台本概要
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タイトル | インディゴ=ノート #04 |
---|---|
作者名 | 蒼山熾音 (@Shinon_Aoyama) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 5人用台本(男3、女2) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
【内容説明】 時は現代、少しだけ違う世界。 信託と称し、古代文明『アライア・イシェド』の末裔ラ=ヴィオラが諸手で抱えていた、20冊を超える古文書、その全てが群青に染まった預言書、神からの啓示が詰められた福音書。 インディゴ=ノート。 その裏には近代イタリアが画策した怨嗟の鎖が蠢いていた。 2編の古文書が世界をひっくり返す。 その中に、抗おうとする5人の賊がいた。 【注意事項】 アレンジ・アドリブありあり(ただし他の演者さんと連携が取れなくなるような無茶ブリは禁止) 性別変更あり(オカマちゃん可) 本編は変更しませんが、適宜説明については変更していきます。 また、キャライメージをそれぞれに書いておりますが、こちらはガン無視していただいて結構です。 と言いますのも自分がイメージ持って書きやすいように記載しているものですので、言ってしまえば作者のメモです。 したがっておひとりおひとり自己主張多めでバチバチキャラクターを作り替えていただき、ご自身の感じたイメージをぶつけていただきたいです。よろしくお願い致します。 蓼原(たではら) 34歳。無精髭標準装備のおっさん。基本気だるげ。イメージはPSYCHO-PASSの狡噛慎也やFateの衛宮切嗣、紺 蓮池(はすいけ) 24歳。好青年イケメン。デキるビジネスマン風。イメージはPSYCHO-PASSのミハイルやエヴァンゲリオンの加持、青 桐谷(きりたに) 21歳。正統派ツンデレ。シナリオによってはツンツンツンくらい。イメージはエヴァンゲリオンのアスカ、赤 柳沼(やぎぬま) 29歳。クールビューティー。大人のオンナで色気たっぷり。イメージはPSYCHO-PASSの唐之森やSAOの(冷静な時の)シノン、紫 桜庭(さくらば) 33歳。闇深い狼。でも悪ではなく単に闇なだけでちゃんといい人。イメージはエヴァンゲリオンのカヲルや(セリフ回しだけは)呪術廻戦の五条悟、モノ 樺倉(かばくら) (回想登場キャラクター)3年前に20歳。陰キャ、非モテだけど顔は悪くないし数学が得意でパソコンをゼロから作れる。イメージはカノ借りの木ノ下和也、緑 30 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
蓼原 | 男 | 23 | 34歳。無精髭標準装備のおっさん。基本気だるげ。イメージはPSYCHO-PASSの狡噛慎也やFateの衛宮切嗣、紺 |
樺倉 | 男 | 21 | (回想登場キャラクター)3年前に20歳。陰キャ、非モテだけど顔は悪くないし数学が得意でパソコンをゼロから作れる。イメージはカノ借りの木ノ下和也、緑 |
桐谷 | 女 | 31 | 21歳。正統派ツンデレ。シナリオによってはツンツンツンくらい。イメージはエヴァンゲリオンのアスカ、赤 |
柳沼 | 女 | 22 | 29歳。クールビューティー。大人のオンナで色気たっぷり。イメージはPSYCHO-PASSの唐之森やSAOの(冷静な時の)シノン、紫 |
桜庭 | 男 | 20 | 33歳。闇深い狼。でも悪ではなく単に闇なだけでちゃんといい人。イメージはエヴァンゲリオンのカヲルや(セリフ回しだけは)呪術廻戦の五条悟、モノ |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
演者さんへ…:(マラソンしていただいている場合は、今回蓮池が登場しませんので蓮池役の演者さんが新メンバーの兼ね役をお願い致します)
