数え切れない苦難を乗り越えて、はるばる異世界から戻ってきたんだぜ?」 女:「…」 男:「ん?」 女:「…」 男:「あれ?怒らせた?」 女:「…」 男:「ごめん。ごめん!俺が悪かった!」 女:「はい。で?何があったの?」 男:「ちょっと事故に遭いまして…。入院してました」 女:「自動車事故?怪我は?後遺症(こういしょう)とかはないの?」 男:「詳しくは話せないけど、意識が戻ったのは、一週間前あたり。そして、今日、ようやくスマホに触れました」 女:「詳しく話せないって何?相棒なんだから、詳しく話を聴く権利があるんじゃないの?」 男:「ほんとに、ごめん。話したくないんだ。辛くなるからさ」 女:「その辛さも、私はわけてもらいたいよ」 男:「ありがとう。いつか話せる時がきたら、話すから。今は、ごめんよ」 女:「そっか…。わかった」 男:「でさ。意識をなくしていた間の話しなんだけど」 女:「まさか、ほんとに異世界転生してたとか?」 男:「そのまさかなんだよ!」 女:「ふーん。その内容は話せるわけね」 男:「話せる。事故ったら異世界転生した件」 女:「どうせ剣と魔法の王道ファンタジーなんでしょ。主人公モテモテで、主人公無双系のさ」 男:「現実は、そんなに甘くないよ」 女:「なに言ってんの?異世界って時点で現実ではないでしょ!」 男:「まぁ、そうなんだけどさ。意識を失ってる時の俺にとっては、異世界が現実だったんだよ」 女:「はいはい。それで、どんな異世界だったの?」 男:「砂漠だった」 女:「は?」 男:「砂漠。何もない」 女:「剣は?魔法は?可愛い女の子たちは?」 男:「剣も魔法もないし、可愛い女の子が俺ひとりを奪い合うようなハーレム展開もなかった」 女:「それって、異世界転生する意味ある?ラノベとして出ても絶対売れないヤツだよ?」 男:「だよね」 女:「うん」 男:「砂漠をひたすら進んでいるだけ」 女:「あのさぁ」 男:「ん?」 女:「それって、異世界転生じゃなくない?普通にエジプトとか、日本の鳥取砂丘を夢に見ただけなんじゃない?」 男:「いやいやいや!ちゃんとモンスターはいたよ。大きなサソリに追いかけられたし、ドラゴンにも食べられそうになった」 女:「え?剣も魔法もないのに、モンスターだけは、しっかり存在するんだ」 男:「はい。しっかりと存在してました」 女:「それって最悪じゃない?夏休みはなくて、夏休みの宿題だけ出されるようなモノじゃん!」 男:「そうだね。ハーレム展開で、可愛い女の子たちと逃げる展開ならアリなのにね」 女:「おい!それはダメ!相棒がいるのに、浮気は禁止!」 男:「異世界転生して、モンスターの脅威から女の子と逃げるのは、浮気に該当(がいとう)するの?」 女:「しっかり該当します。なので、一緒に逃げるなら、おじいさんか、おばあさんにしといて下さい」 男:「完全に足でまといになるヤツじゃん!俺、おじいさんとおばあさんなら、放置して、一人で逃げるよ?」 女:「逃げないでよ!」 男:「やだよ。モンスターに殺されたくないもん」 女:「そういう意味じゃなくて、しっかり、弱い者を守る的な正義感を出してほしいな」 男:「正義感ねぇ。それを俺に求める?」 女:「求めます。だから、次に異世界転生して、困ってるおじいさんとおばあさんがいたら、必ず助けてあげてね」 男:「助けようとして、俺、死んじゃうかもよ?」 女:「死ぬのはダメ!死なない程度に、正義の味方でいてほしい」 男:「難易度高めだね」 女:「あっ!ちなみに、そのモンスターから、どうやって逃げてたの?剣も魔法もないんでしょ?」 男:「うん。剣も魔法もないから、ただ全力で走って逃げた。そして、サボテンの前に立って、突進してくるモンスターを寸前のところでよけて、サボテンのトゲにモンスターを串刺しにするやり方で倒してた」 女:「うわっ!痛そう!」 男:「痛そうだった。