台本概要

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タイトル 「家族旅行」
作者名 月儚(つくも)レイ  (@rose_moon44)
ジャンル ホラー
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 20 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 「初めての家族旅行…。忘れられない、楽しい思い出になるはずだった旅行は…。」

1人読み朗読台本の怪談シリーズ「零の恐怖書庫」第15夜となります。

怪談語りのようなホラー作品となります。ホラーが苦手な方はご注意くださいませ。

朗読の際のお時間のほうは15分前後ほどかと思います。

ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 - 主人公、語り手。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0: 0:これは、私がまだ小学校の低学年くらいだった頃の話だ。 0: 0:ある夏休み… 0:私達一家は、家族旅行にでかけていた。 0:父と母、そしてまだ幼稚園に通っていた小さな弟。 0:この旅行は私にとっては初めての旅行で… 0:私と弟は、旅行先へと向かう車の中でもずっとはしゃいでいた。 0:どこへ向かっているのか、小さい私にはよくわかってはいなかったが… 0:高速道路や休憩所…長いトンネル、車の窓から見える見慣れない景色。 0:自分の知らない、遠くへ向かっているということは理解ができて… 0:旅行ならではの高揚感は未だによく覚えている。 0: 0:何時間ほど移動していただろうか。 0: 0:私と弟は、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。 0:母に起こされ、ついた先は随分と山の中の旅館のようだった。 0:車から降りると、割れんばかりの蝉の大合唱と容赦のない熱気。 0:そして風にのって海の香りが漂っている。 0:旅行シーズンのわりにはそんなに車が停まっていなかった。 0:荷物を降ろしながら車を降りてきた父親が、ここは友人に教わった穴場だと得意げに言っている。 0:当時は今のようにインターネットも普及していなかったし、こういう穴場なんかもそれなりにあったのだ。 0:古そうではあるが、とても大きな旅館。 0:母と手をつなぎながら、旅館の中へと向かう。 0: 0:ガラガラ…と趣(おもむき)のある扉をあけて中に入った時だった。 0: 0:すぐに変わった香りが鼻につく。 0:今思うと、あれは線香の香りだったのだろう。 0:その香りがしたのと同時に、手に痛みを感じた。 0:何かと思うと、母が強い力で私の手を握っていたのだ。 0:顔色も悪い…さっきまでの楽しそうな母の顔はそこにはなかった。 0:どうしたの?と声をかけるのもためらってしまう程、母の様子はおかしかった。 0:そんな母や私に気付かず、父は弟とフロントへ向かい、受付の人と話している。 0:そうして、二人と一緒に、にこやかな仲居のおばさんがこちらへ向かって来る頃には母も元気な様子に戻っていたし、あの匂いもしなくなっていたので… 0:私もそれ以上母に何かを聞いたり、気にすることはなかった。 0: 0:仲居さんに通されたのは、4人で使うには広すぎるような立派な和室だった。 0:父は運転の疲れからか、早速畳の上に寝そべっている。 0:そんな父の様子にぶつくさと文句を言いながら荷物の整理をする母。 0:小さな私と弟は初めての旅館にとにかくワクワクが止まらず、探検しよう!なんて言って部屋を飛び出した。 0:後ろから母の怒った声が聞こえた気がしたが、無視して弟と駆け出す。 0: 0:部屋から出ると長い廊下が広がっていた。 0:やはりあまり人は居ないようで、廊下はシーンとしている。 0:今思うと迷惑な話だが、楽しくなってワッと廊下を弟と走り回る。 0:どこをどう走ったか、もちろんわかっていない。 0:しばらくして…扉の閉まった部屋が続く中、少しだけ扉が開いている部屋を見つけた。 0:  0:中に入れる!! 0:  0:ワクワクしてその扉を開こうとした時… 0: 0:ふっと中から冷たい風と線香の香りが顔をなでた。 0: 0:その瞬間、いけませんよ!という声とともにぐいっと肩を掴まれる。 0:振り返ると、そこにはさっきの仲居さんがいた。 0:ぴしゃりと扉を締めながら向けてきた顔は、笑っているが目は笑っていないような…その表情にゾッとしたのを覚えている。 0:そして私達を追いかけてきていたのだろう。