台本概要

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タイトル 恋は突然舞い降りて
作者名 ふらん☆くりん  (@Frank_lin01)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 5人用台本(男3、女2) ※兼役あり
時間 60 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 【あらすじ】
あの日を境に私の気持ちは彼への愛に変わっていった…。

【著作権について】
本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。
また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。

【禁止事項】
●商業目的での利用
●台本の無断使用、無断転載、自作発言等
●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等

【ご利用に際してのお願い】
●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)DMに連絡をお願いいたします。
●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。
●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。
※18禁ではありませんが、若干センシティブな表現を含みます

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
龍二 43 桜井 龍二(さくらい りゅうじ)。忍戦隊カゲニンジャーの忍レッド。戦隊のまとめ役だけに正義感と責任感がとにかく強い。
和真 41 斉藤 和真(さいとう かずま)。忍戦隊カゲニンジャーの忍イエロー。見た目は真面目で誠実そうに見えるが、基本的にあまり人に興味がない。時に非情な一面を見せることも。
沙耶 125 如月 沙耶(きさらぎ さや)。忍戦隊カゲニンジャーの忍ピンク。誰にでも優しくほんわかした性格だが、やる時はやるタイプ。謎の声と兼役。
デモス 59 暗黒侵略帝国パルサーの幹部。とても強いが、内には優しさも秘めている仲間思いな性格。
夜叉丸 72 夜叉丸(やしゃまる)。暗黒侵略帝国パルサーの参謀。一見飄々(ひょうひょう)としているがかなりのやり手。隠密行動を得意とし、他人の心が読める能力を持つ。
謎の声 2 謎の声。沙耶役の方が演じてください。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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タイトル:恋は突然舞い降りて : 登場人物: 龍二:*桜井 龍二《さくらい りゅうじ》。忍戦隊カゲニンジャーの忍レッド。戦隊のまとめ役だけに正義感と責任感がとにかく強い。 和真:*斉藤 和真《さいとう かずま》。忍戦隊カゲニンジャーの忍イエロー。見た目は真面目で誠実そうに見えるが、基本的にあまり人に興味がない。時に非情な一面を見せることも。 沙耶:*如月 沙耶《きさらぎ さや》。忍戦隊カゲニンジャーの忍ピンク。誰にでも優しくほんわかした性格だが、やる時はやるタイプ。謎の声と兼役。 デモス:暗黒侵略帝国パルサーの幹部。とても強いが、内には優しさも秘めている仲間思いな性格。 夜叉丸:*夜叉丸《やしゃまる》。暗黒侵略帝国パルサーの参謀。一見*飄々《ひょうひょう》としているがかなりのやり手。隠密行動を得意とし、他人の心が読める能力を持つ。 : :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。 : : 本編: 謎の声:(M)それはある暑い夏の日のことだった。 :----------------------------- 龍二:くっ…お前、罪もない市民を盾にするなど卑怯だぞ! デモス:卑怯?くくく…貴様、面白いことを言うな?我らは貴様らの星を侵略しに来たのだぞ。いずれ滅ぼすことになる人類だ。どう使おうが我らの自由。それを卑怯などとは笑わせる。 和真:ちくしょう…一体どうすれば…。 デモス:いいか!繰り返し言うが、そこから少しでも動けばこの者たちの命はない。貴様らはそこで指を*咥《くわ》えて愛する星が*蹂躙《じゅうりん》される*様《さま》を眺めているが良い!!ふははは! 謎の声:そこまでよ!*朧忍法「胡蝶霧幻吹雪《おぼろにんぽう こちょうむげんふぶき》」! デモス:なっ!急に辺りが金色の霧に包まれて!くっ…何も見えない! 龍二:!?この技は!*沙耶《さや》!来てくれたんだな! 沙耶:ええ!遅くなってごめんなさい。*和真《かずま》、今のうちに人質の救出を! 和真:ああ!分かった!さぁ、皆さんこちらへ! デモス:ええい!小癪な真似を!それならば俺が直接貴様らを倒し、その後でゆっくりと地球をいただくとしよう。 沙耶:二人とも!変身よ! 龍二:ああ!分かってる!*忍武装《しのびぶそう》!〈変身する〉闇夜を照らすは灼熱の炎!忍レッド見参! 和真:俺も続くぜ!*忍武装《しのびぶそう》!〈変身する〉岩をも砕くは鋼の力!忍イエロー参上! 沙耶:そして私が3人目!*可憐《かれん》に舞うはひとひらの花!忍ピンク推参! 龍二:闇を切り裂き明日を*掴《つか》む!忍戦隊! : 龍二:カゲニンジャー!〈同時に〉 和真:カゲニンジャー!〈同時に〉 沙耶:カゲニンジャー!〈同時に〉 デモス:ほほう…少しは楽しめそうだ。行くぞ!はああああ!〈龍二に切りかかる〉 龍二:〈攻撃を受け止める〉ぐっ!コイツ…なんてパワーだ!おりゃー!〈切りかかる〉 デモス:遅い!はっ! 龍二:ぐああ!!〈切られて後方に飛ばされる〉 和真:レッド!それじゃ、これならどうだ!〈殴りかかる〉 デモス:ふん!〈受け止める〉 和真:なに!? デモス:ふふ…この程度で剛力使いとはな!!〈蹴り飛ばす〉 和真:がああ!!〈後方に飛ばされる〉 沙耶:イエロー!くっ…力でダメならこれならどう!花忍法「乱れ桜」!舞い狂う無数の花の*刃《やいば》から逃れられるかしら? デモス:ぐっ…さすがにこれだけの数を捌(さば)き切るのはキツいか。 沙耶:(よし!効いてる!)このまま切り刻まれなさい!!はああああ!! デモス:だが、一つ一つの刃のダメージはさほどでもない。ならば!*堅牢装技「巌鉄甲《けんろうそうぎ  がんてつこう》」! 沙耶:なっ!あいつの体に当たった瞬間に私の乱れ桜が砕けていく…! デモス:当然だ!いかに鋭き刃でも我が無敵の装甲の前では無意味!さあ、どうする? 沙耶:くそ…なんて強敵なの? 龍二:じゃあ今度は俺の番だ!炎忍法「*爆熱豪火球《ばくねつごうかきゅう》」!灼熱の業火で燃え尽きやがれ! デモス:なるほど、そう来たか。ではこちらもこれでお相手しよう。*氷結弾技「極冷葬銃《ひょうけつだんぎ  ごくれいそうじゅう》」! 龍二:くそ!俺の爆熱豪火球が氷の塊になっちまった! デモス:弱い…実に弱いなぁ。それでも貴様らヒーローなのか? 和真:俺に任せろ!外見がいくら強くても中身まではそうじゃねぇだろ!音忍法「*超激震波《ちょうげきしんは》」!俺の音に痺れな! デモス:ほう…音波攻撃とは考えたな…だがこれくらいはどうということもない。*対衝防技「吸撃流盾《たいしょうぼうぎ  きゅうげきりゅうじゅん》」! 和真:そんな…俺の音忍法まで防がれるなんて…。 デモス:音とはこうやって使うのだよ。*操心音技「魅了世界《そうしんおんぎ  みりょうせかい》」! 沙耶:イエロー!危ない!〈とっさに和真を庇う〉 沙耶:きゃあああ!!頭が割れる!(何これ…頭の中に直接声が…) 和真:ピンク! デモス:(さぁ、忍ピンク、いや、*如月 沙耶《きさらぎ さや》よ。我が声に従い従順なる*下僕《しもべ》となるのだ。) 沙耶:(あ…ああ。何て心地良い声なの。)はい。デモス様…私は貴方様の従順な*下僕《しもべ》となりました。何なりとご命令を。 龍二:おい!ピンク!しっかりしろ! 和真:ピンク!正気に戻るんだ! デモス:その二人を殺せ。 