でも、それしか生き抜く手段がなかった。がんばったんだよ」 女:「生きていてくれて、戻ってきてくれて、ありがとう」 男:「ただいま」 女:「おかえり」 0: 男:「ふふっ。ほんとに、またこうして一緒に劇ができるのが嬉しい」 女:「私だって、嬉しいよ。ずっと待ってたんだからね。他の人と劇をする時にも、失踪(しっそう)した君の話題は、毎回出てたよ」 男:「俺は、突然いなくなったりしないよ」 女:「突然いなくなったでしょ?」 男:「突然いなくなるとしたら、事故するか、死ぬかのどちらかだよ」 女:「これからは、事故するのも死ぬのも禁止ね!」 男:「え?それは、不可能じゃない?事故は運が悪かったり、不注意で起こるモノだし、人はいつか死ぬモノだよ?」 女:「君は、私が死ぬまで、死ぬの禁止」 男:「なにそれ?俺の方が年上だし、確率的には、俺の方が先に死んでしまうと思う」 女:「それでも、禁止!長生きしなさい!よく寝て、健康に良いモノだけを食べて、適度な運動をしましょう」 男:「まぁ、それは、ある程度、心がけはするけどさ」 女:「心がけてよ。全力で!私を、ひとりにしないでよ!」 男:「生きている間は、一日だって、ひとりにはしないつもりだよ」 女:「ほんとに?」 男:「うん。約束する」 女:「よかった。ありがとう」 男:「あのっ…。これからも、よろしくね」 女:「よろしく!」 男:「月が綺麗ですね」 女:「月が綺麗ですね?」 男:「夏目漱石が英語教師をしていた時のことです。英語の『アイラブユー』を生徒たちに訳させたところ。『我、君を愛す』『そなたを愛おしく思う』などと訳したそうです」 女:「うんうん。『アイラブユー』は『愛してる』って意味だもんね。それくらい、私にもわかるよ。それで?」 男:「まぁ、そうやって訳す生徒たちに対して漱石先生は、『日本人はそんな直球に愛を伝えることはしない。月が綺麗ですねとでも訳しておきなさい』と教えたそうです」 女:「なるほど…。つまり、君は私のことを…。ふむふむ」 男:「月が綺麗ですね」 女:「すごく月が綺麗ですね」 男:「すごくすごーく月が綺麗ですね」 女:「すごくすごくすごーく、めちゃくちゃに、最高に月が綺麗ですね」 男:「ふふっ。俺たち、日本人だよな?」 女:「日本人だよ。私の母さんも父さんも混じりっけなしの百パーセント日本人だよ?」 男:「直球じゃないけど、直球だね」 女:「だね。しかも、どちらが速いボールを投げるかを競い合ってる。日本人離れしてますね」 男:「ふふっ。俺も君も変わり者だね」 女:「そりゃあ、君ほどではないけど、私も変わり者さ。変わり者だから、変わり者の君のことが大好きになっちゃったわけさ」 男:「これまた、直球ボールですね」 女:「直球ボールですよ。さぁ、君は、この直球ストレートボールに対し、どう打ち返してくれるのかな?」 男:「君がいてくれるなら、月はずっと綺麗なままです」 女:「ずっとかぁ」 男:「重いかな?」 女:「本モノの月は、どのくらい重たいのかな」 男:「月の質量は、六千七百五十五京トンだよ」 女:「想像できないような重さだね」 男:「そうだね」 女:「でも、ステキな重さだ」 男:「ステキな重さ?」 女:「うん。だからね。私も、君がいてくれるなら、月はずっと綺麗なままです」 男:「それって?」 女:「ふふっ」 男:「あのっ!ふーっ…。僕と結婚して下さい!」 女:「(自由に答えて下さい)」 : 0:―了―

