台本概要
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タイトル | 奇跡を呼ぶ玉 |
---|---|
作者名 | 栞星-Kanra- |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
七つ集めれば、奇跡を起こせる玉。 そんな玉のある、とある村での兄妹のお話。 性別変更:不可 誤字、脱字等ありましたら、アメブロ『星空想ノ森』までご連絡をお願いいたします。 読んでみて、演じてみての感想もいただけると嬉しいです。 486 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
兄 | 男 | 34 | ルイ |
妹 | 女 | 24 | ミリュカ |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:キャラクター名の変更、および、一人称、語尾等の変更は、演者様間でお話の上、ご自由に楽しんでいただければと思います。
0:なお、世界観、内容が変わるほどの変更やアドリブは、ご遠慮ください。
0:
0:(役紹介)
0:【兄】ルイ
0:【妹】ミリュカ
0:
:
:――(上演開始)――
:
:
兄:この村には言い伝えがある
兄:村に隠された七つの玉を集めれば、奇跡が起きると
:
:
兄:「よし。 これで、後一つだな」
妹:「うん! お兄ちゃん。 いつもありがとう」
兄:「気にするな。 かわいい妹のためだ」
妹:「えへへっ」
:
:
妹:私には、叶えたい願い事がある
妹:それは……お母さんに逢いたい
:
:
兄:母さんは、ミリュカを産むときに死んだ
兄:だから、ミリュカは母さんには一度も逢えてはいない
兄:だからこそ、逢いたいという願いがもし叶うのならば……叶えてやりたい
:
:
:(少し間を置く)
:
:
妹:「ただいま……」
兄:「おかえり。 早かったな。 ロゼッタちゃんのところに行ってたんじゃないのか?」
妹:「うん……」
兄:「どうしたんだ? 喧嘩でもしたのか?」
妹:「……あのね、ロゼのお母さん、病気なんだって。 死んじゃうかもしれないんだって」
兄:「えっ?」
妹:「だからね……お兄ちゃんが一緒に集めてくれた玉、あげてもいい?」
兄:「……それで、ロゼッタちゃんのお母さんの病気を治して欲しいってお願いするのか?」
妹:「うん。 ロゼ、一つは玉を持ってるから、あと六つ必要なんだって。 私は六つあるから、ちょうどーー」
兄:「(ミリュカのセリフに被せて)だめだ。 あれは、ミリュカが集めた玉だ。 人にあげて良いものじゃない」
妹:「けどっ!」
兄:「だめだ」
妹:「なんで? 死んじゃったら、もう逢えないんだよ? 私は……お母さんにはもう逢えない。 けど、ロゼのお母さんは、病気が治ったら、ロゼと一緒にいられる!」
兄:「それは、わかってる。 でも、だめなものは、だめだ!」
妹:「……っ! お兄ちゃんは何にもわかってない! わかってない!」
兄:「待ちなさい! ミリュカ!」
:
:
兄:ミリュカが集めている玉。 この村に伝わる、奇跡を呼ぶ玉
兄:けれども、実際には奇跡を起こす玉ではない
兄:玉は、崖の上であったりと、子供が一人で手に入れるにはなかなかに厳しいところにある
兄:それは、困難を乗り越えて強くなり、自分自身で願いを叶える力を身に着けることが目的だからだ
兄:十五歳を迎えたとき、そのことを教えられる
兄:そして、その玉を手に入れようとする子供たちを見守ることが、村の大人たちの役割の一つにもなっている
:
兄:だが、十五歳になっていないミリュカには、その事実を伝えることはできない
:
:
兄:「玉がない……ロゼッタちゃんのところに持って行ったのか……無駄だというのに」
:
:
:(少し間を置く)
:
:
:(扉がノックされる)
兄:「ミリュカか? なんでノックなんて……。 あっ、君は確か、ロゼッタちゃん……?」
:
:
:(少し間を置く)
:
:
兄:「はぁ……はぁ……。 ミリュカ! ミリュカ!!」
:
:
兄:ミリュカは、やはりロゼッタちゃんのところに玉を持って行ったらしい
兄:だが、その内の一つが同じ文字が刻まれたものだった
兄:最後の一つ、最も険しい場所にあるその玉を、ミリュカは一人で取りに行ったらしい
妹:「大丈夫! 取りに行っている間にお母さんが目を覚まして、ロゼがいなかったら心配するでしょ? だから、私が一人で行ってくる!」
兄:「よりによって、こんな天気の中を……くそっ」
:
:
兄:「ミリュカ! ミリュ……! ?! 今、何か光った……?」
兄:光った場所に近づくと、そこには――
兄:木々が籠のように守る中、眠っているかのように横たわっているミリュカ
兄:手には、玉が握られていた
:
:
兄:「ミリュカ! ミリュカ!!」
:
:
:(少し間を置く)
:
:
妹:「あれ……? お兄ちゃん? ここ……」
兄:「家だよ、ミリュカ。 ……良かった。 本当に良かった……!」
妹:「お兄ちゃん……心配かけて、ごめんなさい」
兄:急に天候が悪くなったからと、作業中のまま片付けられずに置いてあった木々や木の葉がクッション代わりとなったおかげで、崖から落ちたはずのミリュカは、思ったよりも軽傷で済んでいた
:
:
妹:「あのね、お兄ちゃん。 お母さんと逢ったよ」
兄:「えっ?」
