台本概要

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タイトル 僕の初恋の君(男性一人読み用)
作者名 くま@甘党
ジャンル ラブストーリー
演者人数 3人用台本(男3)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 初恋シリーズの男性版です。元々あった短編台本に肉付けした台本になります。わかりやすくセリフを役で分けてありますが、全て一人で読む台本です。元の短編台本には①~⑩の番号を振ってあります。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
亮介 12
亮介M 37
ゆま 9
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
僕の初恋の君 0: ①:夜になると 君の事を思い出す ①:バイト中の君は いつも明るくて いつも元気だ ①:だけどあの日 夜の公園で ①:泣いていた君を見つけてから ①:今夜は大丈夫かなって ①:心配してしまう ①:君は今、笑っていますか? ①:僕の初恋の君は ①:居酒屋でアルバイトをしていた 0: 亮介:「はぁー、お腹空いたー…けど金欠だしなぁ…カップ麺で済ますかぁ。」 亮介M:僕は柳 亮介。 亮介M:社会人になって2年、理想とは程遠い世界でがむしゃらに働いてる。 亮介M:半年前、仕事で嫌な事があり、たまたま通りがかった居酒屋にヤケ酒を飲みに入った。 亮介M:そこには、元気が取り柄です!と言わんばかりの女の子が働いていて、ネームには「ゆま」と書いてあった。 亮介M:店は店主のおじさんと、いつも笑顔が耐えない看板娘であるゆまの2人で営業している。 亮介M:初めて店に行った日から、ゆまは僕によく話し掛けてくれた。歳も近くて、共通の趣味も多くて、すぐに仲良くなれた。 亮介:「でもなぁー…ゆまに会いたいしなぁ…うん、決めた!金はなんとかするとして、明日は店に行こう!」 亮介M:僕は学生時代から女子とあまり交流がなく、楽しい会話をしたり、名前で呼び合うなんて初めての事だった。あっという間にゆまに夢中になった。 亮介M:これが僕の初恋だった。 0:次の日 亮介:「よし、時間ピッタリ仕事終了!!お先に失礼しまーす!……さぁて、行きますかーー!」 亮介M:いつも以上に張り切って仕事を済ませ、予定通り居酒屋に来れた。 ゆま:「あ、亮介!いらっしゃーい!」 亮介M:いつもの笑顔で出迎えるゆま。 亮介M:さすが看板娘。可愛くて愛嬌もあって、ゆま目当ての常連が、たくさん居るのも納得だ。 亮介M:仕事の愚痴を聞いてもらったり、ゲームやアニメの話をしたり、この時間がとても楽しく、とても心地良い。 亮介M:どんどん酒が進み、気付いたら僕は寝てしまっていた。 亮介M:おじさんに起こされ、ゆまが居ない事に気付く。 亮介:「あれ…ゆまは?」 亮介M:僕が寝ている間に店も落ち着いた為、先に上がったと言われた。 亮介M:僕は寝てしまった事を後悔しながら帰路についた。 亮介:「はぁーぁ、あんなに楽しかったのに…まさか寝るなんてなぁ…」 亮介M:とぼとぼと歩いていると、家と居酒屋の間にある公園に着いた。 亮介M:この公園を突っ切ると、家までの近道になる為、よく通っていた。 亮介:「え…あれって…」 亮介M:公園の入口から、ブランコに誰かが座っているのが見えた。 亮介M:目を凝らすと、それはゆまだった。 亮介M:普通ならすぐに近付いて話しかけるところだけど、僕はただ立ちすくんでいた…。 亮介M:ゆまが泣いている。 亮介M:僕はどうするべきか考えた。 亮介M:今すぐ行って、話しを聞いて慰めるべきか。 