女:「いきなり?もう始めるの?前読みしてないんだけど」 男:「前読みはしないでほしいからさ」 女:「相変わらずだね」 男:「相変わらずでしょ?予定調和を嫌う性(たち)なんだ」 女:「そういうの嫌いじゃないよ。私も前読みはしない方がワクワクするから好き」 男:「俺たち、気が合うね!」 女:「だって、相棒でしょ?」 男:「まさか、突然いなくなった俺のことをずっと待っていてくれてるなんて思わなかったよ」 女:「待つに決まってるでしょ。それより、今までどこにいたの?何をしていたの?」 男:「異世界転生してた」 女:「嘘でしょ!正直に答えてよ!」 男:「まずは、少し俺の話しに乗っかってよ」 女:「こんなに長い間、音信不通だったのに、まずは本当の話をするのが筋でしょ!」 男:「だったら、本当に異世界転生してたなら、どうするんだよ?数え切れない苦難を乗り越えて、はるばる異世界から戻ってきたんだぜ?」 女:「…」 男:「ん?」 女:「…」 男:「あれ?怒らせた?」 女:「…」 男:「ごめん。ごめん!俺が悪かった!」 女:「はい。で?何があったの?」 男:「ちょっと事故に遭いまして…。入院してました」 女:「自動車事故?怪我は?後遺症(こういしょう)とかはないの?」 男:「詳しくは話せないけど、意識が戻ったのは、一週間前あたり。そして、今日、ようやくスマホに触れました」 女:「詳しく話せないって何?相棒なんだから、詳しく話を聴く権利があるんじゃないの?」 男:「ほんとに、ごめん。話したくないんだ。辛くなるからさ」 女:「その辛さも、私はわけてもらいたいよ」 男:「ありがとう。いつか話せる時がきたら、話すから。今は、ごめんよ」 女:「そっか…。わかった」 男:「でさ。意識をなくしていた間の話しなんだけど」 女:「まさか、ほんとに異世界転生してたとか?」 男:「そのまさかなんだよ!」 女:「ふーん。その内容は話せるわけね」 男:「話せる。事故ったら異世界転生した件」 女:「どうせ剣と魔法の王道ファンタジーなんでしょ。主人公モテモテで、主人公無双系のさ」 男:「現実は、そんなに甘くないよ」 女:「なに言ってんの?異世界って時点で現実ではないでしょ!」 男:「まぁ、そうなんだけどさ。意識を失ってる時の俺にとっては、異世界が現実だったんだよ」 女:「はいはい。それで、どんな異世界だったの?」 男:「砂漠だった」 女:「は?」 男:「砂漠。何もない」 女:「剣は?魔法は?可愛い女の子たちは?」 男:「剣も魔法もないし、可愛い女の子が俺ひとりを奪い合うようなハーレム展開もなかった」 女:「それって、異世界転生する意味ある?ラノベとして出ても絶対売れないヤツだよ?」 男:「だよね」 女:「うん」 男:「砂漠をひたすら進んでいるだけ」 女:「あのさぁ」 男:「ん?」 女:「それって、異世界転生じゃなくない?普通にエジプトとか、日本の鳥取砂丘を夢に見ただけなんじゃない?」 男:「いやいやいや!ちゃんとモンスターはいたよ。大きなサソリに追いかけられたし、ドラゴンにも食べられそうになった」 女:「え?剣も魔法もないのに、モンスターだけは、しっかり存在するんだ」 男:「はい。しっかりと存在してました」 女:「それって最悪じゃない?夏休みはなくて、夏休みの宿題だけ出されるようなモノじゃん!」 男:「そうだね。ハーレム展開で、可愛い女の子たちと逃げる展開ならアリなのにね」 女:「おい!それはダメ!相棒がいるのに、浮気は禁止!」 男:「異世界転生して、モンスターの脅威から女の子と逃げるのは、浮気に該当(がいとう)するの?」 女:「しっかり該当します。なので、一緒に逃げるなら、おじいさんか、おばあさんにしといて下さい」 男:「完全に足でまといになるヤツじゃん!俺、おじいさんとおばあさんなら、放置して、一人で逃げるよ?」 女:「逃げないでよ!」 男:「やだよ。モンスターに殺されたくないもん」 女:「そういう意味じゃなくて、しっかり、弱い者を守る的な正義感を出してほしいな」 男:「正義感ねぇ。それを俺に求める?」 女:「求めます。だから、次に異世界転生して、困ってるおじいさんとおばあさんがいたら、必ず助けてあげてね」 男:「助けようとして、俺、死んじゃうかもよ?」 女:「死ぬのはダメ!