台本概要

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タイトル インディゴ=ノート #05
作者名 蒼山熾音  (@Shinon_Aoyama)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 【内容説明】
時は現代、少しだけ違う世界。

信託と称し、古代文明『アライア・イシェド』の末裔ラ=ヴィオラが諸手で抱えていた、20冊を超える古文書、その全てが群青に染まった預言書、神からの啓示が詰められた福音書。

インディゴ=ノート。

その裏には近代イタリアが画策した怨嗟の鎖が蠢いていた。

2編の古文書が世界をひっくり返す。
その中に、抗おうとする5人の賊がいた。

【注意事項】
アレンジ・アドリブありあり(ただし他の演者さんと連携が取れなくなるような無茶ブリは禁止)
性別変更あり(オカマちゃん可)

本編は変更しませんが、適宜説明については変更していきます。
また、キャライメージをそれぞれに書いておりますが、こちらはガン無視していただいて結構です。
と言いますのも自分がイメージ持って書きやすいように記載しているものですので、言ってしまえば作者のメモです。
したがっておひとりおひとり自己主張多めでバチバチキャラクターを作り替えていただき、ご自身の感じたイメージをぶつけていただきたいです。よろしくお願い致します。

蓼原(たではら)
34歳。無精髭標準装備のおっさん。基本気だるげ。イメージはPSYCHO-PASSの狡噛慎也やFateの衛宮切嗣、紺

蓮池(はすいけ)
24歳。好青年イケメン。デキるビジネスマン風。イメージはPSYCHO-PASSのミハイルやエヴァンゲリオンの加持、青

桐谷(きりたに)
21歳。正統派ツンデレ。シナリオによってはツンツンツンくらい。イメージはエヴァンゲリオンのアスカ、赤

柳沼(やぎぬま)
29歳。クールビューティー。大人のオンナで色気たっぷり。イメージはPSYCHO-PASSの唐之森やSAOの(冷静な時の)シノン、紫

桜庭(さくらば)
33歳。闇深い狼。でも悪ではなく単に闇なだけでちゃんといい人。イメージはエヴァンゲリオンのカヲルや(セリフ回しだけは)呪術廻戦の五条悟、モノ

樺倉(かばくら)
(回想登場キャラクター)3年前に20歳。陰キャ、非モテだけど顔は悪くないし数学が得意でパソコンをゼロから作れる。イメージはカノ借りの木ノ下和也、緑

