台本概要

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タイトル インディゴ=ノート #01
作者名 蒼山熾音  (@Shinon_Aoyama)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 【内容説明】
時は現代、少しだけ違う世界。

信託と称し、古代文明『アライア・イシェド』の末裔ラ=ヴィオラが諸手で抱えていた、20冊を超える古文書、その全てが群青に染まった預言書、神からの啓示が詰められた福音書。

インディゴ=ノート。

その裏には近代イタリアが画策した怨嗟の鎖が蠢いていた。

2編の古文書が世界をひっくり返す。
その中に、抗おうとする5人の賊がいた。

【注意事項】
アレンジ・アドリブありあり(ただし他の演者さんと連携が取れなくなるような無茶ブリは禁止)
性別変更あり(オカマちゃん可)

本編は変更しませんが、適宜説明については変更していきます。
また、キャライメージをそれぞれに書いておりますが、こちらはガン無視していただいて結構です。
と言いますのも自分がイメージ持って書きやすいように記載しているものですので、言ってしまえば作者のメモです。
したがっておひとりおひとり自己主張多めでバチバチキャラクターを作り替えていただき、ご自身の感じたイメージをぶつけていただきたいです。よろしくお願い致します。

蓼原(たではら)
34歳。無精髭標準装備のおっさん。基本気だるげ。イメージはPSYCHO-PASSの狡噛慎也やFateの衛宮切嗣、紺

蓮池(はすいけ)
24歳。好青年イケメン。デキるビジネスマン風。イメージはPSYCHO-PASSのミハイルやエヴァンゲリオンの加持、青

桐谷(きりたに)
21歳。正統派ツンデレ。シナリオによってはツンツンツンくらい。イメージはエヴァンゲリオンのアスカ、赤

柳沼(やぎぬま)
29歳。クールビューティー。大人のオンナで色気たっぷり。イメージはPSYCHO-PASSの唐之森やSAOの(冷静な時の)シノン、紫

桜庭(さくらば)
33歳。闇深い狼。でも悪ではなく単に闇なだけでちゃんといい人。イメージはエヴァンゲリオンのカヲルや(セリフ回しだけは)呪術廻戦の五条悟、モノ

樺倉(かばくら)
(回想登場キャラクター)3年前に20歳。陰キャ、非モテだけど顔は悪くないし数学が得意でパソコンをゼロから作れる。イメージはカノ借りの木ノ下和也、緑

