台本概要

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タイトル 談笑怪談
作者名 てくす  (@daihooon)
ジャンル ホラー
演者人数 3人用台本(男1、女1、不問1)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 今日は何やら3人で談笑しているようですが……。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
尾先 44 おさき じんこ。憑物筋の家系で狐を使役する。
53 やまもと あかね。ひょんなことから怪異に関わるようになる。
不問 49 むくろ。性別、年齢など情報が全く分からない白髪の人。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:ある日の事 0:オサキの元に電話があった。 尾先:あぁ、そうなったか 尾先:じゃあ、安静にしておけ 尾先:もう大丈夫だろう 尾先:……そうだな、その件に関しては 茜:あの電話って、もしかして 骸:どうやら回復したようだね 骸:……取られた髪を戻しただけなのにって顔だね 茜:女は髪が命って言葉の通りなんですよね? 骸:性別に関係なく、命の代わりなのは間違いないね 骸:髪はよく、そういう風に扱われる 骸:よくある怪談話に髪を使うのもそのせいかな 骸:儀式や封印にも使われたりするし 骸:血や爪、指や排泄物と違って 骸:髪だけは命の割合が多い 茜:排泄物って…えっ? 骸:穢れという言葉があるように 骸:汚いものにも相応の力があるよ 骸:この業界であれば、使う人も少なくないかな 骸:例えば、清酒を円を描くように自分の周りに撒く 骸:その後に、自分の尿で手を濡らす 茜:なんでそんな事… 骸:酒は、妖怪たちが好んでることもある 骸:近寄って来た妖怪の気をそらせる 骸:逆に手は穢された呪いのようなもので 骸:自分を清酒に寄って来た妖怪と誤認させる 骸:この二つの役割により怪異から身を隠せる 骸:一種の結界だよ 骸:と、これは真似しても出来ないけどね 尾先:それなりに知識と手順があるからな 尾先:お前がこの通り真似しても気づかれる 尾先:……まぁ、やろうとは思わないだろうが 茜:絶対にやらないです! 尾先:そこまで否定するな 尾先:これも手段なんだよ 骸:フフ、この手の儀式や結界 骸:封印とかそういうことを知りたいなら 骸:知り合いの鳳(おおとり)って人を紹介するよ 骸:色んなものを知ってるからね 茜:遠慮します…… 尾先:最近、色々忙しかったから 尾先:久しぶりの談笑だな 尾先:骸も最近よく居座るな 骸:あぁ、此処は今、僕にとっては 骸:パワースポットみたいなものだからね 茜:どこがパワースポットなんですか!? 茜:心霊スポットですよ! 骸:言い得て妙だね 尾先:俺の家なんだが? 尾先:まぁいい、お前ら暇か? 骸:予定はないけど 茜:私も別に予定はないですけど 尾先:それじゃあ、暇つぶしだ 尾先:茜、話題あるか? 茜:そんな急に言われても…… 茜:あ!そういえば骸さん 茜:骸さんが色々教えてくれたり 茜:説明したりするとき、アニメとか引き合いに出しますけど 茜:もしかして、骸さんってそういうの見るんですか? 尾先:なんだその話題は…… 尾先:いや、確かに気にはなるが 骸:意外かい? 尾先:見てるのか? 骸:うーん、その役割としては見てないけど 骸:僕にとっては資料だからさ 茜:資料、ですか? 骸:都市伝説の怪異とかって 骸:自然発生と違って人が想像して生み出すモノだから 骸:アニメも漫画も、小説も映画も全部見るよ 骸:ジャンルは偏ってるけどね 茜:ホラーとかミステリーものだけってことですか? 骸:あとは恋愛もね 骸:人の気持ちを知るのも必要だから 骸:負の感情が出やすいからさ、恋愛ものって 尾先:意外だな 茜:骸さんが恋愛もの…… 骸:恋愛ってハッキリしてるでしょ? 