亮介M:いや…でも泣いてる姿なんて、見られたくないんじゃないか…。 亮介M:そんな事を考えていると、気付いたらゆまは居なくなっていた。 亮介:「あれ……?」 亮介M:まだ揺れているブランコ。 亮介M:だけどゆまの姿は、どこにも確認できなかった。 0:数日後 ゆま:「いらっしゃい!」 亮介M:店に行くと、ゆまはいつもの笑顔で出迎える。 亮介M:あの日、公園で泣いていた時の事を聞こうかと思ったが、他のお客さんとも笑いながら話しているゆまを見て、 亮介M:今はまだ、自分の胸に閉まっておこうと決めた。 0: ②:今日も、君の笑顔に癒された ②:美味しそうな料理を運ぶ君 ②:両手でたくさんの飲み物を運ぶ君 ②:どれだけお店が混んでいても ②:お客さんが来ると元気に挨拶している君 ②:僕の初恋の君は ②:太陽のような存在だった 0: 亮介M:その後僕は給料日が来るまで、店に来れなかった。 亮介M:ちゃんと貯金しておけば良かったのに、ただでさえ少ない給料を、飲み食いに使ってしまうバカな自分に嫌気がさす。 亮介M:ともあれ、やっと手元にお金ができ店に向かった。 亮介M:しかしそこには、ゆまの姿は無かった。 亮介M:おじさんは2人分の仕事を全て1人でこなしていて忙しそう。 亮介M:他にも数組お客さんが入っていて、ゆっくり話す時間も無さそうだ。 亮介M:僕は黙って酒を飲む。 亮介M:きっとおじさんも、ゆまが居ないことを聞きたそうにしている僕に気付いている。 亮介M:だけど「悪いね」としか言わない。 亮介:「今日は…会えなかったな。」 亮介M:ゆまが居ない事で酒もあまり進まず、帰る事にした。 亮介M:次に来たら、会えるだろうと思いながら。 0: ③:不安がこみあげる ③:あれから2週間 ③:いつもの活気がないお店にも ③:もう慣れてしまっていた ③:聞けば「ちょっと休んでるだけだから」と ③:理由を教えてくれない店主 ③:僕の初恋の君は ③:突然 僕の前から姿を消した 0: 亮介M:いつの日か 、ゆまが泣いていた夜の事をずっと考えている。 亮介M:やっぱり…何かあったんだ…。 亮介M:あの時、どうして自分はゆまの元へ行き、話しを聞かなかったのだろう…。 亮介M:もし、何か力になれる事があったら、ゆまが居なくなる事も無かったんじゃないか…。 亮介M:何もできなかった自分に後悔しながら、今日も眠りについた 0: ④:雨上がりの虹のように ④:今このお店は輝いている ④:そう 君が帰ってきた ④:雲が晴れて 太陽が出てきたように ④:明るさと 賑やかさが戻ってきた ④:だけど… ④:僕の初恋の君は ④:どこか違う この違和感は…一体 0: 亮介M:仕事を終え、今日も居ないよなと思いながら店に行くと、ドアの向こうからあの元気な声が聞こえた。 亮介:「…っ!…ゆまの声だ!」 亮介M:僕は勢いよくドアを開けて中を見た。 亮介M:するとゆまが僕に気付き、「いらっしゃーーい!!」と満面の笑みで出迎えてくれた。 亮介M:嬉しかった…。 亮介M:またゆまに会えて、本当に嬉しかった。 亮介M:正直、もう会えないんじゃないかと思っていた僕は、思わず言葉を詰まらせた。 ゆま:「ほら、早く入りなよ!」 亮介:「あ、あぁ…うん!」 亮介M:ゆまが居るだけで、ここは別世界の様に眩しい。 亮介M:おじさんもまた以前のお店の雰囲気に戻って、安心しているみたいだ 亮介M:だけど、僕はすぐに気付いた。 亮介M:今、笑って接客しているゆまが、 亮介M:以前のゆまではないことが…。 亮介M:この日は客足の引きも早く、あっという間に僕だけになった。 亮介M:おじさんが、ゆまにもう上がるように言った。 亮介M:そのタイミングで、僕も会計を済ませた。 亮介M:そして 帰ろうとしたゆまを呼び止めた。 