台本概要

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タイトル 魔女とカメラと高校生
作者名 てくす  (@daihooon)
ジャンル ファンタジー
演者人数 3人用台本(男1、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 魔女は殺せ。
疑わしきは、魔女の手先である。
殺せ。奴等は人を殺す。
殺される前に、殺せ。
魔女は死ぬ。首を刎ね、業火で焼き尽くせ。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
優斗 67 はまべ ゆうと。魔女の世界に足を踏み入れた。
ホイップ 51 ケーキの魔女。新しいSNSを始めるらしい。
ライカ 47 射影の魔女。優斗の父と面識があるようだが……
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
ホイップ:お!来たか、優斗 優斗:お待たせしました〜  ホイップ:よい、して例のブツは? 優斗:へへへっ、ちゃんとここに… 優斗:って密売か! 優斗:ほら、これでいいか? ホイップ:ふむ、大丈夫じゃろ 優斗:それにしても、タイミング良かった 優斗:俺もカメラやってみようかなって考えてたし ホイップ:料理はもういいのか? 優斗:目指せ!多趣味! ホイップ:はぁ…、しかし、なぜ写真なんじゃ? ホイップ:もっと色々あるだろうに 優斗:あー、そっか言ってなかったな 優斗:俺の両親…というか父親が写真家なんだよ 優斗:だからあんまり家いないし 優斗:料理も自炊兼ねて始めたって感じだな ホイップ:親の才能が子に受け継がれるとは限らんぞ? 優斗:俺もそこまで思ってねーよ 優斗:ただ… ホイップ:ただ? 優斗:友達と遊んだ時とかに綺麗な写真撮れたら… 優斗:モテるかもしんないじゃん…(ボソッ) ホイップ:なんじゃそれ、煩悩の塊じゃな 優斗:う、う、うるせー! ホイップ:ほほぅ、するとつまりは ホイップ:優斗は結衣が好きなんじゃな? 優斗:はぁ!?べ、べ、別に好きじゃないし 優斗:なんで町田さんが出てくるんだよ! ホイップ:数少ない友達じゃろー? 優斗:いるし!まだたくさん、い〜ま〜す〜! 優斗:…って、そんなことより何でカメラが必要なんだ? ホイップ:結衣と話しておったの聞いとらんかったか? ホイップ:近々別のSNSを始めるから、それ用じゃ 優斗:なるほど… 優斗:美味しく撮れるように頑張ります! ホイップ:うむ!期待してやろう ホイップ:……?なんじゃ? 優斗:え? ホイップ:そのカメラ、もう一度構えろ 優斗:え?こうか? ホイップ:魔力反応?…まさか… ホイップ:優斗、このカメラは誰のだ? 優斗:親父のやつだけど… 優斗:そういえば聞いたことあるな 優斗:このカメラで撮ると凄い写真が撮れるって ホイップ:十中八九、魔女の力が加わっとる 優斗:っ……確か……親父が子どもの頃 優斗:これを誰かに貰って、撮った写真が評価されて 優斗:写真家を目指したって… 優斗:子どもの頃は、それでいいと思ってたけど 優斗:大人になって自分の実力じゃない気がしたって 優斗:だからこのカメラは使ってないって 優斗:そう言ってた… 優斗:……っ!違う!親父は実力で今の仕事を! ホイップ:わかっておる、大丈夫じゃ ホイップ:となるとコレを渡した奴は ライカ:あら、察しがいいじゃない? ホイップ:!?…やはり貴様か!ライカ! 優斗:ライカ…? ライカ:はじめまして、優斗くん?