台本概要

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タイトル 快晴
作者名 雪狐  (@yukikitsune_vg)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 先に逝ってしまった君と残された私の話

登場人物は女性として書いていますが、男性が演じても問題ありません。
語尾や表現につきましては、内容が変わらない程度であれば可能です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
1 君に会いに来た物語の語り手
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:快晴 先に逝ってしまった君と残された私の話 私:傘を差しながら君の元へ歩く 私:たくさんの石に囲まれたその場所に君は佇んでいた 私:滲む世界の中、君に向かって手を伸ばす 私:そのままそっと君に触れる 私:君に刻まれた名前を指でなぞる 私:どうして…どうして君は私を置いていったの? 私:なんで君がいなくならなきゃいけなかったの? 私:何か答えてよ…ねぇってば… 私:問いかけてみても君からの返事はない 私:大好きだったあの声もあの表情も、そこには何も存在していないのだ 私:あるのは御影石で作られた君の目印だけ 私:ここに君は一人ぼっちで眠っている 私:  私:あの日、狂おしいほど白に囲まれた部屋で 私:横たわる君は私の方を見ていつも通り笑っていた 私:心の奥を覗かれているような、それでいて何も考えていないような笑みを浮かべて私を見ていた 私:そして少しの間があった後、表情を曇らせた君は一通の手紙を私に向かって差し出した 私:そこには私に対する謝罪や後悔、それでいて愛の言葉が綴られていた 私:読みながら涙でぐしゃぐしゃになった私を君は困った顔で見つめていたね 私:それでもそっと私の頭を撫でて、『生きろ』と掠れた声で呟いたんだ 私:そして私のことを抱きしめたまま、君は眠りについたんだよね 私:  私:今でも私は君と過ごした時間を君と行った場所を君と交わした言葉を…何もかも憶えている 私:どんなに忘れようとしても忘れられないんだよ 私:君の存在が大きすぎて心に穴が空いちゃったんだよ 私:君がいなくなってから私は笑えなくなったし、あまり眠れなくなった 私:君の温もりや声が…あの穏やかな夜がないと私はもう眠れなくなってしまったんだ 私:  私:本当は今すぐ君のところに行きたいよ 私:君は今どこで過ごしてるんだろう? 私:天国なのか地獄なのか…きっと人の良い君のことだから天国かな? 私:君のことを追いかけて今すぐそこに行きたい 私:また君と愛しあって生きていたい 私:でも、私の行くところは君とは違う気がするから 私:それにもう君は生まれ変わってしまったかもしれないから 私:だから私はそっちにはいけないよ 私:  私:…なんてね 私:君が残してくれた、私が生きるためのお呪い 私:幸せなはずのその言葉は一歩後ろを歩く私にとって辛い呪いの言葉になってしまったんだ 私:この空虚で何も無い世界よりも君を選んで堕ちていきたい 私:でも君の『生きろ』と言う最期の言葉が…願いが私を生かしている 私:心は死んでいるはずなのに身体は息をしている 私:まるで私は生きた亡霊みたいだ 私:でもね、君がくれた言葉だから 私:どんなに苦しくても呪われていても私はこの世界を生きていくよ 私:今の私は君の前でちゃんと笑えてるかな? 私:しっかり生き抜いて君から貰った言葉を大切にしてみせるよ 私:だから、そこでちゃんと見守っていてね 私:  私:…あぁ、無理だ 私:涙が止まらないや 私:割り切ろうとしたって無理だよ 私:どう頑張ったってこの気持ちは無くならないよ 私:会いたい、会いたいよ…もう一度私の名前を呼んでよ 私:またいつもみたいに、私のことを抱きしめてよ…笑ってよ… 私:物静かな石に囲まれた空間で、私の慟哭だけが響き渡る 私:  私:その場に蹲り、嗚咽が止まない私の手から傘が零れ落ちる 私:あぁ、今日も憎いくらいの快晴だ 私:君に見せたくない私の涙なんて隠してくれやしないんだから 私:雨でも降っていれば、降る雫のせいにして誤魔化せたのに 私:見上げた雲ひとつない青空に浮かぶ太陽のせいで目が眩む 私:憎くて眩しくて…それでいて澄み渡るほどの快晴 私:それはきっと、君がこれからを生きる私のために残してくれた暖かい陽だまりだ 私: 私:花瓶にそっと勿忘草を残して 私:小さく『行ってきます』と呟いた私の背を、君が優しく押してくれたような気がした