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
蓼原 34 34歳。無精髭標準装備のおっさん。基本気だるげ。イメージはPSYCHO-PASSの狡噛慎也やFateの衛宮切嗣、紺
蓮池 29 24歳。好青年イケメン。デキるビジネスマン風。イメージはPSYCHO-PASSのミハイルやエヴァンゲリオンの加持、青
桐谷 21 21歳。正統派ツンデレ。シナリオによってはツンツンツンくらい。イメージはエヴァンゲリオンのアスカ、赤
柳沼 8 29歳。クールビューティー。大人のオンナで色気たっぷり。イメージはPSYCHO-PASSの唐之森やSAOの(冷静な時の)シノン、紫
桜庭 30 33歳。闇深い狼。でも悪ではなく単に闇なだけでちゃんといい人。イメージはエヴァンゲリオンのカヲルや(セリフ回しだけは)呪術廻戦の五条悟、モノ
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:(とあるコーヒーショップ) 0:(蓼原、コーヒーを傾けている) 0:(蓮池、近づく)  : 蓮池:隣、構いませんか?  : 蓼原:どうぞ  : 蓮池:おすすめを一杯 蓮池:ミルクは要りません、砂糖だけで 蓮池:ん、お願いします  : 0:(間)  : 蓮池:土竜(もぐら)は夜しか動かないって本当でしょうか 蓮池:どう思われますか?蓼原さん 蓮池:太陽を知らぬ土竜に、話がございまして 蓮池:お付き合い願えませんか  : 蓼原:お前、何故俺の名を  : 蓮池:実に有名ですから 蓮池:ただし、貴方は名が多すぎる 蓮池:数ヶ月かけて貴方の行きつけの店と本名を炙り出しましたよ 蓮池:自分は、蓮池と申します 蓮池:以後お見知り置き願います  : 蓼原:(何だ、こいつは) 蓼原:(気色が悪い) 蓼原:(俺の本名を調べ上げたとして、何の得がある) 蓼原:(交渉が有利に進むとでも考えたか)  : 蓮池:さて、何からお話いたしましょうか 蓮池:まあ貴方に頼みたい諸々はサブリナから確認していただくとして、私からはこの場に私がいる理由でもお話差し上げましょう  : 0:(間)  : 蓮池:『インディゴ』、ご存知でしょう?  : 蓼原:ファッションブランドでも作る気か?土竜に服は必要ない  : 蓮池:(鼻で笑う)  : 蓼原:何がおかしい  : 蓮池:貴方もお人が悪い  : 蓮池:『インディゴ=ノート』ですよ  : 蓼原:何が狙いだ  : 蓮池:『聖滅の刻(せいめつのとき)』、『刻限のトリオンフォ』、近代イタリアの謀(はかりごと)が動き始めています 蓮池:この現代が数百年かけて手にした平穏を、今更になって壊しにかかっているのです  : 蓼原:(やはりか、さては)  : 蓮池:勘付いてはいらっしゃるのでは  : 蓼原:インディゴ=ノート…  : 蓼原:現代の世界に深く根付き、カトリック総本山、サン=ピエトロ大聖堂に所蔵される古代インドの遺物 蓼原:現代に降りかかった数々の災厄(さいやく)を見事に言い当てたこの預言書の内容は基本的に非公開 蓼原:気紛れのように数年に一度神託(しんたく)を受けた教皇がのたまう、そんなところだな  : 蓮池:おかしいとは思いませんか?現在写本として収められているとされてはいますが、その全てが群青(ぐんじょう)にどっぷりと染め上げられている  : 蓮池:色になぞらえて呼び名が定着してはいますが、延々と研究が進む中一向に成立過程についての発表がなされない 蓮池:サン=ピエトロの奥深くに所蔵されているとは言えど、不可解な点が多すぎます  : 蓼原:もういい 蓼原:義賊(ぎぞく)に堕ちろと?  : 蓮池:面白い事をおっしゃる 蓮池:そんな甘ったるい世迷言(よまいごと)では梃子(テコ)でも動かない方でしょう、貴方は 蓮池:現在の世界情勢、国家という単位で見た時の勢力図の中で、文字通り自由な行動が可能なのは貴方のほかをおいてない  : 蓼原:(反応する)  : 蓮池:加えてインディゴとマジェンダ、この二種の文書に触れる事が出来る人材は、貴方と桐谷の他ごく少数だ 蓮池:貴方が、必要です  : 蓼原:面白い 蓼原:お前、通り向かいのバーが見えるか?  : 蓮池:ええ  : 蓼原:その手前のベンチに明後日の午後2時だ  : 蓮池:かしこまりました  : 蓼原:退屈しのぎにはなるんだろうな  : 蓮池:存分に  :  :〜転換〜  : 蓮池:お待ちしていました  : 蓼原:女を口説く訳でもあるまいし、そんな綺麗な声で喋る必要はないだろう  : 蓮池:女性ではありませんが、お客さまに対面するのです 蓮池:心地よくくつろいでいただく為のウェルカムトークですよ 蓮池:それに、そんなに警戒されていてはせっかくの(被る/再会が台無しです)  : 桐谷:(被せて)いらっしゃいませ〜  : 蓼原:久しぶりだな、桐谷 蓼原:最後に会ったのはヘルシンキか  : 桐谷:残念、去年のベルリンが最後よ 桐谷:期待させておいてビール飲ませてくれなかったことまでしっかり覚えてるわよ、あたしだけみたいだけど  : 蓼原:相変わらず覚えがいいな、酒が絡むと  : 桐谷:失礼ね、使えるものを有効活用することに意義を見出してると言ってほしいわ  : 蓼原:それを金ヅル扱いしてる当人に向かって言うやつがあるか  : 桐谷:あら、いいじゃない 桐谷:それなりに報酬分は助けてあげてるはずよ  : 蓼原:お互い様だろうが、サンクトペテルブルクはマフィア、メルボルンはチンピラ、カイロじゃ本格的にA級犯罪者として国外手配、被害としちゃよほど俺のほうが重い  : 桐谷:そりゃこんな美女の後始末をさせてあげてるんだし、そのくらいは覚悟してよね?  : 蓼原:美女ねえ  : 桐谷:あら?そしたら美少女かしら  : 柳沼:やめてちょうだい、アンタのその無駄な自信吐き気がするわ  : 蓼原:お、珍しい奴だな  : 柳沼:やっほ、タデちゃんお久しぶり 柳沼:まだ腕2本とも残ってるじゃない、やるぅー  : 蓼原:おかげさまでな 蓼原:これでお前のアルマンドは俺のものだな  : 桐谷:ちょっと! 桐谷:聞いてないわよ柳沼がいるなんて!  : 蓮池:ああ、申し訳ありません 蓮池:柳沼さんは今回サポートとして主に解析面を担当してもらおうかとお声がけしてまして、本日急遽香港から戻っていただきました  : 柳沼:脳筋タデちゃんと単細胞の桐谷じゃパスワードが必要になるたびにショットガンでぶち抜いちゃうのがオチ、って言われちゃうと…頷くしかないのよねぇ  : 蓼原:待て、俺だってそのくらいは(被る/できるさ)  : 桐谷:(被せて)あ、でもそうよね、リオじゃベニヤのドアもぶっ放してたし  : 蓼原:それはそのほうが早いからだ  : 柳沼:ほら、脳筋  : 桐谷:おまけに変態エロジジイ  : 蓮池:酒癖も相当ですしね  : 蓼原:蓮池、貴様(被る/は何を知ってる)  : 桜庭:お三方、アツいのは結構だけどそういうのは風呂の薪が切れた時だけにしてくれないかい  : 0:(場が張り詰める)  : 蓮池:桜庭さん、早かったですね  : 桜庭:そりゃあそうだろう 桜庭:コイツらが集められるほどの大仕事、そうそう簡単に来るもんじゃない 桜庭:血を見た奴だけが血の味を知るこの日陰じゃあ、こんな楽しみほっとけないだろう? 桜庭:蓮池、悪いけどボウモアを  : 桐谷:何しにきたの  : 桜庭:何って、仕事だよ  : 桐谷:アンタが出る幕じゃないでしょ、あたしらとは世界が違う  : 桜庭:一緒だろう? 桜庭:人のものを奪い、雇い主に引き渡す 桜庭:引き渡す代わりに報酬を得る 桜庭:得た報酬で自らを満たす 桜庭:あるものは食を、あるものは色を、 桜庭:あるものは、そう、空白をね  : 蓼原:(銃を抜く)  : 0:(間)  : 桜庭:変わらないな、タデ  : 蓼原:はぐれ者が何を語る気だ  : 桜庭:ああ、その目 桜庭:その光は好きだよ  : 蓼原:調子に乗るな  : 桜庭:恐ろしいねえ、せっかくホノルルのメンツが揃ったっていうのに  : 柳沼:あの時、あなたは 柳沼:逃げたのよ  : 桜庭:酷いじゃないか柳沼 桜庭:救ったのが僕だろう  : 柳沼:馬鹿言わないで、あの時あなたが起動させた空母のスクランブル、そのせいであの内乱は激化した  : 桜庭:そのおかげで、全てが動いた 桜庭:重い腰にきっかけを与えた、違うかな  : 0:(沈黙) 桜庭:(酒をあおる)  : 桜庭:…さて、本題だ 桜庭:蓮池、始めようか  : 蓮池:はい  : 桐谷:待って、まだ話は終わってない 桐谷:樺倉(かばくら)、もう3年よ  : 桜庭:ああ、そうだね  : 桐谷:顔見せてあげたの  : 桜庭:いや、行ってない  : 桐谷:行けないんでしょ 桐谷:アンタがしたこと考えたらあたしは来てほしくないけど  : 桜庭:何とでも言ってくれ 桜庭:確かに僕が彼を窮地に追いやったことは事実だ 桜庭:しかし彼はその中でも活路を見た 桜庭:そして切り抜けてみせた  : 桐谷:その結果がアイツを(被る/あんな酷い目に)  : 桜庭:(被せて)結構、それが君の答えだね 桜庭:桐谷、君は「それ」が僕だと思ってるんだね  : 桐谷:そうじゃない! 桐谷:だって、そう、じゃない! 桐谷:アンタの全てが彼を少しずつ海底へ引きずり込んで、少しずつ首を絞めていって、鎖をきつく巻きつけていって! 桐谷:それでもアンタは、樺倉をそんな目で見てるのよ!  : 桜庭:桐谷  : 桐谷:(腕を固められ呻く)  : 桜庭:甘いね  : 桐谷:な、にを! 桐谷:(桜庭に組み伏せられさらにうめく)  : 桜庭:浅いし、甘い 桜庭:青くて、あまりに純粋だ  : 桐谷:は、なせぇ…  : 桜庭:僕は君に、降りることを勧めるよ  : 桜庭:(桐谷を解放する)  : 桐谷:っ…  : 桜庭:そんな荷物、僕は御免だよ  : 蓼原:分かった、俺が引き受ける  : 桜庭:本当に変わらないな、タデ  : 蓼原:黙れ  : 0:(間)  : 蓮池:さて、本題です 蓮池:『インディゴ=ノート』、こちらについてはご承知おきかと思いますが  : 蓮池:(赤い表紙の本の写真を見せる)  : 蓮池:こちらについては蓼原さんがもっとも詳しいでしょう 蓮池:『マジェンダ=ノート』、です 蓮池:こちらは19世紀に遡る近代イタリア王国の遠大なる世界制覇への道のりを記した言わば計画書ですね 蓮池:全世界が平和のためにとサン=ピエトロを崇め、カトリックによる全ての統治が完成することを最終目的としてその箱庭を作る、といったものになってます  : 柳沼:今回のお仕事はその回収?  : 桜庭:いや、仮に奪ったとしても既に『刻限』は迫っている 桜庭:準備段階に入ったとしていいはずだ 桜庭:つまりはシナリオが手元にないとしても、既に始まっている凱歌(がいか)は誰にも止めることができない 桜庭:止めるなら楽器か(被る/奏者かを)  : 蓼原:(被せて)指揮者を、落とすしかない  : 蓮池:はい、それで桜庭さんに来ていただいております 蓮池:サン=ピエトロを狙い撃つにはどうすべきか、クライアントからはやり方の指示はありません  : 桜庭:そのために用意すべき駒はこれで揃った、始めようか  : 柳沼:それにしても解せないわね、桜庭 柳沼:あなたはこういう面倒を引き受けるタマじゃないでしょう  : 桜庭:本来ならね 桜庭:でも今回は訳が違うよ 桜庭:君たちへの依頼人は、僕だからね  : 桐谷:うそでしょ、何でアンタが!  : 桜庭:本当だよ 桜庭:僕のクライアントからはやり方を問わず、単に『聖滅の刻』を潰せという指示と報酬の受け取り方法だけを渡された 桜庭:だから、最も信頼できるホノルルの思い出を頼りに蓮池を動かしたんだ  : 0:(桜庭、報酬の記載された指示書を掲げる)  : 桜庭:…一国のポケットマネーが空になる大仕事だ 桜庭:傾国の美姫(けいこくのびき)も集まってくれたことだし、気合い入れて行こうじゃないか  : 蓼原:ほら、やっぱり義賊じゃないか  : 蓮池:いいえ、カトリックからすればただの異教の猿の茶番ですよ  : 桜庭:タデ  : 0:(間)  : 桜庭:誓いは、また今度  : 蓼原:…っ、ぬかせ  : 桜庭:まさかレタスに丸めて食べてないよね  : 蓼原:食ってたまるか、俺はハイエナじゃない 蓼原:地を這いひた走る、日の当たらない土竜だ  : 0:(続)

