台本概要

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タイトル インディゴ=ノート #07
作者名 蒼山熾音  (@Shinon_Aoyama)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 【内容説明】
時は現代、少しだけ違う世界。

信託と称し、古代文明『アライア・イシェド』の末裔ラ=ヴィオラが諸手で抱えていた、20冊を超える古文書、その全てが群青に染まった預言書、神からの啓示が詰められた福音書。

インディゴ=ノート。

その裏には近代イタリアが画策した怨嗟の鎖が蠢いていた。

2編の古文書が世界をひっくり返す。
その中に、抗おうとする5人の賊がいた。

【注意事項】
アレンジ・アドリブありあり(ただし他の演者さんと連携が取れなくなるような無茶ブリは禁止)
性別変更あり(オカマちゃん可)

本編は変更しませんが、適宜説明については変更していきます。
また、キャライメージをそれぞれに書いておりますが、こちらはガン無視していただいて結構です。
と言いますのも自分がイメージ持って書きやすいように記載しているものですので、言ってしまえば作者のメモです。
したがっておひとりおひとり自己主張多めでバチバチキャラクターを作り替えていただき、ご自身の感じたイメージをぶつけていただきたいです。よろしくお願い致します。

蓼原(たではら)
34歳。無精髭標準装備のおっさん。基本気だるげ。イメージはPSYCHO-PASSの狡噛慎也やFateの衛宮切嗣、紺

蓮池(はすいけ)
24歳。好青年イケメン。デキるビジネスマン風。イメージはPSYCHO-PASSのミハイルやエヴァンゲリオンの加持、青

桐谷(きりたに)
21歳。正統派ツンデレ。シナリオによってはツンツンツンくらい。イメージはエヴァンゲリオンのアスカ、赤

柳沼(やぎぬま)
29歳。クールビューティー。大人のオンナで色気たっぷり。イメージはPSYCHO-PASSの唐之森やSAOの(冷静な時の)シノン、紫

桜庭(さくらば)
33歳。闇深い狼。でも悪ではなく単に闇なだけでちゃんといい人。イメージはエヴァンゲリオンのカヲルや(セリフ回しだけは)呪術廻戦の五条悟、モノ

樺倉(かばくら)
(回想登場キャラクター)3年前に20歳。陰キャ、非モテだけど顔は悪くないし数学が得意でパソコンをゼロから作れる。イメージはカノ借りの木ノ下和也、緑