妹:「お母さん、私のこと、抱きしめてくれた。 それでね、大きくなったねって」
兄:「そうか」
妹:「それとね、ごめんねって言ってた」
兄:「……ごめんね?」
妹:「うん。 一度も抱っこしてあげられなくてごめんねって」
兄:「そうか……」
妹:「だからね、お母さんに、こう言ったの。 大丈夫だよ。 その分、お兄ちゃんがいっぱい抱っこしてくれたからって」
兄:「ミリュカ……」
妹:「でね、もっと一緒にいたい、もっとお話ししていたいって言ったの。 そしたら、お母さんが、お兄ちゃんは優しいけれど本当は寂しがり屋さんだから、あなたまでいなくなったら独りぼっちになっちゃう。 だから、早く帰ってあげてって」
兄:「なんだよ、それ」
妹:「だからね、帰って来たよ、お兄ちゃん」
兄:「そっか……。 おかえり」
妹:「うん。 ただいま」
:
:
:(少し間を置く)
:
:
妹:「ねぇねぇ、お兄ちゃん。 七つ目の玉を手に入れたから、お母さんに逢えたんだよね?」
兄:「そうだな」
:
:
兄:そして、ミリュカが玉を渡した、ロゼッタちゃん
兄:彼女のお母さんは、偶然、遺跡調査で訪れていた学者の旦那さんがお医者さんで、その人のお陰で今は回復に向かっているらしい
:
:
:(少し間を置く)
:
:
兄:この村には言い伝えがある
兄:村に隠された七つの玉を集めれば、奇跡が起きると
:
:
妹:「お兄ちゃん! やっぱり奇跡を呼ぶ玉は凄いね!」
:
:
兄:言い伝えではなく、それはきっと――
:
:
:――(上演終了)――
0:キャラクター名の変更、および、一人称、語尾等の変更は、演者様間でお話の上、ご自由に楽しんでいただければと思います。
0:なお、世界観、内容が変わるほどの変更やアドリブは、ご遠慮ください。
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0:(役紹介)
0:【兄】ルイ
0:【妹】ミリュカ
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:――(上演開始)――
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兄:この村には言い伝えがある
兄:村に隠された七つの玉を集めれば、奇跡が起きると
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兄:「よし。 これで、後一つだな」
妹:「うん! お兄ちゃん。 いつもありがとう」
兄:「気にするな。 かわいい妹のためだ」
妹:「えへへっ」
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妹:私には、叶えたい願い事がある
妹:それは……お母さんに逢いたい
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兄:母さんは、ミリュカを産むときに死んだ
兄:だから、ミリュカは母さんには一度も逢えてはいない
兄:だからこそ、逢いたいという願いがもし叶うのならば……叶えてやりたい
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:(少し間を置く)
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妹:「ただいま……」
兄:「おかえり。 早かったな。 ロゼッタちゃんのところに行ってたんじゃないのか?」
妹:「うん……」
兄:「どうしたんだ? 喧嘩でもしたのか?」
妹:「……あのね、ロゼのお母さん、病気なんだって。 死んじゃうかもしれないんだって」
兄:「えっ?」
妹:「だからね……お兄ちゃんが一緒に集めてくれた玉、あげてもいい?」
兄:「……それで、ロゼッタちゃんのお母さんの病気を治して欲しいってお願いするのか?」
妹:「うん。 ロゼ、一つは玉を持ってるから、あと六つ必要なんだって。 私は六つあるから、ちょうどーー」
兄:「(ミリュカのセリフに被せて)だめだ。 あれは、ミリュカが集めた玉だ。 人にあげて良いものじゃない」
妹:「けどっ!」
兄:「だめだ」
妹:「なんで? 死んじゃったら、もう逢えないんだよ? 私は……お母さんにはもう逢えない。 けど、ロゼのお母さんは、病気が治ったら、ロゼと一緒にいられる!」
兄:「それは、わかってる。 でも、だめなものは、だめだ!」
妹:「……っ! お兄ちゃんは何にもわかってない! わかってない!」
兄:「待ちなさい! ミリュカ!」
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兄:ミリュカが集めている玉。 この村に伝わる、奇跡を呼ぶ玉
兄:けれども、実際には奇跡を起こす玉ではない
兄:玉は、崖の上であったりと、子供が一人で手に入れるにはなかなかに厳しいところにある
兄:それは、困難を乗り越えて強くなり、自分自身で願いを叶える力を身に着けることが目的だからだ
兄:十五歳を迎えたとき、そのことを教えられる
兄:そして、その玉を手に入れようとする子供たちを見守ることが、村の大人たちの役割の一つにもなっている
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兄:だが、十五歳になっていないミリュカには、その事実を伝えることはできない
