台本概要

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タイトル 成田百合婚
作者名 みのるしろいし  (@siroishi_jp)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 空港で久しぶりの再会を果たした同級生同士のお話です。

百合台本ですが、要素はそこまで濃くないと思います。

性別変更は不可でお願いします。

自作発言・無断転載はお止めください。

【お願い】
事前・事後でも構いませんので、
上演時はX(旧Twitter)等でメンション付きでポスト頂けますと、喜びます。
何らかの形で上演内容を残して頂けますと、さらに喜びます。
これを機に他の台本も閲覧頂けますと、ハンパなく喜びます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
真紀 153 美幸の同級生、ある理由で音信不通になっていた。
美幸 149 真紀の同級生。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:空港 美幸:あれ、真紀!? 真紀:え、美幸? 美幸:真紀!急に連絡先も消してどこ行ってたのよ! 真紀:あ・・・ごめんね。 美幸:ごめんじゃないよ!真紀のご両親含めてみんな連絡取れなかったんだから! 真紀:・・・今時間取ある? 美幸:取るよ!どこかで落ち着きたい。 真紀:ありがとう、カフェ入ろっか。 0:カフェ 真紀:はい、抹茶ラテ 美幸:ありがと。 真紀:オールミルクで良かったよね? 美幸:よく覚えてたね。 真紀:うん、美幸といえば抹茶ラテのオールミルク。 美幸:この店はね。 真紀:うん。美幸はここでしか抹茶ラテ飲まないのも知ってる。 美幸:凄いわね。 真紀:友達だからね。 美幸:で、何があったの?荷物が多く見えるけど・・・海外でも行ってたの? 真紀:うん、海外は行ってたかな。 美幸:一人? 真紀:いや?2人。 美幸:2人!? 真紀:実はさ、ハネムーンに行ってたの。 美幸:え!?真紀、彼氏居たの!? 真紀:そうなの、で、インドネシアに行ってたんだ。 美幸:バリ? 真紀:うん、2人だけで向こうで挙式をする予定だったの。 美幸:そうなんだ。でも、何で1人だったの? 真紀:実はね、挙式の途中に女の人が割り込んできて。 美幸:は!? 真紀:そこから、彼が「本当はこの人が俺の婚約者。ごっこ遊び楽しかった?」とか言ってきて 美幸:最低過ぎない? 真紀:で、最終的にキスしようとしたタイミングで。 美幸:嘘でしょ・・・最低すぎる。 真紀:「テッテレー」 美幸:え、ちょどういうこと!? 真紀:彼ね、動画配信者だったの。 美幸:動画配信者!? 真紀:自分のチャンネルで投稿するための動画のネタにしたかったんだって。 美幸:ドッキリにしても悪質すぎるでしょ・・・? 真紀:うん、実はこれ、続きがあって。 美幸:まだあるの? 真紀:実は、動画配信者ってことも知らなかったの。 美幸:なにそれ!? 真紀:会社員って聞いてたの。 美幸:ちょっと嘘が多すぎない。 真紀:でしょう?それで、信じられなくなって。その場で離婚言い渡して日本に帰ってきたの。 美幸:壮絶だね・・・ 真紀:私馬鹿だなって思ったよ。彼が俺以外の連絡先を消せって言うから、連絡も取れなくてさ。 美幸:それで親も消させてたの!?完全に地雷じゃない!? 真紀:最初はそうって気づかなかったの。めっちゃ紳士的だったし、愛想も良かった。 美幸:付き合って沼に引き込まれたタイプね・・・ 真紀:そう。結婚して入籍したときに、離婚届も準備しておきたいって言われたんだけど、まさか役立つとは思ってなかった。 美幸:それってさ・・・それもドッキリに使われる可能性あったよね? 