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
蓼原 23 34歳。無精髭標準装備のおっさん。基本気だるげ。イメージはPSYCHO-PASSの狡噛慎也やFateの衛宮切嗣、紺
蓮池 21 24歳。好青年イケメン。デキるビジネスマン風。イメージはPSYCHO-PASSのミハイルやエヴァンゲリオンの加持、青
桐谷 28 21歳。正統派ツンデレ。シナリオによってはツンツンツンくらい。イメージはエヴァンゲリオンのアスカ、赤
柳沼 27 29歳。クールビューティー。大人のオンナで色気たっぷり。イメージはPSYCHO-PASSの唐之森やSAOの(冷静な時の)シノン、紫
桜庭 76 33歳。闇深い狼。でも悪ではなく単に闇なだけでちゃんといい人。イメージはエヴァンゲリオンのカヲルや(セリフ回しだけは)呪術廻戦の五条悟、モノ
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
  : 0:(ハンブルクの港湾倉庫) 0:(4話と5話の間の時期) 0:(桜庭、歩いている) 0:(柳沼、桜庭と通信中)  : 桜庭:で、彼らの本拠地はここなんだよね  : 柳沼:ええ、間違いないわ 柳沼:ただし主力はパリの副拠点よ 柳沼:一掃するのは難しいんじゃないかしら  : 桜庭:判ってる 桜庭:ハンブルク港を根城にしているのは知ってたけど 桜庭:乗り込むのは初めてだからね 桜庭:ちょっと昂(たかぶ)っちゃって困るよ  : 柳沼:はいはい 柳沼:それはそうと、いいわね? 柳沼:私は入口までしかいられないわ 柳沼:どうやら国家権力レベルで息がかかってる 柳沼:迂闊に(うかつに)手を出すと私が飲まれる 柳沼:サブリナで拾える情報と桐谷にもらった報告で 柳沼:ある程度の武装は把握できてるけど 柳沼:いざとなったら現場で対処(してもらうしか)  : 桜庭:(かぶせて)任せてよ 桜庭:6年前、単身で殲滅戦をやってのけたこの僕に 桜庭:惚れたのは君自身のはずだ  : 柳沼:(黙る)  : 桜庭:悪いクセだよ、ひた隠すの  : 柳沼:はいはい、アブサントが楽しみね  : 桜庭:おいおい、よしてくれないか  : 柳沼:もちろん、私も行くわよ  : 桜庭:(間) 桜庭:ああ、そうか 桜庭:久しぶりに、楽しいデートになりそうだ  : 0:(回想に入る) 0:(4年前、パリ、とある閉店後のバー) 0:(桜庭、カウンターでアブサントを飲んでいる) 0:(桜庭、煙草を握っている) 0:(桐谷、二つ離れた席に座り膝を抱えている) 0:(桐谷、衰弱しており服も穴やほつれがみられる) 0:(蓼原、店舗の裏に引っ込んでおり休んでいる)  :  :*  : 桐谷:くさい  : 桜庭:この良さが分かるまではまだまだだね 桜庭:飲めとは言わないが  : 桐谷:くさい  : 桜庭:酒の好みは人それぞれだ 桜庭:あまりごちゃごちゃ言ってくれるな 桜庭:ただでさえ子供は苦手なんだ  : 桐谷:たばこ  : 桜庭:ああ、そう 桜庭:そっちか 桜庭:知らないよ、そんなの  : 桐谷:うざい  : 桜庭:君のお守り(おもり)は依頼にはない 桜庭:ここで今すぐ縛って捨ててもいいんだよ  : 桐谷:いやだ  : 桜庭:(間) 桜庭:君は3文字しか喋れないの? 