沙耶:はい…仰せのままに。花忍法「乱れ桜」!私の刃で消えなさい!! 龍二:くっ…やむを得ん。すまないピンク、ちょっと熱いが我慢してくれ!炎忍法「*飛翔炎撃《ひしょうえんげき》」!燃え盛る炎の鳥よ!全ての攻撃を撃ち落とせ! 沙耶:くっ…! 和真:はああああ!*忍体術「剛腕虎咬撃《しのびたいじゅつ ごうわんここうげき》」! デモス:〈沙耶を庇って〉やらせぬ!ぐああ!! 沙耶:〈正気に戻って〉はっ…私、一体何を? デモス:し、しまった…。 龍二:今だ!!忍奥義!「*覇道轟炎!万火繚乱《はどうごうえん ばんかりょうらん》」!はああああ!! デモス:ぐああああ!! 和真:や、やったか? デモス:ぐっ…!まさかこの俺が貴様らごときに不覚を取るとは。だが次はこうはいかんぞ…。さらばだ! 龍二:ま、待て! 沙耶:ダメ!これ以上深追いするのは危険だわ。それに…。 和真:それに、何だ? 沙耶:ううん。何でもないの。とにかく危険は去ったんだから帰りましょ。 龍二:ああ…そうだな。 : :-------------------暗黒侵略帝国パルサー本部 デモス:くそっ!あともう少しだったのに! 夜叉丸:あらあら、最強の暗黒騎兵デモス閣下ともあろうお方がそんな*満身創痍《まんしんそうい》で帰ってくるなんて一体何があったのかしら? デモス:うるさい! 夜叉丸:うふふ…分かる、分かるわぁ♡私にはあなたの心が手に取るように分かる。へぇ…まさかあなたがそんな感情を抱くなんてね。 デモス:だから黙れと言っている!それに勝手に人の心を読むな!気分が悪い! 夜叉丸:やだわぁ。そんなに邪険にしないでよ。こう見えても私、あなたのファンなのよ。 デモス:ふん!…勝手にぼざいてろ。俺は傷を癒してくる。 夜叉丸:ついでに心の傷も癒して来なさいな。 デモス:黙れ!! 夜叉丸:まあ…トゲトゲしちゃって。うふふ…可愛いわ。じゃあ愛しのデモスちゃんのために私が一肌脱いであげようかしらね。 : :-------------------カゲニンジャー秘密基地 龍二:いてて…やっぱり忍奥義は体へのダメージがデカイな。俺ももっと強くならなきゃな。 和真:まったくだ。まさかあそこまで強い敵が現れるとはな。まだまだ修行が足りないということか…。 沙耶:ねぇ二人とも。ちょっと聞いてもいいかしら? 龍二:何だ急に? 和真:どうした? 沙耶:何であの時敵は私の事を*庇《かば》ったのかしら? 龍二:さあ…何でだろうな? 和真:せっかく手に入れた駒を失いたくなかったとか? 沙耶:駒…ねぇ…。(それにあの敵は私にだけ攻撃して来なかった。どうして?) 和真:まあ考えても仕方ないさ。結果的に敵に深手を負わせたわけだし、しばらくは襲って来ないだろうよ。 龍二:そうだな。さてと、少し休んだら修行でもやるとするか! 和真:お!じゃあ俺も付き合うわ!沙耶はどうする? 沙耶:私は…ちょっと疲れたから部屋でゆっくりするわ。 和真:そうか。まあ今日は疲れたもんな。 龍二:しっかり休めよ。じゃあな。 沙耶:うん…。(敵は…あの人は私を下僕にしてまで何がしたかったのかしら?) 夜叉丸:(はぁい♡御機嫌よう。) 沙耶:(ひ!?頭の中に直接声がする!だ、誰?) 夜叉丸:(あらぁ、そんなに驚かないで。初めまして。私は*夜叉丸《やしゃまる》っていうの。よろしくね。*如月 沙耶《きさらぎ さや》さん。) 沙耶:(私の名前を知っている?あなた…もしかして…?) 夜叉丸:(そ!あなたが昼間戦ったデモス閣下の仲間よ。) 沙耶:(なっ!?何ですって!) 夜叉丸:(まあまあ、そんなに警戒しないで。私はあなたに危害を加えるつもりなんてこれっぽっちもないから安心してよ。それに今日はあなたとお話がしたかっただけなの。信じて。) 沙耶:(信じてって…あなた。そんなこと言われてすぐに信じられるわけないでしょ。) 夜叉丸:(まあそう言わずに。ねぇ、とっても大事な話があるんだけど今から出て来られないかしら?もちろん、他の二人には内緒でね。) 沙耶:(えっ…どうして私だけなの?) 夜叉丸:(ガールズトークに男は邪魔だからよ。) 沙耶:(ガールズトークって…本当に何もしない?) 夜叉丸:(くどいわね。何もしないわよ。それに私はそもそも戦いが嫌いなの。) 沙耶:(…分かったわ。私、あなたを信じる。) 夜叉丸:(ありがとう!じゃあ駅前の喫茶店「森のクマさん」で待ってるわ。) 沙耶:(分かったわ。) : :-------------------喫茶店「森のクマさん」 夜叉丸:はぁい!沙耶ちゃんこっちこっち! 沙耶:ちょっ!沙耶ちゃんって…やめてよ大声で。恥ずかしいじゃない! 夜叉丸:えへへ…ごめんね。座って座って。 沙耶:失礼…します。 夜叉丸:そんなに緊張しなくても大丈夫だって!取って食ったりしないからさぁ。 沙耶:地球侵略しに来た人が何言ってんのよ。…へぇ、それにしてもあなたは普通の人間なのね。 夜叉丸:何言ってんのよ。擬態してるに決まってるじゃないの。こんな所で本来の姿を晒したらパニックになっちゃうわよ。 沙耶:あ、それもそうか。じゃあ改めて…初めまして、*如月 沙耶《きさらぎ さや》です。 夜叉丸:初めまして、*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》パルサーの参謀、夜叉丸だよ!気軽に夜叉りんって呼んでね! 沙耶:分かったわ。で、夜叉りん。私に話って何? 夜叉丸:あのね、実は昨日戦ったデモス閣下がね、あなたのことが好きなの。 沙耶:はぁ?ちょ!いきなり何言い出すのよ! 夜叉丸:はぁ…まあそういう反応になるわよね。 沙耶:当たり前じゃない!あのね夜叉りん、私たちは敵同士なの!ましてやあの人は市民を危険に晒しただけじゃなく、私の大切な仲間も傷付けたのよ!そんな人に好きとか言われても信じられるわけないじゃない! 夜叉丸:じゃあさ、何で昨日デモスちゃんはあなたを*庇《かば》ったの? 沙耶:そ、それは…せっかくの手駒を失いたくなかったからじゃないの? 夜叉丸:そうかなぁ?もしデモスちゃんがあなたを手駒程度にしか思っていなかったのなら、あの場でどうなろうと放って置いたんじゃないかしら?敵も減らせるわけだしね。それよりむしろ私はあなたの仲間の方がよっぽど信じられない気がするんだけど? 沙耶:え?それってどういう意味? 夜叉丸:操られたあなたにイエローが放ったあの技…彼は本気であなたを殺そうとしていたのよ。 沙耶:うそ…そんなことって…。 夜叉丸:考えてもみなさい。あの時デモスちゃんは「*巌鉄甲《がんてつこう》」で完全防御状態だった。それなのにイエローのあの技はデモスちゃんの装甲をやすやすと貫いてデモスちゃんに大ダメージを与えていたわ。もしあの時防御もしていないあなたがあの技をまともに受けていたらひとたまりもなかったでしょうね。 沙耶:あ…ああ…そんなまさか。 夜叉丸:うふふ…ようやく理解したようね。 沙耶:じゃ、じゃあその後でレッドが放った奥義ももしかして…? 夜叉丸:そうよ。あわよくばデモスちゃん*諸共《もろとも》あなたの命を奪うことだって可能だった。デモスちゃんはね、二人のあなたへの殺意を事前に察知したから*咄嗟《とっさ》にあなたを*庇《かば》ったのよ。 沙耶:じゃ、じゃあ何であの時私を下僕なんかにしたの? 夜叉丸:良い質問ね。それはね、ああでもしないとあなたを二人から引き離すことが出来なかったからよ。 沙耶:でも、あの人は私に二人を殺させようとしたのよ!そんなに私が好きなら何で直接二人を倒して私を連れ去らなかったの? 夜叉丸:じゃあ逆に聞くけど、もしデモスちゃんが二人を倒していたとしたらあなたはデモスちゃんに着いて行ってた? 沙耶:それは…。 夜叉丸:でしょ?男ってね、女子の前ではカッコ付けたがるものなのよ。それにね、あなたじゃ二人を倒すことは出来ないって分かっていたから敢えて二人を襲わせたのよ。あたかも操られて仕方なく二人に傷を負わせ、敵に着いて行ったように見せ掛けるためにね。デモスちゃんはそれくらいあなたのことを想っているの。まあ結局は予想以上の深手を*負《お》ってしまってあなたを連れ帰ることは出来なかったけどね。 沙耶:そうだったの…。ねぇ夜叉りん、根本的な事を聞いても良いかしら? 夜叉丸:うん!何でも聞いて! 沙耶:デモスさんはいつから私の事を想ってくれてたの?