0: ⑤:「君に伝えたい事がある」 ⑤:何があったかは知らないけど ⑤:君が今 普通ではない事が ⑤:痛いくらいに伝わってくる ⑤:「無理しないで」 ⑤:ただ君に、また笑ってほしくて ⑤:笑ってほしかったのに…… ⑤:僕の初恋の君は ⑤:初めて 僕の前で泣いた 0: 亮介M:僕は、心の底から笑っているゆまが好きだった。 亮介M:どれだけ嫌な事があっても、ゆまの笑顔を見ると心が救われていた。 亮介M:だけど……。 亮介M:今のゆまの笑顔を見ると、涙が出そうになる…。 0: ⑥:いつかの公園で ⑥:初めて2人きりになった ⑥:本当ならドキドキして ⑥:照れながら話したりすると思っていた ⑥:だけど 2人の目線は ⑥:別々の方向を向いている ⑥:「ほ…星が綺麗だね」 ⑥:曇り空の下で バカな事を言った ⑥:僕の初恋の君は ⑥:クスッと笑ったが 切なそうな顔をしていた 0: 亮介M:2人ともブランコに乗り適当にこぐ。 亮介M:会話は何も無い。 亮介M:僕は、ゆまが話すのを待っていた。 亮介M:僕が店の前で言った、「無理しないで」という言葉…。 亮介M:伝えたかった事は、それが全てだったからだ。 ゆま:「あのね、、」 亮介M:ブランコをこぐのをやめ、足を着いたと同時に、ゆまが話し始めた。 ゆま:「前にも、ここで泣いてた事があるんだ…」 亮介M:僕はすぐに思い出した。 ゆま:「その時はね、お母さんが倒れたって連絡がきて、お店から病院に向かったの。亮介、寝ちゃってた日かな」 ゆま:「でね、病気だったんだ、お母さん。もう長くないって診断されてさ、私どうしたらいいかわからなくて…。」 亮介M:ゆまの声が、だんだんと震え始めたのがわかる。 ゆま:「そしたらね、この前、本当に……」 0: ⑦:失ったものは もう元には戻らない ⑦:それがどれだけ 強い願いでも… ⑦:「母が病気で亡くなった」 ⑦:君は涙目で 声を震わせて言った ⑦:僕は…何も言葉が出なかった ⑦:なんて言えばいいか ⑦:全くわからなかった ⑦:僕の初恋の君は ⑦:想像もできないくらい ⑦:重たいものを背負っていた 0: 亮介M:ゆまの話しがそこで止まり、しばらくまた沈黙が続いた…。 亮介M:僕は、未だに言葉が出てこなかった。 亮介M:すると突然、ゆまが立ち上がった。 0: ⑧:「私、強くなるって決めたんだ!」 ⑧:「だから、君も笑って?」 ⑧:「また前みたいに、お店でワイワイ騒ごうよ!」 ⑧:僕の初恋の君は ⑧:精一杯の笑顔で 僕に言った ⑧:また、無理をして… 0: 亮介M:ゆまが笑うと、僕も笑っていて、 亮介M:僕が笑うと、ゆまも笑っていた。 亮介M:あの楽しかった時間が、夢だったように思えてきた。 亮介M:このまま、無理に作った笑顔のゆまを見続けるなんて…僕には無理だ。 亮介M:僕も立ち上がり、ゆまの目の前に立つ。 0: ⑨:「僕にも、半分背負(せお)わせて。」 ⑨:突然の言葉に君は目をまんまるくして ⑨:僕をじっと見つめた ⑨:「僕にも、君の背負ってるもの、半分背負わせて。僕は君に救われてきた。だから今度は、僕が君を救いたい。この先、ずっと。」 ⑨:僕の初恋の君は ⑨:目をうるわせながら ⑨:笑って頷いてくれた 0: ゆま:「…嬉しい。」 亮介M:ゆまは一言、そう呟いた。 亮介:「もう我慢しなくていい、辛い時は泣いていい、僕が一緒に居るから。」 亮介M:僕の言葉を聞いたゆまは、その場に泣き崩れた。 亮介: 亮介M:後に聞いた話しだが、ゆまが店に来なかった間、葬儀や家の事、親戚の訪問等があり、忙しかったせいで、その間ゆまは1度も泣かなかったそうだ。 亮介M:「明るいのが取り柄だから」と、無理に強がっていたとゆまは言った。 亮介M:きっと今、初めて思いっきり泣けたんだろう…。 亮介M:ずっと我慢をして、ずっと強がっていたゆまは、 亮介M:やっと自分に素直になれた瞬間だったんだ。 亮介M:これからは、僕がゆまを守る。 亮介M:ゆまの笑顔を、一生、守っていく。 0: ⑩:僕の初恋の君は ⑩:太陽のような存在 ⑩:周りを明るく照らし ⑩:その暖かい光に包まれると ⑩:みんな幸せな気持ちになる ⑩:僕の初恋の君は ⑩:愛する僕の奥さん