:
0:(一室)
:
0:(蓼原、捕まっており生傷がたくさんつけられている)
:
蓼原:効くな、意外と
蓼原:もう若くないってことだな、俺は確かにおっさんになっちまったよ、樺倉(かばくら)
蓼原:(静かに息を吐く)
:
0:(回想に入る)
0:(3年前、ホノルル)
0:(蓼原、樺倉、桐谷、柳沼がパブのテーブルで談笑している)
:
:*
:
桐谷:それにしても、ハワイに来てまで仕事って面白くないわね
:
樺倉:言わないでよ、僕だってそこんとこ何とか割り切って飛行機に乗ったんだよ
:
桐谷:それはそうよ、でもね
桐谷:やっぱりハワイに来てるんだからイケメンの一人や二人、お近づきになりたいじゃない
桐谷:ひと夏の燃え上がる恋、ロマンチックな夜景ときらびやかなシャンパン
桐谷:フライトを控えた二人が交わす湿った視線、思わず抱き寄せる互いの体
桐谷:再会を信じて重ねると息と唇、その全てを見下ろしてあざ笑う時間という壁
桐谷:その全てを楽しめるはずのこの南国の楽園を楽しめないのは悔しいに決まってるわ
:
蓼原:お前の熱い気持ちはよく分かったが
蓼原:もう30にもなれば熱い夏より涼しい部屋が恋しくてな
:
柳沼:もうタデちゃん、まだまだ男盛りなのに枯れちゃダメじゃない
柳沼:大人の魅力ってものを見せつけてくれないともったいないわよ
柳沼:せっかく若い女が二人もいるんだから席も目立つし
柳沼:この状況活かして男見せなさい、覚悟よ覚悟
:
蓼原:余計な体力遣うくらいなら仕事に専念する方が性(しょう)に合ってるんだ
蓼原:酒なら付き合うが女を探すつもりはない
:
樺倉:モテ男は黙って従っててください
樺倉:そういうのは女の子がたくさん寄ってくる人だけ許されるんです
樺倉:ダンディズムの塊みたいな蓼原さんじゃないと言えないセリフなんですから
樺倉:それでも僕の目の前でそんなこと言い続けるなら風穴空けますよ
:
桐谷:おー、やれやれ樺倉ー
桐谷:お酒を輝かせるショーにはぴったりよ
:
蓼原:お前がやれ酒だほれ酒だ大声でのたまうんじゃない
蓼原:ハワイ州法はお前を守ってくれないんだからな
:
桐谷:じゃ、タデさん守ってよ
桐谷:女の子のボディーガードは名誉ある役目なんだし
:
柳沼:まあこの場合じゃタデちゃんはドッグランを駆け回る羽目になりそうだけどね
:
桐谷:誰がバカ犬よ
:
柳沼:誰もバカとは言っていないわ
柳沼:多分デッドレースという名のショッピングに連れ回されるのがオチよどうせ
:
桐谷:免税ショッピングはマストでしょ?
:
樺倉:苦い思い出しか出てこないんだけど
:
桐谷:仕方ないじゃない、L.A.の品ぞろえがアタシの琴線に触れたのが悪いのよ
:
柳沼:まあ、それにしても年に半分も着る機会ないのによくそれだけ買い込むわよね
:
桐谷:そういうアンタはパーツばっかり、オタク丸出し
桐谷:金属とプラスチックの集合体をそんなに買い込んでどうするのよ、可愛くない
:
柳沼:あら、可愛くないとは失礼ね
柳沼:みんなそれぞれ個性があっていとおしいのよ
:
桐谷:どこがよ
桐谷:動けばどうでもいいじゃない
:
柳沼:そうなっちゃうわよね、素人は
:
蓼原:問題はそこじゃないからな
:
柳沼:そ、本来買い込んだ彼らをそのまま使うのはご法度(ごはっと)
柳沼:ジャンクパーツなんて所詮耐久度としては正規品の10分の1もないんだから
柳沼:そのまま組み込んだって安物買いの銭失いだし危険性が高すぎるわ
:
樺倉:僕も一回痛い目見ましたよ
:
桐谷:何なに、聞かせなさいよ
:
樺倉:なんで僕の失敗談を聞きたがるときの目が一番キラキラしてるんだよ
:
桐谷:いいからいいから
桐谷:早くしないとお尻の穴にバラを百本生けちゃうね
:
樺倉:まあいいんだけどさ
樺倉:それで、ジャンクパーツなんだけど
樺倉:僕が買ったやつは通信が傍受(ぼうじゅ)できる仕組みになってたらしいんだ
:
柳沼:ああ、なるほどね
柳沼:通信傍受なら分かるけど、操作は?