私あの人と話したことあんまりなくて…。 夜叉丸:そこは本人の口から聞くのが一番じゃない? 沙耶:そ、それはそうだけど…。まさか正義のヒロインが一人で敵の本拠地に乗り込む訳にも行かないじゃないの。しかもそんなプライベートな理由で…。 夜叉丸:じゃあさ、私がセッティングしてあげよっか? 沙耶:えっ?な、何を? 夜叉丸:そんなの決まってるじゃない。お見合いよ、お見合い! 沙耶:えっ?ちょ!お見合いって…そんな急に! 夜叉丸:じゃあこのままでいいの? 沙耶:それは…嫌だけどさ。でも…私…。 夜叉丸:正義のヒロインが地球を狙う悪の幹部とお見合いなんてもってのほか…とか思ってる? 沙耶:う、うん…。 夜叉丸:あはは!沙耶ちゃん可愛い!私ますます沙耶ちゃんの事好きになっちゃった!よし!じゃあ私が二人の恋のキューピッドになってあげる! 沙耶:え?夜叉りんがキューピッドに? 夜叉丸:うん! 沙耶:でも…どうするの? 夜叉丸:夜叉丸りんにまっかせなさーい!じゃあさ、まずは私が沙耶ちゃんの心をガッチガチに縛っているその*枷《かせ》を取ってあげる!沙耶ちゃん、私の目をじっと見て。 沙耶:う、うん。(あ、あれ?夜叉りんの目が赤く光って…頭がぼんやりしてきた…) 夜叉丸:沙耶ちゃん…よく聞いて。 沙耶:…うん。 夜叉丸:あなたは*如月 沙耶《きさらぎ さや》。一人の恋する女の子。それ以外の邪魔なしがらみはあなたの心から徐々に消えてなくなっていくわ。 沙耶:(私は…如月沙耶…一人の恋する女の子…。邪魔な物…消えていく…) 夜叉丸:そう。今から三つ数えたらあなたは自分の心に素直になって純粋に恋愛と向き合うことが出来るようになるわ。3・2・1はい! 沙耶:あれ?…私、何ぼんやりしてたんだろ? 夜叉丸:ねぇ、今からデモスちゃんの所に会いに行かない? 沙耶:うん!行く行く! 夜叉丸:じゃあ私が連れてってあげるね! 沙耶:わぁ!夜叉りんありがとう! 夜叉丸:じゃあ私の手を繋いで目を*瞑《つむ》って。 沙耶:〈夜叉丸の手を繋ぎ、目を瞑る〉うん。これでいい? 夜叉丸:じゃあ行くよ!ジャンピング・ザ・ディメンション!〈転送される〉 : :--------------------地球侵略帝国パルサー内異次元空間 夜叉丸:さあ着いたよ。ゆっくりと目を開けて。 沙耶:う…うん。ここは? 夜叉丸:ここは私が用意した特別な空間だよ。今からデモスちゃんを連れてくるからそこのソファで*寛《くつろ》いでて。 沙耶:うん!夜叉りんありがとう! 夜叉丸:良いの良いの。じゃあまた後でね。 沙耶:デモスさんかぁ…どんな人なんだろ。早くあの人の気持ちが知りたいなぁ。 : :-------------------数分後 夜叉丸:沙耶ちゃんお待たせ!連れて来たよ! デモス:き、*如月 沙耶《きさらぎ さや》!なぜ貴様がここにいる!夜叉丸!敵を自陣に招き入れるとはどういうつもりだ! 沙耶:敵?敵とは私のことですか? 夜叉丸:(こら!今の沙耶ちゃんは恋愛以外のことは頭から全部消し去ってるんだから余計なこと言わないの!) デモス:(あ、ああ。分かった。)あ、いや、すまない。ほんの冗談だ。 沙耶:冗談…?うふふ。意外と面白い方なんですね?改めまして*如月 沙耶《きさらぎ さや》です。 デモス:デモスだ。こうしてきさ…いや、君に会えて嬉しく思うぞ。 沙耶:まあそんなに緊張なさらないで。私のことは沙耶って呼んでください。 デモス:分かった。では沙耶、俺のこともデモスと呼んでくれないか? 沙耶:ええ喜んで。あと良かったらタメ口で話しましょ。 デモス:ああ。そうしよう。 沙耶:ねぇデモス。私もっとあなたの気持ちが知りたいの。 デモス:俺の気持ち? 沙耶:だってほら、私たち直接お話するのはこれが初めてでしょ?だからまずはあなたのことを教えて欲しいな。 デモス:あ、ああ。俺は*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》…いや、ある組織で幹部をやっていてな、沙耶とは以前とある集会で一緒になったことがあったんだ。その時君は俺の対戦チームのメンバーだったんだが、とてもキラキラ輝いていてな、目的に向かってただひたむきに努力する姿が俺にはとても眩しく見えた。それ以来、君を見かける度に君と話したい、もっと君に近づきたいと思うようになったんだ。 沙耶:まあ!そうだったの!何かとっても嬉しいな。実は私もね、昨日デモスに命を助けてもらったんだ。その時は気が動転しててお礼も言えなかったんだけど、後で一人になって考えていたらあなたのことがどんどん頭の中に溢れてきて、ああ…また会いたいな!会ってあの時のお礼を直接言いたいな!っていう気持ちが止まらなくなって…そうしたらね、夜叉りんがこんな素敵な場をセッティングしてくれたの!だから今こうしてデモスと二人っきりで話が出来ていることが本当に幸せなんだ! 沙耶:〈デモスの手を取って〉デモス、あの時は私を助けてくれてありがとう!私、本当に嬉しかった! デモス:い、いや、当然の事をしただけだよ。何より、君が無事で良かった。〈手を握り返す〉 沙耶:ねぇデモス…私ね、あなたのことが好きになっちゃったみたいなの。 デモス:えっ…! 沙耶:だから…デモスさえ良かったら私と付き合って欲しいな。 デモス:い、良いのか?俺みたいなやつでも? 沙耶:あなただから良いの。だから…ね? デモス:も、もちろん答えはOKだ!むしろこんな俺で良ければよろしく頼む! 沙耶:ほんと?わぁ!嬉しい!じゃあこれからよろしくね! デモス:ああ!こちらこそよろしくな沙耶! 沙耶:私ね、今とっても幸せよ!デモス! デモス:ああ!俺もだ!愛してるよ!沙耶! : 夜叉丸:〈拍手〉二人ともおめでとう!お互いの思いを打ち明けることが出来て本当に良かったわね! 沙耶:夜叉りん!あなたには本当に感謝してるわ! 夜叉丸:大したことはしてないよ。じゃあめでたく二人の恋が成就した所で、沙耶ちゃんに掛けたおまじないを解くわね。 沙耶:…いやだ。 夜叉丸:どうして? 沙耶:だって。このおまじないを解いたらデモスと離れ離れになっちゃう気がするから。 夜叉丸:大丈夫よ。あなたはちゃんと自分の気持ちに素直になれたじゃない?この気持ちは偽りじゃない。正真正銘あなた自身の正直な気持ちよ。だからおまじないを解いてもそれは決して変わらないわ。 沙耶:ほんと? 夜叉丸:ええ。ほんとよ。 沙耶:分かった。私、夜叉りんの言葉を信じるわ。 夜叉丸:じゃあ沙耶ちゃん、もう一度私の目を見て。 沙耶:あ…(夜叉りんの目が赤く光って…頭がほわほわしてきた…) 夜叉丸:さあ、沙耶ちゃん、よく聞いて。 沙耶:…うん。 夜叉丸:あなたはさっき自分の気持ちに正直になれた。この気持ちは永遠に変わらない。たとえどんな事があってもこの思いはあなたの中で生き続ける。良いかしら? 沙耶:うん…私の思いは…永遠に生き続ける…。 夜叉丸:これからあなたから消し去っていた様々なしがらみを元に戻していくわ。私が三つ数えたら消え去った物があなたの中に完全に戻るの。3・2・1はい! 沙耶:うう…はっ!あなたは!*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》パルサーのデモス閣下!えっ?どうして私はこの人と話してるの?この人は私の敵なのに…でも…この胸のモヤモヤは何? デモス:沙耶、大丈夫かい? 沙耶:ああ…そうだ。私、あなたのことが好きになったんだわ。ようやく自分の気持ちに素直になれたのに…私ったら立場や使命ばかりに囚われて一番大事な気持ちにずっと蓋をし続けていた。昨日、私を殺そうとした仲間の一撃から私を守ってくれたのは他でもない、デモス!あなたよ! デモス:沙耶、君が無事で本当に良かった。 沙耶:デモス!本当にありがとう!そして、心から愛しているわ! デモス:俺もだ。愛してるよ。沙耶。 夜叉丸:めでたしめでたし…かな? デモス:それで沙耶、君はこれからどうするんだい?このまま秘密基地に戻れば俺たちはまた敵同士として戦うことになってしまう。 沙耶:そんなの嫌…私、愛する人を傷付けたくない!それに、私を殺そうとした人達をもう仲間なんて呼べない! 夜叉丸:じゃあずっとここにいれば良いんじゃない? 沙耶:え…?でも私は正義の味方で…地球を守らないといけなくて…。 デモス:もうそんなことはどうでも良いんだ。