少し息を切らせた父がすぐにやってきて、仲居さんに謝りながら私達を部屋へと連れ戻した。 0: 0:その後…1日目はゆっくりしようということで、温泉に入ったり、豪華な夕飯を食べたりと部屋でのんびりと家族で過ごした。 0:明日は朝早くから海で遊ぶということになっていて… 0:めいっぱい遊ぶために早く眠るよう言われた私達は、名残惜しく思いながらも布団へと潜り込んだ。 0:布団にさえ潜り込んでしまえば、はしゃぎ疲れたのもあってすぐに眠りにおちる。 0:  0:どれくらい時間が経ったのだろう。 0:  0:ふと、目が覚めた。 0:  0:目が覚めた私は最初、何が起きたのかわからなかった。 0:  0:布団で眠っていたはずなのに… 0:  0:私は部屋の外…あの長い廊下に立っていたのだ。 0:私だけではない。横を見ると弟が私と手をつなぎながら、目をこすっている。 0:夢だろうかと思ったが、どうにもそんな感じもしない。 0:しかし不思議と、このようなわけのわからない状況なのにも関わらず、泣き叫んだり慌てたりという感情は湧かなかった。 0:また、線香の香りが鼻につく。 0:わけもわからずきょろきょろと辺りを見渡して、ハッとする。 0:  0:ここは探検していたとき、仲居さんに止められた部屋の前だった。 0: 0:どうしてこんな真っ暗の中、小さな私がそれに気づいたのかはわからない。 0:そして仲居さんが閉めたはずの扉は、また少しだけ開いていた。 0:私は何かに誘われるように扉を開く。 0: 0:ガラガラガラ… 0:中は真っ暗だが、窓が開いていて…月明りが誰もいない部屋を照らしていた。 0:そのまま部屋の中に入ると… 0: 0:真夏だというのに全身が凍りつくような冷気と、まるで水の中に入ったような、とぷん…という感触が私を襲った。 0:同時にガラガラガラ!と激しい音を立てながら、扉が勢いよく閉まった。 0:ここでようやく、私は恐怖が全身を駆け巡り、大声をあげて泣き叫んだ。 0:手をつないでいた弟も私につられたように泣き叫ぶ。 0:パニックになりながら、扉をあけて逃げ出そうとするもびくとも動かず、ドンドン叩きながら助けを呼ぶ。 0:そうしていると更に強く線香の香りがして、思わず後ろを振り返る。 0: 0:私は悲鳴すら止まってしまった。 0: 0:入った時には誰も居なかったはずなのに… 0:月明りの照らす窓の前に、こちらに背を向けるようにして誰かが立っている。 0: 0:床につくほど長い髪の…女性だ。 0:その女性が身体を揺らし、ゆっくりとこちらを振り返ろうとしているのがわかった。 0:気付くと、身体が動かない。 0:隣で泣いているはずの弟の声も、まるで遠くからしているかのように聞こえる。 0: 0:怖い、怖い、怖い。 0: 0:逃げ出したいが、身体はピクリとも動いてくれない。 0:女の方を向いたまま、一切身動きが取れないのだ。 0:そのまま、振り返る女性の顔を見てしまいそうになる。 0:本能が、見てはいけないと全身に叫ぶ。 0:しかし、身体はおろか、瞼(まぶた)さえ動かない。 0:  0:もうだめだ、と思った瞬間… 0: 0:再び扉が音を立てて開き、私の身体は何かに引っ張られるように部屋の外へ放り出された。 0:身体も動くようになっている…横を見ると弟も放り出されていた。 0: 0:混乱する頭で部屋のほうを見上げると… 0: 0:そこには母が立っていた。 0: 0:私達に背を向け、部屋の中を睨みつけているような様子が後ろ姿からうかがえる。 0:やがて母は勢いよく扉を閉め、私達を抱きかかえるようにして自室へと走った。 0:そして眠っていた父をたたき起こし、荷物をまとめてロビーへと向かう。 0:あまりの出来事に頭も感情も一切追いつかない。 0:母が受付の人に向かってなにやら叫んでいるが、何を言っているのかはよくわからなかった。 0:父は深刻そうな、なんとも言えない暗い顔で立っている。 0:そうして、深夜にも関わらず…私達は母にただただついていくような形で旅館をあとにして、帰路につくのだった。 0: 0: 0:あの最初で最後の家族旅行から何年も経ち、私と弟は大人になった。 0:  0:母は…旅行のすぐ後に、心臓発作で突然死してしまった。 0:私がある程度大きくなってから父に聞いたのだが、母は非常に霊感が強い人だったらしい。 0:父は、あの旅館の何かのせいで母は死んだと思っているようだった。 0:自分があんな旅館を選ばなければ、と母が亡くなってからずっと気に病み続け…そのせいもあってか今は病床に伏せている。 0:私よりも小さかった弟は、あの旅行のことも、母のことさえもあまり覚えていないようだった。 0: 0:そして…大人になった私はこんなことを思う。 0:私と弟は、あの部屋の何かに魅入られ、誘われたのではないか… 0:霊感の強い母はそれに気付き、私達を助けに部屋へやってきて… 0:あの女の顔を見ることで、私達の身代わりになったのではないか…。 0:女は一体何者だったのか…むしろ、あの旅館そのものに何かがあったのか… 0:旅館はすでに取り壊されているようで真相は確かめようもなく… 0:この不条理で悲しい出来事を考えれば考えるほど、深い闇へと引きずり込まれるような感覚と共に… 0: 0:背後からあの線香の香りがしたような恐怖に襲われるのだった。 0: 0: 0:(終)