:
樺倉:できました、多分
樺倉:ただ本題はそこじゃなくて
:
蓼原:(カウンターへ注文する)マスター、バドワイザーをくれ
:
樺倉:どうやら、電源をデバイスから取るタイプのの発信機がついてたらしく
樺倉:アジトが割れてあやうくミンチにされるところでした
:
柳沼:あー、よくあるわね
柳沼:PCからアクセスしているデータを参照して有益な情報がありそうなデバイスだった場合にはデバイスの回収または操作及びデータ取得を行うって算段ね
:
樺倉:はい、それで居場所ばれちゃって襲撃を
:
蓼原:それにしてもよく助かったな
蓼原:それなりの手勢だったんだろ
:
樺倉:はい、ですが桜庭さんがいたので
:
蓼原:ああ、納得だな
:
柳沼:あの戦闘狂が喜びそうなシチュエーションだこと
:
桐谷:言っても気に入ってるくせに
:
柳沼:そりゃあね、顔だけ見れば男前だもの
柳沼:抱かれるだけなら都合がいいわ
:
桐谷:現金な女ね、気持ち悪
:
柳沼:やだ、夜に金は取らないわよ
柳沼:サービス期待しちゃうもの
:
蓼原:酒が生臭くなるからやめてくれないか
:
柳沼:いやね、まるでアセトアルデヒドじゃない
:
桐谷:アンタの常套手段でしょうが
桐谷:ハニートラップなんて流行らないわよ今どき
:
樺倉:受けてみたいですよ、縁がなさ過ぎて
:
柳沼:受けるだけじゃなくてどうせならかけてみたらどう?
柳沼:やり方、教えてあげるから
:
樺倉:それなら僕より適任がいますよ
樺倉:ここにも、あなたのパートナーでも
:
柳沼:確かに
:
蓼原:巻き込むな、反吐が出る
:
:*
:
0:(回想終わり)
0:(桐谷、柳沼、通信中)
:
柳沼:お待たせ
柳沼:ようやく確認できたわ
:
桐谷:遅い、38秒遅れよ
:
柳沼:無茶言わないで
柳沼:ただでさえ最近サブリナがおかしいんだから
:
桐谷:そっちはそっち、関係ないわ
:
柳沼:ええ、そうね
柳沼:蓮池君にもちょっと動いてもらってるけど
柳沼:どうにも不穏(ふおん)なのよねぇ
:
桐谷:で、どこ
:
柳沼:旧市街ダイヒ通り、マルクトってダイナーよ
:
桐谷:了解
:
柳沼:ちょっと、一人で行く気
:
桐谷:当たり前よ、大体誰を待てるのよ
:
0:(桐谷、むしり取るように通信機を外す)
:
柳沼:(嘆息する)
柳沼:仕方ない子ね、話くらいは聞いていきなさいよ
:
0:(柳沼、蓮池に通信を飛ばす)
:
柳沼:お疲れ、ちょっとお願いなんだけど
柳沼:…あ、分かる?…ふふっ、そうよね
柳沼:そう、頼めるかしら
柳沼:いいえ、今回は…そう、ラ=ヴィオラが絡むって
柳沼:えっ…(通信を切られ嘆息する)
柳沼:もう、揃いも揃ってイノシシなんだから
柳沼:世話が焼けるわ
:
0:(ダイナー マルクトにて)
演者さんへ…:(可能であれば、やられ役/斬られ役を蓼原や樺倉、柳沼にてやっていただき、殺陣を演じていただけると幸いです)
:
桐谷:オラァ!!(正面ドアを蹴破る)
桐谷:2秒やるから神に祈りなさい
桐谷:情けをかけるのは似合わないから
桐谷:苦しんでもらえるように頑張ってみるわ
:
0:(桐谷、サブマシンガンでフロアを一掃する)
:
桐谷:やけに手薄ね
0:(桐谷、階段を駆け下りる)
:
0:(戦闘の音に気付いたシンジケート構成員たちが3名押し寄せる)
:
桐谷:邪魔!!
:
0:(桐谷、ソードオフショットガンで続けざまに撃破し、3人目は駆け下りた勢いがついた膝蹴りで倒す)
:
桐谷:(ここまで17秒、態勢が整うまで残り28秒か)
桐谷:(余裕なんてないのは分かりきってるけど)
桐谷:どんだけ続いてる気よ、この階段!
桐谷:(3階あったら終わりね)
:
0:(桐谷、地下2階の踊り場でダブルバレルショットガンを構えられており間一髪で回避する)
:
桐谷:(やっぱり、無理に抜いたからかな)
桐谷:(うまく踏み込めてない、蹴り足鈍いし)
桐谷:(それでも、タデさんには)
桐谷:(死んでもらうわけにはいかないのよ)
:
0:(桐谷、未使用のショットガンバレットを複数掴み、踊り場に放る)
0:(桐谷、まだ浮いているショットガンバレットをサブマシンガンで撃ち抜き、誘爆させ撃破する)
:
桐谷:(27秒、ちょっとアドバンテージか)
:
0:(桐谷、蓼原が監禁されている部屋に踏み込み、サブマシンガンで再度一掃する)
0:(蓼原、気を失っている)
:
桐谷:アンタら、イエローモンキー舐めすぎ!!