骸:誰かが結ばれれば、誰かは結ばれない 骸:恋人が死ぬ展開もあるね 骸:意外と負の感情が転がってる 骸:そういうのを鵜呑みにした人は 骸:また怪異を生みやすいからさ 茜:怪異を生みやすい? 茜:恋愛映画で、ですか? 骸:恋愛映画だけじゃなくて 骸:茜ちゃんも最初は恋愛のことだったでしょ? 茜:……そういえば… 骸:良くも悪くも人の感情が動きやすいから 骸:どの瞬間に人は感情が動くのか 骸:そういった機微を見つける為、だね 茜:なんでそこまでするんですか? 尾先:怪異は人の範疇を超えるからな 尾先:骸ほど全てを網羅しようとは思わないが 尾先:やってることは正しいだろうな 骸:あとは怪異ってそんなに頻繁に現れないでしょ? 骸:暇な時間もあるってことだよ 骸:けど、オサキが言ってるように人の範疇を超える 骸:どれだけ考えても、その上をいく 骸:だとしても、材料は多い方がいい 尾先:知識として利用できるものは利用する 尾先:俺が色々調べろとお前に言うのもそれだな 茜:確かに、知っていれば対処もできますね 茜:けど、ネットで調べられるものは 茜:そんなに期待もできないんですよね? 尾先:だとしても、それも知識だ 尾先:そこから一歩踏み出して 尾先:書いてあったことがAだとすれば 尾先:自分でBやCのシナリオを用意する 尾先:そこまでやれて、初めて俺の助手だな 茜:……精進します 骸:今僕たちが話していることも忘れないでね 骸:いつか、役に立つかもしれない 骸:さて、じゃあ次は僕の番 尾先:いいネタでもあるのか? 骸:茜ちゃんが空間系の怪異に強いことが解ったことだし 骸:そっちの話をしようかな 茜:禁足地とかですか? 骸:今回は禁足地じゃなくて 骸:異世界について 骸:っていうのはどうかな? 0: 尾先:異世界か 尾先:タイムリーではあるな 茜:そっち系も見るんですか?骸さん 骸:あはは、確かに流行ってはいるね 骸:けど僕の話はファンタジーじゃないよ 骸:怪異の異世界だ 尾先:禁足地、そして境界を越えただろ? 尾先:言うなれば、アレも異世界だ 茜:そうなんですか? 尾先:空間が歪んだような感覚があったんだろ? 尾先:あれが異世界への入り口だと思えば解りやすい 茜:異世界というか、別の空間に行ったような…… 茜:あ、それが異世界ですね! 骸:そう、本当に違う世界に行くわけじゃなくて 骸:別の時間軸、空間…あとは怪異が作った結界だったり 骸:一応、今いる場所と別の場所に行くことを異世界としてる 骸:昔、流行ったものがあってね 尾先:聞いたことあるんじゃないか? 尾先:異世界に行く方法 茜:……そういえば 茜:昔、男の子たちが話してたような… 尾先:エレベーターだったり、呪文だったり 尾先:鍵となるものは色々あるが 尾先:そういう話が出回った時期がある 骸:僕が話す異世界はそれ 骸:先ずは、時間について話そう 茜:時間ですか 茜:ある時間に異世界に行ける話ですか? 骸:そういう話もあるね 骸:ただ、この異世界関係の話は共通点も多くて 骸:時間に関しては名前が付いている 骸:解るかい? 茜:名前ですか 茜:……逢魔時? 尾先:お、今日は察しがいいな 尾先:他は知ってるか? 茜:他ですか? 茜:えー…うーん… 骸:時間に名前が付いてるものは 骸:逢魔時、または黄昏時とも言う 骸:他は、丑三つ時、夕暮れ時とか 茜:あ!言われたら分かりますね! 尾先:まだまだだな 茜:今覚えたからいいんです! 茜:それで、その時間に異世界に行けるんですか? 骸:さっきも言ったけど、そういう話もある 骸:ただ、この話は違ってね 骸:異世界に迷い込んだ時、夕暮れ時が多いんだ 骸:僕たちが行った禁足地や境界を越えたのは 骸:自分から行ったし、手順を踏んだりしたことで 骸:時間に縛られたりは無かったけど 尾先:夕暮れ時が多い理由もあるらしいな 尾先:共通することは結構多いと俺も聞いたことがある 尾先:あとは、人が消えるとかな 茜:人が消える? 尾先:境界には色々な鍵があるのは話したな? 