台本概要

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タイトル 地平線物語~finience  histria~ Prologue
作者名 神風雷神  (@populight)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 剣と魔法の世界のシナリオです。Twitter(現X)で、様々な知り合いをキャラ化させてもらいまして、それでストーリーを創ったらどうなるだろうと思い、途方もないシナリオを創ろうとしています。よかったら、お付き合いください。誤字脱字あれば、教えてください。
シナリオを使っていただけるとなれば、大変喜びます。声掛けしてくれたら嬉しいです。
※少し長いですが、下記が世界観の説明です。前書きとして読んでいただけたらと思います。



剣と魔法が激しく混ざり合う世界、イデアコリス。
それぞれの国が均衡を保ち、平和を尊重して過ごしてきた。
しかし、セークルス歴147年、大陸の半分近くを占める帝国、モスクリーナ帝国皇帝が崩御すると同時に、とある噂が広まり始める。
「皇帝は暗殺された」と。
嘘か信か、この事が引き金となり、モスクリーナ帝国では「このままでは世界は崩壊の一途を辿る。世界をあるべき姿に還すべきだ。」という考えが広まり、軍部をエクリプス軍と名乗って、他国へと戦争を開始する。ある者は正義を謳い、ある者は戦いを愛し、またある者は、冷徹な笑みを浮かべる。
エクリプス軍の兵力に為す術もなく呑まれていく小国の様を見た国々が、次々と手を取り合う。それらの国が、連合軍となってエクリプス軍に立ち向かう。
皇帝の暗殺は誰か、何のためか、エクリプス軍の狙いは。また、連合軍の同盟は、生き残るためか、仲間の救済か、それとも・・・。
そして、連合軍とは別の勢力も暗躍し、セークルス歴は終わりを告げ、新たな時代が誕生する。
それぞれの国や人の思惑が錯綜する中、この戦争は激化していく。大国の平定か、連合による復権か、それとも、分け目を狙う漁夫の利か。
時代の中で、それぞれの力を持ちし者達が、刹那の煌めきを放った時代。人々はその時代を、「フィニエンス」と呼んだ。

地平線物語~finience histria~

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
シルエラ 31 属性:風 立位置:連合軍幹部(ヴァルサ軍中将) 職業:騎士 武器:レイピア 性格:ヴァルサ軍の教育係であり、司令塔の一人。部下にも自分にも厳しい。戦闘での魔力を乗せた衝きは、あらゆるものを吹き飛ばす。楽観的な大将に苛立つ場面もしばしば···。
レークス 39 属性:火 立位置:敵幹部(中将) 職業:騎士 武器:刀 性格:任務には参加するが、群れることを嫌い、単独でほぼ全ての任務をこなしてしまう。戦闘では常に強者を求めているが、狡猾に戦線を見極める力もある。刀は魔力か鮮血か、常に紅く染まっている。
ヴラフォス 19 属性:地 立位置:敵幹部(少将) 職業:魔術師 武器:杖 性格:味方に対してはとても優しい。若手の教育係に勤しむ少将。戦闘では後方から支援するように魔法で大地を揺らし、前線の援護をすることに長けている。いろいろ押し付けられることも多く、滅多に怒らないが、怒らせると怖い。
マリアニッテ 18 属性:風 立位置:敵幹部(中将) 職業:傀儡師 武器:鋼鉄糸 性格:物腰柔らかく、仲間のことを気にかけ、時には手術も自分の持つ糸を使って行う心優しい人。戦場では人が変わったように死者生者関係なく糸で操り、無差別に戦闘させる狂喜的な魔女。
