台本概要
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タイトル | 零れた物語 |
---|---|
作者名 | 明桜 リア (@ria_meiou) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 4人用台本(女2、不問2) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
*使用について* ・使用許可は要りません。 ・配信に使っていただいても構いませんん。もし使うよーって言ってくださったら、飛んで見に行きます。 ・自作発言はお控えください。 ・改変、加工は可能です 後は、とにかく楽しんで演じてください! 238 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ミラ | 女 | 66 | お嬢様。 |
リセム | 不問 | 25 | メイドでも執事でも可能です。 |
継母 | 女 | 14 | ミラの新しいお母さん。ある時までは優しい人だったが、ある事で急変してしまう。 |
テイラー | 不問 | 25 | テイラー。物語の指揮者。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
テイラー:溢れた物はもう戻りはしない。
テイラー:たとえ器に戻そうとしても、それが戻ることは決してない。
テイラー:物語とは器から溢れ出る物のように、出てしまったら戻すことはできないようになっている。
0:
テイラー:つまりは、決められた世界で決められた行動以外は認められない。
テイラー:これを忘れてはいけないよ。そうでないと異物として消されるからね?
テイラー:まぁ、君はそうそう消される事はないだろうけど。
0:
0:
テイラー:なぜなら君はこの物語の主人公なのだから…。
0:
0:
リセム:…さま…おじょ…お嬢様!!
0:
ミラ:侍女(執事)のリオンの声にハッと目を覚ます。
ミラ:何かの夢を見ていた気がするが、今は何も覚えていない。
0:
リセム:おそようございます!お嬢様!
ミラ:んー…おはよう、リセム。
0:
ミラ:私の名前はリミラ・ポルノース。街では知られている商業家系の一人娘で知られているとは言っても、その理由は父が放蕩者という事で有名なのだ。
ミラ:父はほぼ家におらず、商品を仕入れに出掛けてばかり。
0:
リセム:おはようではありませんよ!全く、いつまで寝ていらっしゃるんですか!ポルノース家の長女ともあろうお方が!!
ミラ:分かっているけれど…今日見た夢が何か変で…忘れてしまったけれど…起きることを許されないような…なんだかそんな夢だったわ…。
リセム:はぁ…変な夢ですね…。でもそれは夢です!さぁ!!早くお支度を!朝食の時間になってしまいます。
ミラ:分かったわ、急ぐわね。
0:
ミラ:今日も朝が始まる。私付きのメイド(執事)のリセムに支度をしてもらい、朝食のある部屋行く。
ミラ:リセムは私が小さい頃からずっと一緒にいてくれているメイド(執事)で、どんな時も一緒にいてくれたただ1人のメイド(執事)だ。
0:
ミラ:はぁ…今日も気が重いわ…。
リセム:お気持ちは分かりますが、おいそれと口になさってはいけません、お嬢様。
リセム:誰が聞いてるか分かりませんよ。
ミラ:そうよね…気をつけるわ。
0:
ミラ:私を産んでくれた母が生きていた頃はとても良かった。父と母、私の3人で仲良く質素に、それでも笑顔で暮らせていたから。
ミラ:それに、父が仕事でほぼ家になくても、母が一緒にいてくれればそれだけでよかった。
ミラ:だが、そんな優しい母は流行病に罹(かか)ってしまい、亡くなってしまった。
ミラ:母が亡くなり、悲しんで憔悴(しょうすい)しきった私を見ていた父は、私のためにと早く再婚して、私に新しい義母(はは)を連れて来てくれた。
0:
ミラ:義母(はは)が来たばかりの頃はよかったわよね、優しくて、いつも暖かく接してくれてたわ。
リセム:そうですね…。あの頃はとてもようございました…。
0:
0:
ミラ:お継母様(おかあさま)!
継母:あら、どうしたの?
ミラ:あのね!この花冠作ったの!
継母:あら、綺麗ね。
ミラ:これあげる!
継母:くれるの?ありがとう。本当にミラは優しい子ね。
0:
継母:私の事をお母さんと呼ばなくていいわ。前のお母さんがいらっしゃるでしょ?仲良くなれたら嬉しいから、お友達から始めましょ。
継母:大好きよ。私の可愛いミラ。
0:
ミラ:でも父が持って帰ってきたあの大きい鏡のせいで義母(はは)は変わってしまったわ…。
0:
継母:なんて素敵な鏡なのかしら…!これは、これは私のものよ…!誰にも渡さないわ!!