:
0:(桐谷、まだ息のあるシンジケート構成員の首を蹴り上げ、ほっと息をつく)
:
桐谷:こういうこすい手はアタシら得意なの
桐谷:特にアンタらが目の敵(かたき)にしてたこのオッサン
桐谷:バケモンからバケモンって呼ばれる土竜の王様なんだから
:
0:(桐谷、物陰から飛んできたアサシンナイフに腕を貫かれる)
:
桐谷:(痛みにうめき、膝をつく)
:
0:(桐谷、背後から襲い掛かられる)
0:(桜庭、駆けつけてハンドガンでアサシンナイフを投げたシンジケート構成員を撃破する)
:
桜庭:なんだ、この程度てこずったの
:
桐谷:うるさいわね
:
桜庭:だからこんな荷物は置いて行けと
:
0:(桐谷、拳を握り殴りかかる)
0:(桜庭、軽々といなす)
:
桜庭:君の落ち度だろう、その二つの傷は
桜庭:這ってでも帰りなよ
桜庭:君が斃れたら(たおれたら)、タデが全てを背負ってしまう
桜庭:『荷物になる』のは『もう懲りた』だろう
:
桐谷:うっさい、わね
:
桜庭:悔しがるなら勝ってみせてよ
桜庭:僕らの世界じゃ強さだけが全てで
桜庭:根性も頑張りも意味はない
桜庭:努力に裏打ちされた実力だけが
桜庭:仕事への信頼となって強さに繋がる
桜庭:そんなことも分からずにこの世界を生きられるほど
:
0:(間)
:
桜庭:違うな、この世界に生かしてもらえるほど
桜庭:人間は祝福されてないよ
:
0:(間)
:
桜庭:僕も、君を生かしておくのには否定的だからね
桜庭:静かにコーヒーでも淹れて(いれて)なよ
桜庭:タデのためだけに、『頑張ってみたらいいじゃないか』
:
0:(桜庭、気を失ったままの蓼原を肩に担ぎ部屋を出る)
:
桐谷:(叫ぶ)
:
0:(再び回想に入る)
0:(3年前、ホノルル)
0:(蓼原、樺倉、桜庭がバーカウンターで並んで座っている)
:
:*
:
桜庭:進捗(しんちょく)はどうなんだい
:
樺倉:それなり、ですね
樺倉:まだ尻尾を掴ませてくれません
:
桜庭:そりゃあそうだろう
桜庭:こっちは手勢5人、あっちは本拠地
桜庭:使い捨てられる駒の数が違いすぎる
:
樺倉:ただ、情報は着々と集められてます
樺倉:どうやら僕らだけでなくマニラあたりでも小競り合いやってるらしいので
樺倉:結構ガードはルーズになってくれてました
:
桜庭:ふーん、そう
桜庭:何だかつまんないね
桜庭:もっとこう、サクッとズバッと狩る感じの展開、持ってこれないの
:
蓼原:お前は血の気が多すぎるんだ
:
樺倉:蓼原さんが言えることじゃないです、それ
:
蓼原:おい樺倉、(かぶる/俺はまだまともだろう)
:
樺倉:(かぶせて)蓼原さんも正直特攻タイプなんで
樺倉:結果僕と柳沼さん振り回されっぱなしです
:
桜庭:タデ、僕が狙ったルートを把握してついてくる君が僕と違う血を主張するのは無理があるよ
:
蓼原:貴様ら調子に乗りやがって
:
樺倉:こんな軽口叩けるのもサクさんがいてくれるからなんだよなー
樺倉:僕とサシで呑んでるときにこんなこと言おうものなら
樺倉:真っ先にキューを鎖骨に突き立てられてますから
:
桜庭:傑作だねそれ
:
蓼原:俺のあずかり知らん間に他人(ひと)をそんな暴力人間に仕立て上げるな
:
桜庭:まあ、首謀者の面々は雁首(がんくび)揃えてお縄についてもらうつもりだけど
桜庭:悔しいかな僕たちには情報が足りなすぎるね
:
蓼原:珍しいな、素直に認めるとは
:
桜庭:当たり前のことだろう
桜庭:僕はタデと違って頭に血が上ることもなければ
桜庭:目の前の敵を倒すことだけに執着したりしないから
:
蓼原:精一杯隠した皮肉がいいスパイスになってるぞ
:
樺倉:はいはい、やり合わないでください
樺倉:僕はそろそろ明日のサブリナからの結果を待ってから
樺倉:ポイント押さえて資料突き合わせなきゃなんで
樺倉:そろそろおいとましますね
:
桜庭:うん、よろしく
:
蓼原:あ、樺倉
:
樺倉:なんです?