真紀:あー、今となってはそうかもね。勝手に離婚届出して消えてみたドッキリとかね。 美幸:あったとしたら怖すぎるけど、聞いてる限りやりかねないねそいつ。 真紀:うん。だから今から離婚届出しに行こうと思ってた。 美幸:今住んでるところって近いの? 真紀:近いよー、川崎。 美幸:明日からも時間ある? 真紀:あるよ、会社にも休暇申請してるし。 美幸:それならさ、諸々済ませた後に私と旅行いかない?リフレッシュのための。 真紀:良いね!・・・どこ行こうか。 美幸:温泉行かない? 真紀:良いね良いね!全部洗い流したい。 美幸:城崎温泉とかどう? 真紀:行ったことない! 美幸:じゃあ決まり!新横浜から新幹線で行こうか。 真紀:旅館とか空いてそう? 美幸:温泉街の旅館はほとんど埋まってそう・・・1駅離れたところに良いホテルあるからそこにしよ。 真紀:オッケー。任せる。 0:新幹線車内 美幸:ホテル取れた! 真紀:おっ、ナイス。 美幸:見てみて!めっちゃ海沿いのホテルなんだよ! 真紀:凄いーっ!綺麗そう。 美幸:全部屋海沿いだからね。綺麗だよ。でもそこまで高くないの。 真紀:しかも温泉なんだ! 美幸:露天風呂もあるよっ! 真紀:楽しみ。 美幸:めっちゃ楽しも。全部忘れてさっ。 真紀:うん! 0:新大阪駅 美幸:めっちゃ寝ちゃってた! 真紀:そうだね。 美幸:あら?なんかあった? 真紀:ん? 美幸:なんか、暗いなと思って。 真紀:うん、ちょっと夢にも出てきちゃって 美幸:そりゃ仕方ないね・・・ 真紀:そっか色々考えちゃってね・・・ 真紀:何でそこ見抜けなかったかなぁ・・・私。 美幸:無理じゃない?付き合う前まではそんな素振りも無かったんでしょ? 真紀:うん。 美幸:ほら、結婚してしまえばバツつくのが怖いとか、自分の両親に顔向け出来ないっていう弱みを突かれたんだよ。 真紀:なるほどね・・・そんなこと無いのにね。 美幸:そうだよ、全面的に非が無いわけだしさ。それに、あれだけ巧妙に隠されたら気付けるわけもないよ。 真紀:うん・・・行動力が裏目に出ちゃったかな? 美幸:まあ、無かったらこうして離婚に踏み切ることもできなかったし、良いんじゃない? 真紀:そうかな! 美幸:じゃあさ、旅のルール決めよ! 美幸:身内から連絡が来た時以外は、相手のことは忘れるて楽しむ! 美幸:ネガティブなことは考えない! 真紀:オッケー!あ、来たね。こうのとり。 0:城崎温泉駅 真紀:とうちゃーく! 美幸:駅前は割とこじんまりだね。 真紀:でも見て!駅前に既に足湯があるよ! 美幸:さとの湯のだね!あ、先に行って場所とってて! 真紀:どこ行くの? 美幸:時間限定で買えるものがあるから、それ買ってくる。 真紀:わかったー。 0:足湯 真紀:ここで良いかな。 美幸:おまたせ! 真紀:おかえりー、おっ、なにそれ? 美幸:たまごパン! 真紀:へぇー、たまごパン? 美幸:そうなの、毎日4回焼き立ての時間があるんだけど、並んでも買えない時があるくらい人気なの。 真紀:すごいやつなんだ。 美幸:今日は平日だから、買えた! 真紀:すごーい、座って食べよ。 美幸:うん!あ、タオル持ってるから気にせず使ってね! 真紀;ありがとう! 0:足を浸ける 真紀:おー、気持ちいいかも。 美幸:いいでしょ、前の景色が庭っぽい感じも。 真紀:走る電車の音とかも良いアクセントになるね。 美幸:そうなの!私は一番お気に入りなの。 真紀:たまごパン、貰うね。 美幸:どうぞ。 真紀:(食べる)えっ!?美味しい! 美幸:でしょ! 真紀:プルプルしてるのに、食べたら秒で無くなる! 美幸:そうなの!そして甘さも感じるでしょ? 真紀:うん!優しい甘さがあるね。 美幸:でしょでしょ? 真紀:こんなの初めて食べたかも! 美幸:他ではあまり見ないかもね。 真紀:城崎温泉って、こんな感じで足湯とか温泉がいっぱいあるんだよね? 