俺は愛する沙耶と一緒にいたい!離したくないんだ!だからお願いだ!ずっとここにいてくれ! 沙耶:ああ…嬉しい!分かったわ。私、ずっとここにいる! 夜叉丸:じゃあ改めて我々*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》パルサーは沙耶ちゃんを心から歓迎するよ! デモス:沙耶、本当にありがとう!必ずキミを幸せにすると誓うよ。 沙耶:ありがとうデモス、夜叉りん!私とっても幸せだよ! : :-------------------一週間後、カゲニンジャー秘密基地 龍二:なぁ和真、ここのところ沙耶の姿を見ないけどお前何か知らないか? 和真:いーや、どうせあいつの事だ。仕事で忙しいんだろ。 龍二:それなら良いんだけど。でも2日に一回は必ず基地に顔を出していたあいつが一週間も来ないなんて…本当に大丈夫か? 和真:そう思うんなら連絡してみたら良いんじゃねーの? 龍二:なあ和真、前々から思っていたんだが、お前沙耶に対して冷たくないか?こないだだって敵に操られた沙耶の事、本気で殺そうとしただろ? 和真:あの状況じゃあ仕方なかっただろ!やらなきゃこっちがやられてたんだからよ! 龍二:…それはそうかもしれないけどさ。 和真:そういう龍二だって沙耶の乱れ桜相手に「*飛翔炎撃《ひしょうえんげき》」出してたじゃないか!それにあの奥義!俺にはどさくさに紛れて敵ごと沙耶を消そうとしていたように見えたけど? 龍二:そんなことはない!乱れ桜は全方位型の技だ。あらゆる方向から襲ってくる刃を躱(かわ)すにはあれしか方法がなかったんだ。それに奥義だってちゃんと敵だけを狙ったし。 和真:どうだかねぇ…。 龍二:何にしてもだ。沙耶の安否が心配だ。俺、連絡してくる。 和真:へいへい、お好きにどーぞ。 : 龍二:ダメだ…全然応答がない。考えたくはないが…敵に捕まったりとかしてなければ良いが…。 和真:大丈夫だって。大体お前は心配しすぎなんだよ。それに最近は敵も目立った動きを見せてないし、こういう時くらいは自由に羽根伸ばさせてやるのも大事なんじゃないの? 龍二:まあ…確かにそうかもしれないな。すまない…少し外の空気を吸って頭を冷やして来る。 和真:おう。そうして来いよ。 : :-------------------暗黒侵略帝国パルサー本部 デモス:沙耶、本当に良いのか? 沙耶:ええ。私もう決めたの。あなたとずっと一緒にいるって。 夜叉丸:沙耶ちゃんはそのままでも十分可愛いのに…。 沙耶:二人とも、心配してくれてありがとう。でもね、私、あれからいろいろ考えたの。今の私はどう転んでもカゲニンジャーの一員だし、それに寿命だってデモスの100分の1しか生きられない。せっかくこうして二人でずっと一緒にいようねって誓ったのに、それってあまりにも悲しすぎるじゃん。だからね、私、改造手術を受けてあなたたちと同じ体になるって決めたの。そうすれば愛するデモスや夜叉りんともずっと一緒にいられるし、二人と戦う必要もなくなる。こんなハッピーなことってないんじゃない? デモス:分かったよ。沙耶がそこまで考えているのなら俺は君の考えを全力で応援するだけだ。 夜叉丸:私もよ!沙耶ちゃん。姿形は変わっても沙耶ちゃんは沙耶ちゃんのままだよ! 沙耶:うふふ…ありがとう!二人とも!私頑張って来るね! デモス:ああ!行っておいで! 夜叉丸:手術が成功したらみんなでお祝いしましょう! : :-------------------手術室 沙耶:(ああ…これから私は新しい自分に生まれ変わるのね。さようなら人間としての私、そしてさようなら龍二、和真…次に会う時は…) : :-------------------3時間後 沙耶:うう…ここは…? デモス:おお!ようやく目が覚めたか! 夜叉丸:沙耶ちゃん、手術は無事に成功したよ!ほら、鏡で見てみなよ。 沙耶:ああ!なんて素晴らしいの!この美しいフォルムに妖精のような羽根、そして何より全身に*漲《みなぎ》る凄まじいパワー!どれを取っても最高だわ!はぁ…幸せ♡ デモス:沙耶、とっても綺麗だよ。 夜叉丸:ほんとべっぴんさんだよ!改めておめでとう! 沙耶:ありがとう!! 夜叉丸:あ、そうだ。せっかく生まれ変わったんだから新しい名前を付けてあげなくちゃね。 デモス:では俺が付けてやろう。ふむ…沙耶…サヤ…デサイヤとはいうのはどうだろう? 沙耶:デサイヤ…ふふふ…とっても素敵な名前ね!デモス、ちゃんとあなたの字も入れてくれたのね。嬉しいわ!あなたからもらったこの名前、一生大事にするね! デモス:ああ、これで俺たちは夫婦だ。 沙耶:ええ!愛してるわ!デモス! デモス:俺もだ、デサイヤ。 夜叉丸:さあ!新たな仲間も加わったことだし、お祝いといきますか! : :-------------------カゲニンジャー秘密基地 龍二:(沙耶がいなくなって早1ヶ月…あれから頻繁に連絡を入れてはいるが音沙汰無し。何より気になるのが、毎日のようにあった出動要請がウソのようになくなったことだ。) 和真:なんだ?また気にしてんのか?大丈夫だって。あいつもカゲニンジャーの一員なんだ。そのうちひょっこり帰って来るって。〈入口のドアが開く〉 和真:ほれ、噂をすれば何とやらだ。 沙耶:ただいまっと!はぁ…ここに来るのも久しぶりだわ! 龍二:沙耶!お前1ヶ月も留守にして一体どういうつもりなんだ! 和真:まあまあ、そうカッカすんなって。沙耶にも色々と事情があったんだろ?なぁ? 沙耶:ええそうよ。女には色々あるのよ。 龍二:しかし…お前がいない間敵が攻めて来たらどうするつもりだったんだ? 沙耶:でも何もなかったでしょ? 龍二:それはそうだが…というか、お前だいぶ雰囲気変わったな。この1ヶ月で何があったんだ? 沙耶:別に何も無いわよ。まあ強いて言えば…自分の気持ちに素直になれたってことかしら? 龍二:ん?どういうことだ? 和真:ははは…まあ堅物の龍二には女性の気持ちなんて察しろという方が難しいだろうがな。 沙耶:ふふふ…そうね。 和真:で?この1ヶ月どんな修行をしていたんだ? 龍二:え?修行だと? 和真:言っておくが、龍二の目は誤魔化せても俺の目は誤魔化せないぜ。お前から滲み出るそのオーラ…お前、相当強くなったな? 沙耶:あら、流石ね。そうねぇ…強いて言えば…〈和真に剣を突き刺す〉 和真:がは!…沙耶…お前…何を…? 沙耶:恋…かしら? 龍二:和真!おい、沙耶!大事な仲間に何て事をするんだ!今すぐその剣を和真から抜いて手当てするんだ! 沙耶:大事な仲間…ねぇ。うふふ…本当にあなたたちが大事な仲間なら、どうしてあの時私を殺そうとしたの? 和真:ぐっ…何の…ことだ? 沙耶:とぼけないで!以前敵と交戦した時、操られた私に向かってあなたは躊躇なく「*剛腕虎咬撃《ごうわんここうげき》」を放った。あの人が咄嗟に*庇《かば》ってくれなければ私の体は木っ端微塵に吹き飛んでいたでしょうね! 和真:沙耶…誤解だ。俺は… 沙耶:あら?この期に及んでまだ言い訳する気? 和真:はぁ…はぁ… 龍二:もういい加減にしろ!いきなりいなくなったと思えば帰って来るなりこんな真似をして!沙耶、お前は地球を守る正義のヒーローなんだぞ! 沙耶:正義のヒーロー?確かに…そんな時期もあったわねぇ。 龍二:沙耶?お前一体何を言ってるんだ? 沙耶:二人に良いことを教えてあげる。あの一件の後、とある人から呼び出されてね。色々と話を聞くうちに私の中の熱い気持ちに気付いちゃったの。 龍二:熱い…気持ち? 沙耶:そう!彼への…デモス閣下への深い愛よ! 和真:デモス?…お前…まさか…! 沙耶:そう!今の私はね、*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》パルサーの幹部、魅惑のデサイヤとして生まれ変わったの!〈デサイヤの姿に変身する〉 龍二:うそ…だろ? 和真:ああ…そんな… 沙耶:我が愛する夫デモスのため、そして暗黒侵略帝国パルサーの繁栄のため、あなたたちにはここで消えてもらうわ! 龍二:そうはさせない!忍武装…ぐああ…!!〈龍二の胸に毒針が突き刺さる〉 沙耶:甘いわね。変身なんてさせるわけないじゃない。さてと、まずは私を殺そうとした和真、あなたから葬ってあげる♡ 和真:や…やめるんだ…正気に戻っ…〈首を切断される〉 沙耶:ふふふ…あははは!!最高だわ!