0:快晴 先に逝ってしまった君と残された私の話 私:傘を差しながら君の元へ歩く 私:たくさんの石に囲まれたその場所に君は佇んでいた 私:滲む世界の中、君に向かって手を伸ばす 私:そのままそっと君に触れる 私:君に刻まれた名前を指でなぞる 私:どうして…どうして君は私を置いていったの? 私:なんで君がいなくならなきゃいけなかったの? 私:何か答えてよ…ねぇってば… 私:問いかけてみても君からの返事はない 私:大好きだったあの声もあの表情も、そこには何も存在していないのだ 私:あるのは御影石で作られた君の目印だけ 私:ここに君は一人ぼっちで眠っている 私:  私:あの日、狂おしいほど白に囲まれた部屋で 私:横たわる君は私の方を見ていつも通り笑っていた 私:心の奥を覗かれているような、それでいて何も考えていないような笑みを浮かべて私を見ていた 私:そして少しの間があった後、表情を曇らせた君は一通の手紙を私に向かって差し出した 私:そこには私に対する謝罪や後悔、それでいて愛の言葉が綴られていた 私:読みながら涙でぐしゃぐしゃになった私を君は困った顔で見つめていたね 私:それでもそっと私の頭を撫でて、『生きろ』と掠れた声で呟いたんだ 私:そして私のことを抱きしめたまま、君は眠りについたんだよね 私:  私:今でも私は君と過ごした時間を君と行った場所を君と交わした言葉を…何もかも憶えている 私:どんなに忘れようとしても忘れられないんだよ 私:君の存在が大きすぎて心に穴が空いちゃったんだよ 私:君がいなくなってから私は笑えなくなったし、あまり眠れなくなった 私:君の温もりや声が…あの穏やかな夜がないと私はもう眠れなくなってしまったんだ 私:  私:本当は今すぐ君のところに行きたいよ 私:君は今どこで過ごしてるんだろう? 私:天国なのか地獄なのか…きっと人の良い君のことだから天国かな? 私:君のことを追いかけて今すぐそこに行きたい 私:また君と愛しあって生きていたい 私:でも、私の行くところは君とは違う気がするから 私:それにもう君は生まれ変わってしまったかもしれないから 私:だから私はそっちにはいけないよ 私:  私:…なんてね 私:君が残してくれた、私が生きるためのお呪い 私:幸せなはずのその言葉は一歩後ろを歩く私にとって辛い呪いの言葉になってしまったんだ 私:この空虚で何も無い世界よりも君を選んで堕ちていきたい 私:でも君の『生きろ』と言う最期の言葉が…願いが私を生かしている 私:心は死んでいるはずなのに身体は息をしている 私:まるで私は生きた亡霊みたいだ 私:でもね、君がくれた言葉だから 私:どんなに苦しくても呪われていても私はこの世界を生きていくよ 私:今の私は君の前でちゃんと笑えてるかな? 私:しっかり生き抜いて君から貰った言葉を大切にしてみせるよ 私:だから、そこでちゃんと見守っていてね 私:  私:…あぁ、無理だ 私:涙が止まらないや 私:割り切ろうとしたって無理だよ 私:どう頑張ったってこの気持ちは無くならないよ 私:会いたい、会いたいよ…もう一度私の名前を呼んでよ 私:またいつもみたいに、私のことを抱きしめてよ…笑ってよ… 私:物静かな石に囲まれた空間で、私の慟哭だけが響き渡る 私:  私:その場に蹲り、嗚咽が止まない私の手から傘が零れ落ちる 私:あぁ、今日も憎いくらいの快晴だ 私:君に見せたくない私の涙なんて隠してくれやしないんだから 私:雨でも降っていれば、降る雫のせいにして誤魔化せたのに 私:見上げた雲ひとつない青空に浮かぶ太陽のせいで目が眩む 私:憎くて眩しくて…それでいて澄み渡るほどの快晴 私:それはきっと、君がこれからを生きる私のために残してくれた暖かい陽だまりだ 私: 私:花瓶にそっと勿忘草を残して 私:小さく『行ってきます』と呟いた私の背を、君が優しく押してくれたような気がした