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兄:「玉がない……ロゼッタちゃんのところに持って行ったのか……無駄だというのに」
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:(少し間を置く)
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:(扉がノックされる)
兄:「ミリュカか? なんでノックなんて……。 あっ、君は確か、ロゼッタちゃん……?」
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:(少し間を置く)
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兄:「はぁ……はぁ……。 ミリュカ! ミリュカ!!」
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兄:ミリュカは、やはりロゼッタちゃんのところに玉を持って行ったらしい
兄:だが、その内の一つが同じ文字が刻まれたものだった
兄:最後の一つ、最も険しい場所にあるその玉を、ミリュカは一人で取りに行ったらしい
妹:「大丈夫! 取りに行っている間にお母さんが目を覚まして、ロゼがいなかったら心配するでしょ? だから、私が一人で行ってくる!」
兄:「よりによって、こんな天気の中を……くそっ」
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兄:「ミリュカ! ミリュ……! ?! 今、何か光った……?」
兄:光った場所に近づくと、そこには――
兄:木々が籠のように守る中、眠っているかのように横たわっているミリュカ
兄:手には、玉が握られていた
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兄:「ミリュカ! ミリュカ!!」
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:(少し間を置く)
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妹:「あれ……? お兄ちゃん? ここ……」
兄:「家だよ、ミリュカ。 ……良かった。 本当に良かった……!」
妹:「お兄ちゃん……心配かけて、ごめんなさい」
兄:急に天候が悪くなったからと、作業中のまま片付けられずに置いてあった木々や木の葉がクッション代わりとなったおかげで、崖から落ちたはずのミリュカは、思ったよりも軽傷で済んでいた
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妹:「あのね、お兄ちゃん。 お母さんと逢ったよ」
兄:「えっ?」
妹:「お母さん、私のこと、抱きしめてくれた。 それでね、大きくなったねって」
兄:「そうか」
妹:「それとね、ごめんねって言ってた」
兄:「……ごめんね?」
妹:「うん。 一度も抱っこしてあげられなくてごめんねって」
兄:「そうか……」
妹:「だからね、お母さんに、こう言ったの。 大丈夫だよ。 その分、お兄ちゃんがいっぱい抱っこしてくれたからって」
兄:「ミリュカ……」
妹:「でね、もっと一緒にいたい、もっとお話ししていたいって言ったの。 そしたら、お母さんが、お兄ちゃんは優しいけれど本当は寂しがり屋さんだから、あなたまでいなくなったら独りぼっちになっちゃう。 だから、早く帰ってあげてって」
兄:「なんだよ、それ」
妹:「だからね、帰って来たよ、お兄ちゃん」
兄:「そっか……。 おかえり」
妹:「うん。 ただいま」
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:(少し間を置く)
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妹:「ねぇねぇ、お兄ちゃん。 七つ目の玉を手に入れたから、お母さんに逢えたんだよね?」
兄:「そうだな」
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兄:そして、ミリュカが玉を渡した、ロゼッタちゃん
兄:彼女のお母さんは、偶然、遺跡調査で訪れていた学者の旦那さんがお医者さんで、その人のお陰で今は回復に向かっているらしい
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:(少し間を置く)
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兄:この村には言い伝えがある
兄:村に隠された七つの玉を集めれば、奇跡が起きると
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妹:「お兄ちゃん! やっぱり奇跡を呼ぶ玉は凄いね!」
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兄:言い伝えではなく、それはきっと――
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:――(上演終了)――