尾先:同じように電車を例に出すか 尾先:異世界に行く鍵が駅だとする 尾先:いつもと変わらず駅に行き、ふと携帯に目を落とす 尾先:次に顔を上げた時、そこは異世界だった 茜:なんですか、それ 茜:そういうことがあるんですか? 骸:これも一種の神隠しだけど 骸:駅という鍵、世界から一度目を離すのも鍵かもね 茜:世界から目を離す…って 茜:携帯を見たその一瞬? 茜:その一瞬で移動した‥? 尾先:結局、人は目で見たもので認識する 尾先:景色から目を離した時に移動する 尾先:その時、別の知らない場所に移動していたり 尾先:さっきまで人が居たのに誰一人いなくなることもある 茜:それが人が消える話ってことですか 茜:急に人が居なくなったら焦りますね 骸:この手の話はこういう共通点が多いんだ 骸:だから、知っていれば移動したと解りやすいね 骸:と、これが異世界の話 茜:昔だったら信じられませんけど 茜:今は信じられるからなぁ… 茜:気をつけます 骸:茜ちゃんの場合、空間の歪みが見えてたから 骸:それが先に見えるかもね 骸:何もないのに空間が歪んでいたら注意した方がいい 茜:わ、わかりました… 尾先:じゃあ、次は俺の番か 骸:へぇ、オサキは何を話すのかな? 茜:尾先さん、すぐに追々って言うから 茜:何か一つ教えてくださいよ 尾先:……あー、そうだな 骸:ハハ、逃げてたツケが回って来たかな? 尾先:追々って俺が言ってるのは 尾先:その内、嫌でも知ることになる可能性が高いからだ 尾先:別に逃げてるわけじゃない 尾先:骸もいることだからな 尾先:少し、都市伝説の話でもするか 骸:都市伝説?僕が知らない話かな? 尾先:あぁ、多分な 尾先:知らないでも考察して解るかもしれんが 骸:それでも情報としてはありがたいね 茜:そんな都市伝説を知っているんですか? 尾先:骸は動画配信サイトは見てるのか? 骸:見てるよ 骸:茜ちゃんの質問と被るけど 骸:最近はそこでしか配信されないものもあったり 骸:素人が動画投稿してたりするからね 骸:心霊系の配信者もたまに 茜:聞けば聞くほど意外というか… 茜:推しとかいます? 骸:流石にそこまでじゃないよ 骸:そうだね、あえて言えば 骸:僕の推しはオサキかな? 尾先:冗談でもやめてくれ 骸:都市伝説を語る人は多いけど 骸:僕の知らないものを語る人は少ないかな 骸:考察がたまに核心に近い人もいるから 骸:そういう面で見ると面白いんだけどね 茜:あくまで情報収集ってことですね 茜:けど、やっぱりそんな骸さんを想像できない! 尾先:じゃあ、知ってるかもしれないな 尾先:動画を撮影中に取り憑かれて 尾先:消えた配信者の話だ 茜:えっ、そんなのあるんですか? 尾先:登録者が少なくて、そんなに話題になってない 尾先:壮大なドッキリとも言われているがな 尾先:まぁ、動画を見たんだがアタリだ 骸:ひとりかくれんぼ、かな? 尾先:いや、降霊術系じゃない 骸:その手の動画は、僕でも見つけられそうだけど 骸:ふぅん、知らないかも 茜:骸さんのその言い方って 茜:何個かそういう動画があるってことですか? 骸:まぁ、霊が映ったり、心霊写真系の動画で 骸:本物はあることにはあるよ 骸:オサキの話を遮って悪いけど 骸:一つ、これも話しておこうかな 茜:何ですか? 骸:心霊写真や動画の注意点 骸:昔のモノには注意すること 茜:昔のもの? 尾先:簡単な話だな 尾先:現代の技術ではCGだったり 尾先:そう見せることができるようになった 尾先:写真も加工技術が発達した 尾先:俺たちみたいに霊感があって残穢を見れば 尾先:本物か偽物か判断はできる 茜:黒いモヤだったりですよね 茜:私も尾先さんの手伝いで見たから 茜:その時、教えてもらいましたね 尾先:あぁ、だがあの時は 尾先:心霊写真の見分け方ってだけだ 骸:つまり、昔のモノを注意するべきなのは 骸:現代の技術が介入できないって点だね 骸:昔はそんな技術が無かった分 骸:おかしな事が起こるのは 骸:本当におかしな事が起こったからなんだ 骸:だから、昔のモノは少ないんだ 骸:単に残ってないってわけじゃなくて 骸:ある方が珍しいモノだからね 茜:なるほど 茜:覚えておきます 尾先:さて、俺の話だな 尾先:まぁ、つまりは本物で 尾先:動画撮影中に取り憑かれ、消えた配信者 尾先:それが半年前の出来事で、今も見つかっていない 尾先:配信者は男二人組 尾先:俺が見た感じ霊道は無さそうだった 尾先:企画は、まぁよくある心霊映画の話をしていたな 尾先:あとは呼ばれた 茜:呼ばれた?