0:(とあるコーヒーショップ) 0:(蓼原、コーヒーを傾けている) 0:(蓮池、近づく)  : 蓮池:隣、構いませんか?  : 蓼原:どうぞ  : 蓮池:おすすめを一杯 蓮池:ミルクは要りません、砂糖だけで 蓮池:ん、お願いします  : 0:(間)  : 蓮池:土竜(もぐら)は夜しか動かないって本当でしょうか 蓮池:どう思われますか?蓼原さん 蓮池:太陽を知らぬ土竜に、話がございまして 蓮池:お付き合い願えませんか  : 蓼原:お前、何故俺の名を  : 蓮池:実に有名ですから 蓮池:ただし、貴方は名が多すぎる 蓮池:数ヶ月かけて貴方の行きつけの店と本名を炙り出しましたよ 蓮池:自分は、蓮池と申します 蓮池:以後お見知り置き願います  : 蓼原:(何だ、こいつは) 蓼原:(気色が悪い) 蓼原:(俺の本名を調べ上げたとして、何の得がある) 蓼原:(交渉が有利に進むとでも考えたか)  : 蓮池:さて、何からお話いたしましょうか 蓮池:まあ貴方に頼みたい諸々はサブリナから確認していただくとして、私からはこの場に私がいる理由でもお話差し上げましょう  : 0:(間)  : 蓮池:『インディゴ』、ご存知でしょう?  : 蓼原:ファッションブランドでも作る気か?土竜に服は必要ない  : 蓮池:(鼻で笑う)  : 蓼原:何がおかしい  : 蓮池:貴方もお人が悪い  : 蓮池:『インディゴ=ノート』ですよ  : 蓼原:何が狙いだ  : 蓮池:『聖滅の刻(せいめつのとき)』、『刻限のトリオンフォ』、近代イタリアの謀(はかりごと)が動き始めています 蓮池:この現代が数百年かけて手にした平穏を、今更になって壊しにかかっているのです  : 蓼原:(やはりか、さては)  : 蓮池:勘付いてはいらっしゃるのでは  : 蓼原:インディゴ=ノート…  : 蓼原:現代の世界に深く根付き、カトリック総本山、サン=ピエトロ大聖堂に所蔵される古代インドの遺物 蓼原:現代に降りかかった数々の災厄(さいやく)を見事に言い当てたこの預言書の内容は基本的に非公開 蓼原:気紛れのように数年に一度神託(しんたく)を受けた教皇がのたまう、そんなところだな  : 蓮池:おかしいとは思いませんか?現在写本として収められているとされてはいますが、その全てが群青(ぐんじょう)にどっぷりと染め上げられている  : 蓮池:色になぞらえて呼び名が定着してはいますが、延々と研究が進む中一向に成立過程についての発表がなされない 蓮池:サン=ピエトロの奥深くに所蔵されているとは言えど、不可解な点が多すぎます  : 蓼原:もういい 蓼原:義賊(ぎぞく)に堕ちろと?  : 蓮池:面白い事をおっしゃる 蓮池:そんな甘ったるい世迷言(よまいごと)では梃子(テコ)でも動かない方でしょう、貴方は 蓮池:現在の世界情勢、国家という単位で見た時の勢力図の中で、文字通り自由な行動が可能なのは貴方のほかをおいてない  : 蓼原:(反応する)  : 蓮池:加えてインディゴとマジェンダ、この二種の文書に触れる事が出来る人材は、貴方と桐谷の他ごく少数だ 蓮池:貴方が、必要です  : 蓼原:面白い 蓼原:お前、通り向かいのバーが見えるか?  : 蓮池:ええ  : 蓼原:その手前のベンチに明後日の午後2時だ  : 蓮池:かしこまりました  : 蓼原:退屈しのぎにはなるんだろうな  : 蓮池:存分に  :  :〜転換〜  : 蓮池:お待ちしていました  : 蓼原:女を口説く訳でもあるまいし、そんな綺麗な声で喋る必要はないだろう  : 蓮池:女性ではありませんが、お客さまに対面するのです 蓮池:心地よくくつろいでいただく為のウェルカムトークですよ 蓮池:それに、そんなに警戒されていてはせっかくの(被る/再会が台無しです)  : 桐谷:(被せて)いらっしゃいませ〜  : 蓼原:久しぶりだな、桐谷 蓼原:最後に会ったのはヘルシンキか  : 桐谷:残念、去年のベルリンが最後よ 桐谷:期待させておいてビール飲ませてくれなかったことまでしっかり覚えてるわよ、あたしだけみたいだけど  : 蓼原:相変わらず覚えがいいな、酒が絡むと  : 桐谷:失礼ね、使えるものを有効活用することに意義を見出してると言ってほしいわ  : 蓼原:それを金ヅル扱いしてる当人に向かって言うやつがあるか  : 桐谷:あら、いいじゃない 桐谷:それなりに報酬分は助けてあげてるはずよ  : 蓼原:お互い様だろうが、サンクトペテルブルクはマフィア、メルボルンはチンピラ、カイロじゃ本格的にA級犯罪者として国外手配、被害としちゃよほど俺のほうが重い  : 桐谷:そりゃこんな美女の後始末をさせてあげてるんだし、そのくらいは覚悟してよね?  : 蓼原:美女ねえ  : 桐谷:あら?そしたら美少女かしら  : 柳沼:やめてちょうだい、アンタのその無駄な自信吐き気がするわ  : 蓼原:お、珍しい奴だな  : 柳沼:やっほ、タデちゃんお久しぶり 柳沼:まだ腕2本とも残ってるじゃない、やるぅー  : 蓼原:おかげさまでな 蓼原:これでお前のアルマンドは俺のものだな  : 桐谷:ちょっと! 桐谷:聞いてないわよ柳沼がいるなんて!  : 蓮池:ああ、申し訳ありません 蓮池:柳沼さんは今回サポートとして主に解析面を担当してもらおうかとお声がけしてまして、本日急遽香港から戻っていただきました  : 柳沼:脳筋タデちゃんと単細胞の桐谷じゃパスワードが必要になるたびにショットガンでぶち抜いちゃうのがオチ、って言われちゃうと…頷くしかないのよねぇ  : 蓼原:待て、俺だってそのくらいは(被る/できるさ)  : 桐谷:(被せて)あ、でもそうよね、リオじゃベニヤのドアもぶっ放してたし  : 蓼原:それはそのほうが早いからだ  : 柳沼:ほら、脳筋  : 桐谷:おまけに変態エロジジイ  : 蓮池:酒癖も相当ですしね  : 蓼原:蓮池、貴様(被る/は何を知ってる)  : 桜庭:お三方、アツいのは結構だけどそういうのは風呂の薪が切れた時だけにしてくれないかい  : 0:(場が張り詰める)  : 蓮池:桜庭さん、早かったですね  : 桜庭:そりゃあそうだろう 桜庭:コイツらが集められるほどの大仕事、そうそう簡単に来るもんじゃない 桜庭:血を見た奴だけが血の味を知るこの日陰じゃあ、こんな楽しみほっとけないだろう? 桜庭:蓮池、悪いけどボウモアを  : 桐谷:何しにきたの  : 桜庭:何って、仕事だよ  : 桐谷:アンタが出る幕じゃないでしょ、あたしらとは世界が違う  : 桜庭:一緒だろう? 桜庭:人のものを奪い、雇い主に引き渡す 桜庭:引き渡す代わりに報酬を得る 桜庭:得た報酬で自らを満たす 桜庭:あるものは食を、あるものは色を、 桜庭:あるものは、そう、空白をね  : 蓼原:(銃を抜く)  : 0:(間)  : 桜庭:変わらないな、タデ  : 蓼原:はぐれ者が何を語る気だ  : 桜庭:ああ、その目 桜庭:その光は好きだよ  : 蓼原:調子に乗るな  : 桜庭:恐ろしいねえ、せっかくホノルルのメンツが揃ったっていうのに  : 柳沼:あの時、あなたは 柳沼:逃げたのよ  : 桜庭:酷いじゃないか柳沼 桜庭:救ったのが僕だろう  : 柳沼:馬鹿言わないで、あの時あなたが起動させた空母のスクランブル、そのせいであの内乱は激化した  : 桜庭:そのおかげで、全てが動いた 桜庭:重い腰にきっかけを与えた、違うかな  : 0:(沈黙) 桜庭:(酒をあおる)  : 桜庭:…さて、本題だ 桜庭:蓮池、始めようか  : 蓮池:はい  : 桐谷:待って、まだ話は終わってない 桐谷:樺倉(かばくら)、もう3年よ  : 桜庭:ああ、そうだね  : 桐谷:顔見せてあげたの  : 桜庭:いや、行ってない  : 桐谷:行けないんでしょ 桐谷:アンタがしたこと考えたらあたしは来てほしくないけど  : 桜庭:何とでも言ってくれ 桜庭:確かに僕が彼を窮地に追いやったことは事実だ 桜庭:しかし彼はその中でも活路を見た 桜庭:そして切り抜けてみせた  : 桐谷:その結果がアイツを(被る/あんな酷い目に)  : 桜庭:(被せて)結構、それが君の答えだね 桜庭:桐谷、君は「それ」が僕だと思ってるんだね  : 桐谷:そうじゃない! 桐谷:だって、そう、じゃない! 桐谷:アンタの全てが彼を少しずつ海底へ引きずり込んで、少しずつ首を絞めていって、鎖をきつく巻きつけていって! 桐谷:それでもアンタは、樺倉をそんな目で見てるのよ!  : 桜庭:桐谷  : 桐谷:(腕を固められ呻く)  : 桜庭:甘いね  : 桐谷:な、にを! 桐谷:(桜庭に組み伏せられさらにうめく)  : 桜庭:浅いし、甘い 桜庭:青くて、あまりに純粋だ  : 桐谷:は、なせぇ…  : 桜庭:僕は君に、降りることを勧めるよ  : 桜庭:(桐谷を解放する)  : 桐谷:っ…  : 桜庭:そんな荷物、僕は御免だよ  : 蓼原:分かった、俺が引き受ける  : 桜庭:本当に変わらないな、タデ  : 蓼原:黙れ  : 0:(間)  : 蓮池:さて、本題です 蓮池:『インディゴ=ノート』、こちらについてはご承知おきかと思いますが  : 蓮池:(赤い表紙の本の写真を見せる)  : 蓮池:こちらについては蓼原さんがもっとも詳しいでしょう 蓮池:『マジェンダ=ノート』、です 蓮池:こちらは19世紀に遡る近代イタリア王国の遠大なる世界制覇への道のりを記した言わば計画書ですね 蓮池:全世界が平和のためにとサン=ピエトロを崇め、カトリックによる全ての統治が完成することを最終目的としてその箱庭を作る、といったものになってます  : 柳沼:今回のお仕事はその回収?  : 桜庭:いや、仮に奪ったとしても既に『刻限』は迫っている 桜庭:準備段階に入ったとしていいはずだ 桜庭:つまりはシナリオが手元にないとしても、既に始まっている凱歌(がいか)は誰にも止めることができない 桜庭:止めるなら楽器か(被る/奏者かを)  : 蓼原:(被せて)指揮者を、落とすしかない  : 蓮池:はい、それで桜庭さんに来ていただいております 蓮池:サン=ピエトロを狙い撃つにはどうすべきか、クライアントからはやり方の指示はありません  : 桜庭:そのために用意すべき駒はこれで揃った、始めようか  : 柳沼:それにしても解せないわね、桜庭 柳沼:あなたはこういう面倒を引き受けるタマじゃないでしょう  : 桜庭:本来ならね 桜庭:でも今回は訳が違うよ 桜庭:君たちへの依頼人は、僕だからね  : 桐谷:うそでしょ、何でアンタが!  : 桜庭:本当だよ 桜庭:僕のクライアントからはやり方を問わず、単に『聖滅の刻』を潰せという指示と報酬の受け取り方法だけを渡された 桜庭:だから、最も信頼できるホノルルの思い出を頼りに蓮池を動かしたんだ  : 0:(桜庭、報酬の記載された指示書を掲げる)  : 桜庭:…一国のポケットマネーが空になる大仕事だ 桜庭:傾国の美姫(けいこくのびき)も集まってくれたことだし、気合い入れて行こうじゃないか  : 蓼原:ほら、やっぱり義賊じゃないか  : 蓮池:いいえ、カトリックからすればただの異教の猿の茶番ですよ  : 桜庭:タデ  : 0:(間)  : 桜庭:誓いは、また今度  : 蓼原:…っ、ぬかせ  : 桜庭:まさかレタスに丸めて食べてないよね  : 蓼原:食ってたまるか、俺はハイエナじゃない 蓼原:地を這いひた走る、日の当たらない土竜だ  : 0:(続)