:
蓼原:彼奴ら(きゃつら)は構わんが、ヒドゥン・セクレタリのノッキングは続いてるのか
:
樺倉:あー、はい
樺倉:これが女の子からのラブコールだったら嬉しかったんですけどね
:
蓼原:そうか、分かった
蓼原:お前には今度会員制のサロンを紹介してやるよ
:
樺倉:うわー、リッチですね全く
樺倉:じゃ、サクさん、蓼原さん、おやすみなさい
:
0:(樺倉、去る)
:
桜庭:タデ、僕らってどこで会ったんだっけ
:
蓼原:お前そんなことまだ持ち出す気か
:
桜庭:誰とのものであっても、出会いは全て大切さ
:
蓼原:出会い頭に人生の終わりの鐘を鳴らしてくれると評判のお前が言うと酒の味が泥より不味く(まずく)なるな
:
桜庭:褒めてくれてうれしいよ
:
蓼原:(嘆息する)
蓼原:なあ、一ついいか
:
桜庭:なんだい、改まって
:
蓼原:一つ、約束してくれ
:
:*
:
0:(回想終わり)
0:(桜庭、蓼原を肩に担ぎ歩いている)
:
桜庭:ねえ、僕って
:
0:(間)
:
桜庭:本当に正しかったのかな
:
0:(続)
演者さんへ…:(マラソンしていただいている場合は、今回蓮池が登場しませんので蓮池役の演者さんが新メンバーの兼ね役をお願い致します)
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0:(一室)
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0:(蓼原、捕まっており生傷がたくさんつけられている)
:
蓼原:効くな、意外と
蓼原:もう若くないってことだな、俺は確かにおっさんになっちまったよ、樺倉(かばくら)
蓼原:(静かに息を吐く)
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0:(回想に入る)
0:(3年前、ホノルル)
0:(蓼原、樺倉、桐谷、柳沼がパブのテーブルで談笑している)
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:*
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桐谷:それにしても、ハワイに来てまで仕事って面白くないわね
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樺倉:言わないでよ、僕だってそこんとこ何とか割り切って飛行機に乗ったんだよ
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桐谷:それはそうよ、でもね
桐谷:やっぱりハワイに来てるんだからイケメンの一人や二人、お近づきになりたいじゃない
桐谷:ひと夏の燃え上がる恋、ロマンチックな夜景ときらびやかなシャンパン
桐谷:フライトを控えた二人が交わす湿った視線、思わず抱き寄せる互いの体
桐谷:再会を信じて重ねると息と唇、その全てを見下ろしてあざ笑う時間という壁
桐谷:その全てを楽しめるはずのこの南国の楽園を楽しめないのは悔しいに決まってるわ
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蓼原:お前の熱い気持ちはよく分かったが
蓼原:もう30にもなれば熱い夏より涼しい部屋が恋しくてな
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柳沼:もうタデちゃん、まだまだ男盛りなのに枯れちゃダメじゃない
柳沼:大人の魅力ってものを見せつけてくれないともったいないわよ
柳沼:せっかく若い女が二人もいるんだから席も目立つし
柳沼:この状況活かして男見せなさい、覚悟よ覚悟
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蓼原:余計な体力遣うくらいなら仕事に専念する方が性(しょう)に合ってるんだ
蓼原:酒なら付き合うが女を探すつもりはない
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樺倉:モテ男は黙って従っててください
樺倉:そういうのは女の子がたくさん寄ってくる人だけ許されるんです
樺倉:ダンディズムの塊みたいな蓼原さんじゃないと言えないセリフなんですから
樺倉:それでも僕の目の前でそんなこと言い続けるなら風穴空けますよ
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桐谷:おー、やれやれ樺倉ー
桐谷:お酒を輝かせるショーにはぴったりよ
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蓼原:お前がやれ酒だほれ酒だ大声でのたまうんじゃない
蓼原:ハワイ州法はお前を守ってくれないんだからな
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桐谷:じゃ、タデさん守ってよ
桐谷:女の子のボディーガードは名誉ある役目なんだし
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柳沼:まあこの場合じゃタデちゃんはドッグランを駆け回る羽目になりそうだけどね
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桐谷:誰がバカ犬よ
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柳沼:誰もバカとは言っていないわ
柳沼:多分デッドレースという名のショッピングに連れ回されるのがオチよどうせ
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桐谷:免税ショッピングはマストでしょ?