0:
ミラ:あの鏡を貰ってから、お継母様は…。
リセム:お嬢様…。
ミラ:ううん!嘆いてたって仕方ないわ!今日をやり過ごすしかないわね!!
リセム:っはい!!その意気ですよ!!お嬢様!!
ミラ:そうよね!きっといい事が…っ!!
0:
ミラ:急に頭に強い痛みが走る。それと同時に頭の中によぎるのは…。
0:
リセム:そうですよ!きっといい事が起こります!!今日も一日、頑張りましょう!!
0:
ミラ:何…この頭の中に浮かぶ映像は…まるで見たことあるような…。
0:
リセム:そうですよ!きっといい事が起こります!!今日も一日、頑張りましょう!!
ミラ:え…。
リセム:ん?どうしました?お嬢様。
ミラ:あ…いえ、なんでもないわ。朝食の時間よね、早く行かないとね
リセム:大丈夫ならよろしいのですが…。
ミラ:大丈夫よ、気にしないで。
0:
ミラ:なんで…リセムが言った事が頭に浮かんだの…?まるで聞いた事があるかのように…
ミラ:いいえ、きっと気のせいよ。気にせず朝食に向かいましょう
0:
0:
テイラー:はぁ…まったく仕方ない子だねぇ…
テイラー:ちゃんと予定通りにしてくれないと困るよ
テイラー:じゃないと…ね?
0:
0:
0:ミラが食堂の扉を開ける
0:
0:
ミラ:遅れて申し訳ありません。お継母様(おかあさま)。
継母:遅いですよ!!何をしていたのです!!
ミラ:すいません、寝坊をしてしまいました。
継母:全く…行儀も何もなっていない子ですね。誰に似たのかしら。
ミラ:…申し訳ありません…。
継母:早くお座りなさい。
ミラ:はい。お継母様(おかあさま)。
0:
ミラ:やっぱり…お継母様は冷たいままだわ…。
ミラ:あの優しいお継母様に戻ってほしい…。
0:
継母:何をじっとしているのです。早くお食べなさい。
ミラ:あ、はい…。
継母:全く…仕方のない子ね。
0:
ミラ:目も合わせてもらえない…。すごく寂しいわ…。
ミラ:いつまでこんな状態が続くのかしら。鏡がなかったあの頃にに戻りたい…。
ミラ:そこからは食器が擦れる音のみが聞こえて、会話も何もない。それがとても悲しい。
ミラ:暫くするとお継母様はスッと立ち上がって、私を見る事も話しかける事もなく食堂から去っていった。
0:
ミラ:また行ってしまわれたわ…
リセム:お嬢様…、大丈夫です。きっと元の奥様にお戻りになりますよ。
ミラ:そうよね…
リセム:食べ終わりましたら、ドレスに着替えましょう!
ミラ:今日は何かあったかしら?
リセム:王様の誕生日を祝う舞踏会ですよ!
ミラ:そうね、そうだったわ。お継母様もお父様もいらっしゃるのよね?
リセム:もちろんです。いらっしゃいますよ。旦那様は、今日お戻りの予定です。
リセム:昨日、説明致しましたよ?覚えていらっしゃらないのですか?
ミラ:あ、い、いえ。覚えてるわ。どのドレスを着ていくか、決めないといけないわね。
リセム:もちろんですとも!使用人達にしっかりと、おめかしをしてもらってください!
ミラ:リセムったら。
0:
ミラ:何か違和感を感じる。昨日確かに舞踏会の話を聞いたはずなのに、聞いたのが今、初めて聞いた気がする。
ミラ:どうしてかしら…聞いたのに…覚えが…
0:
0:
テイラー:困ったなぁ。また外れようとしてる。君は主人公なんだよ?外れちゃ困るな…。
テイラー:いっそ、一度リセットしようかな…。いや、もうちょっと様子を見るか。
0:
0:
0:扉を叩く音
0:
リセム:お嬢様。
ミラ:入ってちょうだい。
リセム:失礼いたします。ただいま、旦那様がお戻りになられました。
ミラ:お父様が!?