かな ライカ:私は射影の魔女 ライカ:人間名は宇津志 來花(つうし らいか) ライカ:魔法名も、そのままライカよ ライカ:貴方のお父さんにそのカメラを渡したのは ライカ:ちょうど40年くらい前かしら ライカ:久しぶりに私の射影石に反応があったから ライカ:……来ちゃった♡ ホイップ:来ちゃった、じゃと!? ホイップ:そうやって昔から不用意に人間に近づきおって! ライカ:あら?貴女も不用意でしょ? 優斗:ちょ、ちょっとホイップ! 優斗:どうしたんだよ!言い方キツいし 優斗:レピオスさんの時と全然… ライカ:あら、レピオスとも会ったのね ライカ:いいわ、教えてあげる ライカ:私ね、ホイップと仲が悪いのよ 優斗:え? ホイップ:此奴は昔からそうなんじゃ ホイップ:覚えとるか?レピオスがお前に言ったこと ホイップ:魔女にはルールがある ホイップ:それを悪びれるもなく破る! 優斗:もしかして親父が言ってた写真って ホイップ:全部魔法石の力じゃ ライカ:けど残念ね、全然使ってくれないんだもの 優斗:射影石の効果って…? ライカ:ホイップ達のような手助けなら ライカ:手ブレ補正やピント調整なんかを ライカ:機械じゃできないもっと精密な調整をかけるのよ ライカ:まぁ、それはいつもしてるわ、新作のカメラが出る度にね ホイップ:それだけじゃないだろ! ホイップ:人間には過ぎたる力を与えておろう! 優斗:親父が言うように、このカメラで撮れば 優斗:人では撮れないような写真が撮れる… 優斗:技術だけじゃなくて、心を動かすような ライカ:悪くないでしょ? 優斗:確かにそんな魔法のカメラ 優斗:誰でも欲しくなる… ホイップ:優斗…! 優斗:でも 優斗:過ぎた力は人を、世界を狂わせる! 優斗:それはレピオスさんからも聞いた! ライカ:人間のくせに欲がないのかしら? ライカ:…アハハハ!私の方が欲深いかも 優斗:……なんの話ですか? ライカ:教えてあげようかしら? ライカ:魔女のこと、魔女の世界のこと 優斗:魔女の世界…? ホイップ:やめろ!優斗は人間だ! ホイップ:私たちの話はよせ! ライカ:引き入れたのは貴女でしょ? ライカ:こうなることは予想できた、そうでしょ? ホイップ:ッ…! 優斗:ホイップ…俺は大丈夫だ ライカ:私はね、好きに生きたいのよ ライカ:聞いたことないかしら?魔女狩りや魔女裁判 ライカ:なんて言葉を 優斗:昔、外国で行われてたって… ライカ:そう、けど何も外国の話ではなく ライカ:そういう言葉を使わなかっただけで ライカ:どこでもあったものなのよ ホイップ:じゃから私たちはルールを決めた ホイップ:過剰に力を貸せば、私たちが魔女だと知られ ホイップ:殺されてしまうからな ライカ:あの頃は酷かったわよね ライカ:あれこそ本当の地獄だわ ホイップ:魔女だけじゃなく普通の人間まで…な 優斗:ど、どうして… ライカ:見分けがつかないからよ ライカ:疑わしきは罰すって感じかしら ライカ:だから最初にルールを作ったのは私たちのため ライカ:私たちが魔女だとバレないように隠れるため 優斗:けどそうまでして何で人間に力を貸すんだ? 優斗:嫌になるだろ…普通… ホイップ:好きじゃからだよ ホイップ:それでも私たちは人間が好きだから ライカ:それが魔女の因子なのか ライカ:何があっても私たちは人間を愛している ライカ:だけど…私はそれだけじゃ嫌なの 優斗:え? ライカ:どうせ死ぬなら好きなことをして死にたい ライカ:そう思わない? ライカ:私たちの世界を狂わせたのは人間 ライカ:なら、人間の世界を狂わせていいのは魔女 ライカ:そうじゃない? 優斗:…そ、それは… ホイップ:過剰な手出しをしなければ ホイップ:人間は何もせんじゃろ! ホイップ:それを何故、貴様は! ライカ:私も貴女も一度、 殺されているのに ライカ:よくもまぁそんなことが言えるよね 優斗:殺され…え?