美幸:そうそう、飲むところもあるよ? 真紀:飲む・・・の? 美幸:うん、浸かるのと飲むので効能が変わるの。 真紀:そうなんだ。 美幸:飲む方は、胃炎とか便秘に良いんだって。 真紀:へぇー、よく知ってるね。 美幸:2回目だからねー。飲んでみる? 真紀:・・・今回は遠慮しとこうかな(笑) 美幸:無理に飲まなくても良いと思う(笑) 真紀:今日この後はどう巡るの? 美幸:町並みを見ながら、足湯浸かったり温泉1箇所入るのが良いかもね。 美幸:時間があったり、夜まで居るなら外湯巡りの券を買って巡るのが良いんだけど。 美幸:ホテルのある駅までの電車が中々無くて・・・ 真紀:なるほどね、オススメあるの? 美幸:あるよ!行こうか。 真紀:うん。 0:散歩中 真紀:柳と川が綺麗だね。 美幸:うん、晴れてて緑がしっかり生えてるね。 真紀:時間がゆっくりに感じる。 美幸:慌ただしかったもんね。 真紀:こうしてゆったり散歩なんて久しぶりかも。 美幸:のどかだよね。 真紀:あ、また足湯があるねぇ。 美幸:ここは・・・柳湯だね。 真紀:目抜き通りに面した足湯なんだね。 美幸:柳を見ながら入れるところだよ。 真紀:良さそう。でもちょっと人に見られるのは抵抗あるなぁ。 美幸:それなら、建物の横にある足湯が良いよ。 真紀:横にもあるの? 美幸:うん、隠れ家的な足湯でゆったり浸かれるよ。 真紀:いいね。 美幸:・・・と、言ったものの。 真紀:わお、営業時間外でやってなかったね 美幸:仕方ないね(笑) 真紀:ドンマイ! 0:間 美幸:あ、あった!オススメの外湯。 真紀:建物が荘厳(そうごん)だね。 美幸:ここが、御所の湯(ごしょのゆ) 真紀:あ!暗夜行路(あんやこうろ)で聞いたことある。 美幸:そうそう、それがここ。露天風呂で、滝が見えるんだよ。 真紀:楽しみ! 0:間 真紀:綺麗・・・そして、気持ち良い。 美幸:五感で楽しめるよね。 真紀:流れる水の音、滝を囲む緑色。温泉の匂い。 美幸:心地よい湯の温度・・・そして味。 真紀:飲んだの!? 美幸:嘘嘘!冗談よ。 真紀:びっくりしたぁ。 美幸:足伸ばして入るのとか、久しぶりかも。 真紀:私も、基本シャワーだしね。 美幸:身体も心も解放されるね。 真紀:うん、そういえば美幸、成長したね? 美幸:何が? 真紀:高校の頃はさ、もっとこう・・・キャピっとした感じだったじゃん? 美幸:そうだねぇ。 真紀:それがさ、こうして大人の女性になってさ。 美幸:いやぁ、それほどでもぉ。 真紀:そこまで褒めてないでしょ(笑) 美幸:そっか(笑) 真紀:そういうところは変わらないね。 美幸:そう? 真紀:うん、それに・・・ 美幸:それに? 真紀:ほら、あれだけいじられてたまな板も・・・ね? 美幸:・・・コラッ!後で・・・覚えといてね? 真紀:ハハハッ、今じゃないところ、成長してる(笑) 0:ホテル到着 真紀:おー、夕暮れめっちゃ綺麗! 美幸:そうでしょ? 真紀:しかしここまで海沿いだとは思ってなかったよ。 美幸:神奈川とはまた違う、自然溢れた海だよねぇ。 真紀:そうだねぇ。異国情緒も好きだけど、こういう自然な海も良い。 美幸:とりあえず、お風呂入る? 真紀:そうだね!露天風呂からも海見えるの? 美幸:見えるよ! 真紀:やった♪ 0:間 美幸:景色良かったし、最高に気持ちよかったね。 真紀:うんうん、部屋帰ったら・・・ 美幸::飲みましょうか! 0:間 美幸:カンパーイ!(同時) 真紀:カンパーイ!(同時) 美幸:(ビールを飲む)ぷはぁ!生き返る! 真紀:今日何回聞いたかそのセリフ(笑) 美幸:私は何度でも蘇るのさ! 真紀:もう酔ったの? 美幸:ぜーんぜん? 真紀:だよね(笑) 真紀:今日一日でさ、こんなに楽しいって思えると思わなかった。 美幸:まぁ・・・失意の底だったもんね。 