ドゥラス 24 属性:地 立位置:連合軍幹部(ヴァルサ軍大将) 職業:戦士 武器:大太刀 性格:普段はだらけているように見えるが、言われたことや後輩の面倒見はこなす兄貴分。戦闘では一騎当千と言われ、彼が通る戦場には亡骸の道ができると言われる。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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レークス:フィニエンス歴2年  2月10日 レークス:セークルス歴が終わりを告げ、新たな歴号が始まった。そしてまもなく、モスクリーナ帝国の侵攻は始まり、瞬く間に様々な国が帝国の手に堕ちた。 レークス:その中で、陥落が迫っていたバルトリア王国と交友関係にあったヴァルサ帝国が、援軍としてバルトリア王国に到着。モスクリーナ帝国軍と激突した。 ドゥラス:ヴァルサ帝国は魔神の加護を授かりし国として、マギアの使い手を多数輩出する魔法国家であった。シルエラ中将の統率のとれた指揮の下、ヴァルサ軍はモスクリーナ帝国を退けつつあった。 ドゥラス:だが突如として、事態は急変する。モスクリーナ帝国軍の後方より放たれた一矢の光線が、バルサ軍の魔力の源である中核"マギアクリスタル"を破壊したのだ。 ヴラフォス:予想打にしなかった攻撃により、中核を失ったヴァルサ軍は攻防力を失い、敗走の一途を辿った。 ヴラフォス:その中でシルエラ中将は1人でも多くの軍兵を護る為、自ら本戦の先頭に立ち、数多の敵兵を退けた。だが軍力差によって散り逝く数多の自兵の命を目の当たりしつつ、相対する敵軍中将レークスとの激戦により、自身も精魂尽き果てようとしていた。 0:バルトリア王国東部 ルバナス平原 0:13時30分 シルエラ:ハァ・・・ハァ・・・クッ・・・! レークス:いやはやいやはや。一国の中将ともあろうお方がこの程度とは・・・。ヴァルサ共和国も落ちぶれたものです。 シルエラ:黙れっ!貴様等が卑怯にも、我々のマギアを使えなくする卑怯な戦法をとったからではないか! レークス:卑怯?フハハハハ・・・!何を戯言を?戦争とは、命の奪い合い。そんなところで自分の身を守るためにあらゆる策を講じる。当たり前の話でしょう? シルエラ:・・・ッ・・・! レークス:相手が女性中将。武器はレイピア。力業だけでのしあがれるほど、この世界は甘くない。なれば、相手は必ず特殊攻撃を仕掛けてくる。もしその根幹を叩けるなら、誰だってその部分を突くでしょう。 シルエラ:だからといって・・・防戦すら出来ない相手を、ここまで惨殺するのか。 レークス:何度も言わせるな。これは戦争だ。命乞いなどなんの役にも立たない。そうでしょう?貴女方がマギアを使えた時、命乞いをした我が軍に情けをかけましたか? シルエラ:・・・では、貴様等は、一体何を守ったというのだ? レークス:何? シルエラ:バルトリア王国に攻め入り、国を、町を、民を、全てを踏みにじった!バルトリア王国が、何をしたというのだ?!我々は、この国の民を守るために、ここにいる!侵略を押し返す正義がある!そして私には!民と仲間を護る正義がある! レークス:正義、ですか・・・ククク・・・フハハハハ・・・! シルエラ:何がおかしい! レークス:何がって?・・・甘い・・・甘い甘い甘い甘い甘い!実に甘い!!!そんな甘い考えだからこそ!この国も!その仲間も崩壊する!我等の国も、帝が甘かったから暗殺などという死を遂げたのです!我等は強くなる!そして、世界を平和にすべく、国を統一していくのです!そのためには、絶対的な力が必要です! シルエラ:統一が、安泰だと・・・?ふざけるな!!それだけのために、一体どれほどの国が、民が、多くの未来を犠牲にしたのだ!!お前だけでも!刺し違えてでも!私が必ず葬ってくれる!!! レークス:ふん!戯言を!私の刀の餌にしてあげましょう。 シルエラ:な・・・その刀は・・・!? レークス:美しいでしょう?この紅き刀身。今まで斬ってきた者たちの血肉を吸い、こいつはここまで成長しました! シルエラ:なんと・・・おぞましい・・・!そんな呪われた力!私が吹き飛ばしてくれる!ハアッ!!!(レイピアの突きを何度も打ち込む) レークス:(幾度も迫る突きを躱しながら)フフフ・・・無力!無力無力無力!その程度では当たりませんよ?今度はこちらの番です・・・はぁっ!!!(突きの合間を縫って、逆袈裟に相手を斬ろうとする) シルエラ:っ・・ぐっ!!!