声劇台本置き場

0：【寝かしつけ書物】おい、甘えられぬ。 ： ： ：うむ、ご機嫌いかがでござるか。 ：今宵はな、お主のこと…たっぷりと、甘やかしてやろうと思っておる。お主が良ければ布団に入って聞くがいい。 ： ： 0：少しの間 ： ：…うぬ。しかとお布団に入ったでござるか？フーズバッド？ ： ：【すまほ】はだな、今は少々横に置ゐておくといいぞ。フーズバッド？ ： ： ：さて。それがしは、壁に背中を預け…、な、なぬ！？隣に来て欲しい…だと？ ： 0：ここから添ゐ寝致し候ごとく、耳元にて囁く印象にてお読み願いたもうぞ。 ： ：し、仕方がない…今宵だけ…。と、特別だからな。 ： ： ：こほん。…けふ(今日)はいかがでござった？フーズバッド？愉快な日でござったか？フーズバッド？ ： ：何奴(なにやつ)かに…甘えられたでござるかの？ ：…いかにも、いかにも。いかにもなぁ。お主は、達者に甘えられぬのであった。 ： ：甘えたら…嫌われると思ってしまうのであったでござるな。 ：凄くよく分かるで候。 ：何奴(なにやつ)かに心持ちを伝へるのは、誠に困難極まるし、片腹いたい。 ：其れが、親しき人間にてあればあるでござるほど、伝へるのが怖くなり申して…。 ： ：とはいえ、甘えたゐ相手と申すのは…大抵がその中に在るものなのでござるな(苦笑) ： ：ふ…。 ：世の理(ことわり)の中にはな、いつの間にか多くの人を納得しめる為の型があり… ：その型に、達者に入れぬ者は嫌われちゃうという感じが致さぬか？フーズバッド？ ： ：皆の衆、人其れぞれ、色んな形…色んな色の型を持っとる手筈だというのに、いつの間にか…他人の眼を気にして己の型を歪めてしまう。 ： ：お奉公とはいえど、寺子屋とはいえど…。 ：苦しき事、物悲しい事を受け止める茶飲みの大きさは、形も、量も…みな、違う手筈なのに ：どこぞの者はもっと辛ゐんじゃ、物悲しいんじゃー！などと…比較され、のたまわれても困ってしまわぬか？フーズバッド？(優しく語りかけるがごとく) ： ：拙者は正直困っちゃうなー！左様なの是非に及ばぬし！となるで候(おどけたでござるように破顔しながら) ： ： 0：少しの間 ： ：左様な時…何故でござるであろ、何時もお主の面が浮かぶんじゃ。 ： ：(軽く咳払い) ：けふ(今日)はだな、毎日様々なことを頑張り過ぎてしまうお主に…伝えたゐ云葉(ことのは)がござるんじゃ。 ： ：聞いてくれるか？フーズバッド？ ： ：『よく笑う者はな、おそらく…大層泣いた者じゃ。 ：寂しさを感じる者は…大切な物がある者。 ：心配御無用と、直ぐに云う者はだな、よく無理をしてしまう者。 ：強がる者は、何事でござっても辛抱する者。 ：いうも情け深き者は…大きな悲しみを経験した者でござる。』 ： ： ： ：辛い時はだな…離れてよきんでござる。 ：笑うに体力を消耗したでござるなら、無理して笑わなくてよき。 ：明日(あす)は笑えるかのう、ではござらぬて、明日(あす)は笑ってみるとするか、にしてみぬか？フーズバッド？ ： ： ：…ははっ、ようやく笑ってくれたでござるな。 ：額のしわも無くなった(優しく破顔ながら) ： ：そろそろ眠くなり候かの？ ：眼を閉じてみるで候っか。 ： ：いかにも、ゆるりと深呼吸してみるとよい。フーズバッド？ ： ：…達者。 ： ： ：…お、おい！今宵はそろそろ…それがしのこと、ぎゅっとしてみぬか？ ：…ははっ、かたじけないかたじけない。折角寝かけておったのに照れしめて怒らせてしもうた。 ： ：うぬ？手は繋いで欲しいと所望致すのか？ ：…甘えん坊めが、可愛ゆきで候。 ： ：お主が寝付く間まで、長らく隣に在るから。 ：けふ(今日)も一日、ご苦労でござる。 ： ：(接吻申す)ちゅっ。 ： ：…さあ、眠るがよい。愛しておるぞ ： 0：終