真紀:そういえばさ。 美幸:ん? 真紀:美幸って、何で空港に居たの? 美幸:あー、それ聞いちゃう? 真紀:うん、旅行出れるってことは出国ではないよね? 美幸:うん、私も実は帰ってきたとこなの。 真紀:そうだったんだ!何してたの? 美幸:・・・聞く? 真紀:気になるじゃん(笑) 美幸:・・・よし、じゃあ、今からこの旅の約束を1回だけ破るね? 真紀:・・・え? 美幸:実は私も、新婚旅行行ってたんだ。 真紀:美幸も!? 美幸:そう、相手を置いて帰って来ちゃった? 真紀:そんなことある!? 美幸:私が聞きたいよ(笑)真紀が受けた所業にも驚いたけど、同じ境遇なんて・・・って。 真紀:美幸は・・・何されたの? 美幸:私は、結婚して結婚式までは順調だったの。周りからも祝福されてたの。 真紀:そうなんだ。 美幸:で、新婚旅行当日になって空港に行ってみたら、彼の両親が居てさぁ 真紀:え・・・ 美幸:お二人もご旅行ですか?って聞いたら「何いってんの、アナタたちの新婚旅行でしょ?」って 真紀:へ? 美幸:ぽかーんとしてたら、「新婚旅行はあなたがウチの嫁に相応しいか確認するための旅行でしょ」って 真紀:待って待って、理解が追いつかない。 美幸:うん、そう思う。で、飛行機の席とかも何故か私、夫のお母さんの隣で 真紀:なんで!? 美幸:ウチの家訓とか、嫁としての心得を叩き込むからだってさ。 真紀:うわぁ・・ヤバイ。 美幸:帰国の飛行機以外、旅行中はずっと母親が隣。 真紀:え、それって新婚旅行じゃなくない? 美幸:だよね、教育旅行っていう方が正しいかも。 真紀:ねぇ、聞き逃しだったら嬉しいんだけど。帰国の飛行機「以外」? 美幸:残念、聞き逃しじゃなくてちゃんと聞いてるね。そう、帰国の飛行機以外 真紀:・・・部屋も? 美幸:そうだよ。 真紀:夢であってほしい。 美幸:何度も祈ったよね。 真紀:地獄過ぎない? 美幸:しかもさ、行き先オーストリアだったんだよね。 真紀:ヨーロッパかぁ。 美幸:私さ、オーストラリア行く準備してたの。 真紀:へ?何で? 美幸:だって、新婚旅行はオーストラリアが良いねって話してて、夫も了承してたから。 真紀:・・・まさか。 美幸:そう、サプライズだって。両親が行きたいから変えたってさ。 真紀:・・・もう新婚旅行じゃなくて家族旅行じゃんそれ。 美幸:そうだよ。新婚なんて無かった。 真紀:・・・後さ、季節真逆じゃない? 美幸:流石博識だね、そう。寒さで死にかけた。 真紀:鬼ですら黙るぐらいの恐怖。 美幸:で、不満全部爆発させたら、記入済みの離婚届突きつけられて「逆らうなら離婚だぞ」って言われた。 美幸:奪って速攻空港まで行ったよ。 真紀:そこで行動力あるの凄いなぁ・・・ 美幸:全部音声も録ってあるから、何があっても勝てる。 真紀:大変だったね・・・ 美幸:まぁ、今は清々しい気持ちだけどね。 真紀:それなら良かった。 美幸:はい!これで私の話は終わりっ! 真紀:うん。何かさ、それぞれの旅行よりも楽しくない? 美幸:楽しい!この上ないくらい楽しい。 真紀:なんか、終わって欲しくないな。 美幸:明日も続くよ、きっと。 真紀:・・・ねえ、美幸。 美幸:何? 真紀:こんな事言うのもアレなんだけどさ。 美幸:何改まって。 真紀:好きだよ。 美幸:え・・・? 真紀:好き。 美幸:真紀・・・ 真紀:・・・ごめんね、急に。頭おかしくなっちゃったかな。 真紀:ひどい目に遭ってるのにさ、絶対辛いはずだし、何の音沙汰もよこさなかった私にこんなに優しくしてくれる。 美幸:それは・・・ 真紀:離婚した直後だからさ、心の隙間が出来てるのもあるかもしれないけどさ。 真紀:それでも今の私は、美幸が側に居てほしい。勘違いでも良いし。叶わなくても良い。 美幸:違うよ。 真紀:え? 美幸:勘違いなんかじゃないよ。私も、真紀が好き。 