パレーヴィエント!(風で壁を創り、一気に距離を空けて飛び退く) レークス:ほう・・・風で障壁を創りますか。 シルエラ:ハァ・・・ハァ・・・貴様なぞ・・・クリスタルの力があれば・・・。 レークス:だが、腰をよく見てください? シルエラ:何・・・ぐぁ・・・!(片膝をつくシルエラの腰から、うっすらと血が滲んでいく) レークス:ククク・・・私の血刀に障壁など無力!直接当たらずとも、近くを刀身が通るだけで、貴女の血液が吸い寄せられる! シルエラ:ハァ・・ハァ・・・なんと、おぞましい・・・! レークス:さぁ・・・美味しくいただくとしましょうか・・・! シルエラ:させぬ!私はヴァルサ軍中将、シルエラ=コルドヴァ!こんなところで、易々と首はやらぬ! 0:同刻 ルバナス平原北部 ヴラフォス:・・・レークス殿は、うまくやっているようですね。さすがは『吸血鬼』の異名は伊達ではありませんね。 マリアニッテ:それでも、相手はヴァルサ軍中将。女性にも関わらず、タフな方ですねぇ。あ〜〜〜・・・亡骸は後でもらえますかね〜〜〜?できれば、斬られてほしくないんですが〜〜・・・。 ヴラフォス:・・・マリアニッテ様。レークス殿は血を欲しています。戦闘が終わる頃には、骨と皮だけになっている兵もしばしばです。 マリアニッテ:え〜〜〜?それは困りましたね〜〜〜。あの風魔法の障壁は〜、傀儡魔術の応用に役立ちそうなのに〜〜〜。 ヴラフォス:研究熱心なのは良いことですが、レークス殿とマリアニッテ様の相性は良くないのかもしれませんね。 マリアニッテ:あらあら〜〜。残念。まあ、仕方ないですね〜。 ヴラフォス:さて、長引かせれば万が一もありえますし、早く事を済ませましょう。あの女性を倒せば、我々の勝利です。では、大地を揺らしましょう。 マリアニッテ:そうね〜。・・・でも・・・ちょっと遅かったかもしれないわ? ヴラフォス:え? マリアニッテ:しゃがみなさい。 ヴラフォス:え?ぅわっ! 0:ヴラフォスとマリアニッテがしゃがむと、頭があったあたりに強烈な風が吹き抜ける。それは、何かが通り抜けた跡だった。 ヴラフォス:・・・い、今のは・・・? マリアニッテ:あらあら〜〜・・・私の操り糸を簡単に真っ二つ・・・さすがは『ノー・エスタンダー(規格外)』。大将は伊達ではありませんでしたね〜〜。 ヴラフォス:では、今のがあの・・・? マリアニッテ:さあ、面白くなってきましたね〜〜〜。 0:14時3分 ルバナス平原 レークス:貴女の護りたいものは、結局それぐらいの力しか与えないんですよ。 シルエラ:ハァ・・ハァ・・・違う。私の、この力は・・民達がいたから、手に入れられた。・・・私がここに、立てている、のも・・・民たちのおかげなのだ・・! レークス:では、その民たちが立たせた方は・・・無能だった、ということですね。なんとも愚かだ。 シルエラ:くっ・・・!言わせておけば・・・! レークス:おやおや、まだやり合いますか?ここで退くなら、命は取らない程度にとどめようと思ったんですが・・・仕方ありません。 シルエラ:な、何を・・・ぐっ!ぁ、ぁぁあああぁぁぁ!!!!! レークス:フフフフフ!!やはり血刀は面白い!少し力を込めるだけで、傷口から蛇口を捻るかのように血を溢れ出させる!貴女も私の刀の養分になるんです。光栄に思ってください。 シルエラ:くっ・・・!!こんな・・・ところ、で・・・! レークス:いつまでその口が・・・っ!!! 0:レークスとルシエラの間に、凄まじい衝撃波が起こり、辺りに砂煙が舞い上がる。間一髪のところでレークスは跳び退く。 レークス:・・・・・・・おやおや。貴方はお呼びでは無かったはずなんですが・・・。 ドゥラス:おいおい。そんなこと言うなよ。連れねぇじゃねえか。楽しいことは俺も交ぜてくれよ。 レークス:おかしいですね。貴方には相応の玩具を提供したはずですが? ドゥラス:あんなでかいトカゲや狼の群れが玩具か?ハッハッハ!おいおい、片手で一回振っただけでぶっ壊れるような玩具、用意してんじゃねぇよ。 レークス:・・・そうですか。足りませんでしたか。 