台本概要

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タイトル 元悪役令嬢はおかん属性!?
作者名 幸重  (@yukie80508241)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男4、女1)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 私はマリー!元悪役令嬢。今はカフェ『テンダーレイン』を切り盛りしているわ。今日もお客様が来てくれたみたい。よーし、がんばっちゃうぞ!



おかん属性の元悪役令嬢と彼女をとりまく4人の男性達のストーリー。
ゆるいファンタジー台本となっております。




演者様の性別不問です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
マリー 29 元悪役令嬢。おかん(世話焼きおかあさん)属性。本名はローズマリー。テンダーレインというカフェを営んでいる。
カイル 19 下町生まれの少年。何かとマリーを気にかけている。
エド 24 本名はエイルリート。マリーの営むカフェの常連。警邏隊に所属している。真面目。
アス 17 本明はアドルファス。マリーの営むカフェの常連。警邏隊に所属している。軽めの性格。
ジョゼ 23 マリーの経営するカフェの常連。ナンパ師。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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カイル:マリー、腹減ったぁ。今日のおすすめランチは何? : マリー:あら、いらっしゃい、カイル。今日のおすすめはコッコのクリームシチューよ。パンとサラダ、ドリンク付きで500セタね。 : カイル:じゃあそれで。(ぼそっと)…今日はあいつらはいないみたいだな。 : マリー:?何か言ったかしら? : カイル:なんでもない!それよりも腹が減りすぎてお腹と背中がくっつきそうだ。 : マリー:それは大変!すぐに用意するわね。 マリー:…あら?またお客様かしら。 : ジョゼ:やぁ、邪魔するよ。今日もかわいいね、マリー。 : マリー:いらっしゃ― : カイル:(マリーの台詞に被せるように)邪魔するなら帰れよ。 : マリー:もう、カイル、そう邪険にしないの! マリー:ごめんなさいね、ジョゼ。お席へどうぞ。今お冷とおしぼり持っていくから。 : ジョゼ:ああ、気にしてないから大丈夫さ。坊やはナイトを気取りたいお年頃だものねぇ。 : カイル:坊やって言うな!オレにはカイルって名前があるっつってるだろ!! : エド:相変わらず騒がしいな、ここは。 : アス:そう言いながらついここに足を運んでしまうのは誰なんでしょうね? : エド:う、うるさい! : マリー:エド、アス、いらっしゃい!!今日も来てくれてありがとう!! : エド:ああ、ここの飯は旨いからな。 : アス:うんうん、ボリュームもたっぷりで助かってます。 : カイル:…結局このメンバーが揃うのか。 : ジョゼ:いつものことじゃないか。余裕のない男はもてないぞ、坊や。 : カイル:だから坊やじゃねぇ!カイルだっての!!それに別にもてなくたって構わねぇし!! : ジョゼ:おやおやぁ?心を射止めたい娘(こ)はいるよねぇ? : カイル:ななな何を言うんだ突然!! : ジョゼ:何を焦っているのかなぁ?焦る要素が何かあったのかなぁ? : カイル:べべべ別に焦ってなんかねぇし!! : エド:そのくらいにしておいてやれ。 : アス:そーそー。その辺りはお互い様でしょう?休戦協定、忘れてないですよね? : ジョゼ:はーいはいはい。