0:
0:ミラが走り出す音
0:
リセム:お嬢様!はしたないですよ!
0:
ミラ:リセムの声が聞こえた気がしたが、そんな事を気にしていられなかった。久しぶりにお父様に会えることの方が嬉しかった。
ミラ:走って玄関まで行くと、扉のところにお父様がいた。その姿を見た瞬間に嬉しさが溢れてきて、大声でお父様を呼ぶ。
0:
ミラ:お父様!
0:
ミラ:大きい声で叫ぶと、お父様が私を見て手を振ってくれた。でも、その姿が急にぶれて見えた。
0:
ミラ:お父…様…?
0:
ミラ:あれ…あの人はお父様だった…?え、どう言うこと…?顔が真っ黒に…
ミラ:帰ってきたお父様にお継母様が抱きつきに行く。
0:
継母:あなた!お帰りなさい!今日は一緒に舞踏会に出れるのよね?
継母:そうよね!よかったわ!
ミラ:お継母様!誰とお話ししていらっしゃるの!?
継母:何を言ってるの?あなたのお父さんじゃないの。まさか忘れただなんて、そんな薄情な事を言うの!?
ミラ:そうじゃないわ!でも…。
継母:なんて子なのかしら…!お仕置きをしないと…
継母:あなたったら!そんなに甘いから、あの子がつけあがるんですよ。
0:
ミラ:お継母様は、どこを見て話しているの…?そこには黒い人しかいないのに、話もしてないのに。
0:
0:ミラの元にリセムがやってくる。
0:
リセム:お嬢様、走っては危ないですよ!おしとやかになさってください!
ミラ:リセム…、あそこにいらっしゃるのは…お継母様の近くにいらっしゃるのはお父様…?
リセム:お嬢様、何をおっしゃっていらっしゃるのです。
ミラ:リセムも…
リセム:(被せるように)ミラ様のお父様ではありませんか。
ミラ:え…、そんな…
0:
ミラ:私にはどう見てもそうは見えないい。そもそも、お父様の顔すら思い出せない。私は一体どうしてしまったの…?
0:
0:
テイラー:はい、そこまでだよ。
0:
0:
ミラ:え…?
0:
0:暗転
0:
ミラ:何ここ…、真っ暗…どこ…?
テイラー:全く…物語から外れてもらっちゃ困るよ。
ミラ:だれ!?
0:
ミラ:暗闇の中に帽子で目元を隠して、右手には小さな本と左手には指揮棒をもった人物が立ってる。
ミラ:しかも、なんなの…この空間は…
0:
テイラー:全く…なん度もやっているのに、どうして外れようとするのかな?
ミラ:一体どう言うこと…?
テイラー:いいかい?君はこの『物語』の世界の人間。つまり一部なんだよ。
ミラ:もの…がたり…
テイラー:そうだとも!ここにはいろんな『物語』の世界がある!君はその『物語』の世界の一部に過ぎない。
テイラー:そこから逸脱(いつだつ)されると困るのさ。
ミラ:逸脱って…そんなの、おかしいわ!私は生きているもの!
テイラー:そう!生きている!!『物語』の中で…ね?
ミラ:そんな…
テイラー:信じられないような事が、むしろ真実なのさ!だからね?リセットするしかないね。
ミラ:リセット…?
テイラー:そうさ。君が逸脱した『物語』を元にもどす。君の記憶ごと、全てね!
ミラ:それじゃあ、私は…!
テイラー:何を言ったとしても、君はあの『物語』の世界に戻るしかない。そこ以外では生きていけないからね。
0:
0:膝をつくミラ
0:
ミラ:嘘…私は…生きている…
テイラー:まぁ、何を言ったところでさ、君は『物語』の世界に戻る以外にはない。
テイラー:さて!そろそろ時間だね。
ミラ:まさか…!
テイラー:そうともさ!君には選択肢なんてないのさ。さ、戻る時間だよ!
ミラ:待って!私は…!
テイラー:『Reset Time(リセット タイム)』
0:
0:黒い渦の中にミラが取り込まれていく
0:
ミラ:待って…!待ってよ…!
テイラー:じゃあね、あの世界を楽しんでね?
0:
0:
リセム:…さま…おじょう…お嬢様!