シルエラ:まったく・・・遅いんですよ、大将。 ドゥラス:悪ぃな。ちょっとだけ手間取った。 シルエラ:本当に大将なんですか?自覚はおありですか? ドゥラス:ふぅ・・・手厳しいねぇ。これでも急いで来たんだぜ?褒めてほしいくらいさ。 シルエラ:・・・我々のこの後始末、つけてくださいますよね? ドゥラス:・・・あぁ。後は任せて!眼ぇ瞑ってな。次に眼が開いた時には、全て終わってるからよ。 シルエラ:・・・・・・あとは頼みます。大将。 ドゥラス:・・・・・・・。 レークス:おままごとはおしまいですか? ドゥラス:あぁ。お待ちどおさん。待たせた詫びだ。俺と遊ぼうや。血が大好きなお侍さん? レークス:・・・お気持ちは分かりますが、ここは退かせていただきましょう。 ドゥラス:何だい?尻尾巻いて逃げるってのかい? レークス:勝てない相手を前に、戦う意味がありません。 ドゥラス:・・・はぁぁぁ〜・・・つくづく、気に障る奴だなぁ。 レークス:そうでしょう?なので、退かせてもらうのです。 ドゥラス:ハッハッハ!!!そうかいそうかい!・・・・・簡単に行かせると思ってんのか? 0:そう言いながら、大太刀を構える。 レークス:フフフ・・・戦闘は、いつでも前進と後退の手を打てるようにしないと、ね! 0:そう言って煙幕を放ちながら後退する。 ドゥラス:させるかよぉ・・・『ウノ・エスパーダ。トルメンタァッ!!!』 レークス:ーーーッ!!まったく・・・まさに規格外。派手にやりますね。その大太刀を斬り上げただけで、嵐のような旋風。恐れ入ります。 ドゥラス:へっ・・・逃げ足速ぇなぁ。そんなに俺とやりたくねぇのか?俺と遊ぼう・・・ぜっ!!! マリアニッテ:『アルマゥスニット』 ドゥラス:・・・ほぉ。俺の剣技を弾くかい? レークス:・・・マリアニッテ。余計なことをーーー。 マリアニッテ:ーーー余計なこと?無様に逃げようとなされているのはどなたですか〜? レークス:フフフ・・・貴女の生き血から啜ってもいいんですよ? マリアニッテ:あらあら〜?癇に障りましたか〜?ごめんなさいね〜。でも・・・これ以上は、やり過ぎです。逃げるなら、早く逃げましょうね〜? ドゥラス:おいおい、だから逃さね・・・っとっと!! ヴラフォス:揺れろ。『ジミニトリシェーニェ』 ドゥラス:おっとっとぅおっと・・・なるほど。足場をとる地震かい。 ヴラフォス:さあ、お二人共。今のうちに。 マリアニッテ:ありがとう〜ヴラフォス。では、ごきげんよう~。 レークス:次がまた、あればいいですね。では・・・。 ドゥラス:・・・チッ。面倒くさそうなのがゴロゴロいやがるなぁ。 シルエラ:あれが・・・モスクリーナ帝国の、幹部クラス・・・ ドゥラス:なかなか強ぇだろう?話には聞いてたが、上の連中はこんなのがゴロゴロいるんだとよ。 シルエラ:・・・私は・・・ーーー ドゥラス:おいおい、引け目に感じてんじゃねぇよ。この不利な状況で、お前はよくやったよ。 シルエラ:・・・よくやった、ですってぇ・・・? ドゥラス:・・・ん? シルエラ:元はと言えばっ!貴方のせいで!こうなったんですからね!!!どうして総大将が、戦列から離れているんですか!!! ドゥラス:だ~〜〜から〜、それは仕方ねぇんだって。ちょっと野暮用っつーか、トカゲや狼がうじゃうじゃいてよぉ。そいつ等と遊んでたら時間がーーーー シルエラ:遊んでたんですね?大将? ドゥラス:い、いや!違う!違います!誤解です! シルエラ:問答無用です! ドゥラス:あーーーうるせぇうるせぇ!そんだけ叫べるなら、もう大丈夫だな。じゃあ、俺は野暮用の続きがあるから、後のことは任せたぜ? シルエラ:あ!こ、こら!待ちなさい!大将!大将ぉぉぉぉ!!! ドゥラス:・・・さぁて・・・こいつぁ・・・思ってた以上に、厄介事になるかもしれねぇなぁ・・・。 0:14時30分 モスクリーナ帝国 ベテル領 レークス:ヴラフォス。私の邪魔はしないように、言ったはずですが? ヴラフォス:え?あ、いや、邪魔をしたわけではーーーっ!!(刀の先を向けられる) レークス:口答えするな。