僕の初恋の君 0: ①:夜になると 君の事を思い出す ①:バイト中の君は いつも明るくて いつも元気だ ①:だけどあの日 夜の公園で ①:泣いていた君を見つけてから ①:今夜は大丈夫かなって ①:心配してしまう ①:君は今、笑っていますか? ①:僕の初恋の君は ①:居酒屋でアルバイトをしていた 0: 亮介:「はぁー、お腹空いたー…けど金欠だしなぁ…カップ麺で済ますかぁ。」 亮介M:僕は柳 亮介。 亮介M:社会人になって2年、理想とは程遠い世界でがむしゃらに働いてる。 亮介M:半年前、仕事で嫌な事があり、たまたま通りがかった居酒屋にヤケ酒を飲みに入った。 亮介M:そこには、元気が取り柄です!と言わんばかりの女の子が働いていて、ネームには「ゆま」と書いてあった。 亮介M:店は店主のおじさんと、いつも笑顔が耐えない看板娘であるゆまの2人で営業している。 亮介M:初めて店に行った日から、ゆまは僕によく話し掛けてくれた。歳も近くて、共通の趣味も多くて、すぐに仲良くなれた。 亮介:「でもなぁー…ゆまに会いたいしなぁ…うん、決めた!金はなんとかするとして、明日は店に行こう!」 亮介M:僕は学生時代から女子とあまり交流がなく、楽しい会話をしたり、名前で呼び合うなんて初めての事だった。あっという間にゆまに夢中になった。 亮介M:これが僕の初恋だった。 0:次の日 亮介:「よし、時間ピッタリ仕事終了!!お先に失礼しまーす!……さぁて、行きますかーー!」 亮介M:いつも以上に張り切って仕事を済ませ、予定通り居酒屋に来れた。 ゆま:「あ、亮介!いらっしゃーい!」 亮介M:いつもの笑顔で出迎えるゆま。 亮介M:さすが看板娘。可愛くて愛嬌もあって、ゆま目当ての常連が、たくさん居るのも納得だ。 亮介M:仕事の愚痴を聞いてもらったり、ゲームやアニメの話をしたり、この時間がとても楽しく、とても心地良い。 亮介M:どんどん酒が進み、気付いたら僕は寝てしまっていた。 亮介M:おじさんに起こされ、ゆまが居ない事に気付く。 亮介:「あれ…ゆまは?」 亮介M:僕が寝ている間に店も落ち着いた為、先に上がったと言われた。 亮介M:僕は寝てしまった事を後悔しながら帰路についた。 亮介:「はぁーぁ、あんなに楽しかったのに…まさか寝るなんてなぁ…」 亮介M:とぼとぼと歩いていると、家と居酒屋の間にある公園に着いた。 亮介M:この公園を突っ切ると、家までの近道になる為、よく通っていた。 亮介:「え…あれって…」 亮介M:公園の入口から、ブランコに誰かが座っているのが見えた。 亮介M:目を凝らすと、それはゆまだった。 亮介M:普通ならすぐに近付いて話しかけるところだけど、僕はただ立ちすくんでいた…。 亮介M:ゆまが泣いている。 亮介M:僕はどうするべきか考えた。 亮介M:今すぐ行って、話しを聞いて慰めるべきか。 亮介M:いや…でも泣いてる姿なんて、見られたくないんじゃないか…。 亮介M:そんな事を考えていると、気付いたらゆまは居なくなっていた。 亮介:「あれ……?」 亮介M:まだ揺れているブランコ。 亮介M:だけどゆまの姿は、どこにも確認できなかった。 0:数日後 ゆま:「いらっしゃい!」 亮介M:店に行くと、ゆまはいつもの笑顔で出迎える。 