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樺倉:苦い思い出しか出てこないんだけど
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桐谷:仕方ないじゃない、L.A.の品ぞろえがアタシの琴線に触れたのが悪いのよ
:
柳沼:まあ、それにしても年に半分も着る機会ないのによくそれだけ買い込むわよね
:
桐谷:そういうアンタはパーツばっかり、オタク丸出し
桐谷:金属とプラスチックの集合体をそんなに買い込んでどうするのよ、可愛くない
:
柳沼:あら、可愛くないとは失礼ね
柳沼:みんなそれぞれ個性があっていとおしいのよ
:
桐谷:どこがよ
桐谷:動けばどうでもいいじゃない
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柳沼:そうなっちゃうわよね、素人は
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蓼原:問題はそこじゃないからな
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柳沼:そ、本来買い込んだ彼らをそのまま使うのはご法度(ごはっと)
柳沼:ジャンクパーツなんて所詮耐久度としては正規品の10分の1もないんだから
柳沼:そのまま組み込んだって安物買いの銭失いだし危険性が高すぎるわ
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樺倉:僕も一回痛い目見ましたよ
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桐谷:何なに、聞かせなさいよ
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樺倉:なんで僕の失敗談を聞きたがるときの目が一番キラキラしてるんだよ
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桐谷:いいからいいから
桐谷:早くしないとお尻の穴にバラを百本生けちゃうね
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樺倉:まあいいんだけどさ
樺倉:それで、ジャンクパーツなんだけど
樺倉:僕が買ったやつは通信が傍受(ぼうじゅ)できる仕組みになってたらしいんだ
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柳沼:ああ、なるほどね
柳沼:通信傍受なら分かるけど、操作は?
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樺倉:できました、多分
樺倉:ただ本題はそこじゃなくて
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蓼原:(カウンターへ注文する)マスター、バドワイザーをくれ
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樺倉:どうやら、電源をデバイスから取るタイプのの発信機がついてたらしく
樺倉:アジトが割れてあやうくミンチにされるところでした
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柳沼:あー、よくあるわね
柳沼:PCからアクセスしているデータを参照して有益な情報がありそうなデバイスだった場合にはデバイスの回収または操作及びデータ取得を行うって算段ね
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樺倉:はい、それで居場所ばれちゃって襲撃を
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蓼原:それにしてもよく助かったな
蓼原:それなりの手勢だったんだろ
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樺倉:はい、ですが桜庭さんがいたので
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蓼原:ああ、納得だな
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柳沼:あの戦闘狂が喜びそうなシチュエーションだこと
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桐谷:言っても気に入ってるくせに
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柳沼:そりゃあね、顔だけ見れば男前だもの
柳沼:抱かれるだけなら都合がいいわ
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桐谷:現金な女ね、気持ち悪
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柳沼:やだ、夜に金は取らないわよ
柳沼:サービス期待しちゃうもの
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蓼原:酒が生臭くなるからやめてくれないか
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柳沼:いやね、まるでアセトアルデヒドじゃない
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桐谷:アンタの常套手段でしょうが
桐谷:ハニートラップなんて流行らないわよ今どき
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樺倉:受けてみたいですよ、縁がなさ過ぎて
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柳沼:受けるだけじゃなくてどうせならかけてみたらどう?