その口、斬られたいのか? ヴラフォス:・・・っ。 マリアニッテ:あらあらあら〜。チームなのに仲間割れですか〜?恥ずかしいですね〜、実に恥ずかしいですね〜。 レークス:何ですか、マリアニッテ。同階級だからといって、容赦しませんよ? マリアニッテ:容赦、ですか〜?うふふふふ・・・容赦って・・・どういう意味で使うか、分かっていますか〜? レークス:何・・・・・フッ、なるほど。この私の首と腕と足につけられている糸は、容赦ない、という意味ですか? マリアニッテ:あらあら〜。この程度で容赦ないですか〜?容赦ないって・・・細切れにするってことですよ? レークス:・・・・・・・。 マリアニッテ:・・・・・・・。 ヴラフォス:お、お二人共、一度落ち着きましょう。とりあえず、統帥会の報告にーーーーー レークス:あぁ、ヴラフォス。すべての報告は任せた。 ヴラフォス:え? マリアニッテ:私も〜。特に報告なんてありませんし〜。 ヴラフォス:い、いやいや!ありますでしょう!現に我々の軍も死者264名、負傷者538名出ています! マリアニッテ:あら〜そんなにいたんですよね〜。 レークス:計算していたんですか。賢い部下で助かります。では、私は失礼しますよ。刀の餌の確認が必要なのでね。 ヴラフォス:え?!あ、あのーーー! マリアニッテ:私も〜。新しいお人形の仕立てがありますので〜。失礼しますね〜。 ヴラフォス:ち、ちょっと!・・・ハァ・・・勘弁してくださいよ・・・トホホ・・・。 シルエラ:フィニエンス歴2年  2月10日 シルエラ:魔法が使えない。世界に脅威を知らしめたことで、後に記されることになるこの戦いを、「コラプス戦争」と言った。 ヴラフォス:マギアクリスタルを失ったヴァルサ軍は一度は押されたものの、大将ドゥラス=ベルグラーノの登場により一気に押し返し、帝国軍を退けた。 ヴラフォス:この戦いを期に、世界の国々が動き出し、足並みが揃い始める。生か死か。戦いに身を投じた者達の物語が、地平線の如く続いていく。 0:地平線物語~finience  histria~ 0:Prologue fin

レークス:フィニエンス歴2年  2月10日 レークス:セークルス歴が終わりを告げ、新たな歴号が始まった。そしてまもなく、モスクリーナ帝国の侵攻は始まり、瞬く間に様々な国が帝国の手に堕ちた。 レークス:その中で、陥落が迫っていたバルトリア王国と交友関係にあったヴァルサ帝国が、援軍としてバルトリア王国に到着。モスクリーナ帝国軍と激突した。 ドゥラス:ヴァルサ帝国は魔神の加護を授かりし国として、マギアの使い手を多数輩出する魔法国家であった。シルエラ中将の統率のとれた指揮の下、ヴァルサ軍はモスクリーナ帝国を退けつつあった。 ドゥラス:だが突如として、事態は急変する。モスクリーナ帝国軍の後方より放たれた一矢の光線が、バルサ軍の魔力の源である中核"マギアクリスタル"を破壊したのだ。 ヴラフォス:予想打にしなかった攻撃により、中核を失ったヴァルサ軍は攻防力を失い、敗走の一途を辿った。 ヴラフォス:その中でシルエラ中将は1人でも多くの軍兵を護る為、自ら本戦の先頭に立ち、数多の敵兵を退けた。だが軍力差によって散り逝く数多の自兵の命を目の当たりしつつ、相対する敵軍中将レークスとの激戦により、自身も精魂尽き果てようとしていた。 0:バルトリア王国東部 ルバナス平原 0:13時30分 シルエラ:ハァ・・・ハァ・・・クッ・・・! レークス:いやはやいやはや。一国の中将ともあろうお方がこの程度とは・・・。ヴァルサ共和国も落ちぶれたものです。 シルエラ:黙れっ!貴様等が卑怯にも、我々のマギアを使えなくする卑怯な戦法をとったからではないか! レークス:卑怯?フハハハハ・・・!何を戯言を?戦争とは、命の奪い合い。そんなところで自分の身を守るためにあらゆる策を講じる。当たり前の話でしょう? シルエラ:・・・ッ・・・! レークス:相手が女性中将。武器はレイピア。力業だけでのしあがれるほど、この世界は甘くない。なれば、相手は必ず特殊攻撃を仕掛けてくる。