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
蓼原 24 34歳。無精髭標準装備のおっさん。基本気だるげ。イメージはPSYCHO-PASSの狡噛慎也やFateの衛宮切嗣、紺
蓮池 30 24歳。好青年イケメン。デキるビジネスマン風。イメージはPSYCHO-PASSのミハイルやエヴァンゲリオンの加持、青
桐谷 39 21歳。正統派ツンデレ。シナリオによってはツンツンツンくらい。イメージはエヴァンゲリオンのアスカ、赤
柳沼 28 29歳。クールビューティー。大人のオンナで色気たっぷり。イメージはPSYCHO-PASSの唐之森やSAOの(冷静な時の)シノン、紫
桜庭 28 33歳。闇深い狼。でも悪ではなく単に闇なだけでちゃんといい人。イメージはエヴァンゲリオンのカヲルや(セリフ回しだけは)呪術廻戦の五条悟、モノ
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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  : 0:(4話の数日後) 0:(一室) 0:(蓼原、桐谷が寝ている) 0:(桜庭、蓼原の傍らで本を読んでいる) 0:(蓮池、桐谷の傍らで器用に林檎を剥いている)  : 桐谷:(目を覚ます)  : 蓮池:派手にやりましたね  : 桐谷:ん、こ、こは?  : 蓮池:桜庭さんのセーフハウスです  : 桐谷:あいつの?  : 桜庭:寝心地は保証しないよ  : 桐谷:(起き上がって)どうりで 桐谷:血生臭いベッドだと思ったのは間違いじゃないようね  : 桜庭:今すぐたたき出してもいいんだよ  : 蓮池:そこは私からお願いします 蓮池:彼女も大事なピースだ、ここで手放すと蓼原さんのバディがいなくなります  : 桜庭:僕でいいじゃないか 桜庭:互いの動きを最もよく分かってるのは僕たちだ  : 柳沼:(買い出しから戻ってきて)そりゃ現場はいいわよね 柳沼:勝手に暴れてればいいんだから  : 蓮池:おかえりなさい  : 柳沼:はい、ただいま 柳沼:一応必要なものはあらかた調達してきたわ  : 蓮池:ん、あれ?  : 柳沼:お探し物はこっち  : 蓮池:ああ、ありがとうございます  : 柳沼:それにしても、珍しいものを使うのね 柳沼:鋼線(こうせん)なんて  : 蓮池:ええ、いろいろと役立つんですよ 蓮池:表立って暴れまわるそこの3名と違って  : 柳沼:確かに 柳沼:みんな多分、飛び道具握ってないと禁断症状起こしちゃうクチよ  : 桜庭:いくら何でも酷いんじゃないかな  : 桐谷:一緒にしないでよ  : 柳沼:一緒一緒 柳沼:あなた達みんな困ったらばーんじゃない  : 桐谷:そんな単細胞扱い(かぶる/しないで)  : 柳沼:(かぶせて)脚一本飛んでるのに恩人の為に特攻していったイノシシちゃんは黙ってなさい  : 桜庭:傑作だね  : 桐谷:アンタ、ぶち抜くわよ  : 桜庭:ホルスターは右手の壁だよ  : 桐谷:どうせ、マガジン抜いたんでしょ  : 桜庭:鋭いね、さっすが  : 桐谷:しらじらしい、歯が浮いてるわよ  : 桜庭:あれ、入れ歯はしっかり留めたはずなんだけど  : 桐谷:伸す(のす)わよ、鬣犬(ハイエナ)  : 桜庭:(明らかに語気を強め)何だって?  : 柳沼:はいはい、そこまで  : 蓮池:相手はケガ人なんですから 蓮池:まだ寝ている蓼原さんをもう少し気遣ってあげてください 蓮池:桐谷さんも、傷が開きますよ 蓮池:一応ある程度の外科知識はありますから 蓮池:傷口の観察くらいで問題ないとは思いますが  : 柳沼:はい、器用に剥かれた林檎ちゃんよ 柳沼:あーん  : 桐谷:ちょ、何よやめて  : 柳沼:おとなしくしなさい 柳沼:どうせ利き手も動かせないんだから  : 桐谷:うっさい 桐谷:(柳沼の持つ林檎が刺さったフォークを奪い取り食べる)  : 蓮池:それでも素直に食べるんですね  : 桐谷:(不意を突かれてむせる)  : 桜庭:タデが起きる前に飯作っておこうか  : 柳沼:(含み笑う)  : 蓮池:手伝いますよ  : 桜庭:ああ、いいよ 桜庭:こいつのことも気になるし、セーフハウスとはいえ 桜庭:5人全員集まったら割れててもおかしくない 桜庭:動ける2人が待機しててくれないか  : 蓮池:了解しました  : 桜庭:頼むね  : 桐谷:ふん、やなやつね  : 蓮池:何がですか?  : 桐谷:いえ、やめておくわ  : 柳沼:目ざといのは癪(しゃく)ね  : 桐谷:駄々洩れ(だだもれ)なのが悪いのよ  : 蓮池:置いていかないでくださいよ  : 蓼原:(気がつく) 蓼原:…お前ら、人が寝てるってのに  : 桐谷:タデさん!  : 蓮池:動かないで、蓼原さんは全身傷だらけなので抱きつかないでください  : 蓼原:揃って、はないのか  : 柳沼:桜庭は奥よ 柳沼:大好きなタデちゃんの為に渾身(こんしん)の手料理をご馳走したいそうよ  : 蓼原:(笑う) 蓼原:殊勝(しゅしょう)なことだ  : 桐谷:ねえ蓮池さん 桐谷:おなかが空いたから何か買ってきてもらえないかしら  : 蓮池:ん? 蓮池:桜庭さんを待ちましょうよ  : 桐谷:タデさんの為のお料理よ 桐谷:あたしたちに提供されるものではないわ 桐谷:せいぜい『余った野菜があったからあとは好きに使うといいよ』とか 桐谷:その程度なもん…痛っ  : 柳沼:はいはい、本調子になるまではおとなしくしてなさい、イノシシちゃん  : 桐谷:柳沼、アンタねぇ!…痛っ  : 蓮池:傷が開いても知りませんよ  : 蓼原:それはそれとして、少し気になっていたことがあるんだ 蓼原:ブエノスアイレスのカルテルとハンブルクのシンジケートがつながっている可能性について考えてみてたんだが 蓼原:誰か情報を持っているやつはいないか 蓼原:残念ながら俺はここ2年、北米と東アジアを行ったり来たりだったから鮮度が悪いんだ  : 桐谷:あたしは持ってないわ 桐谷:ヤッた相手の顔は似顔絵程度なら書けるけど  : 蓮池:え、でもベルリンにはいらしたんですよね  : 桐谷:そうね、それは間違いないわ 桐谷:でもそれは単にクライアントからの指示があって経由する必要があっただけだもの 桐谷:実際にハンブルクでシンジケートの動きがあったことは知ってるけど 桐谷:掃討戦に参加してたわけじゃないの 桐谷:その時は『ベルリンを6時間以内に発て(たて)』って口酸っぱく言われたわ  : 蓮池:そうですか、残念です  : 蓼原:そういう蓮池はどうなんだ 蓼原:お前のことはよく知らんが、桜庭と近いんだろう  : 蓮池:あ、はい 蓮池:半年ほど前に一度別れましたがそれまでは南米と東南アジアを行き来してました 蓮池:本格的に一人で動き始めたのが半年弱前なのでそれ以降となっても情報がありませんね  : 蓼原:そうか 蓼原:なら柳沼、悪いがサブリナの情報はどうだ 蓼原:珍しくこの5人で情報が揃わん 蓼原:桜庭のやつもおそらく南米がここ数年の主な活動拠点だったはずだ 蓼原:やつには戻ってから聞いてみるが、あいつと関係性は深いだろう 蓼原:直接のやり取りや協力要請から情報を聞いてないか  : 柳沼:ごめんねタデちゃん 柳沼:正直サブリナはアテにならないわ  : 蓼原:そうか  : 柳沼:いろいろとおかしいのよ 柳沼:数か月前から誤報が相次いでる 柳沼:蓮池君にもちょっと手伝ってもらって 柳沼:リサーチかけてるんだけど  : 蓮池:何というか、正体が見えないんですよ  : 桐谷:そりゃ当たり前よ 桐谷:柳沼については酒であたしたちにバレちゃったけど 桐谷:基本的に姿を見せないし全容が分からないものよ  : 蓮池:申し訳ございません、言い方が悪かったですね 蓮池:全容は掴めたんですが、その先の指揮系統が独特で  : 柳沼:どういうこと?  : 桜庭:お待たせー 桜庭:起きたらスクランブルエッグでしょ、タデ  : 蓼原:ん、ああ  : 桜庭:そんでサブリナだけど  : 蓮池:桜庭さん、待って(かぶる/ください)  : 桜庭:おそらく残党が絡んでる 桜庭:ホノルルで見え隠れしてた、奴らだよ  : 桐谷:ヒドゥン・セクレタリ  : 桜庭:多分だけど、僕が触れることができた中で言えば 桜庭:あの時のスタンスと変わりないよ  : 柳沼:陰湿ね 柳沼:そんなことするくらいなら正面切って喧嘩売りなさいってば  : 桐谷:奴ら、やっぱり残ってたのね 桐谷:潰しきれなかったのが悔やまれるわ  : 蓼原:仕方ない、彼奴等(きゃつら)は転々としてる 蓼原:動きの大きかった奴はキッチリ仕留めたが、裏に引っ込んだ影までは追いきれなかったからな  : 桜庭:だからといって、僕らが責任逃れをすることはできないよ  : 桐谷:アンタがそれを言えるの 桐谷:無神経にもほどがあるわ 桐谷:体さえ動くなら今すぐハンバーグにしてやるところよ  : 柳沼:よしなさい 柳沼:彼はそういう類(たぐい)の人間よ  : 桐谷:じゃあアンタは黙ってられるの  : 柳沼:ええ、黙るわよ 柳沼:大人だから  : 桐谷:馬っ鹿みたい  : 蓮池:桜庭さん 蓮池:少し、いいですか  : 桜庭:何だい  : 蓮池:その結論にたどり着いた理由を伺えますか  : 桜庭:簡単さ 桜庭:毎度やり口がそっくりだ  : 蓮池:どういうことでしょう  : 蓼原:奴らは常に3分割され、トカゲの尻尾になり得る態勢を整えている 蓼原:それぞれ、フロント、ブランチ、バックヤードと呼ばれてる 蓼原:あくまでも組織外からの通称だがな  : 桜庭:正確に言えば、3分割されたヒドゥン・セクレタリは4階層構成なんだけどね  : 蓼原:フロント・ブランチ・バックヤードの人の行き来や情報のやり取りを限界まで絞る 蓼原:それぞれがそれぞれを監視・偵察する構成を取ることで情報の秘匿率を上げる 蓼原:こうすることで仲間意識や馴れ合いなどと比べ物にならない強さを得る  : 桜庭:敵対関係による三つ巴の構図を疑似的に生み出してやれば 桜庭:監視・偵察役としてそれぞれに所属し隠れている本当のブレーンが敢えて全体を把握し舵取りをしていける、って算段だよ  : 桐谷:そこまで知ってて何で動かないのよ  : 桜庭:あの時は情報がまだ少なかったんだ  : 桐谷:関係ないでしょ 桐谷:アンタのことを本当に慕ってくれてたアイツに、報いる(むくいる)気はなかったわけ  : 桜庭:ああ、だからこれから潰しに行くんだろう  : 桐谷:アンタ、本当に救いようないわね  : 桜庭:いいさ、救いは自分で掴み取る  : 蓼原:その辺にしておけ  : 柳沼:動くとしたら私と蓮池君よね  : 蓮池:そう、なりますよね  : 柳沼:どうして私が前線に出なきゃなのよ 柳沼:アクティヴは桐谷の役目でしょうに  : 蓮池:リードしますから、申し訳ありませんが我慢してください  : 柳沼:モテ男、案外捨てたもんじゃないわね  : 蓮池:褒めても何も出ませんよ?  : 柳沼:じゃ、今日のディナーはあなたの奢りで  : 蓼原:楽しそうで何よりだ  : 柳沼:治るまではアクティヴ勢でおとなしくしてなさい  : 蓼原:分かってる  : 柳沼:それじゃ、仕方ないから行ってくるわね  : 蓮池:僕は一件電話を  : 柳沼:はいはい、じゃあ8番乗り場には先に行ってるわよ  : 蓮池:(退場する) 柳沼:(退場する)  : 蓼原:で、だ 蓼原:(桜庭を見据える) 蓼原:お前はいつまでその面(つら)下げてるつもりだ  : 桐谷:どうしたのよタデさん  : 桜庭:この面は15年前から変わってないよ 桜庭:見慣れた顔じゃないか  : 桐谷:あたしもこいつの下卑た(げひた)面は見飽きたわ  : 蓼原:ああ、確かに見慣れたさ 蓼原:(ベッドの下からハンドガンを取り出す)  : 桜庭:(とっさに反応しようとする)  : 桐谷:タデさん!  : 蓼原:(間に合わなかった桜庭を撃つ)  : 桜庭:(痛みにもがく)  : 蓼原:貴様、いつからだ  : 桐谷:何よ、急に  : 蓼原:(かぶせて)答えろ!  : 桜庭:(乾いた笑い) 桜庭:何が、なんだい  : 蓼原:そうか 蓼原:(眉間を撃ち抜く)  : 桐谷:(絶句する)  : 蓼原:今すぐ、2人を連れ戻せ  : 桐谷:え?  : 蓼原:いいから早くしてくれ 蓼原:説明はする  : 桐谷:え、いや、訳分かんない(かぶる/んだけど)  : 蓼原:早くしろ!!  : 桐谷:(怯える)  : 蓼原:柳沼が、死ぬぞ  : 0:(続)