わかりましたよーっと。 : マリー:おまたせカイル。本日のランチのコッコのクリームシチューセットよ。お腹すいたからってがっついて喉に詰まらせないようにね? : カイル:子供扱いすんなよな!でも旨そう!!いっただっきまーす!! : マリー:別に子供扱いしてるわけじゃないわ。大人だってしっかりよく噛んで食べるのは大事なんだから。エドだってこの間パンを喉に詰まらせて― : エド:(咳払い)マリー、注文を頼めるか。 : マリー:あらごめんなさい、エド。何にするのかしら? : エド:ピギーのステーキとコッコのグリル、あとパンとスープを頼む。 : マリー:…野菜が少ないわね。パンとスープの代わりにセットにしない?お代は変わらないけどそこにサラダとドリンクが付くわ。 : エド:いいや、セットにしなくて良い。そのままで頼む。 : マリー:野菜もしっかり摂らないと体に良くないわ!警邏隊のお仕事中に何かあったらどうするの?体調を普段からしっかりと整えておくことも大事でしょう? : アス:そうですよ、エド。相棒の貴方に何かあると私も困るのですからね。この機会に野菜嫌いを何とかしましょう。 : カイル:へー、野菜嫌いなんだ。ガキみてぇ。 : エド:べ、別に食えないわけじゃない。 : ジョゼ:でも好んで食べないわけだろ?むしろ積極的に避けようとしてるよなぁ? : アス:本当にエドの野菜嫌いには困ったものです。 : エド:わかった。食べる。食べればいいんだろう。マリー、セットで頼む。 : マリー:ピギーのステーキとコッコのグリルをセットで、ね。ふふ、うちのサラダは野菜嫌いな子でもぺろりと食べられちゃうんだから! : エド:そうか。マリーがそう言うのなら、きっとそうなのだろうな。 : マリー:そうよ、任せて頂戴。…アスとジョゼは決まったかしら? : アス:私は…本日のランチセットで。 : ジョゼ:僕も本日のランチセットで。なんだかんだで坊やが旨そうに食ってるんだよなぁ。 : マリー:わかったわ。すぐに用意するわね。 : : : マリー:(ここからモノローグ) マリー:私はローズマリー。愛称はマリー。元悪役令嬢。元は貴族のお嬢様、ってやつだったけど、今は庶民の行きかう通りでカフェを営んでいるの。 マリー:悪役令嬢って何だ、って?ふふ、乙女ゲーム、って聞いたことあるかしら? マリー:この世界の元になったと思われる乙女ゲームを私は知っていた。私が悪役令嬢として処罰されることも。…なんで知っていたのかって? マリー:それは私が転生者だから!転生前の世界で、その乙女ゲームをプレイしていたから、わかったの。私が断罪される悪役令嬢なんだ、って。 マリー:でもそれももう過去の話!乙女ゲームの世界は終わりを告げて、晴れて私は自由の身となったってわけ。 マリー:断罪されて庶民となった私は今こうしてカフェ、テンダーレインを営んでいるの。前世からの夢だったのよねー。 マリー:(モノローグ終了) : : : カイル:(ここからモノローグ) カイル:オレはカイル。下町生まれの下町育ち。兄弟が多いせいで毎日食うのに精いっぱい。そんな生活が嫌で、働ける歳になったらすぐに家を飛び出した。 カイル:なんとか仕事と住むところを見つけて、自分の稼ぎで暮らせるようになって。そんな矢先に出会ったのがマリーだった。 カイル:第一印象は綺麗な娘(こ)。次の瞬間には放っておけない存在になってた。 カイル:子供扱いされるのは正直癪だけど、まだまだこれから背も伸びて身体も大きくなるはずだし、そうしたら…。 カイル:でも、最近はそんなことも言ってられなくなった。エド、アス、そしてジョゼ。みんなマリーを狙ってやがる。 カイル:休戦協定を結んでるからすぐにどうってことはないと思うけど…油断ならない奴ばっかだからな。