まさかこの手で私を殺そうとしたヤツの首をはねる日が来るなんてね!さぁて…こっちもそろそろ毒が全身に回って来た頃ね。 龍二:ぐっ…はぁ…はぁ…(ダメだ…もう意識が…) 沙耶:龍二、あなたは…そうね、殺すのはちょっと可哀想だから私のペットにして飼ってあげるわ♡ 龍二:…。 沙耶:さあ龍二、立ちなさい。そして、我々暗黒侵略帝国パルサーに永遠の忠誠を誓うのよ! 龍二:はい…デサイヤ様。この命尽きるまで、貴方様に永遠の忠誠を誓います! 沙耶:うふふ…良い子ね。さてと、これで正義のヒーローはいなくなったわ。 デモス:デサイヤ、気は済んだかい? 沙耶:ええ。ほら、この通りよ。 夜叉丸:ひょえ~、こうもあっさりと敵の本拠地を制圧するなんて。 沙耶:あとはこいつから全ての情報を引き出してしまえば作戦完了よ。 デモス:よくやってくれた。流石はデサイヤだ。 沙耶:あら、これくらい当然よ。愛するデモスのためだもの。それより、基地を制圧したご褒美に一つ聞いて欲しいお願いがあるの。 デモス:お願い?何でも言ってごらん。 沙耶:デモス、あなたとキスがしたいわ。 デモス:おいおい、こんな場所でか? 沙耶:こんな場所だから良いのよ。ねぇ…ダメ? 夜叉丸:おっと…私は一足先に帰還するから後はお二人でごゆっくり。〈帰還する〉 デモス:ふふふ…良いよ。おいで…愛しのデサイヤ。んっ…〈キスをする〉 沙耶:んっ…〈デモスとのキスをじっくりと堪能する〉 沙耶:はぁ♡…なんて幸せなの♡愛してるわデモス!うふふふ…。 : :~完~

タイトル:恋は突然舞い降りて : 登場人物: 龍二:*桜井 龍二《さくらい りゅうじ》。忍戦隊カゲニンジャーの忍レッド。戦隊のまとめ役だけに正義感と責任感がとにかく強い。 和真:*斉藤 和真《さいとう かずま》。忍戦隊カゲニンジャーの忍イエロー。見た目は真面目で誠実そうに見えるが、基本的にあまり人に興味がない。時に非情な一面を見せることも。 沙耶:*如月 沙耶《きさらぎ さや》。忍戦隊カゲニンジャーの忍ピンク。誰にでも優しくほんわかした性格だが、やる時はやるタイプ。謎の声と兼役。 デモス:暗黒侵略帝国パルサーの幹部。とても強いが、内には優しさも秘めている仲間思いな性格。 夜叉丸:*夜叉丸《やしゃまる》。暗黒侵略帝国パルサーの参謀。一見*飄々《ひょうひょう》としているがかなりのやり手。隠密行動を得意とし、他人の心が読める能力を持つ。 : :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。 : : 本編: 謎の声:(M)それはある暑い夏の日のことだった。 :----------------------------- 龍二:くっ…お前、罪もない市民を盾にするなど卑怯だぞ! デモス:卑怯?くくく…貴様、面白いことを言うな?我らは貴様らの星を侵略しに来たのだぞ。いずれ滅ぼすことになる人類だ。どう使おうが我らの自由。それを卑怯などとは笑わせる。 和真:ちくしょう…一体どうすれば…。 デモス:いいか!繰り返し言うが、そこから少しでも動けばこの者たちの命はない。貴様らはそこで指を*咥《くわ》えて愛する星が*蹂躙《じゅうりん》される*様《さま》を眺めているが良い!!ふははは! 謎の声:そこまでよ!*朧忍法「胡蝶霧幻吹雪《おぼろにんぽう こちょうむげんふぶき》」! デモス:なっ!急に辺りが金色の霧に包まれて!くっ…何も見えない! 龍二:!?この技は!*沙耶《さや》!来てくれたんだな! 沙耶:ええ!遅くなってごめんなさい。*和真《かずま》、今のうちに人質の救出を! 和真:ああ!分かった!さぁ、皆さんこちらへ! デモス:ええい!小癪な真似を!それならば俺が直接貴様らを倒し、その後でゆっくりと地球をいただくとしよう。 沙耶:二人とも!変身よ! 龍二:ああ!分かってる!*忍武装《しのびぶそう》!〈変身する〉闇夜を照らすは灼熱の炎!忍レッド見参! 和真:俺も続くぜ!*忍武装《しのびぶそう》!〈変身する〉岩をも砕くは鋼の力!忍イエロー参上! 沙耶:そして私が3人目!*可憐《かれん》に舞うはひとひらの花!忍ピンク推参! 龍二:闇を切り裂き明日を*掴《つか》む!忍戦隊! : 龍二:カゲニンジャー!〈同時に〉 和真:カゲニンジャー!〈同時に〉 沙耶:カゲニンジャー!〈同時に〉 デモス:ほほう…少しは楽しめそうだ。行くぞ!はああああ!〈龍二に切りかかる〉 龍二:〈攻撃を受け止める〉ぐっ!コイツ…なんてパワーだ!おりゃー!〈切りかかる〉 デモス:遅い!はっ! 龍二:ぐああ!!〈切られて後方に飛ばされる〉 和真:レッド!それじゃ、これならどうだ!〈殴りかかる〉 デモス:ふん!〈受け止める〉 和真:なに!? デモス:ふふ…この程度で剛力使いとはな!!〈蹴り飛ばす〉 和真:がああ!!〈後方に飛ばされる〉 沙耶:イエロー!くっ…力でダメならこれならどう!花忍法「乱れ桜」!舞い狂う無数の花の*刃《やいば》から逃れられるかしら? デモス:ぐっ…さすがにこれだけの数を捌(さば)き切るのはキツいか。 沙耶:(よし!効いてる!)このまま切り刻まれなさい!!はああああ!! デモス:だが、一つ一つの刃のダメージはさほどでもない。ならば!*堅牢装技「巌鉄甲《けんろうそうぎ  がんてつこう》」! 沙耶:なっ!あいつの体に当たった瞬間に私の乱れ桜が砕けていく…! デモス:当然だ!いかに鋭き刃でも我が無敵の装甲の前では無意味!さあ、どうする? 沙耶:くそ…なんて強敵なの? 龍二:じゃあ今度は俺の番だ!炎忍法「*爆熱豪火球《ばくねつごうかきゅう》」!灼熱の業火で燃え尽きやがれ! デモス:なるほど、そう来たか。ではこちらもこれでお相手しよう。*氷結弾技「極冷葬銃《ひょうけつだんぎ  ごくれいそうじゅう》」! 龍二:くそ!俺の爆熱豪火球が氷の塊になっちまった! デモス:弱い…実に弱いなぁ。それでも貴様らヒーローなのか? 和真:俺に任せろ!外見がいくら強くても中身まではそうじゃねぇだろ!音忍法「*超激震波《ちょうげきしんは》」!俺の音に痺れな! デモス:ほう…音波攻撃とは考えたな…だがこれくらいはどうということもない。*対衝防技「吸撃流盾《たいしょうぼうぎ  きゅうげきりゅうじゅん》」! 和真:そんな…俺の音忍法まで防がれるなんて…。 デモス:音とはこうやって使うのだよ。*操心音技「魅了世界《そうしんおんぎ  みりょうせかい》」! 沙耶:イエロー!危ない!〈とっさに和真を庇う〉 沙耶:きゃあああ!!頭が割れる!(何これ…頭の中に直接声が…) 和真:ピンク! デモス:(さぁ、忍ピンク、いや、*如月 沙耶《きさらぎ さや》よ。我が声に従い従順なる*下僕《しもべ》となるのだ。) 沙耶:(あ…ああ。何て心地良い声なの。)はい。デモス様…私は貴方様の従順な*下僕《しもべ》となりました。何なりとご命令を。 龍二:おい!ピンク!しっかりしろ! 和真:ピンク!正気に戻るんだ! デモス:その二人を殺せ。 沙耶:はい…仰せのままに。花忍法「乱れ桜」!私の刃で消えなさい!! 龍二:くっ…やむを得ん。すまないピンク、ちょっと熱いが我慢してくれ!炎忍法「*飛翔炎撃《ひしょうえんげき》」!燃え盛る炎の鳥よ!全ての攻撃を撃ち落とせ! 沙耶:くっ…! 和真:はああああ!*忍体術「剛腕虎咬撃《しのびたいじゅつ ごうわんここうげき》」! デモス:〈沙耶を庇って〉やらせぬ!ぐああ!! 沙耶:〈正気に戻って〉はっ…私、一体何を? デモス:し、しまった…。 龍二:今だ!!忍奥義!「*覇道轟炎!万火繚乱《はどうごうえん ばんかりょうらん》」!はああああ!! デモス:ぐああああ!! 和真:や、やったか? デモス:ぐっ…!まさかこの俺が貴様らごときに不覚を取るとは。だが次はこうはいかんぞ…。さらばだ! 龍二:ま、待て! 沙耶:ダメ!これ以上深追いするのは危険だわ。それに…。 和真:それに、何だ? 沙耶:ううん。何でもないの。とにかく危険は去ったんだから帰りましょ。 龍二:ああ…そうだな。 : :-------------------暗黒侵略帝国パルサー本部 デモス:くそっ!あともう少しだったのに! 夜叉丸:あらあら、最強の暗黒騎兵デモス閣下ともあろうお方がそんな*満身創痍《まんしんそうい》で帰ってくるなんて一体何があったのかしら? デモス:うるさい! 夜叉丸:うふふ…分かる、分かるわぁ♡私にはあなたの心が手に取るように分かる。