……霊に? 尾先:あぁ 茜:その怪異って何なんですか? 骸:……うん、普通の霊だろうね 骸:悪霊が正しいかな 骸:多分、偶々呼ばれて取り憑かれた類だね 骸:怪異譚として語るほどの話ではないね 尾先:だと思うだろ? 骸:…へぇ? 茜:なんか、競ってます?二人 尾先:骸の上を取るのは難しいからな 尾先:取れる時にマウントは取るべきだな 骸:少し調子に乗りすぎじゃないかな?オサキ 茜:そ、それで!続きは!? 尾先:二人組の内、一人が呼ばれて最初に消えた 尾先:数日後に、残った一人も呼ばれたわけだが 尾先:その呼んだ相手が最初の一人だった 尾先:霊が呼んだのは確かだろうが 尾先:呼んでる相手が更新されているんだよ 茜:新しい犠牲者に成り変わってる…? 茜:それとも死んでしまった恨みとか 骸:面白い 骸:……色々考えられるけど 骸:茜ちゃんの説も十分ありそうだね 尾先:お前はどう見る? 骸:もし、怪異譚としてより強力にするなら 骸:大元がいてもいいよね? 茜:大元、ですか…… 茜:あ、解りました! 茜:大元の悪霊がいて、取り憑いた人たちを使って 茜:もっと人に取り憑かせてるってことですか? 尾先:数珠繋ぎの霊体 尾先:俺もその考えだ 骸:なるほど 骸:それが本当なら被害も増えそうだね 骸:大元から一体、幾つの数珠が出てることかな? 茜:大丈夫なんですか、それ 骸:この話を僕にしたということは 骸:そういうこと?オサキ 尾先:お前は俺を自分勝手に使うだろ? 尾先:偶には俺に使われろ、骸 茜:あれ?えっと…もしかして… 茜:この話って、まさか 骸:アッハハ、茜ちゃん 骸:楽しい時間の始まりだね 茜:ちょ、尾先さん! 尾先:まぁ、談笑もここまでだ 尾先:二人とも予定は無いらしいからな 茜:もしかして、最初から… 茜:凪!尾先さんが! 骸:さて、僕を使う以上 骸:楽しませてね、オサキ 尾先:あぁ、暇つぶし程度にはな 0:終

0:ある日の事 0:オサキの元に電話があった。 尾先:あぁ、そうなったか 尾先:じゃあ、安静にしておけ 尾先:もう大丈夫だろう 尾先:……そうだな、その件に関しては 茜:あの電話って、もしかして 骸:どうやら回復したようだね 骸:……取られた髪を戻しただけなのにって顔だね 茜:女は髪が命って言葉の通りなんですよね? 骸:性別に関係なく、命の代わりなのは間違いないね 骸:髪はよく、そういう風に扱われる 骸:よくある怪談話に髪を使うのもそのせいかな 骸:儀式や封印にも使われたりするし 骸:血や爪、指や排泄物と違って 骸:髪だけは命の割合が多い 茜:排泄物って…えっ? 骸:穢れという言葉があるように 骸:汚いものにも相応の力があるよ 骸:この業界であれば、使う人も少なくないかな 骸:例えば、清酒を円を描くように自分の周りに撒く 骸:その後に、自分の尿で手を濡らす 茜:なんでそんな事… 骸:酒は、妖怪たちが好んでることもある 骸:近寄って来た妖怪の気をそらせる 骸:逆に手は穢された呪いのようなもので 骸:自分を清酒に寄って来た妖怪と誤認させる 骸:この二つの役割により怪異から身を隠せる 骸:一種の結界だよ 骸:と、これは真似しても出来ないけどね 尾先:それなりに知識と手順があるからな 尾先:お前がこの通り真似しても気づかれる 尾先:……まぁ、やろうとは思わないだろうが 茜:絶対にやらないです! 