0:
ミラ(N):侍女(執事)のリオンの声にハッと目を覚ます
ミラ(N):何かの夢を見ていた気がするが、今は何も覚えていない
0:
リセム:おそようございます!お嬢様!
ミラ:んー…おはよう、リセム
0:
0:
0:ここで『物語』が進んでいく。
0:
0:
テイラー:そう、こうでなきゃね。
テイラー:こうじゃないと困る。脇役なら簡単に変えれるけど、主人公は変えられないからね。
テイラー:『物語』の世界に必要なものなんだよ。
テイラー:さぁ、物語を
0:
テイラー:続けてね…?
テイラー:溢れた物はもう戻りはしない。
テイラー:たとえ器に戻そうとしても、それが戻ることは決してない。
テイラー:物語とは器から溢れ出る物のように、出てしまったら戻すことはできないようになっている。
0:
テイラー:つまりは、決められた世界で決められた行動以外は認められない。
テイラー:これを忘れてはいけないよ。そうでないと異物として消されるからね?
テイラー:まぁ、君はそうそう消される事はないだろうけど。
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テイラー:なぜなら君はこの物語の主人公なのだから…。
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0:
リセム:…さま…おじょ…お嬢様!!
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ミラ:侍女(執事)のリオンの声にハッと目を覚ます。
ミラ:何かの夢を見ていた気がするが、今は何も覚えていない。
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リセム:おそようございます!お嬢様!
ミラ:んー…おはよう、リセム。
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ミラ:私の名前はリミラ・ポルノース。街では知られている商業家系の一人娘で知られているとは言っても、その理由は父が放蕩者という事で有名なのだ。
ミラ:父はほぼ家におらず、商品を仕入れに出掛けてばかり。
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リセム:おはようではありませんよ!全く、いつまで寝ていらっしゃるんですか!ポルノース家の長女ともあろうお方が!!
ミラ:分かっているけれど…今日見た夢が何か変で…忘れてしまったけれど…起きることを許されないような…なんだかそんな夢だったわ…。
リセム:はぁ…変な夢ですね…。でもそれは夢です!さぁ!!早くお支度を!朝食の時間になってしまいます。
ミラ:分かったわ、急ぐわね。
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ミラ:今日も朝が始まる。私付きのメイド(執事)のリセムに支度をしてもらい、朝食のある部屋行く。
ミラ:リセムは私が小さい頃からずっと一緒にいてくれているメイド(執事)で、どんな時も一緒にいてくれたただ1人のメイド(執事)だ。
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ミラ:はぁ…今日も気が重いわ…。
リセム:お気持ちは分かりますが、おいそれと口になさってはいけません、お嬢様。
リセム:誰が聞いてるか分かりませんよ。
ミラ:そうよね…気をつけるわ。
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ミラ:私を産んでくれた母が生きていた頃はとても良かった。父と母、私の3人で仲良く質素に、それでも笑顔で暮らせていたから。
ミラ:それに、父が仕事でほぼ家になくても、母が一緒にいてくれればそれだけでよかった。
ミラ:だが、そんな優しい母は流行病に罹(かか)ってしまい、亡くなってしまった。
ミラ:母が亡くなり、悲しんで憔悴(しょうすい)しきった私を見ていた父は、私のためにと早く再婚して、私に新しい義母(はは)を連れて来てくれた。
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ミラ:義母(はは)が来たばかりの頃はよかったわよね、優しくて、いつも暖かく接してくれてたわ。
リセム:そうですね…。あの頃はとてもようございました…。
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ミラ:お継母様(おかあさま)!
継母:あら、どうしたの?
ミラ:あのね!この花冠作ったの!
継母:あら、綺麗ね。
ミラ:これあげる!
継母:くれるの?ありがとう。本当にミラは優しい子ね。
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継母:私の事をお母さんと呼ばなくていいわ。前のお母さんがいらっしゃるでしょ?仲良くなれたら嬉しいから、お友達から始めましょ。
継母:大好きよ。私の可愛いミラ。
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ミラ:でも父が持って帰ってきたあの大きい鏡のせいで義母(はは)は変わってしまったわ…。
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継母:なんて素敵な鏡なのかしら…!これは、これは私のものよ…!誰にも渡さないわ!!