へぇ…まさかあなたがそんな感情を抱くなんてね。 デモス:だから黙れと言っている!それに勝手に人の心を読むな!気分が悪い! 夜叉丸:やだわぁ。そんなに邪険にしないでよ。こう見えても私、あなたのファンなのよ。 デモス:ふん!…勝手にぼざいてろ。俺は傷を癒してくる。 夜叉丸:ついでに心の傷も癒して来なさいな。 デモス:黙れ!! 夜叉丸:まあ…トゲトゲしちゃって。うふふ…可愛いわ。じゃあ愛しのデモスちゃんのために私が一肌脱いであげようかしらね。 : :-------------------カゲニンジャー秘密基地 龍二:いてて…やっぱり忍奥義は体へのダメージがデカイな。俺ももっと強くならなきゃな。 和真:まったくだ。まさかあそこまで強い敵が現れるとはな。まだまだ修行が足りないということか…。 沙耶:ねぇ二人とも。ちょっと聞いてもいいかしら? 龍二:何だ急に? 和真:どうした? 沙耶:何であの時敵は私の事を*庇《かば》ったのかしら? 龍二:さあ…何でだろうな? 和真:せっかく手に入れた駒を失いたくなかったとか? 沙耶:駒…ねぇ…。(それにあの敵は私にだけ攻撃して来なかった。どうして?) 和真:まあ考えても仕方ないさ。結果的に敵に深手を負わせたわけだし、しばらくは襲って来ないだろうよ。 龍二:そうだな。さてと、少し休んだら修行でもやるとするか! 和真:お!じゃあ俺も付き合うわ!沙耶はどうする? 沙耶:私は…ちょっと疲れたから部屋でゆっくりするわ。 和真:そうか。まあ今日は疲れたもんな。 龍二:しっかり休めよ。じゃあな。 沙耶:うん…。(敵は…あの人は私を下僕にしてまで何がしたかったのかしら?) 夜叉丸:(はぁい♡御機嫌よう。) 沙耶:(ひ!?頭の中に直接声がする!だ、誰?) 夜叉丸:(あらぁ、そんなに驚かないで。初めまして。私は*夜叉丸《やしゃまる》っていうの。よろしくね。*如月 沙耶《きさらぎ さや》さん。) 沙耶:(私の名前を知っている?あなた…もしかして…?) 夜叉丸:(そ!あなたが昼間戦ったデモス閣下の仲間よ。) 沙耶:(なっ!?何ですって!) 夜叉丸:(まあまあ、そんなに警戒しないで。私はあなたに危害を加えるつもりなんてこれっぽっちもないから安心してよ。それに今日はあなたとお話がしたかっただけなの。信じて。) 沙耶:(信じてって…あなた。そんなこと言われてすぐに信じられるわけないでしょ。) 夜叉丸:(まあそう言わずに。ねぇ、とっても大事な話があるんだけど今から出て来られないかしら?もちろん、他の二人には内緒でね。) 沙耶:(えっ…どうして私だけなの?) 夜叉丸:(ガールズトークに男は邪魔だからよ。) 沙耶:(ガールズトークって…本当に何もしない?) 夜叉丸:(くどいわね。何もしないわよ。それに私はそもそも戦いが嫌いなの。) 沙耶:(…分かったわ。私、あなたを信じる。) 夜叉丸:(ありがとう!じゃあ駅前の喫茶店「森のクマさん」で待ってるわ。) 沙耶:(分かったわ。) : :-------------------喫茶店「森のクマさん」 夜叉丸:はぁい!沙耶ちゃんこっちこっち! 沙耶:ちょっ!沙耶ちゃんって…やめてよ大声で。恥ずかしいじゃない! 夜叉丸:えへへ…ごめんね。座って座って。 沙耶:失礼…します。 夜叉丸:そんなに緊張しなくても大丈夫だって!取って食ったりしないからさぁ。 沙耶:地球侵略しに来た人が何言ってんのよ。…へぇ、それにしてもあなたは普通の人間なのね。 夜叉丸:何言ってんのよ。擬態してるに決まってるじゃないの。こんな所で本来の姿を晒したらパニックになっちゃうわよ。 沙耶:あ、それもそうか。じゃあ改めて…初めまして、*如月 沙耶《きさらぎ さや》です。 夜叉丸:初めまして、*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》パルサーの参謀、夜叉丸だよ!気軽に夜叉りんって呼んでね! 沙耶:分かったわ。で、夜叉りん。私に話って何? 夜叉丸:あのね、実は昨日戦ったデモス閣下がね、あなたのことが好きなの。 沙耶:はぁ?ちょ!いきなり何言い出すのよ! 夜叉丸:はぁ…まあそういう反応になるわよね。 沙耶:当たり前じゃない!あのね夜叉りん、私たちは敵同士なの!ましてやあの人は市民を危険に晒しただけじゃなく、私の大切な仲間も傷付けたのよ!そんな人に好きとか言われても信じられるわけないじゃない! 夜叉丸:じゃあさ、何で昨日デモスちゃんはあなたを*庇《かば》ったの? 沙耶:そ、それは…せっかくの手駒を失いたくなかったからじゃないの? 夜叉丸:そうかなぁ?もしデモスちゃんがあなたを手駒程度にしか思っていなかったのなら、あの場でどうなろうと放って置いたんじゃないかしら?敵も減らせるわけだしね。それよりむしろ私はあなたの仲間の方がよっぽど信じられない気がするんだけど? 沙耶:え?それってどういう意味? 夜叉丸:操られたあなたにイエローが放ったあの技…彼は本気であなたを殺そうとしていたのよ。 沙耶:うそ…そんなことって…。 夜叉丸:考えてもみなさい。あの時デモスちゃんは「*巌鉄甲《がんてつこう》」で完全防御状態だった。それなのにイエローのあの技はデモスちゃんの装甲をやすやすと貫いてデモスちゃんに大ダメージを与えていたわ。もしあの時防御もしていないあなたがあの技をまともに受けていたらひとたまりもなかったでしょうね。 沙耶:あ…ああ…そんなまさか。 夜叉丸:うふふ…ようやく理解したようね。 沙耶:じゃ、じゃあその後でレッドが放った奥義ももしかして…? 夜叉丸:そうよ。あわよくばデモスちゃん*諸共《もろとも》あなたの命を奪うことだって可能だった。デモスちゃんはね、二人のあなたへの殺意を事前に察知したから*咄嗟《とっさ》にあなたを*庇《かば》ったのよ。 沙耶:じゃ、じゃあ何であの時私を下僕なんかにしたの? 夜叉丸:良い質問ね。それはね、ああでもしないとあなたを二人から引き離すことが出来なかったからよ。 沙耶:でも、あの人は私に二人を殺させようとしたのよ!そんなに私が好きなら何で直接二人を倒して私を連れ去らなかったの? 夜叉丸:じゃあ逆に聞くけど、もしデモスちゃんが二人を倒していたとしたらあなたはデモスちゃんに着いて行ってた? 沙耶:それは…。 夜叉丸:でしょ?男ってね、女子の前ではカッコ付けたがるものなのよ。それにね、あなたじゃ二人を倒すことは出来ないって分かっていたから敢えて二人を襲わせたのよ。あたかも操られて仕方なく二人に傷を負わせ、敵に着いて行ったように見せ掛けるためにね。デモスちゃんはそれくらいあなたのことを想っているの。まあ結局は予想以上の深手を*負《お》ってしまってあなたを連れ帰ることは出来なかったけどね。 沙耶:そうだったの…。ねぇ夜叉りん、根本的な事を聞いても良いかしら? 夜叉丸:うん!何でも聞いて! 沙耶:デモスさんはいつから私の事を想ってくれてたの?私あの人と話したことあんまりなくて…。 夜叉丸:そこは本人の口から聞くのが一番じゃない? 沙耶:そ、それはそうだけど…。まさか正義のヒロインが一人で敵の本拠地に乗り込む訳にも行かないじゃないの。しかもそんなプライベートな理由で…。 夜叉丸:じゃあさ、私がセッティングしてあげよっか? 沙耶:えっ?な、何を? 夜叉丸:そんなの決まってるじゃない。お見合いよ、お見合い! 沙耶:えっ?ちょ!お見合いって…そんな急に! 夜叉丸:じゃあこのままでいいの? 沙耶:それは…嫌だけどさ。でも…私…。 夜叉丸:正義のヒロインが地球を狙う悪の幹部とお見合いなんてもってのほか…とか思ってる? 沙耶:う、うん…。 夜叉丸:あはは!沙耶ちゃん可愛い!私ますます沙耶ちゃんの事好きになっちゃった!よし!じゃあ私が二人の恋のキューピッドになってあげる! 沙耶:え?夜叉りんがキューピッドに? 夜叉丸:うん! 沙耶:でも…どうするの? 夜叉丸:夜叉丸りんにまっかせなさーい!じゃあさ、まずは私が沙耶ちゃんの心をガッチガチに縛っているその*枷《かせ》を取ってあげる!沙耶ちゃん、私の目をじっと見て。 沙耶:う、うん。(あ、あれ?夜叉りんの目が赤く光って…頭がぼんやりしてきた…) 夜叉丸:沙耶ちゃん…よく聞いて。 沙耶:…うん。 夜叉丸:あなたは*如月 沙耶《きさらぎ さや》。一人の恋する女の子。それ以外の邪魔なしがらみはあなたの心から徐々に消えてなくなっていくわ。 