尾先:そこまで否定するな 尾先:これも手段なんだよ 骸:フフ、この手の儀式や結界 骸:封印とかそういうことを知りたいなら 骸:知り合いの鳳(おおとり)って人を紹介するよ 骸:色んなものを知ってるからね 茜:遠慮します…… 尾先:最近、色々忙しかったから 尾先:久しぶりの談笑だな 尾先:骸も最近よく居座るな 骸:あぁ、此処は今、僕にとっては 骸:パワースポットみたいなものだからね 茜:どこがパワースポットなんですか!? 茜:心霊スポットですよ! 骸:言い得て妙だね 尾先:俺の家なんだが? 尾先:まぁいい、お前ら暇か? 骸:予定はないけど 茜:私も別に予定はないですけど 尾先:それじゃあ、暇つぶしだ 尾先:茜、話題あるか? 茜:そんな急に言われても…… 茜:あ!そういえば骸さん 茜:骸さんが色々教えてくれたり 茜:説明したりするとき、アニメとか引き合いに出しますけど 茜:もしかして、骸さんってそういうの見るんですか? 尾先:なんだその話題は…… 尾先:いや、確かに気にはなるが 骸:意外かい? 尾先:見てるのか? 骸:うーん、その役割としては見てないけど 骸:僕にとっては資料だからさ 茜:資料、ですか? 骸:都市伝説の怪異とかって 骸:自然発生と違って人が想像して生み出すモノだから 骸:アニメも漫画も、小説も映画も全部見るよ 骸:ジャンルは偏ってるけどね 茜:ホラーとかミステリーものだけってことですか? 骸:あとは恋愛もね 骸:人の気持ちを知るのも必要だから 骸:負の感情が出やすいからさ、恋愛ものって 尾先:意外だな 茜:骸さんが恋愛もの…… 骸:恋愛ってハッキリしてるでしょ? 骸:誰かが結ばれれば、誰かは結ばれない 骸:恋人が死ぬ展開もあるね 骸:意外と負の感情が転がってる 骸:そういうのを鵜呑みにした人は 骸:また怪異を生みやすいからさ 茜:怪異を生みやすい? 茜:恋愛映画で、ですか? 骸:恋愛映画だけじゃなくて 骸:茜ちゃんも最初は恋愛のことだったでしょ? 茜:……そういえば… 骸:良くも悪くも人の感情が動きやすいから 骸:どの瞬間に人は感情が動くのか 骸:そういった機微を見つける為、だね 茜:なんでそこまでするんですか? 尾先:怪異は人の範疇を超えるからな 尾先:骸ほど全てを網羅しようとは思わないが 尾先:やってることは正しいだろうな 骸:あとは怪異ってそんなに頻繁に現れないでしょ? 骸:暇な時間もあるってことだよ 骸:けど、オサキが言ってるように人の範疇を超える 骸:どれだけ考えても、その上をいく 骸:だとしても、材料は多い方がいい 尾先:知識として利用できるものは利用する 尾先:俺が色々調べろとお前に言うのもそれだな 茜:確かに、知っていれば対処もできますね 茜:けど、ネットで調べられるものは 茜:そんなに期待もできないんですよね? 尾先:だとしても、それも知識だ 尾先:そこから一歩踏み出して 尾先:書いてあったことがAだとすれば 尾先:自分でBやCのシナリオを用意する 尾先:そこまでやれて、初めて俺の助手だな 茜:……精進します 骸:今僕たちが話していることも忘れないでね 骸:いつか、役に立つかもしれない 骸:さて、じゃあ次は僕の番 尾先:いいネタでもあるのか? 骸:茜ちゃんが空間系の怪異に強いことが解ったことだし 骸:そっちの話をしようかな 茜:禁足地とかですか? 骸:今回は禁足地じゃなくて 骸:異世界について 骸:っていうのはどうかな? 0: 尾先:異世界か 尾先:タイムリーではあるな 茜:そっち系も見るんですか?骸さん 骸:あはは、確かに流行ってはいるね 骸:けど僕の話はファンタジーじゃないよ 骸:怪異の異世界だ 尾先:禁足地、そして境界を越えただろ? 尾先:言うなれば、アレも異世界だ 茜:そうなんですか? 尾先:空間が歪んだような感覚があったんだろ? 尾先:あれが異世界への入り口だと思えば解りやすい 茜:異世界というか、別の空間に行ったような…… 茜:あ、それが異世界ですね! 骸:そう、本当に違う世界に行くわけじゃなくて 骸:別の時間軸、空間…あとは怪異が作った結界だったり 骸:一応、今いる場所と別の場所に行くことを異世界としてる 骸:昔、流行ったものがあってね 尾先:聞いたことあるんじゃないか? 