オレがしっかり見ててやんないと! カイル:(モノローグ終了) : : : エド:(ここからモノローグ) エド:俺はエイルリート。長いので大抵エドと呼ばれている。警邏隊に所属しており、アスとバディを組んでいる。 エド:この街の警邏隊では隊員が二人一組でペアを組むバディという仕組みを採用している。 エド:マリーとの出会いは、彼女が迷子をあやしていた時だ。迷子を見つめる、慈しむかのような優しい眼差しに、気づけば恋に落ちていた。 エド:彼女にこの気持ちを告げるつもりはなかった。…だが、彼女が誰かのものになってしまうのも許せない自分がいる。 エド:まったくもって我ながら厄介なことだ。そういう意味では休戦協定はありがたいのかもしれない…。 エド:(モノローグ終了) : : : アス:(ここからモノローグ) アス:私はアドルファスと申します。まあ、長いのでアスと呼ばれることが多いのですが。警邏隊に所属しており、エドとバディを組んでおります。 アス:マリーと出会ったエドが恋に落ちたことにはすぐに気がつきました。…しかし、この私もまた、マリーに恋に落ちることになるとは…。 アス:いやはや、困ったものですね。本来ならばエドの恋をからかいつつも応援してあげたかったのですが、そうもいかなくなってしまいました。 アス:しかもカイルにジョゼとかいうやっかいな輩までいるのですから…。 アス:まあ、そんな中、4人で休戦協定が結べたことは幸いでした。しかし、いつまでこの状態を保てるものやら…。 アス:(モノローグ終了) : : : ジョゼ:(ここからモノローグ) ジョゼ:僕はジョゼ。自他共に認めるナンパ師。 ジョゼ:マリーとの出会いも、その時ナンパした女性と話題のカフェだというテンダーレインにお茶をしに来た時だった。 ジョゼ:最初は、ただの興味。口説き文句もただのお世辞としてスルーされる毎日で。それがなんだか変に楽しくて。 ジョゼ:…気が付けば、それはもう、恋とでも言うべき執着で。 ジョゼ:休戦協定なんていう面倒なものを結ぶはめにはなったものの、そんな毎日さえ楽しいのだからしょうがない。 ジョゼ:今しばらくは、この束の間の平和を楽しんでやろうじゃないか。 ジョゼ:(モノローグ終了) : : : マリー:あら、ジョゼ。ベストのボタンが取れかけているわよ?かして、付け直してあげる。 : ジョゼ:ん?ああ、頼めるかい?ありがとう。かわいい上に気もきくなんて、僕のお嫁さんにならない? : マリー:あはは、褒めてくれてありがとう。食べてる間にちゃちゃっと済ませちゃうね。 : カイル:やーい、スルーされてやんのー。 : アス:本気にされても困るので良いことかと。 : エド:自分のことを自分の手で出来ず彼女の手を煩わせるなど… : ジョゼ:えー?別にいいじゃーん。あ、さてはあれだな?羨ましいんだろ? : エド:べ、別にそんなことは… : アス:ありますけどねぇ…。 : エド:おいこら!アス!! : カイル:べ、別に羨ましくなんてねぇし!オレなんてこの間マリーにあーんしてもらったし!! : エド:…なんだと? : アス:それは抜け駆けではないですかねぇ? : ジョゼ:そーだそーだ。抜け駆けはんたーい! : カイル:へっへーん!別に強請ったわけじゃねーし!マリーからしてくれたんだからなー。 : エド:ま、マリーから、だと…! : ジョゼ:ほーん?ただの強がりや妄想じゃぁないと? : アス:これはマリー本人にも確認を取らなければ。 : マリー:おまたせ、ジョゼ。出来たよ。 : ジョゼ:ああ、ありがとうマリー。さすが、綺麗に直ってる。 : エド:ま、マリー…聞きたいことがあるんだが… : マリー:何かしら? : エド:その、ええと… : アス:私が代わりに聞きましょう。マリー、カイルに手ずからあーんをしたと聞きましたが本当でしょうか? : マリー:カイルにあーん…?