…ホイップ? ホイップ:…そうじゃ… ライカ:"魔女は不老にして死を超える" ライカ:ここからは魔女の出生の話ね 優斗:不老にして死を超える…? 優斗:なんなんだよ!なんの話だよ! ライカ:魔女の世界に足を踏み入れた ライカ:俺は勉強も運動も得意じゃないし ライカ:特技ってものも全然なくて ライカ:それでも何か力になれるなら手伝います! ライカ:かな? 優斗:…は?なんで? 優斗:なんなんだ!お前! ホイップ:魔法じゃ…記憶を覗く魔法 ライカ:カメラってその風景を閉じ込めるでしょ? ライカ:だから記憶とか思い出とか ライカ:それを見たりするの…得意なの 優斗:なんでそんなこと… ホイップ:無駄じゃ ホイップ:一度かけられたら解けん ホイップ:けどな… ホイップ:変な魔力反応を見せたらすぐに分かる ホイップ:優斗に手を出すなら私が守る! 優斗:ホイップ… ライカ:あらあら ライカ:本当に仲が良くて羨ましい ライカ:けどこの話を聞いて…まだ ライカ:仲良しごっこが続けられるかしら? 優斗:俺はホイップを信じる! 優斗:過去に何があっても、絶対! ライカ:フフフ ライカ:魔女はね、死んでも蘇るのよ ライカ:魔女の木からまた産み落とされる ライカ:それが死を超える意味 優斗:産み落とされる…? ライカ:不老の意味は産み落とされたらそのまま ライカ:姿が変わることなく、歳を取ることもないの ライカ:ホイップが小さい子どもに見えるのも ライカ:それはそうやって産まれたから 優斗:そうだったのか… ホイップ:成人しとるのは本当じゃ ホイップ:生まれ落ち、20年以上経っとるからな ホイップ:お前の言うロリは心外じゃからな 優斗:それは…ごめんなさい ホイップ:フン! ライカ:冗談を言うくらいには、まだ大丈夫なのね ライカ:続けていいかしら? ライカ:ただ、不都合もあって ライカ:生前の記憶が引き継がれるか身体はどんな物か ライカ:それは運次第ってことね ライカ:さらに言えば、不老ってだけで不死じゃない ライカ:だから首を斬られれば、全身を焼かれれば ライカ:痛みだってある 優斗:もしかして魔女狩りって…それを? ホイップ:正解じゃ 優斗:そんな酷いことを… ライカ:人智を超えた力を昔は惜しみなく使う ライカ:魔女も少なくなかったからね ライカ:人間は臆病なのよ ホイップ:だからこそ二度とあんなことが起きぬよう ホイップ:私たちはルールを作った ライカ:だけど人間は何をするかわからないわ ライカ:どうせ殺されるなら好きに生きたい ライカ:それは間違ってるかしら? 優斗:それは…わかりません 優斗:だけど、ホイップ達が間違ってるとも思わない ライカ:ええ、そうね ライカ:だから私はホイップと仲が悪いのよ ライカ:意見の相違ってやつね ホイップ:じゃからと無闇に魔法をばら撒くのは間違っとる! ライカ:私なんて可愛いものじゃない ライカ:その気になれば魔女は皆 ライカ:人間を支配するなんて簡単なのに 優斗:人間を支配!?どういうこと? ライカ:ケーキの魔女なんて可愛いこと謳っても ライカ:使える魔法は結構、酷いものよ? ライカ:ね?ホイップ ホイップ:それ…は… 優斗:だからって使わなければいい話だろ? 優斗:現にホイップは店を繁盛させてるだけで ライカ:それもそうだけど ライカ:本来のホイップは糖質コントロール ライカ:知ってる?