尾先:異世界に行く方法 茜:……そういえば 茜:昔、男の子たちが話してたような… 尾先:エレベーターだったり、呪文だったり 尾先:鍵となるものは色々あるが 尾先:そういう話が出回った時期がある 骸:僕が話す異世界はそれ 骸:先ずは、時間について話そう 茜:時間ですか 茜:ある時間に異世界に行ける話ですか? 骸:そういう話もあるね 骸:ただ、この異世界関係の話は共通点も多くて 骸:時間に関しては名前が付いている 骸:解るかい? 茜:名前ですか 茜:……逢魔時? 尾先:お、今日は察しがいいな 尾先:他は知ってるか? 茜:他ですか? 茜:えー…うーん… 骸:時間に名前が付いてるものは 骸:逢魔時、または黄昏時とも言う 骸:他は、丑三つ時、夕暮れ時とか 茜:あ!言われたら分かりますね! 尾先:まだまだだな 茜:今覚えたからいいんです! 茜:それで、その時間に異世界に行けるんですか? 骸:さっきも言ったけど、そういう話もある 骸:ただ、この話は違ってね 骸:異世界に迷い込んだ時、夕暮れ時が多いんだ 骸:僕たちが行った禁足地や境界を越えたのは 骸:自分から行ったし、手順を踏んだりしたことで 骸:時間に縛られたりは無かったけど 尾先:夕暮れ時が多い理由もあるらしいな 尾先:共通することは結構多いと俺も聞いたことがある 尾先:あとは、人が消えるとかな 茜:人が消える? 尾先:境界には色々な鍵があるのは話したな? 尾先:同じように電車を例に出すか 尾先:異世界に行く鍵が駅だとする 尾先:いつもと変わらず駅に行き、ふと携帯に目を落とす 尾先:次に顔を上げた時、そこは異世界だった 茜:なんですか、それ 茜:そういうことがあるんですか? 骸:これも一種の神隠しだけど 骸:駅という鍵、世界から一度目を離すのも鍵かもね 茜:世界から目を離す…って 茜:携帯を見たその一瞬? 茜:その一瞬で移動した‥? 尾先:結局、人は目で見たもので認識する 尾先:景色から目を離した時に移動する 尾先:その時、別の知らない場所に移動していたり 尾先:さっきまで人が居たのに誰一人いなくなることもある 茜:それが人が消える話ってことですか 茜:急に人が居なくなったら焦りますね 骸:この手の話はこういう共通点が多いんだ 骸:だから、知っていれば移動したと解りやすいね 骸:と、これが異世界の話 茜:昔だったら信じられませんけど 茜:今は信じられるからなぁ… 茜:気をつけます 骸:茜ちゃんの場合、空間の歪みが見えてたから 骸:それが先に見えるかもね 骸:何もないのに空間が歪んでいたら注意した方がいい 茜:わ、わかりました… 尾先:じゃあ、次は俺の番か 骸:へぇ、オサキは何を話すのかな? 茜:尾先さん、すぐに追々って言うから 茜:何か一つ教えてくださいよ 尾先:……あー、そうだな 骸:ハハ、逃げてたツケが回って来たかな? 尾先:追々って俺が言ってるのは 尾先:その内、嫌でも知ることになる可能性が高いからだ 尾先:別に逃げてるわけじゃない 尾先:骸もいることだからな 尾先:少し、都市伝説の話でもするか 骸:都市伝説?僕が知らない話かな? 尾先:あぁ、多分な 尾先:知らないでも考察して解るかもしれんが 骸:それでも情報としてはありがたいね 茜:そんな都市伝説を知っているんですか? 尾先:骸は動画配信サイトは見てるのか? 骸:見てるよ 骸:茜ちゃんの質問と被るけど 骸:最近はそこでしか配信されないものもあったり 骸:素人が動画投稿してたりするからね 骸:心霊系の配信者もたまに 茜:聞けば聞くほど意外というか… 茜:推しとかいます? 骸:流石にそこまでじゃないよ 骸:そうだね、あえて言えば 骸:僕の推しはオサキかな? 尾先:冗談でもやめてくれ 骸:都市伝説を語る人は多いけど 骸:僕の知らないものを語る人は少ないかな 骸:考察がたまに核心に近い人もいるから 骸:そういう面で見ると面白いんだけどね 茜:あくまで情報収集ってことですね 茜:けど、やっぱりそんな骸さんを想像できない! 