0: 0: 0:これは、私がまだ小学校の低学年くらいだった頃の話だ。 0: 0:ある夏休み… 0:私達一家は、家族旅行にでかけていた。 0:父と母、そしてまだ幼稚園に通っていた小さな弟。 0:この旅行は私にとっては初めての旅行で… 0:私と弟は、旅行先へと向かう車の中でもずっとはしゃいでいた。 0:どこへ向かっているのか、小さい私にはよくわかってはいなかったが… 0:高速道路や休憩所…長いトンネル、車の窓から見える見慣れない景色。 0:自分の知らない、遠くへ向かっているということは理解ができて… 0:旅行ならではの高揚感は未だによく覚えている。 0: 0:何時間ほど移動していただろうか。 0: 0:私と弟は、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。 0:母に起こされ、ついた先は随分と山の中の旅館のようだった。 0:車から降りると、割れんばかりの蝉の大合唱と容赦のない熱気。 0:そして風にのって海の香りが漂っている。 0:旅行シーズンのわりにはそんなに車が停まっていなかった。 0:荷物を降ろしながら車を降りてきた父親が、ここは友人に教わった穴場だと得意げに言っている。 0:当時は今のようにインターネットも普及していなかったし、こういう穴場なんかもそれなりにあったのだ。 0:古そうではあるが、とても大きな旅館。 0:母と手をつなぎながら、旅館の中へと向かう。 0: 0:ガラガラ…と趣(おもむき)のある扉をあけて中に入った時だった。 0: 0:すぐに変わった香りが鼻につく。 0:今思うと、あれは線香の香りだったのだろう。 0:その香りがしたのと同時に、手に痛みを感じた。 0:何かと思うと、母が強い力で私の手を握っていたのだ。 0:顔色も悪い…さっきまでの楽しそうな母の顔はそこにはなかった。 0:どうしたの?と声をかけるのもためらってしまう程、母の様子はおかしかった。 0:そんな母や私に気付かず、父は弟とフロントへ向かい、受付の人と話している。 0:そうして、二人と一緒に、にこやかな仲居のおばさんがこちらへ向かって来る頃には母も元気な様子に戻っていたし、あの匂いもしなくなっていたので… 0:私もそれ以上母に何かを聞いたり、気にすることはなかった。 0: 0:仲居さんに通されたのは、4人で使うには広すぎるような立派な和室だった。 0:父は運転の疲れからか、早速畳の上に寝そべっている。 0:そんな父の様子にぶつくさと文句を言いながら荷物の整理をする母。 0:小さな私と弟は初めての旅館にとにかくワクワクが止まらず、探検しよう!なんて言って部屋を飛び出した。 0:後ろから母の怒った声が聞こえた気がしたが、無視して弟と駆け出す。 0: 0:部屋から出ると長い廊下が広がっていた。 0:やはりあまり人は居ないようで、廊下はシーンとしている。 0:今思うと迷惑な話だが、楽しくなってワッと廊下を弟と走り回る。 0:どこをどう走ったか、もちろんわかっていない。 0:しばらくして…扉の閉まった部屋が続く中、少しだけ扉が開いている部屋を見つけた。 0:  0:中に入れる!! 0:  0:ワクワクしてその扉を開こうとした時… 0: 0:ふっと中から冷たい風と線香の香りが顔をなでた。 0: 0:その瞬間、いけませんよ!という声とともにぐいっと肩を掴まれる。 0:振り返ると、そこにはさっきの仲居さんがいた。 0:ぴしゃりと扉を締めながら向けてきた顔は、笑っているが目は笑っていないような…その表情にゾッとしたのを覚えている。 0:そして私達を追いかけてきていたのだろう。少し息を切らせた父がすぐにやってきて、仲居さんに謝りながら私達を部屋へと連れ戻した。 0: 0:その後…1日目はゆっくりしようということで、温泉に入ったり、豪華な夕飯を食べたりと部屋でのんびりと家族で過ごした。 0:明日は朝早くから海で遊ぶということになっていて… 0:めいっぱい遊ぶために早く眠るよう言われた私達は、名残惜しく思いながらも布団へと潜り込んだ。 0:布団にさえ潜り込んでしまえば、はしゃぎ疲れたのもあってすぐに眠りにおちる。 0:  0:どれくらい時間が経ったのだろう。 