砂糖って甘くて美味しいけど ライカ:依存性も毒も全て兼ね備えてるわ 優斗:確かに…病気になったりはわかるけど 優斗:それが…あ…まさか… ライカ:察しがいいじゃない ライカ:世の店の全ての糖質をコントロールしたら ライカ:人間なんてどうなるかしら? ライカ:私の魔法だってそう ライカ:ただ奇跡的な写真を撮れるようにしてるだけ ライカ:本来であれば…そうね、聞いたことないかしら? ライカ:見ると死ぬ絵とかそういうの 優斗:都市伝説とかであるやつか 優斗:ネットで見たことはあるけど ライカ:それを現実にすることができる ライカ:簡単よ、そういう魔法を使えばいい 優斗:な…!? ライカ:昔からの迷信、知ってるかしら? ライカ:写真を撮ると魂を抜かれる ライカ:あながち間違いじゃないわ 優斗:その気になれば… 優斗:魔女は人を… ライカ:ええ ホイップ:じゃが、そんなことはしない ホイップ:私たちは絶対に ライカ:そう、言うなれば穏健派ってとこかしらね ライカ:私だってそんな魔法は使わないわ 優斗:だったら人間に害を与えず、ホイップ達と同じように 優斗:手助けするだけじゃだめなのか? ライカ:綺麗な写真が撮れるカメラくらい ライカ:私は許してほしいってだけよ ライカ:害を成す魔法を使ってるわけじゃない ライカ:ホイップ達が心配しているのは魔法の存在が ライカ:知られること、よね? ホイップ:…あぁ ライカ:私は、人間が嫌いなわけじゃない ライカ:だけどね? ライカ:私は記憶を引き継いで、また産まれた側の魔女 ライカ:だからかな、少しくらい好きに生きたい ライカ:魔女なんだし魔法を使いたいって思うの ライカ:ダメかしら? 優斗:俺は…ライカさんが間違ってるとは 優斗:…思えません ホイップ:優斗!? 優斗:だけど、ホイップ達みたいな魔女もいる 優斗:だから、お互いに 優斗:ライカさんとホイップも 優斗:人間も魔女も仲良くできるのが一番いいって 優斗:俺はそんな綺麗事しか言えません ホイップ:その綺麗事が魔女を救う、本来ならの ホイップ:みんなそう思ってくれたなら ライカ:人間も魔女も…ね ライカ:魔女の世界に足を踏み入れるということ ライカ:少しはわかってくれたかしら? 優斗:今までは何も思わなかった 優斗:けど魔女には魔女の想いもある 優斗:俺はホイップには悪いけど 優斗:ライカさんの気持ちもわかる気がするから 優斗:やっぱり綺麗事しか言えません 優斗:だけど俺が好きなのはホイップ達なんで 優斗:無闇に魔法をばら撒くのは賛成しません ホイップ:優斗… 優斗:それがもしかしたらホイップ達の 優斗:魔女の不利益になるかもしれないから ライカ:そう、それでいいわ ライカ:それと、もうカメラの魔法石の効力はないから ライカ:使っても大丈夫よ 優斗:え? ライカ:ホイップと喧嘩になっても面倒だからね ホイップ:珍しいな、そんなすぐに引くとは ライカ:喧嘩がしたいわけじゃないもの ライカ:ていうか、喧嘩腰なのはいつも貴女の方よ ホイップ:フン! ライカ:ただ、一つだけ ライカ:これだけは忠告するわ 優斗:なんですか? ライカ:魔女はどこにでもいる ライカ:さっき言った穏健派も、そうじゃない過激派も 優斗:過激派… ライカ:人が人を傷つける道具っていっぱいあるでしょ? ライカ:それにも魔女の力が加わってるかもね? ライカ:その意味、わかるからしら? 優斗:…人が人を傷つける道具… ホイップ:大丈夫じゃ、何があっても私が守る ホイップ:それが引き入れた私の責任だ 優斗:ホイップ…そこまで考えてくれてたんだな ライカ:ま、私が言いたいのは ライカ:自分の身や大切な人のことは自分でも守らなきゃね ライカ:けどホイップを守ろうとする貴方はカッコよかったわ 優斗:な!いや!別に俺は! ライカ:じゃあね 優斗:!?消えた… ホイップ:魔女じゃからな 優斗:…ホイップ ホイップ:わかっとる 優斗:俺、多分甘く考えてた 優斗:魔女のこともその世界のことも ホイップ:仕方ない、そういうもんじゃ 優斗:けど!さっきの言葉に嘘はないから 優斗:俺もホイップを守りたい 優斗:ホイップは優しい魔女だって知ってるから ホイップ:優斗… ホイップ:なんじゃ!急に!調子狂う! 優斗:まぁ、見た目は幼女だから 優斗:大人な俺が身守んないとダメだろ? ホイップ:最後の最後にぶっ込みやがって! 優斗:(どんな過去があっても、どんな想いがあっても 優斗:多分俺たちは俺たちの関わり方があるはずだから) ホイップ:ヘタレ! 優斗:合法ロリ! 優斗:(今はこれでいいと、そう思う) 0:【終わり】