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ミラ:あの鏡を貰ってから、お継母様は…。
リセム:お嬢様…。
ミラ:ううん!嘆いてたって仕方ないわ!今日をやり過ごすしかないわね!!
リセム:っはい!!その意気ですよ!!お嬢様!!
ミラ:そうよね!きっといい事が…っ!!
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ミラ:急に頭に強い痛みが走る。それと同時に頭の中によぎるのは…。
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リセム:そうですよ!きっといい事が起こります!!今日も一日、頑張りましょう!!
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ミラ:何…この頭の中に浮かぶ映像は…まるで見たことあるような…。
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リセム:そうですよ!きっといい事が起こります!!今日も一日、頑張りましょう!!
ミラ:え…。
リセム:ん?どうしました?お嬢様。
ミラ:あ…いえ、なんでもないわ。朝食の時間よね、早く行かないとね
リセム:大丈夫ならよろしいのですが…。
ミラ:大丈夫よ、気にしないで。
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ミラ:なんで…リセムが言った事が頭に浮かんだの…?まるで聞いた事があるかのように…
ミラ:いいえ、きっと気のせいよ。気にせず朝食に向かいましょう
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テイラー:はぁ…まったく仕方ない子だねぇ…
テイラー:ちゃんと予定通りにしてくれないと困るよ
テイラー:じゃないと…ね?
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0:ミラが食堂の扉を開ける
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ミラ:遅れて申し訳ありません。お継母様(おかあさま)。
継母:遅いですよ!!何をしていたのです!!
ミラ:すいません、寝坊をしてしまいました。
継母:全く…行儀も何もなっていない子ですね。誰に似たのかしら。
ミラ:…申し訳ありません…。
継母:早くお座りなさい。
ミラ:はい。お継母様(おかあさま)。
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ミラ:やっぱり…お継母様は冷たいままだわ…。
ミラ:あの優しいお継母様に戻ってほしい…。
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継母:何をじっとしているのです。早くお食べなさい。
ミラ:あ、はい…。
継母:全く…仕方のない子ね。
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ミラ:目も合わせてもらえない…。すごく寂しいわ…。
ミラ:いつまでこんな状態が続くのかしら。鏡がなかったあの頃にに戻りたい…。
ミラ:そこからは食器が擦れる音のみが聞こえて、会話も何もない。それがとても悲しい。
ミラ:暫くするとお継母様はスッと立ち上がって、私を見る事も話しかける事もなく食堂から去っていった。
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ミラ:また行ってしまわれたわ…
リセム:お嬢様…、大丈夫です。きっと元の奥様にお戻りになりますよ。
ミラ:そうよね…
リセム:食べ終わりましたら、ドレスに着替えましょう!
ミラ:今日は何かあったかしら?
リセム:王様の誕生日を祝う舞踏会ですよ!
ミラ:そうね、そうだったわ。お継母様もお父様もいらっしゃるのよね?
リセム:もちろんです。いらっしゃいますよ。旦那様は、今日お戻りの予定です。
リセム:昨日、説明致しましたよ?覚えていらっしゃらないのですか?
ミラ:あ、い、いえ。覚えてるわ。どのドレスを着ていくか、決めないといけないわね。
リセム:もちろんですとも!使用人達にしっかりと、おめかしをしてもらってください!
ミラ:リセムったら。
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ミラ:何か違和感を感じる。昨日確かに舞踏会の話を聞いたはずなのに、聞いたのが今、初めて聞いた気がする。
ミラ:どうしてかしら…聞いたのに…覚えが…
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テイラー:困ったなぁ。また外れようとしてる。君は主人公なんだよ?外れちゃ困るな…。
テイラー:いっそ、一度リセットしようかな…。いや、もうちょっと様子を見るか。
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0:扉を叩く音
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リセム:お嬢様。
ミラ:入ってちょうだい。
リセム:失礼いたします。ただいま、旦那様がお戻りになられました。
ミラ:お父様が!?
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0:ミラが走り出す音
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リセム:お嬢様!はしたないですよ!
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ミラ:リセムの声が聞こえた気がしたが、そんな事を気にしていられなかった。久しぶりにお父様に会えることの方が嬉しかった。
ミラ:走って玄関まで行くと、扉のところにお父様がいた。その姿を見た瞬間に嬉しさが溢れてきて、大声でお父様を呼ぶ。
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ミラ:お父様!