美幸:空港でさ、私もこれからのことに絶望しかけてたの。 美幸:そんな中で、真紀の姿を見つけて。凄く安心したの。砂漠で見つけたオアシスかと思った。 真紀:そんな大げさな。 美幸:しかもさ、長い事離れ離れだったのに、私の好みとか覚えててくれたじゃん? 美幸:完全にスパダリを感じちゃった。 真紀:大げさだなぁ。 美幸:大げさなんかじゃないよ。大好き。 真紀:・・・ありがと。 美幸:さて、湿っぽくなっちゃったからもう一回飲み直そ! 真紀:そうだね! 美幸:せーのっ。 真紀:カンパーイッ!(同時) 美幸:カンパーイッ!(同時)

0:空港 美幸:あれ、真紀!? 真紀:え、美幸? 美幸:真紀!急に連絡先も消してどこ行ってたのよ! 真紀:あ・・・ごめんね。 美幸:ごめんじゃないよ!真紀のご両親含めてみんな連絡取れなかったんだから! 真紀:・・・今時間取ある? 美幸:取るよ!どこかで落ち着きたい。 真紀:ありがとう、カフェ入ろっか。 0:カフェ 真紀:はい、抹茶ラテ 美幸:ありがと。 真紀:オールミルクで良かったよね? 美幸:よく覚えてたね。 真紀:うん、美幸といえば抹茶ラテのオールミルク。 美幸:この店はね。 真紀:うん。美幸はここでしか抹茶ラテ飲まないのも知ってる。 美幸:凄いわね。 真紀:友達だからね。 美幸:で、何があったの?荷物が多く見えるけど・・・海外でも行ってたの? 真紀:うん、海外は行ってたかな。 美幸:一人? 真紀:いや?2人。 美幸:2人!? 真紀:実はさ、ハネムーンに行ってたの。 美幸:え!?真紀、彼氏居たの!? 真紀:そうなの、で、インドネシアに行ってたんだ。 美幸:バリ? 真紀:うん、2人だけで向こうで挙式をする予定だったの。 美幸:そうなんだ。でも、何で1人だったの? 真紀:実はね、挙式の途中に女の人が割り込んできて。 美幸:は!? 真紀:そこから、彼が「本当はこの人が俺の婚約者。ごっこ遊び楽しかった?」とか言ってきて 美幸:最低過ぎない? 真紀:で、最終的にキスしようとしたタイミングで。 美幸:嘘でしょ・・・最低すぎる。 真紀:「テッテレー」 美幸:え、ちょどういうこと!? 真紀:彼ね、動画配信者だったの。 美幸:動画配信者!? 真紀:自分のチャンネルで投稿するための動画のネタにしたかったんだって。 美幸:ドッキリにしても悪質すぎるでしょ・・・? 真紀:うん、実はこれ、続きがあって。 美幸:まだあるの? 真紀:実は、動画配信者ってことも知らなかったの。 美幸:なにそれ!? 真紀:会社員って聞いてたの。 美幸:ちょっと嘘が多すぎない。 真紀:でしょう?それで、信じられなくなって。その場で離婚言い渡して日本に帰ってきたの。 美幸:壮絶だね・・・ 真紀:私馬鹿だなって思ったよ。彼が俺以外の連絡先を消せって言うから、連絡も取れなくてさ。 美幸:それで親も消させてたの!?完全に地雷じゃない!? 真紀:最初はそうって気づかなかったの。めっちゃ紳士的だったし、愛想も良かった。 美幸:付き合って沼に引き込まれたタイプね・・・ 真紀:そう。結婚して入籍したときに、離婚届も準備しておきたいって言われたんだけど、まさか役立つとは思ってなかった。 美幸:それってさ・・・それもドッキリに使われる可能性あったよね? 真紀:あー、今となってはそうかもね。勝手に離婚届出して消えてみたドッキリとかね。 美幸:あったとしたら怖すぎるけど、聞いてる限りやりかねないねそいつ。 真紀:うん。だから今から離婚届出しに行こうと思ってた。 美幸:今住んでるところって近いの? 真紀:近いよー、川崎。 美幸:明日からも時間ある? 真紀:あるよ、会社にも休暇申請してるし。 美幸:それならさ、諸々済ませた後に私と旅行いかない?リフレッシュのための。 真紀:良いね!・・・どこ行こうか。 美幸:温泉行かない? 真紀:良いね良いね!全部洗い流したい。 