ホイップ:お!来たか、優斗 優斗:お待たせしました〜  ホイップ:よい、して例のブツは? 優斗:へへへっ、ちゃんとここに… 優斗:って密売か! 優斗:ほら、これでいいか? ホイップ:ふむ、大丈夫じゃろ 優斗:それにしても、タイミング良かった 優斗:俺もカメラやってみようかなって考えてたし ホイップ:料理はもういいのか? 優斗:目指せ!多趣味! ホイップ:はぁ…、しかし、なぜ写真なんじゃ? ホイップ:もっと色々あるだろうに 優斗:あー、そっか言ってなかったな 優斗:俺の両親…というか父親が写真家なんだよ 優斗:だからあんまり家いないし 優斗:料理も自炊兼ねて始めたって感じだな ホイップ:親の才能が子に受け継がれるとは限らんぞ? 優斗:俺もそこまで思ってねーよ 優斗:ただ… ホイップ:ただ? 優斗:友達と遊んだ時とかに綺麗な写真撮れたら… 優斗:モテるかもしんないじゃん…(ボソッ) ホイップ:なんじゃそれ、煩悩の塊じゃな 優斗:う、う、うるせー! ホイップ:ほほぅ、するとつまりは ホイップ:優斗は結衣が好きなんじゃな? 優斗:はぁ!?べ、べ、別に好きじゃないし 優斗:なんで町田さんが出てくるんだよ! ホイップ:数少ない友達じゃろー? 優斗:いるし!まだたくさん、い〜ま〜す〜! 優斗:…って、そんなことより何でカメラが必要なんだ? ホイップ:結衣と話しておったの聞いとらんかったか? ホイップ:近々別のSNSを始めるから、それ用じゃ 優斗:なるほど… 優斗:美味しく撮れるように頑張ります! ホイップ:うむ!期待してやろう ホイップ:……?なんじゃ? 優斗:え? ホイップ:そのカメラ、もう一度構えろ 優斗:え?こうか? ホイップ:魔力反応?…まさか… ホイップ:優斗、このカメラは誰のだ? 優斗:親父のやつだけど… 優斗:そういえば聞いたことあるな 優斗:このカメラで撮ると凄い写真が撮れるって ホイップ:十中八九、魔女の力が加わっとる 優斗:っ……確か……親父が子どもの頃 優斗:これを誰かに貰って、撮った写真が評価されて 優斗:写真家を目指したって… 優斗:子どもの頃は、それでいいと思ってたけど 優斗:大人になって自分の実力じゃない気がしたって 優斗:だからこのカメラは使ってないって 優斗:そう言ってた… 優斗:……っ!違う!親父は実力で今の仕事を! ホイップ:わかっておる、大丈夫じゃ ホイップ:となるとコレを渡した奴は ライカ:あら、察しがいいじゃない? ホイップ:!?…やはり貴様か!ライカ! 優斗:ライカ…? ライカ:はじめまして、優斗くん?かな ライカ:私は射影の魔女 ライカ:人間名は宇津志 來花(つうし らいか) ライカ:魔法名も、そのままライカよ ライカ:貴方のお父さんにそのカメラを渡したのは ライカ:ちょうど40年くらい前かしら ライカ:久しぶりに私の射影石に反応があったから ライカ:……来ちゃった♡ ホイップ:来ちゃった、じゃと!? ホイップ:そうやって昔から不用意に人間に近づきおって! ライカ:あら?貴女も不用意でしょ? 優斗:ちょ、ちょっとホイップ! 優斗:どうしたんだよ!