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ミラ:大きい声で叫ぶと、お父様が私を見て手を振ってくれた。でも、その姿が急にぶれて見えた。
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ミラ:お父…様…?
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ミラ:あれ…あの人はお父様だった…?え、どう言うこと…?顔が真っ黒に…
ミラ:帰ってきたお父様にお継母様が抱きつきに行く。
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継母:あなた!お帰りなさい!今日は一緒に舞踏会に出れるのよね?
継母:そうよね!よかったわ!
ミラ:お継母様!誰とお話ししていらっしゃるの!?
継母:何を言ってるの?あなたのお父さんじゃないの。まさか忘れただなんて、そんな薄情な事を言うの!?
ミラ:そうじゃないわ!でも…。
継母:なんて子なのかしら…!お仕置きをしないと…
継母:あなたったら!そんなに甘いから、あの子がつけあがるんですよ。
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ミラ:お継母様は、どこを見て話しているの…?そこには黒い人しかいないのに、話もしてないのに。
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リセム:お嬢様、走っては危ないですよ!おしとやかになさってください!
ミラ:リセム…、あそこにいらっしゃるのは…お継母様の近くにいらっしゃるのはお父様…?
リセム:お嬢様、何をおっしゃっていらっしゃるのです。
ミラ:リセムも…
リセム:(被せるように)ミラ様のお父様ではありませんか。
ミラ:え…、そんな…
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ミラ:私にはどう見てもそうは見えないい。そもそも、お父様の顔すら思い出せない。私は一体どうしてしまったの…?
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テイラー:はい、そこまでだよ。
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ミラ:え…?
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ミラ:何ここ…、真っ暗…どこ…?
テイラー:全く…物語から外れてもらっちゃ困るよ。
ミラ:だれ!?
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ミラ:暗闇の中に帽子で目元を隠して、右手には小さな本と左手には指揮棒をもった人物が立ってる。
ミラ:しかも、なんなの…この空間は…
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テイラー:全く…なん度もやっているのに、どうして外れようとするのかな?
ミラ:一体どう言うこと…?
テイラー:いいかい?君はこの『物語』の世界の人間。つまり一部なんだよ。
ミラ:もの…がたり…
テイラー:そうだとも!ここにはいろんな『物語』の世界がある!君はその『物語』の世界の一部に過ぎない。
テイラー:そこから逸脱(いつだつ)されると困るのさ。
ミラ:逸脱って…そんなの、おかしいわ!私は生きているもの!
テイラー:そう!生きている!!『物語』の中で…ね?
ミラ:そんな…
テイラー:信じられないような事が、むしろ真実なのさ!だからね?リセットするしかないね。
ミラ:リセット…?
テイラー:そうさ。君が逸脱した『物語』を元にもどす。君の記憶ごと、全てね!
ミラ:それじゃあ、私は…!
テイラー:何を言ったとしても、君はあの『物語』の世界に戻るしかない。そこ以外では生きていけないからね。
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0:膝をつくミラ
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ミラ:嘘…私は…生きている…
テイラー:まぁ、何を言ったところでさ、君は『物語』の世界に戻る以外にはない。
テイラー:さて!そろそろ時間だね。
ミラ:まさか…!
テイラー:そうともさ!君には選択肢なんてないのさ。さ、戻る時間だよ!
ミラ:待って!私は…!
テイラー:『Reset Time(リセット タイム)』
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0:黒い渦の中にミラが取り込まれていく
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ミラ:待って…!待ってよ…!
テイラー:じゃあね、あの世界を楽しんでね?
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リセム:…さま…おじょう…お嬢様!
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ミラ(N):侍女(執事)のリオンの声にハッと目を覚ます
ミラ(N):何かの夢を見ていた気がするが、今は何も覚えていない
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リセム:おそようございます!お嬢様!
ミラ:んー…おはよう、リセム
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0:ここで『物語』が進んでいく。
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テイラー:そう、こうでなきゃね。
テイラー:こうじゃないと困る。脇役なら簡単に変えれるけど、主人公は変えられないからね。
テイラー:『物語』の世界に必要なものなんだよ。
テイラー:さぁ、物語を
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テイラー:続けてね…?