あ、あの時のことかな? : エド:本当にしたのか!? : マリー:え?うん。試食用のプリン、ちょうど匙にすくった所だったからそのままカイルの口に入れてあげたよ? : ジョゼ:…え、食べかけ? : マリー:まさか!出したばっかりのやつだし、そのままカイルに全部食べてもらって、感想を教えてもらったんだよ。 : カイル:…。 : エド:…。 : ジョゼ:ま、まぁ、そんなところだろうと思ったぜ! : アス:ジョゼも焦っているように見えましたが…。 : ジョゼ:うっせぇ!気のせいだ! : マリー:それがどうかしたの?さっきも騒がしかったけど。…喧嘩はダメよ? : ジョゼ:ははは、喧嘩なんかしてないさ。僕たち意外と仲良しなんだよ?なぁカイル? : カイル:誰と誰が…あ、ああ!仲良しだよ!な、なぁ、エド! : エド:そ、そうだな。我々は仲良しだ。なぁアス! : アス:ええ、仲良しですとも。ですから、心配はご無用ですよ、マリー。 : マリー:そう、それならよかったわ。仲良きことは良きことかな。ふふ、私も仲間に入れてほしいな。 マリー:…あら、もうこんな時間だわ。みんな、お仕事に戻らなくて大丈夫なの? : カイル:いっけねー!親方にどやされる!!マリー、お代ここに置いとくから!! : マリー:気を付けてね、カイル。転ばないようにね。 : カイル:だから子供扱いすんなってば!って言ってる場合じゃないな!! : エド:俺たちも戻らないとな。お代はここに置いておく。今日も旨かった。ありがとう。 : アス:ええ、戻らないと、ですね。私の分もここに。また来ますね。 : マリー:エドとアスもありがとう。お仕事、気を付けてがんばってね。 : ジョゼ:やれやれ、僕も行かないと、か。お代、置いといたから。 : マリー:ええ、ジョゼもお仕事がんばってね。 : ジョゼ:ありがとう、マリー。君にそう言ってもらえるとなんだってがんばれそうな気がするよ。 : エド:ええい、いちいちマリーの手を握るんじゃない! : アス:まったく、油断も隙もあったもんじゃない。 : ジョゼ:なんだまだいたのか。 : マリー:ほらほら、じゃれてないでお仕事がんばってらっしゃい。また、待ってるから。 : アス:ほら、行きますよー。 : ジョゼ:こらやめろって!襟引っ張るなよ伸びるだろ!? : エド:いいから行くぞ。 : ジョゼ:引きずるなってば!! : : : マリー:(ここからモノローグ) マリー:いってらっしゃいと笑顔で手を振る。また来てくれることを願って。 マリー:悪役令嬢としてこの世界に転生したことに、最初は恐怖を覚えた。 マリー:…でも、もう大丈夫。 マリー:このにぎやかで、でも温かい日常が私にはあるから。 マリー:今日も、マリーは元気です!! : : : : : 0:終わり。

カイル:マリー、腹減ったぁ。今日のおすすめランチは何? : マリー:あら、いらっしゃい、カイル。今日のおすすめはコッコのクリームシチューよ。パンとサラダ、ドリンク付きで500セタね。 : カイル:じゃあそれで。(ぼそっと)…今日はあいつらはいないみたいだな。 : マリー:?何か言ったかしら? : カイル:なんでもない!それよりも腹が減りすぎてお腹と背中がくっつきそうだ。 : マリー:それは大変!すぐに用意するわね。 マリー:…あら?またお客様かしら。 : ジョゼ:やぁ、邪魔するよ。今日もかわいいね、マリー。 : マリー:いらっしゃ― : カイル:(マリーの台詞に被せるように)邪魔するなら帰れよ。 : マリー:もう、カイル、そう邪険にしないの! マリー:ごめんなさいね、ジョゼ。お席へどうぞ。今お冷とおしぼり持っていくから。 : ジョゼ:ああ、気にしてないから大丈夫さ。坊やはナイトを気取りたいお年頃だものねぇ。 : カイル:坊やって言うな!