美幸:城崎温泉とかどう? 真紀:行ったことない! 美幸:じゃあ決まり!新横浜から新幹線で行こうか。 真紀:旅館とか空いてそう? 美幸:温泉街の旅館はほとんど埋まってそう・・・1駅離れたところに良いホテルあるからそこにしよ。 真紀:オッケー。任せる。 0:新幹線車内 美幸:ホテル取れた! 真紀:おっ、ナイス。 美幸:見てみて!めっちゃ海沿いのホテルなんだよ! 真紀:凄いーっ!綺麗そう。 美幸:全部屋海沿いだからね。綺麗だよ。でもそこまで高くないの。 真紀:しかも温泉なんだ! 美幸:露天風呂もあるよっ! 真紀:楽しみ。 美幸:めっちゃ楽しも。全部忘れてさっ。 真紀:うん! 0:新大阪駅 美幸:めっちゃ寝ちゃってた! 真紀:そうだね。 美幸:あら?なんかあった? 真紀:ん? 美幸:なんか、暗いなと思って。 真紀:うん、ちょっと夢にも出てきちゃって 美幸:そりゃ仕方ないね・・・ 真紀:そっか色々考えちゃってね・・・ 真紀:何でそこ見抜けなかったかなぁ・・・私。 美幸:無理じゃない?付き合う前まではそんな素振りも無かったんでしょ? 真紀:うん。 美幸:ほら、結婚してしまえばバツつくのが怖いとか、自分の両親に顔向け出来ないっていう弱みを突かれたんだよ。 真紀:なるほどね・・・そんなこと無いのにね。 美幸:そうだよ、全面的に非が無いわけだしさ。それに、あれだけ巧妙に隠されたら気付けるわけもないよ。 真紀:うん・・・行動力が裏目に出ちゃったかな? 美幸:まあ、無かったらこうして離婚に踏み切ることもできなかったし、良いんじゃない? 真紀:そうかな! 美幸:じゃあさ、旅のルール決めよ! 美幸:身内から連絡が来た時以外は、相手のことは忘れるて楽しむ! 美幸:ネガティブなことは考えない! 真紀:オッケー!あ、来たね。こうのとり。 0:城崎温泉駅 真紀:とうちゃーく! 美幸:駅前は割とこじんまりだね。 真紀:でも見て!駅前に既に足湯があるよ! 美幸:さとの湯のだね!あ、先に行って場所とってて! 真紀:どこ行くの? 美幸:時間限定で買えるものがあるから、それ買ってくる。 真紀:わかったー。 0:足湯 真紀:ここで良いかな。 美幸:おまたせ! 真紀:おかえりー、おっ、なにそれ? 美幸:たまごパン! 真紀:へぇー、たまごパン? 美幸:そうなの、毎日4回焼き立ての時間があるんだけど、並んでも買えない時があるくらい人気なの。 真紀:すごいやつなんだ。 美幸:今日は平日だから、買えた! 真紀:すごーい、座って食べよ。 美幸:うん!あ、タオル持ってるから気にせず使ってね! 真紀;ありがとう! 0:足を浸ける 真紀:おー、気持ちいいかも。 美幸:いいでしょ、前の景色が庭っぽい感じも。 真紀:走る電車の音とかも良いアクセントになるね。 美幸:そうなの!私は一番お気に入りなの。 真紀:たまごパン、貰うね。 美幸:どうぞ。 真紀:(食べる)えっ!?美味しい! 美幸:でしょ! 真紀:プルプルしてるのに、食べたら秒で無くなる! 美幸:そうなの!そして甘さも感じるでしょ? 真紀:うん!優しい甘さがあるね。 美幸:でしょでしょ? 真紀:こんなの初めて食べたかも! 美幸:他ではあまり見ないかもね。 真紀:城崎温泉って、こんな感じで足湯とか温泉がいっぱいあるんだよね? 美幸:そうそう、飲むところもあるよ? 真紀:飲む・・・の? 美幸:うん、浸かるのと飲むので効能が変わるの。 真紀:そうなんだ。 美幸:飲む方は、胃炎とか便秘に良いんだって。 真紀:へぇー、よく知ってるね。 美幸:2回目だからねー。飲んでみる? 真紀:・・・今回は遠慮しとこうかな(笑) 美幸:無理に飲まなくても良いと思う(笑) 真紀:今日この後はどう巡るの? 美幸:町並みを見ながら、足湯浸かったり温泉1箇所入るのが良いかもね。 美幸:時間があったり、夜まで居るなら外湯巡りの券を買って巡るのが良いんだけど。 