言い方キツいし 優斗:レピオスさんの時と全然… ライカ:あら、レピオスとも会ったのね ライカ:いいわ、教えてあげる ライカ:私ね、ホイップと仲が悪いのよ 優斗:え? ホイップ:此奴は昔からそうなんじゃ ホイップ:覚えとるか?レピオスがお前に言ったこと ホイップ:魔女にはルールがある ホイップ:それを悪びれるもなく破る! 優斗:もしかして親父が言ってた写真って ホイップ:全部魔法石の力じゃ ライカ:けど残念ね、全然使ってくれないんだもの 優斗:射影石の効果って…? ライカ:ホイップ達のような手助けなら ライカ:手ブレ補正やピント調整なんかを ライカ:機械じゃできないもっと精密な調整をかけるのよ ライカ:まぁ、それはいつもしてるわ、新作のカメラが出る度にね ホイップ:それだけじゃないだろ! ホイップ:人間には過ぎたる力を与えておろう! 優斗:親父が言うように、このカメラで撮れば 優斗:人では撮れないような写真が撮れる… 優斗:技術だけじゃなくて、心を動かすような ライカ:悪くないでしょ? 優斗:確かにそんな魔法のカメラ 優斗:誰でも欲しくなる… ホイップ:優斗…! 優斗:でも 優斗:過ぎた力は人を、世界を狂わせる! 優斗:それはレピオスさんからも聞いた! ライカ:人間のくせに欲がないのかしら? ライカ:…アハハハ!私の方が欲深いかも 優斗:……なんの話ですか? ライカ:教えてあげようかしら? ライカ:魔女のこと、魔女の世界のこと 優斗:魔女の世界…? ホイップ:やめろ!優斗は人間だ! ホイップ:私たちの話はよせ! ライカ:引き入れたのは貴女でしょ? ライカ:こうなることは予想できた、そうでしょ? ホイップ:ッ…! 優斗:ホイップ…俺は大丈夫だ ライカ:私はね、好きに生きたいのよ ライカ:聞いたことないかしら?魔女狩りや魔女裁判 ライカ:なんて言葉を 優斗:昔、外国で行われてたって… ライカ:そう、けど何も外国の話ではなく ライカ:そういう言葉を使わなかっただけで ライカ:どこでもあったものなのよ ホイップ:じゃから私たちはルールを決めた ホイップ:過剰に力を貸せば、私たちが魔女だと知られ ホイップ:殺されてしまうからな ライカ:あの頃は酷かったわよね ライカ:あれこそ本当の地獄だわ ホイップ:魔女だけじゃなく普通の人間まで…な 優斗:ど、どうして… ライカ:見分けがつかないからよ ライカ:疑わしきは罰すって感じかしら ライカ:だから最初にルールを作ったのは私たちのため ライカ:私たちが魔女だとバレないように隠れるため 優斗:けどそうまでして何で人間に力を貸すんだ? 優斗:嫌になるだろ…普通… ホイップ:好きじゃからだよ ホイップ:それでも私たちは人間が好きだから ライカ:それが魔女の因子なのか ライカ:何があっても私たちは人間を愛している ライカ:だけど…私はそれだけじゃ嫌なの 優斗:え? ライカ:どうせ死ぬなら好きなことをして死にたい ライカ:そう思わない? ライカ:私たちの世界を狂わせたのは人間 ライカ:なら、人間の世界を狂わせていいのは魔女 ライカ:そうじゃない? 優斗:…そ、それは… ホイップ:過剰な手出しをしなければ ホイップ:人間は何もせんじゃろ! ホイップ:それを何故、貴様は! ライカ:私も貴女も一度、 殺されているのに ライカ:よくもまぁそんなことが言えるよね 優斗:殺され…え?…ホイップ? ホイップ:…そうじゃ… ライカ:"魔女は不老にして死を超える" ライカ:ここからは魔女の出生の話ね 優斗:不老にして死を超える…? 優斗:なんなんだよ!なんの話だよ! ライカ:魔女の世界に足を踏み入れた ライカ:俺は勉強も運動も得意じゃないし ライカ:特技ってものも全然なくて ライカ:それでも何か力になれるなら手伝います! ライカ:かな? 優斗:…は?なんで? 優斗:なんなんだ!