沙耶:(私は…如月沙耶…一人の恋する女の子…。邪魔な物…消えていく…) 夜叉丸:そう。今から三つ数えたらあなたは自分の心に素直になって純粋に恋愛と向き合うことが出来るようになるわ。3・2・1はい! 沙耶:あれ?…私、何ぼんやりしてたんだろ? 夜叉丸:ねぇ、今からデモスちゃんの所に会いに行かない? 沙耶:うん!行く行く! 夜叉丸:じゃあ私が連れてってあげるね! 沙耶:わぁ!夜叉りんありがとう! 夜叉丸:じゃあ私の手を繋いで目を*瞑《つむ》って。 沙耶:〈夜叉丸の手を繋ぎ、目を瞑る〉うん。これでいい? 夜叉丸:じゃあ行くよ!ジャンピング・ザ・ディメンション!〈転送される〉 : :--------------------地球侵略帝国パルサー内異次元空間 夜叉丸:さあ着いたよ。ゆっくりと目を開けて。 沙耶:う…うん。ここは? 夜叉丸:ここは私が用意した特別な空間だよ。今からデモスちゃんを連れてくるからそこのソファで*寛《くつろ》いでて。 沙耶:うん!夜叉りんありがとう! 夜叉丸:良いの良いの。じゃあまた後でね。 沙耶:デモスさんかぁ…どんな人なんだろ。早くあの人の気持ちが知りたいなぁ。 : :-------------------数分後 夜叉丸:沙耶ちゃんお待たせ!連れて来たよ! デモス:き、*如月 沙耶《きさらぎ さや》!なぜ貴様がここにいる!夜叉丸!敵を自陣に招き入れるとはどういうつもりだ! 沙耶:敵?敵とは私のことですか? 夜叉丸:(こら!今の沙耶ちゃんは恋愛以外のことは頭から全部消し去ってるんだから余計なこと言わないの!) デモス:(あ、ああ。分かった。)あ、いや、すまない。ほんの冗談だ。 沙耶:冗談…?うふふ。意外と面白い方なんですね?改めまして*如月 沙耶《きさらぎ さや》です。 デモス:デモスだ。こうしてきさ…いや、君に会えて嬉しく思うぞ。 沙耶:まあそんなに緊張なさらないで。私のことは沙耶って呼んでください。 デモス:分かった。では沙耶、俺のこともデモスと呼んでくれないか? 沙耶:ええ喜んで。あと良かったらタメ口で話しましょ。 デモス:ああ。そうしよう。 沙耶:ねぇデモス。私もっとあなたの気持ちが知りたいの。 デモス:俺の気持ち? 沙耶:だってほら、私たち直接お話するのはこれが初めてでしょ?だからまずはあなたのことを教えて欲しいな。 デモス:あ、ああ。俺は*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》…いや、ある組織で幹部をやっていてな、沙耶とは以前とある集会で一緒になったことがあったんだ。その時君は俺の対戦チームのメンバーだったんだが、とてもキラキラ輝いていてな、目的に向かってただひたむきに努力する姿が俺にはとても眩しく見えた。それ以来、君を見かける度に君と話したい、もっと君に近づきたいと思うようになったんだ。 沙耶:まあ!そうだったの!何かとっても嬉しいな。実は私もね、昨日デモスに命を助けてもらったんだ。その時は気が動転しててお礼も言えなかったんだけど、後で一人になって考えていたらあなたのことがどんどん頭の中に溢れてきて、ああ…また会いたいな!会ってあの時のお礼を直接言いたいな!っていう気持ちが止まらなくなって…そうしたらね、夜叉りんがこんな素敵な場をセッティングしてくれたの!だから今こうしてデモスと二人っきりで話が出来ていることが本当に幸せなんだ! 沙耶:〈デモスの手を取って〉デモス、あの時は私を助けてくれてありがとう!私、本当に嬉しかった! デモス:い、いや、当然の事をしただけだよ。何より、君が無事で良かった。〈手を握り返す〉 沙耶:ねぇデモス…私ね、あなたのことが好きになっちゃったみたいなの。 デモス:えっ…! 沙耶:だから…デモスさえ良かったら私と付き合って欲しいな。 デモス:い、良いのか?俺みたいなやつでも? 沙耶:あなただから良いの。だから…ね? デモス:も、もちろん答えはOKだ!むしろこんな俺で良ければよろしく頼む! 沙耶:ほんと?わぁ!嬉しい!じゃあこれからよろしくね! デモス:ああ!こちらこそよろしくな沙耶! 沙耶:私ね、今とっても幸せよ!デモス! デモス:ああ!俺もだ!愛してるよ!沙耶! : 夜叉丸:〈拍手〉二人ともおめでとう!お互いの思いを打ち明けることが出来て本当に良かったわね! 沙耶:夜叉りん!あなたには本当に感謝してるわ! 夜叉丸:大したことはしてないよ。じゃあめでたく二人の恋が成就した所で、沙耶ちゃんに掛けたおまじないを解くわね。 沙耶:…いやだ。 夜叉丸:どうして? 沙耶:だって。このおまじないを解いたらデモスと離れ離れになっちゃう気がするから。 夜叉丸:大丈夫よ。あなたはちゃんと自分の気持ちに素直になれたじゃない?この気持ちは偽りじゃない。正真正銘あなた自身の正直な気持ちよ。だからおまじないを解いてもそれは決して変わらないわ。 沙耶:ほんと? 夜叉丸:ええ。ほんとよ。 沙耶:分かった。私、夜叉りんの言葉を信じるわ。 夜叉丸:じゃあ沙耶ちゃん、もう一度私の目を見て。 沙耶:あ…(夜叉りんの目が赤く光って…頭がほわほわしてきた…) 夜叉丸:さあ、沙耶ちゃん、よく聞いて。 沙耶:…うん。 夜叉丸:あなたはさっき自分の気持ちに正直になれた。この気持ちは永遠に変わらない。たとえどんな事があってもこの思いはあなたの中で生き続ける。良いかしら? 沙耶:うん…私の思いは…永遠に生き続ける…。 夜叉丸:これからあなたから消し去っていた様々なしがらみを元に戻していくわ。私が三つ数えたら消え去った物があなたの中に完全に戻るの。3・2・1はい! 沙耶:うう…はっ!あなたは!*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》パルサーのデモス閣下!えっ?どうして私はこの人と話してるの?この人は私の敵なのに…でも…この胸のモヤモヤは何? デモス:沙耶、大丈夫かい? 沙耶:ああ…そうだ。私、あなたのことが好きになったんだわ。ようやく自分の気持ちに素直になれたのに…私ったら立場や使命ばかりに囚われて一番大事な気持ちにずっと蓋をし続けていた。昨日、私を殺そうとした仲間の一撃から私を守ってくれたのは他でもない、デモス!あなたよ! デモス:沙耶、君が無事で本当に良かった。 沙耶:デモス!本当にありがとう!そして、心から愛しているわ! デモス:俺もだ。愛してるよ。沙耶。 夜叉丸:めでたしめでたし…かな? デモス:それで沙耶、君はこれからどうするんだい?このまま秘密基地に戻れば俺たちはまた敵同士として戦うことになってしまう。 沙耶:そんなの嫌…私、愛する人を傷付けたくない!それに、私を殺そうとした人達をもう仲間なんて呼べない! 夜叉丸:じゃあずっとここにいれば良いんじゃない? 沙耶:え…?でも私は正義の味方で…地球を守らないといけなくて…。 デモス:もうそんなことはどうでも良いんだ。俺は愛する沙耶と一緒にいたい!離したくないんだ!だからお願いだ!ずっとここにいてくれ! 沙耶:ああ…嬉しい!分かったわ。私、ずっとここにいる! 夜叉丸:じゃあ改めて我々*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》パルサーは沙耶ちゃんを心から歓迎するよ! デモス:沙耶、本当にありがとう!必ずキミを幸せにすると誓うよ。 沙耶:ありがとうデモス、夜叉りん!私とっても幸せだよ! : :-------------------一週間後、カゲニンジャー秘密基地 龍二:なぁ和真、ここのところ沙耶の姿を見ないけどお前何か知らないか? 和真:いーや、どうせあいつの事だ。仕事で忙しいんだろ。 龍二:それなら良いんだけど。でも2日に一回は必ず基地に顔を出していたあいつが一週間も来ないなんて…本当に大丈夫か? 和真:そう思うんなら連絡してみたら良いんじゃねーの? 龍二:なあ和真、前々から思っていたんだが、お前沙耶に対して冷たくないか?こないだだって敵に操られた沙耶の事、本気で殺そうとしただろ? 和真:あの状況じゃあ仕方なかっただろ!やらなきゃこっちがやられてたんだからよ! 龍二:…それはそうかもしれないけどさ。 和真:そういう龍二だって沙耶の乱れ桜相手に「*飛翔炎撃《ひしょうえんげき》」出してたじゃないか!それにあの奥義!俺にはどさくさに紛れて敵ごと沙耶を消そうとしていたように見えたけど? 