美幸:ホテルのある駅までの電車が中々無くて・・・ 真紀:なるほどね、オススメあるの? 美幸:あるよ!行こうか。 真紀:うん。 0:散歩中 真紀:柳と川が綺麗だね。 美幸:うん、晴れてて緑がしっかり生えてるね。 真紀:時間がゆっくりに感じる。 美幸:慌ただしかったもんね。 真紀:こうしてゆったり散歩なんて久しぶりかも。 美幸:のどかだよね。 真紀:あ、また足湯があるねぇ。 美幸:ここは・・・柳湯だね。 真紀:目抜き通りに面した足湯なんだね。 美幸:柳を見ながら入れるところだよ。 真紀:良さそう。でもちょっと人に見られるのは抵抗あるなぁ。 美幸:それなら、建物の横にある足湯が良いよ。 真紀:横にもあるの? 美幸:うん、隠れ家的な足湯でゆったり浸かれるよ。 真紀:いいね。 美幸:・・・と、言ったものの。 真紀:わお、営業時間外でやってなかったね 美幸:仕方ないね(笑) 真紀:ドンマイ! 0:間 美幸:あ、あった!オススメの外湯。 真紀:建物が荘厳(そうごん)だね。 美幸:ここが、御所の湯(ごしょのゆ) 真紀:あ!暗夜行路(あんやこうろ)で聞いたことある。 美幸:そうそう、それがここ。露天風呂で、滝が見えるんだよ。 真紀:楽しみ! 0:間 真紀:綺麗・・・そして、気持ち良い。 美幸:五感で楽しめるよね。 真紀:流れる水の音、滝を囲む緑色。温泉の匂い。 美幸:心地よい湯の温度・・・そして味。 真紀:飲んだの!? 美幸:嘘嘘!冗談よ。 真紀:びっくりしたぁ。 美幸:足伸ばして入るのとか、久しぶりかも。 真紀:私も、基本シャワーだしね。 美幸:身体も心も解放されるね。 真紀:うん、そういえば美幸、成長したね? 美幸:何が? 真紀:高校の頃はさ、もっとこう・・・キャピっとした感じだったじゃん? 美幸:そうだねぇ。 真紀:それがさ、こうして大人の女性になってさ。 美幸:いやぁ、それほどでもぉ。 真紀:そこまで褒めてないでしょ(笑) 美幸:そっか(笑) 真紀:そういうところは変わらないね。 美幸:そう? 真紀:うん、それに・・・ 美幸:それに? 真紀:ほら、あれだけいじられてたまな板も・・・ね? 美幸:・・・コラッ!後で・・・覚えといてね? 真紀:ハハハッ、今じゃないところ、成長してる(笑) 0:ホテル到着 真紀:おー、夕暮れめっちゃ綺麗! 美幸:そうでしょ? 真紀:しかしここまで海沿いだとは思ってなかったよ。 美幸:神奈川とはまた違う、自然溢れた海だよねぇ。 真紀:そうだねぇ。異国情緒も好きだけど、こういう自然な海も良い。 美幸:とりあえず、お風呂入る? 真紀:そうだね!露天風呂からも海見えるの? 美幸:見えるよ! 真紀:やった♪ 0:間 美幸:景色良かったし、最高に気持ちよかったね。 真紀:うんうん、部屋帰ったら・・・ 美幸::飲みましょうか! 0:間 美幸:カンパーイ!(同時) 真紀:カンパーイ!(同時) 美幸:(ビールを飲む)ぷはぁ!生き返る! 真紀:今日何回聞いたかそのセリフ(笑) 美幸:私は何度でも蘇るのさ! 真紀:もう酔ったの? 美幸:ぜーんぜん? 真紀:だよね(笑) 真紀:今日一日でさ、こんなに楽しいって思えると思わなかった。 美幸:まぁ・・・失意の底だったもんね。 真紀:そういえばさ。 美幸:ん? 真紀:美幸って、何で空港に居たの? 美幸:あー、それ聞いちゃう? 真紀:うん、旅行出れるってことは出国ではないよね? 美幸:うん、私も実は帰ってきたとこなの。 真紀:そうだったんだ!何してたの? 美幸:・・・聞く? 真紀:気になるじゃん(笑) 美幸:・・・よし、じゃあ、今からこの旅の約束を1回だけ破るね? 真紀:・・・え? 美幸:実は私も、新婚旅行行ってたんだ。 真紀:美幸も!? 美幸:そう、相手を置いて帰って来ちゃった? 真紀:そんなことある!? 