柳沼:やり方、教えてあげるから
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樺倉:それなら僕より適任がいますよ
樺倉:ここにも、あなたのパートナーでも
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柳沼:確かに
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蓼原:巻き込むな、反吐が出る
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:*
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0:(回想終わり)
0:(桐谷、柳沼、通信中)
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柳沼:お待たせ
柳沼:ようやく確認できたわ
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桐谷:遅い、38秒遅れよ
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柳沼:無茶言わないで
柳沼:ただでさえ最近サブリナがおかしいんだから
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桐谷:そっちはそっち、関係ないわ
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柳沼:ええ、そうね
柳沼:蓮池君にもちょっと動いてもらってるけど
柳沼:どうにも不穏(ふおん)なのよねぇ
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桐谷:で、どこ
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柳沼:旧市街ダイヒ通り、マルクトってダイナーよ
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桐谷:了解
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柳沼:ちょっと、一人で行く気
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桐谷:当たり前よ、大体誰を待てるのよ
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0:(桐谷、むしり取るように通信機を外す)
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柳沼:(嘆息する)
柳沼:仕方ない子ね、話くらいは聞いていきなさいよ
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0:(柳沼、蓮池に通信を飛ばす)
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柳沼:お疲れ、ちょっとお願いなんだけど
柳沼:…あ、分かる?…ふふっ、そうよね
柳沼:そう、頼めるかしら
柳沼:いいえ、今回は…そう、ラ=ヴィオラが絡むって
柳沼:えっ…(通信を切られ嘆息する)
柳沼:もう、揃いも揃ってイノシシなんだから
柳沼:世話が焼けるわ
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0:(ダイナー マルクトにて)
演者さんへ…:(可能であれば、やられ役/斬られ役を蓼原や樺倉、柳沼にてやっていただき、殺陣を演じていただけると幸いです)
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桐谷:オラァ!!(正面ドアを蹴破る)
桐谷:2秒やるから神に祈りなさい
桐谷:情けをかけるのは似合わないから
桐谷:苦しんでもらえるように頑張ってみるわ
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0:(桐谷、サブマシンガンでフロアを一掃する)
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桐谷:やけに手薄ね
0:(桐谷、階段を駆け下りる)
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0:(戦闘の音に気付いたシンジケート構成員たちが3名押し寄せる)
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桐谷:邪魔!!
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0:(桐谷、ソードオフショットガンで続けざまに撃破し、3人目は駆け下りた勢いがついた膝蹴りで倒す)
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桐谷:(ここまで17秒、態勢が整うまで残り28秒か)
桐谷:(余裕なんてないのは分かりきってるけど)
桐谷:どんだけ続いてる気よ、この階段!
桐谷:(3階あったら終わりね)
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0:(桐谷、地下2階の踊り場でダブルバレルショットガンを構えられており間一髪で回避する)
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桐谷:(やっぱり、無理に抜いたからかな)
桐谷:(うまく踏み込めてない、蹴り足鈍いし)
桐谷:(それでも、タデさんには)
桐谷:(死んでもらうわけにはいかないのよ)
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0:(桐谷、未使用のショットガンバレットを複数掴み、踊り場に放る)
0:(桐谷、まだ浮いているショットガンバレットをサブマシンガンで撃ち抜き、誘爆させ撃破する)
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桐谷:(27秒、ちょっとアドバンテージか)
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0:(桐谷、蓼原が監禁されている部屋に踏み込み、サブマシンガンで再度一掃する)
0:(蓼原、気を失っている)
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桐谷:アンタら、イエローモンキー舐めすぎ!!
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0:(桐谷、まだ息のあるシンジケート構成員の首を蹴り上げ、ほっと息をつく)
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桐谷:こういうこすい手はアタシら得意なの
桐谷:特にアンタらが目の敵(かたき)にしてたこのオッサン
桐谷:バケモンからバケモンって呼ばれる土竜の王様なんだから
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0:(桐谷、物陰から飛んできたアサシンナイフに腕を貫かれる)
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桐谷:(痛みにうめき、膝をつく)
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0:(桐谷、背後から襲い掛かられる)
0:(桜庭、駆けつけてハンドガンでアサシンナイフを投げたシンジケート構成員を撃破する)
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桜庭:なんだ、この程度てこずったの
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桐谷:うるさいわね
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桜庭:だからこんな荷物は置いて行けと
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0:(桐谷、拳を握り殴りかかる)
0:(桜庭、軽々といなす)
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桜庭:君の落ち度だろう、その二つの傷は
桜庭:這ってでも帰りなよ
桜庭:君が斃れたら(たおれたら)、タデが全てを背負ってしまう
桜庭:『荷物になる』のは『もう懲りた』だろう
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桐谷:うっさい、わね
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桜庭:悔しがるなら勝ってみせてよ