0:  0:ふと、目が覚めた。 0:  0:目が覚めた私は最初、何が起きたのかわからなかった。 0:  0:布団で眠っていたはずなのに… 0:  0:私は部屋の外…あの長い廊下に立っていたのだ。 0:私だけではない。横を見ると弟が私と手をつなぎながら、目をこすっている。 0:夢だろうかと思ったが、どうにもそんな感じもしない。 0:しかし不思議と、このようなわけのわからない状況なのにも関わらず、泣き叫んだり慌てたりという感情は湧かなかった。 0:また、線香の香りが鼻につく。 0:わけもわからずきょろきょろと辺りを見渡して、ハッとする。 0:  0:ここは探検していたとき、仲居さんに止められた部屋の前だった。 0: 0:どうしてこんな真っ暗の中、小さな私がそれに気づいたのかはわからない。 0:そして仲居さんが閉めたはずの扉は、また少しだけ開いていた。 0:私は何かに誘われるように扉を開く。 0: 0:ガラガラガラ… 0:中は真っ暗だが、窓が開いていて…月明りが誰もいない部屋を照らしていた。 0:そのまま部屋の中に入ると… 0: 0:真夏だというのに全身が凍りつくような冷気と、まるで水の中に入ったような、とぷん…という感触が私を襲った。 0:同時にガラガラガラ!と激しい音を立てながら、扉が勢いよく閉まった。 0:ここでようやく、私は恐怖が全身を駆け巡り、大声をあげて泣き叫んだ。 0:手をつないでいた弟も私につられたように泣き叫ぶ。 0:パニックになりながら、扉をあけて逃げ出そうとするもびくとも動かず、ドンドン叩きながら助けを呼ぶ。 0:そうしていると更に強く線香の香りがして、思わず後ろを振り返る。 0: 0:私は悲鳴すら止まってしまった。 0: 0:入った時には誰も居なかったはずなのに… 0:月明りの照らす窓の前に、こちらに背を向けるようにして誰かが立っている。 0: 0:床につくほど長い髪の…女性だ。 0:その女性が身体を揺らし、ゆっくりとこちらを振り返ろうとしているのがわかった。 0:気付くと、身体が動かない。 0:隣で泣いているはずの弟の声も、まるで遠くからしているかのように聞こえる。 0: 0:怖い、怖い、怖い。 0: 0:逃げ出したいが、身体はピクリとも動いてくれない。 0:女の方を向いたまま、一切身動きが取れないのだ。 0:そのまま、振り返る女性の顔を見てしまいそうになる。 0:本能が、見てはいけないと全身に叫ぶ。 0:しかし、身体はおろか、瞼(まぶた)さえ動かない。 0:  0:もうだめだ、と思った瞬間… 0: 0:再び扉が音を立てて開き、私の身体は何かに引っ張られるように部屋の外へ放り出された。 0:身体も動くようになっている…横を見ると弟も放り出されていた。 0: 0:混乱する頭で部屋のほうを見上げると… 0: 0:そこには母が立っていた。 0: 0:私達に背を向け、部屋の中を睨みつけているような様子が後ろ姿からうかがえる。 0:やがて母は勢いよく扉を閉め、私達を抱きかかえるようにして自室へと走った。 0:そして眠っていた父をたたき起こし、荷物をまとめてロビーへと向かう。 0:あまりの出来事に頭も感情も一切追いつかない。 0:母が受付の人に向かってなにやら叫んでいるが、何を言っているのかはよくわからなかった。 0:父は深刻そうな、なんとも言えない暗い顔で立っている。 0:そうして、深夜にも関わらず…私達は母にただただついていくような形で旅館をあとにして、帰路につくのだった。 0: 0: 0:あの最初で最後の家族旅行から何年も経ち、私と弟は大人になった。 0:  0:母は…旅行のすぐ後に、心臓発作で突然死してしまった。 0:私がある程度大きくなってから父に聞いたのだが、母は非常に霊感が強い人だったらしい。 0:父は、あの旅館の何かのせいで母は死んだと思っているようだった。 0:自分があんな旅館を選ばなければ、と母が亡くなってからずっと気に病み続け…そのせいもあってか今は病床に伏せている。 0:私よりも小さかった弟は、あの旅行のことも、母のことさえもあまり覚えていないようだった。 0: 0:そして…大人になった私はこんなことを思う。 0:私と弟は、あの部屋の何かに魅入られ、誘われたのではないか… 0:霊感の強い母はそれに気付き、私達を助けに部屋へやってきて… 0:あの女の顔を見ることで、私達の身代わりになったのではないか…。 0:女は一体何者だったのか…むしろ、あの旅館そのものに何かがあったのか… 0:旅館はすでに取り壊されているようで真相は確かめようもなく… 0:この不条理で悲しい出来事を考えれば考えるほど、深い闇へと引きずり込まれるような感覚と共に… 0: 0:背後からあの線香の香りがしたような恐怖に襲われるのだった。 0: 0: 0:(終)