桜庭:そういう話は他をあたってくれ 桜庭:呪いの類い(たぐい)は専門外だよ  : 桐谷:呪い 桐谷:(間) 桐谷:そっか  : 桜庭:(ため息) 桜庭:何を思い繰り返す、襤褸(ぼろ)切れ  : 桐谷:アンタ  : 桜庭:何かな  : 桐谷:名前  : 桜庭:覚えなくて結構、君に教える名はないよ  : 桐谷:名前  : 桜庭:聞く前に名乗るのが道理だよ 桜庭:そんな事も母親の胎(はら)に忘れたか  : 桐谷:…名前  : 桜庭:(すかさず銃を構える) 桜庭:いい加減にしてくれるかな 桜庭:僕の引鉄(ひきがね)は軽いんだ 桜庭:幼気(いたいけ)な少女にも遠慮なく 桜庭:鉛弾(なまりだま)をお見舞いできるよ  : 0:(間)  : 桜庭:(深く息を吸い、ゆっくりと吐く) 桜庭:黙ってていいのかい 桜庭:それとも遺す言葉が長すぎるのかな 桜庭:その不真面目な呪いに縋り(すがり) 桜庭:咽び(むせび)泣くこともできずに 桜庭:散らしたいのかい、その身を、心を  : 0:(間)  : 桐谷:(静かに涙を流す)  : 桜庭:(口を噤む)  : 桐谷:(間) 桐谷:ないの  : 桜庭:(唸る) 桜庭:(酒瓶を飲み干す)  : 桐谷:ないの、ないの、ないの  : 桜庭:五月蠅い(うるさい)な 桜庭:(桐谷の座る椅子を蹴飛ばす)  : 桐谷:(床に投げ出され呻く)  : 桜庭:(蹲る桐谷の首を掴み仰向けにする) 桜庭:(そのまま首を押さえつけ服を剥ぐ) 桜庭:(馬乗りになり胸の間に銃口を当てる)  : 桐谷:ない、の  : 桜庭:黙れ!!  : 桐谷:(桜庭をまっすぐ見つめる) 桐谷:(間) 桐谷:女、使う?  : 桜庭:(息を呑む)  : 桐谷:あたし、使う? 桐谷:(目を閉じ、顔を背ける) 桐谷:いいよ  : 桜庭:(銃を突きつけたまま唸る)  : 桐谷:アンタ  : 桜庭:(かぶせて)(叫ぶ) 桜庭:(銃を真上に向け、天井を撃ち抜く)  : 0:(桐谷、桜庭、抗争先の構成員から拳銃による発砲を受ける)  : 桜庭:お誂え向き(おあつらえむき)だね 桜庭:遊んでくれるのかい、愚図(ぐず)共 桜庭:(扉から飛び出していく)  : 蓼原:(裏から出て服を剥がれた桐谷に気づく) 蓼原:何事かと思えば、ヤツは  : 桐谷:(顔を真上に戻し、目を開く) 桐谷:あたし  : 蓼原:(上着を桐谷の胸元にかける) 蓼原:何もない、安心しろ 蓼原:あのバカが守ってくれる  : 桐谷:使う?  : 蓼原:要らん、足りてる 蓼原:何か食うか 蓼原:卵焼きくらいしか、作れんが  : 桐谷:アンタ、名前  : 蓼原:蓼原だ 蓼原:お前は  : 桐谷:ないの  : 蓼原:そうか 蓼原:また考えておこう  : 桐谷:これは 桐谷:(数字の書かれたドッグタグを見せる)  : 蓼原:68、50  : 桐谷:それが、あたし  : 蓼原:済まなかったな  : 桐谷:いいよ  : 蓼原:待ってろ、きっといい名を考えてやる  : 桐谷:いいよ 桐谷:それが、あたし  : 蓼原:いいから、待ってろ 蓼原:もう、受け入れるな 蓼原:見失うな、諦めるな  : 蓼原:そんな、目をするな  : 0:(間)  : 蓼原:(桐谷を起こし、抱きしめる)  : 桐谷:(驚きで緊張する)  : 蓼原:もうこれ以上、頑張るな  : 桐谷:(少しずつ力が抜けていく) 桐谷:(涙を浮かべる) 桐谷:(やがて泣き喚く)  : 蓼原:(桐谷の泣き声に)よしよし、いい子だ  :  :*  : 0:(回想終わり) 0:(序盤の続き) 0:(ハンブルクの港湾倉庫) 0:(桜庭、二丁の拳銃をぶら下げて立っている) 0:(蓮池、バイクで現れる)  : 蓮池:相変わらず見事な手際だ 蓮池:惚れ惚れしますよ  : 桜庭:そんな軽口を叩く前に、釣果を  : 蓮池:分かってますよ 蓮池:結論としては成功です  : 桜庭:そうか 桜庭:ちなみにオフィサーの動向は  : 蓮池:物見遊山(ものみゆさん)ですよ 蓮池:各所の小競り合いを眺めて悦に入る 蓮池:合間で人命をチップにゲームに興じる 蓮池:何も変わりません、半年前から  : 桜庭:本当に飽きない下世話な連中だ 桜庭:いっそ僕を混ぜてくれれば話が早いのに  : 蓮池:あなたがいたらゲームになりませんよ 蓮池:ただのショーです  : 桜庭:ありがとう、珍しく褒めるね僕のこと  : 蓮池:いつも私はあなたに賛辞を送っています 蓮池:少しは私の話も聞いてください  : 桜庭:ごめんごめん 桜庭:それはそれとして今回も『使い捨て』?  : 蓮池:ええ、もちろん  : 桜庭:本当に人命が湯水のようだね  : 蓮池:顔が歪んだのを久しぶりに見ましたよ  : 桜庭:おっといけない、クールじゃなくちゃ  : 蓮池:まずは今までを整理しましょう 蓮池:3つ巴はそれぞれブエノスアイレスと  : 桜庭:ハンブルクとパリだね  : 蓮池:恐らくはそうでしょう 蓮池:ただし、ブエノスアイレスは確証がない 蓮池:やり方が間接的すぎるのも少し妙です  : 桜庭:そうだね 桜庭:多分このままとはいかない 桜庭:近いうちに総力戦、仕掛けてくるのかな  : 蓮池:オフィサーでタイミングを計っていると  : 桜庭:もしかするともしかしちゃうね 桜庭:組織の構図自体を捻じ曲げてでも 桜庭:今回の僕たちの動きを潰しにかかるかも  : 蓮池:言わば私たちは第三勢力 蓮池:ヒドゥン・セクレタリからはマークされ 蓮池:強力な味方の援護も得られない 蓮池:どうしてこんなに損ばかりなんでしょう  : 桜庭:大丈夫だよ、うまく立ち回ってあげる  : 蓮池:信用できるんですかね  : 桜庭:多弁な鳥は真っ先に撃ち落されるよ  : 蓮池:これはご忠告痛み入ります  : 桜庭:そして当面の動きとしては 桜庭:僕か、タデを消す  : 蓮池:まあ、そうなりますね 蓮池:もう間者(かんじゃ)が向かったようで  : 桜庭:おお、早いねぇ  : 蓮池:言っておきますが流したのはあなたです  : 桜庭:そうだよ 桜庭:でも、タデならすぐ気づくさ 桜庭:僕のことならすぐにね  : 蓮池:その信頼感はさすがです  : 桜庭:あそこは僕のセーフハウス 桜庭:万が一襲撃があっても間者が来ても 桜庭:全ての部屋で迎撃ができる 桜庭:タデならうまくやってくれるって  : 蓮池:それならい(いのですが)  : 0:(銃撃)  : 桜庭:別働か、まずったね  : 蓮池:どうしますか  : 桜庭:いいよ、ここは撒こう  : 蓮池:かしこまりました  : 桜庭:殿は僕だ  : 蓮池:申し訳ありません  : 桜庭:仕方ないよ 桜庭:君が傷を受けては計画がおシャカだ  : 蓮池:後は頼みます 蓮池:(桜庭にその場を任せて逃げる)  : 0:(桜庭、尚も銃撃を受ける) 0:(桜庭、応戦する)  : 桜庭:モテない男はやっぱりしつこいね 桜庭:(手榴弾を準備する) 桜庭:(狙撃を受け、手榴弾を取り落とす)  : 桜庭:(咄嗟に蓮池が去った出口へ向かう) 桜庭:なるほど、巧い(うまい)手だ 桜庭:(間に合わず爆発に巻き込まれ負傷する)  : 0:(6話の後) 0:(とあるホテルのベッド) 0:(柳沼、眠っている) 0:(桜庭、柳沼に背を向けるようにベッドに座り煙草を燻らせている)  : 柳沼:(目を覚ます) 柳沼:ん、早いのね  : 桜庭:あ、おはよう 桜庭:よく眠れたかい  : 柳沼:ええ、おかげさまで 柳沼:昔から、あなたと一緒の朝は慣れないわ 柳沼:寝坊してばかりよ、らしくない 柳沼:(寝返りを打ち天井を向く)  : 桜庭:僕はむしろ見慣れたよ 桜庭:いる?コーヒー。  : 柳沼:もらおう、かな  : 桜庭:分かった、ちょっと待ってて  : 柳沼:ありがとう、サク  : 桜庭:(聞いている)  : 柳沼:思わなかった 柳沼:私がこんな下手を打っちゃうなんて  : 桜庭:(お湯を沸かしている)  : 柳沼:気づけず、見逃して、使われる 柳沼:失態のバーゲンセールよ 柳沼:虫唾が走る、殴りたくなる  : 桜庭:(豆を挽いている)  : 柳沼:傷ついたとか言ってられないけど 柳沼:今日くらい、許して  : 桜庭:いいよ、許してあげる  : 柳沼:ごめんね 柳沼:ごめんね、サク  : 桜庭:いつも頑張ってくれてるじゃないか 桜庭:あの日も、必死に耐えてた 桜庭:あんな目は、もうさせない 桜庭:(手を止めて柳沼を見つめる)  : 柳沼:やめて、もう 柳沼:だからあなたは怖いのよ  : 桜庭:どうしたんだい 桜庭:(再開する)  : 柳沼:引き込まれるの 柳沼:あの時から私は、あなたの目に呪われた 柳沼:あなたの躰に縛られた  : 桜庭:そんな中毒性、あったかな  : 柳沼:(泣き笑う) 柳沼:もう、だめね私 柳沼:すぐ話しちゃう  : 桜庭:隠し立てなんてできると思ってるの?  : 柳沼:いいえ、でも 柳沼:(起き上がり桜庭に近づく) 柳沼:あなた以上にあなたを知る部分もある 柳沼:(桜庭の右腕の包帯を剥ぎ、舐める)  : 桜庭:(熱い声を上げる)  : 柳沼:好きだったわよね 柳沼:怪我したところ  : 桜庭:へえ 桜庭:まだ続ける気?  : 柳沼:ごめんなさい、まだ疼くみたい  : 桜庭:あれだけ昨晩させておいて、全く 桜庭:残念ながら僕は出るよ 桜庭:蓮池でも呼んだらどうだ  : 柳沼:黄色いチューリップ、ね  : 桜庭:時々、彼は面白いセンスを見せてくれる  : 柳沼:気をつけて 柳沼:また相手してもらわないと、困るんだから  : 桜庭:ああ、分かった 桜庭:できたよ 桜庭:(コーヒーをマグカップに注ぐ)  : 柳沼:ありがとう 柳沼:(コーヒーを受け取り、一口飲む) 柳沼:え、あなたは?  : 桜庭:ああ、僕はさっきね  : 柳沼:そうなの、それは 柳沼:(ふらつく) 柳沼:ん…どうして  : 桜庭:僕からもごめんね、柳沼 桜庭:寝ててくれないと困るんだ  : 0:(柳沼、倒れる)  : 桜庭:さすが効くね、お手製の睡眠薬とは恐れ入る  : 蓼原:(入ってくる)  : 桜庭:悪いね、付き合わせて  : 蓼原:いつものことだ 蓼原:今回はお前が運転か  : 桜庭:ああ、よろしく頼むよ  : 蓼原:(ため息) 蓼原:これは荒れそうだ  : 桜庭:むしろ僕はワクワクして堪らないよ  : 蓼原:しっかり伝わってるから殺気を仕舞え  : 桜庭:躍るだろう? 桜庭:軽やかなステップとともに火が消える 桜庭:消えて消えて、燭台が朽ちる  : 蓼原:やめろやめろ、ポエムは既に聞き飽きた 蓼原:それより腹が減った、飯だ  : 桜庭:(含み笑う)  : 蓼原:おい、ケツの穴をもう一つ増やされたいか  : 桜庭:お荷物相手に足りてるって言ったの 桜庭:どこのどなただったっけな  : 蓼原:分かった、いいだろう 蓼原:穴は4つに決定だ  : 桜庭:じゃあ、何食べる? 桜庭:安定のスクランブルエッグでも作ろうか  : 蓼原:貴様(かぶる/バカにするのも)  : 桜庭:(かぶせて)あ、失敗した卵焼きか  : 蓼原:あのなあ 蓼原:(ため息)  : 蓼原:(部屋を出る) 桜庭:(部屋を出る)  : 0:(数十分後) 0:(ホテルのベッドの上) 0:(柳沼、仰向けに寝かされている)  : 柳沼:(気がつく) 柳沼:寝…かされて…る… 柳沼:(起き上がる) 柳沼:…痛っ  : 0:(柳沼、部屋を見渡す)  : 柳沼:(冷めたコーヒーを見つける) 柳沼:サク 柳沼:(落ちている包帯を拾う) 柳沼:無理しちゃって、もう  : 柳沼:(包帯を見つめ、静かに匂いを嗅ぐ)  : 柳沼:(最も血が濃い部分にメモを見つける) 柳沼:8C37、か 柳沼:女ふたりのカジノ旅? 柳沼:あなたも意地悪よね、全く  : 0:(続)

  : 0:(ハンブルクの港湾倉庫) 0:(4話と5話の間の時期) 0:(桜庭、歩いている) 0:(柳沼、桜庭と通信中)  : 桜庭:で、彼らの本拠地はここなんだよね  : 柳沼:ええ、間違いないわ 柳沼:ただし主力はパリの副拠点よ 柳沼:一掃するのは難しいんじゃないかしら  : 桜庭:判ってる 桜庭:ハンブルク港を根城にしているのは知ってたけど 桜庭:乗り込むのは初めてだからね 桜庭:ちょっと昂(たかぶ)っちゃって困るよ  : 柳沼:はいはい 柳沼:それはそうと、いいわね? 柳沼:私は入口までしかいられないわ 柳沼:どうやら国家権力レベルで息がかかってる 柳沼:迂闊に(うかつに)手を出すと私が飲まれる 柳沼:サブリナで拾える情報と桐谷にもらった報告で 柳沼:ある程度の武装は把握できてるけど 柳沼:いざとなったら現場で対処(してもらうしか)  : 桜庭:(かぶせて)任せてよ 桜庭:6年前、単身で殲滅戦をやってのけたこの僕に 桜庭:惚れたのは君自身のはずだ  : 柳沼:(黙る)  : 桜庭:悪いクセだよ、ひた隠すの  : 柳沼:はいはい、アブサントが楽しみね  : 桜庭:おいおい、よしてくれないか  : 柳沼:もちろん、私も行くわよ  : 桜庭:(間) 桜庭:ああ、そうか 桜庭:久しぶりに、楽しいデートになりそうだ  : 0:(回想に入る) 0:(4年前、パリ、とある閉店後のバー) 0:(桜庭、カウンターでアブサントを飲んでいる) 0:(桜庭、煙草を握っている) 0:(桐谷、二つ離れた席に座り膝を抱えている) 0:(桐谷、衰弱しており服も穴やほつれがみられる) 0:(蓼原、店舗の裏に引っ込んでおり休んでいる)  :  :*  : 桐谷:くさい  : 桜庭:この良さが分かるまではまだまだだね 桜庭:飲めとは言わないが  : 桐谷:くさい  : 桜庭:酒の好みは人それぞれだ 桜庭:あまりごちゃごちゃ言ってくれるな 桜庭:ただでさえ子供は苦手なんだ  : 桐谷:たばこ  : 桜庭:ああ、そう 桜庭:そっちか 桜庭:知らないよ、そんなの  : 桐谷:うざい  : 桜庭:君のお守り(おもり)は依頼にはない 桜庭:ここで今すぐ縛って捨ててもいいんだよ  : 桐谷:いやだ  : 桜庭:(間) 桜庭:君は3文字しか喋れないの? 桜庭:そういう話は他をあたってくれ 桜庭:呪いの類い(たぐい)は専門外だよ  : 桐谷:呪い 桐谷:(間) 桐谷:そっか  : 桜庭:(ため息) 桜庭:何を思い繰り返す、襤褸(ぼろ)切れ  : 桐谷:アンタ  : 桜庭:何かな  : 桐谷:名前  : 桜庭:覚えなくて結構、君に教える名はないよ  : 桐谷:名前  : 桜庭:聞く前に名乗るのが道理だよ 桜庭:そんな事も母親の胎(はら)に忘れたか  : 桐谷:…名前  : 桜庭:(すかさず銃を構える) 桜庭:いい加減にしてくれるかな 桜庭:僕の引鉄(ひきがね)は軽いんだ 桜庭:幼気(いたいけ)な少女にも遠慮なく 桜庭:鉛弾(なまりだま)をお見舞いできるよ  : 0:(間)  : 桜庭:(深く息を吸い、ゆっくりと吐く) 桜庭:黙ってていいのかい 桜庭:それとも遺す言葉が長すぎるのかな 桜庭:その不真面目な呪いに縋り(すがり) 桜庭:咽び(むせび)泣くこともできずに 桜庭:散らしたいのかい、その身を、心を  : 0:(間)  : 桐谷:(静かに涙を流す)  : 桜庭:(口を噤む)  : 桐谷:(間) 桐谷:ないの  : 桜庭:(唸る) 桜庭:(酒瓶を飲み干す)  : 桐谷:ないの、ないの、ないの  : 桜庭:五月蠅い(うるさい)な 桜庭:(桐谷の座る椅子を蹴飛ばす)  : 桐谷:(床に投げ出され呻く)  : 桜庭:(蹲る桐谷の首を掴み仰向けにする) 桜庭:(そのまま首を押さえつけ服を剥ぐ) 桜庭:(馬乗りになり胸の間に銃口を当てる)  : 桐谷:ない、の  : 桜庭:黙れ!!  : 桐谷:(桜庭をまっすぐ見つめる) 桐谷:(間) 桐谷:女、使う?  : 桜庭:(息を呑む)  : 桐谷:あたし、使う? 桐谷:(目を閉じ、顔を背ける) 桐谷:いいよ  : 桜庭:(銃を突きつけたまま唸る)  : 桐谷:アンタ  : 桜庭:(かぶせて)(叫ぶ) 桜庭:(銃を真上に向け、天井を撃ち抜く)  : 0:(桐谷、桜庭、抗争先の構成員から拳銃による発砲を受ける)  : 桜庭:お誂え向き(おあつらえむき)だね 桜庭:遊んでくれるのかい、愚図(ぐず)共 桜庭:(扉から飛び出していく)  : 蓼原:(裏から出て服を剥がれた桐谷に気づく) 蓼原:何事かと思えば、ヤツは  : 桐谷:(顔を真上に戻し、目を開く) 桐谷:あたし  : 蓼原:(上着を桐谷の胸元にかける) 蓼原:何もない、安心しろ 蓼原:あのバカが守ってくれる  : 桐谷:使う?  : 蓼原:要らん、足りてる 蓼原:何か食うか 蓼原:卵焼きくらいしか、作れんが  : 桐谷:アンタ、名前  : 蓼原:蓼原だ 蓼原:お前は  : 桐谷:ないの  : 蓼原:そうか 蓼原:また考えておこう  : 桐谷:これは 桐谷:(数字の書かれたドッグタグを見せる)  : 蓼原:68、50  : 桐谷:それが、あたし  : 蓼原:済まなかったな  : 桐谷:いいよ  : 蓼原:待ってろ、きっといい名を考えてやる  : 桐谷:いいよ 桐谷:それが、あたし  : 蓼原:いいから、待ってろ 蓼原:もう、受け入れるな 蓼原:見失うな、諦めるな  : 蓼原:そんな、目をするな  : 0:(間)  : 蓼原:(桐谷を起こし、抱きしめる)  : 桐谷:(驚きで緊張する)  : 蓼原:もうこれ以上、頑張るな  : 桐谷:(少しずつ力が抜けていく) 桐谷:(涙を浮かべる) 桐谷:(やがて泣き喚く)  : 蓼原:(桐谷の泣き声に)よしよし、いい子だ  :  :*  : 0:(回想終わり) 0:(序盤の続き) 0:(ハンブルクの港湾倉庫) 0:(桜庭、二丁の拳銃をぶら下げて立っている) 0:(蓮池、バイクで現れる)  : 蓮池:相変わらず見事な手際だ 蓮池:惚れ惚れしますよ  : 桜庭:そんな軽口を叩く前に、釣果を  : 蓮池:分かってますよ 蓮池:結論としては成功です  : 桜庭:そうか 桜庭:ちなみにオフィサーの動向は  : 蓮池:物見遊山(ものみゆさん)ですよ 蓮池:各所の小競り合いを眺めて悦に入る 蓮池:合間で人命をチップにゲームに興じる 蓮池:何も変わりません、半年前から  : 桜庭:本当に飽きない下世話な連中だ 桜庭:いっそ僕を混ぜてくれれば話が早いのに  : 蓮池:あなたがいたらゲームになりませんよ 蓮池:ただのショーです  : 桜庭:ありがとう、珍しく褒めるね僕のこと  : 蓮池:いつも私はあなたに賛辞を送っています 蓮池:少しは私の話も聞いてください  : 桜庭:ごめんごめん 桜庭:それはそれとして今回も『使い捨て』?  : 蓮池:ええ、もちろん  : 桜庭:本当に人命が湯水のようだね  : 蓮池:顔が歪んだのを久しぶりに見ましたよ  : 桜庭:おっといけない、クールじゃなくちゃ  : 蓮池:まずは今までを整理しましょう 蓮池:3つ巴はそれぞれブエノスアイレスと  : 桜庭:ハンブルクとパリだね  : 蓮池:恐らくはそうでしょう 蓮池:ただし、ブエノスアイレスは確証がない 蓮池:やり方が間接的すぎるのも少し妙です  : 桜庭:そうだね 桜庭:多分このままとはいかない 桜庭:近いうちに総力戦、仕掛けてくるのかな  : 蓮池:オフィサーでタイミングを計っていると  : 桜庭:もしかするともしかしちゃうね 桜庭:組織の構図自体を捻じ曲げてでも 桜庭:今回の僕たちの動きを潰しにかかるかも  : 蓮池:言わば私たちは第三勢力 蓮池:ヒドゥン・セクレタリからはマークされ 蓮池:強力な味方の援護も得られない 蓮池:どうしてこんなに損ばかりなんでしょう  : 桜庭:大丈夫だよ、うまく立ち回ってあげる  : 蓮池:信用できるんですかね  : 桜庭:多弁な鳥は真っ先に撃ち落されるよ  : 蓮池:これはご忠告痛み入ります  : 桜庭:そして当面の動きとしては 桜庭:僕か、タデを消す  : 蓮池:まあ、そうなりますね 蓮池:もう間者(かんじゃ)が向かったようで  : 桜庭:おお、早いねぇ  : 蓮池:言っておきますが流したのはあなたです  : 桜庭:そうだよ 桜庭:でも、タデならすぐ気づくさ 桜庭:僕のことならすぐにね  : 蓮池:その信頼感はさすがです  : 桜庭:あそこは僕のセーフハウス 桜庭:万が一襲撃があっても間者が来ても 桜庭:全ての部屋で迎撃ができる 桜庭:タデならうまくやってくれるって  : 蓮池:それならい(いのですが)  : 0:(銃撃)  : 桜庭:別働か、まずったね  : 蓮池:どうしますか  : 桜庭:いいよ、ここは撒こう  : 蓮池:かしこまりました  : 桜庭:殿は僕だ  : 蓮池:申し訳ありません  : 桜庭:仕方ないよ 桜庭:君が傷を受けては計画がおシャカだ  : 蓮池:後は頼みます 蓮池:(桜庭にその場を任せて逃げる)  : 0:(桜庭、尚も銃撃を受ける) 0:(桜庭、応戦する)  : 桜庭:モテない男はやっぱりしつこいね 桜庭:(手榴弾を準備する) 桜庭:(狙撃を受け、手榴弾を取り落とす)  : 桜庭:(咄嗟に蓮池が去った出口へ向かう) 桜庭:なるほど、巧い(うまい)手だ 桜庭:(間に合わず爆発に巻き込まれ負傷する)  : 0:(6話の後) 0:(とあるホテルのベッド) 0:(柳沼、眠っている) 0:(桜庭、柳沼に背を向けるようにベッドに座り煙草を燻らせている)  : 柳沼:(目を覚ます) 柳沼:ん、早いのね  : 桜庭:あ、おはよう 桜庭:よく眠れたかい  : 柳沼:ええ、おかげさまで 柳沼:昔から、あなたと一緒の朝は慣れないわ 柳沼:寝坊してばかりよ、らしくない 柳沼:(寝返りを打ち天井を向く)  : 桜庭:僕はむしろ見慣れたよ 桜庭:いる?