  : 0:(4話の数日後) 0:(一室) 0:(蓼原、桐谷が寝ている) 0:(桜庭、蓼原の傍らで本を読んでいる) 0:(蓮池、桐谷の傍らで器用に林檎を剥いている)  : 桐谷:(目を覚ます)  : 蓮池:派手にやりましたね  : 桐谷:ん、こ、こは?  : 蓮池:桜庭さんのセーフハウスです  : 桐谷:あいつの?  : 桜庭:寝心地は保証しないよ  : 桐谷:(起き上がって)どうりで 桐谷:血生臭いベッドだと思ったのは間違いじゃないようね  : 桜庭:今すぐたたき出してもいいんだよ  : 蓮池:そこは私からお願いします 蓮池:彼女も大事なピースだ、ここで手放すと蓼原さんのバディがいなくなります  : 桜庭:僕でいいじゃないか 桜庭:互いの動きを最もよく分かってるのは僕たちだ  : 柳沼:(買い出しから戻ってきて)そりゃ現場はいいわよね 柳沼:勝手に暴れてればいいんだから  : 蓮池:おかえりなさい  : 柳沼:はい、ただいま 柳沼:一応必要なものはあらかた調達してきたわ  : 蓮池:ん、あれ?  : 柳沼:お探し物はこっち  : 蓮池:ああ、ありがとうございます  : 柳沼:それにしても、珍しいものを使うのね 柳沼:鋼線(こうせん)なんて  : 蓮池:ええ、いろいろと役立つんですよ 蓮池:表立って暴れまわるそこの3名と違って  : 柳沼:確かに 柳沼:みんな多分、飛び道具握ってないと禁断症状起こしちゃうクチよ  : 桜庭:いくら何でも酷いんじゃないかな  : 桐谷:一緒にしないでよ  : 柳沼:一緒一緒 柳沼:あなた達みんな困ったらばーんじゃない  : 桐谷:そんな単細胞扱い(かぶる/しないで)  : 柳沼:(かぶせて)脚一本飛んでるのに恩人の為に特攻していったイノシシちゃんは黙ってなさい  : 桜庭:傑作だね  : 桐谷:アンタ、ぶち抜くわよ  : 桜庭:ホルスターは右手の壁だよ  : 桐谷:どうせ、マガジン抜いたんでしょ  : 桜庭:鋭いね、さっすが  : 桐谷:しらじらしい、歯が浮いてるわよ  : 桜庭:あれ、入れ歯はしっかり留めたはずなんだけど  : 桐谷:伸す(のす)わよ、鬣犬(ハイエナ)  : 桜庭:(明らかに語気を強め)何だって?  : 柳沼:はいはい、そこまで  : 蓮池:相手はケガ人なんですから 蓮池:まだ寝ている蓼原さんをもう少し気遣ってあげてください 蓮池:桐谷さんも、傷が開きますよ 蓮池:一応ある程度の外科知識はありますから 蓮池:傷口の観察くらいで問題ないとは思いますが  : 柳沼:はい、器用に剥かれた林檎ちゃんよ 柳沼:あーん  : 桐谷:ちょ、何よやめて  : 柳沼:おとなしくしなさい 柳沼:どうせ利き手も動かせないんだから  : 桐谷:うっさい 桐谷:(柳沼の持つ林檎が刺さったフォークを奪い取り食べる)  : 蓮池:それでも素直に食べるんですね  : 桐谷:(不意を突かれてむせる)  : 桜庭:タデが起きる前に飯作っておこうか  : 柳沼:(含み笑う)  : 蓮池:手伝いますよ  : 桜庭:ああ、いいよ 桜庭:こいつのことも気になるし、セーフハウスとはいえ 桜庭:5人全員集まったら割れててもおかしくない 桜庭:動ける2人が待機しててくれないか  : 蓮池:了解しました  : 桜庭:頼むね  : 桐谷:ふん、やなやつね  : 蓮池:何がですか?  : 桐谷:いえ、やめておくわ  : 柳沼:目ざといのは癪(しゃく)ね  : 桐谷:駄々洩れ(だだもれ)なのが悪いのよ  : 蓮池:置いていかないでくださいよ  : 蓼原:(気がつく) 蓼原:…お前ら、人が寝てるってのに  : 桐谷:タデさん!  : 蓮池:動かないで、蓼原さんは全身傷だらけなので抱きつかないでください  : 蓼原:揃って、はないのか  : 柳沼:桜庭は奥よ 柳沼:大好きなタデちゃんの為に渾身(こんしん)の手料理をご馳走したいそうよ  : 蓼原:(笑う) 蓼原:殊勝(しゅしょう)なことだ  : 桐谷:ねえ蓮池さん 桐谷:おなかが空いたから何か買ってきてもらえないかしら  : 蓮池:ん? 蓮池:桜庭さんを待ちましょうよ  : 桐谷:タデさんの為のお料理よ 桐谷:あたしたちに提供されるものではないわ 桐谷:せいぜい『余った野菜があったからあとは好きに使うといいよ』とか 桐谷:その程度なもん…痛っ  : 柳沼:はいはい、本調子になるまではおとなしくしてなさい、イノシシちゃん  : 桐谷:柳沼、アンタねぇ!…痛っ  : 蓮池:傷が開いても知りませんよ  : 蓼原:それはそれとして、少し気になっていたことがあるんだ 蓼原:ブエノスアイレスのカルテルとハンブルクのシンジケートがつながっている可能性について考えてみてたんだが 蓼原:誰か情報を持っているやつはいないか 蓼原:残念ながら俺はここ2年、北米と東アジアを行ったり来たりだったから鮮度が悪いんだ  : 桐谷:あたしは持ってないわ 桐谷:ヤッた相手の顔は似顔絵程度なら書けるけど  : 蓮池:え、でもベルリンにはいらしたんですよね  : 桐谷:そうね、それは間違いないわ 桐谷:でもそれは単にクライアントからの指示があって経由する必要があっただけだもの 桐谷:実際にハンブルクでシンジケートの動きがあったことは知ってるけど 桐谷:掃討戦に参加してたわけじゃないの 桐谷:その時は『ベルリンを6時間以内に発て(たて)』って口酸っぱく言われたわ  : 蓮池:そうですか、残念です  : 蓼原:そういう蓮池はどうなんだ 蓼原:お前のことはよく知らんが、桜庭と近いんだろう  : 蓮池:あ、はい 蓮池:半年ほど前に一度別れましたがそれまでは南米と東南アジアを行き来してました 蓮池:本格的に一人で動き始めたのが半年弱前なのでそれ以降となっても情報がありませんね  : 蓼原:そうか 蓼原:なら柳沼、悪いがサブリナの情報はどうだ 蓼原:珍しくこの5人で情報が揃わん 蓼原:桜庭のやつもおそらく南米がここ数年の主な活動拠点だったはずだ 蓼原:やつには戻ってから聞いてみるが、あいつと関係性は深いだろう 蓼原:直接のやり取りや協力要請から情報を聞いてないか  : 柳沼:ごめんねタデちゃん 柳沼:正直サブリナはアテにならないわ  : 蓼原:そうか  : 柳沼:いろいろとおかしいのよ 柳沼:数か月前から誤報が相次いでる 柳沼:蓮池君にもちょっと手伝ってもらって 柳沼:リサーチかけてるんだけど  : 蓮池:何というか、正体が見えないんですよ  : 桐谷:そりゃ当たり前よ 桐谷:柳沼については酒であたしたちにバレちゃったけど 桐谷:基本的に姿を見せないし全容が分からないものよ  : 蓮池:申し訳ございません、言い方が悪かったですね 蓮池:全容は掴めたんですが、その先の指揮系統が独特で  : 柳沼:どういうこと?  : 桜庭:お待たせー 桜庭:起きたらスクランブルエッグでしょ、タデ  : 蓼原:ん、ああ  : 桜庭:そんでサブリナだけど  : 蓮池:桜庭さん、待って(かぶる/ください)  : 桜庭:おそらく残党が絡んでる 桜庭:ホノルルで見え隠れしてた、奴らだよ  : 桐谷:ヒドゥン・セクレタリ  : 桜庭:多分だけど、僕が触れることができた中で言えば 桜庭:あの時のスタンスと変わりないよ  : 柳沼:陰湿ね 柳沼:そんなことするくらいなら正面切って喧嘩売りなさいってば  : 桐谷:奴ら、やっぱり残ってたのね 桐谷:潰しきれなかったのが悔やまれるわ  : 蓼原:仕方ない、彼奴等(きゃつら)は転々としてる 蓼原:動きの大きかった奴はキッチリ仕留めたが、裏に引っ込んだ影までは追いきれなかったからな  : 