もしその根幹を叩けるなら、誰だってその部分を突くでしょう。 シルエラ:だからといって・・・防戦すら出来ない相手を、ここまで惨殺するのか。 レークス:何度も言わせるな。これは戦争だ。命乞いなどなんの役にも立たない。そうでしょう?貴女方がマギアを使えた時、命乞いをした我が軍に情けをかけましたか? シルエラ:・・・では、貴様等は、一体何を守ったというのだ? レークス:何? シルエラ:バルトリア王国に攻め入り、国を、町を、民を、全てを踏みにじった!バルトリア王国が、何をしたというのだ?!我々は、この国の民を守るために、ここにいる!侵略を押し返す正義がある!そして私には!民と仲間を護る正義がある! レークス:正義、ですか・・・ククク・・・フハハハハ・・・! シルエラ:何がおかしい! レークス:何がって?・・・甘い・・・甘い甘い甘い甘い甘い!実に甘い!!!そんな甘い考えだからこそ!この国も!その仲間も崩壊する!我等の国も、帝が甘かったから暗殺などという死を遂げたのです!我等は強くなる!そして、世界を平和にすべく、国を統一していくのです!そのためには、絶対的な力が必要です! シルエラ:統一が、安泰だと・・・?ふざけるな!!それだけのために、一体どれほどの国が、民が、多くの未来を犠牲にしたのだ!!お前だけでも!刺し違えてでも!私が必ず葬ってくれる!!! レークス:ふん!戯言を!私の刀の餌にしてあげましょう。 シルエラ:な・・・その刀は・・・!? レークス:美しいでしょう?この紅き刀身。今まで斬ってきた者たちの血肉を吸い、こいつはここまで成長しました! シルエラ:なんと・・・おぞましい・・・!そんな呪われた力!私が吹き飛ばしてくれる!ハアッ!!!(レイピアの突きを何度も打ち込む) レークス:(幾度も迫る突きを躱しながら)フフフ・・・無力!無力無力無力!その程度では当たりませんよ?今度はこちらの番です・・・はぁっ!!!(突きの合間を縫って、逆袈裟に相手を斬ろうとする) シルエラ:っ・・ぐっ!!!パレーヴィエント!(風で壁を創り、一気に距離を空けて飛び退く) レークス:ほう・・・風で障壁を創りますか。 シルエラ:ハァ・・・ハァ・・・貴様なぞ・・・クリスタルの力があれば・・・。 レークス:だが、腰をよく見てください? シルエラ:何・・・ぐぁ・・・!(片膝をつくシルエラの腰から、うっすらと血が滲んでいく) レークス:ククク・・・私の血刀に障壁など無力!直接当たらずとも、近くを刀身が通るだけで、貴女の血液が吸い寄せられる! シルエラ:ハァ・・ハァ・・・なんと、おぞましい・・・! レークス:さぁ・・・美味しくいただくとしましょうか・・・! シルエラ:させぬ!私はヴァルサ軍中将、シルエラ=コルドヴァ!こんなところで、易々と首はやらぬ! 0:同刻 ルバナス平原北部 ヴラフォス:・・・レークス殿は、うまくやっているようですね。さすがは『吸血鬼』の異名は伊達ではありませんね。 マリアニッテ:それでも、相手はヴァルサ軍中将。女性にも関わらず、タフな方ですねぇ。あ〜〜〜・・・亡骸は後でもらえますかね〜〜〜?できれば、斬られてほしくないんですが〜〜・・・。 ヴラフォス:・・・マリアニッテ様。レークス殿は血を欲しています。戦闘が終わる頃には、骨と皮だけになっている兵もしばしばです。 マリアニッテ:え〜〜〜?それは困りましたね〜〜〜。あの風魔法の障壁は〜、傀儡魔術の応用に役立ちそうなのに〜〜〜。 ヴラフォス:研究熱心なのは良いことですが、レークス殿とマリアニッテ様の相性は良くないのかもしれませんね。 マリアニッテ:あらあら〜〜。残念。まあ、仕方ないですね〜。 ヴラフォス:さて、長引かせれば万が一もありえますし、早く事を済ませましょう。あの女性を倒せば、我々の勝利です。では、大地を揺らしましょう。 マリアニッテ:そうね〜。・・・でも・・・ちょっと遅かったかもしれないわ? ヴラフォス:え? マリアニッテ:しゃがみなさい。 ヴラフォス:え?ぅわっ! 0:ヴラフォスとマリアニッテがしゃがむと、頭があったあたりに強烈な風が吹き抜ける。それは、何かが通り抜けた跡だった。 