美幸:私が聞きたいよ(笑)真紀が受けた所業にも驚いたけど、同じ境遇なんて・・・って。 真紀:美幸は・・・何されたの? 美幸:私は、結婚して結婚式までは順調だったの。周りからも祝福されてたの。 真紀:そうなんだ。 美幸:で、新婚旅行当日になって空港に行ってみたら、彼の両親が居てさぁ 真紀:え・・・ 美幸:お二人もご旅行ですか?って聞いたら「何いってんの、アナタたちの新婚旅行でしょ?」って 真紀:へ? 美幸:ぽかーんとしてたら、「新婚旅行はあなたがウチの嫁に相応しいか確認するための旅行でしょ」って 真紀:待って待って、理解が追いつかない。 美幸:うん、そう思う。で、飛行機の席とかも何故か私、夫のお母さんの隣で 真紀:なんで!? 美幸:ウチの家訓とか、嫁としての心得を叩き込むからだってさ。 真紀:うわぁ・・ヤバイ。 美幸:帰国の飛行機以外、旅行中はずっと母親が隣。 真紀:え、それって新婚旅行じゃなくない? 美幸:だよね、教育旅行っていう方が正しいかも。 真紀:ねぇ、聞き逃しだったら嬉しいんだけど。帰国の飛行機「以外」? 美幸:残念、聞き逃しじゃなくてちゃんと聞いてるね。そう、帰国の飛行機以外 真紀:・・・部屋も? 美幸:そうだよ。 真紀:夢であってほしい。 美幸:何度も祈ったよね。 真紀:地獄過ぎない? 美幸:しかもさ、行き先オーストリアだったんだよね。 真紀:ヨーロッパかぁ。 美幸:私さ、オーストラリア行く準備してたの。 真紀:へ?何で? 美幸:だって、新婚旅行はオーストラリアが良いねって話してて、夫も了承してたから。 真紀:・・・まさか。 美幸:そう、サプライズだって。両親が行きたいから変えたってさ。 真紀:・・・もう新婚旅行じゃなくて家族旅行じゃんそれ。 美幸:そうだよ。新婚なんて無かった。 真紀:・・・後さ、季節真逆じゃない? 美幸:流石博識だね、そう。寒さで死にかけた。 真紀:鬼ですら黙るぐらいの恐怖。 美幸:で、不満全部爆発させたら、記入済みの離婚届突きつけられて「逆らうなら離婚だぞ」って言われた。 美幸:奪って速攻空港まで行ったよ。 真紀:そこで行動力あるの凄いなぁ・・・ 美幸:全部音声も録ってあるから、何があっても勝てる。 真紀:大変だったね・・・ 美幸:まぁ、今は清々しい気持ちだけどね。 真紀:それなら良かった。 美幸:はい!これで私の話は終わりっ! 真紀:うん。何かさ、それぞれの旅行よりも楽しくない? 美幸:楽しい!この上ないくらい楽しい。 真紀:なんか、終わって欲しくないな。 美幸:明日も続くよ、きっと。 真紀:・・・ねえ、美幸。 美幸:何? 真紀:こんな事言うのもアレなんだけどさ。 美幸:何改まって。 真紀:好きだよ。 美幸:え・・・? 真紀:好き。 美幸:真紀・・・ 真紀:・・・ごめんね、急に。頭おかしくなっちゃったかな。 真紀:ひどい目に遭ってるのにさ、絶対辛いはずだし、何の音沙汰もよこさなかった私にこんなに優しくしてくれる。 美幸:それは・・・ 真紀:離婚した直後だからさ、心の隙間が出来てるのもあるかもしれないけどさ。 真紀:それでも今の私は、美幸が側に居てほしい。勘違いでも良いし。叶わなくても良い。 美幸:違うよ。 真紀:え? 美幸:勘違いなんかじゃないよ。私も、真紀が好き。 美幸:空港でさ、私もこれからのことに絶望しかけてたの。 美幸:そんな中で、真紀の姿を見つけて。凄く安心したの。砂漠で見つけたオアシスかと思った。 真紀:そんな大げさな。 美幸:しかもさ、長い事離れ離れだったのに、私の好みとか覚えててくれたじゃん? 美幸:完全にスパダリを感じちゃった。 真紀:大げさだなぁ。 美幸:大げさなんかじゃないよ。大好き。 真紀:・・・ありがと。 美幸:さて、湿っぽくなっちゃったからもう一回飲み直そ! 真紀:そうだね! 美幸:せーのっ。 真紀:カンパーイッ!(同時) 美幸:カンパーイッ!(同時)