死なない程度に、正義の味方でいてほしい」 男:「難易度高めだね」 女:「あっ!ちなみに、そのモンスターから、どうやって逃げてたの?剣も魔法もないんでしょ?」 男:「うん。剣も魔法もないから、ただ全力で走って逃げた。そして、サボテンの前に立って、突進してくるモンスターを寸前のところでよけて、サボテンのトゲにモンスターを串刺しにするやり方で倒してた」 女:「うわっ!痛そう!」 男:「痛そうだった。でも、それしか生き抜く手段がなかった。がんばったんだよ」 女:「生きていてくれて、戻ってきてくれて、ありがとう」 男:「ただいま」 女:「おかえり」 0: 男:「ふふっ。ほんとに、またこうして一緒に劇ができるのが嬉しい」 女:「私だって、嬉しいよ。ずっと待ってたんだからね。他の人と劇をする時にも、失踪(しっそう)した君の話題は、毎回出てたよ」 男:「俺は、突然いなくなったりしないよ」 女:「突然いなくなったでしょ?」 男:「突然いなくなるとしたら、事故するか、死ぬかのどちらかだよ」 女:「これからは、事故するのも死ぬのも禁止ね!」 男:「え?それは、不可能じゃない?事故は運が悪かったり、不注意で起こるモノだし、人はいつか死ぬモノだよ?」 女:「君は、私が死ぬまで、死ぬの禁止」 男:「なにそれ?俺の方が年上だし、確率的には、俺の方が先に死んでしまうと思う」 女:「それでも、禁止!長生きしなさい!よく寝て、健康に良いモノだけを食べて、適度な運動をしましょう」 男:「まぁ、それは、ある程度、心がけはするけどさ」 女:「心がけてよ。全力で!私を、ひとりにしないでよ!」 男:「生きている間は、一日だって、ひとりにはしないつもりだよ」 女:「ほんとに?」 男:「うん。約束する」 女:「よかった。ありがとう」 男:「あのっ…。これからも、よろしくね」 女:「よろしく!」 男:「月が綺麗ですね」 女:「月が綺麗ですね?」 男:「夏目漱石が英語教師をしていた時のことです。英語の『アイラブユー』を生徒たちに訳させたところ。『我、君を愛す』『そなたを愛おしく思う』などと訳したそうです」 女:「うんうん。『アイラブユー』は『愛してる』って意味だもんね。それくらい、私にもわかるよ。それで?」 男:「まぁ、そうやって訳す生徒たちに対して漱石先生は、『日本人はそんな直球に愛を伝えることはしない。月が綺麗ですねとでも訳しておきなさい』と教えたそうです」 女:「なるほど…。つまり、君は私のことを…。ふむふむ」 男:「月が綺麗ですね」 女:「すごく月が綺麗ですね」 男:「すごくすごーく月が綺麗ですね」 女:「すごくすごくすごーく、めちゃくちゃに、最高に月が綺麗ですね」 男:「ふふっ。俺たち、日本人だよな?」 女:「日本人だよ。私の母さんも父さんも混じりっけなしの百パーセント日本人だよ?」 男:「直球じゃないけど、直球だね」 女:「だね。しかも、どちらが速いボールを投げるかを競い合ってる。日本人離れしてますね」 男:「ふふっ。俺も君も変わり者だね」 女:「そりゃあ、君ほどではないけど、私も変わり者さ。変わり者だから、変わり者の君のことが大好きになっちゃったわけさ」 男:「これまた、直球ボールですね」 女:「直球ボールですよ。さぁ、君は、この直球ストレートボールに対し、どう打ち返してくれるのかな?」 男:「君がいてくれるなら、月はずっと綺麗なままです」 女:「ずっとかぁ」 男:「重いかな?」 女:「本モノの月は、どのくらい重たいのかな」 男:「月の質量は、六千七百五十五京トンだよ」 女:「想像できないような重さだね」 男:「そうだね」 女:「でも、ステキな重さだ」 男:「ステキな重さ?」 女:「うん。だからね。私も、君がいてくれるなら、月はずっと綺麗なままです」 男:「それって?」 女:「ふふっ」 男:「あのっ!ふーっ…。僕と結婚して下さい!」 女:「(自由に答えて下さい)」 : 0:―了―