お前! ホイップ:魔法じゃ…記憶を覗く魔法 ライカ:カメラってその風景を閉じ込めるでしょ? ライカ:だから記憶とか思い出とか ライカ:それを見たりするの…得意なの 優斗:なんでそんなこと… ホイップ:無駄じゃ ホイップ:一度かけられたら解けん ホイップ:けどな… ホイップ:変な魔力反応を見せたらすぐに分かる ホイップ:優斗に手を出すなら私が守る! 優斗:ホイップ… ライカ:あらあら ライカ:本当に仲が良くて羨ましい ライカ:けどこの話を聞いて…まだ ライカ:仲良しごっこが続けられるかしら? 優斗:俺はホイップを信じる! 優斗:過去に何があっても、絶対! ライカ:フフフ ライカ:魔女はね、死んでも蘇るのよ ライカ:魔女の木からまた産み落とされる ライカ:それが死を超える意味 優斗:産み落とされる…? ライカ:不老の意味は産み落とされたらそのまま ライカ:姿が変わることなく、歳を取ることもないの ライカ:ホイップが小さい子どもに見えるのも ライカ:それはそうやって産まれたから 優斗:そうだったのか… ホイップ:成人しとるのは本当じゃ ホイップ:生まれ落ち、20年以上経っとるからな ホイップ:お前の言うロリは心外じゃからな 優斗:それは…ごめんなさい ホイップ:フン! ライカ:冗談を言うくらいには、まだ大丈夫なのね ライカ:続けていいかしら? ライカ:ただ、不都合もあって ライカ:生前の記憶が引き継がれるか身体はどんな物か ライカ:それは運次第ってことね ライカ:さらに言えば、不老ってだけで不死じゃない ライカ:だから首を斬られれば、全身を焼かれれば ライカ:痛みだってある 優斗:もしかして魔女狩りって…それを? ホイップ:正解じゃ 優斗:そんな酷いことを… ライカ:人智を超えた力を昔は惜しみなく使う ライカ:魔女も少なくなかったからね ライカ:人間は臆病なのよ ホイップ:だからこそ二度とあんなことが起きぬよう ホイップ:私たちはルールを作った ライカ:だけど人間は何をするかわからないわ ライカ:どうせ殺されるなら好きに生きたい ライカ:それは間違ってるかしら? 優斗:それは…わかりません 優斗:だけど、ホイップ達が間違ってるとも思わない ライカ:ええ、そうね ライカ:だから私はホイップと仲が悪いのよ ライカ:意見の相違ってやつね ホイップ:じゃからと無闇に魔法をばら撒くのは間違っとる! ライカ:私なんて可愛いものじゃない ライカ:その気になれば魔女は皆 ライカ:人間を支配するなんて簡単なのに 優斗:人間を支配!?どういうこと? ライカ:ケーキの魔女なんて可愛いこと謳っても ライカ:使える魔法は結構、酷いものよ? ライカ:ね?ホイップ ホイップ:それ…は… 優斗:だからって使わなければいい話だろ? 優斗:現にホイップは店を繁盛させてるだけで ライカ:それもそうだけど ライカ:本来のホイップは糖質コントロール ライカ:知ってる?砂糖って甘くて美味しいけど ライカ:依存性も毒も全て兼ね備えてるわ 優斗:確かに…病気になったりはわかるけど 優斗:それが…あ…まさか… ライカ:察しがいいじゃない ライカ:世の店の全ての糖質をコントロールしたら ライカ:人間なんてどうなるかしら? ライカ:私の魔法だってそう ライカ:ただ奇跡的な写真を撮れるようにしてるだけ ライカ:本来であれば…そうね、聞いたことないかしら? ライカ:見ると死ぬ絵とかそういうの 優斗:都市伝説とかであるやつか 優斗:ネットで見たことはあるけど ライカ:それを現実にすることができる ライカ:簡単よ、そういう魔法を使えばいい 優斗:な…!? ライカ:昔からの迷信、知ってるかしら? ライカ:写真を撮ると魂を抜かれる ライカ:あながち間違いじゃないわ 優斗:その気になれば… 優斗:魔女は人を… ライカ:ええ ホイップ:じゃが、そんなことはしない ホイップ:私たちは絶対に ライカ:そう、言うなれば穏健派ってとこかしらね ライカ:私だってそんな魔法は使わないわ 優斗:だったら人間に害を与えず、ホイップ達と同じように 優斗:手助けするだけじゃだめなのか? ライカ:綺麗な写真が撮れるカメラくらい ライカ:私は許してほしいってだけよ ライカ:害を成す魔法を使ってるわけじゃない ライカ:ホイップ達が心配しているのは魔法の存在が ライカ:知られること、よね? ホイップ:…あぁ ライカ:私は、人間が嫌いなわけじゃない ライカ:だけどね? ライカ:私は記憶を引き継いで、また産まれた側の魔女 ライカ:だからかな、少しくらい好きに生きたい ライカ:魔女なんだし魔法を使いたいって思うの ライカ:ダメかしら? 優斗:俺は…ライカさんが間違ってるとは 優斗:…思えません ホイップ:優斗!? 優斗:だけど、ホイップ達みたいな魔女もいる 優斗:だから、お互いに 優斗:ライカさんとホイップも 優斗:人間も魔女も仲良くできるのが一番いいって 優斗:俺はそんな綺麗事しか言えません ホイップ:その綺麗事が魔女を救う、本来ならの ホイップ:みんなそう思ってくれたなら ライカ:人間も魔女も…ね ライカ:魔女の世界に足を踏み入れるということ ライカ:少しはわかってくれたかしら? 優斗:今までは何も思わなかった 優斗:けど魔女には魔女の想いもある 優斗:俺はホイップには悪いけど 優斗:ライカさんの気持ちもわかる気がするから 優斗:やっぱり綺麗事しか言えません 優斗:だけど俺が好きなのはホイップ達なんで 優斗:無闇に魔法をばら撒くのは賛成しません ホイップ:優斗… 優斗:それがもしかしたらホイップ達の 優斗:魔女の不利益になるかもしれないから ライカ:そう、それでいいわ ライカ:それと、もうカメラの魔法石の効力はないから ライカ:使っても大丈夫よ 優斗:え? ライカ:ホイップと喧嘩になっても面倒だからね ホイップ:珍しいな、そんなすぐに引くとは ライカ:喧嘩がしたいわけじゃないもの ライカ:ていうか、喧嘩腰なのはいつも貴女の方よ ホイップ:フン! ライカ:ただ、一つだけ ライカ:これだけは忠告するわ 優斗:なんですか? ライカ:魔女はどこにでもいる ライカ:さっき言った穏健派も、そうじゃない過激派も 優斗:過激派… ライカ:人が人を傷つける道具っていっぱいあるでしょ? ライカ:それにも魔女の力が加わってるかもね? ライカ:その意味、わかるからしら? 優斗:…人が人を傷つける道具… ホイップ:大丈夫じゃ、何があっても私が守る ホイップ:それが引き入れた私の責任だ 優斗:ホイップ…そこまで考えてくれてたんだな ライカ:ま、私が言いたいのは ライカ:自分の身や大切な人のことは自分でも守らなきゃね ライカ:けどホイップを守ろうとする貴方はカッコよかったわ 優斗:な!いや!別に俺は! ライカ:じゃあね 優斗:!?消えた… ホイップ:魔女じゃからな 優斗:…ホイップ ホイップ:わかっとる 優斗:俺、多分甘く考えてた 優斗:魔女のこともその世界のことも ホイップ:仕方ない、そういうもんじゃ 優斗:けど!さっきの言葉に嘘はないから 優斗:俺もホイップを守りたい 優斗:ホイップは優しい魔女だって知ってるから ホイップ:優斗… ホイップ:なんじゃ!急に!調子狂う! 優斗:まぁ、見た目は幼女だから 優斗:大人な俺が身守んないとダメだろ? ホイップ:最後の最後にぶっ込みやがって! 優斗:(どんな過去があっても、どんな想いがあっても 優斗:多分俺たちは俺たちの関わり方があるはずだから) ホイップ:ヘタレ! 優斗:合法ロリ! 優斗:(今はこれでいいと、そう思う) 0:【終わり】