オレにはカイルって名前があるっつってるだろ!! : エド:相変わらず騒がしいな、ここは。 : アス:そう言いながらついここに足を運んでしまうのは誰なんでしょうね? : エド:う、うるさい! : マリー:エド、アス、いらっしゃい!!今日も来てくれてありがとう!! : エド:ああ、ここの飯は旨いからな。 : アス:うんうん、ボリュームもたっぷりで助かってます。 : カイル:…結局このメンバーが揃うのか。 : ジョゼ:いつものことじゃないか。余裕のない男はもてないぞ、坊や。 : カイル:だから坊やじゃねぇ!カイルだっての!!それに別にもてなくたって構わねぇし!! : ジョゼ:おやおやぁ?心を射止めたい娘(こ)はいるよねぇ? : カイル:ななな何を言うんだ突然!! : ジョゼ:何を焦っているのかなぁ?焦る要素が何かあったのかなぁ? : カイル:べべべ別に焦ってなんかねぇし!! : エド:そのくらいにしておいてやれ。 : アス:そーそー。その辺りはお互い様でしょう?休戦協定、忘れてないですよね? : ジョゼ:はーいはいはい。わかりましたよーっと。 : マリー:おまたせカイル。本日のランチのコッコのクリームシチューセットよ。お腹すいたからってがっついて喉に詰まらせないようにね? : カイル:子供扱いすんなよな!でも旨そう!!いっただっきまーす!! : マリー:別に子供扱いしてるわけじゃないわ。大人だってしっかりよく噛んで食べるのは大事なんだから。エドだってこの間パンを喉に詰まらせて― : エド:(咳払い)マリー、注文を頼めるか。 : マリー:あらごめんなさい、エド。何にするのかしら? : エド:ピギーのステーキとコッコのグリル、あとパンとスープを頼む。 : マリー:…野菜が少ないわね。パンとスープの代わりにセットにしない?お代は変わらないけどそこにサラダとドリンクが付くわ。 : エド:いいや、セットにしなくて良い。そのままで頼む。 : マリー:野菜もしっかり摂らないと体に良くないわ!警邏隊のお仕事中に何かあったらどうするの?体調を普段からしっかりと整えておくことも大事でしょう? : アス:そうですよ、エド。相棒の貴方に何かあると私も困るのですからね。この機会に野菜嫌いを何とかしましょう。 : カイル:へー、野菜嫌いなんだ。ガキみてぇ。 : エド:べ、別に食えないわけじゃない。 : ジョゼ:でも好んで食べないわけだろ?むしろ積極的に避けようとしてるよなぁ? : アス:本当にエドの野菜嫌いには困ったものです。 : エド:わかった。食べる。食べればいいんだろう。マリー、セットで頼む。 : マリー:ピギーのステーキとコッコのグリルをセットで、ね。ふふ、うちのサラダは野菜嫌いな子でもぺろりと食べられちゃうんだから! : エド:そうか。マリーがそう言うのなら、きっとそうなのだろうな。 : マリー:そうよ、任せて頂戴。…アスとジョゼは決まったかしら? : アス:私は…本日のランチセットで。 : ジョゼ:僕も本日のランチセットで。なんだかんだで坊やが旨そうに食ってるんだよなぁ。 : マリー:わかったわ。すぐに用意するわね。 : : : マリー:(ここからモノローグ) マリー:私はローズマリー。愛称はマリー。元悪役令嬢。元は貴族のお嬢様、ってやつだったけど、今は庶民の行きかう通りでカフェを営んでいるの。 マリー:悪役令嬢って何だ、って?ふふ、乙女ゲーム、って聞いたことあるかしら? マリー:この世界の元になったと思われる乙女ゲームを私は知っていた。私が悪役令嬢として処罰されることも。…なんで知っていたのかって? マリー:それは私が転生者だから!転生前の世界で、その乙女ゲームをプレイしていたから、わかったの。私が断罪される悪役令嬢なんだ、って。 マリー:でもそれももう過去の話!乙女ゲームの世界は終わりを告げて、晴れて私は自由の身となったってわけ。 