ヴラフォス:・・・い、今のは・・・? マリアニッテ:あらあら〜〜・・・私の操り糸を簡単に真っ二つ・・・さすがは『ノー・エスタンダー(規格外)』。大将は伊達ではありませんでしたね〜〜。 ヴラフォス:では、今のがあの・・・? マリアニッテ:さあ、面白くなってきましたね〜〜〜。 0:14時3分 ルバナス平原 レークス:貴女の護りたいものは、結局それぐらいの力しか与えないんですよ。 シルエラ:ハァ・・ハァ・・・違う。私の、この力は・・民達がいたから、手に入れられた。・・・私がここに、立てている、のも・・・民たちのおかげなのだ・・! レークス:では、その民たちが立たせた方は・・・無能だった、ということですね。なんとも愚かだ。 シルエラ:くっ・・・!言わせておけば・・・! レークス:おやおや、まだやり合いますか?ここで退くなら、命は取らない程度にとどめようと思ったんですが・・・仕方ありません。 シルエラ:な、何を・・・ぐっ!ぁ、ぁぁあああぁぁぁ!!!!! レークス:フフフフフ!!やはり血刀は面白い!少し力を込めるだけで、傷口から蛇口を捻るかのように血を溢れ出させる!貴女も私の刀の養分になるんです。光栄に思ってください。 シルエラ:くっ・・・!!こんな・・・ところ、で・・・! レークス:いつまでその口が・・・っ!!! 0:レークスとルシエラの間に、凄まじい衝撃波が起こり、辺りに砂煙が舞い上がる。間一髪のところでレークスは跳び退く。 レークス:・・・・・・・おやおや。貴方はお呼びでは無かったはずなんですが・・・。 ドゥラス:おいおい。そんなこと言うなよ。連れねぇじゃねえか。楽しいことは俺も交ぜてくれよ。 レークス:おかしいですね。貴方には相応の玩具を提供したはずですが? ドゥラス:あんなでかいトカゲや狼の群れが玩具か?ハッハッハ!おいおい、片手で一回振っただけでぶっ壊れるような玩具、用意してんじゃねぇよ。 レークス:・・・そうですか。足りませんでしたか。 シルエラ:まったく・・・遅いんですよ、大将。 ドゥラス:悪ぃな。ちょっとだけ手間取った。 シルエラ:本当に大将なんですか?自覚はおありですか? ドゥラス:ふぅ・・・手厳しいねぇ。これでも急いで来たんだぜ?褒めてほしいくらいさ。 シルエラ:・・・我々のこの後始末、つけてくださいますよね? ドゥラス:・・・あぁ。後は任せて!眼ぇ瞑ってな。次に眼が開いた時には、全て終わってるからよ。 シルエラ:・・・・・・あとは頼みます。大将。 ドゥラス:・・・・・・・。 レークス:おままごとはおしまいですか? ドゥラス:あぁ。お待ちどおさん。待たせた詫びだ。俺と遊ぼうや。血が大好きなお侍さん? レークス:・・・お気持ちは分かりますが、ここは退かせていただきましょう。 ドゥラス:何だい?尻尾巻いて逃げるってのかい? レークス:勝てない相手を前に、戦う意味がありません。 ドゥラス:・・・はぁぁぁ〜・・・つくづく、気に障る奴だなぁ。 レークス:そうでしょう?なので、退かせてもらうのです。 ドゥラス:ハッハッハ!!!そうかいそうかい!・・・・・簡単に行かせると思ってんのか? 0:そう言いながら、大太刀を構える。 レークス:フフフ・・・戦闘は、いつでも前進と後退の手を打てるようにしないと、ね! 0:そう言って煙幕を放ちながら後退する。 ドゥラス:させるかよぉ・・・『ウノ・エスパーダ。トルメンタァッ!!!』 レークス:ーーーッ!!まったく・・・まさに規格外。派手にやりますね。その大太刀を斬り上げただけで、嵐のような旋風。恐れ入ります。 ドゥラス:へっ・・・逃げ足速ぇなぁ。そんなに俺とやりたくねぇのか?俺と遊ぼう・・・ぜっ!!! マリアニッテ:『アルマゥスニット』 ドゥラス:・・・ほぉ。俺の剣技を弾くかい? レークス:・・・マリアニッテ。余計なことをーーー。 マリアニッテ:ーーー余計なこと?無様に逃げようとなされているのはどなたですか〜? レークス:フフフ・・・貴女の生き血から啜ってもいいんですよ? マリアニッテ:あらあら〜?癇に障りましたか〜?ごめんなさいね〜。