尾先:じゃあ、知ってるかもしれないな 尾先:動画を撮影中に取り憑かれて 尾先:消えた配信者の話だ 茜:えっ、そんなのあるんですか? 尾先:登録者が少なくて、そんなに話題になってない 尾先:壮大なドッキリとも言われているがな 尾先:まぁ、動画を見たんだがアタリだ 骸:ひとりかくれんぼ、かな? 尾先:いや、降霊術系じゃない 骸:その手の動画は、僕でも見つけられそうだけど 骸:ふぅん、知らないかも 茜:骸さんのその言い方って 茜:何個かそういう動画があるってことですか? 骸:まぁ、霊が映ったり、心霊写真系の動画で 骸:本物はあることにはあるよ 骸:オサキの話を遮って悪いけど 骸:一つ、これも話しておこうかな 茜:何ですか? 骸:心霊写真や動画の注意点 骸:昔のモノには注意すること 茜:昔のもの? 尾先:簡単な話だな 尾先:現代の技術ではCGだったり 尾先:そう見せることができるようになった 尾先:写真も加工技術が発達した 尾先:俺たちみたいに霊感があって残穢を見れば 尾先:本物か偽物か判断はできる 茜:黒いモヤだったりですよね 茜:私も尾先さんの手伝いで見たから 茜:その時、教えてもらいましたね 尾先:あぁ、だがあの時は 尾先:心霊写真の見分け方ってだけだ 骸:つまり、昔のモノを注意するべきなのは 骸:現代の技術が介入できないって点だね 骸:昔はそんな技術が無かった分 骸:おかしな事が起こるのは 骸:本当におかしな事が起こったからなんだ 骸:だから、昔のモノは少ないんだ 骸:単に残ってないってわけじゃなくて 骸:ある方が珍しいモノだからね 茜:なるほど 茜:覚えておきます 尾先:さて、俺の話だな 尾先:まぁ、つまりは本物で 尾先:動画撮影中に取り憑かれ、消えた配信者 尾先:それが半年前の出来事で、今も見つかっていない 尾先:配信者は男二人組 尾先:俺が見た感じ霊道は無さそうだった 尾先:企画は、まぁよくある心霊映画の話をしていたな 尾先:あとは呼ばれた 茜:呼ばれた?……霊に? 尾先:あぁ 茜:その怪異って何なんですか? 骸:……うん、普通の霊だろうね 骸:悪霊が正しいかな 骸:多分、偶々呼ばれて取り憑かれた類だね 骸:怪異譚として語るほどの話ではないね 尾先:だと思うだろ? 骸:…へぇ? 茜:なんか、競ってます?二人 尾先:骸の上を取るのは難しいからな 尾先:取れる時にマウントは取るべきだな 骸:少し調子に乗りすぎじゃないかな?オサキ 茜:そ、それで!続きは!? 尾先:二人組の内、一人が呼ばれて最初に消えた 尾先:数日後に、残った一人も呼ばれたわけだが 尾先:その呼んだ相手が最初の一人だった 尾先:霊が呼んだのは確かだろうが 尾先:呼んでる相手が更新されているんだよ 茜:新しい犠牲者に成り変わってる…? 茜:それとも死んでしまった恨みとか 骸:面白い 骸:……色々考えられるけど 骸:茜ちゃんの説も十分ありそうだね 尾先:お前はどう見る? 骸:もし、怪異譚としてより強力にするなら 骸:大元がいてもいいよね? 茜:大元、ですか…… 茜:あ、解りました! 茜:大元の悪霊がいて、取り憑いた人たちを使って 茜:もっと人に取り憑かせてるってことですか? 尾先:数珠繋ぎの霊体 尾先:俺もその考えだ 骸:なるほど 骸:それが本当なら被害も増えそうだね 骸:大元から一体、幾つの数珠が出てることかな? 茜:大丈夫なんですか、それ 骸:この話を僕にしたということは 骸:そういうこと?オサキ 尾先:お前は俺を自分勝手に使うだろ? 尾先:偶には俺に使われろ、骸 茜:あれ?えっと…もしかして… 茜:この話って、まさか 骸:アッハハ、茜ちゃん 骸:楽しい時間の始まりだね 茜:ちょ、尾先さん! 尾先:まぁ、談笑もここまでだ 尾先:二人とも予定は無いらしいからな 茜:もしかして、最初から… 茜:凪!尾先さんが! 骸:さて、僕を使う以上 骸:楽しませてね、オサキ 尾先:あぁ、暇つぶし程度にはな 0:終