マリー:断罪されて庶民となった私は今こうしてカフェ、テンダーレインを営んでいるの。前世からの夢だったのよねー。 マリー:(モノローグ終了) : : : カイル:(ここからモノローグ) カイル:オレはカイル。下町生まれの下町育ち。兄弟が多いせいで毎日食うのに精いっぱい。そんな生活が嫌で、働ける歳になったらすぐに家を飛び出した。 カイル:なんとか仕事と住むところを見つけて、自分の稼ぎで暮らせるようになって。そんな矢先に出会ったのがマリーだった。 カイル:第一印象は綺麗な娘(こ)。次の瞬間には放っておけない存在になってた。 カイル:子供扱いされるのは正直癪だけど、まだまだこれから背も伸びて身体も大きくなるはずだし、そうしたら…。 カイル:でも、最近はそんなことも言ってられなくなった。エド、アス、そしてジョゼ。みんなマリーを狙ってやがる。 カイル:休戦協定を結んでるからすぐにどうってことはないと思うけど…油断ならない奴ばっかだからな。オレがしっかり見ててやんないと! カイル:(モノローグ終了) : : : エド:(ここからモノローグ) エド:俺はエイルリート。長いので大抵エドと呼ばれている。警邏隊に所属しており、アスとバディを組んでいる。 エド:この街の警邏隊では隊員が二人一組でペアを組むバディという仕組みを採用している。 エド:マリーとの出会いは、彼女が迷子をあやしていた時だ。迷子を見つめる、慈しむかのような優しい眼差しに、気づけば恋に落ちていた。 エド:彼女にこの気持ちを告げるつもりはなかった。…だが、彼女が誰かのものになってしまうのも許せない自分がいる。 エド:まったくもって我ながら厄介なことだ。そういう意味では休戦協定はありがたいのかもしれない…。 エド:(モノローグ終了) : : : アス:(ここからモノローグ) アス:私はアドルファスと申します。まあ、長いのでアスと呼ばれることが多いのですが。警邏隊に所属しており、エドとバディを組んでおります。 アス:マリーと出会ったエドが恋に落ちたことにはすぐに気がつきました。…しかし、この私もまた、マリーに恋に落ちることになるとは…。 アス:いやはや、困ったものですね。本来ならばエドの恋をからかいつつも応援してあげたかったのですが、そうもいかなくなってしまいました。 アス:しかもカイルにジョゼとかいうやっかいな輩までいるのですから…。 アス:まあ、そんな中、4人で休戦協定が結べたことは幸いでした。しかし、いつまでこの状態を保てるものやら…。 アス:(モノローグ終了) : : : ジョゼ:(ここからモノローグ) ジョゼ:僕はジョゼ。自他共に認めるナンパ師。 ジョゼ:マリーとの出会いも、その時ナンパした女性と話題のカフェだというテンダーレインにお茶をしに来た時だった。 ジョゼ:最初は、ただの興味。口説き文句もただのお世辞としてスルーされる毎日で。それがなんだか変に楽しくて。 ジョゼ:…気が付けば、それはもう、恋とでも言うべき執着で。 ジョゼ:休戦協定なんていう面倒なものを結ぶはめにはなったものの、そんな毎日さえ楽しいのだからしょうがない。 ジョゼ:今しばらくは、この束の間の平和を楽しんでやろうじゃないか。 ジョゼ:(モノローグ終了) : : : マリー:あら、ジョゼ。ベストのボタンが取れかけているわよ?かして、付け直してあげる。 : ジョゼ:ん?ああ、頼めるかい?ありがとう。かわいい上に気もきくなんて、僕のお嫁さんにならない? : マリー:あはは、褒めてくれてありがとう。食べてる間にちゃちゃっと済ませちゃうね。 : カイル:やーい、スルーされてやんのー。 : アス:本気にされても困るので良いことかと。 : エド:自分のことを自分の手で出来ず彼女の手を煩わせるなど… : ジョゼ:えー?別にいいじゃーん。あ、さてはあれだな?