桜庭:だからといって、僕らが責任逃れをすることはできないよ  : 桐谷:アンタがそれを言えるの 桐谷:無神経にもほどがあるわ 桐谷:体さえ動くなら今すぐハンバーグにしてやるところよ  : 柳沼:よしなさい 柳沼:彼はそういう類(たぐい)の人間よ  : 桐谷:じゃあアンタは黙ってられるの  : 柳沼:ええ、黙るわよ 柳沼:大人だから  : 桐谷:馬っ鹿みたい  : 蓮池:桜庭さん 蓮池:少し、いいですか  : 桜庭:何だい  : 蓮池:その結論にたどり着いた理由を伺えますか  : 桜庭:簡単さ 桜庭:毎度やり口がそっくりだ  : 蓮池:どういうことでしょう  : 蓼原:奴らは常に3分割され、トカゲの尻尾になり得る態勢を整えている 蓼原:それぞれ、フロント、ブランチ、バックヤードと呼ばれてる 蓼原:あくまでも組織外からの通称だがな  : 桜庭:正確に言えば、3分割されたヒドゥン・セクレタリは4階層構成なんだけどね  : 蓼原:フロント・ブランチ・バックヤードの人の行き来や情報のやり取りを限界まで絞る 蓼原:それぞれがそれぞれを監視・偵察する構成を取ることで情報の秘匿率を上げる 蓼原:こうすることで仲間意識や馴れ合いなどと比べ物にならない強さを得る  : 桜庭:敵対関係による三つ巴の構図を疑似的に生み出してやれば 桜庭:監視・偵察役としてそれぞれに所属し隠れている本当のブレーンが敢えて全体を把握し舵取りをしていける、って算段だよ  : 桐谷:そこまで知ってて何で動かないのよ  : 桜庭:あの時は情報がまだ少なかったんだ  : 桐谷:関係ないでしょ 桐谷:アンタのことを本当に慕ってくれてたアイツに、報いる(むくいる)気はなかったわけ  : 桜庭:ああ、だからこれから潰しに行くんだろう  : 桐谷:アンタ、本当に救いようないわね  : 桜庭:いいさ、救いは自分で掴み取る  : 蓼原:その辺にしておけ  : 柳沼:動くとしたら私と蓮池君よね  : 蓮池:そう、なりますよね  : 柳沼:どうして私が前線に出なきゃなのよ 柳沼:アクティヴは桐谷の役目でしょうに  : 蓮池:リードしますから、申し訳ありませんが我慢してください  : 柳沼:モテ男、案外捨てたもんじゃないわね  : 蓮池:褒めても何も出ませんよ?  : 柳沼:じゃ、今日のディナーはあなたの奢りで  : 蓼原:楽しそうで何よりだ  : 柳沼:治るまではアクティヴ勢でおとなしくしてなさい  : 蓼原:分かってる  : 柳沼:それじゃ、仕方ないから行ってくるわね  : 蓮池:僕は一件電話を  : 柳沼:はいはい、じゃあ8番乗り場には先に行ってるわよ  : 蓮池:(退場する) 柳沼:(退場する)  : 蓼原:で、だ 蓼原:(桜庭を見据える) 蓼原:お前はいつまでその面(つら)下げてるつもりだ  : 桐谷:どうしたのよタデさん  : 桜庭:この面は15年前から変わってないよ 桜庭:見慣れた顔じゃないか  : 桐谷:あたしもこいつの下卑た(げひた)面は見飽きたわ  : 蓼原:ああ、確かに見慣れたさ 蓼原:(ベッドの下からハンドガンを取り出す)  : 桜庭:(とっさに反応しようとする)  : 桐谷:タデさん!  : 蓼原:(間に合わなかった桜庭を撃つ)  : 桜庭:(痛みにもがく)  : 蓼原:貴様、いつからだ  : 桐谷:何よ、急に  : 蓼原:(かぶせて)答えろ!  : 桜庭:(乾いた笑い) 桜庭:何が、なんだい  : 蓼原:そうか 蓼原:(眉間を撃ち抜く)  : 桐谷:(絶句する)  : 蓼原:今すぐ、2人を連れ戻せ  : 桐谷:え?  : 蓼原:いいから早くしてくれ 蓼原:説明はする  : 桐谷:え、いや、訳分かんない(かぶる/んだけど)  : 蓼原:早くしろ!!  : 桐谷:(怯える)  : 蓼原:柳沼が、死ぬぞ  : 0:(続)