龍二:そんなことはない!乱れ桜は全方位型の技だ。あらゆる方向から襲ってくる刃を躱(かわ)すにはあれしか方法がなかったんだ。それに奥義だってちゃんと敵だけを狙ったし。 和真:どうだかねぇ…。 龍二:何にしてもだ。沙耶の安否が心配だ。俺、連絡してくる。 和真:へいへい、お好きにどーぞ。 : 龍二:ダメだ…全然応答がない。考えたくはないが…敵に捕まったりとかしてなければ良いが…。 和真:大丈夫だって。大体お前は心配しすぎなんだよ。それに最近は敵も目立った動きを見せてないし、こういう時くらいは自由に羽根伸ばさせてやるのも大事なんじゃないの? 龍二:まあ…確かにそうかもしれないな。すまない…少し外の空気を吸って頭を冷やして来る。 和真:おう。そうして来いよ。 : :-------------------暗黒侵略帝国パルサー本部 デモス:沙耶、本当に良いのか? 沙耶:ええ。私もう決めたの。あなたとずっと一緒にいるって。 夜叉丸:沙耶ちゃんはそのままでも十分可愛いのに…。 沙耶:二人とも、心配してくれてありがとう。でもね、私、あれからいろいろ考えたの。今の私はどう転んでもカゲニンジャーの一員だし、それに寿命だってデモスの100分の1しか生きられない。せっかくこうして二人でずっと一緒にいようねって誓ったのに、それってあまりにも悲しすぎるじゃん。だからね、私、改造手術を受けてあなたたちと同じ体になるって決めたの。そうすれば愛するデモスや夜叉りんともずっと一緒にいられるし、二人と戦う必要もなくなる。こんなハッピーなことってないんじゃない? デモス:分かったよ。沙耶がそこまで考えているのなら俺は君の考えを全力で応援するだけだ。 夜叉丸:私もよ!沙耶ちゃん。姿形は変わっても沙耶ちゃんは沙耶ちゃんのままだよ! 沙耶:うふふ…ありがとう!二人とも!私頑張って来るね! デモス:ああ!行っておいで! 夜叉丸:手術が成功したらみんなでお祝いしましょう! : :-------------------手術室 沙耶:(ああ…これから私は新しい自分に生まれ変わるのね。さようなら人間としての私、そしてさようなら龍二、和真…次に会う時は…) : :-------------------3時間後 沙耶:うう…ここは…? デモス:おお!ようやく目が覚めたか! 夜叉丸:沙耶ちゃん、手術は無事に成功したよ!ほら、鏡で見てみなよ。 沙耶:ああ!なんて素晴らしいの!この美しいフォルムに妖精のような羽根、そして何より全身に*漲《みなぎ》る凄まじいパワー!どれを取っても最高だわ!はぁ…幸せ♡ デモス:沙耶、とっても綺麗だよ。 夜叉丸:ほんとべっぴんさんだよ!改めておめでとう! 沙耶:ありがとう!! 夜叉丸:あ、そうだ。せっかく生まれ変わったんだから新しい名前を付けてあげなくちゃね。 デモス:では俺が付けてやろう。ふむ…沙耶…サヤ…デサイヤとはいうのはどうだろう? 沙耶:デサイヤ…ふふふ…とっても素敵な名前ね!デモス、ちゃんとあなたの字も入れてくれたのね。嬉しいわ!あなたからもらったこの名前、一生大事にするね! デモス:ああ、これで俺たちは夫婦だ。 沙耶:ええ!愛してるわ!デモス! デモス:俺もだ、デサイヤ。 夜叉丸:さあ!新たな仲間も加わったことだし、お祝いといきますか! : :-------------------カゲニンジャー秘密基地 龍二:(沙耶がいなくなって早1ヶ月…あれから頻繁に連絡を入れてはいるが音沙汰無し。何より気になるのが、毎日のようにあった出動要請がウソのようになくなったことだ。) 和真:なんだ?また気にしてんのか?大丈夫だって。あいつもカゲニンジャーの一員なんだ。そのうちひょっこり帰って来るって。〈入口のドアが開く〉 和真:ほれ、噂をすれば何とやらだ。 沙耶:ただいまっと!はぁ…ここに来るのも久しぶりだわ! 龍二:沙耶!お前1ヶ月も留守にして一体どういうつもりなんだ! 和真:まあまあ、そうカッカすんなって。沙耶にも色々と事情があったんだろ?なぁ? 沙耶:ええそうよ。女には色々あるのよ。 龍二:しかし…お前がいない間敵が攻めて来たらどうするつもりだったんだ? 沙耶:でも何もなかったでしょ? 龍二:それはそうだが…というか、お前だいぶ雰囲気変わったな。この1ヶ月で何があったんだ? 沙耶:別に何も無いわよ。まあ強いて言えば…自分の気持ちに素直になれたってことかしら? 龍二:ん?どういうことだ? 和真:ははは…まあ堅物の龍二には女性の気持ちなんて察しろという方が難しいだろうがな。 沙耶:ふふふ…そうね。 和真:で?この1ヶ月どんな修行をしていたんだ? 龍二:え?修行だと? 和真:言っておくが、龍二の目は誤魔化せても俺の目は誤魔化せないぜ。お前から滲み出るそのオーラ…お前、相当強くなったな? 沙耶:あら、流石ね。そうねぇ…強いて言えば…〈和真に剣を突き刺す〉 和真:がは!…沙耶…お前…何を…? 沙耶:恋…かしら? 龍二:和真!おい、沙耶!大事な仲間に何て事をするんだ!今すぐその剣を和真から抜いて手当てするんだ! 沙耶:大事な仲間…ねぇ。うふふ…本当にあなたたちが大事な仲間なら、どうしてあの時私を殺そうとしたの? 和真:ぐっ…何の…ことだ? 沙耶:とぼけないで!以前敵と交戦した時、操られた私に向かってあなたは躊躇なく「*剛腕虎咬撃《ごうわんここうげき》」を放った。あの人が咄嗟に*庇《かば》ってくれなければ私の体は木っ端微塵に吹き飛んでいたでしょうね! 和真:沙耶…誤解だ。俺は… 沙耶:あら?この期に及んでまだ言い訳する気? 和真:はぁ…はぁ… 龍二:もういい加減にしろ!いきなりいなくなったと思えば帰って来るなりこんな真似をして!沙耶、お前は地球を守る正義のヒーローなんだぞ! 沙耶:正義のヒーロー?確かに…そんな時期もあったわねぇ。 龍二:沙耶?お前一体何を言ってるんだ? 沙耶:二人に良いことを教えてあげる。あの一件の後、とある人から呼び出されてね。色々と話を聞くうちに私の中の熱い気持ちに気付いちゃったの。 龍二:熱い…気持ち? 沙耶:そう!彼への…デモス閣下への深い愛よ! 和真:デモス?…お前…まさか…! 沙耶:そう!今の私はね、*暗黒侵略帝国《あんこくしんりゃくていこく》パルサーの幹部、魅惑のデサイヤとして生まれ変わったの!〈デサイヤの姿に変身する〉 龍二:うそ…だろ? 和真:ああ…そんな… 沙耶:我が愛する夫デモスのため、そして暗黒侵略帝国パルサーの繁栄のため、あなたたちにはここで消えてもらうわ! 龍二:そうはさせない!忍武装…ぐああ…!!〈龍二の胸に毒針が突き刺さる〉 沙耶:甘いわね。変身なんてさせるわけないじゃない。さてと、まずは私を殺そうとした和真、あなたから葬ってあげる♡ 和真:や…やめるんだ…正気に戻っ…〈首を切断される〉 沙耶:ふふふ…あははは!!最高だわ!まさかこの手で私を殺そうとしたヤツの首をはねる日が来るなんてね!さぁて…こっちもそろそろ毒が全身に回って来た頃ね。 龍二:ぐっ…はぁ…はぁ…(ダメだ…もう意識が…) 沙耶:龍二、あなたは…そうね、殺すのはちょっと可哀想だから私のペットにして飼ってあげるわ♡ 龍二:…。 沙耶:さあ龍二、立ちなさい。そして、我々暗黒侵略帝国パルサーに永遠の忠誠を誓うのよ! 龍二:はい…デサイヤ様。この命尽きるまで、貴方様に永遠の忠誠を誓います! 沙耶:うふふ…良い子ね。さてと、これで正義のヒーローはいなくなったわ。 デモス:デサイヤ、気は済んだかい? 沙耶:ええ。ほら、この通りよ。 夜叉丸:ひょえ~、こうもあっさりと敵の本拠地を制圧するなんて。 沙耶:あとはこいつから全ての情報を引き出してしまえば作戦完了よ。 デモス:よくやってくれた。流石はデサイヤだ。 沙耶:あら、これくらい当然よ。愛するデモスのためだもの。それより、基地を制圧したご褒美に一つ聞いて欲しいお願いがあるの。 デモス:お願い?何でも言ってごらん。 沙耶:デモス、あなたとキスがしたいわ。 デモス:おいおい、こんな場所でか? 沙耶:こんな場所だから良いのよ。ねぇ…ダメ? 夜叉丸:おっと…私は一足先に帰還するから後はお二人でごゆっくり。〈帰還する〉 デモス:ふふふ…良いよ。おいで…愛しのデサイヤ。んっ…〈キスをする〉 沙耶:んっ…〈デモスとのキスをじっくりと堪能する〉 沙耶:はぁ♡…なんて幸せなの♡愛してるわデモス!うふふふ…。 : :~完~