桜庭:僕らの世界じゃ強さだけが全てで
桜庭:根性も頑張りも意味はない
桜庭:努力に裏打ちされた実力だけが
桜庭:仕事への信頼となって強さに繋がる
桜庭:そんなことも分からずにこの世界を生きられるほど
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0:(間)
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桜庭:違うな、この世界に生かしてもらえるほど
桜庭:人間は祝福されてないよ
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0:(間)
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桜庭:僕も、君を生かしておくのには否定的だからね
桜庭:静かにコーヒーでも淹れて(いれて)なよ
桜庭:タデのためだけに、『頑張ってみたらいいじゃないか』
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0:(桜庭、気を失ったままの蓼原を肩に担ぎ部屋を出る)
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桐谷:(叫ぶ)
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0:(再び回想に入る)
0:(3年前、ホノルル)
0:(蓼原、樺倉、桜庭がバーカウンターで並んで座っている)
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:*
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桜庭:進捗(しんちょく)はどうなんだい
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樺倉:それなり、ですね
樺倉:まだ尻尾を掴ませてくれません
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桜庭:そりゃあそうだろう
桜庭:こっちは手勢5人、あっちは本拠地
桜庭:使い捨てられる駒の数が違いすぎる
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樺倉:ただ、情報は着々と集められてます
樺倉:どうやら僕らだけでなくマニラあたりでも小競り合いやってるらしいので
樺倉:結構ガードはルーズになってくれてました
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桜庭:ふーん、そう
桜庭:何だかつまんないね
桜庭:もっとこう、サクッとズバッと狩る感じの展開、持ってこれないの
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蓼原:お前は血の気が多すぎるんだ
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樺倉:蓼原さんが言えることじゃないです、それ
:
蓼原:おい樺倉、(かぶる/俺はまだまともだろう)
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樺倉:(かぶせて)蓼原さんも正直特攻タイプなんで
樺倉:結果僕と柳沼さん振り回されっぱなしです
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桜庭:タデ、僕が狙ったルートを把握してついてくる君が僕と違う血を主張するのは無理があるよ
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蓼原:貴様ら調子に乗りやがって
:
樺倉:こんな軽口叩けるのもサクさんがいてくれるからなんだよなー
樺倉:僕とサシで呑んでるときにこんなこと言おうものなら
樺倉:真っ先にキューを鎖骨に突き立てられてますから
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桜庭:傑作だねそれ
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蓼原:俺のあずかり知らん間に他人(ひと)をそんな暴力人間に仕立て上げるな
:
桜庭:まあ、首謀者の面々は雁首(がんくび)揃えてお縄についてもらうつもりだけど
桜庭:悔しいかな僕たちには情報が足りなすぎるね
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蓼原:珍しいな、素直に認めるとは
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桜庭:当たり前のことだろう
桜庭:僕はタデと違って頭に血が上ることもなければ
桜庭:目の前の敵を倒すことだけに執着したりしないから
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蓼原:精一杯隠した皮肉がいいスパイスになってるぞ
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樺倉:はいはい、やり合わないでください
樺倉:僕はそろそろ明日のサブリナからの結果を待ってから
樺倉:ポイント押さえて資料突き合わせなきゃなんで
樺倉:そろそろおいとましますね
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桜庭:うん、よろしく
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蓼原:あ、樺倉
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樺倉:なんです?
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蓼原:彼奴ら(きゃつら)は構わんが、ヒドゥン・セクレタリのノッキングは続いてるのか
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樺倉:あー、はい
樺倉:これが女の子からのラブコールだったら嬉しかったんですけどね
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蓼原:そうか、分かった
蓼原:お前には今度会員制のサロンを紹介してやるよ
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樺倉:うわー、リッチですね全く
樺倉:じゃ、サクさん、蓼原さん、おやすみなさい
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0:(樺倉、去る)
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桜庭:タデ、僕らってどこで会ったんだっけ
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蓼原:お前そんなことまだ持ち出す気か
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桜庭:誰とのものであっても、出会いは全て大切さ
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蓼原:出会い頭に人生の終わりの鐘を鳴らしてくれると評判のお前が言うと酒の味が泥より不味く(まずく)なるな
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桜庭:褒めてくれてうれしいよ
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蓼原:(嘆息する)
蓼原:なあ、一ついいか
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桜庭:なんだい、改まって
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蓼原:一つ、約束してくれ
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:*
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0:(回想終わり)
0:(桜庭、蓼原を肩に担ぎ歩いている)
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桜庭:ねえ、僕って
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0:(間)
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桜庭:本当に正しかったのかな
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0:(続)