コーヒー。  : 柳沼:もらおう、かな  : 桜庭:分かった、ちょっと待ってて  : 柳沼:ありがとう、サク  : 桜庭:(聞いている)  : 柳沼:思わなかった 柳沼:私がこんな下手を打っちゃうなんて  : 桜庭:(お湯を沸かしている)  : 柳沼:気づけず、見逃して、使われる 柳沼:失態のバーゲンセールよ 柳沼:虫唾が走る、殴りたくなる  : 桜庭:(豆を挽いている)  : 柳沼:傷ついたとか言ってられないけど 柳沼:今日くらい、許して  : 桜庭:いいよ、許してあげる  : 柳沼:ごめんね 柳沼:ごめんね、サク  : 桜庭:いつも頑張ってくれてるじゃないか 桜庭:あの日も、必死に耐えてた 桜庭:あんな目は、もうさせない 桜庭:(手を止めて柳沼を見つめる)  : 柳沼:やめて、もう 柳沼:だからあなたは怖いのよ  : 桜庭:どうしたんだい 桜庭:(再開する)  : 柳沼:引き込まれるの 柳沼:あの時から私は、あなたの目に呪われた 柳沼:あなたの躰に縛られた  : 桜庭:そんな中毒性、あったかな  : 柳沼:(泣き笑う) 柳沼:もう、だめね私 柳沼:すぐ話しちゃう  : 桜庭:隠し立てなんてできると思ってるの?  : 柳沼:いいえ、でも 柳沼:(起き上がり桜庭に近づく) 柳沼:あなた以上にあなたを知る部分もある 柳沼:(桜庭の右腕の包帯を剥ぎ、舐める)  : 桜庭:(熱い声を上げる)  : 柳沼:好きだったわよね 柳沼:怪我したところ  : 桜庭:へえ 桜庭:まだ続ける気?  : 柳沼:ごめんなさい、まだ疼くみたい  : 桜庭:あれだけ昨晩させておいて、全く 桜庭:残念ながら僕は出るよ 桜庭:蓮池でも呼んだらどうだ  : 柳沼:黄色いチューリップ、ね  : 桜庭:時々、彼は面白いセンスを見せてくれる  : 柳沼:気をつけて 柳沼:また相手してもらわないと、困るんだから  : 桜庭:ああ、分かった 桜庭:できたよ 桜庭:(コーヒーをマグカップに注ぐ)  : 柳沼:ありがとう 柳沼:(コーヒーを受け取り、一口飲む) 柳沼:え、あなたは?  : 桜庭:ああ、僕はさっきね  : 柳沼:そうなの、それは 柳沼:(ふらつく) 柳沼:ん…どうして  : 桜庭:僕からもごめんね、柳沼 桜庭:寝ててくれないと困るんだ  : 0:(柳沼、倒れる)  : 桜庭:さすが効くね、お手製の睡眠薬とは恐れ入る  : 蓼原:(入ってくる)  : 桜庭:悪いね、付き合わせて  : 蓼原:いつものことだ 蓼原:今回はお前が運転か  : 桜庭:ああ、よろしく頼むよ  : 蓼原:(ため息) 蓼原:これは荒れそうだ  : 桜庭:むしろ僕はワクワクして堪らないよ  : 蓼原:しっかり伝わってるから殺気を仕舞え  : 桜庭:躍るだろう? 桜庭:軽やかなステップとともに火が消える 桜庭:消えて消えて、燭台が朽ちる  : 蓼原:やめろやめろ、ポエムは既に聞き飽きた 蓼原:それより腹が減った、飯だ  : 桜庭:(含み笑う)  : 蓼原:おい、ケツの穴をもう一つ増やされたいか  : 桜庭:お荷物相手に足りてるって言ったの 桜庭:どこのどなただったっけな  : 蓼原:分かった、いいだろう 蓼原:穴は4つに決定だ  : 桜庭:じゃあ、何食べる? 桜庭:安定のスクランブルエッグでも作ろうか  : 蓼原:貴様(かぶる/バカにするのも)  : 桜庭:(かぶせて)あ、失敗した卵焼きか  : 蓼原:あのなあ 蓼原:(ため息)  : 蓼原:(部屋を出る) 桜庭:(部屋を出る)  : 0:(数十分後) 0:(ホテルのベッドの上) 0:(柳沼、仰向けに寝かされている)  : 柳沼:(気がつく) 柳沼:寝…かされて…る… 柳沼:(起き上がる) 柳沼:…痛っ  : 0:(柳沼、部屋を見渡す)  : 柳沼:(冷めたコーヒーを見つける) 柳沼:サク 柳沼:(落ちている包帯を拾う) 柳沼:無理しちゃって、もう  : 柳沼:(包帯を見つめ、静かに匂いを嗅ぐ)  : 柳沼:(最も血が濃い部分にメモを見つける) 柳沼:8C37、か 柳沼:女ふたりのカジノ旅? 柳沼:あなたも意地悪よね、全く  : 0:(続)