亮介M:あの日、公園で泣いていた時の事を聞こうかと思ったが、他のお客さんとも笑いながら話しているゆまを見て、 亮介M:今はまだ、自分の胸に閉まっておこうと決めた。 0: ②:今日も、君の笑顔に癒された ②:美味しそうな料理を運ぶ君 ②:両手でたくさんの飲み物を運ぶ君 ②:どれだけお店が混んでいても ②:お客さんが来ると元気に挨拶している君 ②:僕の初恋の君は ②:太陽のような存在だった 0: 亮介M:その後僕は給料日が来るまで、店に来れなかった。 亮介M:ちゃんと貯金しておけば良かったのに、ただでさえ少ない給料を、飲み食いに使ってしまうバカな自分に嫌気がさす。 亮介M:ともあれ、やっと手元にお金ができ店に向かった。 亮介M:しかしそこには、ゆまの姿は無かった。 亮介M:おじさんは2人分の仕事を全て1人でこなしていて忙しそう。 亮介M:他にも数組お客さんが入っていて、ゆっくり話す時間も無さそうだ。 亮介M:僕は黙って酒を飲む。 亮介M:きっとおじさんも、ゆまが居ないことを聞きたそうにしている僕に気付いている。 亮介M:だけど「悪いね」としか言わない。 亮介:「今日は…会えなかったな。」 亮介M:ゆまが居ない事で酒もあまり進まず、帰る事にした。 亮介M:次に来たら、会えるだろうと思いながら。 0: ③:不安がこみあげる ③:あれから2週間 ③:いつもの活気がないお店にも ③:もう慣れてしまっていた ③:聞けば「ちょっと休んでるだけだから」と ③:理由を教えてくれない店主 ③:僕の初恋の君は ③:突然 僕の前から姿を消した 0: 亮介M:いつの日か 、ゆまが泣いていた夜の事をずっと考えている。 亮介M:やっぱり…何かあったんだ…。 亮介M:あの時、どうして自分はゆまの元へ行き、話しを聞かなかったのだろう…。 亮介M:もし、何か力になれる事があったら、ゆまが居なくなる事も無かったんじゃないか…。 亮介M:何もできなかった自分に後悔しながら、今日も眠りについた 0: ④:雨上がりの虹のように ④:今このお店は輝いている ④:そう 君が帰ってきた ④:雲が晴れて 太陽が出てきたように ④:明るさと 賑やかさが戻ってきた ④:だけど… ④:僕の初恋の君は ④:どこか違う この違和感は…一体 0: 亮介M:仕事を終え、今日も居ないよなと思いながら店に行くと、ドアの向こうからあの元気な声が聞こえた。 亮介:「…っ!…ゆまの声だ!」 亮介M:僕は勢いよくドアを開けて中を見た。 亮介M:するとゆまが僕に気付き、「いらっしゃーーい!!」と満面の笑みで出迎えてくれた。 亮介M:嬉しかった…。 亮介M:またゆまに会えて、本当に嬉しかった。 亮介M:正直、もう会えないんじゃないかと思っていた僕は、思わず言葉を詰まらせた。 ゆま:「ほら、早く入りなよ!」 亮介:「あ、あぁ…うん!」 亮介M:ゆまが居るだけで、ここは別世界の様に眩しい。 亮介M:おじさんもまた以前のお店の雰囲気に戻って、安心しているみたいだ 亮介M:だけど、僕はすぐに気付いた。 亮介M:今、笑って接客しているゆまが、 亮介M:以前のゆまではないことが…。 亮介M:この日は客足の引きも早く、あっという間に僕だけになった。 亮介M:おじさんが、ゆまにもう上がるように言った。 亮介M:そのタイミングで、僕も会計を済ませた。 亮介M:そして 帰ろうとしたゆまを呼び止めた。 0: ⑤:「君に伝えたい事がある」 ⑤:何があったかは知らないけど ⑤:君が今 普通ではない事が ⑤:痛いくらいに伝わってくる ⑤:「無理しないで」 ⑤:ただ君に、また笑ってほしくて ⑤:笑ってほしかったのに…… ⑤:僕の初恋の君は ⑤:初めて 僕の前で泣いた 0: 亮介M:僕は、心の底から笑っているゆまが好きだった。 亮介M:どれだけ嫌な事があっても、ゆまの笑顔を見ると心が救われていた。 