羨ましいんだろ? : エド:べ、別にそんなことは… : アス:ありますけどねぇ…。 : エド:おいこら!アス!! : カイル:べ、別に羨ましくなんてねぇし!オレなんてこの間マリーにあーんしてもらったし!! : エド:…なんだと? : アス:それは抜け駆けではないですかねぇ? : ジョゼ:そーだそーだ。抜け駆けはんたーい! : カイル:へっへーん!別に強請ったわけじゃねーし!マリーからしてくれたんだからなー。 : エド:ま、マリーから、だと…! : ジョゼ:ほーん?ただの強がりや妄想じゃぁないと? : アス:これはマリー本人にも確認を取らなければ。 : マリー:おまたせ、ジョゼ。出来たよ。 : ジョゼ:ああ、ありがとうマリー。さすが、綺麗に直ってる。 : エド:ま、マリー…聞きたいことがあるんだが… : マリー:何かしら? : エド:その、ええと… : アス:私が代わりに聞きましょう。マリー、カイルに手ずからあーんをしたと聞きましたが本当でしょうか? : マリー:カイルにあーん…?あ、あの時のことかな? : エド:本当にしたのか!? : マリー:え?うん。試食用のプリン、ちょうど匙にすくった所だったからそのままカイルの口に入れてあげたよ? : ジョゼ:…え、食べかけ? : マリー:まさか!出したばっかりのやつだし、そのままカイルに全部食べてもらって、感想を教えてもらったんだよ。 : カイル:…。 : エド:…。 : ジョゼ:ま、まぁ、そんなところだろうと思ったぜ! : アス:ジョゼも焦っているように見えましたが…。 : ジョゼ:うっせぇ!気のせいだ! : マリー:それがどうかしたの?さっきも騒がしかったけど。…喧嘩はダメよ? : ジョゼ:ははは、喧嘩なんかしてないさ。僕たち意外と仲良しなんだよ?なぁカイル? : カイル:誰と誰が…あ、ああ!仲良しだよ!な、なぁ、エド! : エド:そ、そうだな。我々は仲良しだ。なぁアス! : アス:ええ、仲良しですとも。ですから、心配はご無用ですよ、マリー。 : マリー:そう、それならよかったわ。仲良きことは良きことかな。ふふ、私も仲間に入れてほしいな。 マリー:…あら、もうこんな時間だわ。みんな、お仕事に戻らなくて大丈夫なの? : カイル:いっけねー!親方にどやされる!!マリー、お代ここに置いとくから!! : マリー:気を付けてね、カイル。転ばないようにね。 : カイル:だから子供扱いすんなってば!って言ってる場合じゃないな!! : エド:俺たちも戻らないとな。お代はここに置いておく。今日も旨かった。ありがとう。 : アス:ええ、戻らないと、ですね。私の分もここに。また来ますね。 : マリー:エドとアスもありがとう。お仕事、気を付けてがんばってね。 : ジョゼ:やれやれ、僕も行かないと、か。お代、置いといたから。 : マリー:ええ、ジョゼもお仕事がんばってね。 : ジョゼ:ありがとう、マリー。君にそう言ってもらえるとなんだってがんばれそうな気がするよ。 : エド:ええい、いちいちマリーの手を握るんじゃない! : アス:まったく、油断も隙もあったもんじゃない。 : ジョゼ:なんだまだいたのか。 : マリー:ほらほら、じゃれてないでお仕事がんばってらっしゃい。また、待ってるから。 : アス:ほら、行きますよー。 : ジョゼ:こらやめろって!襟引っ張るなよ伸びるだろ!? : エド:いいから行くぞ。 : ジョゼ:引きずるなってば!! : : : マリー:(ここからモノローグ) マリー:いってらっしゃいと笑顔で手を振る。また来てくれることを願って。 マリー:悪役令嬢としてこの世界に転生したことに、最初は恐怖を覚えた。 マリー:…でも、もう大丈夫。 マリー:このにぎやかで、でも温かい日常が私にはあるから。 マリー:今日も、マリーは元気です!! : : : : : 0:終わり。