でも・・・これ以上は、やり過ぎです。逃げるなら、早く逃げましょうね〜? ドゥラス:おいおい、だから逃さね・・・っとっと!! ヴラフォス:揺れろ。『ジミニトリシェーニェ』 ドゥラス:おっとっとぅおっと・・・なるほど。足場をとる地震かい。 ヴラフォス:さあ、お二人共。今のうちに。 マリアニッテ:ありがとう〜ヴラフォス。では、ごきげんよう~。 レークス:次がまた、あればいいですね。では・・・。 ドゥラス:・・・チッ。面倒くさそうなのがゴロゴロいやがるなぁ。 シルエラ:あれが・・・モスクリーナ帝国の、幹部クラス・・・ ドゥラス:なかなか強ぇだろう?話には聞いてたが、上の連中はこんなのがゴロゴロいるんだとよ。 シルエラ:・・・私は・・・ーーー ドゥラス:おいおい、引け目に感じてんじゃねぇよ。この不利な状況で、お前はよくやったよ。 シルエラ:・・・よくやった、ですってぇ・・・? ドゥラス:・・・ん? シルエラ:元はと言えばっ!貴方のせいで!こうなったんですからね!!!どうして総大将が、戦列から離れているんですか!!! ドゥラス:だ~〜〜から〜、それは仕方ねぇんだって。ちょっと野暮用っつーか、トカゲや狼がうじゃうじゃいてよぉ。そいつ等と遊んでたら時間がーーーー シルエラ:遊んでたんですね?大将? ドゥラス:い、いや!違う!違います!誤解です! シルエラ:問答無用です! ドゥラス:あーーーうるせぇうるせぇ!そんだけ叫べるなら、もう大丈夫だな。じゃあ、俺は野暮用の続きがあるから、後のことは任せたぜ? シルエラ:あ!こ、こら!待ちなさい!大将!大将ぉぉぉぉ!!! ドゥラス:・・・さぁて・・・こいつぁ・・・思ってた以上に、厄介事になるかもしれねぇなぁ・・・。 0:14時30分 モスクリーナ帝国 ベテル領 レークス:ヴラフォス。私の邪魔はしないように、言ったはずですが? ヴラフォス:え?あ、いや、邪魔をしたわけではーーーっ!!(刀の先を向けられる) レークス:口答えするな。その口、斬られたいのか? ヴラフォス:・・・っ。 マリアニッテ:あらあらあら〜。チームなのに仲間割れですか〜?恥ずかしいですね〜、実に恥ずかしいですね〜。 レークス:何ですか、マリアニッテ。同階級だからといって、容赦しませんよ? マリアニッテ:容赦、ですか〜?うふふふふ・・・容赦って・・・どういう意味で使うか、分かっていますか〜? レークス:何・・・・・フッ、なるほど。この私の首と腕と足につけられている糸は、容赦ない、という意味ですか? マリアニッテ:あらあら〜。この程度で容赦ないですか〜?容赦ないって・・・細切れにするってことですよ? レークス:・・・・・・・。 マリアニッテ:・・・・・・・。 ヴラフォス:お、お二人共、一度落ち着きましょう。とりあえず、統帥会の報告にーーーーー レークス:あぁ、ヴラフォス。すべての報告は任せた。 ヴラフォス:え? マリアニッテ:私も〜。特に報告なんてありませんし〜。 ヴラフォス:い、いやいや!ありますでしょう!現に我々の軍も死者264名、負傷者538名出ています! マリアニッテ:あら〜そんなにいたんですよね〜。 レークス:計算していたんですか。賢い部下で助かります。では、私は失礼しますよ。刀の餌の確認が必要なのでね。 ヴラフォス:え?!あ、あのーーー! マリアニッテ:私も〜。新しいお人形の仕立てがありますので〜。失礼しますね〜。 ヴラフォス:ち、ちょっと!・・・ハァ・・・勘弁してくださいよ・・・トホホ・・・。 シルエラ:フィニエンス歴2年  2月10日 シルエラ:魔法が使えない。世界に脅威を知らしめたことで、後に記されることになるこの戦いを、「コラプス戦争」と言った。 ヴラフォス:マギアクリスタルを失ったヴァルサ軍は一度は押されたものの、大将ドゥラス=ベルグラーノの登場により一気に押し返し、帝国軍を退けた。 ヴラフォス:この戦いを期に、世界の国々が動き出し、足並みが揃い始める。生か死か。戦いに身を投じた者達の物語が、地平線の如く続いていく。 0:地平線物語~finience  histria~ 0:Prologue fin