亮介M:だけど……。 亮介M:今のゆまの笑顔を見ると、涙が出そうになる…。 0: ⑥:いつかの公園で ⑥:初めて2人きりになった ⑥:本当ならドキドキして ⑥:照れながら話したりすると思っていた ⑥:だけど 2人の目線は ⑥:別々の方向を向いている ⑥:「ほ…星が綺麗だね」 ⑥:曇り空の下で バカな事を言った ⑥:僕の初恋の君は ⑥:クスッと笑ったが 切なそうな顔をしていた 0: 亮介M:2人ともブランコに乗り適当にこぐ。 亮介M:会話は何も無い。 亮介M:僕は、ゆまが話すのを待っていた。 亮介M:僕が店の前で言った、「無理しないで」という言葉…。 亮介M:伝えたかった事は、それが全てだったからだ。 ゆま:「あのね、、」 亮介M:ブランコをこぐのをやめ、足を着いたと同時に、ゆまが話し始めた。 ゆま:「前にも、ここで泣いてた事があるんだ…」 亮介M:僕はすぐに思い出した。 ゆま:「その時はね、お母さんが倒れたって連絡がきて、お店から病院に向かったの。亮介、寝ちゃってた日かな」 ゆま:「でね、病気だったんだ、お母さん。もう長くないって診断されてさ、私どうしたらいいかわからなくて…。」 亮介M:ゆまの声が、だんだんと震え始めたのがわかる。 ゆま:「そしたらね、この前、本当に……」 0: ⑦:失ったものは もう元には戻らない ⑦:それがどれだけ 強い願いでも… ⑦:「母が病気で亡くなった」 ⑦:君は涙目で 声を震わせて言った ⑦:僕は…何も言葉が出なかった ⑦:なんて言えばいいか ⑦:全くわからなかった ⑦:僕の初恋の君は ⑦:想像もできないくらい ⑦:重たいものを背負っていた 0: 亮介M:ゆまの話しがそこで止まり、しばらくまた沈黙が続いた…。 亮介M:僕は、未だに言葉が出てこなかった。 亮介M:すると突然、ゆまが立ち上がった。 0: ⑧:「私、強くなるって決めたんだ!」 ⑧:「だから、君も笑って?」 ⑧:「また前みたいに、お店でワイワイ騒ごうよ!」 ⑧:僕の初恋の君は ⑧:精一杯の笑顔で 僕に言った ⑧:また、無理をして… 0: 亮介M:ゆまが笑うと、僕も笑っていて、 亮介M:僕が笑うと、ゆまも笑っていた。 亮介M:あの楽しかった時間が、夢だったように思えてきた。 亮介M:このまま、無理に作った笑顔のゆまを見続けるなんて…僕には無理だ。 亮介M:僕も立ち上がり、ゆまの目の前に立つ。 0: ⑨:「僕にも、半分背負(せお)わせて。」 ⑨:突然の言葉に君は目をまんまるくして ⑨:僕をじっと見つめた ⑨:「僕にも、君の背負ってるもの、半分背負わせて。僕は君に救われてきた。だから今度は、僕が君を救いたい。この先、ずっと。」 ⑨:僕の初恋の君は ⑨:目をうるわせながら ⑨:笑って頷いてくれた 0: ゆま:「…嬉しい。」 亮介M:ゆまは一言、そう呟いた。 亮介:「もう我慢しなくていい、辛い時は泣いていい、僕が一緒に居るから。」 亮介M:僕の言葉を聞いたゆまは、その場に泣き崩れた。 亮介: 亮介M:後に聞いた話しだが、ゆまが店に来なかった間、葬儀や家の事、親戚の訪問等があり、忙しかったせいで、その間ゆまは1度も泣かなかったそうだ。 亮介M:「明るいのが取り柄だから」と、無理に強がっていたとゆまは言った。 亮介M:きっと今、初めて思いっきり泣けたんだろう…。 亮介M:ずっと我慢をして、ずっと強がっていたゆまは、 亮介M:やっと自分に素直になれた瞬間だったんだ。 亮介M:これからは、僕がゆまを守る。 亮介M:ゆまの笑顔を、一生、守っていく。 0: ⑩:僕の初恋の君は ⑩:太陽のような存在 ⑩:周りを明るく照らし ⑩:その暖かい光に包まれると ⑩:みんな幸せな気持ちになる ⑩:僕の初恋の君は ⑩:愛する僕の奥さん